JPH09103238A - 乾燥野菜の製造方法 - Google Patents

乾燥野菜の製造方法

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JPH09103238A
JPH09103238A JP18788996A JP18788996A JPH09103238A JP H09103238 A JPH09103238 A JP H09103238A JP 18788996 A JP18788996 A JP 18788996A JP 18788996 A JP18788996 A JP 18788996A JP H09103238 A JPH09103238 A JP H09103238A
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vegetable
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drying
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JP18788996A
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Jebakumari Subramaniam Persis
パーシス・ジバクマリ・サブラマニアム
Cunningham Mutter Dea Iain
アイアン・カニンガム・マター・デアー
Sylvia Anna Jons
シルビア・アンナ・ジョーンズ
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Unilever Bestfoods North America
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 復元後でも、テクスチャー、風味及び色等の
点で優れた特性を有することができる乾燥野菜を提供す
ること。 【解決手段】 野菜を下ごしらえし、下ごしらえした野
菜を所定の温度下にしばらくの間保持することによって
ペクチンメチルエステラーゼを活性化し、次いでブラン
チング及び乾燥することからなる乾燥野菜の製造方法で
あって、上記乾燥工程が、大気圧より低い所定の圧力下
にマイクロ波輻射にさらすことを含む方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、乾燥野菜の製造方
法、それによって得られる乾燥野菜材料、及びこの乾燥
野菜材料を含む、水で復元可能な乾燥食品に関する。
【0002】
【従来の技術】乾燥野菜は、スープ等の食品、及びしば
しば乾燥されたサイコロ状の形の他の加工食品に広く使
用されている。乾燥野菜に伴う主な問題は、復元した時
に、これらがしばしばつぶれて収縮したままであること
であり、これによって、新鮮なまたは最小限の程度で加
工された野菜のテクスチャー品質と比較すると、劣った
食品になってしまう。乾燥中に生じるこの非可逆的な収
縮は、細胞膜構造がつぶれてしまうことに起因する。
【0003】ペクチンは、野菜の細胞膜の主成分の一つ
であり、それゆえこれは野菜及び野菜片の構造的な統合
性及び強度に関して重要な要素の一つである。天然のペ
クチンは、一般的に、高メトキシル構造であり、その結
果、中性pH条件の下に加熱した際に分解しやすい。この
ような分解は調理中に起こり、そして加熱加工した際に
野菜のテクスチャーが不所望に軟化してしまうことの主
な原因である。野菜片の強制空気乾燥の間に、水分が除
去され、それによって膨圧が開放されそして細胞膜構造
がつぶれてしまう。材料の水分含有量が非常に高い場合
または細胞膜構造が弱い場合は、この細胞膜構造のつぶ
れは非可逆的になる可能性がある。このような場合、復
元したとしても、細胞間のスペースに水が吸収されるだ
けであり、乾燥材料の劣った復元性及び復元した際に貧
弱なテクスチャーを生ずる。
【0004】野菜は、細胞膜中にペクチンメチルエステ
ラーゼ(PME )を含む。この内因性酵素は、特定のpH及
びイオン強度条件下の穏和な熱処理によって活性化さ
れ、そして活性化されると、天然ペクチンの脱メトキシ
ル化を生ずる。生じる脱メトキシル化されたペクチン
は、中性pH下に加熱した際の分解現象に対しより安定で
あり、そしてカルシウムイオンの存在下により効率的に
架橋する構造を有する。これらの両方の要因が細胞膜構
造を強化し、そして野菜中のPME 酵素を活性化すること
によって前処理すると、凍結及び缶詰した後に改善され
たテクスチャーが得られることがわかっている。
【0005】ヨーロッパ特許出願公開第0337621 号は、
乾燥する前に、10〜70%炭水化物溶液中に浸漬(infus
e)することによって、果実の色及び風味を安定させる
ことを含む、乾燥果実の製造方法を開示している。ヨー
ロッパ特許出願公開第0404543 号も、炭水化物水溶液中
に浸漬することを含む、乾燥果実の製造方法を開示して
いる。この特許公開公報は、脱気を行う前に酵素を脱活
し並びに果実を軟化させる条件下に果実を浸漬すべきこ
とを教示している。
【0006】1995年7月19日にヨーロッパ特許出願公開
第0663152 号として公開された本出願人に関連する特許
出願は、乾燥野菜に関して、復元した際の改善されたテ
クスチャー品質が、ブランチング(blanching )及び乾
燥する前に野菜を予備加熱して内因性PME を活性化する
ことによって得ることができるという発見に基づいてい
る。この効果は、ペクチンが脱メトキシル化されること
による、細胞膜構造の保護の結果であると考えられる。
【0007】
【発明の構成】本発明者らは、上記のPME を活性化する
前処理をマイクロ波- 減圧乾燥技術と組み合わせて使用
することにより、改善された乾燥野菜を得ることができ
ることを見出した。この乾燥野菜は、そのテクスチャー
及び風味の点で良好な特性を持ち、及び前処理を空気乾
燥方法(すなわち、大気圧下で乾燥を行う方法)または
マイクロ波を用いない他の技術と組み合わせて行った場
合に得られる乾燥野菜よりも、高い復元性を有する。
【0008】それゆえ、本発明は、野菜を下ごしらえ
し、下ごしらえした野菜を所定の温度でしばらくの間保
持してペクチンメチルエステラーゼ(PME )を活性化
し、次いでブランチング及び乾燥することからなる乾燥
野菜の製造方法であって、上記乾燥工程が、大気圧より
低い圧力下でのマイクロ波輻射に付すことを含む上記方
法を提供する。更に本発明は、この方法によって得るこ
とのできる乾燥野菜材料、及びこの乾燥野菜材料を含
む、水性液で復元可能な乾燥食品、及びこうして復元さ
れた食品を提供する。
【0009】本願明細書中で使用される“野菜”という
用語は、植物起源の全ての食用材料、例えば根(root)ま
たは塊根(tuber) 、葉、種、茎及び実を包含するもので
ある。使用する野菜は、一つの素材から選ばれたものま
たは混合物であってもよく、そして好ましくは根または
塊根、茎または実である。好ましくは、使用する野菜は
PME を含むものであるが、但しPME がもともと含まれて
いないかまたは少量でしか含まれていない場合は、野菜
を、例えば減圧浸漬(vacuum infusion)等の手段によっ
て外因性のPME で処理することができる。適当な野菜と
しては、人参、トマト、ジャガイモ、セロリ、ししとう
がらし(bell pepper )(グリーン及びレッドの両
方)、苺及び林檎が含まれる。
【0010】内因性PME の活性化は、一般的に、野菜材
料を高温下に保持することによって行われる。pH条件、
温度範囲及び活性化するために材料を保持する時間範囲
は、使用する野菜によって変化し、そしてそれぞれの特
定の場合において要求される最適の条件を、その野菜中
のPME 活性を促進させるための最適条件が知られている
場合はそれに従い決定してもよい。これらの条件及びこ
れらを決定するための方法は、当業者ならば容易に知る
ことができる。一般的に、野菜片を、水または所定の物
質の水溶液中に、6〜8のpH及び45〜70℃の温度で10〜
60分間保持する。人参、ししとうがらし、セロリ、ジャ
ガイモ及びトマトの最適条件は、それぞれ、40分間約60
℃、30分間約60℃、15分間約60℃、30分間約60℃及び15
分間約50℃である。外因性のPME の活性を増大させるた
めに適した条件は、もちろん、酵素の起源及び性質に依
存する。
【0011】本発明で使用される野菜は、野菜全体かま
たはこれの一部であってもよく、当業界で非常によく知
られた慣用の方法で下ごしらえ(prepare )する。野菜
を、それの最終的な用途に合わせた種々な大きさに切る
ことによって処理してもよい。好ましくは、野菜を、5
〜15mmの寸法を有するサイコロ状にする。典型的には、
新鮮な野菜を洗い、皮をむきそしてサイコロ状にするこ
とによって野菜を下ごしらえすることができる。
【0012】本発明の好ましい態様においては、一種ま
たはそれ以上の炭水化物20〜70重量%及び必要に応じて
5.0 重量%までの量のカルシウム塩(例えば0.5 〜5.0
重量%)からなる水性浸漬溶液で野菜を浸漬(infusio
n)する。この浸漬操作は、保持処理の前、その最中あ
るいは後に行うことができるが、好ましくは、保持処理
の後にあるいは浸漬溶液中で保持処理を行うことによっ
て保持処理の最中に行う。浸漬処理は浸透現象による脱
水を引き起こすので乾燥を助長する。この浸漬段階が、
乾燥工程中のつぶれ現象に対する細胞膜構造の強化に貢
献することも本発明者等は見出した。炭水化物は好まし
くはモノサッカライドまたはジサッカライドである。な
ぜならばこれらは比較的低い分子量を有するために野菜
組織に容易に浸入(infusion)するという点で好ましい
からである。最も好ましい炭水化物は、グルコース、ス
クロース、フルクトース及びこれらの混合物である。浸
漬溶液において0.5 〜5.0 %の塩溶液を与えるのに十分
に高い溶解性を持つあらゆる食用カルシウム塩を本発明
において使用することができる。適当な塩には、塩化カ
ルシウム、乳酸カルシウム及びこれらの混合物が含まれ
る。この浸漬溶液は、浸透現象による脱水を促進する塩
化ナトリウム等の他の物質(10%まで)、及び本発明の
性能に影響を与えない他の風味料または防腐剤を含んで
いてもよい。この浸漬溶液は外因性PME を含んでいても
よい。
【0013】野菜の浸漬は周囲圧力下に行うことができ
るが、減圧下に行うこともできる。本発明で使用できる
この種の減圧浸漬法は、当業者にはよく知られた方法で
ある。好ましくは、減圧浸漬法は、浸漬溶液中で野菜材
料を1.33〜5.33kPa (10〜40mmHg)の減圧に1〜10分間
の間付すことによって行われる。典型的な減圧浸漬法
は、浸漬溶液中に野菜材料を保持し、20mmHgの減圧を5
分間適用し、減圧状態をゆっくりと開放しそして更に5
分間保持することを含む。
【0014】処理された野菜材料のブランチングは、標
準の商業的処理法によって行うことができ、これは乾燥
食品の品質を劣化させるものとして知られている酵素を
失活させるために乾燥操作の前に行われる。適当なブラ
ンチング処理は、野菜材料を約100 ℃の水または水溶液
(例えば希炭酸水素ナトリウム溶液)中に1〜5分間浸
すことを含む。好ましくは、ブランチングは浸漬溶液中
で行う。当業者ならば、あらゆる場合に適したブランチ
ング条件を決定することができる。
【0015】処理された野菜は、ブランチングした後
に、大気圧より低い圧力下にマイクロ波の輻射にさらす
ことによって乾燥する。マイクロ波/ 減圧乾燥段階を行
うのに適した適当な方法、装置及び条件は当業者に周知
のものを使用する。本発明で使用するのに適した方法及
び装置は、例えば米国特許第4746968 号に記載されてい
る。条件は、もちろん、乾燥するべき野菜及びこの野菜
がどのように処理されたかに依存する。例えば、野菜に
炭水化物を浸入させた場合は、マイクロ波乾燥条件は、
生成物が褐色化してしまうのを避けるためにまたはその
程度を低減させるために改変する必要がある場合があ
る。好ましくは、減圧は1〜5kPa に維持されるが、こ
れは、マイクロ波源の電力、乾燥に要する時間、使用し
た野菜及びブランチングの前に経過した前処理によって
はこの範囲の外側に変化し得る。
【0016】本発明の好ましい態様においては、ブラン
チングした野菜を、マイクロ波/ 減圧乾燥技術を用いて
乾燥する前に、空気乾燥する(すなわち、大気圧下に乾
燥する)。通常、この空気乾燥処理は、マイクロ波/ 減
圧乾燥した試料のテクスチャーを改善することはない。
しかし、部分的な空気乾燥は、単独で使用したマイクロ
波/ 減圧乾燥と同レベルの品質を(但しより低コスト
で)与え得ることがわかった。好ましくは、空気乾燥
は、ブランチングした後の水分含有量の40〜90%の水分
を空気乾燥した野菜が含むように行う。40%未満まで空
気乾燥すると、マイクロ波/ 減圧乾燥段階の利点を損な
う恐れがあり、一方90%を超えると、経済的またはテク
スチャーの面での利点が僅かなものにしかならない。
【0017】マイクロ波/ 減圧乾燥段階は、野菜を“パ
フィング(puffing )”する傾向があり、その結果、復
元した際に食品の構造に損失が見られる恐れがある。マ
イクロ波/ 減圧乾燥技術と、PME の活性化を含む前処理
とを組み合わせることによって、復元した食品のテクス
チャーが改善される。テクスチャーは、空気乾燥とマイ
クロ波/ 減圧乾燥との組み合わせである乾燥段階を用い
ることによって更に改変することができる。なぜなら
ば、これによって材料の“パフィング”の量を減らすこ
とができるからである。それゆえ、食品に所望の性質を
与えるために、本発明方法は、マイクロ波/ 減圧乾燥に
対して空気乾燥の割合を変えることによって容易に操作
できるということは評価されよう。空気乾燥は、慣用の
方法、好ましくは高温下(例えば130 ℃まで、特に100
℃まで)に行うことができる。
【0018】
【実施例】以下の実施例は本発明をより詳細に説明する
ものである。実施例で使用する材料及び方法 1. 試料下ごしらえ ジャガイモ─── ジャガイモ(アイダホラセット(Id
aho Russett ))の皮をむき次いで機械でサイコロ状に
し10mm- 立方形にするかあるいは切断して25mm×38mmの
大きさの試料片にした。 人参 ─── 既に皮がむいてあるベビーキャロッ
トを機械でサイコロ状にし10mm- 立方形にした。 セロリ ─── セロリスティックの頭部と底部を切
り離しそしてこのスティックを人手で切って約10mmの試
料片にした。 グリーン/ ─── ししとうがらしのがくと種を取り除
き、そして人手で切ってレッドペッパー 約10mm×10
mmの試料片にした。 トマト ─── 硬いレッドトマトを機械でスライス
し10mm- スライスにし、次いでこれを人手で切って10mm
×10mmの試料片にした。 2. ブランチング ブランチングは、75L のステンレススチール製蒸気ジャ
ケット容器中で行った。温度は100 ℃にしそしてブラン
チング時間は以下のように設定した: ジャガイモ(10mm立方形)───4分 ジャガイモ(25mm×38mm試料片)───8分 人参(10mm立方形)───4分 グリーン/ レッドペッパー(10mm×10mm試料片)───
2分 セロリ(10mm×10mm試料片)───4分 トマト(10mm×10mm試料片)───1分 前処理を行う時は、ブランチングは、保持処理に使用し
たのと同じ溶液中で行った。比較試料は水中でブランチ
ングした。 3. 保持処理 保持処理は、前処理溶液中に試料を含むプラスチック製
保持容器の周りに、温度制御水浴から水を循環させるこ
とによって行った。温度制御は、保持処理の間+/- 2℃
であった。 4. 減圧浸漬 減圧浸漬は、パイロットスケールのマイクロ波/ 減圧装
置(“MIVAC ”)中で行った(但し、これは通常の減圧
容器中でも同様に行うことができる)。
【0019】試料を、プラスチック容器内の処理溶液中
に保持した。この工程には、2.66kPa (20torr)の減圧
を付与し、試料片から空気を除去するために減圧状態を
ゆっくりと開放して試料片に処理溶液が浸入するように
し、次いで同じ溶液中で10分間保持することが含まれ
る。 5. 空気乾燥 試料の部分的な空気乾燥は、MIVAC 乾燥の前に行った。
空気乾燥は、標準流速(10.2m/s )に設定したパイロッ
トスケールのドライヤー(Proctor )中で行った。材料
転換ベルト(product conversion belt) は、一定速度に
維持して、全ての試験に75分間の乾燥時間が与えられる
ようにした。但し、空気の温度は、野菜片の大きさによ
って変えた。 6. マイクロ波/ 減圧乾燥 試料のマイクロ波- 減圧乾燥のためにはパイロットスケ
ールのMIVAC 装置を使用した。この装置は、マイクロ波
電力供給源及びマグネトロン、導波管、窓、マイクロ波
制御、ターンテーブルを備えた減圧容器、バキュームポ
ンプ及びバキューム制御、及びシステム制御装置及び計
測装置から構成される。
【0020】多くの場合、重さ0.91kgと1.82kg(2及び
4lb )のバッチを乾燥した。使用した変数は電力レベ
ル、暴露時間及び試料温度である。減圧は、全ての試験
に対し2.66kPa (20torr)に一定に維持した。 7. 調理試験 大きいジャガイモ片(25mm)を、電気的に加熱した家庭
用平なべを用いて5分間沸騰水中に置いた。この試料
を、金色帯び褐色になるまで熱油中で約3〜4分間浅く
フライ揚げ(shallow fry )した。 8. 水含有量 水含有量測定のために、様々な工程段階において最小限
の反復試料を取り出した。水含有量は、減圧オーブン乾
燥法により70℃において測定した。秤量した試料を、重
量が一定になるまで一晩乾燥した。 9. 復元試験 10mmサイズの試料片約2〜4g 及び25-38mm サイズの試
験片約5〜10g をこの試験に使用した。復元比(復元し
た試料の重量/ 乾燥試料の重量)を以下の条件下に測定
した。 (a) 沸騰水で5分間(10mm試料片) (b) 冷蔵庫の中で冷水中に一晩浸ける(大きなジャガイ
モ片だけ) 10. 官能評価 全ての試料の官能品質を一人の熟練した評価人によって
略式に評価した。評価した属性は、外観(色、収縮)、
風味(オフ- フレーバーも含む)及びテクスチャー(必
要に応じて、硬さ(firmness)、クランチネス(crunchine
ss)、ミーリネス(mealiness) 等)であった。実施例1 10mm立方形のジャガイモを、2%乳酸カルシウム溶液中
で60℃の温度下に30分間保持することによって前処理し
た。同じ溶液中で減圧浸漬を行い、これの後にブランチ
ングした。次いで、この前処理したジャガイモキューブ
を93.3℃で75分間空気乾燥した(前処理した後の80.71
%の水含有量を59.18 %に減らした)。空気乾燥した試
料(この時点の重量は1830g )を、MIVAC 装置中で3000
W の電力を使って73.9℃の温度下で66分間乾燥した。
【0021】この乾燥試料は1.83の復元比を有すること
がわかり、そして復元した際に、クランチーで僅かに弾
力のあるテクスチャーを示し、これは前処理が食品の硬
さを改善したことを示す。実施例2 実施例1を繰り返すが、但しスクロース30%及び塩化ナ
トリウム5%を含む前処理溶液を使用し、かつ減圧浸漬
段階は採用しなかった。前処理後の水含有量は55.65 %
であり、空気乾燥した後には24.84 %に、MIVAC 乾燥し
た後には5.37%に減少した。
【0022】この乾燥試料は、実施例1のよりも良好な
外観を有し(恐らく乳酸カルシウムを用いなかったから
と思われる)、オレンジ/ 黄色の色を呈しそして乾燥後
ごく僅かではあるがつぶれた様相を示した。この乾燥試
料は、1.64の復元比を有し、そして復元した際に、良好
な明るい色と、マッシュポテトと似た柔らかいミーリー
(mealy )テクスチャーを有する食品を与えた。風味も
良く、ローストしたジャガイモのそれと似ていた。復元
したこの試料は、実施例1で得られたものよりもより満
足できるものと評価された。実施例3 前処理を採用することによる効果を25mmジャガイモ片を
用いて評価した。最初の試料は水中でブランチングし、
そして二つ目の試料は、30%スクロース/ 5%塩化ナト
リウム溶液中に60℃の温度下に30分間保持し、それに次
いで同じ溶液中でブランチングすることによって本発明
に従い前処理した。
【0023】この二つの試料の一部を121 ℃において75
分間空気乾燥し1800g 重量にし、次いでMIVAC 乾燥に付
して、3000W の電力を用い73.9℃の温度下に48分間(比
較試料)及び27分間(本発明に従い前処理されたもの)
処理した。比較試料とは異なり、前処理した試料は良好
な色を有し、収縮を示さず、かつ空気乾燥の後に表面に
固い皮を形成することもなかった。
【0024】この試料を冷水中に一晩漬けて復元して、
その復元比を測ったところそれぞれ2.33(比較試料)及
び2.04(前処理した試料)であった。この復元した試料
の官能品質を、(i) 水中で10分間沸騰させそして(ii)熱
油中で3〜5分間浅くフライ揚げした後に評価した。沸
騰後及びフライ後に、前処理した試料は、比較試料より
もより良いテクスチャー(ミーリー及び滑らかさ(smoo
th))及び風味を有することがわかった。実施例4 10mm立方形の人参を、脱イオン水中で60℃の温度下に40
分間保持し、60%グルコース/ 1%乳酸カルシウム溶液
を減圧浸漬しそして同じ溶液中でブランチングすること
によって前処理した。
【0025】この前処理した人参を93.3℃で75分間空気
乾燥し、それに次いでこの空気乾燥した試料1800g を7
3.9℃において75分間MIVAC 乾燥(3000W )した。空気
乾燥後のこの試料の水含有量は78.8%であり、そしてMI
VAC 乾燥後は7.84%であった。この試料はわずかに収縮
を示した。この乾燥した試料は5分後に完全に復元し、
そして1.78の復元比を有していた。復元した試料はクラ
ンチーなテクスチャー及び良好な風味を有していた。実施例5 実施例4を繰り返すが、但し60%スクロース/ 5%塩化
ナトリウムの溶液中で60℃の温度下に40分間保持しそし
て同じ溶液中でブランチングする前処理方法を採用し
た。
【0026】この試料の水含有量は、空気乾燥後では5
5.69 %であり、MIVAC 乾燥後では4.67%であった。こ
こでもまた、乾燥した際に僅かな収縮が見られた。これ
を復元して得られる試料は良好なテクスチャーを有する
が、実施例4の復元試料ほど硬くはなく、また僅かに改
善された色を有しそして調理人参の好ましい風味を示し
た。実施例6 10mmのセロリ片を、脱イオン水中で60℃の温度下に30分
間保持し、60%グルコース/ 1%乳酸カルシウムの溶液
で減圧浸漬し、次いで同じ溶液中でブランチングするこ
とによって前処理した。
【0027】この前処理した試料を93.3℃の温度で75分
間空気乾燥し、そしてこの空気乾燥した試料1800g を30
00W 及び73.9℃で71分間MIVAC 乾燥した。この乾燥した
試料はオリーブグリーン様の色を有しそして乾燥する前
に有していた形状を保持していた。この乾燥試料は1.43
の復元比を有し、そして復元すると、好ましい風味と共
に多肉質(fleshy)でクランチーなテクスチャーを示し
た。実施例7 実施例6を繰り返すが、但しセロリ片を、30%スクロー
ス/ 4%塩化ナトリウム溶液中に60℃の温度下に30分間
保持しそして同じ溶液中でブランチングすることによっ
て前処理した。
【0028】この乾燥試料は、対応する実施例6のもの
と比較すると、より良好な色を有するが、僅かながらよ
り収縮していた。その復元比は1.96でありそして復元し
た試料は実施例6のものよりもより良好な風味さえ有
し、なおクランチーで多肉質であるが、ごく僅か劣った
テクスチャーを示した。実施例8 10mmのグリーン及びレッドペッパー片を用いて実施例7
の手順を繰り返し、この際、ブランチング操作の前に減
圧浸漬操作を行う場合と行わない場合の二通りの方法を
行った。
【0029】乾燥した試料は、沸騰水中で5分後に完全
に復元し、この際復元比は約2.0 であった。全ての場合
において、復元した試料は、良好な色と風味、多肉質的
な外観を有し、そして僅かにクランキーなテクスチャー
も示した。実施例9 実施例7を10mmのトマト片を用いて繰り返すが、この際
ブランチング操作の前に減圧浸漬段階を採用した。MIVA
C 乾燥段階において、900gの試料を、1600W 及び62.8℃
において48分間乾燥した。水含有量は、空気乾燥の後で
は75.24 %に、MIVAC 乾燥の後では5.53%に減少した。
【0030】復元した試料は2.84の復元比を有し、沸騰
水中で5分後に完全に復元しそしてこの復元した試料
は、柔らかい外観及び多肉質的なテクスチャー及び良好
な風味を有していた。実施例10 10mm- 立方形の人参を以下のように前処理した:試料 前処理方法 比較 脱イオン水中で100 ℃で4分間ブランチングした; 試料1 試料を減圧浸漬し、次いで溶液8リットル中の乳酸カルシウム 及びPME 1g 中に60℃で40分間保持し、そして1%乳酸カルシ ウム中で4分間ブランチングした; 試料2 試料1の場合と同様に行うが、但しPME は添加しなかった: 前処理した人参試料60g を実験室スケールのマイクロ波
/ 減圧オーブン中で600Wの電力レベルで乾燥した。
【0031】5分間沸騰水中に浸すことによって復元す
ると、比較試料は、柔らかなテクスチャー、2.58の復元
比及び極僅かな風味を示した。試料2は、同じような風
味及び2.50の復元比を示したが、比較試料と比べるとよ
り硬いテクスチャーを有していた。試料1は復元比は2.
27でありそして試料2と比べるとより硬い外層を有し
た。実施例11 10mmのグリーンペッパー片を以下のように前処理した:試料 前処理方法 比較 脱イオン水中で100 ℃で2分間ブランチングした; 試料1 試料を減圧浸漬し、次いで溶液8リットル中の乳酸カルシウム 及びPME 1g 中に60℃で20分間保持し、次いで1%乳酸カルシ ウム中で2分間ブランチングした; 試料2 試料1の場合と同様に行うが、但し60℃で40分間保持した; 試料3 試料2の場合と同様に行うが、但しPME は添加しなかった: この前処理した試料を実施例10と同じように乾燥した。
【0032】復元した比較試料は非常に柔らかで湿った
感じの(soggy)テクスチャーを有した。試料1は比較試
料よりも僅かに硬かったが、しかしそれは特に意味をな
すものではなかった。試料2は試料1及び3よりも硬か
った。試料3は比較試料よりも硬かったが、試料2ほど
は硬くなかった。復元比は以下に示す通りであった:試料 復元比 比較 2.13 試料1 2.39 試料2 1.89 試料3 1.90 実施例10及び11は、PME が浸入した試料が、PME なしで
前処理された試料と比較して僅かに硬いテクスチャーを
有し得ることを示す。これは、PME の浸入が、MIVAC-乾
燥試料のテクスチャーを改善することができることを示
している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アイアン・カニンガム・マター・デアー イギリス国、ジィー・ユー1・4デー・エ フ、サリー、ギルフオード、ヨーク・ロー ド、40 (72)発明者 シルビア・アンナ・ジョーンズ イギリス国、エス・ダブリユ19・7 ジエ イ・ゼット、ロンドン、アレクサンドラ・ ロード、17

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 野菜を下ごしらえし、下ごしらえした野
    菜を所定の温度下にしばらくの間保持してペクチンメチ
    ルエステラーゼを活性化し、次いでブランチング及び乾
    燥することからなる乾燥野菜の製造方法であって、乾燥
    工程が、大気圧より低い所定の圧力下にマイクロ波輻射
    にさらすことを含む上記方法。
  2. 【請求項2】 保持処理の前、その間または後に、一種
    またはそれ以上の炭水化物20〜70%からなる水性浸漬溶
    液中に、下ごしらえした野菜を浸漬する工程を更に含む
    請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 下ごしらえした野菜を45〜70℃の温度下
    に10〜60分間保持する請求項1または2の方法。
  4. 【請求項4】 浸漬溶液が5.0 %までのカルシウム塩を
    含む請求項2または3の方法。
  5. 【請求項5】 浸漬溶液が10%までの塩化ナトリウムを
    含む請求項2〜4のいずれか一つの方法。
  6. 【請求項6】 炭水化物が、グルコース、スクロース及
    びフルクトースから選択される請求項2〜5のいずれか
    一つの方法。
  7. 【請求項7】 カルシウム塩が、塩化カルシウム、乳酸
    カルシウムまたはこれらの混合物である請求項4〜6の
    いずれか一つの方法。
  8. 【請求項8】 保持処理を水性浸漬溶液中で行って、下
    ごしらえした野菜の浸漬処理を少なくとも部分的に達成
    させる請求項2〜7のいずれか一つの方法。
  9. 【請求項9】 保持処理を水中で行い、それに次いで浸
    漬段階を行う請求項2〜7のいずれか一つの方法。
  10. 【請求項10】 保持処理の前または後に、浸漬操作を
    減圧浸漬法によって行う請求項2〜9のいずれか一つの
    方法。
  11. 【請求項11】 野菜が、人参、セロリ、ししとうがら
    し、トマトまたはジャガイモである請求項1〜10のいず
    れか一つの方法。
  12. 【請求項12】 下ごしらえした野菜を、保持処理の前
    に、外因性ペクチンメチルエステラーゼの添加下に浸漬
    する請求項1〜11のいずれか一つの方法。
  13. 【請求項13】 乾燥段階が、空気乾燥、及びそれに続
    く、大気圧より低い圧力下でのマイクロ波輻射にさらす
    ことからなる請求項1〜12のいずれか一つの方法。
  14. 【請求項14】 マイクロ波/ 減圧乾燥の前に、野菜を
    それらの元の水含有量の40〜90%の水含有量を有するよ
    うになるまで空気乾燥する請求項13の方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれか一つの方法に
    よって得ることができる乾燥野菜材料。
  16. 【請求項16】 請求項15の乾燥野菜材料を含む、水性
    液で復元可能な乾燥食品。
  17. 【請求項17】 復元された形の請求項15の乾燥野菜材
    料を含む食物。
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