JPH0628728B2 - 抗菌性吸水性成形体 - Google Patents

抗菌性吸水性成形体

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JPH0628728B2
JPH0628728B2 JP11316390A JP11316390A JPH0628728B2 JP H0628728 B2 JPH0628728 B2 JP H0628728B2 JP 11316390 A JP11316390 A JP 11316390A JP 11316390 A JP11316390 A JP 11316390A JP H0628728 B2 JPH0628728 B2 JP H0628728B2
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silica gel
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善次 萩原
昌男 大久保
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、抗菌性及び吸水性を有する成形体に関する。
さらに詳しくは、本発明は新規な抗菌性組成物、高吸水
性樹脂、及び必要により成形可能な樹脂を含む、抗菌性
吸水性成形体に関する。
従来技術 抗菌性を有機高分子体に付与する方法としては、例え
ば、殺菌作用を有する金属をゼオライト粒子にイオン交
換により固定させたものを、有機高分子体に含有させる
方法のようないわゆる殺菌性ポリマー組成物による方法
が知られている(特公昭第63-54013号)。
高吸水性樹脂を利用した成形体は公知であり、これらは
結露防止のための天井材,建具,壁材,包装材,止水
板,ガスケット,保水材としての農業や園芸用の資材,
また水クッション材としてベッド,家具用のアンダーパ
ット等に使用されている。ところがこれらの使用中に、
成形体の表面、または周辺にカビが繁殖したり、さらに
細菌や空気中の雑菌類の増殖が見られる場合があった。
例えば、保水材として使用した場合には苗床の表面にカ
ビが発生したり、また結露防止材としてこれらを使用し
た場合には、天井板,建具,壁紙等にカビや細菌の発育
を見るという問題があった。さらにクション材として使
用した場合には、カビや細菌の繁殖により水が不純とな
り、またEscherichia coli(大腸菌),Bacillus subtilis(枯草菌),Psedomonas aeruginosa(緑濃
菌)等の腐敗起因菌により水の腐敗が起る。かかるカビ
や細菌にかかわる問題の対策としてハロゲン系細菌剤,
酸素系殺菌剤,界面活性剤,エチレンオキシド系の殺菌
剤の使用が考えられるが、これらの殺菌剤は安全性の面
より見て、生体に対し有害である。また有機系殺菌剤の
欠点として、耐熱性にとぼしく、これを有機材等と混合
して加熱加工する場合には殺菌剤が蒸発したり、または
分解してしまうので、かゝる有機系殺菌剤を使用するこ
とは不適当であった。
発明が解決しようとする課題 本発明は、安全性,耐候性に優れた抗菌性吸水性成形体
を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明者らは、シリカゲルの表面に殺菌作用を有する金
属イオンを保持するアルミノ珪酸塩の皮膜を有する新規
な抗菌性組成物が優れた耐候性及び抗菌性を有すること
を見い出し、かかる抗菌性組成物と成形可能な高吸水性
樹脂を含む抗菌性吸水性成形物、及び該抗菌性組成物と
成形可能な樹脂及び高吸水性樹脂とを含む抗菌性吸水性
成形体を提供するものである。
最初に、本発明において使用される抗菌性組成物につい
て説明する。
その原料として用いられるシリカゲルは周知のようにSi
O2を主成分とし、一般式 (SiO2(H2O) で表わされる非晶質の多孔性物質である。上記のxおよ
びyはそれぞれSiO2およびH2Oの重合数を表わす。シリ
カゲルは乾燥剤,吸着剤,触媒担体や紙,ゴム,プラス
チックスのフィラー(充填材)等として、古くより広い
用途が見出されている。シリカゲルは粒状,球状ならび
に破砕品の形状で種々の大きさのものが市販されている
が、それの多くはSiO2含有量99.5%以上であり、不純物
としては微量のNa2O,Fe2O3,MgO,CaO,A等が含
まれている。市販されているシリカゲルの物性値は製造
業者により異なるが、それのpHは4〜8範囲にあり、真
比重2.2、細孔容積0.3〜0.8cm3/g、比表面積100〜800
m2/g(BET法による。以下、本明細書において特に記
載のない場合は同様である)および細孔径20〜200Å
の物性値を有するものが、現在国内では市販されてい
る。国内のシリカゲルの販売・製造業者としては、例え
ば、富士デヴィソン(株),旭ガラス(株),水沢化学
工業(株),豊田化工(株)等が例示され、一方国外の
典型的なシリカゲル製造業者としては、例えば、グレー
ス(Grace Chem.Co.)が挙げられる。後者では各種の粒
子径(例:10〜30μm;0.5〜1mm;1〜3mm)や
物性値の異なるシリカゲル(懸濁液のpH=5〜7)が生
産されている。例えば細孔容積03〜1.8cm3/g、比表面
積20〜750m2/gや大,中および小の細孔径を有する
シリカゲルが市販されている。グレース社製品のXWP
シリーズに見られるwide porous silica gelの細孔径は
非常に大で250〜1500Åに亘っている。
本発明の素材として使用されるシリカゲルは粉末状,粒
子状,または成型した形状の何れでもよいが、後述の方
法でシリカゲルの化学処理を実施する場合を考慮すれ
ば、細かい形状のシリカゲルが好まれる。さらに、内部
に毛細孔が無数に発達しており、細孔径及び比表面積が
大きな多孔質のものが望ましい。例えば本発明のシリカ
ゲル素材としては細孔容積は、少なくとも0.3cm3/gで
あることが好ましく、0.4cm3/g以上のものはより好ま
しい。さらにシリカゲルの細孔径はできるだけ大きい方
が好ましく、少なくとも50Å以上であるのが好まし
く、70Å以上のものはより好ましい。さらに比表面積
について云えば、少なくとも100m2/gのものが好まし
く、さらに200m2/g以上のものがより好適である。
前述した特性を有するシリカゲル素材が好ましい理由は
下記にもとづく。すなわち、前記のような物性値を有す
るシリカゲルは非常に多孔質で、それの毛細孔表面は極
めて活性である。かかるシリカゲルの化学処理を、後述
の方法により実施してアルミノ珪酸塩皮膜を毛細孔の活
性表面に形成させ、次いで、それに、細菌金属をイオン
交換により安定保持させる際には、反応に関与する化学
種(chemical species)や金属イオンの拡散が迅速に行
われて、化学反応がシリカゲルの細孔表面において、円
滑に進行する利点がある。また本発明の抗菌性組成物中
の殺菌金属は、既述のように、シリカゲル細孔の表面に
好ましい状態でほぼ均質に分布しており、解離した殺菌
性の金属イオンの細孔内拡散は、速かに行われて、殺菌
性金属イオンと菌類の接触面積が大きい状態で菌類の増
殖の抑制や死滅が行われるのである。
殺菌作用を有する金属イオンとは、実質的に抗菌性,殺
菌性を有する金属イオンであって、生体に対する安全性
も高いものが望まれる。
具体的には、銀,銅,亜鉛,および錫からなる群より選
ばれた金属を単独又は併用して使用することができる。
本発明において、アルミノ珪酸塩とは以下の一般式で表
わされるものをいう。
ここにxおよびyはそれぞれ金属酸化物及び二酸化珪素
の係数、Mはイオン交換可能な金属、nはMの原子価、
zは水の分子数を表わす。Mは通常Li,Na,Kのような
1価の金属であり、又NH4 +でもよい。さらにこれを、例
えばMg,Ca,Sr,Ba,Mn,Ni,Co又はFeのような2価金属に
より部分置換又は完全置換してもよい。
前述のアルミノ珪酸塩よりなる皮膜は結晶質(ゼオライ
ト)でも非晶質でもよく、又両者が併存していてもよ
い。アルミノ珪酸塩皮膜の厚さおよび組成は、シリカゲ
ル原料物質の物性や使用量、アルカリ濃度、アルミン酸
塩の添加量、反応温度および反応時間等により調節でき
る。結晶質,非晶質どちらの場合でもSiO2/A
モル比は1.4〜40の範囲が好ましい。代表的にはSiO2
/Aのモル比は1.4〜2.4のA型ゼオライト、上
記の比が2〜3のX型ゼオライト、3〜6のY型ゼオラ
イト、やSiO2/Aのモル比が主として1.4〜3
0の非晶質アルミノ珪酸塩、または前記の結晶質および
非晶質アルミノ珪酸塩混合物が使用される。
次に、本発明にかかる抗菌性組成物の製造法について説
明する。
本発明にかかる抗菌性組成物は多孔質のシリカゲルをア
ルカリ溶液とアルミン酸塩溶液で化学処理を行うことに
より得られる。
アルカリ溶液としては例えばNaOH,KOH,LiO
Hのようなアルカリ金属の水酸化物の溶液が用いられ、
水溶液相をアルカリ性、例えばpHは9.5〜11の範囲に
保持して処理が行われる。一方後者のアルミン酸塩溶液
としては例えばNaAO,KAO,LiAO
のようなアルカリ金属のアルミン酸塩溶液が用いら
れ、なお前記のアルカリ溶液とアルミン酸塩溶液を用い
たシリカゲルの化学処理は常温または加温下に行われ
る。かかる化学処理によりシリカゲルの毛細孔表面に存
在するSiO2は反応して、イオン交換可能な金属を含有す
るアルミノ珪酸塩の皮膜が細孔の活性表面に形成され
る。なお本発明の抗菌性組成物の細孔容積は少なとも0.
3cm3/gであって、少なくとも100m2/gの比表面積を
有することが、菌類に対する細菌速度をより促進して好
ましい抗菌〜殺菌力を発揮するためにも必要である。
前記の化学処理を終了したシリカゲルは水洗されて、固
相に存在する過剰のアルカリや金属成分は除去される。
水洗はバッチ法またはカーラム法の何れの方法を適用し
てもよい。次いで抗菌〜殺菌金属イオンを皮膜に保持さ
せるためのイオン交換が行われる。つまり、殺菌作用を
有する金属イオン、好ましくは銀,銅,亜鉛,および錫
からなる群より選ばれた金属イオンの単独または2種以
上を含む塩類の中性ないし微酸性液で処理される。前記
液としては例えばAgNO3,Cu(NO3)2,AgNO3 -Zn(NO3)2のよ
うな硝酸塩、ZnSO4,SnSO4,CuSO4-SnSO4のような硫酸
塩、AgCO,Cu(CO,Zn(CO
,のような過塩素酸塩、ZnCのような塩酸
塩、Ag−酢酸塩,Zn−酢酸塩,Cu−酒石酸塩,Zn−クエ
ン酸塩のような有機酸塩が使用される。さらに殺菌金属
の単独または複数以上をアルミノ珪酸塩皮膜中のイオン
交換可能な金属Mと、常温または加温下で、イオン交換
させて、所定量の殺菌金属をイオン結合により皮膜中に
安定に担持せしめる工程を実施して本発明のシリカを母
体とした抗菌性組成物を調製する。前記のイオン交換に
際して使用する殺菌性塩類含有液中には、他の無抗菌性
の金属イオンが共存していても差支えない。皮膜中のイ
オン交換可能な金属Mと殺菌金属の置換率は殺菌金属を
含有する塩類溶液の濃度や組成、イオン交換時の反応温
度や時間等により調節できる。アルミノ珪酸塩皮膜の調
製条件および殺菌性金属イオンのイオン交換条件を調節
することにより、殺菌金属の総量を、例えば0.003〜0.5
ミリモル/100m2(但し無水の抗菌性組成物の表面積100
m2基準。)に保持することも可能である。イオン交換時
の液性を前記のように調節することにより、シリカゲル
の毛細孔の活性表面に形成された抗菌〜殺菌性のアルミ
ノ珪酸塩皮膜中の銀,銅,亜鉛等の殺菌性金属イオンの
加水分解にもとづく生成物、例えば酸化物,塩基性塩等
のような生成物の発生により、形成された抗菌性皮膜が
汚染されて不純となり、その結果抗菌性組成物の本来の
抗菌〜殺菌能が低下する傾向を防止することが可能であ
る。上述の殺菌性金属イオン含有液のイオン交換の代り
に、アルコール類,エステル類等の有機溶媒を用いて、
または溶媒〜水の混合系を用いてイオン交換を実施して
もよい。例えば加水分解を受けやすい殺菌性の金属イオ
ンSn2+を皮膜中のイオン交換可能な金属Mとのイオン交
換により置換する際に、メチルアルコール,エチルアル
コール等のアルコール系溶媒を使用すればSnO,SnO2,塩
基性錫化合物等の皮膜への析出を防止することが可能で
あるので皮膜の抗菌能を低下させる現象を防止すること
が可能である。次に上記の化学処理を経たシリカゲル
は、液中に殺菌金属イオンが認められなくなるまで、
水洗された後、100〜110℃で乾燥されて本発明の抗菌性
組成物が最終的に調製される。本組成物の用途により、
含水率をさらに低減する必要がある場合は、減圧乾燥を
実施するか、または200〜350℃に加熱温度を高めて水分
を除去すればよい。
得られる抗菌性組成物中の殺菌金属の総量は、細菌や真
菌に対して好ましい抗菌〜殺菌力を発揮したり、また防
藻効果を挙げるためには、0.003ミリモル/100m2以上で
あることが好ましく、より好ましくは0.005ミリモル/1
00m2以上〔無水の抗菌性組成物の表面積100m2基準〕で
あり、通常は0.03〜0.5ミリモル/100m2の範囲であれば
よい。
二種以上の殺菌性金属を使用した場合には、その合計量
が上記の範囲にあることが好ましい。
本発明にかかる抗菌性吸水性成型体において上述したよ
うな方法で調製される抗菌性組成物を、抗菌性吸水性成
形体全体に対して、0.01〜60重量%含有することが好
ましく、さらに1〜40重量%の範囲はより好ましい。
本発明で使用される抗菌性組成物の粒子径については何
等の制限を加えるものではない。本願では、通常、粒子
状または粉末状が使用されるが、均質混合を考慮すれ
ば、粒子径が20μm以下の粉末は望ましく、さらに1
5μm以下のそれはより望ましい。後述の実施例−1で
は平均粒子径が8μmの抗菌性組成物が使用されて好ま
しい抗菌効果が得られている。
次に、本発明で使用される成形可能な高吸水性樹脂と
は、単独で皮膜又は成形体に加工されうる高吸水性樹脂
をいい、例えば軽く架橋したアクリル系重合体,メタク
リル系重合体、アクリル系共重合体又はメタクリル系共
重合体からなるポリ電解質等が使用できる。
又、成形可能な樹脂と併用すれば、単独では皮膜を形成
したり又成形体に加工できない高吸水性樹脂も使用でき
る。このようなものの例としては、デンプン−アクリル
酸塩のグラフト重合体,カルボキシルメチルセルロース
架橋体,ビニルアルコール−・アクリル酸塩共重合体,
ポリアリロニトリル加水分解物,架橋ポリアクリル酸
塩,変性ポリビニルアルコール,アクリル酸塩重合体,
アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体又はイソブチレ
ン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
これらの高吸水性樹脂は単独又は併用して使用可能であ
る。又、高吸水性樹脂の含有量は成形体の全重量(乾燥
基準)に対して1〜85重量%の範囲が好ましく、5〜
70重量%の範囲はより好ましい。
本発明において、成形可能な樹脂とは公知の成形方法の
いずれかにより成形することのできる樹脂をいい、非ハ
ロゲン化有機ポリマーおよびハロゲン化有機ポリマーの
両方が本発明では使用可能である。非ハロゲン化有機ポ
リマーとは合成あるいは半合成の非ハロゲン有機ポリマ
ーであって特に限定されるものではない。例えばポリエ
チレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリアミド,
ポリエスエル,ポリビニールアルコール,ポリカーボネ
ート,ポリアセタール,ABS樹脂,アクリル樹脂,フ
ッ素樹脂,ポリウレタンエラストマー,ポリエステルエ
ラストマー等の熱可塑性合成高分子,フェノール樹脂,
ユリア樹脂,メラミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,
エポキシ樹脂,ウレタン樹脂等の熱硬化性合成ポリマ
ー,レーヨン,キュプラ,アセテート,トリアセテート
等の再生又は半合成ポリマー等が挙げられる。
ハロゲン化有機ポリマーも特に限定されるものではない
が、例えばポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等が示
される。
シリカゲルを母体とした抗菌性組成物のポリマーへの添
加混合の時期および方法は、本発明に於ては、特に限定
されるものではない。例えば原料モノマーに混合後に重
合する方法、反応中間体に混合後に重合する方法、重合
終了時のポリマーに混合する方法、ポリマーペレットと
混合または予めシリカゲルを母体とした抗菌性組成物を
含有するポリマーのマスターバッチを試作しておき、後
にこれを成型する方法が用いられる。
本発明における成形体には、単独で成形して得られるフ
ィルム,シート等の他、これらの積層体、及び紙,不繊
布アルミ箔等との積層物も含まれる。
作用 本発明にかかる抗菌性組成物及びこれを含有する、抗菌
性吸水性成形体は以下のような作用を有する。
抗菌性組成物の母体として用いられるシリカゲルは多孔
質であり、その細孔表面は活性であるという特徴を有す
る。そのため、アルミノ珪酸塩皮膜の形成やイオン交換
に際し、化学種や金属イオンの拡散が迅速に行われ、化
学反応がシリカゲル表面で速やかに進行する。
シリカゲルを母体とした抗菌性組成物の有する細孔の大
きさは、公知のアルミノ珪酸塩系の抗菌剤に比較してよ
り大きいので、本組成物の解離にもとづく殺菌性の金属
イオンは孔内を拡散して容易に菌類と接触しやすい状態
になる。一方公知のアルミノ珪酸塩を母体とする抗菌性
組成物、例えば抗菌性ゼオライトにおいては、それの細
孔径が小さいので、解離した殺菌性の金属イオンの拡散
に時間がかかり、場合によっては、菌類との接触が不可
能になることもあった。従って、多孔質のアルミノ珪酸
塩粒子を用いて見かけの比表面積を増大させても実質的
に殺菌金属と菌とが接触しうる面積はさして増大せず、
抗菌性能も期待されるほどには増大しなかった。つま
り、殺菌金属が母体の表面に存在していても菌と接触で
きないデッドスペースが存在していたのである。
本発明で使用される抗菌性組成物ではこのようなことは
なく、母体の表面に存在するすべての殺菌金属が菌と接
触可能であり、有効に作用する。
さらに、母体たるシリカゲルを殺菌金属で置換されたア
ルミノ珪酸塩で被覆しているので、内部に存在し菌と接
触することのない、いわば無駄な殺菌金属の量は大巾に
減少した。
以上の二つの要因のために、殺菌金属の有効利用率、す
なわち、使用した金属に対する表面に存在する金属の割
合が著しく向上し、少なく使用量で優れた抗菌性能を得
ることができる。
従ってこれを成形可能な高吸水性樹脂又は成形可能な樹
脂及び高吸水性樹脂と混合して、新規な抗菌性吸水性成
形体を製造した場合にも、多量の金属の存在による着色
や変色を起すことなく、優れた抗菌性や物性を有する成
形体を得ることが可能になった。
さらに本発明の抗菌性吸水性成形体においては、既述の
ように、構成々分の一つとして吸水性樹脂が使用されて
いることよりも明らかなように、湿度が高く水分の存在
する状態で使用されることが多い。かかる水分の多い状
態では、成形体中のシリカゲルを母体とする抗菌性組成
物は、解離して抗菌金属イオンをより放出しやすくな
り、それにもとづいて抗菌〜殺菌作用はより好ましい状
態で発揮される特徴がある。また本発明の抗菌性吸水性
成形体は、既述の応用分野のみならず、尿成分を含有し
ても充分に抗菌力を発揮するので、衛生材料分野へも利
用できる。
次に、実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、
これらは例示にすぎず、本発明の範囲が実施例により何
らの制限を受けるものではない。
なお、参考実施例は本発明で用いられる抗菌性組成物の
調製例を示すものである。
参考実施例−1 本例はシリカゲルを母体とし、殺菌金属として銀と亜鉛
を複合させた本発明にかかる抗菌性組成物の参考調製例
に関するものである。
シリカゲル〔豊田(株)の球状シリカゲル(比表面積、
450m2/g;細孔径、60A;細孔容積、0.75cm3/g;
粒子径、40meshパス)〕約1.3kgに対して脱塩水2.5が
添加され、次いで混合液は400 450rpmで攪拌されて均質
のスラリー液とされた。これに対して、0.5N水酸化ナ
トリウム溶液が徐々に加えられて最終的にスラリー液の
pHが9.5〜10.0になるように調節された。上記のスラリ
ー液に対して0.27モル/の濃度のアルミン酸ナトリウ
ム水溶液約2.6が加えられた後、スラリー液は20°
〜23℃で約15時間、450〜500rpmで攪拌されてシリ
カゲルの細孔表面へアルミノ珪酸塩の皮膜形成が行われ
た。次いで過が行われ、得られた固相は水洗されて、
固相に存在する過剰のアルカリや未反応のアルミン酸ナ
トリウムは除去された。この場合の水洗時の液のpHは
約9に保持された。前記の水洗終了済みの固相に対して
AgNO3−Zn(NO3)2混合液(AgNO3およびZn(NO3)2として、
それぞれ、0.6Mおよび0.2Mを含有する水希釈液;pH=
4.1)が添加され、得られた混合液は、20°〜21℃
に保持され、約15時間に亘り450〜500rpmで連続攪拌
された。上記のイオン交換反応を実施して、殺菌性の銀
および亜鉛を含有する抗菌性組成物は調製され、次いで
これは過された後水洗されて固相に存在する過剰の銀
および亜鉛は除去された。水洗品は100°〜110℃で乾燥
されて本発明のシリカゲルを母体とし、殺菌金属として
銀および亜鉛を含有する抗菌性組成物が調製された。
参考実施例−1で試作された抗菌性組成物の比表面積は
319m2/g(BETのNガス吸着による測定値)であ
り、細孔容積は0.67cm3/gであり、また銀および亜鉛
の定量値はそれぞれ3.79%および0.83%(無水基準)で
あった。参考実施例−1で得られた抗菌性組成物(無水
基準)の表面積100m2当りの銀および亜鉛量はそれぞれ
0.11ミリモルおよび0.04モリモルであった。
実施例−1 等重量のアクリル酸−ビニルアルコール共重合体とエチ
レン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる樹脂混合
物に対して、参考実施例−1の抗菌性組成物(Ag=0.11
ミリモル/100m2;Zn=0.04ミリモル/100m2;比表面積
319m2/g;細孔容積0.67cm3/g)を粉砕して得られた
微粉末(平均粒子径8μm)が、それの無水物として、
抗菌性を保持した吸水性シート全体に対して、4%にな
るように添加された。次いで、得られた混合物は125℃
でミキサーを用いて混練(Kneading)された後、熱プレ
ス機により厚さ約1.5mmのシートに調製された。
比較例−1 比較試験の目的で、抗菌性組成物を含有しない、等重量
のアクリル酸−ビニルアルコール共重合体とEVA樹脂
よりなる混合物は、実施例−1と全く同様な方法で、加
熱下に混練された後、熱プレス機により厚さ約1.5mmの
シートに調製された。
比較例−2 比較試験の目的で、等重量のアクリル酸−ビニルアルコ
ール共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)からなる樹脂混合物に対して、抗菌性ゼオライト粉
末(Ag=3.95%;Zn=1.24%(何れも無水基準);NaAgZ
nZ但しZはA型ゼオライトの母体;平均粒子径3.4μ
m)が、それの無水物として、抗菌性を保持した吸水性
シート全体に対して、4%になるように添加され、次い
で、実施例−1と全く同様な条件で、混合物は混練され
た後、熱プレス機により厚さ約1.5mmのシートに調製さ
れた。
実施例−2 アクリル酸−ビニルアルコール共重合体25重量%、抗
菌性組成物の微粉末(実施例−1と同一の抗菌性組成
物)5重量%(無水物基準)およびEVA樹脂70重量
%含有する混合物は、実施例−1と全く同様な条件で、
混練された後、熱プレス機により厚さ約1.5mmのシート
に調製された。
抗菌性の評価試験 実施例−1および2ならびに比較例−1および2で調製
された厚さ約1.5mmのシートは何れも切断されて小試験
片(50×50mm;厚さ約1.5mm)とされた後、これらは吸
水されてから下記のスプレー法により抗菌性の評価試験
が行われた。
スプレー法(噴霧法)による試験法 (i)Escherichia coli菌液の調製−普通寒天培地を用い
37℃で18時間培養した試験菌体をリン酸緩衝液(1/
15M,pH=7.2)に浮遊させ108Cells/mの懸濁液
を調製し、これを希釈して試験に供した。
(ii)Aspergillus niger菌液の調製−ポテトデキストロ
ース寒天斜面培地を用いて25℃で7日間培養した試験
菌の分生子を滅菌0.05%ポリソリベート80を加えた生
理食塩水に浮遊させて107cells/mの懸濁液を調製
し、これを希釈して試験に供した。
(iii)スプレー法による試験−前述のように調製された
小試験片(50×50mm;厚さ1.5mm)の片面の表面に
菌液を一定量噴霧してから35℃で小試験片は所定時間
保存された。測定は小試験片上の菌液を洗い出し、この
洗い出し液について菌数の測定が行われた。
(iv)培地−Escherichia coli:Mueller Hinton2(BB
L); Aspergillus niger:Sabouraud Dex
trose Agar(BBL) (V)菌株−Escherichia coli IFO−12734;Aspergil
lus niger IFO−31125 抗菌性の評価試験の結果を表−2および表3に記載し
た。本発明にかかわる抗菌性を保持した吸水性シート検
体(実施例−1および2)は、表記のように、腐敗関連
菌Escherichia coliに対して、何れも優れた殺菌力を示
している。実施例−1の検体使用時、8時間経過時点の
生菌数は4.3×102個/枚であり、これは死滅率99.99
%以上に相当する。また実施例−2の検体使用時、8時
間経過では生菌数は2.9×102個/枚であり、これは死
滅率99.99%以上に相当する。両検体使用時は48時間
経過では、上記菌は完全に死滅している。一方比較例−
2の抗菌性ゼオライト(NaAgZnZ)を含有する検体使用
時には、8時間経過では、前記の生菌数は2.2×103
/枚であり、48時間の経過では菌は完全に死滅してい
る。表−2に示した実施例−1および比較例−2の検体
使用時の菌数の経時変化を比較すれば、前者の方が後者
の検体よりも、抗菌力がより優れていることが分る。な
お抗菌剤を含有しない検体(比較例−1)は前記に菌に
対して抗菌力を示していない。
次に真菌としてAspergillus nogerを用いた試験結果
は、表−3に示した。実施例−1および2の検体使用時
には、8時間経過時の上記菌の死滅率は何れも99%以
上であり、また48時間の経過では何れの検体使用時も
殆んどの菌は死滅しており、死滅率は何れも99.9%以上
である。一方比較例−2の検体使用時は、上記菌の死滅
率は実施例−1のそれに比較して劣る(表−2の実施例
−1と比較例−2の検体使用時の菌数の経時変化参
照)。一方、抗菌剤を含有しない比較例−1の検体はAs
pergillus nigerに対して全く抗菌力を発揮していな
い。
実施例−1および比較例−2の検体ではシート中に含有
される銀や亜鉛の抗菌金属の含有量はほぼ同じであるに
かかわらず、表−2および表−3に記載したような抗菌
力の差異が両検体で見られるのは、抗菌性組成物ならび
に抗菌性ゼオライトの根本的な構造、抗菌金属の分布状
態が殺菌金属イオンの孔内拡散速度の差異にもとづくと
考えられる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリカゲルの表面に、殺菌作用を有する金
    属イオンを保持するアルミノ珪酸塩の皮膜を有する抗菌
    性組成物及び成形可能な高吸水性樹脂を含む抗菌性吸水
    性成形体。
  2. 【請求項2】抗菌性組成物が少なくとも0.3cm3/gの細
    孔容積と少なくとも100m2/gの比表面積を有すること
    を特徴とする請求項第1項記載の抗菌性吸水性成形体。
  3. 【請求項3】抗菌性組成物が殺菌作用を有する金属イオ
    ンを、無水の抗菌性組成物の表面積100m当り、少
    なくとも0.003ミリモル有することを特徴とする請求項
    1または2に記載の抗菌性吸水性成形体。
  4. 【請求項4】抗菌性組成物が有する殺菌性を有する金属
    イオンが銀,銅,亜鉛,および錫からなる群より選ばれ
    た1種または2種以上の金属イオンであることを特徴と
    する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の抗菌性吸
    水性成形体。
  5. 【請求項5】抗菌性組成物を、抗菌性吸水性成形体全体
    に対して、0.01〜60重量%含むことを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれか1項記載の抗菌性吸水性成形体。
  6. 【請求項6】シリカゲルの表面に殺菌作用を有する金属
    イオンを含むアルミノ珪酸塩の皮膜を有することを特徴
    とする抗菌性組成物、成形可能な樹脂および高吸水性樹
    脂を含む、抗菌性吸水性成形体。
  7. 【請求項7】抗菌性組成物が少なくとも0.3cm3/gの細
    孔容積と少なくとも100m2/gの比表面積を有すること
    を特徴とする請求項第6項記載の抗菌性吸水性成形体。
  8. 【請求項8】抗菌性組成物が殺菌作用を有する金属イオ
    ンを、無水の抗菌性組成物の表面積100m当り、少
    なくとも0.003ミリモル有することを特徴とする請求項
    6又は7に記載の抗菌性吸水性成形体。
  9. 【請求項9】抗菌性組成物が有する殺菌性を有する金属
    イオンが銀,銅,亜鉛,および錫からなる群より選ばれ
    た1種または2種以上の金属イオンであることを特徴と
    する請求項6ないし8のいずれかに記載の抗菌性吸水性
    成形体。
  10. 【請求項10】抗菌性組成物を、抗菌性吸水性成形体全
    体に対して、0.01〜60重量%含むことを特徴とする請求
    項6ないし9のいずれか1項記載の抗菌性吸水性成形
    体。
  11. 【請求項11】高吸水性樹脂の含有量が成形体全重量
    (乾燥基準)の1〜85重量%である請求項6ないし10
    のいずれか1項に記載の抗菌性吸水性成形体。
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