JP4081222B2 - 微細な凝固組織を備えた鋳片及びそれを加工した鋼材 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細で均一な凝固組織を備え、内部に発生する割れや中心偏析、センターポロシティ等の欠陥の無い微細な凝固組織を備えた鋳片及びそれを加工した鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳片は、溶鋼から造塊法や連続鋳造法により、スラブ、ブルーム、ビレット、薄鋳片等を鋳造し、これを所定のサイズに切断して製造している。
また、鋼材は、前記の鋳片を加熱炉等を用いて加熱した後に、粗圧延や仕上げ圧延等を施すことにより、鋼板や形鋼等に加工される。
しかし、この鋳片は、溶鋼を鋳造してから凝固させるため、凝固するまでの過程において、冷却や凝固収縮の不均一等により表面に割れ等の表面欠陥が生じたり、内部の凝固収縮時の負圧に起因するセンターポロシティ(ザク)、バルジングや前記凝固収縮時の負圧に起因する中心偏析、あるいはバルジング等凝固途中に凝固シェル(凝固殻)に加わる歪みに起因する内部割れ等の内部欠陥が生じる。こうして、鋳片に発生した内部欠陥は、圧延後も鋼板や形鋼等の鋼材に残存して、鋼材の品質が低下したり、場合によっては製品として使用できない(屑化)等の問題が生じる。
この対策として、鋳片の凝固組織を微細な等軸晶にし、鋳片と、その鋳片を加工して得られる鋼材の表面及び内部欠陥を防止することが試みられている。
鋳片の凝固組織を等軸晶(微細)化する方法としては、1)溶鋼の温度を低くして低温鋳造する、2)凝固過程の溶鋼を電磁攪拌する、3)溶鋼が凝固する際に凝固核となる金属や酸化物を添加する、又は、これ等1)〜3)を組合せて行うことが知られている。
低温鋳造の具体例としては、例えば特公平7−84617号公報に記載されているように、溶鋼を連続鋳造する際に、過熱温度(実際の溶鋼温度からこの溶鋼の液相線温度を差し引いた温度)を40℃以下にして鋳型内で冷却しながら引き抜きを行って、凝固した鋳片の等軸晶の割合を70%以上にして、フェライト系ステンレス鋼板に発生するリジングを防止している。
更に、溶鋼の電磁攪拌については、特開昭50−16616号公報に記載されているように、凝固過程の溶鋼に電磁攪拌を行って、成長する柱状晶を抑制することにより、鋳片の凝固組織の等軸晶を60%以上にしてクロムを含むフェライト系ステンレス鋼に発生するリジングを防止している。
また、特開昭53−90129号公報に記載されているように、溶鋼が凝固する際に凝固核となる金属酸化物の添加と電磁攪拌を組合せて、鋳片の厚み方向の全断面の凝固組織を殆ど等軸晶にすることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平7−84617号公報では、過熱温度が低いため、鋳造途中で溶鋼が凝固し、ノズル詰まりや鋳型内湯面の皮張りを生じて鋳造が困難になる。
更に、溶鋼の粘性が増加するため、介在物の浮上が阻害されて介在物に起因した欠陥等が発生するなどから十分な等軸晶を備えた鋳片ができる程の低い過熱温度にすることが困難である。
また、特開昭50−16616号公報では、鋳片の表面層の凝固組織を改善してリジング等の表面欠陥の発生を抑制できるが、鋳片の表面層から内部にわたって凝固組織を微細にすることが難しく、内部に割れや中心偏析、センターポロシティ等が発生する場合がある。
この鋳片の内部の凝固組織を改善するため、電磁攪拌装置を多段に配置して、内部の溶鋼を攪拌することも考えられるが、設備制約から設置そのものが困難であり、しかも、多大の設備費用を伴う等の問題がある。
更に、特開昭53−90129号公報では、鋳型内の溶鋼に、Co、B、Mo、V、Ni等の酸化物を添加している。これ等の酸化物は、低炭素やフェライト系ステンレス等の溶鋼の場合は凝固核として有効に作用するが、高炭素鋼やオーステナイト系ステンレス鋼等の溶鋼が凝固する際に凝固核として有効に作用しない。
その結果、鋳片の内部組織が粗大化し、内部に割れや中心偏析、センターポロシティ等が発生する。
しかも、電磁攪拌を併用しても、特開昭50−16616号公報に記載された方法と同様に設置そのものが困難であり、しかも、多大の設備費用を伴う等の問題がある。
このように、従来の方法では、γ−Feが凝固初晶である軌条用等の高炭素鋼やオーステナイト系ステンレス鋼においては、均一な凝固組織にした無欠陥の鋳片を得ることが困難であり、この鋳片を用いて圧延等の加工を施した鋼材に発生する内部割れや中心偏析、センターポロシティ等の欠陥の少ない良品質の鋼材を安価に、且つ量産することができないという問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、微細で均一な凝固組織を備え、内部割れや中心偏析、センターポロシティ等の内部欠陥を抑制し、圧延等の加工を施した鋼材に発生する内部欠陥を少なくした微細な凝固組織を備えた鋳片及びそれを加工した鋼材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る微細な凝固組織を備えた鋳片は、凝固初晶がγ−Feである溶鋼に、該γ−Feとの格子歪が7%以下であり、大きさが1〜10μmの介在物を1〜500個/mm 2 未満含有させ、前記溶鋼を冷却して凝固させる連続鋳造を行って鋳片とし、該鋳片を加熱した後に圧延加工を施す
これにより、介在物を凝固核(接種核)として用いて凝固組織を微細にすることができ、内部の凝固収縮時の負圧に起因するセンターポロシティや中心偏析、バルジング等凝固途中に凝固シェル(凝固殻)に加わる歪みに起因する内部割れ等を防止することができる。
更に、圧延等の加工途中や加工後の鋼材に発生する内部欠陥を抑制することができる。
介在物のγ−Feとの格子歪が7%を超えると、凝固核として作用しなくなり、鋳片の内部の凝固組織を微細にすることができない。
【0006】
更に、前記鋳片に含有した前記介在物の大きさが1〜10μmで、その介在物が1〜500個/mm2未満含有する。
介在物の大きさを所定の範囲にしているので、凝固核としての働きが良好であり、凝固組織を微細にし、しかも、介在物に起因するヘゲ疵等の欠陥を抑制することができる。
介在物の大きさが10μmを超えると、介在物に起因するヘゲ疵等の欠陥が生じ易くなる。一方、大きさが1μm未満になると、小さくなり過ぎて凝固核としての働きが悪くなり、凝固組織が粗大化する。
しかも、介在物の個数が500個以上になると、介在物に起因したヘゲ疵等が発生する。
【0007】
また、前記介在物は、MgS、ZrO2 、Ti23 、CeO2 、Ce23 の一種以上を含有することが好ましい。
溶鋼が凝固する際に凝固核としての作用に優れ、鋳片の凝固組織を安定して微細にすることができる。
【0008】
前記目的に沿う本発明に係る微細な凝固組織を備えた鋳片を加工した鋼材は、凝固初晶がγ−Feである溶鋼に、γ−Feとの格子歪が7%以下であり、大きさが1〜10μmの介在物を1〜500個/mm2未満含有させて連続鋳造した鋳片を加熱して圧延加工を施している。
この鋼材は、均一で微細な凝固組織の鋳片を加工するので、凝固組織に起因した内部欠陥を少なくし、加工後の鋼材に発生する内部の割れや中心偏析、センターポロシティ等を防止し、製品の歩留りを向上することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明の一実施の形態に係る微細な凝固組織を備えた鋳片の製造方法に適用する連続鋳造装置の全体断面図、図2は介在物個数と鋳片の等軸晶率及び欠陥指数との関係を表すグラフである。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る微細な凝固組織を備えた鋳片の製造方法に適用する連続鋳造装置10においては、タンディッシュ11に貯湯された溶鋼12を浸漬ノズル13から鋳型14に注湯し、鋳型14の冷却により溶鋼12を凝固させながら、支持セグメント15に設けた図示しない冷却水ノズルから冷却水を散水し、凝固した鋳片16を圧下セグメント17により圧下してからピンチロール18により引き抜きを行う。
その後、所定のサイズに切断された鋳片は後工程に搬送され、図示しない加熱炉、均熱炉等で加熱されてから圧延等の加工が施される。
【0010】
次に、連続鋳造装置10を適用した微細な凝固組織を備えた鋳片の製造方法及び微細な凝固組織を備えた鋳片について説明する。
タンディッシュ11に設けた浸漬ノズル13から鋳型14に注湯された溶鋼12の一例であるオーステナイト系ステンレス溶鋼(SUS304)、又は炭素濃度が0.5重量%以上の軌条等の高炭素溶鋼は、鋳型14により冷却され、図示しない凝固殻を形成して鋳片16となり、支持セグメント15の下方に進むにつれて、散水する冷却水によって抜熱され、順次凝固殻の厚みを増しながら、途中で圧下セグメント17により圧下されてから完全に凝固する。
この凝固した鋳片16の表層(表層部)の凝固組織は、鋳型14により急激に冷却されて凝固した細かい組織のチル晶と、このチル晶の内側に大きな結晶組織の柱状晶が形成される。
更に、鋳片16の内部は、表層部で形成された柱状晶が緩慢な冷却に伴ってより成長し、柱状晶あるいは粗大な等軸晶が生成し、デンドライト間にミクロ偏析が存在し、内部が凝固する過程で収縮や歪みにより内部割れが生じ易くなる。
また、凝固完了に近い末期には、内部に溶鋼12の供給不足に起因するセンターポロシティ(ザク)や溶鋼12の流動に起因する中心偏析等の内部欠陥が生じて鋳片16の品質を損なうことになる。
【0011】
この内部欠陥を防止するには、鋳片内部の凝固組織を微細な等軸晶にすると良い。そのため、本発明では、接種核として有効な介在物を利用する。
即ち、溶鋼12の凝固初晶がγ−Feであり、γ−Feとの格子歪が7%以下のMgS、ZrO2 、Ti23 、CeO2 、Ce23 等の一種以上を0.01〜1.0kg/溶鋼トン添加して介在物を1〜500個未満/mm2 にして溶鋼12内に分散させる。
介在物を形成する金属を添加する場合は、Mg、Zr、Ti、Ce含有合金、金属Mg、金属Zr、金属Ti、金属Ce等の何れか、あるいは組み合わせて添加し、溶鋼12に含まれる硫黄や酸素と反応させて、MgS、ZrO2 、Ti23 、CeO2 、Ce23 等を生成しても良い。
【0012】
図2に示すように、介在物は、γ−Feとの格子歪が7%以下の介在物の個数が1個/mm2 より少ないと、凝固核の数が少な過ぎ、溶鋼12の内部の凝固組織を十分に等軸晶化(微細)にすることができない。
一方、介在物が500個/mm2 以上になると、凝固組織を微細にできるが、介在物の凝集や表面への露出等による介在物起因の欠陥指数が約4以上に増加するため、上限を500個未満/mm2 にすることにより、欠陥指数を問題にならない約4未満の低い値にすることができるので好ましい結果が得られる。
この介在物の大きさは、粒径が1〜10μmのものを利用しているので、凝固核として十分に作用し、しかも、介在物に起因する欠陥の発生を抑制することができる。
なお、γ−Feとの格子歪は、溶鋼12の凝固初晶であるγ−Feの格子定数と接種核として利用する介在物(硫化物、酸化物)の格子定数の差を溶鋼12の凝固初晶のγ−Feの格子定数で除した値であり、この値が小さい程凝固核(接種核)として有効であり、ピンニング作用も良好となる。
【0013】
そして、溶鋼12が鋳型14及び支持セグメント15に設けた図示しない冷却水ノズルからの散水等により凝固する際に、分散した介在物が凝固核となり、この凝固核を起点に溶鋼12の結晶の形成と、ピンニング作用による結晶の成長の抑制の相乗作用により微細な凝固組織にすることができる。
鋳造された鋳片16は、表層部から内部にいたる全断面の凝固組織をより微細(等軸晶)で、且つ均一なものにでき、内部の割れ等の発生が少なく、内部の溶鋼12の供給不足に起因するセンターポロシティや中心偏析等の内部欠陥の発生も防止でき、しかも、凝固組織が微細な鋳片16は、良好な加工特性を備えている。
このようにして鋳造された鋳片16は、ピンチロール18により引き抜かれて、図示しない切断機により所定のサイズに切断されてから圧延等の後工程に搬送される。
なお、鋳片16は、連続鋳造の他に、造塊法やベルトキャスター、ロール等の鋳造法により鋳造することができる。
【0014】
鋳片16の介在物の個数を測定するには、SEM(Scanning Electron Microscope)やスライム法等を用いて単位面積当たりの1〜10μm以下の大きさを有する介在物の個数を数える。
介在物の大きさは、SEM等の電子顕微鏡により全断面の介在物を観察して、それぞれの介在物の最大直径と最小直径を平均した値をその介在物の大きさとし、その個数を用いる。
一方、スライム法の場合は、鋳片16の全断面の一部を切り出して、この切り出し片を溶解してから介在物を分級して取り出し、それぞれの介在物の最大直径と最小直径を平均した値により大きさを判定し、その大きさごとの個数を求める。また、等軸晶の大きさは、溶鋼12が凝固する際の溶鋼12の溶質成分が固液分配に起因するミクロ偏析を境界とする凝固組織単位の大きさであり、凝固した鋳片16の厚み方向の断面が出るように、切断してその断面を研磨してから、例えばピクリン酸を用いてミクロ偏析の境界をエッチングして、このマクロ組織を1〜10倍に拡大してから画像処理等により求めることができる。
【0015】
次に、本発明の一実施の形態に係る微細な凝固組織を備えた鋳片を加工した鋼材について説明する。
本発明の一実施の形態に係る微細な凝固組織を備えた鋳片を加工した鋼材は、凝固初晶がγ−Feである溶鋼12に、γ−Feとの格子歪が7%以下である介在物を1〜500個/mm2 未満含有され、所定の長さに切断された鋳片を図示しない加熱炉や均熱炉等により1150〜1250℃に加熱を行って後、圧延等の加工を施して厚板や薄板、H形や軌条等の形鋼等に加工される。
この鋼材は、加工に用いる鋳片16の凝固組織を表層から内部にわたり微細にし、脆いミクロ偏析を小さくしているので、割れ抵抗が増して、加工中や加工後の割れを抑制することができる。また、内部の割れや中心偏析、センターポロシティ等を抑制しているので、鋼材に発生する内部欠陥を少なくできる。
更に、微細で均一な凝固組織を備えた鋳片16は、延び(r値)等の加工特性に優れており、容易に加工することができ、加工後の溶接部の靭性にも優れている。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の一実施の形態に係る微細な凝固組織を備えた鋳片及びこの鋳片を加工した鋼材の実施例について説明する。
炭素濃度が0.8重量%の軌条用高炭素溶鋼、オーステナイト系ステンレス溶鋼(SUS316)に、それぞれ添加金属を種々変えて、サイズが幅1000mm、厚み250mmの内寸法の鋳型に連続鋳造を行ない、鋳型による冷却と支持セグメントからの散水により、鋳片を冷却して凝固させ、圧下セグメントを用いて3〜7mmの圧下を行ってからピンチロールにより1.0m/分の速度で引き抜きを行った。
そして、鋳片に含まれる介在物の種類、鋳片の厚み方向の断面の凝固組織の等軸晶率、熱間割れ、製品疵を調査した。その結果を表1に示す。
実施例1は、炭素濃度が0.8重量%の高炭素溶鋼を用い、MgとS(硫黄)を添加し、Mg濃度を67ppmにし、MgSの個数を5個/mm2にした場合であり、等軸晶率を88%にでき、圧延等の加工時の熱間割れの発生が無く、製品疵もなかった。
実施例2は、炭素濃度が0.8重量%の高炭素溶鋼を用い、Zrを50ppm添加し、ZrO2を12個/mm2含有させた場合であり、等軸晶率を79%にでき、圧延等の加工時の熱間割れの発生が無く、製品疵もなかった。
実施例3は、炭素濃度が0.8重量%の高炭素溶鋼を用い、Tiを0.10重量%添加し、Ti23を23個/mm2含有させた場合であり、等軸晶率を86%にでき、圧延等の加工時の熱間割れの発生が無く、製品疵もなかった。
実施例4は、炭素濃度が0.8重量%の高炭素溶鋼を用い、Ceを0.05重量%添加し、Ce酸化物(CeO2、Ce23)を52個/mm2含有させた場合であり、等軸晶率を91%にでき、圧延等の加工時の熱間割れの発生が無く、製品疵もなかった。
実施例5〜8はそれぞれ、実施例1〜4において高炭素溶鋼を凝固初晶がγ−Feであるオーステナイト系ステンレス溶鋼に変えて、添加金属、添加濃度、介在物の種類を実施例1〜4の条件と同じにした場合であり、いずれの場合も等軸晶率を高くでき、圧延等の加工時の熱間割れの発生が無く、製品疵の無い良好な結果が得られた。
【0017】
【表1】
Figure 0004081222
【0018】
これに対し、比較例1〜4は、高炭素溶鋼に、添加金属としてγ−Feとの格子歪が7%以下の介在物を生成させるべく本実施例と同じ金属を添加したが、濃度が低く、介在物の個数がいずれも1個/mm2 未満になった場合であり、等軸晶率が低くなって内部の凝固組織が粗大になり、熱間割れの発生が生じ、製品疵も発生した。
更に、比較例5及び6は、添加金属として、Ti(Nを同時に添加)、Alを添加した場合であり、生成した介在物は、γ−Feとの格子歪が7%を超え、凝固核として作用せず、鋳片の内部の凝固組織が粗大になり、熱間割れの発生が生じ、製品疵も発生した。
また、高炭素溶鋼をオーステナイト系ステンレス溶鋼(SUS316)に変えて、前記比較例1〜6と同じ添加金属を用いた場合について実施したが、添加濃度が低く介在物の個数がいずれも1個/mm2 未満と少ないか、生成した介在物は、γ−Feとの格子歪が7%を超えており、いずれも鋳片の内部の凝固組織が粗大になり、熱間割れの発生が生じ、製品疵も発生し、悪い結果であった。
【0019】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、介在物の添加方法は、Mg、又はMg合金等を溶鋼12に直接添加するか、あるいはMgやMg合金等を薄鋼で覆った線状に加工したワイヤーを連続的に供給することができる。
介在物を形成する金属あるいは介在物を添加する時期は、タンディッシュ以外に、取鍋内の溶鋼に添加することもできる。
更に、金属あるいは介在物を添加し、これに低温鋳造や電磁攪拌あるいはこれ等を組合せて鋳造することもできる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1、2記載の微細な凝固組織を備えた鋳片は、凝固初晶がγ−Feである溶鋼に、γ−Feとの格子歪が7%以下である介在物を含有させ、溶鋼を冷却して凝固するので、鋳片の内部に発生する内部割れや中心偏析、センターポロシティ等を防止し、製品歩留りや品質を向上でき、品質に優れた鋳片を安価に量産することができる。
【0021】
また、鋳片に含有した介在物の大きさが1〜10μmで、その介在物が1〜500個/mm2未満含有するので、凝固組織を微細で均一にでき、介在物に起因する欠陥の発生を抑制し、表面及び内部欠陥をより安定して防止することができる。
【0022】
請求項記載の微細な凝固組織を備えた鋳片は、介在物がMgS、ZrO2、Ti23、CeO2、Ce23の一種以上を含有するので、凝固核としての作用に優れ、鋳片の凝固組織を安定して微細化し、鋳片の内部に発生する内部割れや中心偏析、センターポロシティ等を確実に防止することができる。
【0023】
請求項記載の微細な凝固組織を備えた鋳片を加工した鋼材においては、凝固初晶がγ−Feである溶鋼に、γ−Feとの格子歪が7%以下である介在物を1〜500個/mm2未満含有させた鋳片を加熱して圧延加工を施しているので、粗大な凝固組織に起因する鋼材の内部欠陥及び添加した介在物に起因した欠陥を無くし、製品の歩留り及び品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る微細な凝固組織を備えた鋳片の製造方法に適用する連続鋳造装置の全体断面図である。
【図2】介在物個数と鋳片の等軸晶率及び欠陥指数との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
10:連続鋳造装置、11:タンディッシュ、12:溶鋼、13:浸漬ノズル、14:鋳型、15:支持セグメント、16:鋳片、17:圧下セグメント、18:ピンチロール

Claims (3)

  1. 凝固初晶がγ−Feである溶鋼に、該γ−Feとの格子歪が7%以下であり、大きさが1〜10μmの介在物を1〜500個/mm 2 未満含有させ、前記溶鋼を冷却して凝固させる連続鋳造を行って鋳片とし、該鋳片を加熱した後に圧延加工を施すことを特徴とする微細な凝固組織を備えた鋳片。
  2. 請求項記載の微細な凝固組織を備えた鋳片において、前記介在物は、MgS、ZrO2、Ti23、CeO2、Ce23の一種以上を含有することを特徴とする微細な凝固組織を備えた鋳片。
  3. 凝固初晶がγ−Feである溶鋼に、γ−Feとの格子歪が7%以下であり、大きさが1〜10μmの介在物を1〜500個/mm2未満含有させて連続鋳造した鋳片を加熱して圧延加工を施した微細な凝固組織を備えた鋳片を加工した鋼材。
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