JPH04275370A - 抗菌性樹脂組成物 - Google Patents

抗菌性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH04275370A
JPH04275370A JP5782391A JP5782391A JPH04275370A JP H04275370 A JPH04275370 A JP H04275370A JP 5782391 A JP5782391 A JP 5782391A JP 5782391 A JP5782391 A JP 5782391A JP H04275370 A JPH04275370 A JP H04275370A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial
resin
compound
ion
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5782391A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2890871B2 (ja
Inventor
Koji Sugiura
晃治 杉浦
Hidetake Inoue
井上 英武
Satoshi Maekawa
諭 前川
Hideki Kato
秀樹 加藤
Takuya Omura
卓也 大村
Hiroki Koma
寛紀 高麗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP5782391A priority Critical patent/JP2890871B2/ja
Publication of JPH04275370A publication Critical patent/JPH04275370A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2890871B2 publication Critical patent/JP2890871B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性を示す特定のリン
酸塩系化合物と樹脂からなる樹脂組成物に関する。更に
詳しくは加工時、保存時及び使用時に経時的に劣化が極
めて少なく安定して抗菌効果を示す抗菌性樹脂組成物に
関するものであり、防かび、防藻及び抗菌性を必要とさ
れる繊維製品、プラスチック製品及びゴム製品として使
用することが可能なものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ある物体の表面上で細菌やかび
等が繁殖する場合、物体が置かれた環境には水分が多量
に存在することが多く、ときには結露状態等、水分が液
体状態で、ある物体と接触していることがある。また、
特に食品用容器の場合にそうであるように、樹脂成形品
の安全性を評価するために、樹脂成形品を酸性液体と接
触させたときに、樹脂成形品から有害な成分が溶出する
か否かが検査される。従って、抗菌性樹脂組成物の加工
品を種々の用途に用いようとすると、抗菌性樹脂組成物
と液体状の水又は酸性液体とを接触しても、抗菌性成分
が溶出しないことが要求される。
【0003】従来から無機系の抗菌剤として、銀や銅等
の抗菌性を示す金属を活性炭、アパタイト、ゼオライト
等に担持させたものが知られている。これらは有機系の
抗菌剤と比較して安全性が高いうえ、揮発及び分解しな
いため抗菌効果の持続性が長く、しかも耐熱性にすぐれ
る特徴を有している。そのため、これらの抗菌剤と各種
高分子化合物とを混合することにより抗菌性樹脂組成物
とし、これを用いて繊維状、フィルム状又はペレット状
等に加工し、各種用途に用いられている。
【0004】しかし、活性炭を担体とした抗菌剤は、抗
菌剤自体が黒色であるため、各種高分子と混合して得ら
れる抗菌性樹脂組成物は着色してしまうという外観上の
問題があり、また液体と接触させると抗菌性成分が容易
に溶出してしまい、抗菌効果を長時間持続させるこうが
できないという問題がある。また、アパタイト及びゼオ
ライトを担体とした抗菌剤は、活性炭を担体とした抗菌
剤に比較して、中性液体と接触させた場合における抗菌
性成分の溶出が比較的少なく、抗菌効果を長時間持続さ
せ得る点においては優れているが、これらの抗菌剤はい
ずれも、耐酸性が低く、PH4程度の希酸性水溶液中で
容易に骨格構造が破壊され、抗菌性金属を溶出してしま
うことから、抗菌効果を長時間持続させることが困難で
あり、また安全上の問題もある他、各種高分子と混合す
ると、その後の保存時又は使用時に変色し、樹脂の劣化
を引き起こすという問題がある。
【0005】ゼオライトを担体とした抗菌剤においては
、変色を防止する目的で、抗菌性成分である銀と変色防
止成分であるアンモニア又はアミンをイオン交換により
担持させた抗菌剤が開発されているが(特開昭64−2
4860)、完全には変色が防止されておらず、またこ
の抗菌剤と樹脂からなる樹脂組成物を加熱加工しようと
すると、アンモニアが放出されるために樹脂が発泡し、
樹脂組成物の加工性が低下するという問題があり、根本
的な問題の解決には至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗菌剤と樹
脂からなる樹脂組成物であって、この樹脂成形品を、水
分が多量に存在する環境下で使用したり、或いは液体状
態にある水と接触したりした場合においても、また、酸
性液体と接触したりした場合においても、樹脂成形品か
ら抗菌性成分が溶出せず、抗菌効果を長時間持続させる
ことができるものを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、銀、銅、亜鉛、
錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒
素、アンチモン、ビスマス、バリウム、カドミウム及び
クロムイオンの抗菌性を示す金属イオン(以下、抗菌性
金属イオンという)を有する特定のリン酸塩系化合物と
樹脂からなる抗菌性樹脂組成物が、極めて安定に抗菌性
金属イオンを保持し、長時間防かび及び抗菌性を発揮す
ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本
発明は、下記一般式〔1〕で示される化合物と樹脂から
なる抗菌性樹脂組成物に関するものである。 M1aAbM2c(PO4)d・nH2O      
    〔1〕(M1は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、
鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン
、ビスマス、バリウム、カドミウムまたはクロムから選
ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、Aはアルカ
リ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウム
イオンまたは水素イオンから選ばれる少なくとも1種の
イオンであり、M2は4価金属であり、nは0≦n≦6
を満たす数であり、a及びbはいずれも正数であり、c
及びdはla+mb=1の時、c=2、d=3、la+
mb=2の時、c=1、d=2である。但し、lはM1
の価数であり、mはAの価数である。)
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。 ○リン酸塩系化合物 本発明に用いる化合物は、下記一般式〔1〕で示される
化合物である。 M1aAbM2c(PO4)d・nH2O      
      〔1〕(M1は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、
鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、アンチ
モン、ビスマス、バリウム、カドミウムまたはクロムか
ら選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、Aはア
ルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニ
ウムイオンまたは水素イオンから選ばれる少なくとも1
種のイオンであり、M2は4価金属であり、nは0≦n
≦6を満たす数であり、a及びbはいずれも正数であり
、c及びdはla+mb=1の時、c=2、d=3、l
a+mb=2の時、c=1、d=2である。但し、lは
M1の価数であり、mはAの価数である。)
【0009】上記一般式〔1〕で示される化合物は、l
a+mb=1の時、c=2、d=3の各係数を有する、
アモルファス又は空間群R3cに属する結晶性化合物で
あり、各構成イオンが3次元網目状構造を作る化合物を
表し、la+mb=2の時、c=1、d=2の各係数を
有する、アモルファス又は各構成イオンが層状構造を作
る化合物を表す。本発明に用いるリン酸塩系化合物とし
ては、日光に暴露したときの変色が少ないことから、l
a+mb=1及びc=2、d=3の各係数を有する、ア
モルファス又は3次元網目状構造を有する結晶性化合物
が好ましい。
【0010】上記一般式〔1〕におけるM1は、いずれ
も防かび、抗菌性及び防藻性を示す金属として知られた
ものであり、これらの中で銀は、安全性の他、防かび、
抗菌性及び防藻性を高めることができる金属として特に
有効である。
【0011】上記一般式〔1〕におけるAは、アルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイ
オンまたは水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイ
オンであり、好ましい具体例には、リチウム、ナトリウ
ム及びカリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム
又はカルシウム等のアルカリ土類金属イオンまたは水素
イオンがあり、これらの中では、化合物の安定性及び安
価に入手できる点から、リチウム、ナトリウム、アンモ
ニウムイオン及び水素イオンが好ましいイオンである。
【0012】上記一般式〔1〕におけるM2は、4価金
属であり、好ましい具体例には、ジルコニウム、チタン
又は錫があり、化合物の安全性を考慮すると、ジルコニ
ウム及びチタンは、特に好ましい4価金属である。
【0013】上記一般式〔1〕のリン酸塩系化合物の具
体例として、以下のものがある。 Ag0.005Li0.995Zr2(PO4)3Ag
0.01(NH4)0.99Zr2(PO4)3Ag0
.05Na0.95Zr2(PO4)3Ag0.2K0
.8Ti2(PO4)3Ag0.1H0.9Zr2(P
O4)3及び化合物1モル当たりの銀イオンの電荷量と
同じ電荷量になるようにしながら、上記各式におけるA
gをZn、Mn、Ni、Pb、Hg、Sn、またはCu
と置換した化合物、 Ag0.001Li1.999Zr(PO4)2Ag0
.01Na1.99Zr(PO4)2Ag0.01K1
.99Sn(PO4)2・1.2H2OAg0.1(N
H4)1.9Ti(PO4)2・4H2OAg0.02
H1.98Zr(PO4)2・1.7H2O及び化合物
1モル当たりの銀イオンの電荷量と同じ電荷量になるよ
うにしながら、上記各式におけるAgをZn、Mn、N
i、Pb、Hg、Sn、またはCuと置換した化合物。
【0014】本発明に用いるリン酸塩系化合物を合成す
る方法には、焼成法、湿式法及び水熱法等があり、例え
ば以下のようにして容易に得ることができる。 ・網目状構造リン酸塩の合成 焼成法により合成する場合、炭酸リチウム(Li2CO
3)又は炭酸ナトリウム(Na2CO3)等のアルカリ
金属を含有する化合物、酸化ジルコニウム(ZrO2)
等のジルコニウムを含有する化合物及びリン酸二水素ア
ンモニウム(NH4H2PO4)等のリン酸基を含有す
る化合物を、モル比で約1:4:6となるように混合し
、これを1100〜1400℃で焼成することにより、
一般式〔2〕 A’ x Zr2(PO4)3           
               〔2〕(A’ はアル
カリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモ
ニウムイオンから選ばれる少なくとも1種の金属イオで
あり、xはA’ が1価であるときは1であり、Aが2
価であるときは1/2である)で示される化合物を得る
。これを、室温〜100 ℃において、適当な濃度で銀
イオンを含有する水溶液中に浸漬することにより、一般
式〔1〕で示される化合物を得る。なお、一般式〔1〕
におけるAイオンが水素イオンである化合物は、上記一
般式〔2〕で表される化合物を、室温〜100 ℃にお
ける硝酸、硫酸及び塩酸等の無機酸水溶液中に浸漬する
ことにより、一般式H(1−z)A’ zM2(PO4
)3 (zは0又は1未満の数)で示される化合物〔3
〕を得、更にこれを適当な濃度で銀イオンを含有する水
溶液中に浸漬することにより、一般式〔1〕で示される
化合物を得る。また、湿式法により合成する場合、オキ
シ硝酸ジルコニウム及び硝酸ナトリウムの水溶液を撹拌
しながら、この中にシュウ酸を加え、さらにリン酸を加
える。苛性ソーダ水溶液にて反応液のpHを3.5に調
整し、78時間加熱還流後、沈澱物を濾過、水洗、乾燥
、粉砕し、網目状リン酸ジルコニウム[NaZr2(P
O4)3]を得る。これを適当な濃度で抗菌性金属を含
有する水溶液中に浸漬することにより、一般式〔1〕で
示される化合物を得る。
【0015】・層状構造リン酸塩の合成濃厚なリン酸水
溶液中に、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化チタン
或いはオキシ塩化スズ等のジルコニウム、チタン或いは
スズ等の4価金属を構成元素とするオキシ塩化物を添加
し、24時間加熱還流後、沈澱物を濾過、水洗、乾燥、
粉砕し、リン酸ジルコニウム〔Zr(HPO4)2・H
2O〕等のリン酸塩を得、これをアルカリ金属等の硝酸
塩水溶液に添加し、撹拌、水洗、乾燥及び粉砕すること
により、一般式〔4〕 A2xZr(PO4)2・nH2O        〔
4〕(A、x及びnは上記と同じ意味である)で示され
る化合物を得る。これを適当な濃度で抗菌性金属を含有
する水溶液中に浸漬することにより、一般式〔1〕で示
される化合物を得る。
【0016】なお、一般式〔1〕におけるaの値は、上
記一般式〔2〕、〔3〕又は〔4〕で表される化合物を
浸漬する水溶液における抗菌性金属イオンの濃度、及び
その水溶液に一般式〔2〕、〔3〕又は〔4〕で表され
る化合物を浸漬する時間又は温度等を調整することによ
り、必要とする特性及び使用条件等に応じて、適宜調整
することができる。
【0017】防かび、抗菌性及び防藻性を発揮させるに
は、一般式〔1〕におけるaの値は大きい方がよいが、
aの値が0.001以上であれば、充分に防かび、抗菌
性及び防藻性を発揮させることができる。しかし、aの
値が0.001未満であると、防かび、抗菌性及び防藻
性を長時間発揮させることが困難となる恐れがあるので
、aの値を0.01以上の値とすることが好ましい。 又、経済性を考慮すると、aの値は0.5以下が適当で
ある。
【0018】本発明で用いるリン酸塩は熱及び光の暴露
に対して安定であり、500℃、場合によっては800
℃〜1100℃での加熱後であつても構造及び組成が全
く変化せず、紫外線の照射によっても何等変色を起こさ
ない。又、本発明で用いるリン酸塩は、液体状態にある
水と接触したり、酸性溶液中でも骨格構造の変化がみら
れない。従って、各種成型加工物を得る際の加工及び保
存、さらには従来の抗菌剤のように、使用時において、
加熱温度あるいは遮光条件等の制約を受けることがない
【0019】本発明において用いる樹脂は、天然樹脂、
半合成樹脂及び合成樹脂のいずれであってもよく、また
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。 具体的な樹脂としては、プラスチック、繊維及びゴムの
いずれであってもよく、例えばポリエチレン、ポリプロ
ピレン、塩化ビニル、ABS樹脂、ナイロン、ポリエス
テル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリスチレン
、ポリアセタール、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、
フッ素樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステル
エラストマー、メラミン樹脂、ユリア樹脂、四ふっ化エ
チレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、
ウレタン樹脂及びフェノール樹脂等のプラスチック;ナ
イロン、ポリエチレン、レーヨン、アセテート、アクリ
ル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、キュプラ
、トリアセテート、ビニリデン等の繊維;天然ゴム及び
シリコーンゴム、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)
、CR(クロロプレンゴム)、EPM(エチレン・プロ
ピレンゴム)、FPM(フッ素ゴム)、NBR(ニトリ
ルゴム)、CSM(クロルスルホン化ポリエチレンゴム
)、BR(ブタジエンゴム)、IR(合成天然ゴム)、
IIR(ブチルゴム)、ウレタンゴム及びアクリルゴム
等の合成ゴムがある。
【0020】本発明の抗菌性樹脂組成物は、上記一般式
〔1〕で表されるリン酸塩系化合物と上記樹脂を、用い
る樹脂の特性に合わせて適当な温度又は圧力で加熱及び
加圧又は減圧しながら混合、混入又は混練りの方法によ
って容易に調製することができ、それらの具体的操作は
常法により行えば良く、種々の形態に成形することがで
きる。
【0021】抗菌剤の好ましい配合割合は、抗菌性樹脂
組成物100重量部(以下、単に部という)当たり0.
05〜50部であり、抗菌効果及び経済性を考慮すると
より好ましくは0.5〜10部である。
【0022】この様にして得られた本発明の抗菌性樹脂
組成物は、その成分である抗菌剤が化学的および物理的
に優れた安定性を有しているため、酸性溶液中でも抗菌
性金属イオンを溶出せず、吸湿性も有していないため極
めて加工性に優れる。その上、抗菌剤と樹脂との混合時
、及びその後の抗菌性樹脂組成物の保存時又は使用時に
劣化することがなく、厳しい環境下においても長期間防
かび、抗菌性及び防藻性を有する。
【0023】本発明の抗菌性樹脂組成物は、防かび、防
藻及び抗菌性を必要とする種々の分野で利用することが
でき、特に水分が多量に存在する環境下で使用する用途
に有効である。具体的用途しては、例えばプラスチック
製品では食品用容器、まな板、冷蔵庫、医療器具、各種
包材、ブラシ類及び水周り品等;繊維製品ではシーツ、
タオル、おしぼり、マスク、靴下及び手袋等;ゴム製品
では各種チューブ、パッキン及びベルト等がある。
【0024】以下、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明する。
【実施例】まず、抗菌剤の原料となるリン酸塩(上記一
般式〔2〕又は〔4〕に相当する化合物)を合成した。
【0025】参考例1(網目状リン酸塩の調製)炭酸リ
チウム、酸化ジルコニウム及びリン酸二水素アンモニウ
ムを、モル比で1:4:6になるように仕込み、充分に
混合した後、1300℃で焼成し、LiZr2(PO4
)3の組成式を有する化合物を得た。さらに、粉末状で
得たLiZr2(PO4)3を硝酸ナトリウム又は硝酸
アンモニウムの濃厚な水溶液に添加し、撹拌、水洗、乾
燥及び粉砕することにより、NaZr2(PO4)3及
びNH4Zr2(PO4)3を得た。又、酸化ジルコニ
ウムに代えて酸化チタンを使用した以外は上記と同様に
してLiTi2(PO4)3の組成式を有する化合物を
得た。
【0026】参考例2(層状リン酸塩の調製)濃厚なリ
ン酸塩水溶液中にオキシ塩化ジルコニウムを添加し、2
4時間加熱還流後、沈澱物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し
、リン酸ジルコニウムH2Zr(PO4)2・H2Oを
得た。
【0027】参考例3(抗菌剤の調製)上記参考例1及
び参考例2で調製した各種リン酸塩の粉末を、種々の濃
度を有する、抗菌性金属の硝酸塩水溶液に添加し、室温
で10時間撹拌した。その後、これらのスラリーを濾過
した後、純水で充分水洗した。さらに、110℃にて一
晩加熱乾燥することにより、目的とする抗菌剤を得た。 なお、ゼオライトについては、銀とアンモニアを共存さ
せてイオン交換させたものも調製した。
【0028】比較参考例1(抗菌性ハイドロキシアパタ
イト及び抗菌性ゼオライトの調製)ハイドロキシアパタ
イト〔Ca10(PO4 )6 (OH)2 〕又はA
型ゼオライト〔組成:0.94Na2O・Al2O3・
1.92SiO2・xH2O* 〕を、硝酸銀単独又は
硝酸銀と硝酸アンモニウムの水溶液に添加し、室温で1
0時間撹拌した後、充分に水洗し、110℃で乾燥する
ことにより抗菌性ハイドロキシアパタイト及び抗菌性ゼ
オライトを得た。上記の方法で調製した抗菌剤を表1に
示した。
【0029】
【表1】 注)サンプルNO. 1〜5は、参考例3により得たも
のであり、サンプル6〜8は、比較参考例1により得た
ものであり、サンプルNO. 9は、サンプルNO. 
1の原料であり、抗菌性金属の硝酸水溶液に浸漬してい
ないリン酸ジルコニウム塩である。
【0030】実施例1(抗菌性樹脂組成物の調製)参考
例3及び比較参考例1にて調製した各種抗菌剤を、各々
三井石油化学工業株式会社製高密度ポリエチレンパウダ
ー(商品名ハイゼックス1300JP)に対し5wt%
混合し、ラボプラストミルを用いて各種抗菌性ペレット
を作製した。このペレット及びハイゼックス1300J
を加えて抗菌剤含有量を1wt%に希釈したものを、名
機製作所株式会社製M−50AII−DMを用いて20
0℃で射出成形し、11cm×11cm×2mmの抗菌
性プレートを作成した。また、抗菌剤を含有しないハイ
ゼックス1300Jのみも同様に射出成形し、ブランク
とした。
【0031】実施例2(抗菌性試験)実施例1で作製し
た各種抗菌性プレートの抗菌力は、以下の方法により評
価した。被検菌には大腸菌を用い、抗菌性プレートの5
cm×5cm当りの菌数が104〜105個となるよう
に菌液を表面に一様に接種し、37℃で保存した。保存
開始から0時間後(理論添加菌数)及び24時間保存し
た後に、菌数測定用培地(SCDLP液体培地)で供試
品片上の生残菌を洗い出し、この洗液を試験液とした。 この試験液について、菌数測定用培地を用いる混釈平板
培養法(37℃2日間)により生菌数を測定して、抗菌
性プレートの5cm×5cm当りの生菌数に換算した。 上記のようにして得られた抗菌性試験の結果を表2に示
した。なお、抗菌剤を含有せず、ハイゼックス1300
Jのみを射出成形したプレートの5cm×5cm当たり
の生菌数は、保存開始後0時間及び24時間後において
各々、1.2×105 及び6.7×104 であり、
菌液の生菌数は、保存開始後0時間後及び24時間後に
おいて各々、1.2×105 及び1.1×105 で
あった。
【0032】
【表2】
【0033】実施例3「耐候性試験」実施例1で作製し
た各種抗菌性プレートについて、東洋精機製作所株式会
社製耐候性試験機UC−1を用いて耐候性を測定した。 UC−1の試験条件は1サイクルが2時間であり、60
℃で350nm以下の紫外線を照射する1時間の工程と
40℃で湿度95%以上の雰囲気に放置する1時間の工
程からなる。日本電色工業株式会社製色彩色差計SZ−
Σ80を用いて、耐候性試験の0、5及び20サイクル
後の色彩(L,a,b)を測定し、この色彩と、抗菌剤
を含有していないブランクのプレートを成形した直後の
色彩とを比較することにより色差△Eを求めた。各種抗
菌性プレートについて、成形直後(0サイクル)と耐候
試験5及び20サイクル後の色差を表3に示した。なお
、ブランクプレートの耐候性試験の結果、色差は0サイ
クル、5サイクル及び20サイクル後において、各々0
、0.8及び1.9であった。
【0034】
【表3】
【0035】実施例4(溶出試験)実施例1にて作製し
た各種抗菌性ペレット(抗菌剤5wt%含有)50gを
pH2、3及び4の硝酸水溶液100ccに10時間浸
漬後、濾別し、濾液中に溶出した抗菌性成分を原子吸光
光度計にて測定した。上記のようにして得た溶出試験の
結果を表4に示した。
【0036】
【表4】 注)NDは検出限界以下であることを示す。
【0037】実施例5(耐酸性試験)実施例1で作製し
た抗菌剤を5wt%含有する抗菌性ポリエチレンプレー
トをPH3.5の酢酸水溶液中に6時間浸漬後、よく水
洗し抗菌力を評価した。抗菌力の評価は実施例2と同様
にして行い、その結果を表5に示した。なお、菌液につ
いては、作用時間0時間後及び24時間後において、各
々1.7×105 及び1.0×105 であった。
【0038】
【表5】
【0039】
【発明の効果】本発明の抗菌性樹脂組成物は、これを用
いて成形した樹脂成形品を、水分が多量に存在する環境
下で使用したり、或いは液体状態にある水と接触したり
した場合においても、また、酸性液体と接触したりした
場合においても、樹脂成形品から抗菌性成分が溶出せず
、抗菌効果を長時間持続させることができる材料として
極めて有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  下記一般式〔1〕で示される化合物と
    樹脂からなる抗菌性樹脂組成物。 M1aAbM2c(PO4)d・nH2O      
        〔1〕(M1は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、
    鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン
    、ビスマス、バリウム、カドミウムまたはクロムから選
    ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、Aはアルカ
    リ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウム
    イオンまたは水素イオンから選ばれる少なくとも1種の
    イオンであり、M2は4価金属であり、nは0≦n≦6
    を満たす数であり、a及びbはいずれも正数であり、c
    及びdはla+mb=1の時、c=2、d=3、la+
    mb=2の時、c=1、d=2である。但し、lはM1
    の価数であり、mはAの価数である。)
JP5782391A 1991-02-28 1991-02-28 抗菌性樹脂組成物 Expired - Fee Related JP2890871B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5782391A JP2890871B2 (ja) 1991-02-28 1991-02-28 抗菌性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5782391A JP2890871B2 (ja) 1991-02-28 1991-02-28 抗菌性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04275370A true JPH04275370A (ja) 1992-09-30
JP2890871B2 JP2890871B2 (ja) 1999-05-17

Family

ID=13066646

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5782391A Expired - Fee Related JP2890871B2 (ja) 1991-02-28 1991-02-28 抗菌性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2890871B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05162227A (ja) * 1991-12-18 1993-06-29 Mitsui Toatsu Chem Inc 反射体
JPH06287324A (ja) * 1993-03-31 1994-10-11 Okamoto Ind Inc 食品包装用塩化ビニルストレッチフィルム
KR20120028913A (ko) 2009-05-21 2012-03-23 도아고세이가부시키가이샤 은계 무기 항균제 및 그 제조 방법, 및 항균 가공제품
US8231883B2 (en) 2009-05-15 2012-07-31 Toagosei Co., Ltd. Silver-based inorganic antimicrobial agent and method for preparing the same
CN109320966A (zh) * 2018-10-16 2019-02-12 湖北赞博信息科技股份有限公司 一种抗菌能力强的医疗橡胶材料及其制备方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05162227A (ja) * 1991-12-18 1993-06-29 Mitsui Toatsu Chem Inc 反射体
JPH06287324A (ja) * 1993-03-31 1994-10-11 Okamoto Ind Inc 食品包装用塩化ビニルストレッチフィルム
JP2520361B2 (ja) * 1993-03-31 1996-07-31 オカモト株式会社 食品包装用塩化ビニルストレッチフィルム
US8231883B2 (en) 2009-05-15 2012-07-31 Toagosei Co., Ltd. Silver-based inorganic antimicrobial agent and method for preparing the same
KR20120028913A (ko) 2009-05-21 2012-03-23 도아고세이가부시키가이샤 은계 무기 항균제 및 그 제조 방법, 및 항균 가공제품
US8313780B2 (en) 2009-05-21 2012-11-20 Toagosei Co., Ltd. Silver-based inorganic antimicrobial agent, method for preparing the same and antimicrobial product
CN109320966A (zh) * 2018-10-16 2019-02-12 湖北赞博信息科技股份有限公司 一种抗菌能力强的医疗橡胶材料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2890871B2 (ja) 1999-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101000069B1 (ko) 항균성 제올라이트 및 항균성 수지 조성물
JP3448896B2 (ja) 抗菌剤の製造方法
CA2578282C (en) Antimicrobial zeolite and antimicrobial composition
US20060182812A1 (en) Antibacterial compositions and antibacterial products
CA2592567C (en) Antibacterial zeolite particles and antibacterial resin composition
JP3371460B2 (ja) 抗菌剤及び抗菌性樹脂組成物
JPH04275370A (ja) 抗菌性樹脂組成物
JPH06212019A (ja) 抗菌性樹脂組成物
JPH11246212A (ja) 抗菌性ゼオライト
JPH11246213A (ja) 抗菌性組成物
JPH0625561A (ja) 抗菌性粉体塗料組成物
JP3084340B2 (ja) 抗菌剤組成物
JP2985028B2 (ja) 抗菌・抗菌カビ性リン酸亜鉛組成物
JPH06340514A (ja) 表面処理された抗菌剤
JPH0753770A (ja) 抗菌性熱可塑性樹脂成形体の製造方法
JP3460348B2 (ja) 抗菌性ポリオレフィン樹脂組成物
JPH0559308A (ja) 抗菌性塗料組成物
JP2963133B2 (ja) 抗菌性アパタイト
JP3541507B2 (ja) 抗菌性ポリオレフィン樹脂組成物
JPH04273803A (ja) 抗菌剤
JP3264040B2 (ja) 抗菌剤
JPH09176370A (ja) 抗菌性樹脂組成物
JP2524893B2 (ja) 抗菌・抗カビ性リン酸複塩、及び、その製造方法
JP3918170B2 (ja) 抗菌性樹脂組成物
JPH08231324A (ja) 抗菌性組成物およびその配合物

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080226

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090226

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100226

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100226

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100226

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110226

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110226

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110226

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees