JP3732006B2 - フェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造された鋳片を圧延加工した鋼板にプレス等の二次加工を施した際に発生するリジングを防止できるフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フェライト系ステンレス鋼板は、耐食性に優れており、美しい光沢を長期間にわたり保ち続けること、及び比較的安価であることから、厨房器具や家電製品等に広く使用されている。
このフェライト系ステンレス鋼板は、転炉や電気炉等を用いてクロムを含有する溶鋼を溶製し、真空精錬を行った後、連続鋳造あるいは造塊鋳造等によって得られた鋳片を圧延加工して薄い鋼板を製造し、この鋼板にプレス成形等の二次加工を施して用いられている。
しかし、フェライト系ステンレス鋼板にプレス成形等の二次加工を施した場合、リジングと呼ばれる鋼板の結晶粒ごとの変形に起因した微小な凹凸(しわ)の表面欠陥が発生する。このリジングの程度が酷い場合は、表面の美観を損なうだけでなく、微小割れの起因となるので、研磨等の手段により除去しなければならない。
一般の鋳片の結晶組織は、図4に示すように、鋳型の一次冷却で最初に凝固するチル晶30では、比較的に小さい結晶組織であるが、内部では、冷却が緩慢となり大きいデンドライト31の結晶組織となる。この結晶組織は、圧延加工中及び圧延加工後の鋼板の結晶組織としても大きくなり、プレス成形等の二次加工の際に、結晶粒ごとの伸びの差が発生して微小な表面の凹凸(しわ)が起きる。
また、リジングは、オーステナイト系ステンレス鋼板に比べて、相変態がなく結晶組織が大きいフェライト系ステンレス鋼板に顕著に発生する。
このリジングを防止する方法として、特開平7−15137号公報に示すように、溶鋼に添加した際に溶解しないNi酸化物、Ti酸化物、その他炭化物等を5重量%以下の範囲で添加して微細な結晶組織を形成するか、又は「鉄と鋼(1974年4−S79)」に示すように、窒化物を形成する元素を添加して窒化物の形成により、微細な結晶組織を形成する方法等が提案されている。
また、一般に用いられている結晶組織の微細化の方法としては、低温鋳造や電磁撹拌を用いて、柱状晶の成長を抑制して等軸結晶を形成することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溶鋼に溶解しないNi酸化物、Ti酸化物、その他炭化物等を5重量%以下添加して、微細な結晶組織を形成する方法では、Ni酸化物、Ti酸化物、炭化物等が溶鋼に溶けないために、溶鋼の全体に均一に分散させることが困難であり、添加物が凝集して接種核として作用しなくなり、微細な結晶組織の形成効率が低下し、凝集物が圧延時に疵となる。
更に、添加物の凝集を防止するには、添加方法に特別の工夫を要するが、具体的な手段がなく実現の可能性がない等の問題がある。
また、窒化物を形成する元素を添加して窒化物を形成することにより、微細な結晶組織を形成する方法では、例えば、Tiを添加する場合では、0.15重量%以上の添加が必要であり、足りない場合は、窒化物の一部が凝集して凝固する際の核となるTiNの絶対量が不足して均一な微細組織を形成することができない。
その結果、確実に微細組織を形成するには、添加するTiの量を増加する必要があるが、Tiの増量によって、介在物の増加、耐食性の低下等の材質への悪影響や合金コストの上昇等の問題が生じる。
更に、一般に用いられている結晶組織の微細化の方法においては、そのいずれとも微細な結晶組織の形成効率が低く、低温度に伴うノズル詰まりや地金付着等の鋳造の支障を招く等の問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、鋳片の凝固組織を微細にすることにより、リジングの発生を防止し、鋳片の介在物による品質低下及び耐食性の低下等の材質に悪影響のないフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う請求項1記載のフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法は、クロムを10〜30重量%含むフェライト系ステンレス溶鋼に、金属Mg又はMg合金を添加して、前記フェライト系ステンレス溶鋼の酸素含有量に対するMg%を下記(1)式の範囲とし、さらに前記フェライト系ステンレス溶鋼にTiを0.001〜0.140重量%添加して鋳造する。
3/8×(T.O)≦(Mg%)≦5×(T.O)+0.05・・・(1)
ただし、
T.Oは溶鋼溶製過程でのフェライト系ステンレス溶鋼中の全酸素含有量(重量%)
Mg%はフェライト系ステンレス溶鋼中のMg含有量(重量%)
ここで、フェライト系ステンレス溶鋼のクロムの含有量が10重量%より少ない場合は、製品の耐食性が低下する。更に、クロムの含有量が30重量%より多いと高価な合金の多量に使用することとなりコストが大幅に上昇し、製品の耐食性がそれほど向上しない。
また、フェライト系ステンレス溶鋼中のTiの含有量が0.001重量%より少ないと凝固する際の接種核として働くTiNの絶対量が不足して、結晶組織の微細化が図れない。
一方、Tiの含有量が0.140重量%を超えると結晶組織の微細化は差程向上せず、高価なTiの添加によるコストの上昇を招く。
更に、Mg含有量が3/8×(T.O)より少ない場合は、フェライト系ステンレス溶鋼内に混在する接種核の絶対量が不足するので、凝固した鋳片の結晶組織を微細化できない。
また、Mg含有量が、5×(T.O)+0.05を超えると微細化の効果が飽和し添加する金属Mg等のコストが上昇する。
【0006】
請求項2記載のフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法は、請求項1記載のフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法において、前記フェライト系ステンレス溶鋼に予めAl脱酸、又はAlとMgの複合脱酸を行っている。
【0007】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明の一実施の形態に係るフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法に用いる連続鋳造装置の概略図、図2は接種核の断面状態を模式的に示す図、図3は鋳片の断面の凝固組織図である。
図1に示すように、連続鋳造装置Aは、フェライト系ステンレス溶鋼(以下溶鋼と称する)10をタンディッシュ11に設けた浸漬ノズル12から鋳型13に注湯し、鋳型13による一次冷却により凝固殻を形成した後、引き続き、支持セグメント14によって鋳片15を支持し、冷却水ノズル(図示せず)から散水して凝固を促進する。
更に、鋳片15は、圧下セグメント16により所定の押し込み量で圧下され、ピンチロール17により連続して引き抜かれ、所定のサイズに切断された後、圧延加工及びプレス等の二次加工が施される。
【0008】
次に、連続鋳造装置Aを適用した本発明の一実施の形態に係るフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法について説明する。
溶鋼10は、転炉あるいは電気炉等でクロム合金を添加し、Cを0.60重量%程度に脱炭精錬した後、真空二次精錬(図示せず)を行い、Cが0.050重量%、Crが10.0重量%に調整され、必要に応じてSi、Mn等を添加している。
この溶鋼10は、タンディッシュ11に設けた浸漬ノズル12から鋳型13に注湯されて、鋳型13による一次冷却と支持セグメント14に付設した冷却水ノズル(図示せず)からの散水による二次冷却によって、凝固が進行して鋳片15となる。
この鋳片15は、ピンチロール17により所定の鋳造速度(m/分)となるように連続して引き抜きが行われる。
更に、鋳片15の引き抜きの際に、圧下セグメント16により5〜10mmの押し込み量に相当する圧下が施され、内部に形成されたセンターポロシティ等の内部欠陥が圧着される。
また、溶鋼10は、転炉、電気炉や真空二次精錬(図示せず)により溶製する過程において、フリーの酸素及びFeO、SiO2 、MnO、Al2 O3 等の酸化物を含有しており、これ等を合計した酸素含有量(T.O)は、脱酸等により調整して0.0025重量%にした。
次に、タンディッシュ11内に貯湯された溶鋼10に、金属Mgの粒を添加して、Mg%を3/8×(T.O)〜5×(T.O)+0.05の値に見合う0.0009〜0.0625重量%の範囲に調整した。
このMg%を高めた後の溶鋼10に、Fe−Tiを添加して溶鋼10のTiの含有量を0.001〜0.140重量%にした。
【0009】
金属Mgを添加した溶鋼10中には、Mgと溶鋼10内に含有される酸素及び酸化物(Al2 O3 )が反応してMgO18a及びMgO・Al2 O3 (スピネル化合物)18bを生成し、このMgO18a及びMgO・Al2 O3 18bが溶鋼10内に分散する。
そして、図2に示すように、溶鋼10内に分散したMgO18a及びMgO・Al2 O3 18bの表面に、Tiを添加することによって生成したTiN19が析出して、MgO・TiNやMgO・Al2 O3 ・TiNを形成する。
これは、MgO18aの格子定数0.4213nm(ナノメータ)で、TiN19の格子定数が0.4242nm(ナノメータ)と両方が極めて近似していることから、MgO18a及びMgO・Al2 O3 18bの表面にTiN19が析出し易いことにある。
この析出したTiN19は、溶鋼10が鋳型13及び支持セグメント14内で冷却されて凝固する際に、TiN19の格子定数0.4242nm(ナノメータ)がδ−鉄の格子定数0.4054nm(ナノメータ)に極めて近いために、接種核(この核を起点に溶鋼が最初に凝固する)として作用する働きがあり、TiN19を核として凝固を開始し、同時にそのまま結晶粒として成長し、隣合う結晶粒が接したところで、その結晶粒の成長が止まる。
従って、溶鋼10の中に、まず、MgO18a及びMgO・Al2 O3 18bを多量に分散させ、この表面にTiN19を析出させて溶鋼10を凝固させることで、結晶粒の小さい結晶組織を得る。
この理由から、3/8×(T.O)よりMgの含有量が低下する場合は、接種核の基になるMgO18a及びMgO・Al2 O3 18bの絶対量が低下する。この結果、接種核として活用するMgO・TiNやMgO・Al2 O3 ・TiNの量も低下して、凝固した鋳片の結晶組織を微細化できない。
一方、Mg含有量が5×(T.O)+0.05を超えると、いかに金属Mgを添加してもMgO18a及びMgO・Al2 O3 18bが飽和して顕著な効果が現れず、金属Mg等のコストが上昇する等の問題が発生する。
また、溶鋼10のTiが0.001重量%より低いと、TiN19の形成量が不足して、接種核として活用するTiNの量が低下し、鋳片の結晶組織を微細化できない。また、Tiが0.140重量%を超えると、TiNの効果が飽和してしまい、Ti等のコストの上昇を招く等の問題がある。
このように、溶鋼10に対して分散の良好な反応生成物であるMgO18a及びMgO・Al2 O3 18bを活用し、TiN19との複合の接種核にすることで、TiNの分散を高めて少ない添加量で、結晶組織を微細化が達成できる。
なお、Al2 O3 は、溶鋼10を転炉、電気炉や真空二次精錬(図示せず)により溶製する際に、耐火物の溶出や脱酸生成物としてAl2 O3 が溶鋼10内に混入しているので、生成したMgO18aの一部と反応してMgO・Al2 O3 18bのスピネル化合物を形成する。
【0010】
また、連続鋳造された鋳片15の表層から8mmの範囲の結晶組織は、図3のように、鋳型13の一次冷却で最初に凝固したチル晶20の内側に存在する結晶組織も微細な等軸結晶21を形成しており、結晶組織の微細化が十分に行え、しかも、表層から8mm以上の内部も等軸結晶21に相当する微細な結晶組織にすることができた。
この鋳片15を圧延加工した鋼板は、微細な結晶組織を備えており、プレス加工を施した際に、リジングが発生しなかった。
なお、溶鋼10のMg%を高めるために、金属Mgの粒の他にSi−Mg合金、Ni−Mg等Mg合金を用いることもできる。
【0011】
また、前記タンディッシュ11内の溶鋼10を予めAl、Al合金、又はAl−Mg合金を添加して脱酸を行った後に、前述した様に、酸素含有量(T.O)0.0025重量%に対し、Mg%が3/8×(T.O)〜5×(T.O)+0.05に見合う0.0009〜0.0625重量%となるように、タンディッシュ11内の溶鋼10に金属Mgの粒を添加することもできる。
溶鋼10を予めAl、Al合金、又はAl−Mgを添加して脱酸を行うことにより、転炉、電気炉及び二次精錬(図示せず)等によって過剰に含有する酸素量を適正に低減できるので、接種核として作用しないAl2 O3 等の介在物を減少でき、製品の耐食性の向上や介在物に起因する欠陥の発生を防止できる。
【0012】
【実施例】
次に、フェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方法の実施例について説明する。
まず、溶鋼10は、転炉あるいは電気炉等でクロム合金を添加し、Cを0.60重量%程度に脱炭精錬した後、真空二次精錬を行なったものを用いた。
実施例NO.1〜NO.3では、組成として、Cを0.011〜0.052重量%、Siを0.32〜0.68重量%、Mnを0.17〜0.37重量%、Pを0.010〜0.034重量%、Sを0.0035〜0.0055重量%、クロムを10〜30重量%、Alを0.001重量%、Nを0.0074〜0.0135重量%、T.Oを0.0064〜0.0084重量%含有し、Al脱酸を行わないものを用いた。
この溶鋼10にタンディッシュ11内で、金属Mgの粒を添加し、酸素含有量(T.O)に対してMg%の調整を行いTiを添加し、連続鋳造を行った後、鋳片の結晶組織の微細化の状態(結晶粒径)及びプレス加工後の耐食性とリジング発生ランクを調査した。
なお、リジングの評価は、JIS5号の引張り試験片を作成して表面を鏡面研磨したものに、15%の引張り変形を与えた後の表面のリジング(しわ)の高さからAランク(10μm未満)、Bランク(10μm以上〜20μm未満)、Cランク(20μm以上)として評価した。
【0013】
まず、実施例NO.1は、Mg%を0.0030重量%、Tiを0.001重量%に調整した場合であり、平均の結晶粒径0.9mmの微細な結晶組織が得られ、プレス加工後の耐食性及びリジングの発生ランクもAと良好であり、総合評価が良好(○)な結果であった。
更に、実施例NO.2は、Mg%を0.0033重量%、Tiを0.140重量%に調整した。NO.3は、Mg%を0.0798重量%、Tiを0.103重量%に調整した。その結果、平均の結晶粒径は、それぞれ1.2mm、0.7mmの微細な結晶組織が得られ、いずれもプレス加工後の耐食性及びリジングの発生ランクがAと良好であり、総合評価は、良好(○)な結果であった。
【0014】
【表1】
【0015】
また、実施例NO.4〜NO.6では、Cを0.011〜0.053重量%、Siを0.31〜0.42重量%、Mnを0.17〜0.36重量%、Pを0.011〜0.029重量%、Sを0.0031〜0.0046重量%、クロムを10〜30重量%、Alを0.090〜0.180重量%、Nを0.0060〜0.0102重量%含有し、Alを添加して脱酸を行って、T.Oを0.0013〜0.0034重量%としたものを用い、それぞれのT.Oに対する所定範囲内のMgと、Tiを添加して、結晶組織の微細化の状態(結晶粒径)及びプレス加工後の耐食性とリジングの発生ランクを調査した。
実施例NO.4は、Mg%を0.0020重量%、Tiを0.002重量%に調整した場合であり、平均の結晶粒径が1.1mmの微細な結晶組織が得られ、プレス加工後の耐食性及びリジングの発生ランクもAであり、総合評価は、良好(○)な結果となった。
更に、実施例NO.5は、Mg%を0.0017重量%、Tiを0.140重量%に調整した。NO.6は、Mg%を0.0542重量%、Tiを0.072重量%に調整した。その結果、平均の結晶粒径は、それぞれ0.9mm、0.7mmの微細な結晶組織が得られ、いずれもプレス加工後の耐食性及びリジングの発生ランクがAの良好であり、総合評価は、良好(○)な結果であった。
【0016】
【表2】
【0017】
これに対して、Al脱酸を行わないで、T.Oを0.0064重量%にし、Mg%を0.0008重量%、Tiを0.140重量%に調整した比較例1では、Mg%が低く、平均の結晶粒径が1.6mmと結晶組織が大きくなり、プレス加工後のリジングの発生ランクがCとなり、総合評価が悪い(×)結果であった。更に、Al脱酸を行わないで、T.Oを0.0058重量%にし、Mg%を0.0801重量%、Tiを0.098重量%に調整した比較例2では、過剰に金属Mgを添加してMg%を高くし過ぎたので、製品の耐食性が低下し、総合評価として悪い(×)結果となった。
また、Al脱酸を行って、T.Oを0.0029重量%にし、Mg%を0.0009重量%、Tiを0.140重量%に調整した比較例3では、Mg%が低く、平均の結晶粒径が1.5mmで結晶組織が大きくなり、プレス加工後のリジングの発生ランクがCであり、総合評価が悪い(×)結果となった。
【0018】
【表3】
【0019】
また、溶鋼10を前述の組成条件及び金属Mg及び金属Ti、Ti合金の添加条件等を同じにして、造塊鋳造を実施し、その鋳片の凝固した結晶組織及びプレス加工後のリジングの発生状況、表面光沢等を調査したが、前記の連続鋳造を用いた場合と同等の結果であった。
【0020】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、金属Mg、Mg合金(金属Ti、Ti合金も同様)の添加方法として、粒状物に代えて金属MgあるいはMg合金のワイヤーを用いるか、又は、取鍋の溶鋼中に金属MgあるいはMg合金を添加して、Mg%を高めても良い。
また、本実施の形態では、鋳片に圧下する方法を用いたが、圧下を施さないで圧延加工を行うこともできる。
【0021】
【発明の効果】
請求項1及び請求項2記載のフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法は、クロムを10〜30重量%含有するフェライト系ステンレス溶鋼に、Mg又はMg合金を添加して、溶鋼溶製過程での前記フェライト系ステンレス溶鋼の酸素含有量に対するMg%を3/8×(T.O)≦(Mg%)≦5×(T.O)+0.05の範囲にし、さらにTiを0.001〜0.140重量%添加して鋳造するので、鋳片の結晶組織を微細化でき、プレス等の二次加工の際に発生するリジングを防止して、研磨等をすることなく優れた表面光沢と耐食性を保持できる。
【0022】
特に、請求項2記載のフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法は、前記フェライト系ステンレス溶鋼がAl又はAl合金によって脱酸されているので、過剰な酸素含有量を抑制し、酸化物の混入による介在物に起因する欠陥及び酸化物の混入による耐食性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法に用いる連続鋳造装置の概略図である。
【図2】接種核の断面状態を模式的に示す図である。
【図3】鋳片の部分断面の凝固組織図である。
【図4】従来の鋳片の部分断面の凝固組織図である。
【符号の説明】
A 連続鋳造装置
10 フェライト系ステンレス溶鋼(溶鋼)
11 タンディッシュ 12 浸漬ノズル
13 鋳型 14 支持セグメント
15 鋳片 16 圧下セグメント
17 ピンチロール 18a MgO
18b MgO・Al2 O3 19 TiN
20 チル晶 21 等軸結晶
Claims (2)
- クロムを10〜30重量%含むフェライト系ステンレス溶鋼に、金属Mg又はMg合金を添加して、前記フェライト系ステンレス溶鋼の酸素含有量に対するMg%を下記(1)式の範囲とし、さらに前記フェライト系ステンレス溶鋼にTiを0.001〜0.140重量%添加して鋳造することを特徴とするフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法。
3/8×(T.O)≦(Mg%)≦5×(T.O)+0.05・・・(1)
ただし、
T.Oは溶鋼溶製過程でのフェライト系ステンレス溶鋼中の全酸素含有量(重量%)
Mg%はフェライト系ステンレス溶鋼中のMg含有量(重量%) - 前記フェライト系ステンレス溶鋼に予めAl脱酸、又はAlとMgの複合脱酸を行うことを特徴とする請求項1記載のフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造法。
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