JP5402678B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、高炉などで得られた溶鋼などの鋼を連続鋳造する方法に関する。
高炉で得られた溶鋼は、通常、二次精錬された後、取鍋に入れられて連続鋳造機の最上部へ運ばれ、連続鋳造機の最上部に設置されたタンディッシュに注入される。このタンディッシュは溶鋼中の介在物を除去するものであって、タンディッシュで介在物が除去された溶鋼は連続鋳造機の鋳型に注入され、ここで一次冷却された後、スラブと称される鋳片となって鋳型の真下に配置された複数のピンチロールにより鋳型から引き出される。そして、鋳型から引き出された鋳片は、鋳片の下面側をガイドする複数の下側ガイドロールと鋳片の上面側をガイドする複数の上側ガイドロールとの間を通過して次工程へ搬送される。このとき、鋳片の両面には下側ガイドロールと上側ガイドロールの各ロール間に設けられた複数のスプレイノズルから二次冷却水が噴射され、この二次冷却水によって鋳片の未凝固溶鋼が冷却される。
このような連続鋳造機を用いて溶鋼を連続鋳造する場合、リン(P)、硫黄(S)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、窒素(N)などの溶鋼成分を多く含むものについては、鋳片の凝固シェルに限界値以上の応力が高温で負荷されると、鋳片の凝固シェルと未凝固シェルとの界面に内部割れが発生したり、鋳片の表面に表面割れが発生したりすることが知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
鋳片に内部割れが発生するのを抑制する方法としては、炭素(C)、リン(P)、硫黄(S)などの脆化域拡大元素を極力少なくして溶鋼を連続鋳造する方法、溶鋼の鋳造速度を低くして凝固シェルの強度を強める方法、スプレイノズルから鋳片に噴射される二次冷却水の水量を増やして凝固シェルの強度を強める方法などが知られている。
鋳片に内部割れが発生するのを抑制する方法としては、炭素(C)、リン(P)、硫黄(S)などの脆化域拡大元素を極力少なくして溶鋼を連続鋳造する方法、溶鋼の鋳造速度を低くして凝固シェルの強度を強める方法、スプレイノズルから鋳片に噴射される二次冷却水の水量を増やして凝固シェルの強度を強める方法などが知られている。
また、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、窒素(N)などの粒界脆化元素の含有量が高いものについては、鋳型から引き出された鋳片に曲げ歪または矯正歪が付与される位置で脆化温度域(700〜800℃)を回避するようなパターンに鋳片の二次冷却パターンを最適化して表面割れの発生を抑制する方法が知られ、さらに、亜包晶C濃度を回避したC量やTi、Caなどの元素を添加することによって高温延性を改善して表面割れの発生を抑制する方法なども知られている。
しかし、鋳片の生産性を高めるために1.8m/minを超える鋳造速度で溶鋼を連続鋳造すると、鋳片の表面温度が従来以上に高温となり、鋳片の幅方向(短辺方向)と鋳造方向(長辺方向)に生じた温度差によって表面割れや内部割れが鋳片に発生しやすくなる。
鋳片表面の高温化が進み、鋳片を幅方向と鋳造方向に均一に冷却することができないようになると温度差に起因する熱応力が鋳片に生じ、鋳片に生じた熱応力にも助長されて割れがより発生しやすくなる。
鋳片表面の高温化が進み、鋳片を幅方向と鋳造方向に均一に冷却することができないようになると温度差に起因する熱応力が鋳片に生じ、鋳片に生じた熱応力にも助長されて割れがより発生しやすくなる。
このような熱応力に起因する割れの発生は鋳片表面だけでなく鋳片表面から10mm程度までの深さに表皮下割れとして現れ、熱応力に起因する割れの発生を鋳造段階で見つけることは難しい。このため、熱応力に起因する割れ欠陥が次工程の熱延プロセスなどで顕在化し、顕在化した割れ欠陥を除去する場合、グラインダー手入などの方法では除去しきれないため、操業上や品質上の問題が生じる。
鋳型から出た鋳片が不均一に冷却される原因を二つに大別すると、スプレイノズルに起因するものとロール垂水、ロール冷却などのスプレイノズル以外の要因に起因するものとに分類される。
スプレイノズルに起因する不均一冷却については、二次冷却水の水量密度や鋳片表面に衝突する二次冷却水の衝突圧力などを実操業と同等の条件で適正化することにより比較的容易に解消できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
スプレイノズルに起因する不均一冷却については、二次冷却水の水量密度や鋳片表面に衝突する二次冷却水の衝突圧力などを実操業と同等の条件で適正化することにより比較的容易に解消できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、高速鋳造化に伴い二次冷却水の水量が増大すると、鋳片の冷却に利用された後の二次冷却水がガイドロール間に滞留したり水流を形成したりするため、鋳片が必要以上に過冷却されるという問題が生じる。
この問題を解消する方法として、スプレイノズルから鋳片に噴射された二次冷却水を圧縮空気などの流体によって水切りする方法(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)が提案されている。
この問題を解消する方法として、スプレイノズルから鋳片に噴射された二次冷却水を圧縮空気などの流体によって水切りする方法(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)が提案されている。
鈴木洋夫ら:「鉄と鋼」,65(1979),P2038
長田修次ら:「鉄と鋼」,76(1990),P214
しかしながら、上述した方法では、スプレイノズルから鋳片に噴射された二次冷却水を水切りするための水切り装置を別途必要とするなどの問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、割れ欠陥の発生等を招くことなく溶鋼などの鋼を高速で連続鋳造することのできる鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、割れ欠陥の発生等を招くことなく溶鋼などの鋼を高速で連続鋳造することのできる鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、溶鋼を一次冷却して鋳片を得るための鋳型と、該鋳型から出た鋳片の下面側をガイドする複数の下側ガイドロールと、該下側ガイドロールと対向して鋳片の上面側をガイドする複数の上側ガイドロールと、該上側ガイドロールと前記下側ガイドロールとで挟持された鋳片の両面に二次冷却水を噴射する複数のスプレイノズルとを備えてなる連続鋳造機により前記溶鋼を連続鋳造する方法であって、前記複数の上側ガイドロールのうち隣り合う二つの上側ガイドロールの間から前記鋳片に噴射される二次冷却水の水量をQIN(L/min)、前記複数の上側ガイドロールのうち隣り合う二つの上側ガイドロールの間から前記鋳片に噴射された二次冷却水が前記鋳片の短辺側から流出するときのロール間流路断面積をA(cm2)、前記複数の上側ガイドロールのうち隣り合う二つの上側ガイドロールの間から前記鋳片に噴射された二次冷却水が前記鋳片の短辺側から流出するときの二次冷却水平均流速をV1(cm/min)、前記鋳型からi番目に位置する上側ガイドロールの最上点座標を(X3,Y3)、前記鋳型からi+1番目に位置する上側ガイドロールの最上点座標を(X6,Y6)、前記上側ガイドロールのロール径をr(cm)としたとき、前記鋳型からi−1番目に位置する上側ガイドロールとi番目に位置する上側ガイドロールとの間で滞留するロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを
QOF=QIN−0.001×A×V1 (ただし、X3+r≦X6の場合)
QOF=0 (ただし、X3+r>X6の場合)
から算出し、前記溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときに前記オーバーフロー水量QOFをQOF<50L/minにして前記溶鋼を連続鋳造することを特徴とする。
QOF=QIN−0.001×A×V1 (ただし、X3+r≦X6の場合)
QOF=0 (ただし、X3+r>X6の場合)
から算出し、前記溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときに前記オーバーフロー水量QOFをQOF<50L/minにして前記溶鋼を連続鋳造することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の鋼の連続鋳造方法において、前記下側ガイドロールと前記上側ガイドロールとの間で円弧状に湾曲する鋳片の湾曲半径をR(cm)、前記湾曲半径の中心座標を(X0,Y0)、前記鋳型からi番目に位置する上側ガイドロールと前記鋳片との接点座標を(X1,Y1)、前記鋳型からi番目に位置する上側ガイドロールの中心座標を(X2,Y2)、前記鋳型からi−1番目に位置する上側ガイドロールとi番目に位置する上側ガイドロールとの間で滞留するロール溜まり水の最上点座標を(X4,Y4)、前記湾曲半径の中心座標(X0,Y0)と前記接点座標(X1,Y1)とを通過する直線が前記上側ガイドロールの最上点座標(X3,Y3)と前記ロール溜まり水の最上点座標(X4,Y4)とを通過する水平線と交差する角度をθ(°)、前記湾曲半径の中心座標(X0,Y0)と前記ロール溜まり水の最上点座標(X4,Y4)とを通過する直線が前記上側ガイドロールの最上点座標(X3,Y3)と前記ロール溜まり水の最上点座標(X4,Y4)とを通過する水平線と交差する角度をθ’(°)としたとき、前記ロール間流路断面積Aを
A=0.5R2×(θ−θ’)−0.5r2×(2π−θ)−0.5r2/tanθ−0.5R×(X5−X4)×sinθ’
から算出することを特徴とする。
A=0.5R2×(θ−θ’)−0.5r2×(2π−θ)−0.5r2/tanθ−0.5R×(X5−X4)×sinθ’
から算出することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の鋼の連続鋳造方法において、前記ガイドロールの表面粗度係数をn、前記ガイドロールの水平方向の勾配をI、前記鋳片が前記i−1番目の上側ガイドロールと前記i番目の上側ガイドロールとの間で滞留するロール溜まり水と接触する湿潤長さをLL(cm)としたとき、前記二次冷却水平均流速V1を
V1=(23+1/n)/(1+23×n/m0.5)×(m×I)0.5 (ただし、m=A/LL)
から算出することを特徴とする。
V1=(23+1/n)/(1+23×n/m0.5)×(m×I)0.5 (ただし、m=A/LL)
から算出することを特徴とする。
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項記載の鋼の連続鋳造方法において、前記溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときに前記スプレイノズルから前記鋳片の上面側に噴射された二次冷却水を前記鋳片の短辺側に配置された吸水パイプにより強制的に吸水して前記オーバーフロー水量QOFをQOF<50L/minにすることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項記載の鋼の連続鋳造方法において、前記溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときに前記スプレイノズルから前記鋳片の上面側に噴射された二次冷却水を前記上側ガイドロールの周面部に形成した吸水孔により強制的に吸水して前記オーバーフロー水量QOFをQOF<50L/minにすることを特徴とする。
本発明に係る鋼の連続鋳造方法によれば、溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときにオーバーフロー水量QOFをQOF<50(L/min)にして溶鋼を連続鋳造することで、二次冷却水の水量増加による鋳片の過冷却が抑制され、これにより、表面割れや内部割れが鋳片に発生しにくくなるので、割れ欠陥の発生等を招くことなく溶鋼などの鋼を高速で連続鋳造することができる。
また、スプレイノズルから鋳片に噴射された二次冷却水を水切りする水切り装置を要したりすることなく溶鋼などの鋼を高速で連続鋳造することができる。
さらに、表面割れや内部割れが鋳片に発生しにくくなることにより、グラインダー手入処理等の付加による歩止まりの低下や熱損失無しに鋳片を次工程へ送ることが可能となり、コスト面やエネルギー面でも大きな効果が得られる。
さらに、表面割れや内部割れが鋳片に発生しにくくなることにより、グラインダー手入処理等の付加による歩止まりの低下や熱損失無しに鋳片を次工程へ送ることが可能となり、コスト面やエネルギー面でも大きな効果が得られる。
以下、図面を参照して本発明に係る鋼の連続鋳造方法について説明する。
本発明の一実施形態に係る鋼の連続鋳造方法を実施するときに用いられる連続鋳造機の一例を図1に示す。図中符号11は高炉などで得られた溶鋼、12は溶鋼11を連続鋳造機の最上部へ運ぶための取鍋を示し、連続鋳造機の最上部にはタンディッシュ13が設置されている。このタンディッシュ13は溶鋼11に含まれる介在物を除去するためのもので、取鍋12からタンディッシュ13に注入された溶鋼11は介在物が除去された後、タンディッシュ13の下部に設けられた鋳型14に注入される。
本発明の一実施形態に係る鋼の連続鋳造方法を実施するときに用いられる連続鋳造機の一例を図1に示す。図中符号11は高炉などで得られた溶鋼、12は溶鋼11を連続鋳造機の最上部へ運ぶための取鍋を示し、連続鋳造機の最上部にはタンディッシュ13が設置されている。このタンディッシュ13は溶鋼11に含まれる介在物を除去するためのもので、取鍋12からタンディッシュ13に注入された溶鋼11は介在物が除去された後、タンディッシュ13の下部に設けられた鋳型14に注入される。
鋳型14は溶鋼11を一次冷却してスラブと称される鋳片15を得るためのもので、この鋳型14で得られた鋳片15はピンチロール16a,16bにより鋳型14から下方に引き出されるようになっている。
ピンチロール16a,16bは鋳型14の真下に配置され、これらピンチロール16a,16bの下方には、鋳片15の下面側をガイドする複数の下側ガイドロール17と鋳片15の上面側をガイドする複数の上側ガイドロール18が相対向して円弧状に配置されている。
ピンチロール16a,16bは鋳型14の真下に配置され、これらピンチロール16a,16bの下方には、鋳片15の下面側をガイドする複数の下側ガイドロール17と鋳片15の上面側をガイドする複数の上側ガイドロール18が相対向して円弧状に配置されている。
また、下側ガイドロール17と上側ガイドロール18の各ロール間にはスプレイノズル19がガイドロール17,18の軸方向に複数個ずつ設けられ、鋳型14から引き出された鋳片15はスプレイノズル19から噴射される二次冷却水によって冷却されるようになっている。
図2はスプレイノズル19から鋳片15の上面側に噴射された二次冷却水が上側ガイドロール18の間で滞留する状態を模式的に示す図、図3は上側ガイドロール18の間に溜まった二次冷却水が上側ガイドロール18からオーバーフローして下方に流れ落ちる位置と上側ガイドロール18の座標位置等を説明するための図で、以下、図2及び図3を参照して本発明に係る鋼の連続鋳造方法について説明する。
図2はスプレイノズル19から鋳片15の上面側に噴射された二次冷却水が上側ガイドロール18の間で滞留する状態を模式的に示す図、図3は上側ガイドロール18の間に溜まった二次冷却水が上側ガイドロール18からオーバーフローして下方に流れ落ちる位置と上側ガイドロール18の座標位置等を説明するための図で、以下、図2及び図3を参照して本発明に係る鋼の連続鋳造方法について説明する。
上述した連続鋳造機では、下式(1)または下式(2)で示す関係で溶鋼11を連続鋳造している場合が多い。
QW=a×VR 2+b×VR+c ……(1)
QW=b×VR+c ……(2)
ただし、QW:スプレイノズルから鋳片の両面に噴射される二次冷却水量(L/min)、VR:鋳造速度(m/min)、a,b,c:定数。
QW=a×VR 2+b×VR+c ……(1)
QW=b×VR+c ……(2)
ただし、QW:スプレイノズルから鋳片の両面に噴射される二次冷却水量(L/min)、VR:鋳造速度(m/min)、a,b,c:定数。
従って、溶鋼11を高速で連続鋳造して鋳片15の生産性を高めるためには、鋳造速度VRの上昇に伴って二次冷却水量QWを増加させる必要がある。しかし、スプレイノズル19から噴出する二次冷却水の水量が鋳片15の短辺側から流れ出る水量よりも多くなると、鋳片冷却時にも蒸発しなかった二次冷却水が上側ガイドロール18の間で滞留する。そして、上側ガイドロール18の間で滞留する二次冷却水(以下「ロール溜まり水」という。)が大量に増えると、図2に示すように、ロール溜まり水20が上側ガイドロール18をオーバーフローし、下方に流れ落ちる現象が生じる。
上記の現象による影響を調査するために、本発明者らは、スプレイノズル19から鋳片15に噴射される二次冷却水の水量を多くし、そのときの鋳片表面温度を放射温度計、シース熱電対などを用いて鋳造方向に数箇所測定した。その結果、スプレイノズル19から鋳片15に噴射される二次冷却水の強度(圧力)を鋳片15の幅方向に一定にしてもロール溜まり水が集中的に上側ガイドロール18から溢れ、上側ガイドロール18からオーバーフローしたロール溜まり水が鋳片15に流れ落ちる場合には、その箇所で鋳片表面温度が大きく低下することを確認した。
特に、二次冷却水が溜まりやすい鋳片15の上面側は上記のオーバーフロー現象による影響が顕著に現れ、矯正点21(図1参照)を有する連続鋳造機で高表面割れ感受性の鋼種を連続鋳造した場合は表面割れが発生することも確認した。
ロール溜まり水による鋳片15の副次的な冷却は、スプレイノズル19から鋳片15に噴射された二次冷却水が温度上昇あるいは蒸発することなくガイドロール間に滞留し、ロールチョックと鋳片との隙間あるいは上側ガイドロール18からオーバーフローして鋳片15に流れ落ちることに起因するものと考えられ、本発明者らは水理学、幾何学的に決定されるロール溜まり水のオーバーフロー水量とロール位置との関係からロール溜まり水のオーバーフローによる影響を評価可能な式を導いた。
ロール溜まり水による鋳片15の副次的な冷却は、スプレイノズル19から鋳片15に噴射された二次冷却水が温度上昇あるいは蒸発することなくガイドロール間に滞留し、ロールチョックと鋳片との隙間あるいは上側ガイドロール18からオーバーフローして鋳片15に流れ落ちることに起因するものと考えられ、本発明者らは水理学、幾何学的に決定されるロール溜まり水のオーバーフロー水量とロール位置との関係からロール溜まり水のオーバーフローによる影響を評価可能な式を導いた。
ここでは一例として完全湾曲型の連続鋳造機について導出式を説明するが、垂直曲げ型連続鋳造機や完全垂直型連続鋳造機についても同様の方法で垂直部と湾曲部を区分することでロール溜まり水のオーバーフロー評価も可能である。
鋳片表面に発生する表面割れは垂直曲げ型連続鋳造機の曲り部あるいは矯正部にて発生が顕著となるが、曲り部は連続鋳造機の垂直部直下のメニスカスから5cm程度の位置までに該当するため、鋳片表面温度は高く脆化温度に達していない。また、表面に歪が加わる鋳片の下面側では垂れ水が連続鋳造機から下方に落下してしまうことから、ロール溜まり水のオーバーフローによる影響が小さい。このため、垂れ水やオーバーフロー水の影響については鋳片の上面側が関与する鋳片矯正点について考慮すれば良いことも確認した。
鋳片表面に発生する表面割れは垂直曲げ型連続鋳造機の曲り部あるいは矯正部にて発生が顕著となるが、曲り部は連続鋳造機の垂直部直下のメニスカスから5cm程度の位置までに該当するため、鋳片表面温度は高く脆化温度に達していない。また、表面に歪が加わる鋳片の下面側では垂れ水が連続鋳造機から下方に落下してしまうことから、ロール溜まり水のオーバーフローによる影響が小さい。このため、垂れ水やオーバーフロー水の影響については鋳片の上面側が関与する鋳片矯正点について考慮すれば良いことも確認した。
図1に示した複数の上側ガイドロール18のうち隣り合う二つの上側ガイドロール18,18の間から鋳片15に噴射される二次冷却水の水量をQIN(L/min)、隣り合う二つの上側ガイドロール18,18の間から鋳片15に噴射された二次冷却水が鋳片15の短辺側から流出する水量をQOUT(L/min)とすると、隣り合う二つの上側ガイドロール18,18の間に滞留するロール溜まり水はQIN−QOUTで表される。そして、水理学的に決定される水量QINが水量QOUTを大きく超えると、ロール溜まり水が溢れ出し、下方のロール位置に滝のように落下することになる。
上記の水量QINは隣り合う二つの上側ガイドロール18,18の間に存在する複数のスプレイノズル19から鋳片15に噴射される二次冷却水の噴射量を総算した値であり、鋳造速度の上昇に伴い大きな値となる。
上記の水量QINは隣り合う二つの上側ガイドロール18,18の間に存在する複数のスプレイノズル19から鋳片15に噴射される二次冷却水の噴射量を総算した値であり、鋳造速度の上昇に伴い大きな値となる。
また、水量QOUTについては、水理学の式を利用して算出することができ、算出式については幾つかの候補が考えられるが、本発明者らはクッター開水路の式を用いて、下式(3)から水量QOUTを推算した。
QOUT=0.001×A×V1 ……(3)
ただし、A:隣り合う二つの上側ガイドロール18,18の間から鋳片15に噴射された二次冷却水が鋳片15の短辺側から流出するときのロール間流路断面積(cm2)、V1:隣り合う二つの上側ガイドロール18,18の間から鋳片15に噴射された二次冷却水が鋳片15の短辺側から流出するときの二次冷却水平均流速(cm/min)。
QOUT=0.001×A×V1 ……(3)
ただし、A:隣り合う二つの上側ガイドロール18,18の間から鋳片15に噴射された二次冷却水が鋳片15の短辺側から流出するときのロール間流路断面積(cm2)、V1:隣り合う二つの上側ガイドロール18,18の間から鋳片15に噴射された二次冷却水が鋳片15の短辺側から流出するときの二次冷却水平均流速(cm/min)。
ここで、ロール間流路断面積Aについては、図3に示すように、下側ガイドロール17と上側ガイドロール18との間で円弧状に湾曲する鋳片15の湾曲半径をR(cm)、湾曲半径Rの中心座標を(X0,Y0)、鋳型からi番目に位置する上側ガイドロール18と前記鋳片15との接点座標を(X1,Y1)、鋳型からi番目に位置する上側ガイドロール18の中心座標を(X2,Y2)、鋳型からi−1番目に位置する上側ガイドロール18とi番目に位置する上側ガイドロール18との間で滞留するロール溜まり水20の最上点座標を(X4,Y4)、湾曲半径Rの中心座標(X0,Y0)と接点座標(X1,Y1)とを通過する直線L1が上側ガイドロール18の最上点座標(X3,Y3)とロール溜まり水20の最上点座標(X4,Y4)とを通過する水平線L2と交差する角度をθ(°)、湾曲半径Rの中心座標(X0,Y0)とロール溜まり水20の最上点座標(X4,Y4)とを通過する直線L3が上側ガイドロール18の最上点座標(X3,Y3)とロール溜まり水20の最上点座標(X4,Y4)とを通過する水平線L2と交差する角度をθ’(°)、上側ガイドロールのロール径をr(cm)とすると、下式(4)から求めることができる。
A=0.5R2×(θ−θ’)−0.5r2×(2π−θ)−0.5r2/tanθ−0.5R×(X5−X4)×sinθ’ ……(4)
A=0.5R2×(θ−θ’)−0.5r2×(2π−θ)−0.5r2/tanθ−0.5R×(X5−X4)×sinθ’ ……(4)
また、二次冷却水平均流速V1については、ガイドロールの表面粗度係数をn、ガイドロールの水平方向の勾配をI、鋳片15がロール溜まり水20と接触する湿潤長さをLL(cm)とすると、下式(5)から求めることができる。
V1=(23+1/n)/(1+23×n/m0.5)×(m×I)0.5 ……(5)
ただし、m:m=A/LL。
V1=(23+1/n)/(1+23×n/m0.5)×(m×I)0.5 ……(5)
ただし、m:m=A/LL。
なお、図3に示した座標(X1,Y1)、(X2,Y2)、(X3,Y3)、(X4,Y4)、(X5,Y5)は、下式で表記することができる。
X1=X0−R×cosθ,Y1=Y0−R×sinθ
X2=X1+r×cosθ,Y2=Y1−r×sinθ
X3=X2,Y3=Y2+r
X4=X0−(R2−(Y0−Y4)2)0.5,Y4=Y3
X5=X3+r/tanθ,Y5=Y3
X1=X0−R×cosθ,Y1=Y0−R×sinθ
X2=X1+r×cosθ,Y2=Y1−r×sinθ
X3=X2,Y3=Y2+r
X4=X0−(R2−(Y0−Y4)2)0.5,Y4=Y3
X5=X3+r/tanθ,Y5=Y3
上述したように、隣り合う二つの上側ガイドロールの間から鋳片に噴射された二次冷却水の水量QINが鋳片の短辺側から流れ出る二次冷却水の水量QOUTよりも多くなると、ロール溜まり水が上側ガイドロールをオーバーフローして下方に落下する。
このとき、オーバーフローしたロール溜まり水20の落下点がi番目に位置する上側ガイドロール18の最上点座標(X3,Y3)とi+1番目に位置する上側ガイドロール18の最上点座標(X6,Y6)との間に存在する場合は、図3中矢印FL1で示すように、オーバーフローしたロール溜まり水20がi番目に位置する上側ガイドロール18とi+1番目に位置する上側ガイドロール18との間に垂れ水としてダイレクトに流れ落ちるため、上側ガイドロール18をオーバーフローしたロール溜まり水20によって鋳片15が過冷却される。
このとき、オーバーフローしたロール溜まり水20の落下点がi番目に位置する上側ガイドロール18の最上点座標(X3,Y3)とi+1番目に位置する上側ガイドロール18の最上点座標(X6,Y6)との間に存在する場合は、図3中矢印FL1で示すように、オーバーフローしたロール溜まり水20がi番目に位置する上側ガイドロール18とi+1番目に位置する上側ガイドロール18との間に垂れ水としてダイレクトに流れ落ちるため、上側ガイドロール18をオーバーフローしたロール溜まり水20によって鋳片15が過冷却される。
一方、オーバーフローしたロール溜まり水20の落下点がi番目に位置する上側ガイドロール18の最上点座標(X3,Y3)とi+1番目に位置する上側ガイドロール18の最上点座標(X6,Y6)との間に存在しない場合は、図3中矢印FL2で示すように、オーバーフローしたロール溜まり水20がi番目に位置する上側ガイドロール18とi+1番目に位置する上側ガイドロール18との間にダイレクトに流れ落ちないので、上側ガイドロール18をオーバーフローしたロール溜まり水20によって鋳片15が過度に冷却されることはない。
したがって、本発明者らは、鋳型からi+1番目に位置する上側ガイドロール18の最上点座標を(X6,Y6)としたとき、鋳片15の湾曲中心からi番目の上側ガイドロール18の最上点座標までの水平方向距離とロール径とを加算した値が鋳片15の湾曲中心からi+1番目の上側ガイドロール18の最上点座標までの水平方向距離より小さいか等しい場合(X3+r≦X6の場合)には、上側ガイドロール18をオーバーフローして流れ落ちるロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを下式(6)から算出することとした。
QOF=QIN−(0.001×A×V1) ……(6)
QOF=QIN−(0.001×A×V1) ……(6)
また、鋳片15の湾曲中心からi番目の上側ガイドロール18の最上点座標までの水平方向距離とロール径とを加算した値が鋳片15の湾曲中心からi+1番目の上側ガイドロール18の最上点座標までの水平方向距離より大きい場合(X3+r>X6の場合)には、上側ガイドロール18をオーバーフローして流れ落ちるロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを下式(7)から算出することとした。
QOF=0 ……(7)
上記の式からロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを算出することで、鋳片の過冷却効果の大きさと発生位置を評価することが可能となり、より適正な二次冷却水量の設定が可能になる。
QOF=0 ……(7)
上記の式からロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを算出することで、鋳片の過冷却効果の大きさと発生位置を評価することが可能となり、より適正な二次冷却水量の設定が可能になる。
本発明者らは、溶鋼量300tonの実機連続鋳造プロセスにおいて鋳造速度、二次冷却水量を変更してオーバーフロー水量QOFと鋳片表面温度との関係を調査した。
ここで用いた溶鋼はC0.15質量%、Nb0.050質量%、N0.0040質量%の鋼種であり、鋳造条件は鋳片幅2000mm、鋳片厚250mm、ロール径250〜400mm、鋳造速度1.4〜2.0m/minで行った。
ここで用いた溶鋼はC0.15質量%、Nb0.050質量%、N0.0040質量%の鋼種であり、鋳造条件は鋳片幅2000mm、鋳片厚250mm、ロール径250〜400mm、鋳造速度1.4〜2.0m/minで行った。
実験の条件としては、以下の条件1〜6で実施した。
条件1:鋳造速度1.4m/min、比水量:2.16L/kg(強冷却パターン)。
条件2:鋳造速度1.8m/min、比水量:2.24L/kg(強冷却パターン)。
条件3:鋳造速度2.0m/min、比水量:2.20L/kg(強冷却パターン)。
条件4:鋳造速度1.4m/min、比水量:0.87L/kg(弱冷却パターン)。
条件5:鋳造速度1.8m/min、比水量:1.10L/kg(弱冷却パターン)。
条件6:鋳造速度2.0m/min、比水量:1.19L/kg(弱冷却パターン)。
条件1:鋳造速度1.4m/min、比水量:2.16L/kg(強冷却パターン)。
条件2:鋳造速度1.8m/min、比水量:2.24L/kg(強冷却パターン)。
条件3:鋳造速度2.0m/min、比水量:2.20L/kg(強冷却パターン)。
条件4:鋳造速度1.4m/min、比水量:0.87L/kg(弱冷却パターン)。
条件5:鋳造速度1.8m/min、比水量:1.10L/kg(弱冷却パターン)。
条件6:鋳造速度2.0m/min、比水量:1.19L/kg(弱冷却パターン)。
ここで言う「比水量」とは、溶鋼単位重量あたりに連続鋳造において二次冷却帯で付与した二次冷却水量のことであり、各ゾーンの二次冷却水量の総和をTQW(L/min)、鋳片幅をWCP(m)、鋳片厚をTCP(m)、鋳造速度をVR(m/min)、鋼の密度をDS(kg/m3)とすると、下式(8)から求めることができる。
比水量(L/kg)=TQW/(WCP×TCP×VR×DS) ……(8)
比水量(L/kg)=TQW/(WCP×TCP×VR×DS) ……(8)
鋳片表面温度の評価は、連続鋳造機の水平部入側の矯正部に設置したサーモビュワーにより鋳片幅方向の温度を測定し、幅方向の温度差から鋳片表面温度を評点化した。そして、鋳片端部から100mmの範囲を除いた鋳片の幅方向の温度差が200℃以上の場合を×、温度差が50〜150℃の場合を△、温度差が50℃未満の場合を○として評価した。
また、鋳造後の鋳片について表面割れの調査を実施し、表面割れの程度から評点化した。全く表面割れが発生しなかったものを○、一部表面割れが発生しているものの鋳片溶剤やグラインダー手入により割れを除去可能なものを△、表面割れの程度がひどく製品に使えないものを×とした。
また、鋳造後の鋳片について表面割れの調査を実施し、表面割れの程度から評点化した。全く表面割れが発生しなかったものを○、一部表面割れが発生しているものの鋳片溶剤やグラインダー手入により割れを除去可能なものを△、表面割れの程度がひどく製品に使えないものを×とした。
図4はロール溜まり水のオーバーフロー水量OOFがOOF<50L/minとなる条件を説明するための図で、図中縦軸はロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを、図中横軸は連続鋳造機のメニスカスからの距離をそれぞれ示している。
図4から明らかように、条件1と条件4〜6で溶鋼を連続鋳造した場合はロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFがQOF<50L/minとなるに対し、条件2及び条件3で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳型から出た鋳片が矯正部に到達する前にロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFがQOF>50L/minとなっていることがわかる。
図4から明らかように、条件1と条件4〜6で溶鋼を連続鋳造した場合はロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFがQOF<50L/minとなるに対し、条件2及び条件3で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳型から出た鋳片が矯正部に到達する前にロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFがQOF>50L/minとなっていることがわかる。
図5はロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFが50L/min未満になる場合と50L/min以上になる場合の鋳片表面温度を説明するための図で、図中縦軸は鋳片表面温度を、図中横軸は鋳片の幅方向位置をそれぞれ示している。
図5から明らかように、条件3で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳片表面の幅方向温度分布に大きな温度差が生じるのに対し、条件6で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳片表面温度が鋳片幅方向にほぼ均一となることがわかる。
表1に、式(6)または式(7)で算出したロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを鋳片表面温度と鋳片表面割れ発生の評価結果と共に併記する。
図5から明らかように、条件3で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳片表面の幅方向温度分布に大きな温度差が生じるのに対し、条件6で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳片表面温度が鋳片幅方向にほぼ均一となることがわかる。
表1に、式(6)または式(7)で算出したロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを鋳片表面温度と鋳片表面割れ発生の評価結果と共に併記する。
なお、表1のQOF最大値は、前記した表面粗度係数nをn=0.0013、勾配IをI=1/1000としてQOFを求めた値である。
表1に示されるように、条件2及び条件3で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳片表面の幅方向温度差が50〜150℃または200℃以上となり、表面割れの程度がひどく製品として使えないものとなった。これに対し、条件1、条件4〜6で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳片表面の幅方向温度差が50℃未満となり、鋳片表面に表面割れが全く発生しなかった。
表1に示されるように、条件2及び条件3で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳片表面の幅方向温度差が50〜150℃または200℃以上となり、表面割れの程度がひどく製品として使えないものとなった。これに対し、条件1、条件4〜6で溶鋼を連続鋳造した場合は鋳片表面の幅方向温度差が50℃未満となり、鋳片表面に表面割れが全く発生しなかった。
したがって、表1から明らかなように、溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときにロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFをQOF<50L/minにすることで、二次冷却水の水量増加による鋳片の過冷却が抑制され、これにより、表面割れや内部割れが鋳片に発生しにくくなるので、割れ欠陥の発生等を招くことなく溶鋼を高速で連続鋳造することができる。
また、スプレイノズル19から鋳片15に噴射された二次冷却水を水切り装置で水切りする必要もないので、水切り装置を別途要したりすることなく溶鋼を高速で連続鋳造することができる。
さらに、表面割れや内部割れが鋳片に発生しにくくなることにより、グラインダー手入処理等の付加による歩止まりの低下や熱損失無しに鋳片を次工程へ送ることが可能となり、コスト面やエネルギー面でも大きな効果が得られる。
さらに、表面割れや内部割れが鋳片に発生しにくくなることにより、グラインダー手入処理等の付加による歩止まりの低下や熱損失無しに鋳片を次工程へ送ることが可能となり、コスト面やエネルギー面でも大きな効果が得られる。
なお、溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときにロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを50L/min未満にする方法としては、上側ガイドロール18のロール径riを大きくする、スプレイノズル19から噴出する二次冷却水量を調整するなどの方法を用いることができるが、ロール径やスプレイ水量でオーバーフロー水量QOFを50L/min未満にできない場合には、図6(a)に示すように、吸水ポンプ22と連結した吸水パイプ23により二次冷却水を鋳片15の短辺部近傍から強制的に吸水する方法、あるいは図6(b)に示すように、上側ガイドロール18の周面部に形成した吸水孔24から二次冷却水を強制的に吸水する方法などが有効である。
11…取鍋
12…連続鋳造機
13…タンディッシュ
14…鋳型
15…鋳片
16a,16b…ピンチロール
17…下側ガイドロール
18…上側ガイドロール
19…スプレイノズル
20…ロール溜まり水
22…吸水ポンプ
23…吸水パイプ
24…吸水孔
12…連続鋳造機
13…タンディッシュ
14…鋳型
15…鋳片
16a,16b…ピンチロール
17…下側ガイドロール
18…上側ガイドロール
19…スプレイノズル
20…ロール溜まり水
22…吸水ポンプ
23…吸水パイプ
24…吸水孔
Claims (5)
- 溶鋼を一次冷却して鋳片を得るための鋳型と、該鋳型から出た鋳片の下面側をガイドする複数の下側ガイドロールと、該下側ガイドロールと対向して鋳片の上面側をガイドする複数の上側ガイドロールと、該上側ガイドロールと前記下側ガイドロールとで挟持された鋳片の両面に二次冷却水を噴射する複数のスプレイノズルとを備えてなる連続鋳造機により前記溶鋼を連続鋳造する方法であって、
前記複数の上側ガイドロールのうち隣り合う二つの上側ガイドロールの間から前記鋳片の上面側に噴射される二次冷却水の水量をQIN(L/min)、前記複数の上側ガイドロールのうち隣り合う二つの上側ガイドロールの間から前記鋳片に噴射された二次冷却水が前記鋳片の短辺側から流出するときのロール間流路断面積をA(cm2)、前記複数の上側ガイドロールのうち隣り合う二つの上側ガイドロールの間から前記鋳片に噴射された二次冷却水が前記鋳片の短辺側から流出するときの二次冷却水平均流速をV1(cm/min)、前記鋳型からi番目に位置する上側ガイドロールの最上点座標を(X3,Y3)、前記鋳型からi+1番目に位置する上側ガイドロールの最上点座標を(X6,Y6)、前記上側ガイドロールのロール径をr(cm)としたとき、前記鋳型からi−1番目に位置する上側ガイドロールとi番目に位置する上側ガイドロールとの間で滞留するロール溜まり水のオーバーフロー水量QOFを下式から算出し、前記溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときに前記オーバーフロー水量QOFをQOF<50L/minにして前記溶鋼を連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
QOF=QIN−0.001×A×V1 (ただし、X3+r≦X6の場合)
QOF=0 (ただし、X3+r>X6の場合) - 請求項1記載の鋼の連続鋳造方法において、前記下側ガイドロールと前記上側ガイドロールとの間で円弧状に湾曲する鋳片の湾曲半径をR(cm)、前記湾曲半径の中心座標を(X0,Y0)、前記鋳型からi番目に位置する上側ガイドロールと前記鋳片との接点座標を(X1,Y1)、前記鋳型からi番目に位置する上側ガイドロールの中心座標を(X2,Y2)、前記鋳型からi−1番目に位置する上側ガイドロールとi番目に位置する上側ガイドロールとの間で滞留するロール溜まり水の最上点座標を(X4,Y4)、前記湾曲半径の中心座標(X0,Y0)と前記接点座標(X1,Y1)とを通過する直線が前記上側ガイドロールの最上点座標(X3,Y3)と前記ロール溜まり水の最上点座標(X4,Y4)とを通過する水平線と交差する角度をθ(°)、前記湾曲半径の中心座標(X0,Y0)と前記ロール溜まり水の最上点座標(X4,Y4)とを通過する直線が前記上側ガイドロールの最上点座標(X3,Y3)と前記ロール溜まり水の最上点座標(X4,Y4)とを通過する水平線と交差する角度をθ’(°)としたとき、前記ロール間流路断面積Aを下式から算出することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
A=0.5R2×(θ−θ’)−0.5r2×(2π−θ)−0.5r2/tanθ−0.5R×(X5−X4)×sinθ’ - 請求項1または2記載の鋼の連続鋳造方法において、前記ガイドロールの表面粗度係数をn、前記ガイドロールの水平方向の勾配をI、前記鋳片が前記i−1番目の上側ガイドロールと前記i番目の上側ガイドロールとの間で滞留するロール溜まり水と接触する湿潤長さをLL(cm)としたとき、前記二次冷却水平均流速V1を下式から算出することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
V1=(23+1/n)/(1+23×n/m0.5)×(m×I)0.5 (ただし、m=A/LL) - 請求項1〜3のいずれか一項記載の鋼の連続鋳造方法において、前記溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときに前記スプレイノズルから前記鋳片の上面側に噴射された二次冷却水を前記鋳片の短辺側に配置された吸水パイプにより強制的に吸水して前記オーバーフロー水量QOFをQOF<50L/minにすることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項記載の鋼の連続鋳造方法において、前記溶鋼の鋳造速度が1.4m/min以上のときに前記スプレイノズルから前記鋳片の上面側に噴射された二次冷却水を前記上側ガイドロールの周面部に形成した吸水孔により強制的に吸水して前記オーバーフロー水量QOFをQOF<50L/minにすることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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