JPH09263914A - 非晶質薄帯用の安価なFe基母合金 - Google Patents

非晶質薄帯用の安価なFe基母合金

Info

Publication number
JPH09263914A
JPH09263914A JP7617396A JP7617396A JPH09263914A JP H09263914 A JPH09263914 A JP H09263914A JP 7617396 A JP7617396 A JP 7617396A JP 7617396 A JP7617396 A JP 7617396A JP H09263914 A JPH09263914 A JP H09263914A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ribbon
less
alloy
master alloy
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7617396A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Sato
有一 佐藤
Hiroaki Sakamoto
広明 坂本
Toshio Yamada
利男 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP7617396A priority Critical patent/JPH09263914A/ja
Publication of JPH09263914A publication Critical patent/JPH09263914A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、従来薄帯製造時に用いる母
合金において存在していた不純物含有量の制限を取り除
き、非晶質薄帯製造用合金として安価な母合金を提供す
ることにある。 【解決手段】 Bを7原子%〜20原子%、Siを1原
子%〜19原子%含有し、かつ、不純物としてP、Mn
およびS元素の含有量が重量%でそれぞれ、0.008
%以上0.1%以下、0.15%以上0.5%以下、
0.004%以上0.05%以下である非晶質薄帯用安
価なFe基母合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力トランス、高
周波トランスなどの鉄心に用いられるFe基非晶質薄帯
を製造するために用いるFe基母合金に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】非晶質合金は、これまで多くの方法によ
って製造できることが知られているが、薄い帯状を呈す
る非晶質薄帯を工業的に生産するには、液体状態の溶融
合金を移動する冷却基板の表面で急冷凝固させる方法、
すなわち、液体急冷法が採用されている。液体急冷法と
して知られているプロセスとして、遠心急冷法、単ロー
ル法、双ロール法等がある。合金の組成を適切に選択
し、これらのプロセスを用いれば、磁気的性質、機械的
性質等で優れた特性を有する非晶質薄帯を得ることがで
きる。
【0003】この非晶質薄帯は、その優れた特性から多
くの用途において工業材料として有望視されている。そ
のなかでも、電力トランスや高周波トランスなどの鉄心
としての用途において、鉄損が低いこと、透磁率が小さ
いこと等の理由から例えばFe−B−Si−C合金やF
e−B−Si合金からなる非晶質薄帯(以下、単に薄帯
と称す)が適していると考えられる。
【0004】一方、この薄帯を製造するためのFe基母
合金として従来、例えば電解鉄などの高純度な鉄源を用
いて製造されたものが用いられていた。これは各種の不
純物が薄帯での特性の劣化を招くと考えられていたから
である。この薄帯中に含まれる不純物元素の許容量につ
いては、例えば、特開昭57−137451号公報にF
e−B−Si合金からなる薄帯での各種不純物元素の最
大許容量が開示されている。
【0005】前記公報に開示された薄帯における各種不
純物元素の最大許容量は原子パーセントで示されている
が、前記公報の実施例1に示された成分系(Bが15.
3原%、Siが5.8原子%)を例にとって、主な不純
物元素の最大許容量を重量%換算すると以下の通りとな
る。すなわち、Mnが0.14%、Sが0.014%、
Pが0.005%である。そして、製造プロセス上薄帯
中の不純物はほとんど用いる母合金からもたらされると
考えられているから、薄帯製造用の母合金における不純
物の許容量にも前述にような上限が設けられていた。
【0006】これらの不純物元素は、鉄鉱石を原料とし
た製鋼プロセスで生産される鋼種において特に問題とな
る元素であるが、これらの不純物元素の最大許容量の値
がかなり小さいため、例えば通常の製鋼プロセスで生産
される安価な鋼を薄帯の母合金用鉄源として使用するこ
とは困難と考えられていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述のような理由から
従来、薄帯用母合金を製造するには高純度な鉄源の使用
を余儀なくされていたが、高純度な鉄源はもちろん高価
であるため母合金の価格も高価なものとなっていた。つ
まり、高価な母合金は薄帯の製造コストをかなり高くす
る一因となっていた。そして、薄帯を工業材料として広
く普及させるためにこの母合金の価格が問題とされてお
り、安価な母合金が強く望まれていた。
【0008】本発明の目的は、従来薄帯用母合金に存在
していた鉄源として用いる材料純度の制限を取り除き、
薄帯用としての安価な母合金を提供することにある。
【0009】
【発明が解決するための手段】母合金価格の低減を実現
するためには、鉄源として例えば、不純物をある程度含
有する低品位な鉄源の使用を可能とすればよいと考えら
れる。概して、低品位な鉄源は安価で、合金コストを低
減できるからである。本発明者らは、不純物元素として
特に、Mn、S、Pに注目し、これらの不純物元素の含
有量が異なる各種の母合金を用いて薄帯の製造実験を行
った。その結果、Pを微量含有する母合金を用いると、
その他の不純物を従来より多く含有した母合金を用いて
も、得られる薄帯の特性劣化は起こらない、つまり、母
合金の不純物許容量を従来よりも大きくすることができ
るとの新しい知見を得た。そして、この知見を基に検討
を重ね、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明は、以下の構成を要旨とする。すな
わち、(1)合金元素が原子%で、 B :7%〜20%、 Si:1%〜19% 含有し、かつ、不純物としてP、MnおよびS元素の含
有量が重量%でそれぞれ、 P :0.008%以上0.1%以下 Mn:0.15%以上0.5%以下 S :0.004%以上0.05%以下 残部がFeであることを特徴とする非晶質薄帯用の安価
なFe基母合金、及び、(2)合金元素が原子%で、 B :7%〜20%、 Si:1%〜19% C :0.02%〜4% 含有し、かつ、不純物としてP、MnおよびS元素の含
有量が重量%でそれぞれ、 P :0.008%以上0.1%以下 Mn:0.15%以上0.5%以下 S :0.004%以上0.05%以下 残部がFeであることを特徴とする非晶質薄帯用の安価
なFe基母合金である。
【0011】以下に、本発明について詳しく説明する。
はじめに、本発明においてPの含有量を0.008重量
%以上0.1重量%以下と限定した理由について述べ
る。Pの含有量をこの範囲とすると、その他の不純物元
素であるMn、Sの含有量を前述の範囲としても、つま
り、従来の許容量を超えても、鉄損がW13/50 (50H
z、1.3T( テスラ) での鉄損値)で0.12W/kg以
下と低い値を示す薄帯が得られることによる。例えば、
得られる薄帯を電力トランスの鉄心として用いる場合
に、薄帯の鉄損値はできるだけ低くすることが要求され
るが、薄帯の鉄損はW13/50 で0.12W/kg以下とする
ことが望ましい。しかし、Pの含有量を0.008重量
%未満とすると、その他の不純物の許容量を拡大する効
果、つまり、Mn、Sといった不純物元素を従来の許容
量以上としても、得られる薄帯の鉄損はW13/50 で0.
12W/kg以下と低くなる現象は認められなくなる。一
方、Pの含有量を0.1重量%超とすると、もはやP添
加による不純物許容量拡大効果は認められなくなる。し
たがって、Pの含有量は0.008重量%以上0.1重
量%と限定した。
【0012】次に、Mn、Sの含有量を限定した理由に
ついて述べる。Mn、Sの含有量をれぞれ、0.5重量
%超、0.05重量%超とすると、Pを0.008重量
%以上0.1重量%以下添加しても、得られる薄帯の鉄
損値はW13/50 で0.12W/kg超と高くなることから、
Mn、Sの含有量をそれぞれ、0.5重量%以下、0.
05重量%以下と限定した。一方、Mn、Sの含有量の
下限値をそれぞれ、0.15重量%、0.004重量%
としたのは、これらの元素の下限値をこれらの値未満と
すると、従来のように高純度な鉄源を使用しなければな
らなくなるためである。高純度な鉄源は高価であるた
め、合金コストの増大を招くので好ましくない。
【0013】さらに、本発明においてFe基母合金の各
合金構成元素の含有量として、Feの含有量は、原子%
で70%以上86%以下の範囲とすることが好ましい。
また、B、Siの含有量についてはそれぞれ、7原子%
以上20原子%以下、1原子%以上19原子%以下とす
る。さらに、必要に応じて合金構成元素としてCを0.
02原子%以4原子%以下含有してもよい。これらの元
素の含有量に好ましい範囲を設けた理由は、以下の通り
である。
【0014】例えば、得られる薄帯をトランスの鉄心と
して用いる場合、鉄心の飽和磁束密度はFeの含有量に
より一義的に決まる。鉄心の飽和磁束密度は実用的なレ
ベルとして1.5T(テスラ)以上の高い値とする必要
があるので、これを実現するめに母合金のFe含有量は
70原子%以上とする必要がある。一方、Fe含有量が
86原子%超となると、薄帯製造時に非晶質の形成が困
難となるため良好な特性を有する薄帯は得られなくな
る。
【0015】BとSiは薄帯の非晶質形成能および特性
の熱的安定性を向上させるために添加する。Bが7原子
%未満、Siが1原子%未満では薄帯の非晶質相が安定
して形成されず、一方、Bが20原子%超、Siが19
原子%超としても原料コストが高くなるだけで、非晶質
形成能、熱的安定性に向上が認められない。よって、B
含有量は7原子%以上20原子%以下、Si含有量は1
原子%以上19原子%以下が好ましい。
【0016】さらに、Cは薄帯の製造性向上に効果があ
る元素である。母合金にCを含有させることにより、冷
却基板との濡れ性が向上して良好な薄帯を形成すること
ができる。この点から、Cの含有量は0.02原子%以
上4原子%以下が好ましい。お、C添加によるさらに大
きな濡れ性の向上を得るためには、Cの含有量を0.1
原子%以上4原子%以下とするとよい。
【0017】従来、不純物含有量に厳しい制限が存在し
たために、高純度鉄源つまり、高価な鉄源の使用を余儀
なくされていたのに対して、本発明により、不純物許容
量が広くなり低品位な鉄源つまり、安価な鉄源を使用し
た母合金の提供が可能となった。よって、薄帯製造時の
製造コストの削減が可能となり、薄帯を安価に製造する
ことができるようになった。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明により、母合金の成分を決
定する際は、はじめに、Fe、B、Si、もしくはCの
含有量を原子%で決定し、次いで、Fe基合金と各不純
物元素の含有量の比率を重量%でもって決定するとよ
い。
【0019】P、Mn、Sの不純物元素の含有量がそれ
ぞれ、0.008重量%以上0.1量%以下、0.15
重量%以上0.5重量%以下、0.004重量%以上
0.05重量%以下であれば、得られる薄帯の特性はF
e、B、Si、Cの含有量で決まる。Fe、B、Si、
Cの含有量の範囲については先に述べたが、特に好まし
い組み合せを合金組成で示すと、例えば、Fe−B15
Si7 (原子%)、Fe−B12Si6.5 −C1 (原子
%)やFe−B15−Si3.5 −C1 (原子%)が挙げら
れる。
【0020】一方、不純物元素に関して、Pの含有量を
0.008重量%以上0.1重量%以下と限定したが、
大きな不純物許容量拡大効果を得るためには、Pの含有
量を0.01重量%以上0.03重量%以下とすること
が好ましい。さらに、Mn、Sの不純物元素の含有量
は、本発明で限定する範囲内で、できるだけ少ない方が
好ましく、Mn、Sの含有量はそれぞれ、0.15重量
%以上0.3重量%以下、0.004重量%以上0.0
2重量%以上が好ましい。
【0021】次に、本発明の母合金の製造方法について
述べる。母合金を製造する際、ベースとなる鉄源として
例えば、鉄鉱石を原料とした製鋼プロセスで生産される
鋼を使用する。このとき、用いる鋼としては、Pの含有
量が0.008%以上0.1%以下で、MnおよびSの
含有量がいずれも0.5%以下であるものとする。これ
にB源、Si源さらには必要に応じてC源を添加し、高
周波溶解などの方法により溶解する。溶解後、サンプリ
ングして成分調整を行い、所定の成分の母合金とする。
なお、B源として、例えばフェロボロンを用いる。もち
ろん、用いるフェロボロンのP、MnおよびSの含有量
は、鉄源として用いる鋼種と同様の範囲のものを用い
る。さらに、Si源、C源はそれぞれ99.99%程度
の純度のメタリックシリコンやメタリックカーボンを用
いるとよい。この程度の純度のフェロボロン、メタリッ
クシリコンおよびメタリックカーボンを用いれば、それ
ほどの母合金コストの高騰にはつながらない。溶解、成
分調整した母合金は、一度固化して鋼塊としてから再溶
解して薄帯の製造に供してもよいし、成分調整後直接薄
帯を製造してもよい。また、添加物として用いるフェロ
ボロンを製造する際に、本発明の母合金を直接製造して
も構わない。
【0022】なお、本発明の母合金は、鉄鉱石を原料と
した製鋼プロセスで生産される鋼を鉄源として使用する
ことができるようになったために安価に製造できるよう
になったが、本発明の母合金を製造するための鉄源は、
この製鋼プロセスで生産される鋼に限定されるわけでは
ない。
【0023】
【実施例】
(実施例1)原子%でBが15%、Siが7%からなる
Fe基母合金を用いて、大気中単ロール薄帯製造装置に
より薄帯の製造を行った。用いた母合金の不純物元素は
P、MnおよびSで、薄帯製造にはこれらの元素の含有
量の異なる各種の母合金を用いて行った。なお、母合金
は、P、MnおよびS含有量の異なる製鋼プロセスで生
産された鋼を用い、B源としてフェロボロン、Si源と
して99.99%メタリックシリコンを用いて製造し
た。母合金の製造は、これらの材料を高周波誘導式溶解
炉に一度に挿入し、加熱、溶解後、カーボン製の鋳型に
注いで、棒状の鋼塊とした。得られた母合金の不純物元
素の成分分析結果は表1に示す。
【0024】次に、得られた母合金を用いて薄帯の製造
を試みた。薄帯製造には単ロール薄帯製造装置を用い
た。用いた単ロール薄帯製造装置は、直径580mmの銅
合金製冷却ロール、母合金溶解用の高周波誘導電源、石
英るつぼなどからなり、るつぼの先端にはスリットノズ
ル(幅0.6mm)を取り付けた。薄帯製造時の冷却ロー
ルの回転数は800rpm とし、スリットノズルから溶解
した合金を冷却ロール表面に噴出した。なお、噴出時の
溶融合金の温度は1300℃とした。また、噴出時のス
リットノズルと冷却ロール表面間の距離は0.3mmとし
た。
【0025】結果として、すべてのチャージで良好な薄
帯が得られ、得られた薄帯の板厚はおよそ30μmであ
った。すべてのチャージの薄帯について成分分析を行っ
た。薄帯の成分元素のうち、不純物元素についてその含
有量を表1に示す。また、得られた薄帯の鉄損を測定す
るために、各チャージの薄帯から鉄損測定用サンプルを
採取した。これらサンプルを360℃で1時間、窒素雰
囲気中で磁場焼鈍し、SSTで鉄損を測定した。得られ
た鉄損値も表1に示す。
【0026】表1中のCh.No.1〜18に示す結果
からわかるように、いずれのチャージとも母合金と薄帯
の成分にはほとんど違いが認められず、いずれのチャー
ジとも、P、MnおよびSの含有量がそれぞれ、0.0
08重量%以上0.1重量%以下、0.15重量%以上
0.5重量%以下、0.004重量%以上0.05重量
%以下の範囲にあり、これらの母合金を用いて得たすべ
てのチャージの薄帯とも、鉄損値がW13/50 で0.12
W/kg以下と低い値を示した。
【0027】この結果から、母合金のMn、Sの不純物
含有量をそれぞれ、0.15重量%以上0.5重量%以
下、0.004重量%以上0.05重量%以下と従来の
許容値より高くしても、Pを0.008重量%以上0.
1重量%以下含有させることにより良好な特性を有する
薄帯が得られることがわかった。すなわち、安価な母合
金を用いても良好な特性を有する薄帯が得られることが
わかった。
【0028】
【表1】
【0029】(実施例2)原子%でBが12%、Siが
6.5%、Cが1%からなるFe基母合金を用いて、大
気中単ロール薄帯製造装置により薄帯の製造を行った。
用いた母合金の製造は実施例と同様とした。但し、母合
金製造時、合金成分であるC源として99.999%の
純度のメタリックカーボンを用いた。得られた母合金の
不純物元素の成分分析結果は表2に示す。次に、得られ
た母合金を用いて薄帯の製造を試みた。薄帯製造に用い
た製造装置および製造条件は実施例1の場合と同様とし
た。
【0030】結果として、すべてのチャージで良好な薄
帯が得られ、得られた薄帯の板厚はおよそ30μmであ
った。すべてのチャージの薄帯について成分分析を行っ
た。薄帯の成分元素のうち、不純物元素についてその含
有量を表2に示す。さらに、得られた薄帯の鉄損を測定
するために、各チャージの薄帯から鉄損測定用サンプル
を採取した。これらサンプルを360℃で1時間、窒素
雰囲気中で磁場焼鈍し、SSTで鉄損を測定した。得ら
れた鉄損値も表2に示す。
【0031】表2中のCh.No.1〜18に示す結果
からわかるように、いずれのチャージとも母合金と薄帯
の成分にはほとんど違いが認められず、いずれのチャー
ジとも、P、MnおよびSの含有量がそれぞれ、0.0
08重量%以上0.1重量%以下、0.15重量%以上
0.5重量%以下、0.004重量%以上0.05重量
%以下の範囲にあった。このような母合金で製造された
薄帯はいずれも、鉄損値がW13/50 で0.12W/kg以下
と低い値を示した。
【0032】この結果から、母合金のMn、Sの不純物
含有量を従来の許容値より高くしても、Pを0.008
重量%以上0.1重量%以下含有させることにより良好
な特性を有する薄帯を得られることがわかった。すなわ
ち、安価な母合金を用いても良好な特性を有する薄帯が
得られることがわかった。
【0033】
【表2】
【0034】(実施例3)原子%でBが15%、Siが
3.5%、Cが1%からなる薄帯の製造を行った。母合
金は、P、MnおよびS含有量の異なる製鋼プロセスで
生産された鋼を用い、B源としてフェロボロン、Si源
として99.99%メタリックシリコンさらにC源とし
て99.999%メタリックカーボンを用いて製造し
た。母合金を製造するために、これら材料の所定量を単
ロール薄帯製造装置の母材溶解用るつぼにまとめて挿入
し、高周波誘導方式により加熱、溶解した。溶解後溶解
合金の温度を1300℃でしばらく保定した後、るつぼ
先端に設けたスリットノズルから、高速回転している冷
却ロールの表面に溶融合金を噴出した。但し、用いた母
合金の成分を分析するためのサンプルを採取するため
に、るつぼ内に溶融合金の一部が残るようにした。な
お、用いた母合金のP、Mn、Sの不純物元素について
の分析結果は表3に示す。また、その他の製造条件は、
実施例1と同様とした。
【0035】薄帯製造実験の結果、すべてのチャージで
良好な薄帯が得られ、得られた薄帯の板厚はおよそ30
μmであった。すべてのチャージの薄帯について成分分
析を行った。薄帯の成分元素のうち、不純物元素につい
てその含有量を表3に示す。さらに、得られた薄帯の鉄
損を測定するために、各チャージの薄帯から鉄損測定用
サンプルを採取した。これらサンプルを360℃で1時
間、窒素雰囲気中で磁場焼鈍し、SSTで鉄損を測定し
た。得られた鉄損値も表3に示す。
【0036】表3中のCh.No.1〜18に示す結果
からわかるように、いずれのチャージとも母合金と薄帯
の成分にはほとんど違いが認められず、いずれのチャー
ジとも、P、MnおよびSの含有量がそれぞれ、0.0
08重量%以上0.1重量%以下、0.15重量%以上
0.5重量%以下、0.004重量%以上0.05重量
%以下の範囲にあった。そして、このような母合金を用
いて製造した薄帯はいずれも、鉄損値がW13/50 で0.
12W/kg以下と低い値を示した。
【0037】この結果から、母合金のMn、Sの不純物
含有量を従来の許容値より高くしても、Pを0.008
重量%以上0.1重量%以下含有させることにより良好
な特性を有する薄帯を得られることがわかった。すなわ
ち、安価な母合金を用いても良好な特性を有する薄帯が
得られることがわかった。
【0038】
【表3】
【0039】(比較例1)原子%でBが15%、Siが
7%からなるFe基母合金を用いて、薄帯の製造実験を
行った。用いた母合金の製造および薄帯の製造は実施例
1と同様の要領で行った。用いた母合金の不純物元素に
ついての分析結果を表1のNo.19〜28に示す。
【0040】すべての合金とも薄帯が得られ、板厚はお
よそ30μmであった。すべてのチャージについて薄帯
の成分分析を行った。合金の成分元素のうち、不純物元
素についてその含有量を表1のCh.No.19〜28
に示す。得られたすべてのチャージの薄帯について鉄損
を測定した。測定条件は、実施例1と同様であった。
【0041】表1中のCh.No.19〜28に示す結
果からわかるように、P、MnおよびSのうち少なくと
も1元素がそれらの許容含有量(P:0.008重量%
以上0.1重量%以下、Mn:0.15重量%以上0.
5重量%以下、S:0.004重量%以上0.05重量
%以下)を外れると薄帯の鉄損はW13/50 で0.12W/
kgを超える高い値を示した。
【0042】(比較例2)原子%でBが12%、Siが
6.5%、Cが1%からなるFe基母合金を用いて、薄
帯の製造実験を行った。用いた母合金の製造および薄帯
の製造は実施例2と同様の要領で行った。用いた母合金
の不純物元素についての分析結果を表2のNo.19〜
28に示す。
【0043】すべての合金とも板厚がおよそ30μmの
薄帯が得られた。薄帯の不純物元素についての分析結果
を表2のCh.No.19〜28に示す。得られたすべ
てのチャージの薄帯について鉄損を測定した。測定条件
は、実施例1と同様であった。
【0044】表2中のCh.No.19〜28に示す結
果から、P、Mn、およびSのうちなくとも1元素がそ
れらの許容含有量範囲(P:0.008重量%以上0.
1重%以下、Mn:0.15重量%以上0.5重量%以
下、S:0.004重量%以上0.5重量%以下)から
外れると、薄帯の鉄損はW13/50 で0.12W/kgを超え
る高い値となることがわかった。
【0045】(比較例3)原子%でBが15%、Siが
3.5%、Cが1%からなるFe基母合金を用いて、薄
帯の製造実験を行った。用いた母合金の製造および薄帯
の製造は実施例3と同様の要領で行った。用いた母合金
の不純物元素についての分析結果を表3のNo.19〜
28に示す。
【0046】すべての合金とも板厚がおよそ30μmの
薄帯が得られた。薄帯の不純物元素についての分析結果
を表3のCh.No.19〜28に示す。得られたすべ
てのチャージの薄帯について鉄損を測定した。測定条件
は、実施例1と同様であった。
【0047】表3中のCh.No.19〜28に示す結
果から、P、Mn、およびSのうち少なくとも1元素が
それらの許容含有量(P:0.008重量%以上0.1
重量%以下、Mn:0.15重量%以上0.5重量%以
下、S:0.004重量%以上0.5重量%以下)を外
れると、薄帯の鉄損はW13/50 で0.12W/kgを超える
高い値となることがわかった。
【0048】
【発明の効果】本発明により、薄帯製造用の母合金とし
て、低品位の鋼種を鉄源として用いた合金の使用が可能
となったことから、薄帯製造時の合金コストの低減が実
現し、安価に薄帯を製造することができるようになっ
た。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金元素が原子%で、 B :7%〜20%、 Si:1%〜19% 含有し、かつ、不純物としてP、MnおよびS元素の含
    有量が重量%でそれぞれ、 P :0.008%以上0.1%以下 Mn:0.15%以上0.5%以下 S :0.004%以上0.05%以下 残部がFeであることを特徴とする非晶質薄帯用の安価
    なFe基母合金。
  2. 【請求項2】 合金元素が原子%で、 B :7%〜20%、 Si:1%〜19% C :0.02%〜4% 含有し、かつ、不純物としてP、MnおよびS元素の含
    有量が重量%でそれぞれ、 P :0.008%以上0.1%以下 Mn:0.15%以上0.5%以下 S :0.004%以上0.05%以下 残部がFeであることを特徴とする非晶質薄帯用の安価
    なFe基母合金。
JP7617396A 1996-03-29 1996-03-29 非晶質薄帯用の安価なFe基母合金 Pending JPH09263914A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7617396A JPH09263914A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 非晶質薄帯用の安価なFe基母合金

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7617396A JPH09263914A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 非晶質薄帯用の安価なFe基母合金

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09263914A true JPH09263914A (ja) 1997-10-07

Family

ID=13597712

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7617396A Pending JPH09263914A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 非晶質薄帯用の安価なFe基母合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09263914A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007094502A1 (ja) * 2006-02-17 2007-08-23 Nippon Steel Corporation 磁気特性および占積率に優れた非晶質合金薄帯
WO2009096382A1 (ja) * 2008-01-28 2009-08-06 Hitachi Metals, Ltd. アモルファス軟磁性合金、アモルファス軟磁性合金薄帯、アモルファス軟磁性合金粉末およびそれを用いた磁心並びに磁性部品
CN103938127A (zh) * 2014-04-23 2014-07-23 兆晶股份有限公司 一种铁基非晶宽带的制备方法
WO2016084741A1 (ja) * 2014-11-25 2016-06-02 日立金属株式会社 アモルファス合金リボンおよびその製造方法
WO2019024285A1 (zh) * 2017-07-31 2019-02-07 青岛云路先进材料技术有限公司 一种铁基非晶合金

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007094502A1 (ja) * 2006-02-17 2007-08-23 Nippon Steel Corporation 磁気特性および占積率に優れた非晶質合金薄帯
US7988798B2 (en) 2006-02-17 2011-08-02 Nippon Steel Corporation Amorphous alloy ribbon superior in magnetic characteristics and lamination factor
WO2009096382A1 (ja) * 2008-01-28 2009-08-06 Hitachi Metals, Ltd. アモルファス軟磁性合金、アモルファス軟磁性合金薄帯、アモルファス軟磁性合金粉末およびそれを用いた磁心並びに磁性部品
CN103938127A (zh) * 2014-04-23 2014-07-23 兆晶股份有限公司 一种铁基非晶宽带的制备方法
CN103938127B (zh) * 2014-04-23 2015-06-17 兆晶股份有限公司 一种铁基非晶宽带的制备方法
WO2016084741A1 (ja) * 2014-11-25 2016-06-02 日立金属株式会社 アモルファス合金リボンおよびその製造方法
JPWO2016084741A1 (ja) * 2014-11-25 2017-08-10 日立金属株式会社 アモルファス合金リボンおよびその製造方法
EP3225712A4 (en) * 2014-11-25 2018-06-06 Hitachi Metals, Ltd. Amorphous alloy ribbon and method for manufacturing same
US10450638B2 (en) 2014-11-25 2019-10-22 Hitachi Metals, Ltd. Amorphous alloy ribbon and method for manufacturing same
WO2019024285A1 (zh) * 2017-07-31 2019-02-07 青岛云路先进材料技术有限公司 一种铁基非晶合金

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101014396B1 (ko) Fe계 비정질 합금 박대
JP2018123424A (ja) 軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金及びFe系非晶質合金薄帯
JP6828814B2 (ja) 無方向性電磁鋼板
JP6828815B2 (ja) 無方向性電磁鋼板
JP2018083984A (ja) 軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金およびFe系非晶質合金薄帯
JP4268621B2 (ja) 軟磁気特性に優れた急冷凝固薄帯
WO2008105135A1 (ja) 軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金
JP3432661B2 (ja) Fe系非晶質合金薄帯
CN110573639B (zh) 无方向性电磁钢板
JP2001279387A (ja) 急冷凝固薄帯製造用の安価なFe基母合金
JP6891707B2 (ja) 無方向性電磁鋼板、及びその製造方法
JPH09263914A (ja) 非晶質薄帯用の安価なFe基母合金
JP6601139B2 (ja) 軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金及びFe系非晶質合金薄帯
JP5787499B2 (ja) 非晶質磁性合金、関連物品及び方法
US6451087B2 (en) Method for producing mother alloys for iron-based amorphous alloys
JP3434844B2 (ja) 低鉄損・高磁束密度非晶質合金
JP3379059B2 (ja) 安価なFe−B−Si−C非晶質合金薄帯
JP4948868B2 (ja) Fe系非晶質合金薄帯
JP3458682B2 (ja) 歪取り焼鈍後の磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JPH0219442A (ja) 超微細結晶組織を有する高飽和磁束密度Fe基合金
JPH05202452A (ja) 鉄基磁性合金の熱処理方法
JP6819427B2 (ja) Fe系非晶質合金及びFe系非晶質合金薄帯
RU2009258C1 (ru) Магнитный сплав для отжига в окислительной среде и способ его производства
JPH10280034A (ja) Fe基非晶質合金薄帯の熱処理方法
JPS5964143A (ja) 鉄心用非晶質合金薄帯の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20030528