JP2018083984A - 軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金およびFe系非晶質合金薄帯 - Google Patents

軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金およびFe系非晶質合金薄帯 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高磁束密度を維持しながら一層の低鉄損化を実現できる非晶質合金および非晶質合金薄帯を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、Feを76.0原子%以上、Bを10.0原子%以上13.0原子%以下、Siを5.0原子%以上8.0原子%以下、Cを2.0%以上3.0%以下、Mnを0.10原子%以上2.0原子%以下含有し、残部が不可避的不純物からなり、また、Feの一部をNi、Cr、Coのいずれかで代替することも可能な軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金および非晶質合金薄帯に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、電力トランス、高周波トランスなどの鉄心等に用いられるFe系非晶質合金およびFe系非晶質合金薄帯に関するものである。
合金を溶融状態から急冷することによって、連続的に薄帯や線を製造する方法として遠心急冷法、単ロ−ル法、双ロ−ル法等が知られている。これらの方法は、高速回転する金属製ドラムの内周面または外周面に溶融金属をオリフィス等から噴出させることによって、急速に溶融金属を凝固させて薄帯や線を製造するものである。また、合金組成を適正に選ぶことによって、液体金属に類似した非晶質合金を得ることができ、磁気的性質あるいは機械的性質に優れた材料を製造することができる。
このような急冷凝固により得られる非晶質合金として、これまで多くの成分が提案されている。例えば、特許文献1では、原子%で、Fe、Ni、Cr、Co、Vからの少なくとも1種で60〜90%、P、C、Bからの少なくとも1種で10〜30%、Al、Si、Sn、Sb、Ge、In、Beからの少なくとも1種で0.1〜15%からなる合金成分が提案されている。特許文献1に記載の技術は非晶質相が得られる合金成分を提案したもので、特に電力トランスや高周波トランスなどの鉄心等の用途に限定した、いわゆる磁気的性質のみに注目した成分の提案ではない。
その後、磁気的性質に注目した非晶質合金としての合金成分も多く提案されている。例えば、特許文献2では、原子%で、Feが75〜78.5%、Siが4〜10.5%、Bが11〜21%からなる合金成分が提案されている。
一方、特許文献3では、Fe、Coからの少なくとも1種で70〜90%、B、C、Pからの少なくとも1種で10〜30%、さらに、Fe、Coの含有量を、Niでその3/4まで、V、Cr、Mn、Mo、Nb、Ta、Wでその1/4まで代替でき、又、B、C、Pの含有量を、Siでその3/5まで、Alでその1/3まで代替できる合金成分が提案されている。
特許文献1、3で提案された非晶質合金成分の中でも、エネルギ−損失である鉄損が低いこと、飽和磁束密度および透磁率が高いこと、さらには安定して非晶質相が得られる等の理由から、例えば特許文献2に示すようなFeSiB系非晶質合金が、電力トランスや高周波トランスの鉄心等の用途として有望視されるようになった。
以来、軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金の合金成分に関する開発は、このFeSiB系を中心にして進められた。すなわち、FeSiB系非晶質合金においての一層の鉄損低減開発が盛んに行われ、多くの成果が生み出された。
非晶質合金における鉄損の改善はかなり進められ、例えば、特許文献4、5により、単板測定による鉄損W13/50(磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損)で、安定して0.10W/kg以下の低鉄損を実現できようにまで至った。
つまり、本発明者らは特許文献4で、例えば、原子%で、Feを70%以上86%以下、Bを7%以上20%以下、Siを1%以上19%以下、Cを4%以下含有し、残部不可避的不純物からなる合金成分を提案した。
一方、本発明者らは特許文献5では、例えば、原子%で、Bを7%以上20%以下、Siを1%以上19%以下、Cを0.02%以上4%以下含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金成分を提案した。
さらに、本発明者らは特許文献6で、例えば、原子%で、Feを80%以上82%以下、Bを12%以上16%以下、Siを2%以上7%以下、Cを0.003%以上2%以下含有し、残部不可避的不純物からなる合金成分を提案した。
その後、特許文献7、8に示すような提案もなされた。すなわち、特許文献7では、例えば、原子%で、Feを78%以上86%以下、Ni,Crの少なくとも一方を0.01%以上5%以下、Bを7%以上20%以下、Siを0.001%以上5%以下含有し、残部不可避的不純物からなる合金成分を提案した。
一方、特許文献8では、例えば、原子%で、Feを76%以上84%以下、Bを8%以上18%以下、Siを12%以下、Cを0.01%以上3%以下含有し、残部不可避的不純物から構成され、フリ−面、ロ−ル面の表面から深さ方向2〜20nmにC偏析層が存在する合金薄帯を提案した。
特開昭49−91014号公報 特開昭57−116750号公報 特開昭61−30649号公報 特開平8−283920号公報 特開平9−95760号公報 特開2006−312777号公報 特開2006−045660号公報 特開2006−045662号公報
しかしながら、これまで非晶質合金における鉄損低減開発がかなり進んでいるものの、更なる鉄損の改善が強く要求されている。電力でのエネルギ−ロス改善の課題はかなり切迫した問題だからである。
本発明の目的は、このような更なる低鉄損化のニーズに応えるべく、高磁束密度を維持しながら一層の低鉄損化を実現できるFe系非晶質合金及びFe系非晶質合金薄帯を提供することにある。
本発明者は、これまで提案された各種合金成分の構成元素のうち、先に述べた例えば、特許文献4、5に記載のFeをメインとし、B、Si及びCを合金元素とした成分系に注目し、高磁束密度を維持しながら更なる低鉄損化について検討及び実験を行った。そして、Feをメインとし、添加元素がB、Si、Cを主体とする成分系を基本として、さらに他の元素も組み合わせて詳細実験を行った結果、飽和磁束密度1.50T以上を維持しつつ、鉄損が安定して0.090W/kg未満となる非晶質合金の成分範囲を見出した。そして、この知見を基に検討を重ね、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は、以下のとおりである。
(1)本発明は、原子%で、Feを76.0%以上、Bを10.0%以上13.0%以下、Siを5.0%以上8.0%以下、Cを2.0%以上3.0%以下、Mnを0.10%以上2.0%以下含有し、残部が不可避的不純物からなることを特徴とする、軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金である。
(2)本発明は、原子%で、Feを76.0%以上、Bを10.0%以上13.0%以下、Siを5.0%以上8.0%以下、Cを2.0%以上3.0%以下、Mnを0.10%以上2.0%以下含有し、かつ、前記B、Si、C、Mnの合計含有量が18.0%以上23.5%以下であり、残部が不可避的不純物からなることを特徴とする、軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金である。
(3)また、本発明は、Ni、Cr、Coのうち少なくとも1種以上で、(1)または(2)に記載の合金のFeを10.0原子%以下の範囲で、代替したことを特徴とする、軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金であってもよい。
(4)更に、本発明は、磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損(鉄損W13/50)が0.090W/kg未満、かつ、飽和磁束密度が1.50T以上であることを特徴とする、(1)〜(3)の何れか一項に記載のFe系非晶質合金であってもよい。
(5)更に、本発明は、磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損(鉄損W13/50)が0.085W/kg以下、かつ、飽和磁束密度が1.50T以上であることを特徴とする(2)または(3)に記載の軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金であってもよい。
(6)また、本発明は、(1)〜(5)のいずれか一項に記載のFe系非晶質合金からなることを特徴とするFe系非晶質合金薄帯である。
本発明によれば、飽和磁束密度が1.50T以上を保持したままで、鉄損(鉄損W13/50)を安定して0.090W/kg未満にすることが可能なFe系非晶質合金およびFe系非晶質合金薄帯を提供できる。
図1は、B,Si,C及びMnの含有量(原子%)と、磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損(W13/50)との関係を示すグラフ。
以下、本発明に係るFe系非晶質合金について詳細に説明する。
本実施形態のFe系非晶質合金の特徴は、Fe、B、Si、C合金において、これら構成元素の含有量を最適化することで鉄損が極めて低くなる成分範囲を見出し、さらに、Mnを最適量添加することで、鉄損(鉄損W13/50)が安定して0.090W/kg未満となることを実現したことにある。また、本実施形態のFe系非晶質合金は、ベースであるFeの一部をNi、Cr、Coで代替することで、更なる軟磁気特性の改善を実現したことにある。なお、ここでいう鉄損W13/50とは、単板での鉄損測定において磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損である。
また、鉄損W13/50の測定は以下の通りに行う。合金溶湯を急冷凝固して非晶質合金薄帯を製造する。得られた非晶質合金薄帯の全長に渡って複数の測定箇所から鉄損W13/50測定用のサンプルを採取する。各サンプルについて鉄損W13/50を測定し、その中の最大値を鉄損W13/50とする。測定箇所の数は特に制限はないが、例えば6箇所以上とすればよい。非晶質合金薄帯の鉄損W13/50は多少のばらつきが生じるが、本実施形態ではその最大値が0.090W/kg未満であるので、安定して低い鉄損を有するFe系非晶質合金を得ることが可能になる。鉄損W13/50はより好ましくは0.085W/kg以下であり、更に好ましくは0.083W/kg以下である。
はじめに、本実施形態のFe系非晶質合金において、各元素の含有量を限定した理由について述べる。
B、Si、CおよびMnは、本実施形態のFe系非晶質合金において、非晶質相の形成および熱的安定性を向上させるために添加する。これら元素の含有量をこれまで以上に狭い範囲で最適化することにより、鉄損の一層の改善が可能であることを見出した。
つまり、本発明者が例えば特許文献4および5を基に更なる低鉄損化を実現するために、B、Si、Cに加え、Mnの含有量と鉄損との関係を詳細に調べたところ、これら元素の含有量の組合せを最適化した領域で、鉄損W13/50が安定して0.090W/kg未満となることを見出した。
すなわち、図1に示すように、B、Si、C,Mnの含有量の組合せを最適化することで、鉄損W13/50が安定して0.090W/kg未満となることがわかった。
よって、本発明では以下のように、B、Si、C、Mnの含有量を限定する。つまり、原子%で、Bが10.0%以上13.0%以下、Siが5.0%以上8.0%以下、Cが2.0%以上3.0%以下さらに、Mnが0.10%以上2.0%以下と限定する。
さらに、B、Si、C、Mnの合計含有量を18.0%以上23.5%以下とすることで、鉄損W13/50が安定して0.085W/kg以下となることも可能である。
これに対して、B、Si、C、Mnの少なくとも1つの元素が、原子%で、Bが10.0%未満または13%超、Siが5.0%未満または8.0%超、Cが2.0%未満または3.0%超、Mnが0.10%未満または2.0%超となると、鉄損W13/50が安定して0.090W/kg未満にすることは困難となる。
Fe系非晶質合金において、Feの含有量は通常、70原子%以上であれば一般的に実用的なレベルの飽和磁束密度が得られるが、1.50T以上の高い飽和磁束密度を得るためには、Feを76.0原子%以上にする必要がある。一方、Fe量の上限は特に規定する必要はないが、Feの含有量が83.0原子%以上になると、非晶質相の形成が困難となり、非晶質合金特有の良好な軟磁気特性とすることが難しくなる場合がある。以上のことから、本実施形態のFe系非晶質合金において、Fe含有量は76.0原子%以上であることが好ましく、76.0原子%以上83.0原子%未満の範囲であることがより好ましい。
また、本実施形態のFe系非晶質合金では、Feの一部をNi、Cr、Coの少なくとも1種で、10.0原子%以下の範囲で代替することで、高飽和磁束密度を維持したまま鉄損などの軟磁気特性の改善も実現できる。これら元素による代替量に上限を設けたのは、10原子%超となると、飽和磁束密度が低くなることや原料コストが嵩むためである。
Fe系非晶質合金の残部は、不可避的不純物である。なお、不可避的不純物は、本発明の作用効果を阻害しない限り許容される。
本実施形態のFe系非晶質合金は、通常、薄帯の形態で得ることができる。このFe系非晶質合金薄帯は、上述の実施形態において説明した成分からなる合金を溶解し、溶湯をスロットノズル等を介して高速で移動している冷却板上に噴出し、該溶湯を急冷凝固させる方法、例えば、単ロ−ル法、双ロ−ル法によって製造することができる。これらのロール法に用いるロールは金属製であり、ロールを高速回転させ、ロール表面またはロール内面に溶湯を衝突させることで合金の急冷凝固が可能である。
単ロ−ル装置には、ドラムの内壁を使う遠心急冷装置、エンドレスタイプのベルトを使う装置、およびこれらの改良型である補助ロールやロール表面温度制御装置を付属させたもの、減圧下あるいは真空中、または不活性ガス中での鋳造装置も含まれる。
本実施形態では、薄帯の板厚、板幅などの寸法は特に限定しないが、薄帯の板厚は、例えば、10μm以上100μm以下が好ましい。また、板幅は10mm以上が好ましい。
以上説明の如く得られたFe系非晶質合金薄帯は、電力トランスや高周波トランスでの鉄心等の用途として用いることができる。
なお、本実施形態のFe系非晶質合金は、薄帯の他に粉末状とすることも可能である。
その場合、上述の組成の合金溶湯を満たしたるつぼのノズルから回転するロールあるいは冷却用の水などの液体の中に高速で合金溶湯あるいは合金溶湯の液滴を噴出して急冷凝固する方法を採用することができる。
上述の方法により、軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金粉末を得ることができる。
このようにして得られたFe系非晶質合金粉末は、金型等により圧密して目的の形状に成形し、必要に応じ焼結して一体化することで、電力トランスや高周波トランス、コイルの鉄心等の用途として適用することができる。
なお、本実施形態のFe系非晶質合金が非晶質組織を有するか否かは、例えば、Fe管球を用いたX線回折装置によるX線回折測定で確認できる。すなわち、X線回折測定において明確な回折ピークが得られない場合は、Fe系非晶質合金が非晶質組織を有していると確認できる。
以下、実施例について説明する。
(実施例1)
以下の表1に示す各種成分の合金をアルゴン雰囲気中で溶解し、単ロ−ル装置で鋳造して薄帯を作製した。鋳造雰囲気は大気中であった。そして、得られた薄帯について軟磁気特性を調査した。使用した単ロ−ル装置は、直径300mmの銅合金製冷却ロ−ル、試料溶解用の高周波電源、先端にスロットノズルが付いている石英ルツボ等から構成される。
本実験では、長さ20mm、幅0.6mmのスロットノズルを使用した。冷却ロ−ルの周速は24m/秒とした。結果として、得られた薄帯の板厚は約25μmであり、板幅はスロットノズルの長さに依存するので20mmであり、長さはおよそ50mであった。
得られた薄帯の鉄損は、SST(Single Strip Tester)を用いて測定した。鉄損測定条件は、磁束密度1.3T、周波数50Hzである。これらの特性測定用の試料は、いずれも1ロットの全長に渡って6箇所から採取し、鉄損測定用のサンプルは120mm長さに切断した薄帯サンプルとした。これら鉄損測定用の薄帯サンプルは360℃にて1時間、磁場中でアニ−ルを行って測定に供した。アニ−ル中の雰囲気は窒素とした。一方、VSM装置用の試料は、上記6個所からの薄帯サンプルについていずれも幅中央部から採取した薄片とした。一方、飽和磁束密度は、VSM装置(振動試料型磁力計)を用いて測定した。
飽和磁束密度の測定結果は6個所でのデ−タの平均値を、鉄損の測定結果は6箇所でのデータの最大値をそれぞれ、表1に示した。
Figure 2018083984
表1の試料No.1〜16の結果から明らかなように、Feを76.0原子%以上、Bを10.0原子%以上13.0原子%以下、Siを5.0原子%以上8.0原子%以下、Cを2.0原子%以上3.0原子%以下、Mnを0.10原子%以上2.0原子%以下の本発明範囲とすることによって、飽和磁束密度1.50T以上を維持したまま、磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損が0.090W/kg未満と、良好な軟磁気特性を有するFe系非晶質合金薄帯が得られることがわかった。一方、試料No.1〜No.4、No.6〜No.9、No.11〜No.16の結果から明らかなように、B、Si、C、Mnの合計含有量を18.0原子%以上23.5原子%以下とすることで、鉄損W13/50が安定して0.085W/kg以下と、より良好な軟磁気特性を有するFe系非晶質合金薄帯が得られることがわかった。また、試料No.1〜16は、X線回折測定において明確な回折ピークが観察されず、非晶質であることが確認された。
これらに対して、試料No.17〜25に示す比較例のうち、試料No.18では、表面にうねりが発生し良好な薄帯が得られなかったことから、鉄損や飽和磁束密度の測定ができなかった(表1中の軟磁気特性の欄中に「−」で示す)。試料No.18は、B含有量が望ましい範囲下限を下回った例である。
一方、試料No.17、19〜25では、薄帯が得られても飽和磁束密度が1.50T以上および鉄損が0.090W/kg未満の両者を満足する特性は得られなかった。
試料No.17は、Fe含有量が望ましい範囲の下限76.0原子%を下回り飽和磁束密度が低下した例である。試料No.19は、B含有量が望ましい範囲の上限13.0原子%を上回り鉄損が増加した例である。試料No.20は、Si含有量が望ましい範囲の下限5.0原子%を下回り鉄損が増加した例である。試料No.21は、Si含有量が上限の8.0原子%を上回り鉄損が増加した例である。
一方、試料No.22は、C含有量が下限の2.0原子%を下回り鉄損が増加した例であり、試料No.23はC含有量が上限の3.0原子%を上回り鉄損が増加した例である。さらに、試料No.24はMn含有量が望ましい範囲の下限0.10原子%を下回り鉄損が増加した例、試料No.25はMn含有量が望ましい範囲の上限2.0原子%を上回り鉄損が増加した例である。
これらの対比から、本発明により、Fe系非晶質合金において1.50T以上という高飽和磁束密度を維持したまま、磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損が0.090W/kg未満という優れた鉄損を実現できることがわかった。
(実施例2)
表1のNo.1に示す合金について、Feの一部をNi、Cr、Coの少なくとも1種で代替した各種成分の合金を用いて、実施例1と同様の装置、条件により薄帯を鋳造した。なお、用いた合金の具体的な成分については、Ni、Cr、Coについてのみを表2に示した。結果として、得られた薄帯の板厚、板幅、および長さはそれぞれ、約25μm、20mm、およそ50mであった。得られた薄帯の飽和磁束密度及び鉄損について評価した。これらの特性評価に用いた試料の採取方法及び測定条件は、実施例1と同じであった。その測定結果を表2に示す。なお、表2での表示要領は、表1の場合同様である。
Figure 2018083984
表2の試料No.26〜32の結果から明らかなように、Feの一部をNi、Cr、Coの少なくとも1種で、10.0原子%以下の範囲で代替しても、飽和磁束密度が1.50T以上で、鉄損をW13/50で安定して0.085W/kg以下とできることがわかった。
また、いずれの試料も、X線回折測定において明確な回折ピークが観察されず、非晶質であることが確認された。
(実施例3)
表1のNo.12に示す合金について、Feの一部をNi、Cr,Coの少なくとも1種で代替した各種成分の合金を用いて、実施例1と同様の装置、条件により薄帯を鋳造した。なお、用いた合金の具体的な成分については、Ni、Cr、Coについてのみを表3に示した。結果として、得られた薄帯の板厚、板幅、長さはそれぞれ、約25μm、20mm、およそ50mであった。得られた薄帯の飽和磁束密度及び鉄損について評価した。
これらの特性評価に用いた試料の採取方法及び測定条件は、実施例1と同じであった。その測定結果を、表3に示す。なお、表3での表示要領は、表1の場合同様である。
Figure 2018083984
表3の試料No.33〜39の結果から明らかなように、Feの一部をNi、Cr、Coの少なくとも1種で、10.0原子%以下の範囲で代替しても、飽和磁束密度が1.50T以上で、鉄損をW13/50で安定して0.085W/kg以下とできることがわかった。
また、いずれの試料も、X線回折測定において明確な回折ピークが観察されず、非晶質であることが確認された。
本発明により、飽和磁束密度が高いまま鉄損が一層低い、すなわち、品質が良好なFe系非晶質合金、例えば、Fe系非晶質合金薄帯を工業的規模で安定して製造することが可能となった。本発明のFe系非晶質合金の特性は、これまでのFe系非晶質合金より品質が良好であることから、産業上の利用可能性は大きい。

Claims (6)

  1. 原子%で、Feを76.0%以上、Bを10.0%以上13.0%以下、Siを5.0%以上8.0%以下、Cを2.0%以上3.0%以下、Mnを0.10%以上2.0%以下含有し、残部が不可避的不純物からなることを特徴とする、軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金。
  2. 原子%で、Feを76.0%以上、Bを10.0%以上13.0%以下、Siを5.0%以上8.0%以下、Cを2.0%以上3.0%以下、Mnを0.10%以上2.0%以下含有し、かつ、前記B、Si、C、Mnの合計含有量が18.0%以上23.5%以下であり、残部が不可避的不純物からなることを特徴とする、軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金。
  3. Ni、Cr、Coのうち少なくとも1種以上で、請求項1または請求項2に記載のFe系非晶質合金のFeを10.0原子%以下の範囲で、代替したことを特徴とする、軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金。
  4. 磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損(鉄損W13/50)が0.090W/kg未満、かつ、飽和磁束密度が1.50T以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金。
  5. 磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損(鉄損W13/50)が0.085W/kg以下、かつ、飽和磁束密度が1.50T以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のFe系非晶質合金からなることを特徴とするFe系非晶質合金薄帯。
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