JP3458831B2 - Cr系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

Cr系ステンレス鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ローピング性に優
れ、しかも表面性状の良好なTi添加Cr系ステンレス鋼と
それを安定して製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Cr系ステンレス鋼は、優れた加工性や耐
食性を有している上、比較的安価であることから、厨房
用品、電気製品および自動車用材料として広く用いられ
ている鋼種である。
【0003】しかしながら、Cr系ステンレス鋼には、そ
の連続鋳造鋳片を圧延して製造した鋼板に深絞りや曲げ
等の冷間加工を施すと圧延方向に沿って“ローピング”
と呼ばれる肌荒れ性の表面起伏が頻繁に生じるとの問題
が指摘されている。ローピングが生じると、製品の外観
悪化を招いて商品価値を損ねることからこの問題は極め
て深刻なものであった。
【0004】このようなローピングの発生原因は、連続
鋳造時に生成した粗大な柱状晶組織が圧延工程でも十分
に破壊されず、しかも集合組織が残存してしまう上、こ
の粗大粒や集合組織は熱間圧延中に再結晶し難く、その
ため組織が微細化せず、従って塑性変形に異方性や不均
一性が現れることにあると一般に考えられている。
【0005】SUS430鋼のような鋼種の場合には熱間圧延
中にフェライト (α) とオーステナイト (γ) 相の2相
組織に分離するものであり、鋳造組織のフェライト
(α) が粗大であれば、これから分離生成したこれら2
相も当然に粗大となって上述のような不都合を招くもの
と考えられていた。
【0006】そこで、ローピング現象等の表面欠陥の発
生を低減するために鋼の結晶粒を微細化することが最も
有効であるとされ、従来より“温間圧延法”や“異径ロ
ーピング圧延法”等のように圧延に工夫を加えるものが
提唱されている。しかし、それでも十分に満足できる再
結晶化を達成するのは困難であり、さらに冷間圧延と焼
鈍工程とを付加する必要がある等、大幅なコストアップ
を伴う処理を避け難かった。
【0007】一方、圧延素材たる連続鋳造鋳片の横断面
方向に分布する等軸晶帯を増加することは鋳造組織の微
細化につながるものであるが、これも耐ローピング性改
善に有効であることが確認されたことから、鋳片凝固組
織を等軸晶化してローピング現象の抑制を図るべく“低
温鋳造法”、“電磁攪拌”、“Ti、Mg等の合金元素を添
加する方法”等の試みも実施されているが、これらの方
法には何れも次のような問題点があり、今一つ満足でき
るものではなかった。
【0008】すなわち、低温鋳造法は、鋳込温度を凝固
温度に可及的に接近させて行う鋳造法であるため操業中
にノズル詰まりが発生し易く、最悪の場合には鋳込みが
不可能となる他、鋳込溶湯の粘性が高くなるので“連続
鋳造用フラックス (CCパウダ) の巻き込み現象”あるい
は“非金属介在物の浮上分離が不十分となること”等に
起因する鋳片表面疵の発生が目立つことから、量産的な
商業ベースでの採用が困難である。
【0009】また、電磁攪拌は凝固組織の等軸晶化に有
効な方法ではあるが、安定して達成できる等軸晶化率は
精々鋳片断面の60%以下程度しかなく、通常、圧延によ
って耐ローピング性に優れた鋼板を得ることのできる鋳
片の等軸晶化率の下限たる“等軸晶化率:70%”には及
ばないものであった。
【0010】一方、析出核接種のためにCr系ステンレス
鋼にTi、Mg等の合金元素を添加することで凝固組織の等
軸晶化は容易となるが、添加したTiと溶鋼中に存在する
Nとの反応生成物たるTi含有介在物が単独で、あるいは
さらにこれとノズル耐火物やCCパウダとの反応生成物
が鋳片表面に捕捉され、表面疵の原因となると言う問題
も無視できなかった。
【0011】特に、Mg添加については、特開平10−3249
56号公報、特開平9−271900号公報にて論じられている
が、高Mg領域では表面疵の悪化、製造コストの増加の問
題が無視できない。
【0012】特開平8−281380号公報等には、Ti添加に
よる微細化技術が開示されているが、これも表面疵防止
との両立が問題となる。表面疵防止と凝固組織微細化を
両立させるためには、特許第2,623,606 号のようにTi、
N、および鋳造温度のコントロールが必要であるが、表
面品質の要求レベルが厳しい昨今においてはそれらを両
立させ得る条件の範囲は狭く、実際の製造においては安
定した適中は困難である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ここに、本発明の課題
は、Ti添加Cr系ステンレス鋼に見られるローピングをよ
り簡便な手段で安定して防止できる技術を開発すること
である。
【0014】より具体的には、本発明の課題は、Ti添加
Cr系ステンレス鋼の連続鋳造に際して安定的に等軸晶組
織を形成するとともにその微細化を図り、同時に表面疵
の発生を可及的少とすることができる方法とそれにより
製造されたステンレス鋼を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、表面疵防
止と等軸晶の形成、さらにはその結晶粒微細化との両立
を安定して図るため、凝固核生成の最適化に着目した結
果、下記の結論に至った。
【0016】(a) 凝固核形成にはTiNの晶出が有効であ
り、Ti、Nの含有量が多いほど等軸晶の晶出に有利であ
るが、多すぎる場合には表面品質の劣化をもたらす。 (b) TiNの晶出にはMgO 、またはMgO-Al2O3 介在物の存
在が有効であり、鋼板断面においてMgとAlとTiを含有す
る0.3 〜5μm径の介在物を10個/mm2以上、望ましくは
30個/mm2以上の密度で存在させた場合にTiN の晶出が促
進し、等軸晶粒径も微細化できることが分かった。
【0017】ここで介在物径は断面観察時の粒の最大径
である。介在物径が0.3 μm未満である場合には界面の
面積不足により、等軸晶の晶出核として十分に作用しな
い。更に、等軸晶の晶出核として作用する介在物は0.3
〜5μmの大きさに制御することが最も効率的であり、
径5μm超のMg−Al−Ti系介在物を多数存在させようと
すると、ノズル閉塞、表面品質悪化が顕著となり、実際
の製造ラインでの製造においてはデメリットが重大にな
ることが分かった。
【0018】(c) 具体的手段として、Mg、Alの含有量を
適正にコントロールすることにより、MgO −Al2O3 介在
物を制御し、TiN の晶出核たらしめることができる。と
ころで、特許第2,623,606 号で規定された製造条件の範
囲においても、微細な等軸晶生成が促進され、加えてT
i、Nの含有量の低い領域であっても微細な等軸晶組織
を獲得することができる。しかし、Ti、N含有量が低す
ぎる場合にはMgO 、またはMgO-Al2O3 介在物を制御して
も等軸晶生成促進効果は得られない。
【0019】この点、本発明ではMg、Al含有量を制御す
ることにより、TiNの晶出核としてMgO 、またはMgO-Al
2O3 介在物を制御した上で、さらに鋳造温度、Cr、Ti、
Nの各含有量を、後述する(2) 式および(1) 式または
(3) 式にしたがって制御することによって安定的に微細
等軸晶組織と優れた表面品質とを高いレベルで両立させ
ることに成功した。
【0020】MgO 系介在物源となるMgは、溶鋼に単体元
素あるいは合金もしくは化合物として直接に溶鋼に添加
してもよいが、精錬スラグ成分、耐火物組成を制御する
ことによってそれらから溶鋼に溶出させてもよい。ここ
に、本発明は次の通りである。
【0021】(1)Cr を9〜30質量%含有するTi添加Cr系
ステンレス鋼であって、鋼板断面においてMgとAlとTiを
含有する0.3 〜5μm径の介在物が10個/mm2 以上の密
度で存在するステンレス鋼。
【0022】(2) Crを9〜30質量%含有するTi添加Cr系
ステンレス鋼の連続鋳造を行うにあたり、質量%で、該
ステンレス鋼の溶鋼がAl:0.002 〜0.02%、かつMg:0.
0005%未満を含有し、かつ、前記溶鋼の凝固温度T1
(℃) と、鋳込温度T2 (℃) と、該溶鋼中のTi量、N量
およびCr量に基づいて定まる下記(1) 式で表される温度
T3(℃) が下記(2) 式を満たす条件で連続鋳造を行うこ
とを特徴とするTi添加Cr系ステンレス鋼の製造方法。
【0023】 Log[%N]=-19755/(T3+273)+7.78+0.07[%Ti]-Log[%Ti]+0.045[%Cr]・・・(1) T1 −50<T3<T2 ・・・(2) (3) Crを9〜30質量%含有するTi添加Cr系ステンレス鋼
の連続鋳造を行うにあたり、質量%で、該ステンレス鋼
の溶鋼がAl:0.002 〜0.02%、かつMg:0.0005%未満を
含有し、かつ、前記溶鋼の凝固温度T1 (℃) と、該溶鋼
中のTi量、N量およびCr量に基づいて定まる下記(1) 式
で表される温度T3 (℃) が下記(3) 式を満たす条件で連
続鋳造を行うことを特徴とするTi添加Cr系ステンレス鋼
の製造方法。
【0024】 Log[%N]=-19755/(T3+273)+7.78+0.07[%Ti]-Log[%Ti]+0.045[%Cr]・・・(1) T1 −50<T3<T1 ・・・(3) (4) 前記連続鋳造に先立って行う精錬工程における精錬
スラグ中にMgO を5質量%以上含有させることにより溶
鋼中の介在物にMgを含有させ、溶鋼のMg:0.0005 質量%
未満に調整する上記(2) または(3) 記載のTi添加Cr系ス
テンレス鋼の製造方法。
【0025】(5) 前記連続鋳造に先立って行う精錬工程
において、精錬炉、精錬鍋等の精錬用耐火物の一部また
は全部に、MgO を40質量%以上含有する耐火物煉瓦を使
用することにより溶鋼中の介在物にMgを含有させ、溶鋼
のMg:0.0005 質量%未満に調整する上記(2) または(3)
のTi添加Cr系ステンレス鋼の製造方法。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、本発明において連続鋳造条
件を上述のように規定した理由について説明する。
【0027】(介在物の調査方法)冷延焼鈍板の組織を走
査型電子顕微鏡で観察ならびに同定を行い、介在物の大
きさ、組成を調査した。
【0028】図1は径0.3 〜5μmのMg−Al−Ti系介在
物の個数がローピング品質に与える影響を示すグラフで
あり、本発明によるMg−Al−Ti系介在物個数の臨界性が
理解できる。図中、ローピング品質の評価はA、B、
C、D、Eの5段階で行い、(優れる) A>B >C>D
>E (劣る) の順に示した。
【0029】図2、図3、図4は、16Cr系ステンレス鋼
を連続鋳造する際に、溶湯中のTi、N量をそれぞれ変化
させたとき、鋳造組織を評価した結果を示すグラフであ
り、これにより本発明における微細等軸晶生成に与える
鋳造条件の臨界性が理解できる。
【0030】図中、○印は等軸晶率が70%以上の場合
を、×印は等軸晶率が70%未満の場合を示す。なお、等
軸晶率は鋳造スラブの鋳造方向に垂直な断面の幅中央部
(200mm 厚さ×100mm 幅) を硝酸と塩酸の体積比が1:
3の通常の王水で腐食してその組織を観察し、等軸晶粒
と柱状晶粒の面積比から等軸晶率を求めた。更に、表皮
下75mmの結晶粒径をASTM E112 に準じた切片法により求
めた。なお、結晶粒径は平均切片長さの1.12倍とした。
【0031】後述の図5の場合を含め、本例の連続鋳造
は下記の条件で行ったものである。16%Cr ステンレス鋼
の組成は、C:0.06 %、Mn:0.2%、Si:0.3%、Cr:16.2
%を基本組成としてTi、N、Al量をそれぞれ変化させ
た。
【0032】鋳造温度1550℃で上記鋼組成の溶湯を調製
し、慣用の連続鋳造装置によって200mm ×1240mmの寸法
のスラブとした。図1から分かるように、最大径0.3 〜
5μmのMg−Al−Ti含有介在物個数が1mm2 当たり10個
以上の場合に良好なローピング品質を示し、望ましくは
30個以上で特にローピング品質が高位安定化する。
【0033】図2から分かるように、Alが0.002 %未
満、またはAlが0.02%以上の場合には鋼の凝固温度(T1)
におけるTiNの析出条件たる前述の(1) 式の関係より高
[Ti]高[N] 側で70%以上の等軸晶が生成する。ただし、
この場合には、図中の実線のグラフは、T3=T1のときを
示す。つまり、T1<T3のときに等軸晶率70%以上が実現
できることが分かる。なお、T3を単にTiN の析出温度と
いうこともある。
【0034】一方、図3から分かるように、Alを0.002
〜0.02%の範囲に制御した場合には、MgO-Al2O3 系介在
物が安定して生成し、TiNの析出を促進、70%以上の等
軸晶率が鋼の凝固温度(T1)−50℃における前述の(1) 式
の関係より高[Ti]高[N] 側で安定生成する。ただし、こ
の場合には、図中の実線のグラフは、T3=T1−50℃のと
きを示す。つまり、T1−50℃<T3のときに等軸晶率70%
以上が実現できることが分かる。
【0035】図4に示すように、等軸晶粒径もAlを0.00
2 〜0.02%の範囲に制御した場合、微細化するため、熱
間圧延以降の再結晶化処理に有利となる。したがって、
本発明の場合が、Al: 0.002 〜0.02%と規定すること
で、等軸晶率70%以上を実現するために条件としてはよ
り広い条件となっているばかりでなく、同時に等軸晶の
微細化を実現できることが分かる。
【0036】一方、図5に示すように、いかなるAlレベ
ルにおいても鋳造温度(T2)における(1) 式の関係より高
[Ti]高[N] 側で著しく悪く、鋼の凝固温度(T1)における
(1)式の関係より低[Ti]低[N] 側で極めて良好となる。
すなわち、本発明において、T3は、常にT3<T2である
が、T1<T3よりも、T3<T1が好ましいことが分かる。
【0037】以上のことから、Alを0.002 %から0.02%
に制御した上で、鋼成分から(1) 式を用いて求まる温度
(T3)を、凝固温度(T1)−50℃から鋳造温度(T2)の範囲
に、好ましくは、(1) 式を用いて求まる温度(T3)を、凝
固温度(T1)−50℃から凝固温度(T1)範囲に制御した場
合、良好な微細等軸晶の生成と優れた表面品質の両立が
可能となる。
【0038】さらに、表面品質に対する要求の厳しい昨
今においては、成分から(1) 式を用いて求まる温度(T3)
が鋼の凝固温度−50℃から鋼の凝固温度(T2)の範囲に制
御した場合にローピング性能と表面品質を極めて高いレ
ベルで両立することができる。
【0039】ここに、鋼の凝固温度(T1 、℃) は、本発
明では、実際に測定するか、予め実験等によって求めて
もよく、あるいは下記(4) 式などによって計算で求めて
もよい。
【0040】 T1(℃) =1536−(100.3 [%C] −22.41[%C]2 +13.55[%Si] −0.64 [%Si]2+5.82 [%Mn] + .3 [%Mn]2+4.2[%Cu] +3.0[%Mo] +4.18 [%Ni] +0.01 [%Ni]2+1.59 [%Cr] −0.007[%Cr]2 ・・・(4) 本発明において、連続鋳造は慣用手段によって行うこと
ができ、その点について特に説明は要しないが、かかる
連続鋳造に先立っては、精錬工程、例えば転炉精錬、必
要により取鍋精錬、さらに真空脱ガス処理等を経てステ
ンレス溶鋼を得るが、これらの精錬工程において、本発
明の好適態様にあっては、Mgをそれらの精錬工程の適宜
段階、例えば真空脱ガス処理の終了後に単体元素とし
て、合金として、あるいは化合物として添加してもよ
い。
【0041】本発明の別の態様にあっては、等軸晶生成
促進の核となるMgO-Al2O3 の要素であるMgO は溶鋼中に
Mgを添加するにより生成させてもよいが、精錬スラグ中
のMgO を5%以上含有させることによっても十分に生成
する。
【0042】また、取鍋、タンディッシュ等に用いる精
錬用耐火物の少なくとも1種においてMgO 含有量を40質
量%以上とすることにより精錬スラグ中のMgO の生成は
可能である。
【0043】かくして、溶鋼にはAl:0.002〜0.02%、M
g:0.0005 %未満が含有される。これらのAl、MgはMgO-A
l2O3 の形態で溶鋼中に存在して、等軸晶生成促進の核
となる。
【0044】本発明が対象とするTi添加Crステンレス鋼
は、Cr: 9〜30質量%を含有し、本発明の条件にしたが
って連続鋳造される限り特に制限はない。しかし、好適
には、次のような鋼組成(SUH409)を有し、溶鋼の段階で
Al:0.002 〜0.02%、Mg:0.0005%未満であるものが例
示される。
【0045】C:0.08%以下、Si:1.00%以下、Mn:1.
00%以下、Cr:10.50 〜11.75 %、Ti:6 ×C%〜0.75
【0046】
【実施例】常法にて表1に示されるごとき成分組成のTi
添加Cr系ステンレス鋼を溶製し、実験室規模の連続鋳造
装置によって50mm厚鋳片を鋳造した。
【0047】次いで、得られた各鋳片について表面疵発
生状況と等軸晶化率を調べた後、これを1200℃に過熱し
てから熱間圧延し、厚さが3mmの熱延鋼板を得た。続い
て、これら熱延鋼板に[830℃で16時間均熱した後炉冷]
なる条件の焼鈍を施してから0.5mm 厚にまで冷間圧延
し、さらに[830℃に1分間加熱保持後空冷] なる条件の
焼鈍を施して冷延板製品とした。
【0048】得られた冷延板製品からJIS5号引張り試験
片を採取し、20%引張りを加えた後、耐ローピング性を
評価した。冷延焼鈍板の組織を走査型電子顕微鏡で観察
および固定を行い、介在物の大きさ、組成を調査した。
【0049】このようにして得られた結果を表1に併せ
て示した。なお、表1の「TiN −鋳造温度」は「TiN 析
出温度 (T3) −鋳造温度」を、「TiN −凝固温度」は
「TiN 析出温度 (T3) −凝固温度」をそれぞれ表す。
【0050】表1に示される結果からも明らかなごと
く、本発明で規定する条件通りに製造されたCr系ステン
レス鋼材は、何れも耐ローピング性および表面疵状況と
もに満足できる結果を示す (試験番号1〜5) のに対し
て、試験番号6はTiN析出温度が高いために表面品質が
低下した。
【0051】試験番号7はTiN析出温度が低すぎるため
に等軸晶の生成促進をはかることができなかった。試験
番号11から13はTiN析出温度が凝固温度以下であるため
に表面品質は良好であるものの、Alレベルが制御範囲か
ら外れており、等軸晶の生成促進をはかることができな
かった。
【0052】試験番号9はTiN析出温度は凝固温度を超
えているがAlが制御範囲から外れており、等軸晶が十分
には生成していなかった。試験番号8、10はTiN析出温
度は十分に高いものの、鋳造温度を超えてしまったため
に表面品質が悪くなった。
【0053】試験番号14、15はMgを添加することなく、
また、精錬スラグ、精錬耐火物のいずれもMgO が十分含
有していないため、等軸晶生成促進効果を得ることがで
きなかった。
【0054】試験番号16はMgが制御範囲から外れている
ため、表面品質が悪化した。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、耐ロー
ピング性に優れると共に良好な表面性状を有し、建材、
厨房用品、電気製品あるいは自動車用品素材等として十
分に満足できる性能を発揮するCr系ステンレス鋼を、コ
スト高を招くような格別な設備や手段を講じることなく
安定して生産することが可能となるなど、産業上極めて
有用な効果がもたらされるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローピング品質に与える0.3 〜5μm径のMg−
Al−Ti系介在物個数の影響を示すグラフである。
【図2】等軸晶生成に与えるTi含有量とN含有量の影響
を示すグラフである。
【図3】等軸晶生成に与えるTi含有量とN含有量の影響
を示すグラフである。
【図4】等軸晶粒径に与えるAl含有量の影響を示すグラ
フである。
【図5】等軸晶生成に与えるTi含有量とN含有量の影響
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/18 C22C 38/18 (56)参考文献 特開2000−192199(JP,A) 特開 平11−323502(JP,A) 特開 平10−324956(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 B22D 11/00 B22D 41/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Crを9〜30質量%含有するTi添加Cr系ス
    テンレス鋼の連続鋳造を行うにあたり、質量%で、該ス
    テンレス鋼の溶鋼がAl:0.002 〜0.02%、かつMg:0.00
    05%未満を含有し、かつ、前記溶鋼の凝固温度T1 (℃)
    と、鋳込温度T2 (℃) と、該溶鋼中のTi量、N量および
    Cr量に基づいて定まる下記(1) 式で表される温度T3
    (℃) が下記(2) 式を満たす条件で連続鋳造を行うこと
    を特徴とするTi添加Cr系ステンレス鋼の製造方法。 Log[%N]=-19755/(T3+273)+7.78+0.07[%Ti]-Log[%Ti]+0.045[%Cr]・・・(1) T1 −50<T3<T2 ・・・(2)
  2. 【請求項2】 Crを9〜30質量%含有するTi添加Cr系ス
    テンレス鋼の連続鋳造を行うにあたり、質量%で、該ス
    テンレス鋼の溶鋼がAl:0.002 〜0.02%、かつMg:0.00
    05%未満を含有し、かつ、前記溶鋼の凝固温度T1 (℃)
    と、該溶鋼中のTi量、N量およびCr量に基づいて定まる
    下記(1) 式で表される温度T3 (℃) が下記(3) 式を満た
    す条件で連続鋳造を行うことを特徴とするTi添加Cr系ス
    テンレス鋼の製造方法。 Log[%N]=-19755/(T3+273)+7.78+0.07[%Ti]-Log[%Ti]+0.045[%Cr]・・・(1) T1 −50<T3<T1 ・・・(3)
  3. 【請求項3】 前記連続鋳造に先立って行う精錬工程に
    おける精錬スラグ中にMgO を5質量%以上含有させるこ
    とにより溶鋼中の介在物にMgを含有させ、溶鋼のMg:0.0
    005 質量%未満に調整する請求項または記載のTi添
    加Cr系ステンレス鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記連続鋳造に先立って行う精錬工程に
    おいて、精錬炉、精錬鍋等の精錬用耐火物の一部または
    全部に、MgO を40質量%以上含有する耐火物を使用する
    ことにより溶鋼中の介在物にMgを含有させ、溶鋼のMg:
    0.0005 質量%未満に調整する請求項または記載のT
    i添加Cr系ステンレス鋼の製造方法。
JP2000220688A 2000-07-21 2000-07-21 Cr系ステンレス鋼の製造方法 Expired - Fee Related JP3458831B2 (ja)

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