JPH11320033A - フェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方法 - Google Patents

フェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方法

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JPH11320033A
JPH11320033A JP14052098A JP14052098A JPH11320033A JP H11320033 A JPH11320033 A JP H11320033A JP 14052098 A JP14052098 A JP 14052098A JP 14052098 A JP14052098 A JP 14052098A JP H11320033 A JPH11320033 A JP H11320033A
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stainless steel
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Takashi Morohoshi
隆 諸星
Akifumi Seze
昌文 瀬々
Ryusuke Miura
龍介 三浦
Yasuhiro Kinari
康弘 紀成
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳片の凝固組織を微細にしてリジングの発生
の防止と、鋳片の介在物による耐食性の低下を抑制した
フェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方法を提供する。 【解決手段】 クロムを10〜30重量%含むフェライ
ト系ステンレス溶鋼10に、金属Mg、Mg合金の少な
くとも1種と、MgOの活量を下げる耐腐食金属を添加
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造された鋳片を
圧延加工した鋼板にプレス等の二次加工を施した際に発
生するリジングの防止と、耐腐食性に優れたフェライト
系ステンレス溶鋼の鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼板は、耐食性
に優れており、美しい光沢を長期間にわたり保ち続ける
こと、比較的安価であること等から、厨房器具や家電製
品等に広く使用されている。このフェライト系ステンレ
ス鋼板は、転炉や電気炉等を用いてクロムを含有する溶
鋼を溶製し、真空精錬を行った後、連続鋳造あるいは造
塊鋳造等によって得られた鋳片を圧延加工して薄い鋼板
を製造し、この鋼板にプレス成形等の二次加工を施して
用いられている。しかし、フェライト系ステンレス鋼板
にプレス成形等の二次加工を施した場合、リジングと呼
ばれる鋼板の結晶粒ごとの変形に起因した微小な凹凸
(しわ)の表面欠陥が発生する。このリジングの程度が
著しい場合は、表面の美観を損なうだけでなく、微小割
れの起因となるので、研磨等の手段により除去しなけれ
ばならない。一般の鋳片の結晶組織は、鋳型の一次冷却
によって最初に凝固する表層で、比較的に小さい結晶組
織のチル晶であるが、冷却が緩慢となる内部で、大きい
デンドライトの結晶組織となる。この結晶組織は、圧延
加工中及び圧延加工された後の鋼板においても大きくな
るため、プレス成形等の二次加工の際に、結晶粒ごとの
伸びの差が発生して微小な表面の凹凸(しわ)が起き
る。このリジングを防止する方法として、特開平7−1
5137号公報に記載されるように、溶鋼に添加した際
に溶解しないNi酸化物、Ti酸化物、その他炭化物等
を5重量%以下の範囲で添加して微細な結晶組織を形成
するか、又は「鉄と鋼(1974年4−S79)」に記
載されるように、窒化物を形成する元素を添加して窒化
物の形成により、微細な結晶組織を形成する方法等が提
案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶鋼に
溶解しないNi酸化物、Ti酸化物、その他炭化物等を
5重量%以下添加して、微細な結晶組織を形成する方法
では、Ni酸化物、Ti酸化物、炭化物等が溶鋼に溶け
ないために、溶鋼の全体に均一に分散させることが困難
であり、添加物が凝集して接種核として作用しなくな
り、微細な結晶組織の形成効率が低下し、凝集物が圧延
時に微小の残存疵となる。この微小の残存疵は、製品の
耐食性を低下し、溶鋼中の酸化物が増加すると、薄板に
加工された際に、酸化物の一部が表面に露出し、この酸
化物を起点として腐食が発生し易い等の問題がある。ま
た、窒化物を形成する元素を添加することにより、微細
な結晶組織を形成する方法では、例えば、Tiを添加す
る場合では、0.15重量%以上の添加が必要であり、
足りない場合は、窒化物の一部が凝集し、核となるTi
Nの絶対量が不足して均一な微細組織を形成することが
できない。その結果、確実に微細組織を形成するには、
添加するTiの量を増加する必要があり、Tiの増量に
よって、介在物が増加するために、前述と同様の理由か
ら圧延時に微小の残存疵が発生して、耐食性が低下する
等の材質への悪影響や合金コストの上昇等の問題があ
る。
【0004】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、鋳片の凝固組織を微細にしてリジングの発生の抑制
と、鋳片の介在物による耐食性の低下を抑制したフェラ
イト系ステンレス溶鋼の鋳造方法を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載のフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方法は、クロ
ムを10〜30重量%含むフェライト系ステンレス溶鋼
に、金属Mg、Mg合金の少なくとも1種と、Mgの活
量を下げる耐腐食金属を添加している。ここで、フェラ
イト系ステンレス溶鋼のクロムの含有量が10重量%よ
り少ない場合は、製品の耐食性が低下する。一方、クロ
ムの含有量が30重量%より多いと高価な合金を多量に
使用することとなりコストが大幅に上昇し、製品の耐食
性がそれほど向上しない。また、Mgの活量を下げる耐
腐食金属は、オーステナイトの生成元素であり、しか
も、Mgの活量を下げることができる金属である。
【0006】請求項2記載のフェライト系ステンレス溶
鋼の鋳造方法は、請求項1記載のフェライト系ステンレ
ス溶鋼の鋳造方法において、前記金属Mg、Mg合金の
Mgの添加量が0.001〜0.09重量%である。フ
ェライト系ステンレス溶鋼に添加されるMg重量%が
0.001未満では、接種核の基になるMgOの絶対量
が不足して、凝固した鋳片の結晶組織を微細化できな
い。また、添加されるMg重量%が0.09重量%を超
えると、いかにMgを添加してもMgOが飽和して顕著
な効果が現れず、金属Mg等のコストが上昇する。
【0007】請求項3記載のフェライト系ステンレス溶
鋼の鋳造方法は、請求項1又は2記載のフェライト系ス
テンレス溶鋼の鋳造方法において、前記耐腐食金属がN
i、Cuの少なくとも1種である。
【0008】請求項4記載のフェライト系ステンレス溶
鋼の鋳造方法は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の
フェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方法において、前記
耐腐食金属の添加量が下記(1)式の範囲である。 10×(Mg重量%)≦(耐腐食金属の添加量) ≦0.1×(Cr重量%) ・・・・・(1) ただし、 Mg重量%は、フェライト系ステンレス溶鋼中のMg含
有量(重量%) Cr重量%は、フェライト系ステンレス溶鋼中のCr含
有量(重量%) ここで、耐腐食金属の添加量が10×(Mg重量%)未
満になると、Mgの添加によって生成したMgO及びM
gO・Al2 3 に起因する発錆を防止できない。一
方、耐腐食金属の添加量が、0.1×(Cr重量%)を
超えるとMgO及びMgO・Al2 3 に起因する発錆
の防止効果が飽和し、耐腐食金属のコストが上昇する。
【0009】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図1は本発明の一実施の形態に係る
フェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方法に用いる連続鋳
造装置の概略図、図2は鋳片の断面の凝固組織図であ
る。図1に示すように、連続鋳造装置Aは、フェライト
系ステンレス溶鋼(以下溶鋼と称する)10をタンディ
ッシュ11に設けた浸漬ノズル12から鋳型13に注湯
し、鋳型13による一次冷却により凝固殻を形成した
後、引き続き、支持セグメント14によって鋳片15を
支持し、冷却水ノズル(図示せず)から散水して凝固を
促進する。更に、鋳片15は、圧下セグメント16によ
り所定の押し込み量で圧下され、ピンチロール17によ
り連続して引き抜かれ、所定のサイズに切断された後、
圧延加工とプレス等の二次加工が施される。
【0010】次に、連続鋳造装置Aを適用した本発明の
一実施の形態に係るフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造
方法について説明する。溶鋼10は、転炉あるいは電気
炉等でクロム合金を添加し、Cを0.60重量%程度に
脱炭精錬した後、真空二次精錬(図示せず)を行い、C
が0.052重量%、Crが16.1重量%に調整さ
れ、必要に応じてSi、Mn等を添加している。この溶
鋼10は、タンディッシュ11に設けた浸漬ノズル12
から鋳型13に注湯されて、鋳型13による一次冷却と
支持セグメント14に付設した冷却水ノズルからの散水
による二次冷却によって、凝固が進行して鋳片15とな
る。この鋳片15は、所定の鋳造速度(m/分)となる
ようにピンチロール17により連続して引き抜きが行わ
れる。更に、鋳片15の引き抜きの際に、圧下セグメン
ト16により5〜10mmの押し込み量に相当する圧下
が施され、内部に形成されたセンターポロシティ等の内
部欠陥が圧着される。また、溶鋼10は、転炉、電気炉
や真空二次精錬により溶製する過程において、フリーの
酸素及びFeO、SiO2 、MnO、Al2 3 等の酸
化物を含有しており、これ等を合計した全酸素含有量
(T.O)は、脱酸等により所定の値になるように調整
する。
【0011】次に、タンディッシュ11内に貯湯された
溶鋼10に、Mg濃度として0.001〜0.09重量
%に相当する量の金属Mgの粒を添加する。金属Mgを
添加した溶鋼10中には、Mgと溶鋼10内に含有され
る酸素及び酸化物(Al2 3 )が反応してMgO及び
MgO・Al2 3 (スピネル化合物)を生成し、この
MgO及びMgO・Al2 3 が溶鋼10内に分散す
る。そして、溶鋼10内に分散したMgO及びMgO・
Al2 3 は、MgOの格子定数0.4213nm(ナ
ノメータ)が、δ−鉄の格子定数0.4054nm(ナ
ノメータ)に極めて近いために、接種核(この核を起点
に溶鋼が最初に凝固する)として作用する働きがあり、
これを核として凝固を開始し、同時にそのまま結晶粒と
して成長し、隣合う結晶粒が接したところで、その結晶
粒の成長が止まる。従って、溶鋼10の中に、MgO及
びMgO・Al2 3 を多量に分散させて、鋳型13及
び支持セグメント14内で冷却して、溶鋼10を凝固さ
せると、結晶粒の小さい結晶組織の鋳片15を得ること
ができる。この理由から、溶鋼10に添加するMg濃度
が、0.001重量%未満になると、接種核として作用
するMgO及びMgO・Al2 3 の絶対量が不足する
ので、結晶粒の成長を抑制する働きが小さくなる。ま
た、溶鋼10に添加するMg濃度が、0.09重量%を
超えると、いかに金属Mgを添加してもMgO及びMg
O・Al2 3 が飽和して顕著な効果が現れず、金属M
g等のコストが上昇する等の問題が発生する。
【0012】そして、金属Mgの粒を添加した溶鋼10
には、溶鋼10中のMg含有量(Mg重量%)とCr含
有量(Cr重量%)に対して、Mgの活量を下げる耐腐
食金属として、Ni又はCuの少なくとも1種を(1)
式の範囲で添加している。 10×(Mg重量%)≦(耐腐食金属の添加量) ≦0.1×(Cr重量%) ・・・・・(1) これは、耐腐食金属の添加量が、溶鋼10中に添加した
Mg重量%の10倍より少ないと、金属Mgの添加によ
って生成したMgO及びMgO・Al2 3 に起因する
発錆を防止できない。一方、耐腐食金属の添加量が、
0.1×(Cr重量%)を超えると、MgO及びMgO
・Al2 3 に起因する発錆の防止効果が飽和し、耐腐
食金属のコストが上昇する。この耐腐食金属による発錆
の防止のメカニズムは、実験を行った結果、生成したM
gOが水溶性であり、水酸化マグネシア(Mg(HO)
2 )を形成し易いために、薄鋼板中に含有されると発錆
の起点になり易いが、Ni又はCuの少なくとも1種を
添加すると発錆の防止効果が顕著となり、耐食性を向上
できる結論を得た。
【0013】また、溶鋼10中に添加する量としては、
Mg濃度として0.001〜0.09重量%に相当する
量の金属Mgの粒を、3/8×(T.O)〜5×(T.
O)+0.05の値に見合うように調整するとより好ま
しい結果が得られる。この理由は、金属Mgの添加量が
3/8×(T.O)より少ない場合は、接種核の基にな
るMgO及びMgO・Al2 3 の絶対量が低下し、凝
固した鋳片の結晶組織を微細化できない。一方、金属M
gの添加量が5×(T.O)+0.05を超えると、い
かに金属Mgを添加してもMgO及びMgO・Al2
3 が飽和して顕著な効果が現れず、金属Mg等のコスト
が上昇する等の問題が発生する。なお、Al2 3 は、
溶鋼10を転炉、電気炉や真空二次精錬により溶製する
際に、耐火物の溶出や脱酸生成物としてAl2 3 が溶
鋼10内に混入しているので、生成したMgOの一部と
反応してMgO・Al2 3 のスピネル化合物を形成す
る。
【0014】また、連続鋳造された鋳片15の表層から
8mmの範囲の結晶組織は、図2のように、鋳型13の
一次冷却で最初に凝固したチル晶18の内側に存在する
結晶組織も微細な等軸結晶19を形成しており、結晶組
織の微細化が十分に行え、しかも、表層から8mm以上
の内部も等軸結晶19に相当する微細な結晶組織にする
ことができた。この鋳片15を圧延加工した鋼板は、微
細な結晶組織を備えており、プレス加工を施した際に、
リジングの発生がなく、しかも、鋼板に5重量%のNa
Clを添加した水溶液を噴霧した耐食性の評価試験でも
発錆のない良好な結果が得られた。
【0015】なお、溶鋼10に添加するMgとしては、
金属Mgの粒の他にSi−Mg合金、Ni−Mg等Mg
合金を用い、各Mg合金毎に歩留りを求めておき、この
歩留りに応じて添加することができる。更に、NiやC
uの添加時期は、金属MgやMg合金を添加する前ある
いは後で行うか、又は、金属MgやMg合金と同時に行
うことができ、MgとNiやCuを含有するMg合金を
用いることができる。また、溶鋼10に予めAl、Al
合金、又はAl−Mgを添加して脱酸を行うことによ
り、転炉、電気炉及び二次精錬等によって過剰に含有す
る酸素量を適正に低減できるので、接種核として作用し
ないAl2 3 等の介在物を減少でき、製品の耐食性の
向上や介在物に起因する欠陥の発生を防止できるのでよ
り好ましい。
【0016】
【実施例】次に、フェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方
法の実施例について説明する。まず、溶鋼は、転炉ある
いは電気炉等でクロム合金を添加し、Cを0.60重量
%程度に脱炭精錬した後、真空二次精錬を行なったもの
を用いた。その組成として表1に示すように、実施例1
及び実施例2は、それぞれ、Cを0.052、0.04
2重量%、Siを0.32、0.29重量%、Mnを
0.15、0.21重量%、Pを0.015、0.01
7重量%、Sを0.0025、0.0023重量%、A
lを0.120、0.100重量%、クロムを16.
1、10.6重量%の組成とした。この溶鋼に、タンデ
ィッシュ11内で、溶鋼に対する濃度が0.0023、
0.0032重量%に相当する金属Mgの粒を添加し、
同時にNi合金の一例である鉄−Ni線を連続供給して
Niを0.025、0.980重量%にした。そして、
連続鋳造を行った後、鋳片の結晶組織の微細化の状態
(結晶粒径)及びプレス加工後のリジング発生ランクと
耐食性を調査した。なお、リジングの評価は、JIS5
号の引張り試験片を作成して表面を鏡面研磨したもの
に、15%の引張り変形を与えた後の表面のリジング
(しわ)の高さからAランク(10μm未満)、Bラン
ク(10μm以上〜20μm未満)、Cランク(20μ
m以上)として評価した。また、耐食性の評価は、5重
量%のNaClを添加した水溶液を35℃の雰囲気温度
で3日間連続噴霧する塩水噴霧試験(Salt−Spr
ay−Test)により評価した。その結果、実施例1
では、平均の結晶粒径0.9mmの微細な結晶組織が得
られ、プレス加工後のリジングの発生ランクがA、塩水
噴霧試験での発錆がなく、表1に示すように、総合評価
は良好(○)な結果であった。また、実施例2も微細な
結晶組織が得られ、いずれもプレス加工後のリジングの
発生ランクがA、塩水噴霧試験での発錆がなく、総合評
価が良好(○)な結果であった。
【0017】また、実施例3及び実施例4は、それぞ
れ、Cを0.029、0.073重量%、Siを0.4
6、0.54重量%、Mnを0.34、0.41重量
%、Pを0.021、0.018重量%、Sを0.00
24、0.0021重量%、Alを0.090、0.0
50重量%、クロムを29.1、19.4重量%の組成
とした。この溶鋼に、タンディッシュ内で、溶鋼に対す
る濃度が0.0055、0.0096重量%に相当する
金属Mgの粒を添加し、同時にCu合金の一例である鉄
−Cu線を連続供給してCuを0.062、0.105
重量%にした。そして、連続鋳造を行った後、鋳片の結
晶組織の微細化の状態(結晶粒径)及びプレス加工後の
リジング発生ランクと耐食性を調査した。まず、実施例
3は、平均の結晶粒径0.9mmの微細な結晶組織が得
られ、プレス加工後のリジングの発生ランクがA、塩水
噴霧試験での発錆がなく、総合評価が良好(○)な結果
であった。更に、実施例4は、微細な結晶組織が得ら
れ、プレス加工後のリジングの発生ランクがA、塩水噴
霧試験での発錆がなく、総合評価が良好(○)な結果で
あった。
【0018】実施例5及び実施例6は、耐腐食性金属と
して、NiとCuの両方を添加した場合であり、Niを
それぞれ0.041、1.550重量%に、Cuを0.
004、0.150重量%とした。そして、連続鋳造を
行った後、鋳片の結晶組織の微細化の状態(結晶粒径)
及びプレス加工後のリジング発生ランクと耐食性を調査
した。まず、実施例5、6共に、微細な結晶組織が得ら
れ、プレス加工後のリジングの発生ランクがA、塩水噴
霧試験での発錆がなく、総合評価が良好(○)な結果で
あった。
【0019】
【表1】
【0020】これに対して、比較例1は、Niを0.0
39重量%に低くし過ぎた(0.048重量%以上必
要)ので、塩水噴霧試験で発錆が生じ、総合評価が悪い
(×)結果となった。また、比較例2は、Cuを0.0
25重量%添加したが、添加量が少なかった(0.03
1重量%以上必要)ので、塩水噴霧試験で発錆が生じ、
総合評価が悪い(×)結果となった。更に、比較例3
は、Niを0.040重量%、Cuを0.008重量%
複合添加した場合であり、両方を合わせた添加量が少な
く(0.053重量%以上必要)、塩水噴霧試験で発錆
が生じ、総合評価が悪い(×)結果となった。
【0021】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、金属Mg、Mg合金の添加方法と
して、粒状物に代えて金属MgあるいはMg合金のワイ
ヤーを用いるか、又は、取鍋の溶鋼中に金属Mgあるい
はMg合金を添加して、Mg重量%を高めても良い。更
に、NiやCuの添加方法について、鉄−Ni、その他
Ni合金、金属Cu、Cu合金等を出鋼中の取鍋内に投
入するか、又は、出鋼後の取鍋内に添加しても良い。ま
た、本実施の形態では、鋳片に圧下する方法を用いた
が、圧下を施さないで圧延加工を行うこともできる。
【0022】
【発明の効果】請求項1〜4記載のフェライト系ステン
レス溶鋼の鋳造方法においては、クロムを10〜30重
量%含むフェライト系ステンレス溶鋼に、金属Mg、M
g合金の少なくとも1種と、Mgの活量を下げる耐腐食
金属を添加するので、鋳片の結晶組織を微細化して二次
加工の際に発生するリジングを無くし、表面光沢を良好
にすると共に、酸化物による耐食性の低下を抑制でき
る。
【0023】特に、請求項2記載のフェライト系ステン
レス溶鋼の鋳造方法においては、前記金属Mg、Mg合
金のMgの添加量が0.001〜0.09重量%である
ので、適正な酸化物量により、安定して鋳片の結晶組織
を微細化し、リジングの発生を防止し、過剰な酸化物に
よる介在物に起因する欠陥及び酸化物の混入による耐食
性の低下を防止できる。
【0024】請求項3記載のフェライト系ステンレス溶
鋼の鋳造方法においては、前記耐腐食金属がNi、Cu
の少なくとも1種であるので、鋳片の結晶組織の微細化
を阻害することなく、介在物や酸化物による耐食性の低
下を防止できる。
【0025】請求項4記載のフェライト系ステンレス溶
鋼の鋳造方法は、前記耐腐食金属の添加量が、適正な範
囲であるので、介在物や酸化物による耐食性の低下をよ
り確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るフェライト系ステ
ンレス溶鋼の鋳造方法に用いる連続鋳造装置の概略図で
ある。
【図2】鋳片の部分断面の凝固組織図である。
【符号の説明】
A 連続鋳造装置 10 フェライト系ステンレス溶鋼(溶鋼) 11 タンディッシュ 12 浸漬ノズル 13 鋳型 14 支持セグメ
ント 15 鋳片 16 圧下セグメ
ント 17 ピンチロール 18 チル晶 19 等軸結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 紀成 康弘 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロムを10〜30重量%含むフェライ
    ト系ステンレス溶鋼に、金属Mg、Mg合金の少なくと
    も1種と、Mgの活量を下げる耐腐食金属を添加したこ
    とを特徴とするフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記金属Mg、Mg合金のMgの添加量
    が0.001〜0.09重量%であることを特徴とする
    請求項1記載のフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記耐腐食金属がNi、Cuの少なくと
    も1種であることを特徴とする請求項1又は2記載のフ
    ェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方法。
  4. 【請求項4】 前記耐腐食金属の添加量が下記(1)式
    の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項に記載のフェライト系ステンレス溶鋼の鋳造方法。 10×(Mg重量%)≦(耐腐食金属の添加量) ≦0.1×(Cr重量%) ・・・・・(1) ただし、 Mg重量%は、フェライト系ステンレス溶鋼中のMg含
    有量(重量%) Cr重量%は、フェライト系ステンレス溶鋼中のCr含
    有量(重量%)
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000061322A1 (fr) * 1999-04-08 2000-10-19 Nippon Steel Corporation Piece en acier moule et produit en acier presentant une excellente aptitude au formage et procede de traitement d'acier en fusion prevu a cet effet, et procede de production associe

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