JPH0912836A - 抗菌性abs系樹脂組成物 - Google Patents

抗菌性abs系樹脂組成物

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JPH0912836A
JPH0912836A JP19130295A JP19130295A JPH0912836A JP H0912836 A JPH0912836 A JP H0912836A JP 19130295 A JP19130295 A JP 19130295A JP 19130295 A JP19130295 A JP 19130295A JP H0912836 A JPH0912836 A JP H0912836A
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antibacterial
abs resin
antibacterial agent
composition
resin
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JP19130295A
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English (en)
Inventor
Toshiro Hirukawa
敏郎 蛭川
Koji Suzuki
孝司 鈴木
Koji Sugiura
晃治 杉浦
Manabu Tanase
学 棚瀬
Hideki Kato
秀樹 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ABS系樹脂に無機系抗菌剤を含有させた組成
物は勿論のこと、この成形物においても、無機系抗菌剤
が有する本来の優れた抗菌性を発揮させることができ、
且つ熱或いは紫外線等に曝されても着色することがな
く、変色防止性に優れた抗菌性ABS系樹脂組成物を提
供する 【構成】ABS系樹脂、下式〔1〕で表されるリン酸塩
系抗菌剤、界面活性剤、滑剤及び無機イオン交換体を含
有する抗菌性ABS系樹脂組成物。 Aga b 2 (PO4 3 ・nH2 O 〔1〕 (Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、
アンモニウムイオン又は水素イオンから選ばれる少なく
とも1種のイオンであり、Mは4価金属であり、nは0
≦n≦6を満たす数であり、a及びbはいずれもa+m
b=1を満たす正数である。但し、mはAの価数であ
る。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の組成物は、容易に成形体
に加工することができ、本発明の組成物及びこれから得
られる樹脂成形体は加工時、保存時及び使用時における
劣化や変色が極めて少なく、優れた抗菌効果を発揮する
ことができる。本発明の組成物を成形して得た抗菌性A
BS系樹脂成形体は防かび、防藻及び抗菌性を発揮する
各種プラスチック製品として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来から無機系抗菌剤として、銀や銅等
の抗菌性金属を活性炭、アパタイト、ゼオライト等に担
持させたものが知られている。これらは有機系抗菌剤と
比較して安全性が高いうえ、揮発も分解もしないため抗
菌効果の持続性が長く、しかも耐熱性に優れるという特
徴を有している。そのため、これらの無機系抗菌剤と各
種高分子化合物とを混合することにより抗菌性樹脂組成
物とし、これを用いて繊維状、フィルム状又はペレット
状等の種々の形状に加工し、各種用途に用いられてい
る。
【0003】しかし、無機系抗菌剤の中で活性炭に抗菌
性金属を担持させた抗菌剤は、抗菌剤自体が黒色である
ため、各種高分子と混合して得られる抗菌性樹脂組成物
は望ましくない色に着色してしまうという外観上の問題
があり、また液体と接触させると抗菌性金属が容易に溶
出してしまい、抗菌効果を長時間持続させることができ
ないという問題がある。一方、アパタイト及びゼオライ
トを担体とした抗菌剤は、中性液体と接触させた場合に
は、活性炭を担体とした抗菌剤に比較して、抗菌性金属
の溶出が比較的少なく、抗菌効果を長時間持続させ得る
が、これらの抗菌剤はいずれも、耐酸性が低いため、P
H4程度の希酸性水溶液中では、容易に骨格構造が破壊
され、抗菌性金属を溶出してしまうことから、抗菌効果
を長時間持続させることが困難である。また、アパタイ
ト及びゼオライトを担体とした抗菌剤は、各種高分子に
配合して樹脂成形体を得ようとすると、成形加工時或い
は、その後の保存時又は使用時に変色を引き起こすとい
う問題がある。
【0004】ゼオライトを担体とした抗菌剤において
は、変色を防止する目的で、抗菌性成分である銀と共に
変色防止成分としてアンモニア又はアミンをイオン交換
により担持させた抗菌剤が開発されているが(特開昭6
4−24860)、抗菌剤と樹脂からなる樹脂組成物を
加熱加工すると、抗菌剤に含有される水分や熱分解で生
成したアンモニアガス等が放出されるために樹脂が発泡
し、樹脂組成物の成形加工性が低下するという問題があ
り、又変色防止性は充分ではない。又、ABS系樹脂、
リン酸ジルコニウム塩に銀を担持させた銀系抗菌剤、帯
電防止剤を含有する抗菌性樹脂組成物が知られている
(特開平6−271726号公報)、この組成物におい
ても変色防止性は未だ充分ではない。
【0005】これらの問題を解決する無機系抗菌剤とし
て、特定の組成式で表されるリン酸塩系抗菌剤が提案さ
れており(特開平3−83905号公報)、この抗菌剤
は各種高分子と混合するだけで、抗菌効果を長時間持続
させることが容易にでき、しかも、樹脂成形体の加工
時、保存時及び使用時においても樹脂成形体の変色、劣
化を起こさないという特長を有している。しかし、原因
は不明であるが、ABS系樹脂においては、上記リン酸
塩系抗菌剤のみを単に配合した樹脂成形物は本来抗菌剤
が有する優れた抗菌性を発揮できないという問題点を有
しており、その改善が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ABS系樹
脂に無機系抗菌剤を含有させた組成物は勿論のこと、こ
の成形物においても、無機系抗菌剤が有する本来の優れ
た抗菌性を発揮させることができ、且つ熱或いは紫外線
等に曝されても着色することがなく、変色防止性に優れ
た抗菌性ABS系樹脂組成物を提供することを課題とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、ABS系樹脂
に、特定の組成式で表されるリン酸塩系抗菌剤に加え
て、界面活性剤、滑剤及び無機イオン交換体を含有させ
ることが極めて有効な手段であることを見出し、本発明
を完成するに至った。即ち、本発明は、ABS系樹脂、
下式〔1〕で表されるリン酸塩系抗菌剤、界面活性剤、
滑剤及び無機イオン交換体を含有することを特徴とする
抗菌性ABS系樹脂組成物である。 Agab2(PO43・nH2O 〔1〕 (Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、
アンモニウムイオンまたは水素イオンから選ばれる少な
くとも1種のイオンであり、Mは4価金属であり、nは
0≦n≦6を満たす数であり、a及びbはいずれもa+
mb=1を満たす正数である。但し、mはAの価数であ
る。)
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。 ○ABS系樹脂 本発明におけるABS系樹脂は、樹脂の連続相にゴム質
が分散した構造を有する熱可塑性樹脂である。ABSの
略号は、原料成分であるアクリロニトリル(Acryl
onitrile)、ブタジエン(Butadien
e)及びスチレン(Styrene)の頭文字を重ねた
ものであり、これらの3成分はABS系樹脂の構成成分
として代表的なものであるが、本発明におけるABS系
樹脂は、必ずしもこれらの3成分からなる樹脂に限定さ
れない。好ましい具体例としては、ジエン系ゴムに代表
されるゴム状エラストマー成分の存在下に、スチレン及
びアクリロニトリルを主成分とするビニルモノマーをラ
ジカルグラフト重合して得られるグラフト重合体が挙げ
られる。ABS系樹脂の構成成分となるエラストマー成
分としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共
重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリ
イソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムの他、
エチレン−ポリピレン共重合体、エチレン−ポリピレン
共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマ−三元
共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリイソブチレン等の
オレフィン系ゴム、(メタ)アクリル酸アルキルを主成
分とするアクリル系ゴム等が挙げられ、ジエン系ゴムが
より好ましい。上記の各種エラストマー成分を使用して
製造したグラフト共重合体は、エラストマーの種類によ
り、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、AAS樹脂
等と略称されることがあるが、本発明ではこれらを総称
してABS系樹脂という。
【0009】上記エラストマーにグラフト重合されるビ
ニルモノマーは、スチレン及びアクリロニトリルを主成
分とするが、必要に応じてビニルモノマー、例えばα−
メチルスチレン、芳香族置換スチレン類、(メタ)アク
リル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)
アクリル酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミドに代
表されるN置換マレイミド類を併用しても良い。全ビニ
ルモノマー中のスチレンの好ましい割合は50〜90重
量%であり、60〜85重量%が更に好ましい。アクリ
ロニトリルの好ましい割合は40〜10重量%であり3
5〜15重量%が更に好ましい。重合の方法としては、
乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法等が
採用され、これらを組み合わせた重合法も採用できる。
ABS系樹脂中のエランストマー成分の好ましい重合割
合は5〜40重量%であり、更に好ましくは10〜30
重量%である。
【0010】また、ABS系樹脂は他の樹脂との相溶性
が良いため、ABS系樹脂が有する耐熱性、耐衝撃性等
の固有の性質を損なわない範囲で、種々の樹脂或いは、
ラバーとブレンドすることもでき、例えば塩化ビニル、
ポリカーボネイト、ポリウレタン、ナイロン等とブレン
ドすることもできる。これらの樹脂或いはラバーの好ま
しい配合割合は、通常ABS系樹脂100重量部当たり
100重量部迄である。更に、ABS系樹脂組成物の物
性を改善するために、必要に応じて種々の他の添加剤を
配合することもできる。具体例としては顔料、染料、酸
化防止剤、耐光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、
耐衝撃強化剤、ガラス繊維、防湿剤及び増量剤等があ
る。また、無機系抗菌剤以外に有機系抗菌剤、防黴剤を
別に添加することにより効果の即効性、効力増加をはか
ることもできる。これらの添加剤の好ましい配合割合は
ABS系樹脂100重量部(以下単に部と略称する。)
当たり10部までである。ABS系樹脂は粉末状では成
形が困難なうえ十分な抗菌効果が得られない恐れがある
ため、ペレット状の成形体が好ましい。ペレットの形状
には特に制限はなく、例えば球状、角柱状、円柱状及び
円盤状がある。
【0011】○無機系抗菌剤 本発明における無機系抗菌剤は、下式〔1〕で示される
リン酸塩系抗菌剤(以下、単に抗菌剤と略称する)であ
る。 Aga b 2 (PO4 3 ・nH2 O 〔1〕 (Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、
アンモニウムイオン又は水素イオンから選ばれる少なく
とも1種のイオンであり、Mは4価金属イオンであり、
nは0≦n≦6を満たす数であり、a及びbはいずれも
a+mb=1を満たす正数である。但し、mはAの価数
である。)
【0012】上記抗菌剤は、空間群R3cに属する結晶性
化合物であり、各構成イオンが3次元網目状構造を形成
している。上式〔1〕におけるAは、アルカリ金属イオ
ン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン又は
水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであ
り、好ましい具体例には、リチウム、ナトリウム及びカ
リウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム又はカル
シウム等のアルカリ土類金属イオン又は水素イオンがあ
り、これらの中では、化合物の安定性及び安価に入手で
きる点から、リチウム、ナトリウム、アンモニウムイオ
ン及び水素イオンが好ましいイオンである。
【0013】上式〔1〕におけるMは、4価金属イオン
であり、好ましい具体例には、ジルコニウムイオン、チ
タンイオン又は錫イオンがあり、化合物の安全性を考慮
すると、ジルコニウムイオン及びチタンイオンはより好
ましく、特に好ましい4価金属イオンはジルコニウムイ
オンである。
【0014】抗菌剤の好ましい具体例として、以下のも
のがある。 Ag0.005 Li0.995 Zr2 (PO4 3 Ag0.01(NH4 0.99Zr2 (PO4 3 Ag0.05Na0.95Zr2 (PO4 3 Ag0.2 0.8 Ti2 (PO4 3 Ag0.1 0.9 Zr2 (PO4 3 Ag0.5 Na0.250.25Zr2 (PO4 3 Ag0.9 Na0.1 Zr2 (PO4 3 Ag0.7 Na0.3 Sn2 (PO4 3
【0015】本発明に用いる抗菌剤を合成する方法に
は、焼成法、湿式法及び水熱法等があり、これらの公知
の方法により容易に得ることができる。
【0016】本発明の組成物及びこれを成形して得られ
る抗菌性樹脂成形体において、防かび、抗菌性及び防藻
性を発揮させるには、上式〔1〕におけるaの値は大き
い方がよいが、aの値が0. 001以上であれば、充分
に防かび、抗菌性及び防藻性を発揮させることができ
る。しかし、aの値が0. 01未満であると、防かび、
抗菌性及び防藻性を長時間発揮させることが困難となる
恐れがあるので、aの値を0. 01以上の値とすること
が好ましい。又、経済性を考慮すると、aの値は0. 7
以下が適当である。
【0017】本発明で用いる抗菌剤の化学的及び物理的
安定性を更に向上させ、熱及び光の暴露後の変色を高度
に防止した抗菌剤を得るためには、抗菌剤を、好ましく
は500〜1300℃、より好ましくは600〜100
0℃、特に好ましくは700〜900℃で焼成すること
が望ましい。
【0018】また、抗菌性及び耐候性が極めて優れた抗
菌剤を得るには、本発明におけるリン酸塩系抗菌剤にお
いて水素イオンを担持させることが好ましい。リン酸塩
系抗菌剤がアンモニウムイオンを有する場合、好ましく
は600℃〜1100℃、約0.5〜2時間の条件で焼
成工程を実施することにより、アンモニウムイオンが熱
分解して残った水素イオンを担持させることができる。
【0019】抗菌剤がアンモニウムを有しないか又は極
めて少量しか有しない場合、リン酸塩系化合物(抗菌剤
又はこれに銀イオンを担持させていない化合物)を酸性
溶液に浸漬させる方法により、抗菌剤に水素イオンを担
持させることができる。リン酸塩系化合物に水素イオン
を担持させるために浸漬する酸性溶液の好ましい具体例
として、塩酸、硫酸及び硝酸等の水溶液があり、好まし
い酸濃度は0.1N以上であり、好ましい処理温度は4
0℃以上、より好ましくは60℃以上且つ100℃以下
の温度であり、好ましい浸漬時間は10分以上、より好
ましくは60分以上である。
【0020】本発明における無機系抗菌剤にとして、抗
菌剤と下記の特定の金属酸化物とを併用した抗菌剤組成
物を用いることにより、本発明の樹脂組成物の抗菌性及
び変色防止効果を更に高めることができる。 ○金属酸化物 本発明において用いることができる好ましい金属酸化物
は、酸化亜鉛及び二酸化チタンから選ばれる少なくとも
一種の化合物である。酸化亜鉛は、ZnOの化学式で表
され、亜鉛華とも呼ばれるものであり、天然物でも合成
物でもよい。二酸化チタンは、天然物又は合成物の何れ
でもよく、非晶質又は結晶質の何れであってもよい。二
酸化チタンは、結晶系により、アナタース、ルチル及び
ブルッカイトに分類されるが、本発明において、何れの
結晶系のものを使用してもよく、工業的に容易に入手で
きることから、アナタース及びルチルは好ましいもので
ある。金属酸化物の粒子径、粒子の形状において特に制
限はなく、樹脂への分散性を考慮すると、好ましい平均
粒子径は10μm以下であり、好ましい粒子の形状は球
状である。一般に白色顔料として使用されているものは
使用可能である。本発明における無機系抗菌剤として、
上記抗菌剤組成物を用いる場合、金属酸化物の好ましい
配合割合は、抗菌剤組成物の重量100重量部(以下単
に部という)を基準として、金属酸化物が5〜90部で
ある。金属酸化物の配合割合が5部より少ないと、金属
酸化物と抗菌剤の併用による抗菌力の向上及び樹脂の変
色防止効果を発揮させることが困難となる恐れがあり、
金属酸化物が90部より多いと、抗菌剤による抗菌効果
を発揮させることが困難となる恐れがある。また、十分
な抗菌効果を発揮させるためには、抗菌剤組成物におけ
る銀イオン濃度を0.5重量%以上とすることが好まし
く、2重量%以上とすることがより好ましい。
【0021】抗菌剤又は抗菌剤組成物の好ましい配合割
合は、本発明のABS系樹脂100部中0.01〜10
部である。0.01部より少ないとABS系樹脂組成物
の抗菌性を充分発揮させることができない恐れがあり、
一方10部より多く配合しても抗菌力の向上は殆どな
く、寧ろABS系樹脂の物性を低下させる恐れがある。
【0022】○界面活性剤 本発明における界面活性剤は、本発明の組成物の抗菌性
を向上させる上で極めて有効な成分である。界面活性剤
には、非イオン系、アニオン系、カチオン系及び両性系
のものがある。非イオン系の好ましい具体例として、脂
肪酸アルキロールアミド、ジー(2−ヒドロキシエチ
ル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミ
ン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、脂肪酸グリセ
リンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビ
タン脂肪酸モノステアレート等のポリオキシソルビタン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び高
級アルコール等がある。アニオン系の好ましい具体例と
して、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩、アルキル硫酸エステル酸、アルキルエトキシ硫
酸エステル塩、アルキルリン酸エステル酸等がある。ま
た、カチオン系の好ましい具体例として、アルキルトリ
メチルアンモニウム塩(トリメチル型)、アシロイルア
ミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェー
ト、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アシル
塩化コリン等がある。両性系の好ましい具体例として、
ベタイン等がある。これらの中では、抗菌性を高める効
果が大きいこと及び樹脂組成物又は樹脂成形体を着色す
ることが少ないことから、多価アルコールエステル系界
面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤は一種又は2種
以上で用いることができる。
【0023】界面活性剤の好ましい配合割合は、ABS
系樹脂組成物100部当たり0. 01〜10部、より好
ましくは0. 1〜5部である。0. 01部より少ないと
本発明の組成物及びその成形体において抗菌性を充分発
揮させることができない恐れがあり、一方10部より多
く配合しても抗菌効果の向上が殆どなく、むしろABS
系樹脂の物性を低下させる恐れがある。
【0024】○滑剤 滑剤を化学構造で分類すると炭化水素類、金属石鹸、脂
肪酸及び脂肪酸アミド類、脂肪酸エステル類に分けられ
る。炭化水素類の好ましい具体例として、流動パラフィ
ン、ポリエチレンワックス類、塩素化炭化水素類等があ
る。金属石鹸の好ましい具体例として、ステアリン酸
鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、
ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等がある。
脂肪酸及び脂肪酸アミド類の好ましい具体例として、
ステアリン酸、ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミ
ド、メチレンビスステアロアマイド、エチレンビスステ
アロアマイド等がある。これらの中では、抗菌性を高め
る効果が大きいこと及び樹脂組成物叉は樹脂成形体を着
色することが少ないことから、金属石鹸が好ましい。な
お、滑剤は単独で叉は2種以上で用いることもできる。
また、滑剤の好ましい配合割合は、ABS系樹脂100
部当たり0.01〜5部、より好ましくは0.05〜2部
である。0.01部より少ないとABS系樹脂組成物の
抗菌性を充分得ることができなり、成形性に劣り、成形
体の外観上の不良を起こす恐れがあり、一方5部より多
く配合しても抗菌効果の向上が殆どなく、むしろ配合組
成の混練り不足や、成形体の外観上の不良を起こす可能
性がある。
【0025】○無機イオン交換体 本発明における無機イオン交換体は本発明の組成物及び
その成形体の変色防止剤として機能するものである。無
機イオン交換体には、陽イオン型、陰イオン型及び両性
型があり、本発明ではいずれの型であっても良い。好ま
しい無機イオン交換体は陽イオン型又は陰イオン型であ
り、陽イオン型の好ましい具体例として、リン酸ジルコ
ニウム(層状)、リン酸ジルコニウム(網目状)、三酸
化アンチモン及び五酸化アンチモン等があり、陰イオン
型の好ましい具体例として、含水酸化チタン、含水酸化
ジルコニウム、オキシ硝酸水酸化ビスマス、ハイドロキ
シアパタイト、ハイドロタルサイト類化合物及びケイ酸
アルミニウム等がある。特に好ましい無機イオン交換体
は、陰イオン型のハイドロタルサイト類化合物及び陽イ
オン型のケイ酸アルミニウム塩である。
【0026】本発明で用いるハイドロタルサイト類化合
物とは下式〔2〕で表される化合物又はその焼成物であ
り、下式〔2〕で表される化合物は特公昭52−374
87号公報の参考例1〜29に例示されているものと同
じである。 M2+ X 3+ Y (OH)2X+3Y-Z n+ Z/n mH2 O 〔2〕 〔M2+はMg,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Znの
中から選ばれる少なくとも一種であり、M3+はAl,F
e,Cr,Co,Inの中から選ばれる少なくとも一種
であり、AはOH,F,Cl,Br,NO3 ,CO3
SO4 ,Fe(CN)6 ,CH3 COO 等のn価の陰
イオンであり、x、y及びzは1/4≦(x/y)≦8
且つ1/6≦nz/(x+y)≦1/2を満たす正数で
あり、mは正数である。〕 ハイドロタルサイト類化合物の好ましい具体例として、
天然ハイドロタルサイト〔Mg6 Al2 (OH)16CO
3 ・4H2 O〕、合成ハイドロタルサイト〔Mg4.5
2 (OH)13CO3 ・3. 5H2 O〕、及び焼成物
〔Mg0.7 Al0. 3 1.15〕等がある。ハイドロタルサ
イト類化合物の焼成物は結晶水及び熱分解性ガスを化合
物から放出させたものであるので、熱的安定性に優れて
いる。焼成物を得るための好ましい焼成条件は、温度が
300〜700℃、より好ましくは400〜600℃で
あり、時間が2〜15時間である。
【0027】また、本発明で用いるケイ酸アルミニウム
は、アルミニウムと珪素を陽イオンとする含水又は無水
の複合酸化物であり、好ましい具体例として、Al2
3 ・9SiO2 ・xH2 O(xは0又は正数)、アンダ
リュサイト、シリマナイト、カイアナイト、ムライト
〔3Al2 3 ・2SiO2 〕及びパイロフィライト
〔(OH)2 Al2 Si4 10〕等がある。また、樹脂
との相溶性を良くするために、これらの無機イオン交換
体の表面を表面処理剤にてコーティングすることも可能
である。なお、無機イオン交換体は一種又は2種以上で
用いることができる。本発明における無機イオン交換体
は通常微粉末状で使用され、樹脂中における分散性及び
取扱いの容易さを考慮すると、好ましい平均粒径は、
0.01〜10μmであり、より好ましくは0.1〜3
μmである。
【0028】無機イオン交換体の好ましい配合割合は、
本発明のABS系樹脂組成物100部中0. 005〜1
0部、より好ましくは0. 01〜5部である。0. 00
5部より少ないとABS系樹脂組成物において充分な変
色防止効果を発揮することができない恐れがあり、一方
10部より多く配合しても変色防止能の向上が殆どな
く、むしろABS系樹脂の物性を低下させる恐れがあ
る。
【0029】更に、本発明において、所望により、分散
剤、顔料、表面改質剤等の樹脂成形用の成分として使用
されている各種添加剤を常法に従って適宜配合すること
もできる。
【0030】○成形 本発明の組成物を用いて容易に抗菌性ABS系樹脂成形
体を得ることができ、抗菌剤又はこれと金属酸化物から
なる抗菌剤組成物、界面活性剤、滑剤、無機イオン交換
体及びABS系樹脂を、用いるABS系樹脂の特性に合
わせて適宜温度及び圧力を調整しながら混合、混入又は
混練り等の方法によって混合することができる。このよ
うにして均一に混合した後、あらゆる公知の加工技術と
機械を用いて種々の形態に成形することができる。具体
的な成形方法の例としては、押し出し成形、射出成形、
カレンダー加工、真空成形及び発泡成形がある。また、
抗菌剤又は抗菌剤組成物、界面活性剤、滑剤及び無機イ
オン交換体をABS系樹脂に高濃度で含有させた粒状物
(マスターバッチ)を予め調製した後、これを原料とし
て成形することも可能である。なお、抗菌剤、界面活性
剤、滑剤及び無機イオン交換体の4成分、又はこれらと
金属酸化物の5成分及びABS系樹脂からなるマスター
バッチを作製する際、これらの成分を混合する順序に制
限はなく、又抗菌剤とABS系樹脂からなるマスターバ
ッチ及び界面活性剤、無機イオン交換体とABS系樹脂
からなるマスターバッチ等、成分の異なる複数種のマス
ターバッチを作製して、それらを混合して成形しても良
い。
【0031】好ましい粒状物は、界面活性剤として多価
アルコールエステル系界面活性剤、滑剤として金属石
鹸、無機イオン交換体としてハイドロタルサイト類化合
物或いはケイ酸アルミニウムを配合したものであり、粒
状物中にこれらを高濃度で含有させても粒状物が着色す
ることがないという利点がある。
【0032】マスターバッチにおける抗菌剤又は抗菌剤
組成物の好ましい配合割合は、ABS系樹脂100部当
たり70部迄であり、より好ましくは、50部迄であ
る。70部より多いと、樹脂成形体の抗菌性を殆ど向上
させず、抗菌剤又は抗菌剤組成物、界面活性剤、変色防
止剤及びABS系樹脂からなる混合物を成形してマスタ
ーバッチを得ることが困難になる恐れがある。又、マス
ターバッチにおける界面活性剤の好ましい配合割合は、
マスターバッチ100部当たり50部迄、より好ましく
は30部迄であり、又滑剤の好ましい配合割合は、マス
ターバッチ100部当たり50部迄、より好ましくは2
0部迄であり、無機イオン交換体の好ましい配合割合
は、マスターバッチ100部当たり50部迄、より好ま
しくは30部迄である。
【0033】マスターバッチの形状及び大きさには特に
制限はなく、具体的な形状として、球状、角柱状、円柱
状及び円盤状等がある。後の成形工程を容易にするため
に、マスターバッチとABS系樹脂とは、形状及び大き
さが類似したものであることが好ましい。一般的には、
直径及び長さが1〜5mmである円柱状ペレットが好ま
しい。
【0034】抗菌剤又は抗菌剤組成物、界面活性剤、滑
剤、無機イオン交換体及びABS系樹脂からなるマスタ
ーバッチを得るための加工方法として公知の方法はいず
れも採用でき、例えば、抗菌剤又は抗菌剤組成物、界面
活性剤、無機イオン交換体及びABS系樹脂パウダーを
ヘンシェルミキサーで混合した後、押し出し成形機にて
ペレット状に成形する方法、抗菌剤又は抗菌剤組成物、
界面活性剤及び無機イオン交換体をABS系樹脂ペレッ
トに直接混合し、押し出し成形機にてペレット状に成形
する方法等がある。
【0035】上記のようにして得られる抗菌性ABS系
樹脂成形体は、抗菌剤が化学的及び物理的に優れた安定
性を有しているため、酸性溶液中でも銀を殆ど溶出せ
ず、吸湿性も有していないため極めて加工性に優れる。
【0036】○用途 本発明の組成物から得られる抗菌性ABS系樹脂成形体
は、防かび、防藻及び抗菌性を必要とし、且つABS系
樹脂成形体が利用される種々の分野で有効である。具体
的な用途としては、例えば、弱電関係では冷蔵庫、洗濯
機、掃除機、扇風機、乾燥機、空調機、電話機、電気ポ
ット、炊飯器、食器洗浄機、食器乾燥機、電子レンジ、
ミキサー、VTR、テレビ、時計、ステレオ、テープレ
コーダー,OA機器等、車両関係の内外装、雑貨関係で
は住宅部品、浴用部品、トイレ等のサニタリー用品、各
種医療器具、各種容器、スポーツ用品、日用品、建材、
光学機器、万年筆、シャープペンシル、ボールペン、紙
台所用品では三角コーナー、まな板、ボール、ざる等が
ある。
【0037】
【作用】本発明の組成物を用いて成形した樹脂成形体が
優れた抗菌性及び変色防止性を発揮することができる理
由は明かではないが、本発明者らは以下のように推定し
ている。即ち、抗菌性に関しては、樹脂組成物中に界面
活性剤及び滑剤を含有させることにより、樹脂中におけ
る抗菌剤又は抗菌剤組成物の分散性をよくし、且つ界面
活性剤が樹脂成形体の表面に移行しやすいために、その
移行に伴って、樹脂成形体の表面に抗菌剤粒子が頭だし
する確率が高くなり、樹脂成形体は優れた抗菌性を発揮
するものと考えられる。また、変色防止性に関しては、
変色の要因となり得るABS系樹脂製造時に添加される
触媒等の残存物や、樹脂添加剤中の不純物や遊離イオン
を無機イオン交換体が捕捉し、且つ300℃程度の成形
温度でも無機イオン交換体に捕捉された物質が離脱しな
いことによるものと考えれている。
【0038】以下、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明する。
【実施例】
<参考例1>(抗菌剤の調製) 硫酸ジルコニウムの水溶液及びリン酸二水素アンモニウ
ムの水溶液をジルコニウムとリンの比が2:3になるよ
うに混合することにより沈澱物を生じさせ、水酸化ナト
リウムの水溶液を用いてpHを2に調整したのち、水熱
状態下で150℃、24時間加熱することにより結晶性
リン酸ジルコニウムを得た。上記で得たリン酸塩系化合
物を硝酸銀の水溶液に添加し、室温で4時間撹拌したの
ち、充分水洗し、乾燥、粉砕することにより、下記の組
成式で表され、Agの含有量が3重量%の抗菌剤〔イ〕
を得た。得られた抗菌剤は平均粒径が0. 45ミクロン
である白色粉末である。 Ag0.2 Na0.6 0.2 2 (PO4 3
【0039】<参考例2>(抗菌剤の調製) 参考例1と同様にして結晶性リン酸ジルコニウムを得
て、これを硝酸銀の水溶液に添加し、室温で4時間撹拌
したのち、充分水洗し、乾燥、粉砕することにより、下
記の組成式で表され、Agの含有量が11重量%の抗菌
剤〔イ’〕を得た。得られた抗菌剤は平均粒径が0. 4
7ミクロンである白色粉末である。 Ag0.5 Na0.1 0.3 Zr2 (PO4 3 〔イ’〕 この抗菌剤〔イ’〕30重量%と酸化亜鉛70重量%を
小型粉砕機に入れて混合し、抗菌剤〔ロ〕を得た。
【0040】<参考例3>(抗菌剤の調製) 参考例2における酸化亜鉛に代えて、二酸化チタン70
重量%を用いた以外は参考例2と同様にして、抗菌剤
〔ハ〕を得た。
【0041】実施例1(抗菌性ABS系樹脂成形体の調
製) ABS樹脂(東レ株式会社製、180×18/メルトイ
ンデックスMI=18、以下ABS樹脂と略称する)9
5.5部に対して抗菌剤〔イ〕を1.0部、界面活性剤
であるグリセリンモノステアレート(以下界面活性剤
〔イ〕と略称する)2.0部、滑剤であるステアリン酸
カルシウム(以下滑剤〔イ〕と略称する。)1.0部、
無機イオン交換体として合成ハイドロタルサイト(協和
化学工業株式会社製KW−2100、以下無機イオン交
換体〔イ〕と略称する。)を0.5部配合し、これらを
均一に混合し、東芝機械製IS−55EPNを用いて2
20℃で射出成形し、10cm×10cm×2mmの抗
菌性プレートを作製した。なお、以下の実施例及び比較
例で作製したプレートの大きさは何れも10cm×10
cm×2mmである。
【0042】実施例2(抗菌性ABS系樹脂成形体の調
製) 実施例1における抗菌剤〔イ〕に代えて抗菌剤〔ロ〕を
用いた以外は実施例1と同様にして、抗菌性プレートを
作製した。
【0043】実施例3〜9及び比較例1〜比較例7 以下、実施例3〜実施例9及び比較例1〜比較例7にお
いては配合成分の種類又は量を代えて、実施例2と同様
にして抗菌性プレート又は抗菌剤を含有させないプレー
トを作製した。この時の各成分の配合割合を下記表1と
表2に示した。尚、実施例4,5,8,9において用い
た無機イオン交換体〔ロ〕はケイ酸アルミニウム(協和
化学工業株式会社製商品名KW−700)である。
【0044】但し、表1に明記しなかったが、実施例2
〜9においては何れも実施例1と同じ滑剤を全重量10
0部当たり1.0部含有させた。比較例1〜7におい
て、無機イオン交換体を含有させず、また比較例4と7
を除いて比較例1〜6においては何れも滑剤を含有させ
なかった。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】試験例1(抗菌性試験) 実施例1〜9及び比較例1〜7で作製した各プレートの
抗菌力を以下の方法により評価した。被検菌には大腸菌
を用い、抗菌性プレートを3cm×3cmに切り、プレ
−ト1枚当りの菌数が105 〜106 個となるように菌
液を表面に一様に接種し、27℃で保存した。保存開始
から3時間保存した後に、菌数測定用培地(SCDLP
液体培地)で抗菌性プレート上の生残菌を洗い出し、こ
の洗液を試験液とした。この試験液について、菌数測定
用培地を用いる混釈平板培養法(37℃、2日間)によ
り生菌数を測定してプレートの3cm×3cm当たりの
生菌数に換算した。なお、初発菌数は1.1×105
あり、対照菌数は1.0×105である。上記のように
して得られた抗菌性試験の結果を上記表1と表2に示し
た。比較のため、抗菌剤、界面活性剤、滑剤及び無機イ
オン交換体を全く配合せずに、実施例1と同じABS樹
脂のみを用いてプレートを作製し、これについて抗菌性
試験を実施した結果、生菌数は9×104 であった。
【0048】試験2(熱安定性試験) 実施例1〜9及び比較例1〜7でプレートを射出成形す
る際に成形機のシリンダー中に樹脂を5分間滞溜させて
から射出成形する方法(滞溜成形)と、滞溜させずに射
出成形する方法(ストレート成形)により成形を行っ
た。得られたサンプルの色彩(L,a,b)を色差計
(日本電色工業株式会社製色彩色差計SZ−Σ80)を
用いて測定し、滞溜成形とストレート成形で得たプレー
トの色彩を比較して色差ΔEを求めた。上記のようにし
て得られた熱安定性試験の結果を上記表1と表2に示し
た。比較のため、抗菌剤、界面活性剤、滑剤及び無機イ
オン交換体を全く配合せずに、実施例1と同じABS樹
脂のみを用いてプレートを作製し、これについて熱安定
性試験を実施した結果、色差は1.2であった。
【0049】試験例3(耐候性試験) 実施例1〜9及び比較例1〜7で作製した各プレートに
ついて、耐候性試験機(東洋精機製作所株式会社製UC
−1)を用いて耐候性を評価した。耐候性試験機の試験
条件は1サイクルが8時間であり、60℃で350nm
以下の紫外線を照射する4時間の工程と40℃で湿度9
5%以上の雰囲気に放置する4時間の工程からなる。連
続5サイクル作動後、色差計(日本電色工業株式会社製
色彩色差計SZ−Σ80)を用いて、耐候性試験後の色
彩(L,a,b)を測定し、この色彩と、成形直後の色
彩とを比較することにより色差△Eを求めた。各種抗菌
性プレートについて、成形直後と耐候試験後の色差を表
2に示した。なお、実施例1と同じABS樹脂のみを用
いて作製したブランクプレートについて耐候性試験を実
施した結果、色差は成形直後と耐候試験後において、各
々0及び1. 2であった。
【0050】上記表1と表2の結果から、以下のことが
わかる。 界面活性剤と滑剤を配合することにより抗菌プレート
の抗菌効果を向上させることができるが(比較例2,3
と4、比較例5,6と7)、熱安定性と耐侯性に関して
は改善効果がない。 これに対して、界面活性剤と滑剤に加えて無機イオン
交換体を配合することにより、抗菌性と共に熱安定性と
耐侯性に優れた抗菌プレートを得ることができる(実施
例2〜5と比較例4、実施例6〜9と比較例7)。
【0051】
【発明の効果】本発明の組成物は勿論のこと、これを成
形した成形物においても、抗菌剤が有する本来の優れた
抗菌性を発揮させることができ、且つ耐候性に優れてい
る。本発明の組成物を成形して得られる成形体は、防か
び、防藻叉は抗菌性を必要とし且つABS系樹脂成形体
が利用される種々の分野で有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3/34 C08K 3/34 (72)発明者 棚瀬 学 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 加藤 秀樹 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ABS系樹脂、下式〔1〕で表されるリ
    ン酸塩系抗菌剤、界面活性剤、滑剤及び無機イオン交換
    体を含有することを特徴とする抗菌性ABS系樹脂組成
    物。 Aga b 2 (PO4 3 ・nH2 O 〔1〕 (Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、
    アンモニウムイオンまたは水素イオンから選ばれる少な
    くとも1種のイオンであり、Mは4価金属であり、nは
    0≦n≦6を満たす数であり、a及びbはいずれもa+
    mb=1を満たす正数である。但し、mはAの価数であ
    る。)
  2. 【請求項2】酸化亜鉛及び二酸化チタンから選ばれる少
    なくとも1種の金属酸化物を含有することを特徴とする
    請求項1記載の抗菌性ABS系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】無機イオン交換体がハイドロタルサイト類
    化合物又はケイ酸アルミニウムであることを特徴とする
    請求項1又は請求項2記載の抗菌性ABS系樹脂組成
    物。
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