JPH0899013A - シート状脱酸素剤及びその製造方法 - Google Patents

シート状脱酸素剤及びその製造方法

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JPH0899013A
JPH0899013A JP7198650A JP19865095A JPH0899013A JP H0899013 A JPH0899013 A JP H0899013A JP 7198650 A JP7198650 A JP 7198650A JP 19865095 A JP19865095 A JP 19865095A JP H0899013 A JPH0899013 A JP H0899013A
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昌輝 長田
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太 中谷
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裕一 藤井
Hideyuki Takahashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断面における脱酸素樹脂シートの露出の問
題を解決し、脱酸素剤の染みだしがなく、安全衛生性に
優れ、かつ酸素吸収性能に優れたものとし、生産性に優
れ商用生産に適したシート状脱酸素剤及びその製造法を
提供する。 【解決手段】 熱融着性樹脂層を持つ通気性包材を熱融
着性樹脂層側が脱酸素樹脂シートの片面に面するように
配し、かつ、熱融着性樹脂層を持つ通気性または非通気
性包材を熱融着性樹脂層側が脱酸素樹脂シートの他面に
面するように配してなる積層体を、超音波により所望の
形状に溶断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシート状脱酸素剤及
びその製造法に関し、詳しくは、脱酸素樹脂シートにプ
ラスチックフィルム又はシート主体の包材を積層し超音
波溶断により所望の形状に切断してなるシート状脱酸素
剤及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】脱酸素剤は、酸化による劣化、カビの発
生、好気性菌発生の防止等の効果があるところから、特
に加工食品の保存等に有効に利用されている。現在市販
されている脱酸素剤は、通常、粒状脱酸素剤が通気性の
小袋に収納された小袋入り脱酸素剤である。しかし、こ
の小袋入り脱酸素剤は、食品に混在すると食品と間違え
易く、食品と一緒に調理されたり誤食されたりする恐れ
があり、また小袋入り脱酸素剤が異物感を与える等の問
題がある。さらに、食品と共にガスバリヤー袋に包装す
る際、小袋の厚みが一定ではないために、包装袋に凹凸
が生じる等、商品包装上、美観の点で問題となる場合も
ある。
【0003】上記小袋入り脱酸素剤に対して、これとは
形態が異なり脱酸素組成物を熱可塑性樹脂に分散させて
シート化したシート状脱酸素剤が、種々提案されてい
る。例えば、特開昭55−44344号公報には脱酸素
組成物を熱可塑性樹脂にブレンドしたものをシート状に
成形したもの、特開昭56−26524号公報には脱酸
素剤組成物を発泡性樹脂にブレンドしシート化した後発
泡させたもの等が提案されている。しかし、上記公報に
よればシート状に形成された脱酸素剤は、その表面は通
気性包材等により被覆されているが、周辺の端面は特に
処理はされておらず、これら従来技術のものには、端面
が露出していることによるシート状脱酸素剤の染み出し
や食品との接触による汚染の恐れの問題がある。
【0004】また特開平2−72851号公報および特
開平2−86758号公報に、それぞれ、フィルム状脱
酸素剤およびシート状脱酸素剤が本出願人らより出願さ
れている。上記公報には、熱可塑性樹脂に脱酸素剤組成
物を含有する脱酸素シートの両面にこの脱酸素シートよ
り大きい被覆材料を積層し、周縁部では互いに重なり合
う被覆材料同志を接着シールして周縁の端面に脱酸素剤
組成物含有樹脂が露出しないようにし、完全に被覆包装
したものが記載されている。しかしながら、上記のよう
に脱酸素シートを完全に被覆包装しようとすると、製造
に際し、酸素シートおよび包材を、それぞれ別々に、サ
イズを変えて所望の形状に切断し、これらを積層して接
着なければならず、自由に形状を選ぶことができず形状
面の制約も多く、生産性に問題があり、また包材の所要
面積も大きくなりコスト的にも問題があった。また上記
特開平2−86758号公報には、脱酸素シートと被覆
材との積層シートの溶断により被覆することができるこ
とが記されている。しかし、通常の熱溶断では、単なる
切断で断面が完全に露出している物に較べれば、染みだ
しは少なくなるものの断面の完全な被覆は難しく、依然
として染みだしの問題が残る。さらに通常の熱溶断で
は、熱がフィルムの外側からかかるために溶断面にばり
が残るという問題もあり、熱溶断は必ずしも満足すべき
方法ではなかった。上記のように従来技術のシート状脱
酸素剤には、必ずしも満足すべきものはないというのが
現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解決して、シート化した脱酸素剤の
表面被覆、特に断面の被覆処理を完全なものとし、食品
への汚染や染み出しがなく安全であり、かつ、生産性が
良くしかもいろいろな形状のものが自由に生産できるシ
ート状脱酸素剤及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本出願人らは、従来技術
の課題に鑑み研究を重ねた結果、脱酸素樹脂シートに包
材同志が互いに熱融着することができる熱融着性樹脂層
を備えた包材を積層して超音波溶断することにより、問
題が解決できることを見出し本発明を完成した。すなわ
ち、本発明のシート状脱酸素剤は、脱酸素剤組成物を熱
可塑性樹脂(a)中に分散してなる脱酸素樹脂シート
(A)の片面に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層
(b)を有する単層又は多層の通気性包材(B)を該熱
融着性樹脂層(b)が面するように配し、かつ、脱酸素
樹脂シート(A)の他面に、少なくとも一面に熱融着性
樹脂層(c)を有する単層又は多層の通気性又は非通気
性包材(C)を該熱融着性樹脂層(c)が面するように
配してなる積層体を超音波溶断により所望の形状に切断
してなるシート状脱酸素剤である。さらに、本発明のシ
ート状脱酸素剤は、上記のシート状脱酸素剤において、
超音波溶断による切断部において脱酸素樹脂シート
(A)が実質的に露出していないことを特徴とするシー
ト状脱酸素剤である。また、本発明のシート状脱酸素剤
の製造方法は、脱酸素剤組成物を熱可塑性樹脂(a)中
に分散してなる脱酸素樹脂シート(A)の片面に、少な
くとも一面に熱融着性樹脂層(b)を有する単層又は多
層の通気性包材(B)を該熱融着性樹脂層(b)が面す
るように配し、かつ、脱酸素樹脂シート(A)の他面
に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(c)を有する単
層又は多層の通気性又は非通気性包材(C)を該熱融着
性樹脂層(c)が面するように配してなる積層体を、超
音波溶断により所望の形状に切断することを特徴とする
製造方法である。
【0007】本発明は、脱酸素樹脂シート(A)の両面
に、それぞれ、通気性の包材(B)の熱融着性樹脂層
(b)面および通気性又は非通気性の包材(C)の熱融
着性樹脂層(c)面を合わせてなるところの、包材
(B)/脱酸素樹脂シート(A)/包材(C)からなる
積層体を、超音波溶断により所望の形状に切断したもの
であり、切断した断面部においては、包材の熱融着性樹
脂層同志が熱融着して脱酸素樹脂シート(A)の端面が
実質的に露出していないことを特徴とするシート状脱酸
素剤及びその製造方法を提供するものである。ここで、
脱酸素樹脂シート(A)の端面が実質的に露出していな
いということは、超音波溶断に際し、必ずしも脱酸素樹
脂シート(A)の端面が完全に被覆されず、かりに断面
に脱酸素樹脂シートの残滓が微量残ったとしても、実用
に際して溶断部から脱酸素剤組成物の染み出しや脱酸素
樹脂シートとの接触による汚染等がなく、実用上全く問
題がなく、脱酸素樹脂シート(A)の端面が被覆されて
脱酸素樹脂シート(A)の端面の露出が全くない場合と
同等の効果を奏することを意味する。
【0008】上記3層の積層体を、通常の熱溶断法、例
えば、加熱ナイフエッジで溶断したのでは、その切断面
に脱酸素樹脂シート(A)の断面が残ってその端面が被
覆されないのに対して、上記のように超音波溶断するこ
とにより、容易にその切断面に脱酸素樹脂シート(A)
の端面の露出が実質的にないものとなる理由は、次の如
く説明される。上記積層体の溶断は、少なくとも一方が
刃型をなす超音波ホーン及び受け治具からなる切断具を
備えた超音波溶断装置が用いられるが、超音波ホーンか
ら超音波が発振されると、まず積層体内部の脱酸素樹脂
シート(A)が加熱されて熱可塑性樹脂(a)が軟化
し、同時に刃型が押しつけられ外側から圧迫されること
によって軟化した樹脂(a)が排除され、ナイフエッジ
の先端平面で圧迫されて直接包材(B)の樹脂層(b)
と包材(C)の樹脂層(c)とが熱融着し、最後にナイ
フエッジで圧断されると考えられる。このようにして溶
断部では、包材(B)と包材(C)同志が熱融着し合う
ことにより、脱酸素樹脂シート(A)の切断面の露出が
実質的にないものとなると考えられる。
【0009】超音波溶断に際し、シート状脱酸素剤の切
断部において、脱酸素樹脂シート(A)の端面が実質的
に露出していないものとするためには、前記本発明のシ
ート状脱酸素剤の構成において、熱融着性樹脂層(b)
及び熱融着性樹脂層(c)の軟化点が熱可塑性樹脂
(a)の軟化点に等しいか又はそれより高いことが好ま
しい。また、包材(B)と包材(C)の厚さの和が脱酸
素樹脂シート(A)の厚さの1/10以上、好ましくは
1/8以上であることが望ましい。また、超音波振動ホ
ーンまたは受け治具のどちらか少なくとも一方の先端部
は刃型をなすものである。該刃型の刃角は5度〜175
度であり、かつ刃型の先端部の幅は0.01〜3mmで
あり、刃型の先端部は実質的に平面をなしている必要が
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
本発明のシート状脱酸素剤を構成する脱酸素樹脂シート
(A)は、熱可塑性樹脂(a)中に脱酸素剤組成物を分
散しシート化してなるシート状樹脂であり、このもの自
体酸素吸収性能を有する。脱酸素樹脂シート(A)に配
される脱酸素剤組成物としては、熱可塑性樹脂中に分散
して酸素吸収能を発揮することができ、本発明の目的を
達成できるものであれば特に限定されない。例えば、公
知の脱酸素剤組成物を用いることができ、中でも、鉄
粉、第1塩鉄、アスコルビン酸およびその塩類、カテコ
ール等を主剤とするものが好ましく、鉄粉を主剤とする
ものが特に好適に用いられる。
【0011】熱可塑性樹脂(a)としては、上記脱酸素
性組成物を配合して酸素吸収能を発揮することができる
熱可塑性樹脂であれば、限定ことなく使用することがで
きる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルペン
テン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコー
ル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、
ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、酸素透
過性有する熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0012】脱酸素樹脂シート(A)として、例えば、
ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂に鉄系脱酸素剤
を混練してシート化したもの、さらにこのシートを延伸
することにより酸素吸収性能を向上させたもの(特開平
2−72851号公報に開示)等が、本発明においては
好適に使用される。
【0013】脱酸素樹脂シート(A)の厚さは、通常、
0.01〜5mmであり、上記の脱酸素性組成物の性状
や加工性に応じて上記の範囲で適宜選ぶことができる。
【0014】包材(B)は、単層でも多層でもよく、少
なくとも脱酸素樹脂シート(A)と接する側の面が熱融
着性樹脂層(b)からなる通気性包材である。該熱融着
性樹脂層(b)は、包材(C)の熱融着性樹脂層(c)
と互いに熱融着することができる必要があり、その軟化
点が熱可塑性樹脂(a)の軟化点にに等しいか又はそれ
より高いものが好ましい。また熱融着性樹脂層(b)は
脱酸素樹脂シート(A)とも熱融着可能な樹脂が好まし
い。熱融着性樹脂(b)として、公知の熱融着性樹脂、
例えば、各種ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合
体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレ
フィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニリデン系
樹脂、ポリアミド系樹脂等が適宜選ばれる。
【0015】包材(B)として、具体的には例えば、ポ
リエチレン系樹脂からなる不織布や微多孔膜および不織
布や微多孔膜に有孔フィルムを積層した通気性包材が用
いられ、これらは水を通し難い耐水性の通気性包材とし
て好適に用いられる。包材(B)に用いられる不織布と
しては、「タイベック」(デュポン製)、「ルクサー」
(旭化成製)等、また、微多孔膜としては、「ジュラガ
ード」(セラニーズ製)、「NFシート」(徳山曹達
製)、「ニトフロン」(日東電工製)等が例示される。
また包材(B)として、紙、シリコンゴムフィルム等を
基材としかつ熱融着可能な樹脂層(b)を備える通気性
の多層材料や通気孔を持たなくても樹脂自体が酸素透過
性の高い樹脂からなるプラスチックフィルム、例えばト
リメチルペンテンフィルムを構成要素とする通気性の複
合フィルム等が使用できる。
【0016】包材(C)は、少なくとも脱酸素樹脂シー
ト(A)と接する側の面が熱融着性樹脂層(c)からな
る通気性又は非通気性の包材であり、包材(C)は単層
であっても多層であってもよい。熱融着性樹脂層(c)
は、熱融着性樹脂層(b)と互いに熱融着が可能である
必要があり、その軟化点が熱可塑性樹脂(a)の軟化点
にに等しいか又はそれより高いものが好ましい。なお、
包材(C)が通気性包材である場合、包材(C)は上記
の通気性包材(B)に挙げたものが使用でき、包材
(C)と包材(B)とは同じものであってもよい。ま
た、熱融着性樹脂層(c)としては、前記熱可塑性樹脂
(b)に例示した公知の熱可塑性樹脂が適宜選ばれる。
【0017】包材(C)は、非通気性の場合、通常、熱
融着可能な樹脂からなるガスバリア性のプラスチックフ
ィルムが使用され、単体でも複合フィルムでもよい。ま
た、包材(C)は、脱酸素樹脂シート(A)に熱融着性
樹脂(c)のコーティングにより形成されたガスバリア
性フィルムであっても、またホットメルト接着剤層によ
り接着されたガスバリア性フィルムであってもよい。上
記の包材(C)また包材(B)は、脱酸素樹脂シート
(A)に面する側が熱融着性樹脂からなり、本発明の目
的を達成することができるものであれば、更めて熱融着
性樹脂層を設ける必要は必ずしもない。
【0018】包材(B)および包材(C)の厚さは、そ
れぞれ、通常、0.01〜5mmの範囲に適宜選ぶこと
ができるが、包材(B)と包材(C)の厚さの和は、脱
酸素樹脂シート(A)の厚さの1/10以上、好ましく
は1/8以上である必要がある。包材(B)および
(C)の厚さは、それぞれ、上記の厚さより薄くなる
と、超音波溶断に際し、溶断された端面が包材で被覆さ
れ難くなり、脱酸素樹脂シートが露出して脱酸素剤の染
み出しや脱酸素樹脂シートの接触による汚染の原因とな
る。
【0019】本発明においては、超音波溶断に際し、包
材(B)/脱酸素樹脂シート(A)/包材(C)からな
る積層体は、脱酸素樹脂シート(A)の両面に、それぞ
れ、包材(B)および(C)を熱融着性樹脂層が面する
ように単に重ね合わせただけの積層体であっても、また
は、脱酸素樹脂シート(A)と包材(B)および(C)
のいずれか1層又は2層とが予め熱ラミネート等により
接着処理した積層体であってもよい。脱酸素樹脂シート
(A)が重ね合わせで包材と固定されていない方が、超
音波溶断に際して、脱酸素樹脂シート(A)の溶断部が
包材に被覆され易く、より容易に脱酸素樹脂シート
(A)の端面の露出のないものとすることができる。さ
らに超音波溶断されるべき上記積層体は、各部材が熱溶
断可能なプラスチックスを主体にするものであるが、脱
酸素樹脂シート(A)、包材(B)および包材(C)の
各部材は、本発明の方法により切断できることができる
かぎり、プラスチックス以外の紙等の材料を含むことが
できる。
【0020】本発明における超音波溶断は、超音波を発
振する超音波ホーンおよび受け治具からなる切断機を備
えた超音波溶断装置を用いて行われる。この切断機の超
音波ホーンと受け治具との間に前記積層体を挟み、超音
波を発振して積層体を発熱させながら、応力をかけて溶
断する。超音波ホーンおよび受け治具は、少なくともど
ちらか一方の先端部は刃型をなしている。この刃型の形
状は、例えば、円型、四角型、星型等、切断しようとす
る所望の形状の刃型を選ぶことにより、シート状脱酸素
剤を所望の形状に切断することができる。
【0021】超音波ホーン又は受け治具の刃型の刃角
は、5〜175度、好ましくは15〜165度の範囲に
ある必要がある。刃型の刃角が鋭角でありすぎると、脱
酸素樹脂シートの溶断された端面に包材が十分被覆され
ず、脱酸素樹脂シート(A)が露出して染みだし等の問
題が起こる。また刃型の刃角が鈍角にすぎると、溶断し
ようとする部位以外にも超音波による振動が伝わって融
着が起こり、脱酸素剤シートの機能が低下したり、また
形状が歪んだものとなる。
【0022】さらに刃型は、ナイフエッジの先端部が
0.01〜3mm、好ましくは0.5〜2mmの幅で、
先端部は実質的に平面をなしている必要がある。刃型の
先端部の幅が上記より狭いと、超音波溶断に際し、ナイ
フエッジの先端部で包材(B)、(C)同志が直接接触
して圧される段階がなくなり、熱融着性樹脂(b)と
(c)との融着が起こることなく切断されてしまい、端
面に脱酸素樹脂シート(A)の切断面が残って汚染や染
みだしの問題が発生する。また刃型の先端部の平面部の
幅が上記の幅をこえて広くなりすぎると、溶断面にばり
等ができて外観が悪くなるだけでなく、溶断に大きな出
力を必要とし、また、溶断に時間がかかり生産性が低下
することになるので、好ましくない。
【0023】超音波溶断に際し、超音波の出力および周
波数は、溶断する積層体の材質や厚さ、切断速度に応じ
て、切断端面の被覆状況を勘案して適宜選ぶことがで
き、周波数は10〜70KHzの範囲に選ばれる。
【0024】次に、図面ににそって超音波溶断の実施例
を説明する。図1に示すように、超音波ホーン8は台形
であり、台上部の面上に置かれた包材(B)/脱酸素樹
脂シート(A)/包材(C)からなる積層体に向けて超
音波が下方から上方に発振される。受け治具9は円環状
で先端が刃型をなし、超音波ホーン8の台上部の面上を
上下に可動して切断の役割を果たす。溶断に際し、積層
体は、包材(B)、(C)いずれの側が刃型に面しても
よい。超音波溶断の様子は、図4の模式図に示すことが
できる。先ず図4−1の第1段階で、超音波ホーン8の
面上に置かれた上記積層体は、超音波の発振を受けて内
部から発熱し、熱可塑性樹脂(a)、熱融着性樹脂層
(b)及び(c)が軟化、熱融着する。この時、積層体
の内部の樹脂は、脱酸素樹脂シート(A)の熱可塑性樹
脂(a)から軟化するために、図4−2の段階で、受け
治具9が下降して刃型に押されると、溶断部では脱酸素
樹脂層(A)が左右に排除され、包材(B)の熱融着性
樹脂層(b)と包材(C)の熱融着性樹脂層(c)とが
圧着され熱融着し、最後に図4−3のごとく、ナイフエ
ッジの先端平面部で圧断される。超音波溶断は、複数個
1度に溶断することも、また、積層体または超音波溶断
機を平行移動し、所望の形状に順次溶断していくことも
可能である。また、これらの方法を組み合わせて行うこ
とも可能である。
【0025】
【実施例】実施例によりさらに詳細に説明するが、本発
明はこの実施例に限定されるものではない。 実施例1 脱酸素樹脂シートの製造:鉄粉(平均粒径70μm)に
塩化ナトリウムを被覆してなる鉄粉系脱酸素剤100重
量部とポリエチレン100重量部とを混合後190℃に
加熱溶融し、押出機によりシート状に製膜した。次い
で、このシートを50℃で縦方向に4倍延伸して、厚さ
0.5mmの高性能の脱酸素樹脂シートを得た。
【0026】シート状脱酸素剤の製造:上記脱酸素樹脂
シートの通気性包材および非通気性包材として、それぞ
れ、延伸ナイロン(15μm)/ポリエチレン(15μ
m)のフィルムに孔を開けた有孔フィルム(孔径0.8
mm、開孔率7%)と耐水性不織布「ルクサー」(旭化
成製)(約200μm)とを熱ラミネートした通気性シ
ート、および、ポリエチレンテレフタレート(15μ
m)/ポリエチレン(15μm)/エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(15μm)からなる非通気性フィルムを準
備した。上記通気性包材のルクサー面および非通気性包
材のエチレンビニルアセテート面が、それぞれ、上記脱
酸素樹脂シート面に合わさるようにして、通気性包材/
脱酸素樹脂シート/非通気性包材の順に重ね合わせ、こ
の重ね合わせた積層材を次のごとく超音波溶断機を用い
て所望の形状に次々に溶断し、シート状脱酸素剤を製造
した。
【0027】超音波溶断機(日本ヒューチャアー(株)
製造、出力;1.2KW)に取り付けた超音波振動ホー
ン(外径45mm)の上にリング状受け治具(刃角12
0度、刃型の外径40mm、先端部分0.1mm幅、)
を設け、超音波振動ホーンと受け治具との間に上記の重
ね合わせた積層材を挟み込み、受け治具に150kgの
力を加えると同時に、超音波(20KHz)を発振し、
0.2秒で積層材を円形に溶断して、シート状脱酸素剤
(40mmφ)を製造した。
【0028】蒸しケーキの保存テスト:上記のシート状
脱酸素剤(40mmφ)の上に蒸しケーキ(約50mm
φ)をのせ空気150mlと共にトリプルナイロン(オ
ザキ軽化学製)の袋に入れ、袋を密封した。このように
シート状脱酸素剤と共に蒸しケーキを密封した袋を25
℃下に保存し、保存容器内の臭気及び蒸しケーキの脱酸
素剤接触面の変化を観察した。蒸しケーキの保存テスト
の結果は表1に示した。
【0029】比較例1 実施例1に準備したのと同じ脱酸素剤樹脂シート、通気
性包材および非通気性包材を同様に通気性包材/脱酸素
樹脂シート/非通気性包材の順に重ね、120℃の熱ロ
ールにより熱ラミネートした。この積層シートをトムソ
ン刃(40mmφ)を取り付けた打抜き機で円形に打ち
抜いて、シート状脱酸素剤(40mmφ)を製造した。
上記シート状脱酸素剤を用い実施例1と同様な方法で蒸
しケーキの保存テストを行った。比較例1の結果を表1
に示した。
【0030】比較例2 比較例1に作成した同じ熱ラミネートした積層シート
を、次の方法ににより熱溶断した。実施例1に使用した
超音波溶断の受け治具と同様の形状のリング2個を20
0℃に熱し、加熱したこのリングを前記積層シートの上
下から押しつけて熱溶断してシート状脱酸素剤(40m
mφ)を製造した。上記シート状脱酸素剤を用い実施例
1と同様な方法で蒸しケーキの保存テストを行った。比
較例2の結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、脱酸素樹脂シートを通
気性プラスチックフィルムで被覆包装し超音波溶断する
ことにより、脱酸素樹脂シート断面の被覆処理を実質的
に完全なものとすることができる。このため、本発明シ
ート状脱酸素剤は、脱酸素剤の食品への汚染や染みだし
がなく安全衛生性に優れ、かつ、その優れた酸素吸収性
能を発揮することができる。しかも、製造に際し、その
形状はいろいろなものが自由に生産でき、シート状脱酸
素剤の生産性が高く、その製造方法は商用生産性に優れ
た方法となる。
【0033】また、本発明のシート状脱酸素剤は、従来
の小袋状の脱酸素剤で問題のあった、破袋による内容物
のこぼれ出しがなく、また、シート状であるために誤食
の心配もない。しかも、端面の染みだしの心配もなく食
品に接触しても安心して使用でき、そのシート状の形態
を利用して、食品の台紙、しおり等に用いることができ
る。その上、本発明によれば自由な形状に溶断できるた
め、好みの形状にして食品の飾り付けの一部としても使
用できる。このため、単に従来の小袋状脱酸素剤が与え
る異物感は排除できるだけでなく、商品価値を高める包
装材料の一つとしても利用できるものである。本発明は
酸化劣化防止、黴発生防止、好気性菌発生防止等の効果
がある脱酸素剤をシート状にして、包材と共に超音波に
より溶断することにより、容易に、生産性良く、自由な
形状で脱酸素剤包装を可能とするものである。特に、生
産性、経済性に優れた方法でシート状脱酸素剤の端面の
隠ぺい性を高め、安全衛生性を優れたものにしたことに
より、シート状の脱酸素剤の形状的な特性を充分に生か
した脱酸素剤を得ることを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 超音波溶断機により溶断されるシート状脱酸
素剤の断面図
【図2】 溶断されたシート状脱酸素剤の断面図
【図3】 刃型部分の断面図
【図4】 刃型部分が、図4−1→図4−2→図4−3
と下降することにより、シート状脱酸素剤が溶断される
状態を模式的に示す。
【符号の説明】
1 脱酸素樹脂シート(A) 2 通気性包材(B) 3 通気性または非通気性包材(C) 4 脱酸素樹脂シートと熱融着可能な樹脂層(b) 5 脱酸素樹脂シートと熱融着可能な樹脂層(c) 6 通気性フィルム 7 通気性または非通気性フィルム 8 超音波振動ホーン 9 受け治具 10 刃角 11 刃先の平面幅部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/18 G 9349−4F (72)発明者 高橋 秀之 東京都葛飾区新宿6丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱酸素剤組成物を熱可塑性樹脂(a)中
    に分散してなる脱酸素樹脂シート(A)の片面に、少な
    くとも一面に熱融着性樹脂層(b)を有する単層又は多
    層の通気性包材(B)を該熱融着性樹脂層(b)が面す
    るように配し、かつ、脱酸素樹脂シート(A)の他面
    に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(c)を有する単
    層又は多層の通気性又は非通気性包材(C)を該熱融着
    性樹脂層(c)が面するように配してなる積層体を超音
    波溶断により所望の形状に切断してなるシート状脱酸素
    剤。
  2. 【請求項2】 超音波溶断による切断部において脱酸素
    樹脂シート(A)が実質的に露出していないことを特徴
    とする請求項1記載のシート状脱酸素剤。
  3. 【請求項3】 脱酸素剤組成物を熱可塑性樹脂(a)中
    に分散してなる脱酸素樹脂シート(A)の片面に、少な
    くとも一面に熱融着性樹脂層(b)を有する単層又は多
    層の通気性包材(B)を該熱融着性樹脂層(b)が面す
    るように配し、かつ、脱酸素樹脂シート(A)の他面
    に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(c)を有する単
    層又は多層の通気性又は非通気性包材(C)を該熱融着
    性樹脂層(c)が面するように配してなる積層体を、超
    音波溶断により所望の形状に切断することを特徴とする
    シート状脱酸素剤の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014516247A (ja) * 2011-04-02 2014-07-10 ▲陽▼光▲凱▼迪新能源集▲団▼有限公司 発電所燃焼排ガスを使用する野菜及び/または藻類への熱および二酸化炭素の供給方法および装置
WO2019230928A1 (ja) * 2018-05-31 2019-12-05 小林製薬株式会社 貼付剤の製造方法
KR20220091750A (ko) * 2020-12-24 2022-07-01 주식회사 에스알아트 적층 필름의 초음파 절단 및 실링 장치 및 그 방법

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