JP2024035081A - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024035081000001
【課題】 鋳片を製造する際の冷却むらを改善することが可能な連続鋳造用鋳型を提供する。
【解決手段】 連続鋳造用鋳型は、壁部によって囲まれかつ、一端及び他端が開口した収容部を有する。前記壁部は、前記一端から他端に亘って表面から窪んで形成されかつ、前記収容部の周方向に配列された複数の凹部と、前記表面と前記表面の裏側の裏面との間に
、前記収容部を囲むように配列された複数の間隙部と、を有する。本発明によれば、鋳片の表面欠陥の発生を抑制することができる。これにより、鋳片の表面性状を改善することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶鋼から鋳片を鋳造するための連続鋳造用鋳型に関する。
鋳片は、一般に連続鋳造によって製造される。連続鋳造では、鋳型内に注入された溶鋼が冷却され、その際に生成された凝固シェルが下方に引き抜かれる、いわゆる定常鋳込みが行われる。
凝固シェルは、溶鋼を冷却する際に温度ムラがあると、その厚さが不均一に形成される。凝固シェルの厚さが不均一の状態で定常鋳込みが行われると、鋳片の表面の平滑さが損なわれる問題がある。
ところで、鋳型は稼動時において鋳造方向に振動している。この振動によって凝固シェルの上端は溶鋼側に曲げられる。曲げられた凝固シェルと鋳型内壁面との空隙に溶鋼が流れると、凝固シェルに溶鋼側に張り出した部分(以下、「つめ」という)が形成される。
凝固シェルの表面の平滑さが損なわれると、つめが形成されやすくなる。つめは、鋳型のメニスカスにおいて浮上した介在物や気泡を捕捉する恐れがある。つめに介在物や気泡が補足されると、熱間圧延や、冷間圧延が行われた後に傷や膨れ等の表面欠陥が生じやすくなる問題がある。
また、凝固シェルの厚さが不均一に成長すると、その収縮によって生じる応力が局所的に作用する応力集中が生じやすくなる。このような凝固シェルの応力集中は、その表面に微小な縦割れが生じる要因となる。凝固シェルの縦割れは、凝固した後も残存するため鋳片の表面にも縦割れが生じる。
したがって、鋳片は、縦割れや表面欠陥の除去処理である、いわゆる手入れ処理が行われた後に、たとえば圧延工程等の後工程が行われる。このような鋳片の縦割れや傷、膨れ等の表面欠陥の発生は、鋳造速度の増加に伴って増加する傾向がある。近年では、製造効率の観点から鋳造速度の増加が著しく、表面欠陥の発生頻度が従来よりも高くなり、手入れ処理の頻度も増加している。
このような表面欠陥は、凝固シェルの厚さが不均一に成長することに起因している。したがって、従来では、凝固シェルの厚さが不均一に成長することを抑制するために、定常鋳込みの初期段階において、緩やかに溶鋼を冷却することが行われている。
例えば、鋳型の内面に溝等の凹部を設けることにより断熱性を付与することが行われている。具体的には、非特許文献1には、鋳片の表面性状を改善するために、鋳型内面に凹凸を付与することが記載されている。特許文献1には、直径又は幅が3~80mmかつ深さが0.1~1.0mmの凹部を鋳型内面に設けることが記載されている。特許文献2には、幅が0.2~2.0mmかつ深さが6.0mm以下の溝を鋳型内面に設けることが記載されている。
また、凝固シェルの厚さが不均一に成長することを抑制するために、鋳型の幅方向における溶鋼の冷却むらを緩和することが行われている。例えば、特許文献3では、鋳型断面全周の少なくとも50%以上の部分で、鋳造方向に対して傾斜させた冷却液流路を有する連続鋳造鋳型用冷却板が開示されている。
特開平9-94634号公報 特開平10-193041号公報 特開2007-237279号公報
P. Perminov et al: Steel in English (1968), No.7,p.560~ 562
ところで、連続鋳造鋳型は、長辺と短辺とが組まれた組鋳型である。断熱性を付与するために鋳型の内面に溝等の凹部を設けると、長辺と短辺とが交わるコーナー部にも凹部が位置する場合がある。コーナー部に凹部があると定常鋳込みが開始された際に、溶鋼のスプラッシュが当該コーナー部の凹部に入り込む、いわゆる湯差しが生じる問題がある。湯差しは、凝固シェルの拘束性ブレークアウトが発生する要因となる。
特に、浸漬ノズルを交換する際又は、タンディッシュの交換作業が行われる場合、定常鋳込みがなされている場合よりも、鋳型に供給される溶鋼の量が減少する。このため、鋳型の溶鋼の湯面の位置は、定常鋳込みがなされている場合よりも低くなる。
湯面の位置が低くなると、鋳型の内面に固着したモールドフラックスが剥離しやすくなる。したがって、定常鋳込みを再開する際に溶鋼や溶鋼のスプラッシュが、当該コーナー部の凹部に入り込む湯差しが生じやすくなるという問題がある。このため、鋳型の内面に溝等の凹部を設けることが難しく、表面欠陥の抑制を十分に図ることが困難である。
また、特許文献3に開示されている方法を用いたとしても、表面欠陥の抑制は十分とは言えず、さらなる溶鋼の冷却むらの改善が望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、鋳片の表面欠陥の発生を抑制することが可能な連続鋳造用鋳型を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の特徴を有する。
[1]
壁部によって囲まれかつ、一端及び他端が開口した収容部を有する連続鋳造用鋳型において、
前記壁部は、前記一端から他端に亘って表面から窪んで形成されかつ、前記収容部の周方向に配列された複数の凹部と、前記表面と前記表面の裏側の裏面との間に、前記収容部を囲むように配列された複数の間隙部と、を有する、連続鋳造用鋳型。
[2]
前記複数の間隙部の各々は、メニスカスから前記メニスカスの上方の50mm以上の第1の領域及び、前記メニスカスから前記メニスカスの下方の50mm以上の第2の領域に亘って形成されている、[1]に記載の連続鋳造用鋳型。
[3]
前記収容部の鋳造方向において、1の前記凹部が設けられている凹部領域と、前記凹部領域に隣接する1の前記間隙部が設けられている間隙領域と、の温度差が5℃以上である、[1]又は[2]に記載の連続鋳造用鋳型。
[4]
前記複数の間隙部の各々は、円筒状に形成され、
前記複数の間隙部の各々の直径は、5mm以下に形成されている、[1]~[3]のいずれかに記載の連続鋳造用鋳型。
[5]
前記間隙部の各々は、前記壁部とは熱伝導率が異なる異種物質が充填されている、[1]~[4]のいずれかに記載の連続鋳造用鋳型。
[6]
互いに隣接する前記凹部の間に、1の前記間隙部が形成されている、[1]~[5]のいずれかに記載の連続鋳造用鋳型。
本発明によれば、鋳片の表面欠陥の発生を抑制することができる。これにより、鋳片の表面性状を改善することが可能となる。
実施形態に係る連続鋳造用鋳型の斜視図である。 図1の鋳型の壁部の平面図である。 図2の鋳型の壁部の幅方向の温度変化を説明する説明図である。 他の実施形態における鋳型の壁部の平面図である。 図4の鋳型の壁部の幅方向の温度変化を説明する説明図である。
本発明の一実施形態として、モールド銅板が連続鋳造用鋳型(以下、鋳型とも称する) に用いられる例について説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、鋳型100は、中空の筒状に形成されている。鋳型100は、互いに対向して配置された一対のモールド銅板(以下、長辺とも称する)11及び、当該モールド銅板11に挟持され、かつ互いに対向して配置された一対のモールド銅板(以下、短辺とも称する)12を有する。
一対のモールド銅板11及び、一対のモールド銅板12は、矩形の板状に形成されている。一対のモールド銅板11は、図1において正面及び背面に配されている。一対のモールド銅板12は、図1において右側面及び左側面に配されている。
したがって、鋳型100は、一対のモールド銅板11及び一対のモールド銅板12によって構成される壁部13を有する。鋳型100は、一対のモールド銅板11及び一対のモールド銅板12、すなわち、壁部13によって囲まれた収容部14を有する。収容部14は、一端及び、他端が開口した筒状に形成されている。
ここで、本実施形態においては、収容部14とは反対側の面に配されているモールド銅板11、12の面を表面11a、12aとする。また、収容部14側に配されているモールド銅板11、12の面、すなわち表面11a、12aの裏側の面を裏面(以下、稼働面とも称する)11b、12bとする。
鋳型100の上方には、溶鋼20を収容するタンディッシュ(図示せず)が配置される。タンディッシュの底部には、鋳型100に向かって延びる浸漬ノズル30が設置されている。鋳型100の収容部14には、浸漬ノズル30が挿入されている。
尚、図1において示されている方向Aは、鋳造方向である。また、方向Bは、収容部1 4の周方向である。本実施形態においては、収容部14の周方向は、鋳型100の幅方向Bとも称する。図1においては、鋳造方向A及び、幅方向Bが互いに直交している。
モールド銅板11及びモールド銅板12には、その表面に複数の凹部15が形成されている。複数の凹部15の各々は、壁部の一端から他端に亘って表面から窪んで形成されている。また、複数の凹部15の各々は、収容部14の周方向に所定の間隔を有して配列されている。
モールド銅板11及びモールド銅板12には、表面11a,12aを覆うようにバックプレート(図示せず)が取り付けられる。このように、複数の凹部の各々をバックプレートで覆うことにより、複数の凹部の各々に通水させることが可能となる。すなわち、複数の凹部の各々は、通水させることが可能な冷却水路である。鋳型100は、当該冷却水路に冷却水を通水させることにより冷却される。
壁部13の上面には、収容部14の周方向に所定の間隔を有して配列された複数の間隙部16が形成されている。複数の間隙部16の各々は、上面から下面に向かって穿設されている。言い換えれば、複数の間隙部16の各々は、上面及び下面の間に形成されている。複数の間隙部の各々16は、表面11a,12a及び、裏面11b、12bの間に形成されている。
間隙部16の各々は、鋳造方向Aに対して0~90°の傾きを有して形成されていることが好ましい。本実施形態においては、複数の間隙部16の各々は、鋳造方向Aに沿って設けられている。具体的には、複数の間隙部16の各々は、鋳造方向Aに対する角度が0°に形成されている。
尚、本実施形態においては、複数の間隙部16は、収容部14の周方向に亘って形成されている。言い換えれば、複数の間隙部16は、モールド銅板11、12の両方に形成されかつ、収容部14を囲むように配置されている。
複数の間隙部16が設けられている態様は、このような態様に限られない。例えば、スラブ鋳片のように鋳片の短辺長さに対して鋳片の長辺長さの比が大きい場合、鋳片の長辺側に表面割れが多く発生する傾向がある。このような場合には、鋳型100の幅方向Bの長さがモールド銅板12よりも長く形成されているモールド銅板11に複数の間隙部16を設けるようにしてもよい。
複数の間隙部16の各々は、壁部13の部材であるモールド銅板11又は、モールド銅板12によって画定されている。言い換えれば、複数の間隙部16の各々は、壁部13の内部に形成されている。すなわち、複数の間隙部16の各々は、壁部13に表出しない位置に形成されている。
間隙部16の各々は、例えば、モールド銅板11、12に放電加工を施すことによって形成することができる。間隙部16の各々は、このような加工方法に限定されず、例えば、レーザ光をモールド銅板11、12に照射するレーザ加工等の公知の加工方法を用いて加工することができる。
間隙部16の各々は、例えば、円筒状に形成されている。間隙部16の各々が円筒状に形成されている場合、その直径は、5mm以下に形成されていることが好ましい。間隙部16の直径は、1~5mmであることよりが好ましく、2~5mmであることがさらに好ましい。
間隙部16の各々の直径は、一様に形成してもよいし、一部の間隙部16の直径を他の間隙部16の直径と異なるようにしてもよい。例えば、モールド銅板11,12には、バックプレートを取り付けるための取付孔(図示せず)が設けられている。当該取付孔の近傍では、間隙部16の直径は、他の間隙部16の直径と異なるようにして配置してもよい。また、収容部14の周方向の熱の分布状態に応じて、一部の間隙部16の直径を他の間隙部16の直径と異なるようにしてもよい。
尚、間隙部16の各々の直径が大きくなるにつれて、稼働面の温度が上昇する傾向がある。特に間隙部16の直径が5mmを超えると、稼働面の温度が400℃を超える場合がある。稼働面の温度が400℃を超えると、モールド銅板11,12の冷却が十分行われなくなり、凝固不足となる恐れがある。
また、稼働面の温度が400℃を超えると、銅板の主材料である銅の熱間強度が低下し、十分な強度が保てない状態となる恐れがある。このような状態が継続すると、銅板が変形しブレークアウト等が発生する恐れがある。したがって、定常鋳込みが行われる際の稼働面の温度は、400℃を超えないようにするとよい。
鋳型100の収容部14に溶鋼20が注入されると、その湯面が現れる。図1において、壁部13の鋳造方向の湯面の位置であるメニスカスMは、一点鎖線で示されている。
図2は、モールド銅板11の表面を示している。図2に示すように、複数の間隙部16の各々は、メニスカスMから上方の領域である第1の領域Q及び、メニスカスMから下方の領域である第2の領域Rにおいて設けられていることが好ましい。
第1の領域Qは、メニスカスMから上方の50mm以上の領域であることが好ましい。また、第1の領域Qは、間隙部16を形成する観点から上端部からメニスカスMまでを含む領域であることがさらに好ましい。第1の領域Qは、収容部14の周方向(図2においては、壁部13の幅方向B)に亘って設けられていることが好ましい。言い換えれば、第1の領域Qは、鋳型100の鋳造方向A及び、収容部14の周方向(幅方向B)に亘って設けられていることが好ましい。
第2の領域Rは、メニスカスMから下方の50mm以上を含む領域であることが好ましく、メニスカスMから下方の200mmまでの領域を含むことがさらに好ましい。第2の領域Rが、メニスカスMから下方の50mm以上を含む領域に設けられていることにより、表面欠陥の発生を抑制する効果を高めることができる。特に、第2の領域RをメニスカスMから下方の200mmまでの領域とすることによって、容易に間隙部16を形成することができ、加工コストの低減を図ることができる。
第2の領域Rは、収容部14の周方向(図2においては、壁部13の幅方向B)に亘って設けられていることが好ましい。言い換えれば、第2の領域Rは、鋳型100の鋳造方向A及び、収容部14の周方向(幅方向B)に亘って設けられていることが好ましい。
図3は、鋳型長辺の幅方向の温度変化を模式的に表すグラフである。図3において収容部14の周方向は、幅方向Bに相当する。1の間隙部16は、幅方向Bにおいて、互いに隣接する2つの凹部15の間に設けられている。すなわち、幅方向Bにおいて、凹部15及び、間隙部16は交互に設けられている。
図3において、1の間隙部17の鋳造方向Aの下端側の領域を間隙領域16Aとする。また、間隙領域16Aの周方向Bに隣接する領域であって、凹部15が設けられている領域を凹部領域15Aとする。
図3のグラフに示すように、凹部15が設けられている凹部領域15Aでは、温度が低くなっている。これに対して、間隙部16が設けられている間隙領域16Aでは、凹部領域15Aよりも温度が高くなっている。
図3に示されているグラフにおいては、凹部領域15Aでは、温度が極小値となっている。また、間隙領域16Aでは、温度が極大値となっている。
収容部14の周方向Bにおいて、1の凹部領域15Aと、当該凹部領域15Aに隣接する1の間隙領域16Aと、の温度差が5℃以上であることが好ましく、7~20℃であることがより好ましく、10~18℃であることがさらに好ましい。言い換えれば、図3において示されているグラフにおいて、その極大値と極小値との差が5℃以上となることが好ましい。尚、温度の極大値と温度の極小値との差は、熱振幅とも称される。
1の凹部領域15Aと、当該凹部領域15Aに隣接する1の間隙領域16Aと、の温度差が5℃以上であることにより、凝固シェルの冷却むらを効果的に抑制することができる。
このように、複数の間隙部16がメニスカスMの位置を含む領域に設けられることにより、鋳型100の幅方向Bにおける連続鋳造用鋳型の温度が規則的且つ周期的に増減する。
これによって、メニスカスMの近傍、つまり、溶鋼が凝固する初期の段階での凝固シェルから連続鋳造用鋳型への熱流束が規則的且つ周期的に増減する。
このように熱流束を規則的かつ、周期的に増減させることにより、δ鉄からγ鉄への変態(以下「δ/γ変態」)によって生じる応力や熱応力を低減させることができる。その結果、これらの応力によって生じる凝固シェルの変形を小さくさせることができる。
凝固シェルの変形の度合いが小さくなると、熱流束分布のばらつきが低減しかつ、発生する応力が分散されて個々の歪量が小さくなる。その結果、凝固シェルの表面における割れ等の表面欠陥の発生を抑制することができる。
尚、複数の間隙部16の各々には、モールド銅板11,12とは熱伝導率の異なる異種物質が充填されていてもよい。異種物質は、壁部13であるモールド銅板11,12との熱伝導率の差が20%以上あることが好ましい。
このような異種物質としては、銅よりも熱伝導が低い金属が挙げられ、例えば、Ni(熱伝導率:約90W/(m・K))及びNi合金(熱伝導率:約40~90W/(m・K))が挙げられる。
複数の間隙部16の各々が異種物質によって充填されることにより、上述の凝固シェルの表面における割れ等の表面欠陥の発生を抑制する効果をより高めることができる。
以上の鋳型100を用いてスラブを鋳造する工程について説明する。まず、鋳型100に浸漬ノズル30を通じて溶鋼20が注入されかつ、モールドフラックスが添加される。鋳型100において冷却された溶鋼20は、鋳型100の内壁面に接した箇所から抜熱されて凝固し、いわゆる凝固シェルが形成される。
凝固シェルは、鋳型下流側に設置された水スプレーや気水スプレーによって冷却され、内部の未凝固層とともに鉛直方向の下方である鋳造方向Aに連続的に引き抜かれる。凝固シェルは、水スプレーや気水スプレーによって冷却されると、中心部まで凝固する。凝固シェルは、その後ガス切断機などによって切断されて、所定長さの鋳片が製造される。
尚、鋳型100は、スラブの鋳片を鋳造するために用いられることが好適である。本発明の鋳型100は、当該用途に限定されるものではなく、例えば、ブルームの鋳片、ビレットの鋳片を鋳造するため用いることができる。
以上説明したように、本発明の連続鋳造用鋳型100によれば、複数の間隙部16を有することにより、鋳型100の幅方向Bにおける連続鋳造用鋳型の温度が規則的かつ、周期的に増減させることができる。
これによって、凝固初期での凝固シェルから連続鋳造用鋳型への熱流束が規則的かつ、周期的に増減させることができる。この熱流束の規則的かつ、周期的な増減により、δ/γ変態による応力や熱応力を低減させることができ、これらの応力によって生じる凝固シェルの変形を小さくすることができる。
凝固シェルの変形が小さくすることで、凝固シェルの変形に起因する不均一な熱流束分布を一様にすることができ且つ、応力が分散されて個々の歪量を小さくすることができる。その結果、凝固シェル表面における割れの発生等の表面欠陥の発生を抑制することができる。
(第2実施形態)
上述の実施形態においては、間隙部16は、鋳造方向Aに沿って設けられている例を説明した。間隙部16は、このような態様に限られず、鋳造方向Aに対して傾斜して設けられているようにしてもよい。尚、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図4は、本実施形態における鋳型の壁部の正面を示している。図4に示されているように、各々の間隙部17は、鋳造方向Aに対して傾斜して設けられている。間隙部17の鋳造方向Aに対する角度(以下、傾斜角度ともいう)は特には限定されないが、0~90°の間で設定されるとよい。
また、すべての間隙部17の傾斜角度が一様に設定されてもよいし、全部又は、一部の間隙部17の傾斜角度が異なるように設定されてもよい。本実施形態においては、各々の間隙部17の傾斜角度は45°に設定されている。
尚、複数の間隙部17の各々が鋳造方向に対して90°の傾きを有する場合、次のようにして間隙部17を形成するとよい。例えば、壁部13の側面間を貫通するように1の間隙部17を設ける。次いで、各々の間隙部17を鋳造方向に沿って配列するように設けるとよい。
図5は、鋳型長辺の幅方向の温度変化を模式的に表すグラフである。図5において収容部14の周方向は、幅方向Bに相当する。1の間隙部17は、幅方向Bにおいて、複数の凹部15と交差するように設けられている。
図5において、1の間隙部17の鋳造方向Aの下端側の領域を間隙領域17Aとする。また、間隙領域17Aの周方向Bに隣接する領域であって、凹部15が設けられている領域を凹部領域15Aとする。
図5において示されているように、幅方向Bにおいて、凹部15が設けられている凹部領域15Aと、間隙部17が設けられている間隙領域17Aと、が交互に現れるように配置されている。
図5に示すように、凹部15が設けられている凹部領域15Aでは、温度が低くなっている。これに対して、間隙部17が設けられている間隙領域17Aでは、凹部領域15Aよりも温度が高くなっている。
図5に示されているグラフにおいては、凹部領域15Aでは、温度が最も低く示されている。また、間隙領域17Aでは、温度が最も高く示されている。
収容部14の前記周方向において、凹部領域15Aから間隙領域17Aに遷移する際に、温度の差が5℃以上であることが好ましい。すなわち、図5において示されているグラフにおいて、その極大値と極小値との温度の差が5℃以上となることが好ましい。
図5において、間隙領域17Aの鋳造方向Aに隣接する領域であって、凹部15が設けられている領域を凹部領域15Aとする。1の凹部15は、鋳造方向Aにおいて、複数の間隙部17と交差するように設けられている。言い換えれば、鋳造方向Aにおいて、凹部領域15Aと、間隙領域17Aとは、交互に現れるように各々が配置されている。
したがって、図5に示すように、幅方向Bの場合と同様に、凹部領域15Aでは、温度が低くなっている。これに対して、間隙領域17Aでは、凹部領域15Aよりも温度が高くなっている。また、凹部領域15Aでは、温度が最も低く示されている。また、間隙領域17Aでは、温度が最も高く示されている。
鋳造方向Aにおいて、凹部領域15Aと、間隙領域17Aとの温度差が5℃以上であることが好ましい。すなわち、図5において示されているグラフにおいて、その極大値と極小値との差が5℃以上となることが好ましい。尚、温度の極大値と温度の極小値との差は、熱振幅とも称される。
以上のように、本実施形態の鋳型100によれば、幅方向Bのみならず、鋳造方向Aにも連続鋳造用鋳型の温度が規則的かつ、周期的に増減させることができる。その結果、凝固シェル表面における割れ等の表面欠陥の発生を抑制する効果をより高めることができる。
以下、本発明の発明例について、従来例と対比しつつ説明する。
(試験:表面欠陥試験)
連続鋳造用鋳型として水冷銅鋳型を用いて鋳片を鋳造した。鋳片の表面欠陥を表面割れ比率を測定することにより評価した。
発明例として、間隙部の形状が互いに異なる試験No.1~12の水冷銅鋳型を用意した。また、従来例として、間隙部を有しない試験No.13の水冷銅鋳型を用意した。各々の水冷銅鋳型は、収容部の内寸が長辺の長さ2.1m、短辺の長さ0.26mのサイズを有するものを用いた。
各々の水冷銅鋳型の上端から下端までの長さ(鋳型長)は、950mmとした。また、定常鋳造が行われている際のメニスカスの位置(溶鋼の湯面の位置)は、鋳型の上端から100mm下方の位置とした。
各々の水冷銅鋳型は、その壁部にNi-Co合金を鍍金処理が施されたものを用いた。当該鍍金処理によって形成された鍍金層の厚さは、上端で0.5mm、下端で1.0mmであった。
(間隙部の下端位置)
試験No.1,2,5の間隙部の下端の位置は、鋳型上端より300mm下方(範囲長さ=220mm)とした。言い換えれば、試験No.1,2,5の間隙部の下端の位置は、メニスカスより200mm下方とした。
試験No.1,2,5の鋳型では、図2における距離(Q)が20mmである。また、距離(R)が200mmである。
試験No.3~4,6~8,10~11の間隙部の下端の位置は、鋳型上端より190mm下方とした。言い換えれば、試験No.3~4,6~8,10~11の間隙部の下端の位置は、メニスカスより90mm下方とした。
試験No.3~4,6~8,10~11の鋳型では、図2における距離(Q)が20mmである。また、距離(R)が90mmである。
試験No.9の間隙部の下端の位置は、鋳型上端より750mm下方(範囲長さ=670mm)とした。言い換えれば、試験No.9の間隙部の下端の位置は、メニスカスより650mm下方とした。
試験No.9の鋳型では、距離(Q)が20mmである。距離(R)が650mmである。以上のように、試験No.1~11については、間隙部が設置されている領域内にメニスカスが位置する。
試験No.12の間隙部の下端の位置は、鋳型上端より100mm下方とした。言い換えれば、試験No.12の間隙部の下端の位置は、メニスカスと同じ位置である。
試験No.12では、距離(Q)が20mmである。距離(R)が0mmである。
(鋳造方向に対する間隙部の角度)
試験No.1~12の鋳造方向に対する間隙部の角度を0°~90°に設定した。具体的には、試験No.1,3の角度を10°とした。試験No.2,4,8~12の角度を45°とした。試験No.5,6の角度を90°とした。試験No.7の角度を0°とした。
(異種物質)試験No.8については、間隙部に異種物質を充填した。異種物質には、Niを用いた。
Figure 2024035081000002
試験には、中炭素鋼を溶鋼として用いた。用いた中炭素鋼の化学成分は、C:0.08~0.17mass%、Si:0.10~0.30mass%、Mn:0.50~1.2 0mass%、P:0.010~0.030mass%、S:0.005~0.015m ass%、Al:0.020~0.040mass%であった。尚、タンディッシュ内の溶鋼過熱度は25~35℃とした。
連続鋳造操業においては、モールドパウダーを使用した。モールドパウダーは、塩基度((mass%CaO)/(mass%SiO))が1.1であり、結晶化温度が1300℃での粘性率が0.15Pa・sのものを用いた。ここで、結晶化温度は粘度が急激な増加を示す温度とした。また、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度は1.8m/minとした。
モールド銅板の凹部領域及び、間隙領域の温度を測定するために、メニスカス下50mmでありかつ、表面から5mmの深さの位置に熱電対を埋め込んだ。これらの熱電対の温度に基づいて凹部領域の温度及び、間隙領域の温度を決定し、幅方向における温度差及び、鋳造方向における温度差を求めた。
(表面欠陥の評価)
表面欠陥を表面割れ比率で評価した。具体的には、鋳片の長辺の表面を酸洗しスケールを除去し、表面割れの発生数を測定した。鋳片の表面割れ比率は、鋳片の長さを分母とし、表面割れが発生した部位の鋳片の長さを分子として算出した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、試験No.1~12では、間隙部を設けていない試験No.13よりも良好な表面割れ比率(%)が得られることがわかった。特に、試験No.1~11では、中炭素鋼のように表面割れが発生しやすい鋼についても、鋳片の表面割れを従来に比較して大幅に低減できることが確認できた。
試験No.5,6,7については、幅方向における凹部領域及び、間隙領域の温度差及び、鋳造方向(長手方向)における凹部領域及び、間隙領域の温度差のうち少なくとも一方が5℃であった。このような条件では、当該温度差の両方が10℃以上である試験No.1~4よりもわずかに表面割れ比率が上昇したが、良好な結果が得られた。
また間隙部にNiが充填された試験No.8については、間隙部にNiが充填されていない試験No.4よりもわずかに表面割れ比率が上昇したが、良好な結果が得られた。
試験No.9は、試験No.5~8と同等の表面割れ比率であり、良好な結果が得られた。尚、試験No.9は、間隙部が上端より750mmまで形成されている。このため、試験No.1~8よりも施工時間を要し、その施工時間に応じたコストがかかる恐れがある。
試験No.10,11は、試験No.5~8と同等の表面割れ比率であり、良好な結果が得られた。一方で、稼働面の最高温度が400℃を超えているため、当該最高温度を下げるような処置が施されるとよい。
試験No.12は、従来例である試験No.13よりも良好な結果が得られた。試験No.12は、間隙部がメニスカスよりも上方に位置する。このため、メニスカスでの温度差を付与することができない。その結果、表面割れ比率は、試験No.1~11よりも劣る結果となった。
100 鋳型
11,12 モールド銅板
13 壁部
14 収容部
15 凹部
15A 凹部領域
16 間隙部
16A 間隙領域
17 間隙部
17A 間隙領域
20 溶鋼
A 鋳造方向
B 収容部の周方向
M メニスカス
Q 第1の領域
R 第2の領域

Claims (6)

  1. 壁部によって囲まれかつ、一端及び他端が開口した収容部を有する連続鋳造用鋳型において、
    前記壁部は、前記一端から他端に亘って表面から窪んで形成されかつ、前記収容部の周方向に配列された複数の凹部と、前記表面と前記表面の裏側の裏面との間に、前記収容部を囲むように配列された複数の間隙部と、を有する、連続鋳造用鋳型。
  2. 前記複数の間隙部の各々は、メニスカスから前記メニスカスの上方の50mm以上の第1の領域及び、前記メニスカスから前記メニスカスの下方の50mm以上の第2の領域に亘って形成されている、請求項1に記載の連続鋳造用鋳型。
  3. 前記収容部の鋳造方向において、1の前記凹部が設けられている凹部領域と、前記凹部領域に隣接する1の前記間隙部が設けられている間隙領域と、の温度差が5℃以上である、請求項1又は2に記載の連続鋳造用鋳型。
  4. 前記複数の間隙部の各々は、円筒状に形成され、
    前記複数の間隙部の各々の直径は、5mm以下に形成されている、請求項1又は2に記載の連続鋳造用鋳型。
  5. 前記間隙部の各々は、前記壁部とは熱伝導率が異なる異種物質が充填されている、請求項1又は2に記載の連続鋳造用鋳型。
  6. 互いに隣接する前記凹部の間に、1の前記間隙部が形成されている、請求項1又は2に記載の連続鋳造用鋳型。
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