JPH0913696A - リフトアップ工法 - Google Patents

リフトアップ工法

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JPH0913696A
JPH0913696A JP16843695A JP16843695A JPH0913696A JP H0913696 A JPH0913696 A JP H0913696A JP 16843695 A JP16843695 A JP 16843695A JP 16843695 A JP16843695 A JP 16843695A JP H0913696 A JPH0913696 A JP H0913696A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存建築物を所要高さまでジャッキでリフト
アップする従来の工法にあっては、強風あるいは地震な
どの水平力に対して充分対抗することができず、位置ず
れを招く懸念がある。 【解決手段】 既存建築物1下部の基礎1aを基礎杭5
等の地盤側基礎から切り離して、該既存建築物をその上
方を跨ぐ様にして構築した仮設フレーム2の上部2aか
ら吊り下ろした吊材4を介して該仮設フレームに反力を
取りつつ所要高さまで上昇させ、切り離した既存建築物
下部の基礎と地盤側基礎との間にこれらを繋ぐ架台10
を設けて、該既存建築物を該架台を介して地盤側基礎に
て支持することで、風等による水平力に対する抗力を得
る。また、風荷重以上の過大な地震力等の水平力が加わ
った場合には、架台が降伏して変形することで免震作用
を発揮し、リフトアップ中の既存建築物への入力が減少
する。この際、既存建築物の荷重は吊材を介して仮設フ
レームにて支持し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ビル等の既存建
築物下部の基礎を地盤側基礎から切り離して所要高さま
でリフトアップするリフトアップ工法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、既存建築物の耐震性能を向上させ
るために、その既存建築物の基礎下部に免震装置を導入
したり、あるいは既存建築物を一層分リフトアップして
その下部を地下室等に利用する等の要求がある。
【0003】ここで、この様な工事を行うには、既存建
築物を所要高さまでリフトアップしてその状態を保持し
ておく必要があるが、そのリフトアップ工法としては、
既存建築物下部の基礎を基礎杭等の地盤側基礎から切り
離して、ジャッキにより押し上げることが考えられてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ジャッキによるリフトアップ作業にあっては、建築物を
その下部に挿入したジャッキで単に押し上げて所要の高
さに保持するだけか、あるいは押し上げたのち支保工上
に載置しているだけであるため、強風あるいは地震など
の水平力に対して抗することができず、過大な水平力を
受けると位置ずれを招く懸念がある。
【0005】なお、短期的な作業であるならば、この様
な位置ずれを招くような事態に遭遇する可能性は少ない
が、下部構造物の工事期間が長期に亘り、しかも工事期
間中該当する建物を供用しつつリフトアップ状態を保持
するには、これらに対する保全対策を充分に考慮した工
法を採用する必要がある。
【0006】この発明は、以上の様な事情に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、リフトアップした既存建
築物に加わる水平力に充分対抗し得るリフトアップ工法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明に係わるリフトアップ工法にあっては、既
存建築物下部の基礎を基礎杭等の地盤側基礎から切り離
して、該既存建築物をその上方を跨ぐ様にして構築した
仮設フレームの上部から吊り下ろした吊材を介して該仮
設フレームに反力を取りつつ所要高さまで上昇させ、切
り離した既存建築物下部の基礎と地盤側基礎との間にこ
れらを繋ぐ架台を設けて、該既存建築物を該架台を介し
て地盤側基礎にて支持することで、風等による水平力に
対する抗力を得る。また、風荷重以上の過大な地震力等
の水平力が加わった場合には、架台が降伏して変形する
ことで免震作用を呈し、リフトアップ中の既存建築物へ
の入力が減少する。この際、架台が降伏しても既存建築
物の荷重は吊材を介して仮設フレームに支持されている
(請求項1)。
【0008】また、過大な水平力によって既存建物が動
いた場合には、これを前記既存建築物の周囲に配置した
バットレスフレームあるいは前記仮設フレームによって
緩衝用のダンパを介して受け止めるようにすれば、ダン
パの緩衝作用によって既存建物に作用する水平エネルギ
ーを吸収しつつ、位置ずれを可及的に抑制することが出
来る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明を既存建築物の下
部に免震工事の施工を行う場合に適用して実施する形態
を添付図面を参照して説明する。図1(a)〜(d)は
この発明工法の施工手順を示している。
【0010】まず、(a)に示すように、既存建築物1
の周囲からその上方を跨ぐ状態で仮設フレーム2を構築
する。ここで、仮設フレーム2の上部2aは、既存建築
物1のリフトアップしろhを見込んだ高さに設定され
る。
【0011】仮設フレーム2の上部aには複数の上昇ジ
ャッキ3が配置され、この上昇ジャッキ3の下部にPC
鋼材、PCストランド等の吊材4を垂設し、その下端を
前記既存建築物1の下部に連結する。なお、図において
は上昇ジャッキ3は二つしか描かれていないが、実際に
は、既存建築物1の大きさ、重量に応じた配置数であ
り、またこれに応じて各吊材4の一本当たりの支持荷重
が設定される。
【0012】既存建築物1の基礎1aは、地盤E内の基
礎杭5の上部に配置されているが、吊材4の連結後、基
礎1aを基礎杭5から切り離すとともに、基礎杭5の上
部に仮設基礎6を施工する。
【0013】またこれと並行して、既存建築物の周囲に
複数箇所バットレスフレーム7を構築し、緩衝用の粘性
ダンパ8を介して既存建築物1との間に僅かな隙間をお
いて対向させることで、リフトアップ準備作業を完了す
る。なお、ダンパ8は建築物1側、あるいはバットレス
フレーム7のいずれに配置してもよい。
【0014】次に、上昇ジャッキ3を駆動して仮設フレ
ーム2に反力を取りつつ吊材4を引き上げることによっ
て、既存建築物1は図1(b)に示すように上昇する。
【0015】この上昇作業は、図示のごとく一度でな
く、既存建築物1の水平度を保ちながら小刻み、かつ段
階的に行われ、上昇作業停止毎に仮設基礎9の上部に仮
設架台10を継ぎ足し、その上部を前記基礎1aに連結
することで、既存建築物1の下部は仮設架台10を介し
て仮設基礎9上に連結された状態を保持する。
【0016】図2は、基礎1aと仮設基礎9および仮設
架台10との結合関係の詳細を示すもので、仮設基礎9
上に設置された仮設架台10は、H型鋼からなる縦横の
フレーム10a,10bを櫓状に組み立てて基礎1aの
周囲を覆うとともに、周囲にブレース材10cを掛け渡
したトラス組状のもので、縦フレーム10aを予め上方
に延設することで、基礎1aの上昇ガイドを行う。な
お、以上の仮設架台10も風、地震などの想定される水
平力に対する必要強度分に応じた本数および支持強度に
設定される。
【0017】上昇作業と仮設架台10の組立後は、吊材
4を上昇位置にロックした後、図1(c)に示すよう
に、既存建築物1の下部空間内で改良工事を施す。この
工事は、地盤E内に免震基礎11を施工し、この基礎1
1上に免震構造体となる複数の免震ダンパ12を配置す
る。なお、既存建築物1がこの工事期間中に供用される
ものである場合には、出入口に仮設階段などを設けて人
が出入りできるようにすることも可能である。
【0018】免震工事完了後は、前記とは逆の手順で仮
設架台10を上から順に解体しつつ吊材4を下降させる
ことで、既存建築物1は下降し、各免震ダンパ12に設
置され、その荷重を免震構造体にあずける。既存建築物
1と免震構造体との連結工事が完了し、既存建築物1が
自立出来る状態となったら、吊材4を既存建築物1から
取り外し、上昇ジャッキ3、バットレスフレーム7およ
び仮設フレーム2の解体撤去作業を行えば、既存建築物
の改良工事を完了する。
【0019】以上の工程において、図1(c)の工事期
間が最も長期に亘り、この間に強風や地震等の水平力F
が既存建築物1に加わった場合には、仮設架台10がそ
の水平力Fに抗して既存建築物1を地盤E上に保持す
る。また、想定以上の水平力Fが加わった場合には、仮
設架台10自体が降伏して剛性を低下させることで一種
の免震効果を生じ、既存建築物1への入力を減少させ
る。さらに、この結果既存建築物1が動いた場合にこれ
をダンパ8を介してバットレスフレーム7で受けとめ、
ダンパ8の緩衝作用によって既存建築物1に作用する水
平エネルギーを減少させつつ、位置ずれを抑制する。
【0020】なお、以上の実施例では、この発明のリフ
トアップ工法を既存建築物1の下部に免震施工を施す場
合について説明したが、基礎修復工事、地下室構築工
事、その他長期に亘り既存建築物をリフトアップ状態に
保持して、その下部に工事を行う場合に対して広く適用
できる。
【0021】また、既存建築物を一層分リフトアップし
て、その下部を新たに地下室等に利用する場合には、仮
設架台は本設柱としてそのまま使用し得る。
【0022】また、上記バットレスフレームの代わりに
仮設フレームで水平移動を抑制する様にしても良い。
【0023】
【発明の効果】以上実施例により詳細に説明したよう
に、この発明によるリフトアップ工法によれば、既存建
築物のリフトアップ期間中に強風、地震などの水平力を
受けた場合には、既存建築物の基礎の下部に配置された
架台がこの水平力を受け、水平力に対する抵抗体として
作用する。また設定されたよりも過大な水平力が入力さ
れた場合には、架台が降伏して剛性が小さくなり、変形
によってエネルギを吸収する一種の免震構造体として機
能するため、既存建築物への水平力の入力を可及的に減
ずることが出来、かつこの際には、既存建築物の荷重は
吊材を介して仮設フレームにて支持し続けることができ
る。従って、既存建築物を長期間リフトアップ状態に保
持する場合でも、安全性を確保することが出来、工事期
間中にも既存建築物の供用を図れるようになる。
【0024】また、過大な水平力によって既存建物が動
いた場合には、これを前記既存建築物の周囲に配置した
バットレスフレームあるいは前記仮設フレームによって
緩衝用のダンパを介して受け止めるようにすれば、ダン
パの緩衝作用によって既存建物に作用する水平エネルギ
ーを吸収しつつ、位置ずれを可及的に抑制することが出
来るから、二重の安全性を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)はこの発明工法の施工手順を示
す説明図である。
【図2】既存建築物の基礎と仮設架台との結合関係を示
す詳細図である。
【符号の説明】
1 既存建築物 1a 基礎 2 仮設フレーム 3 上昇ジャ
ッキ 4 吊材 7 バットレ
スフレーム 8 粘性ダンパ 10 仮設架台

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既存建築物下部の基礎を地盤側基礎から
    切り離し、該既存建築物を所要高さまでリフトアップす
    る工法であって、 該既存建築物の上方を跨ぐ仮設フレームを構築し、該仮
    設フレームの上部から吊り下ろした吊材を介して該仮設
    フレームに反力を取りつつ該既存建築物を上昇させると
    ともに、該既存建築物下部の基礎と地盤側基礎との間に
    これらを繋ぐ架台を設け、該既存建物を該架台を介して
    地盤側基礎にて支持することを特徴とするリフトアップ
    工法。
  2. 【請求項2】 前記既存建築物の水平方向への移動を、
    該既存建築物の周囲に配置したバットレスフレームある
    いは前記仮設フレームによって緩衝用のダンパを介して
    抑制することを特徴とする請求項1記載のリフトアップ
    工法。
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