JP2004216411A - 特殊溶鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Shinichi Fukunaga
新一 福永
Ryoji Nishihara
良治 西原
Yuji Hiraki
祐二 平木
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Abstract

【課題】特殊溶鋼を高速鋳造により表面欠陥および内部欠陥の少ない鋳片を得るための連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】鋳型のメニスカスから少なくとも2m以上の垂直部を有し、該垂直部に連続した湾曲部を備えた垂直曲げ型連続鋳造機を用いて特殊溶鋼を0.7m/min以上の高速度で連続鋳造するに当たり、前記湾曲部に電磁攪拌装置を配置して該湾曲部内部で電磁攪拌を行う領域の鋳片の固相率が1段目が0.3〜0.5、2段目が0.55〜0.9の未凝固溶鋼を攪拌することを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特殊溶鋼を高速鋳造により表面欠陥および内部欠陥の少ない鋳片を得るための連続鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ステンレス溶鋼や高炭素溶鋼などの品質の厳格材を連続鋳造する際に、湾曲部の支持セグメント内を引き抜かれる鋳片の内部の未凝固部の凝固組織が柱状晶化して中心偏析やセンターポロシティなどの内部品質の悪化や圧延などの加工時の加工性が阻害されると言った問題がある。これらを解決するために、例えば特開昭49−94522号公報(特許文献1)や特開昭51−81734号公報(特許文献2)などが提案されている。これらは、湾曲型の連鋳機の湾曲部の二次冷却帯に鋳片内部の未凝固部を攪拌する電磁攪拌装置を2段以上配置して介在物の除去や凝固組織の微細化を図ることが記載されている。
【0003】
しかし、特許文献1の方法では、湾曲部に配置する電磁攪拌装置が多数になり、設備費用の増大や電磁攪拌装置の装置そのものが連続鋳造の支持セグメントの構造から不可能であり、実用性が極めて困難である。一方、特許文献2の方法では、湾曲部の二次冷却帯に2基の電磁攪拌装置を配置し、しかも、1段目をメニスカスから1.4m、2段目をメニスカスから5.2mの位置にして鋳片の未凝固部を攪拌することにより、ホワイトバンドの発生を抑制しながら良質な鋳片を製造することが提案されているが、しかし、垂直曲げ型の連鋳機を用いて0.7m/min以上の高速鋳造を行う場合には、鋳片の内部の未凝固部が下方に大きく伸び、前記したメニスカスから1.4m、5.2mの範囲で攪拌しても切断された柱状晶の先端が再溶解して、凝固の核としての作用が発現できず、電磁攪拌の効果が全く発揮できない。このため、鋳片の内部の凝固組織を微細な等軸晶が得られず、中心偏析やセンターポロシティなどの内部品質の悪化や圧延などの加工時の加工性が阻害されると言う問題がある。
【0004】
さらに、特開昭54−99737号公報(特許文献3)が提案されているが、この方法も特許文献2と同様の問題がある。また、特開平7−40019号公報(特許文献4)には、鋳型の外周と、ストランドの途中に電磁攪拌装置を配置し、鍛造装置の直前にも電磁攪拌装置を設けて、鍛圧により押し出された未凝固溶鋼の成分濃縮部を後段の電磁攪拌装置による攪拌によって炭素や燐、硫黄などの成分の拡散を図り、中心偏析の軽減やホワイトバンドの形成を抑制して鋳片の品質を改善することが行われている。しかし、この方法では、垂直曲げ型の連鋳機を用いて0.7m/min以上の高速鋳造を行う際に未凝固部が下方に延長して内部品質を阻害するために鍛圧装置が必要になり、装置が大掛かりになること、さらに、凝固末期で、しかも未凝固部が存在する部位での鍛圧を行うことにより内部に割れが発生して鋳片の品質を阻害することになる。
【0005】
また、特開平11−10299号公報(特許文献5)には、鋳型と湾曲部の二次冷却帯にそれぞれ電磁攪拌装置を配置し、特に湾曲部の電磁攪拌装置を用いて鋳片の内部の未凝固溶鋼を攪拌し、成長する柱状晶の先端を剪断して凝固組織を微細にするとともに、中心の固相率が0.1〜0.4の範囲において未凝固厚みの50〜90%の圧下を加えることにより、中心偏析やセンターポロシティを解消するステンレス溶鋼の鋳造方法が提案されている。しかし、この方法では、電磁攪拌装置による鋳片内部の未凝固溶鋼の攪拌が少なくとも中心の固相率が0.1〜0.4の範囲で行われるため、攪拌により剪断された柱状晶の先端が再溶解して凝固核として作用することができず、十分な微細化が行えない。さらに、中心の固相率が0.1〜0.4の領域で圧下するため、脆弱な凝固殻に亀裂が発生して内部割れの要因になる等の問題がある。
【0006】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開昭49−94522号公報)
(2)特許文献2(特開昭51−81734号公報)
(3)特許文献3(特開昭54−99737号公報)
(4)特許文献4(特開平7−40019号公報)
(5)特許文献5(特開平11−10299号公報)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような問題を解消するためのものあって、垂直曲げ型の連鋳機を用いて0.7m/min以上の高速鋳造を行い高生産性を図る場合、高速鋳造することにより、垂直部以降の湾曲部の支持セグメント内を引き抜かれる鋳片の内部の未凝固部が下方向(引抜き方向)に長くなり、前記した未凝固部に起因する問題を解消するもので、生成する内部に柱状晶を安定して抑制し、内部の等軸晶の率を高めて中心偏析やセンターポロシティなどの内部品質を改善し、圧延などの加工時の加工性をも良好にして良品質の鋳片を製造することができる特殊溶鋼の連続鋳造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
その発明の要旨とするところは、
(1)鋳型のメニスカスから少なくとも2m以上の垂直部を有し、該垂直部に連続した湾曲部を備えた垂直曲げ型連続鋳造機を用いて特殊溶鋼を0.7m/min以上の高速度で連続鋳造するに当たり、前記湾曲部に電磁攪拌装置を配置して該湾曲部内部で電磁攪拌を行う領域の鋳片の固相率が1段目が0.3〜0.5、2段目が0.55〜0.9の未凝固溶鋼を攪拌することを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
(2)前記(1)に記載の電磁攪拌を行う鋳片の表面温度を700℃以上になるように鋳造速度および/または二次冷却水の散水を調整することを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
【0009】
(3)前記(1)または(2)に記載の特殊溶鋼がステンレス溶鋼、C:0.2%以上の高炭素溶鋼、Si:0.5%以上の珪素溶鋼のいずれかであることを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
(4)前記(1)〜(3)に記載の連続鋳造機の水平部の支持セグメントのロール間隔を順次狭めて、該ロール間隔を0.1〜0.5mm/mの絞込み鋳造を行うことを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
(5)前記(1)〜(4)に記載の連続鋳造機での鋳型に電磁攪拌装置が備えられていることを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る特殊鋼を連続鋳造するための連続鋳造装置の全体概略図である。この図に示すように、鋳型1のメニスカスから下方2.0〜5mを垂直部2を形成し、その下方に10.5mRの半径の曲率を有する湾曲部3をなす垂直曲げ型の連続鋳造装置から構成される。このように、本発明においては、垂直曲げ型の連続鋳造機であって、かつ、鋳型のメニスカスから少なくとも2m以上の垂直部を有する垂直曲げ型の連続鋳造機を用いる。なお、符号9は鋳片、10はピンチロールを示す。
【0011】
上述したように、垂直部2を有する垂直曲げ型の連続鋳造機での垂直部では、浸漬ノズル4の吐出口5から鋳型1内に注湯された溶鋼の吐出流が鋳型の内壁に衝突して上向き流と下向き流が形成される。この下向き流は、浸漬ノズル4内に吹き込まれたアルゴンガスの気泡や溶鋼中の介在物を随伴して深部に侵入して、この気泡や介在物が初期に形成される凝固殼に補足されるが、前記垂直部2が存在することにより、比重の軽い気泡や介在物を浮上させて溶鋼中から除去することができる。ただ、僅かながら溶鋼中に残存した微細な気泡や介在物は、湾曲部3の上方部の上側面の凝固殼の内面に集積帯を形成するが、後述する溶鋼を電磁攪拌することで、攪拌流により浮上が促進され、より清浄度の高い溶鋼(鋳片)にすることができる。
【0012】
上述した垂直部2は、鋳型のメニスカスから少なくとも2m以上形成させる必要がある。その理由は、垂直部2において浸漬ノズル4から鋳型1内に注湯される溶鋼中の気泡や介在物は、浸漬ノズル4内へのアルゴンガスの吹き込みによるアルゴンガス気泡が浸漬ノズル4から鋳型1内に放出され、垂直部で溶鋼中の気泡や介在物を除去し、高速鋳造においても清浄度の高い鋳片を製造するためである。しかし、鋳型1のメニスカスから下方2.0m未満では、その効果が十分でなく、5mを超えてもその効果は飽和することから、その範囲を2.0〜5mとした。このように、アルゴンガス気泡やAl系介在物を垂直部2で積極的に浮上させ、溶鋼の清浄度を高めることができるので、鋳造速度を速くした鋳造が可能となるものである。
【0013】
次に、垂直部の下方に10.5mRの半径曲率を有する湾曲部3を形成させる。この場合に、通常の湾曲型の連続鋳造装置では、鋳型(メニスカス)から下方に全体を10.5mRの半径の曲率を有する湾曲としているため、垂直部が存在せず、アルゴンガス気泡やAl系介在物の浮上が悪く、しかも、浸漬ノズルの吐出口から鋳型内の放出した溶鋼が鋳型壁面に衝突して反転する下向きの下降流に随伴して鋳片の内部に侵入して、表層欠陥、あるいは内部欠陥の要因になるため、品質の厳しい溶鋼の高速鋳造が難しく、鋳片の内部の下方3〜5m程度の部位に介在物などの集積帯が形成され易い欠点を有する。しかしながら、本発明では、前記したように垂直部で気泡や介在物を積極的に除去して清浄化が可能となる。
【0014】
このように、垂直曲げ型の連続鋳造機によって、アルゴンガス気泡やAl系介在物に起因する品質問題を解消し、この気泡やAl系介在物の問題を解消することで、0.7m/min以上(最適には1.0〜1.6m/min)が可能になり、鋳片の生産性が向上し、同時に内部、表層の欠陥のない良品質の鋳片にすることができる。しかし、一般に高速鋳造を行うと、支持しながら案内する支持セグメント内を通過する鋳片の内部の未凝固部の厚みが厚く、かつ未凝固部の残存する領域が長くなる。この未凝固部の厚みが厚く、かつ未凝固部の残存する領域が長くなると、表層から順次冷却して凝固する鋳片の内部の凝固組織が柱状晶となり、凝固末期の溶鋼流動に起因する中心偏析やセンターポロシティの形成等の問題が発生し、極端な場合内部割れとなり、品質を阻害する。
【0015】
本発明は、この凝固組織を改善するために、所定位置に電磁攪拌装置を設置し、凝固殼の内壁から中心方向に成長する柱状晶(デンドライト)を電磁攪拌による未凝固溶鋼の流れによって、その柱状晶の先端を剪断し、剪断された柱状晶の先端の塊を核として凝固を促進させることにより、凝固組織を微細(等軸晶)にすることができる。この場合、未凝固溶鋼の温度が高い領域(鋳型に近い領域)では、成長した柱状晶の先端を電磁攪拌装置により攪拌して剪断しても、柱状晶の先端の塊が再溶解してしまうので、塊を核として凝固を促進させることができない。従って、鋳片の表面温度が極端に高い場合では、電磁攪拌は、柱状晶(デンドライト)の連続成長を先端の剪断によって抑制できるが、先端の塊を核として凝固を促進させることができない。
【0016】
そこで、本発明においては、1段目電磁攪拌装置6を湾曲部3に配設して、初期段階の電磁攪拌で柱状晶(デンドライト)の連続成長を抑制し、それ以降に凝固する一部を小さい粒の結晶組織にする。すなわち、2段目の電磁攪拌装置7により鋳片の内部の未凝固溶鋼を攪拌することにより、柱状晶の先端を剪断し、その剪断された先端部を核として未凝固の溶鋼が凝固を開始し、多数の核を基点にした組成が形成され、それぞれの凝固核からなる組織粒が互いに粗大化するのを抑制するため、より微細な凝固組織(等軸晶)が形成される。
【0017】
その場合の電磁攪拌を行う位置は、一般に知られている凝固係数k値と、鋳造の経過時間t(sec)から、k√tで求められた固相率Fs(ここで言う固相率Fsは、例えばk値を27とした場合にt時間(sec)経過した時の2倍の値が全凝固相Fであり、全厚みTとの関係からT/Fで決まる値である)を、1段目は0.3〜0.5、2段目は0.55〜0.9(固相率Fs=1は完全に凝固した状態)となるように、電磁攪拌装置を配置することにより、凝固組織を安定して微細化できる。1段目の固相率が0.3未満では、柱状晶(デンドライト)の連続成長を抑制し、それ以降に凝固する一部を小さい粒の結晶組織にすることができない。また、0.5を超えるとその効果は飽和することから0.3〜0.5とした。また、2段目の固相率が0.55未満では、攪拌が柱状晶の先端を剪断し、剪断した先端を凝固核として積極的に活用することが出来ないし、微細化の効果も少ない。また、0.9を超えると完全凝固域(固相率Fs=1)に近くなるため、未凝固領域が小さくなるため攪拌による混合を十分に行うことができない。好ましくは、0.55〜0.8が良い。
【0018】
さらに、電磁攪拌を行う鋳片の表面温度を700℃以上になるように鋳造速度および/または二次冷却水の散水を調整する。鋳片の表面温度が700℃未満になると、SUS(ステンレス鋼)の場合に非磁性体となり、電磁攪拌の作用が十分に伝達できず、未凝固溶融の攪拌を行うことができなくなる。従って、支持セグメント内に配置された散水ノズルからの冷却水の噴霧量を調整し、表面温度が700℃以上になるように調整する。具体的には、連続鋳造で散水する二次冷却水は、全水量でみると3500〜4700l/m(mは鋳造速度1m/分当たり)であり、鋳型の直下の支持セグメントであるトップゾーンにおいて、全冷却水量の30%から60%を散水して初期に強冷を実施し、一挙に凝固殼の生成を促進する。
【0019】
そして、温度が散水により低下したのを内部熱の表面への伝熱による複熱を促進することで、曲げ戻しに耐える凝固殼の形成と、電磁攪拌を付与できる磁性体域の凝固組織にすることができる。さらに、上部の支持セグメントの後の支持セグメント(後方向)では、二次冷却水の散水を最も熱量の大きい鋳片中央部に残部(例えば40%から30%)を散水することで、鋳片の端部近傍の温度低下を抑制しながら、かつ、前記した中央部も適度の冷却にすることにより、端部を含む複熱を促進して表面温度の低下を抑制することができる。一方、鋳造速度を高速鋳造にすることにより、鋳片の内部の残熱量が大きくなるので、鋳片の温度も高くすることができる。
【0020】
しかし、高速鋳造は、前記したように鋳片内部の未凝固部が連続鋳造機の長さ方向に長くなり、未凝固部の延長に起因する問題が発生する。この理由から、高速鋳造を行うには、2段の電磁攪拌装置が必要となること、さらには、清浄鋼を製造するため、連続鋳造機に垂直部が必要となり、その結果、高純度溶鋼を鋳造した清浄度の良好な鋳片の製造、さらには、鋳片の内部品質に起因する中心偏析やセンターポロシティ、内部割れなどの品質阻害要因を解消した清浄で、かつ、欠陥の少ない鋳片、すなわち、鋼材を提供することが出来る。
【0021】
本発明においては、特に清浄度に優れ、内部品質の良好なステンレス、高炭素鋼である0.2%以上の高炭素溶鋼、Si:0.5%以上の珪素溶鋼などを高生産性で製造することができる。しかし、特に、この垂直曲げ型の連続鋳造機を用いてステンレス鋼のスラブを鋳造する場合、垂直部の曲げ部を通過する時に薄い凝固殼の状態での湾曲率に沿った曲げが必要になり、凝固殼に大きな歪みが働くことになる。しかし、この部位の鋳片の温度が900℃以上であることから、鋼種の脆化域の温度を高めに外して曲げを行なうようにすることにより、凝固殼の内部に亀裂や割れを発生させることなく行なうことができる。
【0022】
一方、垂直部から湾曲部を通過した鋳片は、湾曲部の出口で強制ロール8により、水平に矯正されるため、この部位で曲げ戻しによる矯正歪みを受けるが、この場合も鋳片の表面温度を700℃以上、好ましくは800℃以上にして、前記した脆化域を回避すると共に、鋳片の端部が過冷却されて脆化域に入るのを防止して曲げ戻しを行なうことが重要である。この端部の温度を補償するために、端部の散水を湾曲部の途中から遮断して、内部熱の複熱を積極的に行なわしめて700℃以上、好ましくは800℃以上にする。特に、この対応の鋼種としては、SUS、高炭素鋼、珪素鋼を挙げることができる。
【0023】
鋳片の脆化についての鋳片表面、端部の温度について説明したが、鋳片の表面温度が上述したように700℃未満になると、非磁性領域となり、鋳片の内部に電磁力を付与できないため、この温度より低下しないように二次冷却水の散水条件を調整(上部で強冷却、下方で緩冷却して複熱を促進)して、下方において鋳片の端部への散水を遮断することにより、鋳片の全表面の温度を700℃以上にして電磁攪拌の推力(攪拌力)を内部の未凝固溶鋼に付与できるようにしている。特に、この対応の鋼種としては、SUSを挙げることができる。
【0024】
鋳片の内部に形成される未凝固の溶鋼の特徴は、凝固殼の成長が促進して未凝固層が小さくなる程に、内部のS、P、Mn、その他の成分(Fe以外)が濃化してくるので、成分偏析が形成され易くなる。この濃化状態の直前で未凝固部を攪拌してやることで均一化できるので、次に凝固する部位の成分の濃化を軽減することができる。また、鋳片の下方の凝固末期の鋳片の内部は、凝固殼の内側から中心に向けて柱状晶(デンドライト)が成長しており、断面的に見るとノコギリの刃のように凹凸があり、この凹凸が順次冷却と共に成長して高くなり、部位によって凸部と凸部とが接合し、未凝固の溶鋼が内部に封入されて凝固する場合があり、そして、この封入された未凝固の溶鋼が凝固した時の収縮量の空洞が形成されたり、その空洞を例えば圧着しても空洞部に相当する部位に偏析が形成され品質を阻害する。この原因となる柱状晶(デンドライト)のノコギリの刃のように凹凸を解消してやることにより、凸部と凸部とが接合に起因する未凝固溶鋼の内部への封入が抑制され、凝固する成分の均一化に加えて、空洞部や未凝固溶鋼の流動に起因する中心偏析やセンターポロシティの発生を防止できる。
【0025】
次に、支持セグメントのロール間隔を上流側に対し、0.1〜0.5mm/mに相当する量のロール間隔を狭めて鋳片に引抜き抵抗を付与することにより、湾曲部3から水平に鋳片を矯正する矯正部8に圧縮力を付与することができ、矯正部などで発生する内部割れを効率良く防止することができる。すなわち、水平部の鋳片の支持セグメントのロール間隔を順次0.1〜0.5mm/m(mは支持セグメント1m当たりを表すもので、通常での長さは5〜12m程度)の範囲で狭めながら鋳片を引き抜くことにより、引き抜いている鋳片に、ロール間隔が縮小した量に応じた引抜き抵抗が発生することになる。すなわち、例えば、6mの支持セグメントを用いて、この間のロール間隔を2mm狭めて圧縮鋳造を行なうことにより、矯正部に十分な圧縮力を付与することができる。
【0026】
この抵抗は、鋳型のメニスカス(湯面)から順次凝固殼を形成し、その凝固厚みを増しながら引き抜かれている上方の鋳片に引張り力が作用しており、一方、水平部で前記したように引抜き抵抗を付与するために鋳片の矯正部(湾曲から水平に矯正する部位)近傍に圧縮力が作用し、矯正時の鋳片の内部の凝固部に割られ発生するのを圧縮力により抑制することができる。いわゆる、支持セグメントを狭めて鋳片に抵抗を付与することで圧縮鋳造を行なうことが可能になる。圧縮鋳造は、矯正部で湾曲から水平に戻す矯正が内部の凝固殼に引張り力が発生して割れるのを前記した圧縮力を鋳片に付与しておくことにより、矯正部での内部の引張り力を減衰できるものである。
【0027】
しかし、水平部の支持セグメントのロール間隔の狭める値が0.1mm未満では、鋳片の引抜き過程での後方(水平部)の引抜き抵抗が小さくなり、矯正部8や湾曲部3に付与する圧縮力が作用しないので矯正部8での割れが発生しやすくなる。一方、ロール間隔の狭める値が0.5mmを超えると、鋳片に付与する引抜き抵抗値が大きくなるため、支持セグメントを構成するロールや支持構造の大型化、ロール寿命の低下となる。従って、その範囲を0.1〜0.5mm/mとした。また、電磁攪拌装置について鋳型に設けて、溶鋼に旋回流を付与する攪拌を与することも可能である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
2.5mの垂直部を有し、かつ、10.5mRの湾曲部を備えた垂直曲げ型の連続鋳造機を用い、鋳型内の溶鋼に旋回流を付与する攪拌装置を作動して、0.8m/minで鋳造し、メニスカスから下方の位置の固相率が0.3〜0.5の領域と固相率が0.55〜0.9の領域にそれぞれ鋳片内部の未凝固部(溶鋼)を攪拌する電磁攪拌装置(DKS)を配置し、電磁コイルに0.4Mwの投入電力を付与した。そして、それぞれの鋳片の電磁攪拌を付与する位置に存在する鋳片の表面温度が700℃以上になるように、二次冷却水をトップゾーンで全水量として、例えば3500〜4700l/m・分の内の30〜60%を鋳片の全体に散布して強冷却し、残部を鋳片の中央部のみに散水して鋳片の複熱を促進して前記温度を達成した。
【0029】
二次冷却水は、鋳片の中央部がバルジングしない範囲で極力少なくすることができ、さらに、鋳片端部の過冷却を抑制して複熱が促進できるように調整することが好ましく、鋳造速度に応じてトップゾーンの散水量を調整することが好ましい。鋳型に配置した電磁攪拌装置により初期に生成する凝固殼の内部に付着する気泡や介在物を除去し、溶鋼中から浮上させて清浄度を高めることができるので、0.7m/min以上の溶鋼を攪拌し、柱状晶の剪断度の鋳造が可能となる。
【0030】
また、鋳片の支持セグメントのロールの間隔は、通常の鋳片のサイズである、例えば250mm厚み、300mm厚みであれば水平部で支持セグメントのロールの間隔を前記ロールの間隔を0.1〜0.5mm/m(支持セグメント1m当たり)狭めた間隔でロールを配置することにより、引抜き抵抗を鋳片に付与し、矯正部で圧縮力が作用するように行う。その結果、矯正部の凝固殼の内側に働く引張り力を減衰させることができ、内部割れを抑制することが出来た。
【0031】
さらに、高速度鋳造によって、鋳片内部の未凝固部が連続鋳造機体内の後方側に大きく延長してしまうことに起因する凝固組織が粗くなる。この凝固組織を改善するために、先ず、1段目の電磁攪拌の固相率が0.3〜0.5の領域に設置し、内部の未凝固の溶鋼を攪拌し、柱状晶の剪断と、介在物などの集積帯を拡散させて以降に凝固する鋳片の組織、偏析などの品質の低下を防止する。また、固相率が0.55〜0.9の領域に2段目の攪拌装置を設けて内部の未凝固の溶鋼を攪拌し、柱状晶の剪断し、剪断した柱状晶の先端を凝固殼として活用して内部を微細な凝固組織にすることができ、高速度鋳造に起因する鋳片の内部品質を向上することが出来た。なお、介在物などが集積する湾曲部の上方での集積帯を改善するため、電磁攪拌の攪拌推力の付与をパルス状(ON、OFF切替え)にすることができた。その結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 2004216411
【0033】
表1に示すように、No.1〜3は本発明例であり、No.4〜6は比較例である。従来例は、湾曲型の連続鋳造機を用いて2段の電磁攪拌装置を配置して鋳造した場合であり、垂直部がない状態で高速鋳造を行ったため、溶鋼中の気泡や介在物が鋳片内部に補足され、内部品質が極端に低下して悪くなった。しかし、本発明例では、鋳片の高清浄度による内部品質、矯正部における内部割れ、凝固組織の等軸晶も良好であり、優れた品質を備えた鋳片の製造が得られた。この結果は高炭素、電磁鋼の場合でも同様であった。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により特殊鋼用の溶鋼を高速鋳造して高清浄度の溶鋼を凝固させて、気泡や介在物の少ない良品質の鋳片を高い生産性で製造することが可能となった。また、高速鋳造にかかわらず、鋳片の凝固組織を微細にでき、内部に発生する中心偏析やセンターポロシティの生成を抑制した良品質の鋳片を製造することが出来、しかも、二次冷却水や鋳造速度に応じて鋳片の表面温度が700℃以上となるようにしているので、電磁攪拌の効果が高められ、鋳片に発生する過冷却に起因する表面欠陥をも防止することが出来る。さらには、鋳造の難しいSUS、高炭素鋼、珪素鋼などを高い生産性で製造することができ、製造コストの低減が可能になったし、鋳片の内部に発生する矯正部に起因する内部欠陥も防止することができる極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る特殊鋼を連続鋳造するための連続鋳造装置の全体概略図である。
【符号の説明】
1 鋳型
2 垂直部
3 湾曲部
4 浸漬ノズル
5 吐出口
6 1段目電磁攪拌装置
7 2段目電磁攪拌装置
8 矯正部
9 鋳片
10 ピンチロール

Claims (5)

  1. 鋳型のメニスカスから少なくとも2m以上の垂直部を有し、該垂直部に連続した湾曲部を備えた垂直曲げ型連続鋳造機を用いて特殊溶鋼を0.7m/min以上の高速度で連続鋳造するに当たり、前記湾曲部に電磁攪拌装置を配置して該湾曲部内部で電磁攪拌を行う領域の鋳片の固相率が1段目が0.3〜0.5、2段目が0.55〜0.9の未凝固溶鋼を攪拌することを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
  2. 請求項1に記載の電磁攪拌を行う鋳片の表面温度を700℃以上になるように鋳造速度および/または二次冷却水の散水を調整することを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
  3. 請求項1または2に記載の特殊溶鋼がステンレス溶鋼、C:0.2%以上の高炭素溶鋼、Si:0.5%以上の珪素溶鋼のいずれかであることを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
  4. 請求項1〜3に記載の連続鋳造機の水平部の支持セグメントのロール間隔を順次狭めて、該ロール間隔を0.1〜0.5mm/mの絞込み鋳造を行うことを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
  5. 請求項1〜4に記載の連続鋳造機での鋳型に電磁攪拌装置が備えられていることを特徴とする特殊溶鋼の連続鋳造方法。
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