JP6146346B2 - 鋼の連続鋳造用鋳型および連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造技術に関し、特に凝固の初期段階における鋳片の不均一冷却に起因する表面欠陥や凝固シェルの拘束性ブレークアウトの発生を防止するとともに、鋳片の表面性状の改善に好適な、鋼の連続鋳造用鋳型および連続鋳造方法に関する。
一般に連続鋳造によって鋼鋳片を製造する場合、図1に例示する如く、まず、タンディッシュ12から浸漬ノズル14を介して鋳型20(モールドともいう)内に注入された溶鋼10が、鋳型20と接して冷却され、薄い凝固層(以下、凝固シェルという)30を形成する。こうして溶鋼10を鋳型20内に注入しながら凝固シェル30をピンチロール32により下方へ引き抜き(以下、定常鋳込みという)ながらスプレー34で冷却することによって、鋳片40を製造する。
鋳型20による冷却が不均一になると、凝固シェル30の厚さが不均一になり、その結果、凝固シェル30の表面は平滑にならない。特に凝固の初期段階で凝固シェル30の厚さが不均一に成長すると、凝固シェル30の表面に応力集中を生じて微小な縦割れが発生する。この微小な縦割れは、鋳片40が完全に凝固した後も残存し、鋳片表面の縦割れとなる。鋳片40の表面に縦割れが発生すると、後工程(例えば圧延工程等)へ鋳片40を送給するに先立って、縦割れの除去(以下、手入れという)が必要となる。
また凝固シェル30の表面が平滑でなければ、縦割れの他に、凝固シェル表層部が鋳型20の振動によって凝固シェル30と鋳型20との隙間に倒れ込む原因になり、その倒れ込んだ部分(以下、「つめ」という)が、湯面(メニスカスともいう)部において浮上した介在物や気泡を捕捉し、熱間圧延あるいは冷間圧延の後で疵や膨れ等の表面欠陥が発生する原因になる。
このような縦割れや疵、膨れ等の表面欠陥の発生傾向は、鋳造速度の増加に伴って高まる傾向にある。今日では、一般的なスラブ連続鋳造機の鋳造速度は10年前と比較して約1.5〜2倍に向上しており、それに伴って手入れ作業も増加している。近年、技術的に確立されつつある直送加熱(いわゆるホットチャージ)や直送圧延(いわゆるダイレクトチャージ)においても、鋳片の手入れ作業は操業の安定化を阻害する要因になっている。したがって凝固の初期段階における不均一冷却に起因する凝固シェル厚の不均一な成長および、つめの発生を防止すると、経済的に極めて有利となる。
凝固の初期段階における不均一冷却を防止するためには、凝固の初期段階で均一かつ緩やかな冷却を行ない、凝固シェルの厚さを均一に成長させることによって、つめの生成を阻止する必要がある。この点に関して、非特許文献1には、280×280mmのビレットの連続鋳造において、鋳片の表面性状を改善するためには、鋳型内面に凹凸を付与することが有効であると記載されている。また特許文献1には、直径もしくは幅が3〜80mmかつ深さが0.1〜1.0mmの凹部を鋳型内面に設けることが記載されている。さらに特許文献2には、幅が0.2〜2mmかつ深さが6mm以下の溝を鋳型内面に設けることが記載されている。
これらの技術は、いずれも湯面部にモールドパウダーを投入して、鋳型20と凝固シェル30との隙間に十分な厚さのモールドパウダー層を長時間安定して維持し、鋳型内面に設けられた凹凸部に空気層や溶融パウダー層を形成して、その空気層や溶融パウダー層の断熱性を利用して緩やかな冷却(以下、緩冷却という)を実現しようとするものである。
さらに、上述のような凹凸を鋳型に設けるといった手法とは別に、特許文献3では、連続鋳造鋳型用冷却板の冷却水流路を、鋳造方向に対して、直角の鋳型断面全周の少なくとも50%以上の部分で、鋳造方向軸に対して傾斜させることで、鋳型幅方向での冷却むらを緩和し、鋳片表面割れやブレークアウトを抑制して製品表面品質を向上すると共に、冷却板の亀裂発生を防止して鋳型冷却板の寿命を延ばす技術が開示されている。
特開平9−94634号公報 特開平10−193041号公報 特開2007−237279号公報
P. Perminov et al:Steel in English (1968), No.7,p.560〜562
しかしながら、これらの技術を実際に連続鋳造に使用すると種々の問題が生じる。例えば、非特許文献1、特許文献1、2に開示されているような凹凸を鋳型に設けるといった手法を採用した場合、幅変更が可能なスラブ連続鋳造機の鋳型は長辺と短辺の組鋳型であるため、連続鋳造を開始する時に鋳型内面に設けた凹部と鋳型のコーナー部とが一致すると、鋳込みを開始する際の溶鋼のスプラッシュがコーナー部の凹部に差し込むという問題がある。また浸漬ノズル14を交換する時、あるいはタンディッシュ12を交換する時に、鋳型20内の溶鋼10の湯面が定常鋳込みの状態より低下するため、鋳型内面に固着したモールドフラックスが剥離、離脱しやすくなり、再度鋳込みを開始する時に溶鋼10や溶鋼のスプラッシュがコーナー部の凹部に差し込むという問題がある。このような溶鋼が凹部に差し込む現象(以下、湯差しという)は、凝固シェルの拘束性ブレークアウトが発生する原因になる。
また、特許文献3に開示されている手法では、鋳型の鋳込み方向全部にわたって冷却水通路を鋳造方向に対して傾斜させているので、鋳型に冷却水通路を設けるための形状設計が複雑になるほか、特許文献3の図5(b)のように、冷却水通路を単純に傾斜させると、実質使用可能な鋳型の幅が大きくせばめられてしまう。一方、冷却水通路の傾斜角を周期的に変化させた場合には、冷却水通路の圧損が大きくなるため、冷却水送出ポンプの性能や冷却水通路の耐圧性能を高める必要があった。
本発明は上記のような問題を解消するべく考案されたものであって、鋳型冷却水通路の特徴的な配置に起因して、鋳型や鋳型冷却水送出設備を過重に改造することなく、凝固の初期段階における鋳片の不均一冷却に起因する表面欠陥や凝固シェルの拘束性ブレークアウトの発生を防止するとともに、鋳片の表面性状の改善に好適な、鋼の連続鋳造用鋳型および連続鋳造方法を提供することを課題とする。
本発明は、鋳型の長辺面及び/又は短辺面の背面に水冷用のスリットが形成された連続鋳造用鋳型において、定常鋳込み状態での溶鋼の湯面位置から上方へ少なくとも0mmおよび前記湯面位置から下方へ50mm以上200mm以下の範囲にわたって、湯面近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型の熱抵抗が、規則的且つ周期的に増減するように、鋳片の鋳造方向に対して5°以上45°以下の角度をなす方向にスリットを互いに行に配置し、前記範囲以外の部分では、鋳片の鋳造方向に対してなす角度が0°である方向にスリットを互いに平行に配置することを特徴とする、鋼の連続鋳造用鋳型により、前記課題を解決したものである。
ここで、前記スリット内を流れる冷却水流速が3m/s以上で、且つ、前記湯面位置での溶鋼に相対する鋳型の表面温度が400℃以下になるようにスリットを配置することができる。
本発明は、又、前記の連続鋳造用鋳型を用いて、タンディッシュ内の溶鋼を前記連続鋳造用鋳型に注入して溶鋼を連続鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法により、同様に前記課題を解決したものである。
ここで、前記溶鋼を、炭素含有量が0.08〜0.17mass%の中炭素鋼とし、該溶鋼を、鋳片厚みが200mm以上のスラブ鋳片として1.5m/min以上の鋳片引き抜き速度で連続鋳造することができる。
本発明によれば、図2に例示する如く、連続鋳造用鋳型20の背面に配置した、鋳造方向に対して5°以上45°以下の角度θ(図4参照)を持った斜めスリット24を、湯面位置を含んで湯面近傍の連続鋳造用鋳型20の幅方向及び鋳造方向に設置したので、湯面近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型20の熱抵抗が、図4に例示する如く、規則的且つ周期的に増減する。これによって、湯面近傍、つまり、凝固初期での凝固シェル30から連続鋳造用鋳型20への熱流束が規則的且つ周期的に増減する。この熱流束の規則的且つ周期的な増減により、δ鉄からγ鉄への変態(以下「δ/γ変態」と記す)による応力や熱応力が低減し、これらの応力によって生じる凝固シェル30の変形が小さくなる。凝固シェル30の変形が小さくなることで、凝固シェル30の変形に起因する不均一な熱流束分布が均一化され、且つ、発生する応力が分散されて個々の歪量が小さくなる。その結果、凝固シェル表面における割れの発生が防止される。また、鋳造方向に対して角度をつけた斜めスリット24は、不均一凝固が発生しやすい鋳造方向の湯面近傍の区間のみに配置したので、鋳型20のスリット加工が容易であり、実質的に使用可能な鋳型幅方向範囲が大きく減少することなく、また冷却水の圧損の増加を抑制でき、鋳型や鋳型冷却水送出設備を過重に改造する必要が無いといった効果を有する。
連続鋳造設備の全体構成を示す断面図 本発明に係る連続鋳造用鋳型の実施形態を示す斜視図 前記鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板の(a)平面図、及び(b)外壁面側から見た概略側面図 鋳型長辺銅板の鋳造方向各位置における熱抵抗をスリット位置に準じて概念的に示す図
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
図2は、本発明に係る連続鋳造用鋳型の斜視図、図3は、その一部を構成する鋳型長辺銅板であって、背面側に斜めスリット24が形成された鋳型長辺銅板22の(a)平面図、及び(b)外壁面側から見た概略側面図である。
図2に示す連続鋳造用鋳型20は、スラブ鋳片を鋳造するための連続鋳造用鋳型の例である。このスラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型20は、一対の鋳型長辺銅板22と一対の鋳型短辺銅板28とを組み合わせて構成される。図3は、そのうちの鋳型長辺銅板22を示している。鋳型短辺銅板28も鋳型長辺銅板22と同様に、その背面側に斜めにスリットが形成されるものとして、ここでは、鋳型短辺銅板28についての説明は省略する。但し、スラブ鋳片においては、その形状に起因して長辺面側の凝固シェル30に応力集中が起こりやすく、長辺面側で表面割れが発生しやすい。従って、スラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型20の鋳型短辺銅板28には、必ずしも斜めスリット構造を設置する必要はない。
図3に示すように、鋳型長辺銅板22における定常鋳造時の鋳型内溶鋼湯面(メニスカス)の位置よりも距離P(距離Pは任意の値)離れた上方の位置から、湯面位置よりも距離Rだけ下方の位置までの鋳型長辺銅板22の背面には、斜めスリット24が設置されている。
この斜めスリット24を形成した鋳型20により鋳造を実施した場合には、図4に示す如く、鋳造方向で、斜めスリット24上を通過する際に冷却が強くなり、通過し終わると冷却が弱くなるといった冷却の不均一を発生させることができる。
複数の斜めスリット24を、湯面位置を含んで湯面近傍の連続鋳造用鋳型20の幅方向及び鋳造方向に設置することにより、図4に示すように、湯面近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型20の熱抵抗が規則的且つ周期的に増減する。これによって、湯面近傍、つまり、凝固初期での凝固シェル30から連続鋳造用鋳型20への熱流束が規則的且つ周期的に増減する。この熱流束の規則的且つ周期的な増減により、δ/γ変態によって発生する応力や熱応力が低減し、これらの応力によって生じる凝固シェル30の変形が小さくなる。凝固シェル30の変形が小さくなることで、凝固シェル30の変形に起因する不均一な熱流束分布が均一化され、且つ、発生する応力が分散されて個々の歪量が小さくなる。その結果、凝固シェル表面における表面割れの発生が防止される。
次に発明者らは斜めスリット24の設置範囲について検討した。前述のように、鋳片40の表面割れは凝固初期のδ/γ変態に起因する応力によって生じるが、凝固シェル厚みが一定以上となると、凝固シェル30は十分な強度を持つために前述の応力が働いても表面割れには至らない。したがって、このことを勘案し発明者らが調査した結果、斜めスリット24の設置範囲の下端は、湯面位置よりも下方に50mm以上200mm以下の位置とすることが必要であることがわかった。上記の設置範囲とすれば、斜めスリット24による熱流束の周期的な変動の効果が十分に確保され、表面割れの発生しやすい高速鋳造時や中炭素鋼の鋳造時においても、鋳片表面割れの防止効果を十分に得ることができる。斜めスリット24の設置範囲が湯面位置よりも下方に50mm未満の場合には、鋳片表面割れの防止効果が不十分になる。
一方、斜めスリット24の上端部の位置は、湯面位置よりも上方である限り、どこの位置であっても構わず、従って、距離Pはゼロを超えた任意の値で構わない。但し、鋳造中に湯面は上下方向に変動するので、斜めスリット24の上端部が常に湯面よりも上方位置となるように、湯面位置よりも10mm程度上方位置まで、望ましくは20mm程度上方位置まで、斜めスリット24を設置することが好ましい。尚、湯面位置は、鋳型長辺銅板22の上端から60〜150mm下方位置とするのが一般的であり、これに応じて斜めスリット24の設置範囲を決めればよい。
上記の設置範囲以外は、鋳造方向に平行な方向にスリット26を設ける。これにより、鋳型の機械加工は、より単純化され、冷却水の圧損増加も軽減される。
スリット内形状については、スリット24、26内を流れる冷却水の流速が3.0m/s以上かつ鋳型表面の稼動面温度が400℃を超えない条件に合致するように設計することが望ましい。スリット24、26内の流速が3.0m/sを下回る場合には、鋳型銅板からの冷却が十分行われない状態となり、凝固不足によるトラブルが発生する危険性がある。また、稼動面温度が400℃を超えないようにする理由としては、鋳型銅板の主材料である銅の熱間強度が低下し、十分に強度が保てない状態になり、鋳型銅板の変形が発生することによるブレークアウト等の操業異常を防止するためである。
また、斜めスリット24の角度θ(図4参照)を5°以上45°以下とするのは、5°未満であると、熱流束が規則的且つ周期的に十分に増減する効果が得られないからであり、また45°よりも大きな角度になると、十分な熱流束の変化は得られるが、鋳型20の下から上に流れるスリットの距離が長すぎるため、冷却水の温度が上昇しすぎて十分な冷却が付与できず、凝固遅れ等のトラブルを誘発する恐れがあるためである。さらに、鋳型長辺銅板22の両端のスリットが配置できない領域が拡大して、鋳造可能な最大スラブ幅が減少するからである。
尚、斜めスリット24は、連続鋳造用鋳型20の鋳型長辺銅板22と鋳型短辺銅板28の双方に設置することを基本とするが、スラブ鋳片のように鋳片短辺長さに対して鋳片長辺長さの比が大きい場合には、鋳片長辺側に表面割れが発生する傾向があり、長片側のみに設置しても、本発明の効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、湯面位置を含んで湯面近傍の連続鋳造用鋳型の幅方向及び鋳造方向に斜めスリットを設置するので、湯面近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型の熱抵抗が規則的且つ周期的に増減する。これによって、湯面近傍、つまり、凝固初期での凝固シェルから連続鋳造用鋳型への熱流束が規則的且つ周期的に増減する。この熱流束の規則的且つ周期的な増減により、δ/γ変態による応力や熱応力が低減し、これらの応力によって生じる凝固シェルの変形が小さくなる。凝固シェルの変形が小さくなることで、凝固シェルの変形に起因する不均一な熱流束分布が均一化され、且つ、発生する応力が分散されて個々の歪量が小さくなる。その結果、凝固シェル表面における割れの発生が防止される。
尚、上記説明はスラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型に関して行ったが、本発明はスラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型に限定されるものではなく、ブルーム鋳片用やビレット鋳片用の連続鋳造用鋳型においても上記に沿って本発明を適用することができる。
中炭素鋼(化学成分、C:0.08〜0.17mass%、Si:0.10〜0.30mass%、Mn:0.50〜1.20mass%、P:0.010〜0.030mass%、S:0.005〜0.015mass%、Al:0.020〜0.040mass%)を、内壁面に種々の条件で斜めスリットが設置された水冷銅板鋳型を用いて鋳造し、鋳造後の鋳片の表面割れを調査する試験を行った。用いた水冷銅板鋳型は、長辺長さが2.1m、短辺長さが0.26mの内面空間サイズを有する鋳型である。
使用した水冷銅板鋳型の上端から下端までの長さ(=鋳型長)は950mmであり、定常鋳造時のメニスカス(鋳型内溶鋼湯面)の位置(図3(b)のQ)を、鋳型上端から100mm下方位置(Q=100mm)に設定した。先ず、鋳型上端より80mm下方位置から鋳型上端より300mm下方位置(図3(b)のQ+R)までの範囲(範囲長さ=220mm)に、斜めスリット構造を施した水冷銅板鋳型(第1の鋳型という)を準備した。更に、スリット範囲を鋳型上端より80mm下方位置から鋳型上端より190mm下方位置までの範囲とした水冷銅板鋳型(第2の鋳型という)、鋳型上端より190mm下方位置から鋳型上端より300mm下方位置までの範囲とした水冷銅板鋳型(第3の鋳型という)も準備した。
また、鋳型上端より80mm下方位置から鋳型上端より750mm下方位置までの範囲(範囲長さ=670mm)に、上記と同様の方法で斜めスリット構造部を形成させた水冷銅板鋳型(第4の鋳型という)も準備した。
鋳型内の湯面位置を鋳型上端から100mm下方位置に設定したので、鋳型上端から300mm下方位置までの範囲に斜めスリットを設置した第1の鋳型では、図3における距離P=20mm、距離R=200mm、距離L=650mmとなり、鋳型上端から750mm下方位置までの範囲に斜めスリット構造部を設置した第4の鋳型では、距離P=20mm、距離R=650mm、距離L=200mmとなる。
鋳型内壁面の全面にNi−Co合金を鍍金して、鋳型上端での厚み0.5mm、鋳型下端での厚み1.0mmの鍍金層を施工した。
また、比較のために、本発明以外の形状にて5°未満もしくは46°以上の角度を持ったスリットを、メニスカス位置を含んでメニスカス近傍の連続鋳造用鋳型の幅方向及び鋳造方向に設置した水冷銅板鋳型も準備した。
連続鋳造操業においては、モールドパウダーとして、塩基度((mass%CaO)/(mass%SiO2))が1.1、結晶化温度が1090℃で、1300℃での粘性率が0.15Pa・sのモールドパウダーを使用した。結晶化温度は、示差熱分析(DTA)において1300℃に保持したモールドパウダー試料を1K/sの冷却速度で冷却した際に結晶化による発熱ピークが開始する温度とした。
定常鋳造時での鋳型内の湯面位置は、鋳型上端から100mm下方位置とし、湯面位置が斜めスリット24の設置範囲内に存在するように制御した。また、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度は1.7〜2.2m/minとし、鋳片の表面割れを調査する鋳片は、全ての試験で、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度が1.8m/minの鋳片を対象とした。タンディッシュ内の溶鋼過熱度は25〜35℃とした。またスリット内流速の効果を確認するため、鋳型の温度管理として熱電対を湯面下50mmの位置に表面から5mmの深さ位置に埋め込み、表面温度を推定した。
連続鋳造が終了した後、鋳片長辺の表面を酸洗してスケールを除去し、表面割れの発生数を測定した。中炭素鋼鋳片の表面割れの発生状況を表1に示す。鋳片表面割れの発生状況は、鋳片の長さを分母とし、表面割れが発生した部位の鋳片の長さを分子として算出した値を用いて評価した。
試験No.1〜6は、斜めスリットの角度が本発明の範囲内であり、好適な範囲内である第1及び第2の鋳型を用いて行ったものである。この試験No.1〜6では、中炭素鋼のように表面割れの発生しやすい鋼についても、鋳片の表面割れを従来に比較して大幅に低減できることが確認できた。
試験No.7〜9は、斜めスリットの設置範囲の下限位置を本発明の範囲よりも下方に延伸した第4の鋳型を用いて行ったものである。その結果、表面割れ比率は本発明と同等となる効果が得られたが、鋳型冷却水の圧損の増加量が大きく、また鋳型を製作するための機械加工工数も増加し、経済的に連続鋳造を行うことができなかった。
試験No.10〜12は、本発明より斜めスリットの位置が下方にずれた第3の鋳型を用いて行ったものであり、それ以外の条件については好適な範囲内である。しかしながら、いずれの水準でも鋳片に微細な表面割れが発生し、従来に比較して低減効果は確認することができなかった。
試験No.13、14は、第1の鋳型を用いたが、スリット内流速が好適な範囲の下限、あるいは下限を下回るものであった。その他の条件については好適な範囲内である。いずれも、鋳造途中で鋳型の表面温度が上昇して途中でブレークアウトの懸念があったため鋳造を中止した。なお、鋳造後の鋳片表面割れは大幅に改善されていた。
試験No.15、16は、第1の鋳型を用いたが、斜めスリットの角度が本発明の好適な範囲を外れる。但し、その他の条件は本発明の範囲内及び本発明の好適な範囲内であった。試験No.15は微細な表面割れが発生し、従来に比較して大幅に表面割れを低減する効果は確認できなかった。試験No.16に関しては鋳造途中で鋳型の表面温度が上昇して途中でブレークアウトの懸念があったため鋳造を中止した。なお、鋳造後の鋳片表面割れは大幅に改善されていた。
10…溶鋼
12…タンディッシュ
20…連続鋳造用鋳型
22…鋳型長辺銅板
24…斜めスリット
26…スリット
28…鋳型短辺銅板
30…凝固シェル
32…ピンチロール
34…スプレー
40…鋳片

Claims (4)

  1. 鋳型の背面に水冷用のスリットが形成された連続鋳造用鋳型において、
    定常鋳込み状態での溶鋼の湯面位置から上方へ少なくとも0mmおよび前記湯面位置から下方へ50mm以上200mm以下の範囲にわたって、湯面近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型の熱抵抗が、規則的且つ周期的に増減するように、鋳片の鋳造方向に対して5°以上45°以下の角度をなす方向にスリットが互いに行に配置され、
    前記範囲以外の部分では、鋳片の鋳造方向に対してなす角度が0°である方向にスリットが互いに平行に配置されていることを特徴とする、鋼の連続鋳造用鋳型。
  2. 前記スリット内を流れる冷却水流速が3m/s以上で、且つ、前記湯面位置での溶鋼に相対する鋳型の表面温度が400℃以下になるようにスリットが配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造用鋳型。
  3. 請求項1又は2に記載の連続鋳造用鋳型を用いて、タンディッシュ内の溶鋼を前記連続鋳造用鋳型に注入して溶鋼を連続鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  4. 前記溶鋼は、炭素含有量が0.08〜0.17mass%の中炭素鋼であり、該溶鋼を、鋳片厚みが200mm以上のスラブ鋳片として1.5m/min以上の鋳片引き抜き速度で連続鋳造することを特徴とする、請求項3に記載の鋼の連続鋳造方法。
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