JP2000211023A - 2ピ―ス食缶用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

2ピ―ス食缶用二軸延伸ポリエステルフィルム

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JP2000211023A
JP2000211023A JP32484699A JP32484699A JP2000211023A JP 2000211023 A JP2000211023 A JP 2000211023A JP 32484699 A JP32484699 A JP 32484699A JP 32484699 A JP32484699 A JP 32484699A JP 2000211023 A JP2000211023 A JP 2000211023A
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polyester film
piece food
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stretched polyester
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Ryosuke Matsui
良輔 松井
Masahiro Kimura
将弘 木村
Kozo Takahashi
弘造 高橋
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形加工を施しても金属板との密着性が良好で
あり、2ピースからなる金属缶、特に食品用金属缶への
成形加工が容易で、さらには耐衝撃性、味特性にも優れ
る2ピース食缶用二軸延伸ポリエステルフィルムを提供
すること。 【解決手段】面配向係数(fn)が0.080〜0.1
45であり、融点が240〜280℃である2ピース食
缶用二軸延伸ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は2ピース食缶用二軸
延伸ポリエステルフィルムに関するものである。さらに
詳しくは成形加工を施しても金属板との密着性が良好で
あり、2ピースからなる金属缶、特に食品用金属缶への
成形加工が容易で、さらには耐衝撃性、味特性にも優れ
る2ピース食缶用二軸延伸ポリエステルフィルムに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属缶の缶内面および外面は腐食
防止を目的として、エポキシ系、フェノール系などの各
種熱硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させたものを塗
布し、金属表面を被覆することが広く行われていた。し
かしながら、このような熱硬化性樹脂の被覆方法は塗料
の乾燥に長時間を要し、生産性が低下したり、多量の有
機溶剤による環境汚染など好ましくない問題がある。
【0003】これらの問題を解決する方法としては、金
属缶の材料である鋼板、アルミニウム板あるいは該金属
板にメッキなど各種の表面処理を施した金属板にフィル
ムをラミネートする方法がある。そして、フィルムのラ
ミネート金属板を絞り成形やしごき成形加工して金属缶
を製造する場合、フィルムには次のような特性が要求さ
れる。 (1) 金属板へのラミネート性に優れていること。 (2) 金属板との密着性に優れていること。 (3) 成形性に優れ、成形後にピンホールなどの欠陥を
生じないこと。 (4) 金属缶に対する衝撃によって、ポリエステルフィ
ルムが剥離したり、クラック、ピンホールが発生したり
しないこと。 (5) 缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、
フィルムからの溶出物によって内容物の風味がそこなわ
れないこと(以下、味特性と記載する)。 (6) 内容物が缶内面のフィルムと密着せず、内容物の
取り出しが容易であること(以下、内容物取出性と記載
する)。
【0004】これらの要求を解決するために多くの提案
がなされており、たとえば、特公昭64−22530号
公報には特定の密度、面配向係数を有するポリエステル
フィルムが開示され、またたとえば、特開平2−573
39号公報には特定の結晶性を有する共重合ポリエステ
ルフィルムなどが開示されている。しかしながら、これ
らの提案は上述のような多岐にわたる要求特性を必ずし
も総合的に満足できるものではなく、特に優れたラミネ
ート性、耐衝撃性、味特性および内容物取出性が要求さ
れる用途での成形性を両立することは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た従来技術の問題点を解消することにあり、ラミネート
性、成形加工性、耐衝撃性、味特性および内容物取出性
に優れる2ピースからなる食品用金属缶に好適な2ピー
ス食缶用二軸延伸ポリエステルフィルムを提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、面配向係数
(fn)が0.080〜0.145であり、融点が24
0〜280℃である2ピース食缶用二軸延伸ポリエステ
ルフィルムによって達成することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルフィルムを
構成するポリエステルとは、主鎖中の主要な結合をエス
テル結合とする高分子の総称であって、通常ジカルボン
酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによっ
て得ることができる。ここでジカルボン酸成分として
は、たとえばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフ
ェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカ
ルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタ
ル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フ
マル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香
酸などのオキシカルボン酸などを挙げることができる。
また、グリコール成分としては、たとえばエチレングリ
コール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタン
ジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール
などの脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの
ポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメ
タノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、
ビスフェノールSなどの芳香族グリコールなどが挙げら
れる。
【0008】本発明のポリエステルは、主たる構成単位
がエチレンテレフタレート単位および/またはエチレン
2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位とするポリ
エステルであることが好ましい。一方、味特性を損ねな
い範囲で他のジカルボン酸成分とグリコール成分を共重
合してもよく、ジカルボン酸成分としては、たとえばイ
ソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルジス
ルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸な
どの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸
などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸など
のオキシカルボン酸などを挙げることができる。また、
グリコール成分としては、たとえば1,3−プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コールなどの脂肪族グリコール、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビ
スフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコ
ールなどが挙げられる。なお、これらのジカルボン酸成
分、グリコール成分は2種以上を併用してもよい。味特
性の点ではジフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムス
ルホンジカルボン酸が好ましい。
【0009】また、本発明の効果を阻害しない限りにお
いて、ポリエステルにトリメリット酸、トリメシン酸、
トリメチロールプロパンなどの多官能化合物を共重合し
てもよい。
【0010】本発明のポリエステルを製造するに際して
は、従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用することが
でき、反応触媒としてはたとえばアルカリ金属化合物、
アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マン
ガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、ア
ンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物な
どを、着色防止剤としてはリン化合物などを使用するこ
とができるが、特にこれらに限定されるものではない。
内容物取出性の観点からはアルカリ金属化合物および/
もしくはアルカリ土類金属化合物を反応触媒に用いるこ
とが好ましい。
【0011】通常、ポリエステルの製造が完結する以前
の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合
物、ゲルマニウム化合物および/またはチタン化合物を
添加することが好ましい。このような方法としては、た
とえばゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム
化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭
54−22234号公報に記載されているように、ポリ
エステルの出発原料であるグリコール成分中にゲルマニ
ウム化合物を溶解させて添加する方法を使用することが
できる。
【0012】かかるゲルマニウム化合物としては、たと
えば二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム水和物あ
るいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムエ
チレングリコキシドなどのゲルマニウムアルコキシド化
合物、ゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマ
ニウム、亜リン酸ゲルマニウムなどのリン酸含有ゲルマ
ニウム化合物、酢酸ゲルマニウムなどを使用することが
できる。なかでも二酸化ゲルマニウムが好ましく用いら
れ、特に非晶質の二酸化ゲルマニウムが特に好ましく用
いられる。
【0013】また、アンチモン化合物としては特に限定
されないが、たとえば三酸化アンチモンなどの酸化物、
酢酸アンチモンなどが使用される。また、さらにチタン
化合物としては、特に限定されないが、チタンテトラエ
トキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラ
アルコキシドが好ましく用いられる。
【0014】以上のようにして、本発明のポリエステル
は製造されるが、ここで具体的な例で説明する。たとえ
ば、ポリエチレンテレフタレートを製造するに際して、
触媒として二酸化ゲルマニウムを添加する場合には、テ
レフタル酸成分とエチレングリコール成分をエステル交
換またはエステル化反応させ、次に二酸化ゲルマニウ
ム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減圧下で一定
のジエチレングリコール含有量になるまで重縮合させ、
ゲルマニウム元素含有重合体を得る方法が好ましく採用
される。さらに好ましい方法としては、得た重合体をそ
の融点以下の温度において減圧下または不活性ガス雰囲
気下で固相重合反応し、アセトアルデヒドの含有量を減
少させ、所定の固有粘度、カルボキシ末端基を得る方法
などが用いられる。
【0015】本発明のポリエステルフィルムは、味特
性、保存性の観点からフィルム中に残存する金属触媒元
素のうち、ゲルマニウム、アンチモン、チタンおよびケ
イ素元素の残存量(M1)とフィルム中のリン元素残存
量(P)が式(2)を満足することが好ましい。
【0016】0.3≦M1/P≦3 ・・・(2) ただし、M1、Pの単位はミリモル%。
【0017】さらに、(M1/P)が0.3〜2である
と味特性の点でより好ましく、0.3〜1の範囲である
と特に好ましい。また、フィルム中の金属触媒残存量
(M1)が5〜40ミリモル%であると好ましく、10
〜35ミリモル%であるとより好ましい。特に好ましく
は10〜30ミリモル%である。一方、着色防止剤とし
て使用するリン元素のフィルム中の残存量(P)は生産
性、着色防止の観点から10〜30ミリモル%であるこ
とが好ましく、より好ましくは15〜25ミリモル%で
ある。
【0018】(M1/P)の値がかかる範囲を満足する
ような金属触媒残存量、リン元素残存量とする手法とし
ては特に限定されるものではないが、上記ポリエステル
重合時に、触媒および/または着色防止剤の添加量を他
の特性を悪化させない範囲において調整することで可能
である。また、M1がゲルマニウムおよび/またはアン
チモンの残存量であると味特性に特に優れるので好まし
い。さらに、フィルム中に残存するゲルマニウム、アン
チモン、チタンおよびケイ素以外触媒金属元素の残存量
(M2)と上記M1が式(3)を満足することが好まし
い。
【0019】20≦M1+M2≦120 ・・・(3) ただし、M1、M2の単位はミリモル%。
【0020】(M1+M2)がかかる範囲より小さい場
合、製膜性が悪化する場合があり、また、かかる範囲を
越える場合には味特性が悪化する場合がある。味特性の
観点からは、(M1+M2)が20〜100ミリモル%
であるとさらに好ましく、特に好ましくは20〜80ミ
リモル%である。(M1+M2)の値がかかる範囲を満
足するようなM1、M2を達成する方法としては特に限
定させるものではないが、エステル交換反応時、重合時
に添加する触媒種、触媒量を他の特性を悪化させない範
囲において調整することにより可能である。
【0021】本発明におけるポリエステルは、好ましく
はジエチレングリコール成分量が0.01〜3.5重量
%、さらに好ましくは0.01〜2.5重量%、特に好
ましくは0.01〜2.0重量%であることが、製缶工
程での熱処理、製缶後のレトルト処理などの多くの履歴
を受けても優れた味特性を維持する上で望ましい。この
ことは200℃以上での耐酸化分解性が向上するためで
あると考えられ、さらに公知の酸化防止剤を0.000
1〜1重量%添加してもよい。また、味特性を損ねない
範囲でジエチレングリコールをポリエステル製造時に添
加してもよい。
【0022】また、味特性を良好にする上で、フィルム
中のアセトアルデヒドの含有量を好ましくは25ppm
以下、さらに好ましくは20ppm以下とすることが望
ましい。アセトアルデヒドの含有量が25ppmを越え
ると味特性に劣る。
【0023】かかるフィルム中のアセトアルデヒド含有
量を25ppm以下にする方法は特に限定されるもので
はないが、たとえばポリエステルを重縮合反応などで製
造する際の熱分解により生じるアセトアルデヒドを除去
するため、ポリエステルを減圧下もしくは不活性ガス雰
囲気で融点以下の温度で熱処理する方法、好ましくはポ
リエステルを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下で15
5℃以上融点以下の温度で固相重合する方法、ベント式
押出機を使用して溶融押出する方法、ポリエステルを溶
融押出する際に押出温度を融点+30℃以内、好ましく
は融点+25℃以内で短時間、好ましくは平均滞留時間
1時間以内で押し出す方法などを用いることができる。
【0024】また、ポリエステルの固有粘度は0.05
〜0.15m3/kgであることが好ましく、特に耐熱
性、耐経時性が要求される用途では固有粘度が0.06
〜0.15m3/kgであることが好ましい。
【0025】本発明におけるポリエステルフィルムの製
造方法としては、特に限定されるものではないが、たと
えばポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶
融押出機に供給、溶融しスリット状のダイからシート状
に押出し、特に限定されないが、たとえばワイヤー状電
極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、
キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水
膜を設けたキャスト法、キャスティングドラム温度をポ
リエステルのガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)
にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくはこ
れらの方法を複数組み合わせた方法によりシート状ポリ
マーをキャスティングドラムに密着させ冷却固化し未延
伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、生産
性平面性の観点から静電印加する方法が好ましく使用さ
れ、特にテープ状電極を使用する方法が好ましく用いら
れる。かかる未延伸フィルムを用いて長手方向に延伸し
た後、幅方向に延伸する、あるいは幅方向に延伸した
後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法、フィルムの
長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延
伸方法などにより延伸を行う。
【0026】かかる延伸方法において、採用される延伸
倍率としては、それぞれの方向に好ましくは1.6〜
4.2倍、さらに好ましくは1.7〜4.0倍である。
また、延伸速度は1000〜200000%/分である
ことが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移
点〜(ガラス転移点+100℃)の温度範囲であれば任
意の温度とすることができるが、好ましくは、80〜1
70℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を90〜1
50℃、幅方向の延伸温度を80〜150℃とするのが
よい。また、延伸は各方向に対して複数回行ってもよ
い。
【0027】さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を
行うが、この熱処理はオーブン中、加熱されたロール上
など従来公知の任意の方法により行うことができる。熱
処理温度は120℃以上ポリエステルの融点以下の任意
の温度とすることができるが、成形加工性、耐衝撃性の
点から示差走査熱量計(DSC)において測定される、
フィルム製造時の熱処理に伴う吸熱ピーク温度(Ts)
が120〜230℃の範囲内になる熱処理温度であるこ
とが好ましい。かかる温度よりTsが低温であれば、耐
衝撃性が悪化し、高温であれば成形加工性が悪化するこ
とがある。成形後の耐衝撃性の点からはTsが150〜
220℃であればさらに好ましく、170〜210℃の
範囲であればよりいっそう好ましい。また、熱処理時間
は他の特性を悪化させない範囲において任意とすること
ができるが、通常1〜60秒間行うのが好ましい。さら
に、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向
に弛緩させて行ってもよい。
【0028】本発明においては、ポリエステルフィルム
は味特性、耐熱性、ラミネート性の点から融点(Tm)
が240〜280℃であることが必要である。融点が2
40℃未満では味特性、耐衝撃性が悪化し、また、28
0℃より高いとラミネート性、成形性が悪化する。また
味特性、ラミネート性の観点からより好ましくはTmが
246〜275℃であり、特に好ましくは246〜27
0℃である。
【0029】本発明において、ラミネート性、成形性、
耐衝撃性の観点から二軸延伸フィルムの面配向係数(f
n)が0.080〜0.145の範囲内であることが必
要である。面配向係数がかかる範囲より小さいと耐衝撃
性が悪化し、かかる範囲より大きいとラミネート性が悪
化し、さらに成形加工性をも悪化させる。耐衝撃性およ
び成形加工性の点からは面配向係数が0.120〜0.
145の範囲内であるとさらに好ましく、特に好ましく
は0.127〜0.145である。
【0030】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルム
は、ラミネート性、成形性、耐衝撃性の観点からフィル
ム長手方向の屈折率(nX)と幅方向の屈折率(nY)の
差(複屈折:Δn=nX−nY)が−0.001〜−0.
050の範囲内であれば好ましい。Δnが−0.010
〜−0.045の範囲であればより好ましい。
【0031】フィルムのfn,Δnを上記した範囲内と
する方法としては、特に限定されるものではないが、た
とえばフィルムの長手方向および/または幅方向の延伸
倍率、延伸温度および/または延伸速度の調整、さらに
は熱処理温度および/または熱処理時間の調整などの方
法により達成することができる。
【0032】本発明のポリエステルフィルムは、ラミネ
ート性、成形加工性の観点から固体高分解能核磁気共鳴
分光法(NMR)において測定される緩和時間T1ρに
おいて、カルボニルの緩和時間(τ1)とフェニル基4
級炭素の緩和時間(τ2)の関係が式(1)を満たすこ
とが好ましい。
【0033】 1.8 ≦τ1/τ2≦ 50 ・・・(1) (τ1/τ2)がかかる範囲内にあれば、ポリエステル
分子鎖中の運動性が抑制された結晶と非晶の中間相が形
成され、かつ金属板にラミネートされた後も該構造が維
持されることにより成形加工による配向結晶化を抑制
し、その結果優れた成形性、耐衝撃性を発現することが
可能になる。したがって、(τ1/τ2)が1.8未満
であると、分子鎖の運動性抑制が弱くラミネート性が悪
化することがあり、さらに成形加工後の耐衝撃性に劣る
ことがある。逆に(τ1/τ2)が50を越えるようで
あれば、運動性が抑制されすぎてラミネート性、成形加
工性の劣化を招くことがある。成形加工性、加工後の安
定性の観点からは、(τ1/τ2)が2〜50であると
より好ましく、特に好ましくは2〜40である。
【0034】τ1およびτ2の関係をかかる範囲内とす
る方法としては特に限定されるものではないが、ポリエ
ステルの固有粘度、触媒、ジエチレングリコール量やフ
ィルム製造時の延伸条件および/または熱処理条件など
の適正化により達成することができる。
【0035】本発明のポリエステルフィルムは内容物取
出性の観点から、フィルム表面の高さ100nm以上の
突起密度が4000個/mm2以上であることが好まし
い。さらに好ましくは5000〜20000個/mm2
であり、7000〜20000個/mm2であるとより
好ましい。ここで、フィルム表面の突起密度は原子間力
顕微鏡(AFM)にて、100μm四方を観察した結果
を基に算出したものである。100nm以上の突起密度
が4000個/mm2未満では、内容物が缶側面および
底面のフィルムと密着し、内容物の一部を缶外に取り出
せなくなる場合がある。フィルム表面の100nm以上
の突起密度を4000個/mm2以上とする方法として
は他の特性を悪化させない範囲において特に限定される
ものではないが、以下に述べるフィルム中の粒子種、粒
子濃度および粒子径を調節する方法、突起を形成しやす
くするためにフィルムの少なくとも片面に粒子含有濃度
が高い層を配置して積層フィルムとする方法、もしくは
粒子を含んだ塗剤を製膜中もしくは製膜後にコーティン
グする方法などが好ましく選択される。これらの中でも
生産性、耐摩耗性の観点からフィルムの少なくとも片面
に粒子含有濃度が高い層を配置してなる積層フィルムと
することが好ましい。
【0036】本発明のフィルムは取り扱い性、加工性な
らびに内容物取出性を向上させるために、平均粒子径
0.01〜10μmの公知の内部粒子、無機粒子および
/または有機粒子を0.01〜3重量%含有することが
好ましい。内部粒子の析出方法としては公知の技術を用
いることができるが、たとえば特開昭48−61556
号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−
41355号公報、特開昭54−90397号公報など
に記載の技術を採用することができる。さらに、特公昭
55−20496号公報、特開昭59−204617号
公報などの他の粒子を併用することもできる。なお、1
0μmを越える平均粒子径を有する粒子を使用すると、
フィルムに欠陥が生じることがあるので注意を要する。
【0037】かかる無機粒子としては、たとえば湿式お
よび乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸
化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バ
リウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなど、
有機粒子としてはスチレン、シリコーン、アクリル酸
類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物
などを構成成分とする粒子を使用することができる。な
かでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒
子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリ
ル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分
とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これら
の内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用
してもよい。
【0038】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルム
は、成形加工時の耐摩耗性の点から含有する粒子の異形
度(ξ:粒子の最小長さdに対する最大長さDの比D/
d)が1.1以上であることが好ましい。D/dが1.
1未満であると成形加工時にフィルムからの粒子の欠落
が生じフィルム表面および/または加工機器に削れ傷が
生じることがある。また、さらに耐摩耗性を向上させる
ためにD/dが2.0〜20であればさらに好ましい。
【0039】本発明の二軸延伸性ポリエステルフィルム
の厚みは、金属板へのラミネート性、成形性、耐衝撃性
などの観点より5〜50μmであることが望ましく、さ
らに好ましくは8〜30μmである。8〜25μmであ
るとラミネート性に優れるのでより好ましい。
【0040】さらに、本発明のフィルム表面にコロナ放
電処理などの表面処理を施すことにより接着性をさらに
向上させてもよい。その際、E値としては好ましくは5
〜50W・分/m2、さらに好ましくは10〜45W・
分/m2を採用することができる。ここでE値とは、コ
ロナ放電処理強度であり、印加電圧(Vp、単位:
V)、印加電流(Ip、単位:A)、処理速度(S、単
位:m/分)、処理幅(Wt、単位:m)の関数であ
り、E=Vp×Ip/S×Wtで表される。
【0041】本発明のフィルムには各種コーティングを
施してもよく、その塗布化合物、方法、厚みは本発明の
効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0042】本発明の2ピース食缶用二軸延伸ポリエス
テルフィルムは、絞り比が2.5未満である金属缶に成
形加工されることが好ましい。絞り比が2.5以上の成
形加工を施すと缶内部の金属面が稀に内容物に影響ない
程度に変色する事がある。絞り比が2.3未満であると
長期保存安定性の点からより好ましい。ここで、絞り比
とは絞り成形機で成形した後の金属板の最大厚みと最小
厚みの比である。
【0043】本発明の2ピース食缶に用いられる金属板
は特に限定されないが、成形の点で鉄やアルミニウムな
どを素材とする金属板が好ましい。さらに、鉄を素材と
する金属板の場合その表面に接着性や耐腐食性を改良す
る無機酸化物被膜層、たとえばクロム酸処理、リン酸処
理、クロム酸/リン酸処理、電解クロム酸処理、クロメ
ート処理、クロムクロメート処理などで代表される化成
処理被膜層を設けてもよい。特に金属クロム換算値でク
ロムとして6.5〜150mg/m2のクロム水和酸化
物が好ましく、さらに展延性金属メッキ層、たとえばニ
ッケル、スズ、亜鉛、アルミニウム、砲金、真鍮などを
設けてもよい。スズメッキの場合0.5〜15mg/m
2、ニッケルまたはアルミニウムの場合1.8〜20m
g/m2のメッキ量を有するものが好ましい。
【0044】本発明の2ピース食缶用二軸延伸ポリエス
テルフィルムは、絞り成形やしごき成形によって製造す
る2ピースからなる食品用金属缶の内面被膜用に好適に
使用することができる。また、ツーピース缶の蓋部分、
あるいはスリーピース缶の胴、蓋、底の被膜用としても
良好な金属接着性、成形性を有するため好ましく使用す
ることができる。
【0045】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳細に説明す
る。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
【0046】(1)ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、25
℃において測定した。
【0047】(2)ポリエステルフィルムの融点(T
m)、熱処理に伴う吸熱ピーク温度(Ts) フィルム約10mgを示差走査熱量計(パーキン・エル
マー社製DSC7型)により、10℃/分の昇温速度で
測定し融解のピーク温度を融点(Tm)とした。また、
融点の低温側にサブピークとして現れる熱処理に伴う吸
熱ピークのピーク温度をTsとした。
【0048】(3)屈折率、面配向係数(fn) ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウン
ト液としてヨウ化メチレンを用いアッベ屈折計にて長手
方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれn X、nY
Z)を求めた。面配向係数fnはfn=(nX+nY
/2−nZを計算して求めた。また、複屈折ΔnはΔn
=nX−nYを計算して求めた。
【0049】また、金属板にラミネートした後のフィル
ムについては、ラミネート鋼板を約10モル%の塩酸に
浸漬することで鋼板を溶解除去し、ラミネートフィルム
を得た。このようにして得られたラミネートフィルムの
非ラミネート面について、ラミネート前のフィルムと同
様に屈折率の測定を行った。
【0050】(4)平均粒子径 フィルムの表面からポリエステルをプラズマ低温灰化処
理法で除去し粒子を露出させる。処理条件はポリエステ
ルは灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択
する。これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒
子の画像をイメージアナライザーで処理する。観察箇所
を変えて粒子数5000個以上でD=ΣDi/Nの数値
処理を行いそれによって求めた数平均径Dを平均粒径と
する。ここで、Diは粒子の円相当径、Nは粒子数であ
る。なお、内部粒子ではフィルムの切片断面を透過型顕
微鏡観察により行ってもよい。
【0051】(5)粒子の異形度(ξ) フィルムの長手方向の断面を透過型電子顕微鏡(TE
M)にて観察し、個々の粒子あるいは一次粒子径より小
さい間隔で凝集体(集合体)を形成したものを一つの粒
子と見なし、フィルム中に存在する各粒子の最大長さD
と最小長さdを求めた。そして、最大長さDと最小長さ
のdの比(D/d)を粒子の異形度(ξ)とした。Dお
よびdは少なくとも50個以上の粒子について測定を行
い、フィルムのξとしてはその相加平均値とした。
【0052】(6)固体高分解能核磁気共鳴分光法(N
MR)による緩和時間T1ρ 固体高分解能NMRの測定装置として、日本電子製スペ
クトロメーターJNM−GX270、日本電子製固体ア
ンプ、MASコントローラーMN−GSH27MU、日
本電子製プローブNM−GSH27T、VT,Wを用い
た。測定は13C核のT1ρ(回転座標における縦緩
和)測定を実施した。
【0053】測定は、温度24.5℃、湿度50RH
%、静磁場強度6.34T(テスラ)下で1H、13C
の共鳴周波数はそれぞれ270.2MHz、67.94
MHzである。化学シフトの異方性の影響を消すために
MAS(マジック角度回転)法を採用した。回転数は
3.5〜3.7kHzで行った。パルス系列の条件は、
1Hに対して90℃、パルス幅4μsec、ロッキング
磁場強度62.5kHzとした。1Hの分極を13Cに
移すCP(クロスポーラリゼーション)の接触時間は
1.5msecである。また保持時間Τとしては、0.
001、0.5、0.7、1、3、7、10、20、3
0、40、50msecを用いた。保持時間Τ後の13
Cの磁化スペクトルの自由誘導減衰(FID)を測定し
た。(FID測定中1Hによる双極子相互作用の影響を
除去するために高出力デカップリングを行った。なお、
S/N比を向上させるため、512回の積算を行っ
た。)また、パルス繰り返し時間としては5〜15se
cの間で行った。なお、測定データ中でカルボニル炭素
(164ppm)およびフェニル基4級炭素(134p
pm)(どちらも、内部標準シリコーンゴム1.56p
pm)について下記解析を行った。
【0054】T1ρ値は通常 I(t)=Σ (Ai)exp(−t/T1ρi) I(t):保持時間tに対するピーク強度 Ai:T1ρに対する成分の割合 で記述することができ、各保持時間に対して観測された
ピーク強度を片対数プロットすることにより、その傾き
からT1ρを求めることができる。ここでは2成分系
(T1ρ1:非晶成分、T1ρ2:結晶成分)で解析
し、下記式を用いて最小自乗法によりその値を求めた。
【0055】I(t)=fa1・exp(-t/T1ρ1)+fa2・
exp(-t/T1ρ2) fa1:T1ρ1に対する成分の割合 fa2:T1ρ2に対する成分の割合 fa1+fa2=1 このようにして、カルボニル炭素およびフェニル基4級
炭素のT1ρを求め、それぞれτ1、τ2とした。
【0056】(7)触媒金属残存量(M1、M2)およ
びリン残存量(P) 蛍光X線測定により測定を行った。なお、定量は予め作
成した強度と各元素量との検量線を用いて行った。ま
た、フィルム中に無機粒子が存在する場合は、予め粒子
を除く作業を行った後に定量を行った。アルカリ金属元
素種については希塩酸で金属元素種の分離を行い、原子
吸光分析を用いて、定量を行った。なお、積層フィルム
の際はフィルム各層を削り取った後に測定を行った。
【0057】(8)表面突起密度 原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で測定し
た。測定は任意の異なる場所にて5回行い、突起密度は
得られた画像に高さのしきい値を100nmとして突起
高さがしきい値以上の突起個数をカウントし、その平均
個数と観察面積より突起密度を求めた。 装置:NanoScope III AFM(Digital Instruments 社
製) カンチレバー:シリコン単結晶 走査モード :タッピングモード 走査範囲 :100μm×100μm 走査速度 :0.5Hz。
【0058】(9)ラミネート性 板厚0.22mmのティンフリースチール金属板をフィ
ルムの融点+10、+15、+20および+25℃の各
温度に加熱しておいて、60m/分の速さでフィルムを
貼り合わせた後、急冷した。ラミネート後のフィルムの
非ラミネート面側の面配向係数(fn)の測定を行い、
fnが0.06〜0.04となる温度でラミネートした
ラミネート鋼板を使用し、fnの測定を該ラミネート鋼
板の長さ方向の任意の場所10箇所で行い、その中での
fnの最大値と最小値の差により以下の基準でラミネー
ト性を評価した。 A級:0.01未満 B級:0.01以上0.02未満 C級:0.02以上 A、B級を合格とした。
【0059】(10)成形時耐摩耗性 上記ラミネート金属板をしごき成形機、絞り成形機で成
形(成形比(絞り比):最大厚み/最小厚み=1.7、
成形可能温度領域で成形)し缶を作成し、フィルムの削
れを目視および顕微鏡にて観察した。 A級:目視、顕微鏡ともに削れが確認できない。 B級:目視では削れが確認できない。 C級:目視で削れが確認できる。 A,B級を合格とした。
【0060】(11)成形性 上記ラミネート金属板を絞り成形機で成形(絞り比(最
大厚み/最小厚み)=2.1および2.5、70〜12
0℃の成形可能温度領域にて成形)し食缶を得た、得た
缶内に1%の食塩水を入れ1日放置後、食塩水中の電極
と金属缶に6Vの電圧をかけ3秒後の電流値を読み取
り、10缶測定しその平均を求めた。 A級:0.001mA未満 B級:0.001mA以上0.01mA未満 C級:0.01mA以上 A、B級を合格とした。
【0061】(12)耐衝撃性 上記と同様に絞り比2.0で製缶した食缶に水を満た
し、高さ1.2mから塩化ビニル製タイル床面に落下さ
せた。その後、水中の電極と金属缶に6Vの電圧をかけ
3秒後の電流値を読み取り、10缶測定しその平均を求
めた。 A級:0.001mA未満 B級:0.001mA以上0.01mA未満 C級:0.01mA以上0.1mA未満 D級:0.1mA以上 A、B級を合格とした。
【0062】(13)味特性(保香性) 上記の通り製缶した缶に120℃20分間の加圧蒸気処
理を施した後、3%食塩水を充填密閉後20℃で20週
間放置し、その後開封して官能検査によって臭気の変化
を評価した。 A級:臭気に全く変化が見られない。 B級:臭気にほとんど変化が見られない。 C級:臭気にやや変化が見られる。 D級:缶内に錆が発生し、臭気に変化が大きく見られ
る。 A、B級を合格とした。
【0063】(14)味特性(濁度) 上記した方法で得た缶の中に3%食塩水200mlを加
え密閉し、レトルト釜にて120℃20分間の加圧蒸気
処理を行った。その後、水を4℃に一旦冷却し、常温に
て濁度の測定を行い以下の基準で評価した。なお、測定
に当たっては予め標準物質で検量線を作成した。 A級:0.10未満 B級:0.10以上0.15未満 C級:0.15以上 A、B級を合格とした。
【0064】(15)内容物取出性 上記した方法で得た缶に、豚挽肉と卵を重量比1:5で
混合した物を加え、レトルト釜にて120℃30分間の
加圧蒸気処理を行った。冷却後に缶を逆さまにして振
り、缶からの内容物の取出易さを以下の基準で評価し
た。 A級:缶を振るだけで、内容物が容易に取り出せた。 B級:缶を振るだけでは内容物が取り出せないが、内容
物中央に十字に切れ込みを入れた後、缶を振ることで取
り出せた。 C級:内容物に切れ込みを入れても内容物を取り出せな
かった。 A、B級を合格とした。
【0065】実施例1〜8、比較例1〜3 実施例1では非晶質二酸化ゲルマニウムを重合触媒とし
て重合したポリエチレンテレフタレート(以下、PET
と記載)を使用した。なお、粒子としては平均粒径0.
6μmの凝集シリカを0.3%含有させた。このPET
を180℃で十分に真空乾燥し、280℃で溶融押出し
てキャスティングドラム上にテープ状電極を用いて静電
印加しながらキャストし、冷却固化した。得られた未延
伸フィルムを逐次二軸延伸機で延伸、熱処理し二軸延伸
PETフィルムを得た。その際の延伸条件は縦延伸温度
110℃、縦延伸倍率3.0倍、横延伸温度115℃、
横延伸倍率3.2倍、熱処理温度195℃とした。この
ようにして得られたフィルムの物性を表2に示した。該
二軸延伸フィルムは表4に示した通り、2ピース食缶用
フィルムとして優れた特性を有していた。
【0066】実施例2〜7では実施例1のポリエステル
組成、重合触媒、添加粒子処方および製膜条件を表1に
示したように変更し、逐次二軸延伸を行い、二軸延伸フ
ィルムを得た。得られたフィルムの物性は表2に示した
通りであり、表4に示したとおり2ピース食缶用フィル
ムとして優れた特性を示した。
【0067】実施例8では非晶質二酸化ゲルマニウムを
重合触媒として重合したPETを使用して、A層に用い
るPETには平均粒径1.2μmの凝集シリカを0.0
8%含有させ、B層に用いるPETには平均粒径0.6
μmの凝集シリカを0.3%含有させた。これらのポリ
エステルを十分に乾燥した後、各々押出機に供給し、T
ダイ上部に設置したフィードブロックにて積層し、冷却
ドラム上にテープ状電極を用いて静電印加押出し、冷却
し未延伸フィルムを得た。この際積層比は7:1とし
た。このようにして得られた未延伸フィルムを実施例と
同一条件で延伸熱処理し、積層二軸延伸フィルムを得
た。このようにして得られたフィルム物性を表2および
表3に示した。この積層フィルムをA層面を鋼鈑側にな
るようにラミネートし評価を行ったところ表4に示した
ように優れた特性を示した。
【0068】比較例1では、ポリエステルとして二酸化
ゲルマニウムを触媒として使用して重合を行った、平均
粒径1μmの球状コロイダルシリカを0.1%含有する
イソフタル酸10モル%共重合PETを使用した。該共
重合PETを150℃で十分に真空乾燥した後、275
℃で溶融押出して、キャスティングドラム上に径0.5
mmのワイヤー電極を用いて静電印加しながらキャスト
し、冷却固化することで未延伸フィルムを得た。得られ
た未延伸フィルムを表1に示した延伸条件で逐次二軸延
伸を行い、熱処理を経て二軸延伸フィルムを得た。この
ようにして得られたフィルムは表2に示した物性であっ
た。このフィルムを評価したところ表4に示したように
特性に劣っていた。
【0069】比較例2および3では比較例1のポリエス
テル組成、重合触媒、添加粒子処方および製膜条件を表
1に示したように変更し、逐次二軸延伸を行い、二軸延
伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表2に示
した通りであり、表4に示したように2ピース食缶用フ
ィルムとしては特性に劣っていた。
【0070】なお、表中の略号は以下の通りである。 PET:ポリエチレンテレフタレート PET/I*:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフ
タレート(*は共重合モル%) PET/N*:2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合
ポリエチレンテレフタレート(*は共重合モル%) PET/NPG*:ネオペンチルグリコール共重合ポリ
エチレンテレフタレート(*は共重合モル%) M1:フィルム中に残存する触媒金属元素のうちゲルマ
ニウム、アンチモン、チタン、およびケイ素の残存量
(ミリモル%) M2:フィルム中に残存する上記以外の触媒金属元素の
残存量(ミリモル%) P:フィルム中に残存するリン元素残存量(ミリモル
%) nX:フィルム長手方向の屈折率 nY:フィルム幅方向の屈折率 nZ:フィルム厚み方向の屈折率 fn:面配向係数 Δn:複屈折(nX−nY) Tm:融点(℃) Ts:熱処理に伴う吸熱ピーク温度(℃) ξ:粒子の異形度 τ1/τ2:固体高分解能核磁気共鳴分光法(NMR)
において測定される緩和時間T1ρにおいて、カルボニ
ルの緩和時間(τ1)とフェニル基4級炭素の緩和時間
(τ2)の比
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【発明の効果】ラミネート用二軸延伸ポリエステルフィ
ルムの構造とそれを構成する樹脂の特性を制御すること
により、成形性と味特性、特にレトルト後の密着性を両
立せしめることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面配向係数(fn)が0.080〜0.
    145であり、融点が240〜280℃である2ピース
    食缶用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 面配向係数(fn)が0.120〜0.
    145である請求項1に記載の2ピース食缶用二軸延伸
    ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 融点が246〜275℃である請求項1
    または請求項2のいずれかに記載の2ピース食缶用二軸
    延伸ポリエステルフィルム
  4. 【請求項4】 示差走査熱量計(DSC)における熱処
    理に伴う吸熱ピーク温度(Ts)が120〜230℃で
    ある請求項1〜3のいずれかに記載の2ピース食缶用二
    軸延伸ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 フィルムの長手方向の屈折率(nX)と
    幅方向の屈折率(nY)の差が−0.001〜−0.0
    50である請求項1〜4のいずれかに記載の2ピース食
    缶用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 固体高分解能核磁気共鳴分光法(NM
    R)において測定される緩和時間T1ρにおいて、カル
    ボニルの緩和時間(τ1)とフェニル基4級炭素の緩和
    時間(τ2)の関係が式(1)を満たす請求項1〜5の
    いずれかに記載の2ピース食缶用二軸延伸ポリエステル
    フィルム。 1.8 ≦τ1/τ2≦ 50 ・・・(1) ただし、τ1、τ2の単位はmsec。
  7. 【請求項7】 フィルム中に残存する触媒金属元素のう
    ち、ゲルマニウム、アンチモン、チタンおよびケイ素元
    素の残存量(M1)とフィルム中のリン元素残存量
    (P)が式(2)を満たす請求項1〜6のいずれかに記
    載の2ピース食缶用二軸延伸ポリエステルフィルム。 0.3≦M1/P≦3 ・・・(2) ただし、M1、Pの単位はミリモル%。
  8. 【請求項8】 フィルム中に残存するゲルマニウム、ア
    ンチモン、チタン、ケイ素以外の触媒金属元素の量(M
    2)と前記M1とが式(3)の関係を満たす請求項1〜
    7のいずれかに記載の2ピース食缶用二軸延伸ポリエス
    テルフィルム。 20≦M1+M2≦120 ・・・(3) ただし、M1、M2の単位はミリモル%。
  9. 【請求項9】 フィルム中に含有する粒子の最小長さに
    対する最大長さの比が1.1以上である請求項1〜8の
    いずれかに記載の2ピース食缶用二軸延伸ポリエステル
    フィルム。
  10. 【請求項10】 絞り比2.5未満の条件で金属缶に成
    形加工される請求項1〜9のいずれかに記載の2ピース
    食缶用二軸延伸ポリエステルフィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001219464A (ja) * 1999-12-03 2001-08-14 Toray Ind Inc 容器用ポリエステルフィルム
JP2003011217A (ja) * 2001-07-04 2003-01-15 Toray Ind Inc 加工用二軸延伸ポリエステルフィルム
JP2006104444A (ja) * 2004-09-08 2006-04-20 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物、その製造方法およびポリエステルフィルム

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