JP2841263B2 - 抗菌性abs系樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

抗菌性abs系樹脂成形体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無機系抗菌剤、ポリオレ
フィン樹脂及びABS系樹脂からなる抗菌性ABS系樹
脂成形体の製造方法に関する。本発明により得られる成
形体は、安定して抗菌効果を示すものであり、防かび、
防藻及び抗菌性を必要とされる各種用途のプラスチック
製品として使用することが可能なものである。
【0002】
【従来の技術】従来から無機系の抗菌剤として、銀や銅
等の抗菌性を示す金属(以下、抗菌性金属と略称するこ
とがある。)を活性炭、アパタイト、ゼオライト等に担
持させたものが知られている。これらは有機系の抗菌剤
と比較して安全性が高いうえ、揮発叉は分解を起こさな
いため、抗菌効果の持続性が長く、しかも耐熱性にすぐ
れる特徴を有している。そのため、これらの抗菌剤と各
種高分子化合物とを混合することにより抗菌性樹脂組成
物とし、これを用いて繊維状叉はフィルム状等の各種成
形体に加工し、各種用途に用いられている。
【0003】これら無機系抗菌剤を添加した抗菌性樹脂
組成物を用いて、薄いフィルム状又は細い繊維状等の比
較的比表面積の大きい形状に成形した場合には、無機系
抗菌剤の粒子が樹脂成形体の表面に露出する確率が高い
ため、樹脂に対し1重量%程度の小量の無機系抗菌剤を
配合し、公知の方法で成形するのみで充分な抗菌効果が
発揮されるが、射出成形、押し出し成形などで得られ
た、嵩高く比較的比表面積が小さい形状を有する一般の
樹脂成形体では、単に無機系抗菌剤を公知の方法で樹脂
に配合し成形するのみでは、本来抗菌剤が有する充分な
抗菌効果が得られない問題があり、その改善が望まれて
いる。無機系抗菌剤の抗菌性を十分に発揮させるには、
これを樹脂と分散性よく混合し、しかも表面に頭出しさ
せなければ抗菌効果が充分発揮されない。射出成形体又
は押し出し成形体のみならず、繊維又はフィルムでも太
い繊維や厚いフィルムでも同様の傾向がみられ、その内
部に無機系抗菌剤が偏って分散されやすいため、充分な
抗菌性が得られないと考えられ、この現象は無機系抗菌
剤粒子が細かい程顕著に表れ、各種の樹脂のなかでは特
にABS系樹脂にこの傾向が強く表れている。
【0004】一方、無機系抗菌剤をワックス類と混合
し、混合により生じる熱又は/及び加熱により溶けた該
ワックス類で無機系抗菌剤を被覆した無機系抗菌剤粒子
の樹脂用マスタ−バッチを樹脂に練り混むことにより、
変色を防止し、安定した抗菌力を得る方法が提案されて
いる(特開平3−215527)。しかし、前記公開特
許公報においては、ポリオレフィン樹脂の成形体を得る
方法が具体的に例示されているのみであり、抗菌性に優
れたABS系樹脂成形体を得る方法は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】無機系抗菌剤とABS
系樹脂からなる抗菌性ABS系樹脂成形体は、単に抗菌
剤を混合するだけでは充分な抗菌効果が得られにくいと
いうABS系樹脂に固有の問題がある。本発明は無機系
抗菌剤を含有し、優れた抗菌性を発揮することができ、
且つ成形性に優れたABS系樹脂成形体の製造方法を提
供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、無機系抗菌剤と
共にポリオレフィン樹脂を用いて、これらを予め粒状に
成形することが極めて有効であることを見いだし、本発
明を完成するに至った。即ち、本発明は、無機系抗菌剤
とポリオレフィン樹脂との混合物を成形してなる粒状物
をABS系樹脂に配合して成形することを特徴とする抗
菌性ABS系樹脂成形体の製造方法に関するものであ
る。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。 ○ABS系樹脂 本発明におけるABS系樹脂は、樹脂の連続相にゴム質
が分散した構造を有する熱可塑性樹脂である。ABSの
略号は、原料成分であるアクリロニトリル(Acryl
onitrile)、ブタジエン(Butadien
e)及びスチレン(Styrene)の頭文字を連ねた
ものであり、これらの3成分はABS系樹脂の構成成分
として代表的なものであるが、本発明におけるABS系
樹脂は、必ずしもこれらの3成分からなる樹脂に限定さ
れない。好ましい具体例としては、ジエン系ゴムに代表
されるゴム状エラストマ−成分の存在下に、スチレン及
びアクリルニトリルを主成分とするビニルモノマ−をラ
ジカルグラフト重合して得られるグラフト共重合体が挙
げられる。ABS系樹脂の構成成分となるエラストマ−
成分としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポ
リイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムの
他、エチレン−ポリピレン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ジエンモノマ−三元共重合体、塩素化ポリエチレ
ン、ポリイソブチレン等のオレフィン系ゴム、(メタ)
アクリル酸アルキルを主成分とするアクリル系ゴム等が
挙げられ、ジエン系ゴムがより好ましい。上記の各種エ
ラストマ−成分を使用して製造したグラフト共重合体
は、エラストマ−の種類により、ABS樹脂、AES樹
脂、ACS樹脂、AAS樹脂等と略称されることがある
が、本発明ではこれらを総称してABS系樹脂という。
【0008】上記エラストマ−にグラフト重合されるビ
ニルモノマ−は、スチレン及びアクリルニトリルを主成
分とするが、必要に応じ他のビニルモノマ−、例えばα
−メチルスチレン、芳香族置換スチレン類、(メタ)ア
クリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メ
タ)アクリル酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミド
に代表されるN置換マレイミド類も併用してよい。全ビ
ニルモノマ−中のスチレンの好ましい割合は50〜90
重量%であり、60〜85重量%がさらに好ましい。ア
クリロニトリルの好ましい割合は40〜10重量%であ
り。35〜15重量%がさらに望ましい。また、他のビ
ニルモノマ−の割合は0〜20重量%であり、0〜10
重量%が好ましい。重合の方法としては、乳化重合法、
塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法などが採用され、
これらを組み合わせた重合法も採用できる。ABS系樹
脂中のエラストマ−成分の好ましい重量割合は5〜40
重量%であり、さらに好ましくは10〜30重量%であ
る。
【0009】また、ABS系樹脂は他の樹脂との相溶性
が良いため、ABS系樹脂が有する耐熱性、耐衝撃性等
の固有の性質を損なわない範囲で、種々の樹脂或いはラ
バ−とブレンドすることもでき、例えば塩化ビニル、ポ
リカ−ボネイト、ポリウレタン、ナイロンなどとブレン
ドすることもできる。これらの樹脂或いはラバーの好ま
しい配合割合は、通常ABS系樹脂100重量部当たり
100重量部迄である。さらに、ABS系樹脂組成物の
物性を改善するために、必要に応じて種々の他の添加剤
を混合することもできる。具体例としては顔料、染料、
酸化防止剤、耐光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡
剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、防湿剤及び増量剤等が
ある。また、無機系抗菌剤以外に有機系抗菌・防カビ剤
を別に添加することにより効果の速効性、効力増加をは
かることもできる。これらの添加剤の好ましい配合割合
はABS系樹脂100重量部(以下単に部と略称す
る。)当たり10部迄である。ABS系樹脂は粉末状で
は成形が困難なうえ充分な抗菌効果が得られない恐れが
あるため、ペレット状の成形体が好ましい。ペレットの
形状には特に制限はなく、例えば球状、角柱状、円柱状
及び円盤状等がある。
【0010】○無機系抗菌剤 本発明における無機系抗菌剤は、抗菌性金属イオンを担
持させた無機化合物であれば特に制限はなく、抗菌性金
属イオンを担持させる無機化合物としては、例えば以下
のものがある。即ち、活性炭、活性アルミナ、シリカゲ
ル等の無機系吸着剤、ゼオライト、ハイドロキシアパタ
イト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタン酸カ
リウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハ
イドロタルサイト等の無機イオン交換体がある。無機化
合物に担持させる抗菌性金属イオンの好ましい割合は、
担体である無機化合物100重量部当たり0.1〜5重
量部である。これらの無機化合物に抗菌性金属イオンを
担持させる方法には特に制限はなく、今までに知られた
担持方法はいずれも採用でき、例えば物理吸着又は化学
吸着により担持させる方法、イオン交換反応により担持
させる方法、結合剤により担持させる方法、抗菌性金属
化合物を無機化合物に打ち込むことにより担持させる方
法、蒸着、溶解析出反応等の薄膜形成法により無機化合
物の表面に抗菌性金属化合物の薄層を形成させることに
より担持させる方法がある。
【0011】上記の無機化合物の中で、無機イオン交換
体は抗菌性金属イオンを強固に担持できることから好ま
しく、特に無機イオン交換体であるリン酸四価金属塩に
抗菌性金属イオンを担持させた下記一般式〔1〕で示さ
れる無機系抗菌剤は好ましい化合物である。 M1 a b 2 2(PO4 3 ・nH2 O 〔1〕 [M1 は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、
ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バ
リウム、カドミウム又はクロムから選ばれる少なくとも
1種の金属イオン(l価とする。)であり、Aはアルカ
リ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウム
イオン又は水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイ
オン(m価とする。)であり、M2 は4価金属であり、
nは0≦n≦6を満たす数であり、a及びbは、何れ
も、la+mb=1を満たす正数である。]
【0012】上記一般式〔1〕で示される化合物は、ア
モルファス又は空間群R3 Cに属する結晶性化合物であ
り、各構成イオンが3次元網目状構造を作る化合物を表
す。本発明に用いるリン酸塩系化合物としては、日光に
暴露したときの変色が少ないことから、3次元網目状構
造を有する結晶性化合物が好ましい。上記一般式〔1〕
におけるM1 は、いずれも防かび、抗菌性及び防藻性を
示す金属として知られたものであり、これらの中で銀
は、安全性の他、防かび、抗菌性及び防藻性を高めるこ
とができる金属として特に有効である。
【0013】上記一般式〔1〕におけるAは、アルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイ
オン又は水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオ
ンであり、好ましい具体例には、リチウム、ナトリウム
及びカリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム又
はカルシウム等のアルカリ土類金属イオン又は水素イオ
ンがあり、これらの中では、化合物の安定性及び安価に
入手できる点からカリウムイオン、ナトリウムイオン、
アンモニウムイオン及び水素イオンが好ましいイオンで
ある。
【0014】上記一般式〔1〕におけるM2 は、4価金
属であり、好ましい具体例には、ジルコニウム、チタン
又は錫があり、化合物の安全性を考慮すると、ジルコニ
ウム及びチタンは、特に好ましい4価金属である。
【0015】上記一般式〔1〕のリン酸塩系化合物の具
体例として、以下のものがある。 Ag0.005 Li0.995 Zr2 (PO4 3 Ag0.01(NH4 0.99Zr2 (PO4 3 Ag0.05Na0.95Zr2 (PO4 3 Ag0.2 0.8 Ti2 (PO4 3 Ag0.1 0.9 Zr2 (PO4 3 Ag0.050.05Na0.90Zr2 (PO4 3 Ag0.050.55Na0.40Zr2 (PO4 3 また、化合物1モル当たりの銀イオンの電荷量と同じ電
荷量になるようにしながら、上記各式におけるAgをZ
n、Mn、Ni、Pb、Hg、Sn、又はCuと置換し
た化合物も使用することができる。
【0016】本発明に用いるリン酸塩系化合物を合成す
る方法には、焼成法、湿式法及び水熱法等があり、例え
ば以下のようにして容易に得ることができる。 ・網目状構造リン酸塩の合成 焼成法により合成する場合、炭酸リチウム(Li2CO3)又
は炭酸ナトリウム(Na2CO3)等のアルカリ金属を含有す
る化合物、酸化ジルコニウム(ZrO2)等のジルコニウム
を含有する化合物及びリン酸二水素アンモニウム(NH4H
2PO4)等のリン酸基を含有する化合物を、モル比で約
1:4:6となるように混合し、これを1100〜1400℃で
焼成することにより、一般式〔2〕で示される化合物を
得る。 A' x Zr2 (PO4 3 〔2〕 (A' はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン
又はアンモニウムイオンから選ばれる少なくとも1種の
金属イオであり、xはA' が1価であるときは1であ
り、Aが2価であるときは1/2である)これを、室温
〜100 ℃において、適当な濃度で銀イオンを含有する水
溶液中に浸漬することにより、一般式〔1〕で示される
化合物を得る。なお、一般式〔1〕におけるAイオンが
水素イオンである化合物は、上記一般式〔2〕で表され
る化合物を、室温〜100 ℃における硝酸、硫酸及び塩酸
等の無機酸水溶液中に浸漬することにより、一般式H
(1-z) A' z 2 (PO4 3 (zは0又は1未満の
数)で示される化合物〔3〕を得、更にこれを適当な濃
度で銀イオンを含有する水溶液中に浸漬することによ
り、一般式〔1〕で示される化合物を得る。
【0017】また、湿式法により合成する場合、オキシ
塩化ジルコニウム水溶液を攪拌しながら、この中にシュ
ウ酸を加え、さらにリン酸を加える。苛性ソーダ水溶液
にて反応液のpHを3に調整し、10時間加熱還流後、
沈澱物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し、網目状リン酸ジル
コニウム[NaZr2 (PO4 3 ]を得る。これを適
当な濃度で抗菌性金属を含有する水溶液中に浸漬するこ
とにより、一般式〔1〕で示される化合物を得る。
【0018】また、抗菌性及び耐候性が極めて優れた抗
菌剤を得るためには、上記リン酸四価金属塩に、抗菌性
金属イオンと共に水素イオンを担持させ、焼成すること
が好ましい。リン酸四価金属塩がアンモニウムイオンを
有する場合は、焼成によりアンモにウムイオンが熱分解
して水素イオンが残るため、リン酸四価金属塩に水素イ
オンを担持させる必要はない。一方、リン酸四価金属塩
がアンモニウムイオンを有しないか、極めて少量しか有
しない場合、リン酸四価金属塩に水素イオンを担持させ
る方法には酸性溶液に浸漬させる方法がある。酸性溶液
の好ましい具体例として、塩酸、硫酸、硝酸等の水溶液
がある。酸性溶液の酸濃度、温度、浸漬時間は、特に制
限はないが、一般に酸濃度が高いほど、短時間で水素イ
オンを担持させることができることから、好ましい酸濃
度は0.1N以上であり、好ましい処理温度は40℃以
上、より好ましくは60℃〜100℃であり、浸漬時間
は10分以上、よりより好ましくは60分以上である。
【0019】焼成工程はリン酸四価金属塩に抗菌性金属
イオン及び水素イオン又はアンモニイウムイオンを担持
させた後に実施することが、抗菌剤の化学的及び物理的
安定性を向上させ、変色を高度に防止した抗菌剤を得る
ために好ましい。また、この焼成工程により、抗菌剤に
付着していた水分がほとんど存在しなくなる為に、樹脂
への加工性も向上する。焼成温度は500〜1300
℃、好ましくは600〜1000℃、より好ましくは7
00〜900℃で焼成すると良い。500℃未満の温度
で焼成すると、抗菌剤の化学的及び物理的安定性を向上
させることが不十分であり、1300℃以上で焼成する
と抗菌性が低下する、あるいは微粒子状のリン酸四価金
属塩が融着し、微粒子状の抗菌剤を得られなくなる恐れ
がある。焼成時間に特に制限はなく、通常1〜20時間
の焼成により充分な効果が得られる。昇温速度及び降温
速度についても、特に制限はなく、焼成炉の能力、生産
性等を考慮して適宜調製することができる。
【0020】防かび、抗菌性及び防藻性を発揮させるに
は、一般式〔1〕におけるaの値は大きい方がよいが、
aの値が0. 001以上であれば、充分に防かび、抗菌
性及び防藻性を発揮させることができる。しかし、aの
値が0. 001未満であると、防かび、抗菌性及び防藻
性を長時間発揮させることが困難となる恐れがあるの
で、aの値を0. 01以上の値とすることが好ましい。
又、経済性を考慮すると、aの値は0. 5以下が適当で
ある。
【0021】前記一般式〔1〕で表される無機系抗菌剤
は熱及び光の暴露に対して安定であり、500℃、場合
によっては800℃〜1100℃での加熱後であつても
構造及び組成が全く変化せず、紫外線の照射によっても
何等変色を起こさず、又液体状態にある水と接触した
り、酸性溶液中でも骨格構造の変化がみられない。従っ
て、各種成形加工物を得る際の加工及び保存、さらには
従来の抗菌剤のように、使用時において、加熱温度ある
いは遮光条件等の制約を受けることがない。
【0022】○ポリオレフィン樹脂 本発明におけるポリオレフィン樹脂は、特に種類の制限
はなく、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン、
ペンテン及びメチルペンテン等の比較的簡単な構造のオ
レフィン類の単独重合体或いは共重合体である。好まし
い具体例として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン
等がある。ポリエチレンは密度により0.91〜0.9
29g/cm3 の低密度ポリエチレン、0.930〜
0.941g/cm3 の中密度ポリエチレン、0.94
2g/cm3 以上の高密度ポリエチレンに分類でき、製
造法、分子構造叉は分子量を考慮すると、低分子量ポリ
エチレン、超高分子量ポリエチレン、直鎖状低密度ポリ
エチレン、超低密度ポリエチレン等に分類できるが、本
発明ではこれら全てを使用できる。本発明では、下記に
説明するように、無機系抗菌剤の予備成形物を容易に作
製することができることから、特に平均分子量が800
0以上のポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
また、オレフィン類と他の単量体を共重合させたり、ポ
リオレフィンに他の樹脂を配合した変性ポリオレフィン
を使用することもできる。ポリオレフィン類の共重合体
の好ましい具体例として、例えばエチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ア
イオノマー及びエチレン−プロピレン−ジエン類のター
ポリマー等がある。ポリオレフィン樹脂は、無機系抗菌
剤と混合して粒状に成形することが容易であることか
ら、液状ポリオレフィンに比較して、常温で固体である
ものが望ましい。本発明におけるポリオレフィンのメル
トインデックスフロ−は特に制限はないが、メルトイン
デックスフロ−の高いものを用いる方が抗菌効果の高い
成形体を容易に得ることができる傾向があるため好まし
い。
【0023】○予備成形 本発明では、無機系抗菌剤とポリオレフィン樹脂からな
る混合物を予め成形して粒状物を作製する必要がある。
粒状物の形状及び大きさに特に制限はなく、具体的な形
状として、球状、角柱状、円柱状及び円盤状等がある。
後の成形工程を容易にするために、粒状物とABS系樹
脂とは、形状及び大きさが類似したものであることが望
ましい。一般的には、直径及び長さが1〜5mmである
円柱状ペレットが好ましい。無機系抗菌剤のポリオレフ
ィン樹脂に対する好ましい配合割合は、10〜90重量
%であり、より好ましい配合割合は、30〜70重量%
である。10重量%未満では、ABS系樹脂に充分な抗
菌性を発現させるためには多量のポリオレフィン樹脂を
配合することが必要となるため、成形性を悪くする可能
性があり、90重量%より多いと、無機系抗菌剤とポリ
オレフィン樹脂からなる混合物を成形して粒状物を得る
ことが困難になる恐れがあり、また抗菌性の向上が起こ
らない。
【0024】無機系抗菌剤とポリオレフィン樹脂とから
粒状体を得るための加工方法は公知の方法をどれも採用
でき、例えば無機系抗菌剤とポリオレフィンパウダ−を
ヘンシェルミキサ−で混合した後、押しだし成形機にて
ペレット状に成形する方法、無機系抗菌剤をポリオレフ
ィンペレットに直接混合し、押し出し成形機にてペレッ
ト状に成形する方法、無機系抗菌剤と低分子量ポリオレ
フィンをニ−ダ−で混合後粒状化する方法、低分子量ポ
リオレフィンを加熱溶解し、液状化したなかに無機系抗
菌剤を添加、混合し、冷却することにより固化し、粒状
化する方法などがある。また、これらの混合の際に公知
の分散剤を適量配合してもよく、例えば無機系抗菌剤と
分散剤を混合し、粒状化したものをポリオレフィン樹脂
と混合して、ペレット状に成形する方法がある。
【0025】○成形 上記のようにして得た、無機系抗菌剤とポリオレフィン
樹脂からなる粒状体とABS系樹脂を成形して抗菌性A
BS系樹脂成形体を得るには、ABS系樹脂の成形法と
して知られる方法を何れも実施することができ、原料と
して用いる無機系抗菌剤、ポリオレフィン樹脂及びAB
S系樹脂の特性に合わせて、温度及び圧力を適宜調整し
ながら、これらの原料を混合、混入又は混練りの方法に
よって混合することができる。このようにして均一に混
合した後、あらゆる公知の加工技術と機械を用いて種々
の形態に成形することができる。具体的な成形方法の例
としては、押しだし成形、射出成形、カレンダ−加工、
真空成形及び発泡成形が挙げられる。
【0026】無機系抗菌剤の好ましい配合割合は、抗菌
性ABS系樹脂成形体100部当たり0. 01〜10部
である。0.01部以下では充分な抗菌性を得る事が困
難で、10部以上添加しても抗菌性の向上はあるが、A
BS系樹脂成形体の他の物性を悪くする恐れがある。
【0027】ポリオレフィン樹脂の好ましい配合割合
は、ABS系樹脂100部に対して0. 01〜10部、
より好ましくは0. 1〜5部である。0. 01部より少
ないとABS系樹脂成形体に抗菌性を充分発揮させるこ
とができない恐れがあり、一方10部より多く配合して
も抗菌効果の向上が殆どなく、むしろABS系樹脂と分
離してしまい成形体の物性を低下させる可能性がある。
【0028】○用途 本発明の抗菌性ABS系樹脂成形体は、防かび、防藻及
び抗菌性を必要とし、且つABS系樹脂成形体が利用さ
れる種々の分野で有効である。具体的用途しては、例え
ば弱電関係では冷蔵庫、掃除機、洗濯機、扇風機、VT
R、テレビ、テ−プレコ−ダ−、OA機器など、車両関
係の内外装、電話機、雑貨関係では住宅部品、各種容
器、スポ−ツ用品、日用品、建材、光学機器及び文房具
等が挙げられる。
【0029】以下、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明する。
【実施例】
参考例1(抗菌剤の調製) 硫酸ジルコニウムの水溶液及びリン酸の水溶液をジルコ
ニウムとリンの比が2:3になるように混合することに
より沈澱物を生じさせ、水酸化ナトリウムの水溶液を用
いてpHを2に調整した後、水熱状態下で130℃、1
2時間加熱することにより結晶性リン酸ジルコニウム
〔NaZr2 (PO4 3 〕を得た。上記で得たリン酸
塩系化合物をよく水洗後、硝酸銀及び1Nの硝酸水溶液
に添加し、60℃で4時間攪拌した後、充分水洗、乾燥
した。これを焼成炉にて750℃で4時間焼成した後、
軽く粉砕することにより抗菌剤〔Ag0.17Na0.29
0.54Zr2 (PO4 3 〕を得た。得られた抗菌剤は平
均粒径が0. 72ミクロンである白色粉末である。
【0030】実施例1〜10(抗菌性ABS樹脂成形体
の調製) 低密度ポリエチレン(昭和電工株式会社製商品名:ショ
ウレックスM221)、高密度ポリエチレン(エ−スポ
リマ−S5003BH)、低分子量ポリエチレン(三井
石油化学株式会社製商品名:三井ハイワックス110
P、400P)及びポリプロピレン(三井石油化学株式
会社製商品名:ハイポールJ940)の中から選ばれる
ポリオレフィン樹脂と、参考例1にて調製した抗菌剤と
を、抗菌剤1部当たりポリオレフィン樹脂が1〜3部の
割合で混合し、押し出し成形機によりペレット状の成形
体(直径約2mm×長さ約3mmの円柱)とした後、こ
れをABS樹脂(電気化学工業株式会社製商品名:GT
−R−10)に対し、抗菌剤1部当たりABS樹脂が1
00部の割合で配合し、射出成形機(名機製作所株式会
社製商品名:M−50AII−DM)を用いて成形温度
220℃で射出成形し、11cm×11cm×2mmの
抗菌性プレートを作製した。
【0031】比較例1,2(抗菌性ABS樹脂成形体の
調製) 低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンと参考例1
にて調製した抗菌剤を、予めペレット状の成形体とせ
ず、ABS樹脂100部当たり、1部の低密度ポリエチ
レン又は高密度ポリエチレン及び1部の抗菌剤の割合
で、同時にABS樹脂に添加して射出成形し、11cm
×11cm×2mmの抗菌性プレートを作製した。
【0032】比較例3(抗菌性ABS樹脂成形体の調
製) ABS樹脂のみを用いて、11cm×11cm×2mm
のプレートを作製した。
【0033】比較例4(抗菌性ABS樹脂成形体の調
製) 参考例1にて調製した抗菌剤のみを、ABS樹脂にその
100部当たり1部の割合で配合して射出成形し、11
cm×11cm×2mmの抗菌性プレートを作製した。
【0034】このようにして得た抗菌性プレ−ト及びA
BS樹脂プレ−トについて、原料の配合組成、予備成形
性及び成形性を下記表1及び表2に示す。なお、予備成
形性は、押し出し成形機を用いて、無機系抗菌剤を定常
的に一定の形状を有する粒状に成形することができると
きに、「○」と表示し、一定の条件で成形機を運転して
も、成形物の形状を定常的に制御し難いときに、「×」
と表示した。また、成形性の評価はABS樹脂だけを用
いて成形したプレ−トの成形性(比較例3)を基準にし
て行い、これと同程度の成形性の場合に「○」と表示
し、射出成形機の内部で原料が均一に搬送されず、やや
不均一な成形体が得られる場合に「△」と表示し、成形
体の不均一性が著しく悪い場合に「×」と表示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】注)ポリオレフィン樹脂の種類 A:低密度ポリエチレン(昭和電工株式会社製商品名:
ショウレックスM221) B:高密度ポリエチレン(エ−スポリマ−S5003B
H) C:低分子量ポリエチレン(三井石油化学株式会社製商
品名:三井ハイワックス110P) D:低分子量ポリエチレン(三井石油化学株式会社製商
品名:三井ハイワックス400P) E:ポリプロピレン(三井石油化学株式会社製商品名:
ハイポールJ940)
【0038】(抗菌性試験)実施例1〜10及び比較例
1〜4で作製した各種プレートの抗菌力を、以下の方法
により評価した。被検菌には大腸菌を用い、プレートを
3cm×3cmに切り、プレ−ト1枚当りの菌数が10
4 〜105 個となるように菌液を表面に一様に接種し、
27℃で保存した。保存開始から0時間後(理論添加菌
数)及び3時間保存した後に、菌数測定用培地(SCD
LP液体培地)で供試品片上の生残菌を洗い出し、この
洗液を試験液とした。この試験液について、菌数測定用
培地を用いる混釈平板培養法(37℃2日間)により生
菌数を測定して、プレートの3cm×3cm当りの生菌
数に換算した。上記のようにして得られた抗菌性試験の
結果を表3及び表4に示した。なお、初発菌数は6.4
×105 、3時間後のサンプルを用いずに同様の操作を
行った対照の菌数は1.2×105 であった。表3及び
表4における試料No.は抗菌性試験に用いたプレート
を作製した実施例叉は比較例の番号と同じである。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】上記表3及び表4の結果からわかるよう
に、ポリオレフィン樹脂を配合せず、抗菌剤を単にAB
S樹脂に配合して射出成形した場合(比較例4)には、
成形体は抗菌性を殆ど発揮しない。また、抗菌剤とポリ
オレフィン樹脂を予めペレット状に成形した後に、これ
とABS樹脂を配合して射出成形する場合(実施例1〜
10)と、抗菌剤、ポリオレフィン樹脂及びABS樹脂
を同時に配合して射出成形した場合(比較例1,2)を
比較すると、前者において、成形性と成形体の抗菌性が
格段に優れている。
【0042】
【発明の効果】本発明により抗菌性ABS系樹脂成形体
を容易に得ることができる。本発明により得られる樹脂
成形体は、高い抗菌効果を発揮する材料として極めて有
用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23:00) (72)発明者 長谷川 正 愛知県名古屋市港区船見町1番地の13 アロン化成株式会社 名南工場内 審査官 一色 由美子 (56)参考文献 特開 平3−38504(JP,A) 特開 平2−292201(JP,A) 特開 昭63−265809(JP,A) 特開 平4−275370(JP,A) 特開 平4−224505(JP,A) 特開 平4−149274(JP,A) 特開 平2−80442(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 55/02,23/00 - 23/36 A01N 25/10,59/16 C08K 3/00 - 3/40,9/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機系抗菌剤とポリオレフィン樹脂との混
    合物を成形してなる粒状物をABS系樹脂に配合して成
    形することを特徴とする抗菌性ABS系樹脂成形体の製
    造方法。
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