JPH09141735A - ラミネート用二軸延伸ポリエステルフイルム - Google Patents

ラミネート用二軸延伸ポリエステルフイルム

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JPH09141735A
JPH09141735A JP30011295A JP30011295A JPH09141735A JP H09141735 A JPH09141735 A JP H09141735A JP 30011295 A JP30011295 A JP 30011295A JP 30011295 A JP30011295 A JP 30011295A JP H09141735 A JPH09141735 A JP H09141735A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形性、味特性、耐衝撃性に優れた金属板ラミ
ネート用ポリエステルフィルムを得る。 【解決手段】固体高分解能NMRによる構造解析におけ
る1、4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが150
msec以上であることを特徴とするラミネート用二軸
延伸ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はラミネート用ポリエ
ステルフイルムに関するものである。更に詳しくは成形
性、耐衝撃性、味特性に優れ、成形加工によって製造さ
れる金属缶に好適な金属板ラミネート用フイルムに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属缶の缶内面及び外面は腐食防
止を目的として、エポキシ系、フェノ−ル系等の各種熱
硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させたものを塗布
し、金属表面を被覆することが広く行われてきた。しか
しながら、このような熱硬化性樹脂の被覆方法は塗料の
乾燥に長時間を要し、生産性が低下したり、多量の有機
溶剤による環境汚染など好ましくない問題がある。
【0003】これらの問題を解決する方法として、金属
缶の材料である鋼板、アルミニウム板あるいは該金属板
にめっき等各種の表面処理を施した金属板にフイルムを
ラミネ−トする方法がある。そして、フイルムのラミネ
−ト金属板を絞り成形やしごき成形加工して金属缶を製
造する場合、フイルムには次のような特性が要求され
る。
【0004】(1)金属板との接着性に優れているこ
と。 (2)成形性に優れ、成形後にピンホールなどの欠陥を
生じないこと。 (3)金属缶に対する衝撃によって、ポリエステルフイ
ルムが剥離したり、クラック、ピンホールが発生したり
しないこと。 (4)缶の内容物の香り成分がフイルムに吸着したり、
フイルムの臭いによって内容物の風味がそこなわれない
こと(以下味特性と記載する)。
【0005】これらの要求を解決するために多くの提案
がなされており、例えば特開昭64−22530号公報
には特定の密度、面配向係数を有するポリエステルフイ
ルム、特開平2−57339号公報には特定の結晶性を
有する共重合ポリエステルフイルム等が開示されてい
る。しかしながら、これらの提案は上述のような多岐に
わたる要求特性を総合的に満足できるものではなく、特
に高度な成形性、優れた味特性が要求される用途では十
分に満足できるレベルにあるとは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た従来技術の問題点を解消することにあり、成形性、耐
熱性、耐衝撃性、味特性に優れ、特に成形加工によって
製造される成形性、耐衝撃性、味特性に優れた金属缶に
好適な金属板ラミネート用二軸延伸フイルムを提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、固体高分解能NMRによる構造解析における1、4
位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが150msec
以上であることを特徴とするラミネート用二軸延伸ポリ
エステルフィルムによって達成することができる。
【0008】本発明は、鋭意検討の結果、フィルム分子
鎖の安定性、運動性を制御したフィルムを得ることによ
り、成形性、味特性が良好で、特に耐衝撃性に優れるフ
ィルムが得られることを見出したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステルと
は、ジカルボン酸成分とグリコ−ル成分からなるポリマ
であり、ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ
ルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュ
ウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマ−
酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シ
クロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p
−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げること
ができる。なかでもこれらのジカルボン酸成分のうち、
テレフタル酸が耐熱性、味特性の点から好ましい。一
方、グリコ−ル成分としては例えばエチレングリコ−
ル、プロパンジオ−ル、ブタンジオ−ル、ペンタンジオ
−ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の
脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂
環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS
等の芳香族グリコール等が挙げられる。中でもこれらの
グリコール成分のうちエチレングリコールが好ましい。
なお、これらのジカルボン酸成分、グリコ−ル成分は2
種以上を併用してもよい。
【0010】また、本発明の効果を阻害しない限りにお
いて、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロ−ル
プロパン等の多官能化合物を共重合してもよい。
【0011】本発明において、耐熱性、味特性、の点
で、ポリエステル中にアンチモン化合物、ゲルマニウム
化合物、チタン化合物から任意に選択される金属化合物
の金属元素量が0.01ppm以上1000ppm未満
とすることが好ましく、さらに好ましくは0.05pp
m以上800ppm未満、特に好ましくは0.1ppm
以上500ppm未満である。主としてゲルマニウム化
合物が含有されていると、製缶工程で乾燥、レトルト処
理などの高温熱履歴を受けた後の味特性が良好となるの
で好ましい。また、主としてアンチモン化合物を含有す
ると、副生成するジエチレングリコール量が低減でき耐
熱性が良好となるので好ましい。また熱安定剤としてリ
ン化合物を10〜200ppm、好ましくは15〜10
0ppm加えても良い。リン化合物としては、リン酸や
亜リン酸化合物などが挙げられるが、特に限定するもの
ではない。
【0012】本発明のアンチモン化合物またはゲルマニ
ウム化合物またはチタン化合物をポリエステルに含有さ
せる方法は従来公知の任意の方法を採用することができ
特に限定されないが、通常ポリエステルの製造が完結す
る以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモ
ン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添
加することが好ましい。このような方法としては例え
ば、ゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化
合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭5
4−22234号公報に記載されているように、ポリエ
ステルの出発原料であるグリコ−ル成分中にゲルマニウ
ム化合物を溶解させて添加する方法等を挙げることがで
きる。ゲルマニウム化合物としては、例えば二酸化ゲル
マニウム、結晶水含有水酸化ゲルマニウム、あるいはゲ
ルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエト
キシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウム
エチレングリコキシド等のゲルマニウムアルコキシド化
合物、ゲルマニウムフェノレ−ト、ゲルマニウムβ−ナ
フトレ−ト等のゲルマニウムフェノキシド化合物、リン
酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウム等のリン含有ゲ
ルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウム等を挙げることが
できる。中でも二酸化ゲルマニウムが好ましい。アンチ
モン化合物としては、特に限定されないが例えば、三酸
化アンチモンなどのアンチモン酸化物、酢酸アンチモン
などが挙げられる。チタン化合物としては、特に限定さ
れないがテトラエチルチタネート、テトラブチルチタネ
ートなどのアルキルチタネート化合物などが好ましく使
用される。
【0013】本発明におけるポリエステルは、好ましく
はジエチレングリコール成分量が0.01〜3.0重量
%、さらに好ましくは0.02〜2.5重量%、特に好
ましくは0.1〜2.0重量%であることが製缶工程で
の良好な成形性や熱処理、製缶後のレトルト処理などの
多くの熱履歴を受けても良好な耐衝撃性を維持する上で
望ましい。このことは、200℃以上での耐酸化分解性
が向上するものと考えられ、さらに公知の酸化防止剤を
0.0001〜1重量%添加してもよい。
【0014】また、味特性を良好にする上で、フィルム
中のアセトアルデヒドの含有量を好ましくは30ppm
以下、さらに好ましくは25ppm以下、特に好ましく
は20ppm以下が望ましい。アセトアルデヒドの含有
量が30ppmを越えると味特性に劣る。フィルム中の
アセトアルデヒドの含有量を30pm以下とする方法は
特に限定されるものではないが、例えばポリエステルを
重縮反応等で製造する際の熱分解によって生じるアセト
アルデヒドを除去するため、ポリエステルを減圧下ある
いは不活性ガス雰囲気下において、ポリエステルの融点
以下の温度で熱処理する方法、好ましくはポリエステル
を減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において150℃
以上、融点以下の温度で固相重合する方法、ベント式押
出機を使用して溶融押出する方法、ポリマを溶融押出す
る際に押出温度を高融点ポリマ側の融点+30℃以内、
好ましくは融点+25℃以内で、短時間、好ましくは平
均滞留時間1時間以内で押出す方法等を挙げることがで
きる。
【0015】また、本発明のポリエステルは味特性の点
から、ポリエステル中のオリゴマの含有量を1.0重量
%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.8
重量%以下、より好ましくは0.7重量%以下とするこ
とが好ましい。ポリエステル中のオリゴマ含有量が1.
0重量%を越えると味特性に劣り好ましくない。ポリエ
ステル中のオリゴマ含有量が1.0重量%以下とする方
法は特に限定されるものではないが、上述のポリエステ
ル中のアセトアルデヒド含有量を低減させる方法と同様
の方法等を採用することで達成できる。
【0016】本発明におけるポリエステルとしてはポリ
エステルエチレンテレフタレートを主たる構成成分とす
るポリエステルが好ましく、繰り返し単位の90モル%
以上がエチレンテレフタレートであることが成形性、耐
経時性向上の点から好ましい。また、さらに好ましくは
95モル以上あることが、特に味特性、耐衝撃性を向上
させる点からも望ましい。ポリエステルは、耐熱性、味
特性、耐経時性等の点から融点が230℃以上であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは240℃以上、特に好
ましくは250℃以上である。
【0017】また、本発明において特に耐衝撃性、味特
性を良好にするためには、好ましくはポリエステルの固
有粘度が0.5以上1.0以下、さらに好ましくは固有
粘度が0.55以上1.0以下、特に好ましくは固有粘
度が0.6以上1.0以下であると、ポリマ分子鎖の絡
み合い密度が高まるためと考えられるが耐衝撃性、味特
性をさらに向上させることができるので好ましい。
【0018】本発明のポリエステルの製造は、従来公知
の任意の方法を採用することができ、特に限定されるも
のではない。例えばポリエチレンテレフタレ−トにイソ
フタル酸成分を共重合し、ゲルマニウム化合物として二
酸化ゲルマニウムを添加する場合で説明する。テレフタ
ル酸成分、イソフタル酸成分とエチレングリコ−ルをエ
ステル交換またはエステル化反応せしめ、次いで二酸化
ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減
圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重
縮合反応せしめ、ゲルマニウム元素含有重合体を得る。
次いで得られた重合体をその融点以下の温度において減
圧下または不活性ガス雰囲気下で固相重合反応せしめ、
アセトアデルヒドの含有量を減少させ、所定の固有粘
度、カルボキシル末端基を得る方法等を挙げることがで
きる。
【0019】本発明のポリエステルを製造する際には、
従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用することがで
き、反応触媒としては例えばアルカリ金属化合物、アル
カリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン
化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチ
モン化合物、チタン化合物等、着色防止剤としては例え
ばリン化合物等挙げることができる。
【0020】また、本発明のフイルムの取扱い性、加工
性を向上させるために、平均粒子径0.1〜10μmの
公知の内部粒子、無機粒子および/または有機粒子など
の外部粒子の中から任意に選定される粒子が0.01〜
10重量%含有されていることが好ましく、さらには平
均粒子径0.1〜5μmの内部粒子、無機粒子および/
または有機粒子が0.01〜3重量%含有されているこ
とが好ましい。内部粒子の析出方法としては公知の技術
を採用できるが、例えば特開昭48−61556号公
報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41
355号公報、特開昭54−90397号公報などに記
載の技術が挙げられる。さらに特開昭55−20496
号公報、特開昭59−204617号公報などの他の粒
子との併用も行うことができる。10μmを越える平均
粒子径を有する粒子を使用するとフィルムの欠陥が生じ
易くなるので好ましくない。無機粒子および/または有
機粒子としては、例えば湿式および乾式シリカ、コロイ
ド状シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カル
シウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、
クレ−等の無機粒子およびスチレン、シリコ−ン、アク
リル酸類等を構成成分とする有機粒子等を挙げることが
できる。なかでも湿式および乾式コロイド状シリカ、ア
ルミナ等の無機粒子およびスチレン、シリコーン、アク
リル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼ
ン等を構成成分とする有機粒子等を挙げることができ
る。これらの内部粒子、無機粒子および/または有機粒
子は二種以上を併用してもよい。
【0021】中心線平均粗さRaは好ましくは味特性、
成形性の点から0.001〜0.08μm、さらに好ま
しくは0.002〜0.06μmである。さらに、最大
粗さRtとの比Rt/Raが5〜50、好ましくは8〜
40であると高速製缶性が向上する。
【0022】本発明において、ポリエステルフィルムを
少なくとも2層以上から構成される積層二軸延伸ポリエ
ステルフィルムより構成する場合、非ラミネート面とラ
ミネート面の層の固有粘度差が0.01〜0.5である
ことが、優れたラミネート特性、耐衝撃性、味特性を発
現させる点からも好ましい。
【0023】フィルム構成としては、単層、A/Bの2
層、B/A/BあるいはA/B/Cの3層、さらには3
層より多層の積層構成であってもよい。
【0024】本発明のフィルム構成がA層、B層の2層
より構成される場合、A層の厚みとしては0.1μm以
上25μm以下が好ましく、耐衝撃性の点でB層を改質
した際は、味特性、耐衝撃性を両立するうえで1μm以
上15μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以上
10μm以下である。粒子はA層、B層のいずれに添加
しても良いがB層の中心線平均粗さRaは好ましくは
0.005〜0.08μm、さらに好ましくは0.00
8〜0.06μmである。さらに、最大粗さRtとの比
Rt/Raが5〜50、好ましくは8〜40であると高
速製缶性が向上する。また、A層の中心線平均粗さRa
は好ましくは0.001〜0.05μm、さらに好まし
くは0.002〜0.04μmであると味特性が向上す
るので好ましい。
【0025】本発明の二軸延伸フイルムの厚さは、金属
にラミネートした後の成形性、金属に対する皮膜性、耐
衝撃性、味特性の点で、5〜60μmであることが好ま
しく、さらに好ましくは10〜40μmである。積層厚
みとしては、A層の厚みを0.01〜5μmとすること
が味特性、成形性の点で好ましく、さらに好ましくは、
0.1〜3μm、特に好ましくは0.5〜2μmであ
る。B層の厚みとしては4〜60μmであることが好ま
しく、さらに好ましくは8〜30μmである。
【0026】本発明は、固体高分解能NMRによる構造
解析における1、4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1
ρが150msec以上であることを必須とするもので
あり、好ましくは180msec以上、さらに好ましく
は200msec以上である。緩和時間T1ρが150
msec未満であれば、ラミネート後のフィルムの耐衝
撃性において何の効果も得られない。緩和時間T1ρは
分子運動性は分子運動性を表すものであり、T1ρが大
きいほど運動性は低くなる。本発明は、二軸延伸フィル
ムの状態において、1、4位のベンゼン環炭素のT1ρ
が150msec以上であることが必要であるが、これ
はこの部位の分子整列性を制御し、結晶構造にも似た安
定構造を形成する場合であり、優れた耐衝撃性を発現す
る。緩和時間T1ρを150msec以上に達成する方
法としては、フィルム製造時に縦延伸工程で高温予熱
法、高温延伸法を組み合わせて採用することによって達
成できるが、特に限定されるものでなく、例えば原料の
固有粘度、触媒、ジエチレングリコール量や延伸条件、
熱処理条件などの適性化によっても達成できる。フィル
ム製造時の縦延伸の予熱温度としては、90℃以上が好
ましく、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは
110℃以上である。また延伸温度は105℃以上が好
ましく、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは
115℃以上である。
【0027】さらに固体高分解能NMRによる構造解析
におけるカルボニル炭素の緩和時間T1ρが250ms
ec以上、好ましくは300msec以上であることが
耐衝撃性を一層向上させる点から好ましい。
【0028】本発明において、面配向係数が0.14以
下であることが優れた成形性を発現させる点から好まし
い。面配向係数が0.14を越えるとフィルム全体の配
向が高度になり、ラミネート後の成形が困難となり好ま
しくない。
【0029】本発明において、優れた成形性を得るため
に、フィルムの破断伸度はフィルム長手、横の両方向で
25℃で170%以上であることがが好ましく、さらに
好ましくは180%以上、特に好ましくは200%以上
である。伸度が170%未満であると成形性が低下し、
好ましくない。
【0030】本発明におけるフィルム及び/または積層
フィルムの製造方法としては、特に限定されないが例え
ば各ポリエステルを必要に応じて乾燥した後、単独及び
/または各々を公知の溶融積層用押出機に供給し、スリ
ット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方
式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し未
延伸シートを得る。該シートをキャスティングドラムに
密着させ冷却固化して得た未延伸シートをフイルムの長
手方向及び幅方向に延伸することにより二軸延伸フィル
ムを得る。延伸倍率は目的とするフイルムの配向度、強
度、弾性率等に応じて任意に設定することができるが、
好ましくはフィルムの品質の点でテンター方式によるも
のが好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸す
る逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同時に延
伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。延伸倍率とし
てはそれぞれの方向に1.5〜4.0倍、好ましくは
1.8〜4.0倍である。長手方向、幅方向の延伸倍率
はどちらを大きくしてもよく、同一としてもよい。ま
た、延伸速度は1000%/分〜200000%/分で
あることが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス
転移温度以上であれば任意の温度とすることができる
が、80〜150℃が好ましく、本発明においては優れ
た成形性を発現させ、高伸度を得るために100℃〜1
50℃が好ましい。更に二軸延伸の後にフイルムの熱処
理を行うが、この熱処理はオ−ブン中、加熱されたロ−
ル上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。
熱処理温度は140℃以上255℃以下の任意の温度と
することができるが、好ましくは150〜245℃であ
る。また熱処理時間は任意とすることができるが、通常
1〜60秒間行うのが好ましい。熱処理はフイルムをそ
の長手方向および/または幅方向に弛緩させつつおこな
ってもよい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上
行ってもよく、その後熱処理を行っても良い。
【0031】さらに本発明のフィルムは各種コーティン
グを施こしても良く、特に限定するものではない。
【0032】本発明では150℃×30分での熱収縮率
が7%以下であることが好ましい。熱収縮率が7%以
下、好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下で
あると金属との熱ラミネート性が優れるだけでなく、耐
衝撃性が向上する。
【0033】さらに、本発明のフィルムを製造するにあ
たり、必要により酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、耐
候剤、末端封鎖剤等の添加剤も適宜使用することができ
る。特に、酸化防止剤の併用は製缶工程での熱履歴によ
るポリエステルBの劣化を防止し好ましい。その量とし
ては、全フィルム重量に対し0.001〜1重量%程度
が好ましい。
【0034】また、コロナ放電処理などの表面処理を施
すことにより接着性を向上させることはさらに特性を向
上させる上で好ましい。その際、E値としては5〜4
0、好ましくは10〜35である。
【0035】本発明の金属板とは特に限定されないが、
成形性の点で鉄やアルミニウムなどを素材とする金属板
が好ましい。さらに、鉄を素材とする金属板の場合、そ
の表面に接着性や耐腐食性を改良する無機酸化物被膜
層、例えばクロム酸処理、リン酸処理、クロム酸/リン
酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理、クロムク
ロメート処理などで代表される化成処理被覆層を設けて
もよい。特に金属クロム換算値でクロムとして6.5〜
150mg/m2 のクロム水和酸化物が好ましく、さら
に、展延性金属メッキ層、例えばニッケル、スズ、亜
鉛、アルミニウム、砲金、真ちゅうなどを設けてもよ
い。スズメッキの場合0.5〜15mg/m2、ニッケ
ルまたはアルミニウムの場合1.8〜20g/m2 のメ
ッキ量を有するものが好ましい。
【0036】本発明の金属ラミネート用フィルムは、絞
り成形やしごき成形によって製造されるツーピース金属
缶の内面被覆用に好適に使用することができる。また、
ツーピース缶の蓋部分、あるいはスリーピース缶の胴、
蓋、底の被覆用としても良好な金属接着性、成形性を有
するため好ましく使用することができる。
【0037】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳細に説明す
る。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
【0038】(1)緩和時間T1ρ 固体NMRの測定装置は、日本電子製スペクトロメータ
JNM−GX270、日本電子製固体アンプ、MASコ
ントローラNM−GSH27MU、日本電子製プローブ
NM−GSH27T VT.W)を用いた。測定は13
核のT1ρ(回転座標における縦緩和)測定を実施し
た。
【0039】測定は、温度24.5℃、湿度50RH
%、静磁場強度6.34T(テスラ)下で、1 H、13
の共鳴周波数はそれぞれ270.2MHz、67.9M
Hzである。ケミカルシフトの異方性の影響を消すため
にMAS(マジック角度回転)法を採用した。回転数は
3.5〜3.7kHzで行った。パルス系列の条件は、
1 Hに対して90°、パルス幅4μsec、ロッキング
磁場強度62.5kHzとした。1 Hの分極を13Cに移
すCP(クロスポーラリゼーション)の接触時間は1.
5msecである。また保持時間τとしては、0.001 ,
0.5 ,0.7 ,1 ,3 ,7 ,10,20,30,40,50msec
をもちいた。保持時間τ後の13Cの磁化ベクトルの自由
誘導減衰(FID)を測定した(FID測定中1 Hによ
る双極子相互作用の影響を除去するために高出力デカッ
プリングを行った。なお、S/N比を向上させるため、
512回の積算を行った)。また、パルス繰り返し時間
としては、5sec〜15secの間で行った。
【0040】T1ρ値は、通常 I(t) =Σ(Ai)exp(−t /T1ρi ) (Ai:T1ρi に対する成分の割合) で記述することができ、各保持時間に対して観測された
ピーク強度を片対数プロットすることにより、その傾き
から求めることができる。ここでは2成分系(T1ρ1
:非晶成分、T1ρ2 :結晶成分)で解析し、下記の
式を用い最小2乗法フィッティングによりその値を求め
た。
【0041】I(t) =fa1 ・exp( −t /T1ρ1)+fa2 ・e
xp( −t /T1ρ2 ) fa1 :T1ρ1 に対する成分の割合 fa2 :T1ρ2 に対する成分の割合 fa1 +fa2 =1 ここでT1ρとしてはT1ρ2 を用いる。
【0042】(2)ポリエステルの融点 ポリエステルを結晶化させ、示差走査熱量計(パ−キン
・エルマ−社製DSC−2型)により、10℃/min
の昇温速度で測定した。
【0043】(3)ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをオルソクロロフェノ−ルに溶解し、25
℃において測定した。
【0044】(4)面配向係数(fn) 面配向係数(fn)は次式により定義される。
【0045】fn={(Nx+Ny)/2}−Nz 上記式において、Nx、Ny、Nzはそれぞれフィルム
の縦、横、厚さ方向の屈折率である。屈折率はアッベの
屈折率の接眼側に偏光板アナライザーを取り付け、単色
光NaD線で、ヨウ化メチレンをマウント液としてそれ
ぞれの屈折率を測定する。
【0046】(5)成形性 50m/分でフィルムと140〜250℃に加熱された
TFS鋼板(厚さ0.3mm)をB層が接着面となるよ
うにラミネート、急冷した後、絞り成形機(成形比(最
大厚み/最小厚み)=1.45、及び1.95)で80
〜100℃において成形可能温度領域で成形した缶を得
た。得られた缶内に1%の食塩水を入れて、食塩水中の
電極と金属缶に6vの電圧をかけて3秒後の電流値を読
み取り、10缶測定後の平均値を求めた。
【0047】 A級:0.001mA未満 B級:0.001mA以上0.01mA未満 C級:0.01mA以上0.1mA未満 D級:0.1mA以上
【0048】(6)耐衝撃性 絞り成形加工が良好な缶について、水を満注し、各試験
について10個ずつを高さ1.25mから塩ビタイル床
面に落とした後、電極と金属缶に6vの電圧をかけて3
秒後の電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求め
た。
【0049】 A級:0.001mA未満 B級:0.001mA以上0.01mA未満 C級:0.01mA以上0.1mA未満 D級:0.1mA以上
【0050】(7)味特性 缶(直径6cm、高さ12cm)に120℃×30分の
加圧蒸気処理を行った後、香料水溶液d−リモネン25
ppm水溶液を350ml充填し、40℃密封後45日
放置し、その後開封して官能検査によって、臭気の変化
を以下の基準で評価した。
【0051】 A級 臭気に全く変化が見られない。 B級 臭気にほとんど変化が見られない。 C級 臭気にやや変化が見られる。 D級 臭気に変化が大きく見られる。
【0052】[実施例1〜5]表1に示すポリエステル
を乾燥、溶融後、ダイより押出し、急冷固化して未延伸
フィルムを得た。
【0053】次いで、この未延伸フィルムを表1に示す
温度で、3倍に縦延伸後、3倍に横延伸し、続いて熱固
定して二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの厚
みは25μmであった。
【0054】このフィルムについて上記の各種評価を実
施した。その結果を表1に示したが、いずれも良好であ
った。
【0055】[実施例6]表2に示すポリエステルをそ
れぞれ独立に乾燥、溶融後、ダイより共押出し、急冷固
化して未延伸フィルムを得た。
【0056】次いで、この未延伸フィルムを表2に示す
温度で、3倍に縦延伸後3倍に横延伸し、続いて熱固定
して二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの厚み
は25μmであった。
【0057】このフィルムについて上記の各種評価を実
施した。その結果を表2に示したが、いずれも良好であ
った。
【0058】[比較例1〜2]ポリエステルの組成と延
伸条件を表1のように変更する以外は、実施例1と同様
に行った。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【表2】 なお、表中の略号は以下の通りである。
【0060】PET:ポリエチレンテレフタレート PET/I:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタ
レート(数字は共重合モル%)
【0061】
【発明の効果】本発明の金属板ラミネート用二軸延伸ポ
リエステルフィルムは缶などに成形する際の成形性に優
れているだけでなく、味特性、耐衝撃性に優れた特性を
有し、成形加工によって製造される金属缶に好適に使用
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67:00 67:02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体高分解能NMRによる構造解析におけ
    る1、4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが150
    msec以上であることを特徴とするラミネート用二軸
    延伸ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】フィルムを構成するポリエステル単位の9
    0モル%以上がエチレンテレフタレート単位であること
    を特徴とする請求項1に記載のラミネート用二軸延伸ポ
    リエステルフィルム。
  3. 【請求項3】フィルムを構成するポリエステル単位の9
    5モル%以上がエチレンテレフタレート単位であること
    を特徴とする請求項1に記載のラミネート用二軸延伸ポ
    リエステルフィルム。
  4. 【請求項4】面配向係数が0.14以下であることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のラミネート
    用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】ポリエステルフィルムが少なくとも2層以
    上から構成され、非ラミネート面とラミネート面を形成
    する各層の固有粘度差が0.01〜0.5であることを
    特徴とする請求項1乃至4に記載のラミネート用積層二
    軸延伸ポリエステルフイルム。
  6. 【請求項6】金属板にラミネートして使用することを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のラミネート
    用二軸延伸ポリエスエルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH09208720A (ja) * 1996-02-06 1997-08-12 Toray Ind Inc 金属板ラミネート用積層ポリエステルフイルム
JPH1160755A (ja) * 1997-08-12 1999-03-05 Mitsubishi Kagaku Polyester Film Kk 金属缶被覆用ポリエステルフィルム

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