JP2006312777A - 軟磁気特性に優れた急冷凝固薄帯 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Fe、Co、Ni、Si、B、Cの主要元素および不純物で構成される薄帯であり、主要元素の組成がFea Mb Sic Bd Ce で表示され、不純物として、質量%で、P:0.008〜0.1%、Mn:0.15〜0.5%、S:0.004〜0.05%を含有する交流における軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金薄帯。ただし、MはCo、Niのうち少なくとも一方からなる。又、a、b、c、d及びeは原子%で、それぞれ、80<a≦82、 0.01≦b≦1、 2≦c≦7、 12≦d≦16、 0.003≦e≦2、であり、a+b+c+d+e=100である。
【効果】 鉄損W13/50 が安定して0.10W/kg以下とすることができる。
【選択図】 なし
Description
具体的に抑制されていた不純物としては、例えばPおよびSがあり、特許文献1では、Pを0.015重量%以下、Sを0.02重量%以下に限定している。この公報には、Pは鉄損を劣化させる元素として、また、Sは脆性を促進する元素として記載されている。組成は重量%で、Feを86〜95%、Siを0〜11%、Bを2〜4%、Cを0〜1.5%に規定しており、これを原子%表示に換算すると、Feが65.9〜85.4%、Siが0〜18.3%、Bが8.3〜17.6%、Cが0〜6.1%の広範囲をとっている。
しかしながら、Fe系非晶質合金薄帯における特性改善のニ−ズは高く、更なる鉄損改善が求められている。先に述べた特許文献3や特許文献4で提案した発明においては、鉄損を例えば、単板測定による鉄損W13/50 (磁束密度1.3T、周波数50Hzにおける鉄損)で0.12W/kg以下に改善することができたものの、安定して0.10W/kg以下にすることは非常に困難であった。
(1)主要元素の組成がFea Mb Sic Bd で表示され、不純物として質量%で、
P :0.008〜0.1%、
Mn:0.15〜0.5%、
S :0.004〜0.05%
を含有することを特徴とする、交流における軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金薄帯。 ただし、MはCo、Niのうち少なくとも一方からなる。
又、a、b、cおよびdは原子%で、
80<a≦82
0.05≦b≦1
2≦c≦7
12≦d≦16
であり、a+b+c+d=100である。
(2)主要元素の組成がFea Mb Sic Bd Ce で表示され、不純物として質量%で、 P :0.008〜0.1%、
Mn:0.15〜0.5%、
S :0.004〜0.05%
を含有することを特徴とする、交流における軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金薄帯。 ただし、MはCo、Niのうち少なくとも一方からなる。
又、a、b、c、dおよびeは原子%で、
80<a≦82
0.05≦b≦1
2≦c≦7
12≦d≦16
0.003≦e≦2
であり、a+b+c+d+e=100である。
(3)主要元素の組成がFea Mb Sic Bd で表示され、不純物として質量%で、
P :0.008〜0.1%、
Mn:0.15〜0.5%、
S :0.004〜0.05%
を含有することを特徴とする、交流における軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金薄帯。 ただし、MはCo、Niのうち少なくとも一方からなる。
又、a、b、cおよびdは原子%で、
80<a≦82
0.01≦b≦1
2≦c≦7
12≦d≦16
であり、a+b+c+d=100である。
(4)主要元素の組成がFea Mb Sic Bd Ce で表示され、不純物として質量%で、
P :0.008〜0.1%、
Mn:0.15〜0.5%、
S :0.004〜0.05%
を含有することを特徴とする、交流における軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金薄帯。 ただし、MはCo、Niのうち少なくとも一方からなる。
又、a、b、c、dおよびeは原子%で、
80<a≦82
0.01≦b≦1
2≦c≦7
12≦d≦16
0.003≦e≦2
であり、a+b+c+d+e=100である。
本発明の特徴は、P、Mn、Sの不純物をある程度含有する低品位な鉄源を使用する成分系で、主要元素としてCo、Niも添加し、Si、B、Cも含むこれら主要元素の含有量を最適化したことにより、交流における軟磁気特性、特に鉄損をロット内で安定して一層低くすることを実現したことにある。
Si及びBは、非晶質形成および熱的安定性を向上させるために添加する。さらに、これら元素の含有量を最適化することで、鉄損値が一層改善できることが可能で、例えば単板測定による鉄損W13/50 を安定して0.10W/kg以下とすることができる。
Siが2原子%未満、Bが12原子%未満では成分系では非晶質合金が安定して得られないことから、鉄損を安定して0.10W/kg以下とすることが困難となる。一方、Siを7原子%超とすると、本発明のように不純物が含まれる鉄源を使用したり、CoやNiが含まれる場合には、鉄損をW13/50 で安定して0.1W/kg以下とすることができなくなる。
Bを16原子%超にすると、不純物が含まれる鉄源を使用する場合は脆化が進み好ましくなくなるとともに、原料コストが高くなってしまう。したがって、Siを2〜7原子%、Bを12〜16原子%の範囲に限定した。
Pを0.008〜0.1質量%の範囲にすると、前述したような安価な鉄源を用いた場合でも鉄損を安定して低くすることが可能である。一方、Pの含有量が0.008質量%未満の場合には、不純物元素MnおよびSの許容量を拡大する効果は現れなくなる。したがってPの含有量を0.008〜0.1質量%に限定した。
Mnを0.5質量%超、Sを0.05質量%超含有する場合には、Pを0.008〜0.1質量%含有しても薄帯の鉄損改善が得られない。したがって、Mnを0.5質量%以下、Sを0.05質量%以下に限定した。一方、Mnを0.15質量%より少なくする場合、Sを0.004質量%より少なくする場合には、もはや安価な鉄源を使うことができなくなり、従来のような高価である高純度な鉄源を使用しなければならなくなる。その結果、合金コストが増大し好ましくない。したがって、Mnを0.15質量%以上、Sを0.004質量%以上に限定した。
さらに、Mn、Sの不純物元素の含有量は、本発明で限定する範囲内においてできるだけ少ない方が好ましく、Mnを0.15〜0.3質量%、Sを0.004〜0.02質量%にすることが好ましい。
本発明では、薄帯の板厚、板幅などの寸法は特に限定しないが、薄帯の板厚は、例えば10μm以上100μm以下が好ましい。また、板幅は20mm以上が好ましい。
(実施例1)
Pを0.018質量%、Mnを0.21質量%、Sを0.006質量%含有させたFe−(Co、Ni)−Si−B−C合金をアルゴン雰囲気中で溶解し、単ロ−ル法で薄帯に鋳造した。鋳造雰囲気は大気中であった。この際、表1に示すように、Fe、Co、Ni、Si、B、C含有の割合を変化させて、これらの元素の含有割合と薄帯特性との関係を調べた。Fe、Co、Ni、Si、B、Cの割合は、Fe+Co+Ni+Si+B+C=100原子%として表示してある。
使用した単ロ−ル薄帯製造装置は、直径580mmの銅合金製冷却ロ−ル、試料溶解用の高周波電源、先端にスロットノズルが付いている石英ルツボ等から構成される。この実験では、長さ25mm、幅0.4mmのスロットノズルを使用した。冷却ロ−ルの周速は24m/秒とした。結果として、得られた薄帯の板厚は約25μmであり、板幅はスロットノズルの長さに依存するので25mmであった。
それに対して、試料No.33〜48に示す比較例の成分範囲では、鉄損は0.11W/kgより大きくなる部位が存在し、偏差((Wmax −Wmin )/Wmin )も0.1以上となってしまう。また、試料No.36〜38では合金コストが高くなり、試料No.42,43では薄帯の脆化が大きくなった。
以上のことから、本発明によって、更なる軟磁気特性の改善が実現できることがわかった。
主要構成元素であるFe、Co、Ni、Si、B、Cが原子%で、Fe80.3Co0.12Ni0.14Si5.2 B13.5C0.74なる組成に対して、P、Mn、Sが種々の割合で含有している合金を用いて、実施例1と同様の装置、条件により薄帯を鋳造した。結果として、得られた薄帯の板厚は約25μmであった。得られた薄帯の鉄損を評価した。鉄損評価のための測定サンプルの採取方法及び測定条件は、実施例1と同じであった。その測定結果を表2に示す。なお、表2での表示要領は表1の場合と同様である。
それに対して、試料No.18〜28に示したように、P、Mn、Sの少なくとも一元素が本発明の範囲を外れる場合には、鉄損は0.11W/kgより大きくなる部位が存在し、偏差((Wmax −Wmin )/Wmin )も0.1以上となってしまう。また、試料No.18では合金コストが高くなってしまう。
以上のことから、本発明によって、従来よりも低品位な鉄源が使用可能であることが分かる。
Claims (4)
- 主要元素の組成がFea Mb Sic Bd で表示され、不純物として質量%で、
P :0.008〜0.1%、
Mn:0.15〜0.5%、
S :0.004〜0.05%
を含有することを特徴とする、交流における軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金薄帯。 ただし、MはCo、Niのうち少なくとも一方からなる。
又、a、b、cおよびdは原子%で、
80<a≦82
0.05≦b≦1
2≦c≦7
12≦d≦16
であり、a+b+c+d=100である。 - 主要元素の組成がFea Mb Sic Bd Ce で表示され、不純物として質量%で、
P :0.008〜0.1%、
Mn:0.15〜0.5%、
S :0.004〜0.05%
を含有することを特徴とする、交流における軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金薄帯。 ただし、MはCo、Niのうち少なくとも一方からなる。
又、a、b、c、dおよびeは原子%で、
80<a≦82
0.05≦b≦1
2≦c≦7
12≦d≦16
0.003≦e≦2
であり、a+b+c+d+e=100である。 - 主要元素の組成がFea Mb Sic Bd で表示され、不純物として質量%で、
P :0.008〜0.1%、
Mn:0.15〜0.5%、
S :0.004〜0.05%
を含有することを特徴とする、交流における軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金薄帯。 ただし、MはCo、Niのうち少なくとも一方からなる。
又、a、b、cおよびdは原子%で、
80<a≦82
0.01≦b≦1
2≦c≦7
12≦d≦16
であり、a+b+c+d=100である。 - 主要元素の組成がFea Mb Sic Bd Ce で表示され、不純物として質量%で、
P :0.008〜0.1%、
Mn:0.15〜0.5%、
S :0.004〜0.05%
を含有することを特徴とする、交流における軟磁気特性に優れたFe系非晶質合金薄帯。 ただし、MはCo、Niのうち少なくとも一方からなる。
又、a、b、c、dおよびeは原子%で、
80<a≦82
0.01≦b≦1
2≦c≦7
12≦d≦16
0.003≦e≦2
であり、a+b+c+d+e=100である。
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