JP2826944B2 - 抗菌性ポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

抗菌性ポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体

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JP2826944B2 JP25781193A JP25781193A JP2826944B2 JP 2826944 B2 JP2826944 B2 JP 2826944B2 JP 25781193 A JP25781193 A JP 25781193A JP 25781193 A JP25781193 A JP 25781193A JP 2826944 B2 JP2826944 B2 JP 2826944B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無機系抗菌剤、ポリスチ
レン樹脂を含有する抗菌性ポリオレフィン系樹脂組成物
及びその成形体に関し、本発明の組成物及び成形体は、
安定して抗菌効果を発揮するので、防かび、防藻又は抗
菌性を必要とされる各種プラスチック製品として使用す
ることが可能なものである。
【0002】
【従来の技術】従来から無機系の抗菌剤として、銀や銅
等の抗菌性を示す金属(以下、抗菌性金属と略称するこ
とがある。)を活性炭、アパタイト、ゼオライト等に担
持させたものが知られている。これらは有機系の抗菌剤
と比較して安全性が高いうえ、揮発又は分解を起こさな
いため、抗菌効果の持続性が長く、しかも耐熱性にすぐ
れる特徴を有している。そのため、これらの抗菌剤と各
種高分子化合物とを混合することにより抗菌性樹脂組成
物とし、これを用いて繊維状又はフィルム状等の各種成
形体に加工し、各種用途に用いられている。
【0003】これら無機系抗菌剤を添加した抗菌性樹脂
組成物を用いて、薄いフィルム状又は細い繊維状等の比
較的比表面積の大きい形状に成形した場合には、無機系
抗菌剤の粒子が樹脂成形体の表面に露出する確率が高い
ため、樹脂に対し1重量%程度の小量の無機系抗菌剤を
配合し、公知の方法で成形するのみで充分な抗菌効果が
発揮されるが、射出成形、押し出し成形などで得られ
た、嵩高く比較的比表面積が小さい形状を有する一般の
樹脂成形体では、単に無機系抗菌剤を公知の方法で樹脂
に配合し成形するのみでは、本来抗菌剤が有する充分な
抗菌効果が得られない問題があり、その改善が望まれて
いる。
【0004】無機系抗菌剤の抗菌性を十分に発揮させる
には、これを樹脂と分散性よく混合し、しかも表面に頭
出しさせなければならない。射出成形体又は押し出し成
形体のみならず、繊維又はフィルムでも、太い繊維や厚
いフィルムでは同様の傾向がみられ、その内部に無機系
抗菌剤が偏って分散されやすいため、充分な抗菌性が得
られないと考えられ、この現象は無機系抗菌剤粒子が細
かい程顕著に表れ、各種の樹脂のなかでは特にポリオレ
フィン系樹脂にこの傾向が強く表れている。
【0005】一方、無機系抗菌剤をワックス類と混合
し、混合により生じる熱又は/及び加熱により溶けた該
ワックス類で無機系抗菌剤を被覆した無機系抗菌剤粒子
の樹脂用マスタ−バッチを樹脂に練り混むことにより、
変色を防止し、安定した抗菌力を発揮させる方法が提案
されている(特開平3−215527)。しかし、これ
もワックス類と混合しただけでは充分な抗菌効果が得ら
れず、根本的な問題の解決には至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ポリオ
レフィン系樹脂に無機系抗菌剤を単に含有させただけで
は、充分な抗菌効果を発揮させることができないという
問題がある。本発明は、無機系抗菌剤を含有し、優れた
抗菌性を安定して発揮することができるポリオレフィン
系樹脂組成物及びその成形体を提供することを課題とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、ポリオレフィン
樹脂に、無機系抗菌剤とポリスチレン樹脂を特定の割合
で含有させた組成物を用いて成形すると、抗菌性に優れ
た成形体を極めて容易に得ることができることを見出
し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明はポリオ
レフィン系樹脂、無機系抗菌剤及びポリスチレン樹脂を
含有する組成物であって、該組成物の100重量部当た
り、無機系抗菌剤を0.01〜10重量部及びポリスチ
レン樹脂を0. 01〜10重量部含有することを特徴と
する抗菌性ポリオレフィン系樹脂組成物、及びこれを成
形してなる抗菌性ポリオレフィン系樹脂成形体に関する
ものである。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。 ○ポリオレフィン系樹脂 本発明におけるポリオレフィン系樹脂は特に種類の制限
はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ
ブテン等を使用できる。好ましいポリオレフィン系樹脂
としては、ポリエチレンがある。ポリエチレンは、密度
により0.91〜0.929g/cm3 の低密度ポリエ
チレン、0.930〜0.941g/cm 3の中密度ポ
リエチレン、0.942g/cm3 以上の高密度ポリエ
チレンに分類でき、製造法、分子構造又は分子量をから
めた分類によると低分子量ポリエチレン、超高分子量ポ
リエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリ
エチレンなどに分類できるが、本発明ではこれら全てを
使用できる。また、オレフィンと酢酸ビニル等の共重合
したり、又はポリオレフィンに他の樹脂を配合して得ら
れる変性ポリオレフィン等を使用することもできる。オ
レフィンと共重合させる単量体の共重合割合及びポリオ
レフィンに配合する樹脂の配合割合は、本発明の効果が
損なわれない範囲内で適宜調整することができるが、多
くとも50重量%迄である。本発明におけるポリオレフ
ィン系樹脂のメルトインデックスフロ−は特に制限され
ない。
【0009】さらに、ポリオレフィン系樹脂組成物の物
性を改善するために、必要に応じて種々の他の添加剤を
混合することもできる。具体例としては顔料、染料、酸
化防止剤、耐光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、
耐衝撃強化剤、ガラス繊維、防湿剤及び増量剤などがあ
る。また、無機系抗菌剤以外に有機系抗菌・防カビ剤を
別に添加することにより効果の速効性、効力増加をはか
ることもできる。これらの添加剤の好ましい配合割合
は、ポリオレフィン系樹脂の重量を基準として10重量
%迄である。ポリオレフィン系樹脂は粉末状では成形が
容易ではないためペレット状のような成形物として用い
ることが好ましい。
【0010】○無機系抗菌剤 本発明における無機系抗菌剤は、抗菌性金属イオンを担
持させた無機化合物であれば特に制限はなく、抗菌性金
属イオンを担持させる無機化合物としては、例えば以下
のものがある。即ち、活性炭、活性アルミナ、シリカゲ
ル等の無機系吸着剤、ゼオライト、ハイドロキシアパタ
イト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタン酸カ
リウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハ
イドロタルサイト等の無機イオン交換体がある。無機化
合物に担持させる抗菌性金属イオンの好ましい割合は、
担体である無機化合物100重量部(以下、単に部と略
す)当たり0.1〜5部である。これらの無機化合物に
抗菌性金属イオンを担持させる方法には特に制限はな
く、今までに知られた担持方法はいずれも採用でき、例
えば物理吸着又は化学吸着により担持させる方法、イオ
ン交換反応により担持させる方法、結合剤により担持さ
せる方法、抗菌性金属化合物を無機化合物に打ち込むこ
とにより担持させる方法、蒸着、溶解析出反応等の薄膜
形成法により無機化合物の表面に抗菌性金属化合物の薄
層を形成させることにより担持させる方法がある。
【0011】上記の無機化合物の中で、無機イオン交換
体は抗菌性金属イオンを強固に担持できることから好ま
しく、特に無機イオン交換体であるリン酸四価金属塩に
抗菌性金属イオンを担持させた下記一般式〔1〕で示さ
れる無機系抗菌剤は好ましい化合物である。 M1 a b 2 2(PO4 3 ・nH2 O 〔1〕 [M1 は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、
ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バ
リウム、カドミウム又はクロムから選ばれる少なくとも
1種の金属イオン(l価とする。)であり、Aはアルカ
リ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウム
イオン又は水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイ
オン(m価とする。)であり、M2 は4価金属であり、
nは0≦n≦6を満たす数であり、a及びbは、何れ
も、la+mb=1を満たす正数である。]
【0012】上記一般式〔1〕で示される化合物は、ア
モルファス又は空間群R3 Cに属する結晶性化合物であ
り、各構成イオンが3次元網目状構造を作る化合物を表
す。一般式〔1〕で示されるリン酸塩系化合物のうち、
日光に暴露したときの変色が少ないことから、3次元網
目状構造を有する結晶性化合物が好ましい。上記一般式
〔1〕におけるM1 は、いずれも防かび、抗菌性及び防
藻性を示す金属として知られたものであり、これらの中
で銀は、安全性の他、防かび、抗菌性及び防藻性を高め
ることができる金属として特に有効である。
【0013】上記一般式〔1〕におけるAは、アルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイ
オン又は水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオ
ンであり、好ましい具体例には、リチウム、ナトリウム
及びカリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム又
はカルシウム等のアルカリ土類金属イオン又は水素イオ
ンがあり、これらの中では、化合物の安定性及び安価に
入手できる点からカリウムイオン、ナトリウムイオン、
アンモニウムイオン及び水素イオンが好ましいイオンで
ある。
【0014】上記一般式〔1〕におけるM2 は、4価金
属であり、好ましい具体例には、ジルコニウム、チタン
又は錫があり、化合物の安全性を考慮すると、ジルコニ
ウム及びチタンは、特に好ましい4価金属である。
【0015】上記一般式〔1〕のリン酸四価金属塩の具
体例として、以下のものがある。 Ag0.005 Li0.995 Zr2 (PO4 3 Ag0.01(NH4 0.99Zr2 (PO4 3 Ag0.05Na0.95Zr2 (PO4 3 Ag0.2 0.8 Ti2 (PO4 3 Ag0.1 0.9 Zr2 (PO4 3 Ag0.050.05Na0.90Zr2 (PO4 3 Ag0.050.55Na0.40Zr2 (PO4 3 また、化合物1モル当たりの銀イオンの電荷量と同じ電
荷量になるようにしながら、上記各式におけるAgをZ
n、Mn、Ni、Pb、Hg、Sn、又はCuと置換し
た化合物も使用することができる。
【0016】上記のリン酸四価金属塩を合成する方法に
は、焼成法、湿式法及び水熱法等があり、例えば以下の
ようにして容易に得ることができる。 ・網目状構造リン酸塩の合成 焼成法により合成する場合、炭酸リチウム(Li2CO3)又
は炭酸ナトリウム(Na2CO3)等のアルカリ金属を含有す
る化合物、酸化ジルコニウム(ZrO2)等のジルコニウム
を含有する化合物及びリン酸二水素アンモニウム(NH4H
2PO4)等のリン酸基を含有する化合物を、モル比で約
1:4:6となるように混合し、これを1100〜1400℃で
焼成することにより、一般式〔2〕で示される化合物を
得る。 A' x Zr2 (PO4 3 〔2〕 (A' はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン
又はアンモニウムイオンから選ばれる少なくとも1種の
金属イオであり、xはA' が1価であるときは1であ
り、Aが2価であるときは1/2である) これを、室温〜100 ℃において、適当な濃度で銀イオン
を含有する水溶液中に浸漬することにより、一般式
〔1〕で示される化合物を得る。なお、一般式〔1〕に
おけるAイオンが水素イオンである化合物は、上記一般
式〔2〕で表される化合物を、室温〜100 ℃における硝
酸、硫酸及び塩酸等の無機酸水溶液中に浸漬することに
より、一般式H(1-z) A' z 2 (PO4 3 (zは0
又は1未満の数)で示される化合物〔3〕を得、更にこ
れを適当な濃度で銀イオンを含有する水溶液中に浸漬す
ることにより、一般式〔1〕で示される化合物を得る。
【0017】また、湿式法により合成する場合、オキシ
塩化ジルコニウム水溶液を攪拌しながら、この中にシュ
ウ酸を加え、さらにリン酸を加える。苛性ソーダ水溶液
にて反応液のpHを3に調整し、10時間加熱還流後、
沈澱物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し、網目状リン酸ジル
コニウム[NaZr2 (PO4 3 ]を得る。これを適
当な濃度で抗菌性金属を含有する水溶液中に浸漬するこ
とにより、一般式〔1〕で示される化合物を得る。
【0018】また、抗菌性及び耐候性が極めて優れた抗
菌剤を得るためには、上記リン酸四価金属塩に、抗菌性
金属イオンと共に水素イオンを担持させ、焼成すること
が好ましい。リン酸四価金属塩がアンモニウムイオンを
有する場合は、焼成によりアンモニウムイオンが熱分解
して水素イオンが残るため、リン酸四価金属塩に水素イ
オンを担持させる必要はない。一方、リン酸四価金属塩
がアンモニウムイオンを有しないか、極めて少量しか有
しない場合、リン酸四価金属塩に水素イオンを担持させ
る方法には酸性溶液に浸漬させる方法がある。酸性溶液
の好ましい具体例として、塩酸、硫酸、硝酸等の水溶液
がある。酸性溶液の酸濃度、温度、浸漬時間は、特に制
限はないが、一般に酸濃度が高いほど、短時間で水素イ
オンを担持させることができることから、好ましい酸濃
度は0.1N以上であり、好ましい処理温度は40℃以
上、より好ましくは60℃〜100℃であり、浸漬時間
は10分以上、よりより好ましくは60分以上である。
【0019】焼成工程はリン酸四価金属塩に抗菌性金属
イオン及び水素イオン又はアンモニイウムイオンを担持
させた後に実施することが、抗菌剤の化学的及び物理的
安定性を向上させ、変色を高度に防止した抗菌剤を得る
ために好ましい。また、この焼成工程により、抗菌剤に
付着していた水分がほとんど存在しなくなる為に、樹脂
への加工性も向上する。焼成温度は500〜1300
℃、好ましくは600〜1000℃、より好ましくは7
00〜900℃で焼成すると良い。500℃未満の温度
で焼成すると、抗菌剤の化学的及び物理的安定性を向上
させることが不十分であり、1300℃以上で焼成する
と抗菌性が低下する、あるいは微粒子状のリン酸四価金
属塩が融着し、微粒子状の抗菌剤を得られなくなる恐れ
がある。焼成時間に特に制限はなく、通常1〜20時間
の焼成により充分な効果が得られる。昇温速度及び降温
速度についても、特に制限はなく、焼成炉の能力、生産
性等を考慮して適宜調製することができる。
【0020】防かび、抗菌性及び防藻性を発揮させるに
は、一般式〔1〕におけるaの値は大きい方がよいが、
aの値が0. 001以上であれば、充分に防かび、抗菌
性及び防藻性を発揮させることができる。しかし、aの
値が0. 001未満であると、防かび、抗菌性及び防藻
性を長時間発揮させることが困難となる恐れがあるの
で、aの値を0. 01以上の値とすることが好ましい。
又、経済性を考慮すると、aの値は0. 5以下が適当で
ある。
【0021】前記一般式〔1〕で表される無機系抗菌剤
は熱及び光の暴露に対して安定であり、500℃、場合
によっては800℃〜1100℃での加熱後であつても
構造及び組成が全く変化せず、紫外線の照射によっても
何等変色を起こさず、又液体状態にある水と接触した
り、酸性溶液中でも骨格構造の変化がみられない。従っ
て、各種成形加工物を得る際の加工及び保存、さらには
従来の抗菌剤のように、使用時において、加熱温度ある
いは遮光条件等の制約を受けることがない。
【0022】無機系抗菌剤の配合割合は、本発明の組成
物100部当たり、0. 01〜10部である。0.01
部以下では充分な抗菌性を得ることが困難であり、10
部以上添加しても抗菌性の向上はあるが、抗菌性ポリオ
レフィン系樹脂組成物又は成形体の他の物性を低下させ
るという問題がある。
【0023】○ポリスチレン樹脂 ポリスチレン樹脂は別名スチロ−ル樹脂又はポリスチロ
−ルともよばれるものであり、本発明におけるポリスチ
レン樹脂の種類は特に制限はない。例えば、スチレンの
単独重合体であるポリスチロ−ル以外に、2成分系とし
て合成ゴムまたはゴムラテックス、アクリルニトリルや
メタアクリレ−トを20重量%以下で配合又は共重合し
たものがある。多成分系のポリスチレン系樹脂の場合に
は、スチレンの割合が低下すると共に、本発明の効果を
発揮させることが困難となる恐れがあり、本発明の効果
を最大限に発揮させるには、本発明におけるポリスチレ
ン樹脂としては、スチレンの単独重合体が好ましい。
【0024】ポリスチレン樹脂の配合割合は、本発明の
組成物100部当たり、0. 01〜10部であり、より
好ましくは0. 1〜5部である。0. 01部より少ない
と本発明の樹脂組成物及びその成形体は抗菌性を充分発
揮できず、一方10部より多く配合しても抗菌効果の向
上が殆どなく、むしろ本発明の組成物又はその成形体の
物性を低下させる。
【0025】○配合方法 無機系抗菌剤及びポリスチレン樹脂をポリオレフィン系
樹脂へ配合する方法としては公知の方法をどれも採用で
き、例えば無機系抗菌剤とポリスチレン樹脂パウダ−を
ヘンシェルミキサ−で混合した後、押し出し成形機にて
ペレット状に成形し、これをペレット状のポリオレフィ
ン系樹脂に配合する方法、或いは無機系抗菌剤とポリス
チレン樹脂を各々粉末状のままポリオレフィン系樹脂ペ
レットに直接混合する方法などがある。また、これらの
混合の際に公知のワックスなどの分散剤を適量配合して
もよく、例えば無機系抗菌剤とポリスチレン樹脂に分散
剤を混合したものをポリオレフィン系樹脂に配合する方
法がある。
【0026】○成形 成形方法は各種の形状に応じて任意に選択することがで
き、無機系抗菌剤、ポリスチレン樹脂及びポリオレフィ
ン系樹脂の特性を考慮して、適当な温度及び圧力で、加
熱及び加圧(又は減圧)しながら混合又は混練りして容
易に成形することができる。それらの具体的操作は常法
により行えば良い。具体的な成形方法の例としては、押
し出し成形、射出成形、カレンダ−加工、真空成形及び
発泡成形等があり、あらゆる公知の加工技術と機械を使
用することができる。
【0027】このようにして得られる成形体の形状は任
意であり、例えば直方体、立方体、球、リング、板、
棒、角柱及び不規則な形状を有する成形体等の各種の嵩
高い成形体ばかりでなく、フィルム、繊維等の比表面積
の大きな形状であっても良い。
【0028】○用途 本発明の抗菌性オレフィン系樹脂成形体は、防かび、防
藻及び抗菌性を必要とする種々の分野で有効である。具
体的用途としては、例えば食料品、薬品、雑貨などの一
般包装フィルム、農業用、土木用フィルム、各種パイプ
類、食器、容器、雑貨などの一般成形物、食品用ビン、
チュ−ブなどがある。
【0029】以下、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明する。
【実施例】
参考例1(無機系抗菌剤の調製) 硫酸ジルコニウムの水溶液及びリン酸の水溶液をジルコ
ニウムとリンの比が2:3になるように混合することに
より沈澱物を生じさせ、水酸化ナトリウムの水溶液を用
いてpHを約2に調整した後、130℃の飽和水蒸気圧
に制御された水熱状態下で12時間加熱することによ
り、結晶性リン酸ジルコニウム〔NaZr2 (PO4
3 〕を得た。上記で得たリン酸塩系化合物をよく水洗
後、硝酸銀及び1Nの硝酸水溶液に添加し、60℃で4
時間撹拌した後、充分水洗、乾燥した。これを焼成炉に
て750℃で4時間焼成した後、軽くほぐすことによ
り、微粉末状のAg0.17Na0.290.54Zr2 (P
4 3 を得た。このようにして得た無機系抗菌剤は、
平均粒径が0. 7μmの白色粉末である。
【0030】実施例1 ペレット状(直径約2mm×長さ約3mmの円柱)の高
密度ポリエチレン樹脂(昭和電工株式会社製商品名50
03BH)98部に対し、参考例1にて調製した無機系
抗菌剤を1部(抗菌性ポリオレフィン系樹脂組成物10
0部当たり1部の割合)及び粉末状のポリスチレン樹脂
(三井東圧化学株式会社製商品名ト−ポレッス5250
1)を1部(抗菌性ポリオレフィン系樹脂組成物100
部当たり1部の割合)配合し、射出成形機(名機製作所
株式会社製M−50AII−DM)を用いて、成形温度
200℃で射出成形し、11cm×11cm×2mmの
抗菌性プレート(試作No.1)を作製した。
【0031】実施例2 実施例1において、高密度ポリエチレン樹脂の配合量を
98部に代えて97部とし、ポリスチレン樹脂の配合量
を1部に代えて2部(抗菌性ポリオレフィン系樹脂組成
物100部当たり2部の割合)とした以外は全て実施例
1と同様にして、抗菌性プレート(試作No.2)を作
製した。
【0032】実施例3 先ず、参考例1にて調製した無機系抗菌剤25部と粉末
状のポリスチレン樹脂75部を混合し、一軸押出機にて
粒状物(直径約2mm×長さ約3mmの円柱)とした。
この粒状物4部(無機系抗菌剤とポリスチレン樹脂の配
合割合は、抗菌性ポリオレフィン系樹脂組成物100部
当たり各々1部と3部である)と押し出し成形用低密度
ポリエチレン樹脂96部を混合し、これを射出成形機
(名機製作所株式会社製M−50AII−DM)を用い
て成形温度200℃で射出成形し、11cm×11cm
×2mmのプレ−トを作製した(試料No.3)。
【0033】比較例1 実施例1においてポリスチレン樹脂を配合しなかった点
以外は全て実施例1と同様にして、抗菌性プレート(試
作No.4)を作製した。
【0034】比較例2 実施例1におけるポリスチレン樹脂に代えて、低分子量
ポリエチレン(昭和電工株式会社製商品名ハイワックス
400P)を用いた以外は全て実施例1と同様にして、
抗菌性プレート(試作No.5)を作製した。
【0035】比較例2 ポリスチレン及び無機系抗菌剤を用いないで、高密度ポ
リエチレン樹脂のみを成形して抗菌性プレート(試作N
o.6)を作製した。上記のようにして作製した各種抗
菌性プレートにおける各種成分の配合割合を下記表1に
示した。
【0036】
【表1】
【0037】(抗菌性試験例)実施例及び比較例で作製
した各種抗菌性プレートの抗菌力を、以下の方法により
評価した。被検菌には大腸菌を用い、抗菌性プレートを
3cm×3cmに切り、抗菌性プレ−ト1枚当りの菌数
が104 〜105 個となるように菌液を表面に一様に接
種し、27℃で保存した。保存開始から3時間後に、菌
数測定用培地(SCDLP液体培地)で供試品片上の生
残菌を洗い出し、この洗液を試験液とした。この試験液
について、菌数測定用培地を用いる混釈平板培養法(3
7℃2日間)により生菌数を測定して、抗菌性プレート
に滴下した菌液の3時間後における菌濃度を求めた。な
お、試料No.3とこれ以外の試料とは異なる試験液を
使用して試験を行い、試料No.3については、初発菌
数は2.1×105 (個/ml)、対照の菌数(菌液をシ
ャーレ内で27℃,3時間保管した後の菌数)は7.1
×104 (個/ml)であり、試料No.3以外の試料に
ついては、初発菌数は1.2×106(個/ml)、対照
の菌数は7.0×105 (個/ml)であった。上記のよ
うにして得た抗菌性試験の結果を下記表2に示した(単
位は個/mlである)。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明の抗菌性ポリオレフィン系樹脂組
成物及びその成形体は、高い抗菌効果を安定して発揮す
ることことができる材料として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 正 愛知県名古屋市港区船見町1番地の74 アロン化成株式会社 技術研究所内 審査官 杉原 進 (56)参考文献 特開 平7−53770(JP,A) 特開 平6−299038(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 23/00 - 23/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂、無機系抗菌剤及び
    ポリスチレン樹脂を含有する組成物であって、該組成物
    の100重量部当たり、無機系抗菌剤を0. 01〜10
    重量部及びポリスチレン樹脂を0. 01〜10重量部含
    有することを特徴とする抗菌性ポリオレフィン系樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の抗菌性ポリオレフィン樹脂
    組成物を成形してなることを特徴とする抗菌性ポリオレ
    フィン系樹脂成形体。
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