JP3913554B2 - 包装シート、アルコール蒸散剤用包装袋および食品用包装袋 - Google Patents

包装シート、アルコール蒸散剤用包装袋および食品用包装袋 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装シート、アルコール蒸散剤用包装袋および食品用包装袋に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、生石灰、シリカゲル、塩化カルシウムあるいはこれらの混合物を主成分とする吸湿性材料の包装材料には、通気性を有するものが使用されていた。
前記の包装材料は、例えば、シート状の素材に孔があいたもの、いわゆる有孔素材、孔をあけずに透湿を実現する素材でできたもの、いわゆる無孔素材、さらに、有孔素材と無孔素材の複合したもの、のいずれかに分類される。
【0003】
有孔素材としては、紙に孔あきポリエチレンを積層した包装材料を用いた乾燥材用包装袋が提案されている(実公昭44−20879号公報)。
また、実公昭44−20879号公報の技術では、強度が問題となるため、ワリフなどの補強材を積層したものが提案されている(実開昭58−60435号公報)。
【0004】
さらに、無孔素材としては、紙や不織布などに、ビニルアセテート(酢酸ビニル)が例えば、5〜40質量%含有されているポリオレフィンフィルムをラミネートしたシート材料が例示されている(特開平5−229563号公報)。
【0005】
そして、有孔素材と無孔素材の複合したものとしては、2軸延伸フィルム(具体例は、延伸ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートを材料とする)と、印刷層と、熱可塑性樹脂層と、を積層し、細孔を開けた後、ワリフとビニルアセテート(酢酸ビニル)をラミネートしたシート材料が例示されている(特開平11ー227839号公報)。
【0006】
また、エタノール系のアルコール蒸散剤を用いた食品等の鮮度保持材の包材として、特定の通気性を有する紙に前述した有孔素材と無孔素材の複合体を積層したものが開示されている(特開平8−267672号公報等)。
【0007】
さらに、特定のエタノール透過度をもつフィルムとして、相対湿度50%、40℃でのエタノールガス透過度20cc/m2・24hourの樹脂フィルムを用いることが提案されており(特公昭59−30072号公報、特許2995341号等)、その具体例としてナイロン(15μm)/ポリエチレン(60μm)積層フィルム、低密度ポリエチレン(20μmおよび50μm)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(ビニルアセテート含有量7%、14%、および19%、厚み30μm)、三酢酸セルロース(38μm)等が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、有孔素材を用いる場合には、包装材料自体の強度の低下は否めず、実開昭58−60435号公報のような補強材が必要となる場合があり、補強材の積層はコストが高くなるという問題も発生する。また、繊維状の補強材がない部分は突き刺し強度が低くなる。
【0009】
無孔素材を用いる場合には、基本的に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル)を含有したものをラミネートしているが、耐熱性がなく、加熱によりラミネートができないので、ラミネート時の強度が弱くなる場合がある。
【0010】
有孔素材と無孔素材の複合したものを用いる場合には、紙を用いないので、強度の点では、向上しているが、複合化が煩雑になるという問題がある。
また、これらの包装材料をエタノール系のアルコール蒸散剤を用いた食品等の鮮度保持材として使用する場合には、食品と触れるため、油、水に対する耐性が要求されることから、耐油紙を用い、さらに撥水加工を実施せざるを得ないので、構造が複雑になるという問題がある。
【0011】
前述した特定のエタノール透過度をもつフィルムは、ほとんどが単層でヒートシール特性に劣るので、特に、自動充填製袋機を用いる場合に実用的でない。また、積層体としてナイロン(15μm)/ポリエチレン(60μm)積層フィルムの技術が提示されているが、フィルムとフィルムの積層体では、高い透湿性、高いエタノール透過性が発現しないという問題もある。
【0012】
本発明の目的は、高い透湿性、エタノール透過性を有し、かつ、突き刺し強度が高く、ヒートシール特性が良好である包装シート、アルコール蒸散剤用包装袋および食品用包装袋を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するために、本発明の包装シートは、実質的にナイロン樹脂のみからなるナイロン製フィルムと、ナイロンより融点の低い熱可塑性樹脂からなる不織布と、を積層した、アルコール蒸散剤用の包装シートであって、前記包装シートのエタノール透過度が、50cc/m2・24hour以上であり、かつ、前記不織布面同士をヒートシールした際の強度が、500g/15mm巾以上であることを特徴とする。
【0014】
本発明の包装シートは、アルコール蒸散剤用の包装シートである。ここで、アルコール蒸散剤とは、アルコールの微生物の増殖抑制や殺菌作用を利用した食品等の保存に用いられるものである。アルコール蒸散剤としては、活性炭、珪藻土、ケイ酸アルミニウム、シリカ等の吸着性粒状固体の表面に、アルコール若しくはアルコールを含む溶液を吸着させたもので公知(特許1571385号)のものを採用できる。特に、アモルファスシリカとエタノールの組合せが、安全性、アルコール保持と蒸散性の点において好適である。
また、ナイロン製フィルムは、その材料は特に制限はなく、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等、一般的なナイロン樹脂を採用できる。ナイロン製フィルムの製造方法としては、Tダイ法やインフレーション法等、公知の方法が採用できる。
【0015】
不織布は、ヒートシール性が出せる熱可塑性樹脂を用いた不織布が好適であり、融点がナイロンより低いことが必要である。具体的には、例えば、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂を採用できる。
【0016】
不織布の目付は、10〜50g/m2が好ましい。目付が、10g/m2未満であると、樹脂の量が不足し、ヒートシール強度がでない場合がある。50g/m2を越えると、不織布が厚くなりすぎて熱伝導が悪くなり、ヒートシールの時間が長くなる場合がある。不織布の製造方法としては、スパンボンド法、メルトブロー法、カード法等、公知の方法を採用することができる。
【0017】
ナイロン製フィルムと不織布の積層方法としては、透湿性が確保できれば良いことから、ドライラミネートが好適である。ドライラミネートでも、一定のパターンを転写するパターンラミネートが特に好適である。
【0018】
このような本発明によれば、ナイロン製フィルムと、ナイロンより融点の低い熱可塑性樹脂からなる不織布と、を積層してなることにより、不織布は通気性が良いので、ナイロン製フィルムの透湿性を阻害することなく、高い透湿性、エタノール透過性を有する包装シートとすることができる。
また、ナイロン製フィルムは、紙などと比較して突き刺し強度が強いので、実用に耐える突き刺し強度を備えた包装シートとすることができる。
さらに、不織布が熱可塑性樹脂からなることにより、熱可塑性樹脂は、加熱による熱溶着を容易に行うことができるので、ヒートシール特性が良好である包装シートとすることができる。
【0019】
本発明の包装シートでは、前記ナイロン製フィルムが、2軸延伸加工を施されており、その厚みが5〜30μmであることが好ましい。
【0020】
これによれば、ナイロン製フィルムが、2軸延伸加工を施されていることにより、ナイロン製フィルムの非晶部分の分子が延伸方向に引き伸ばされ、結晶化度が増すとともに、分子が延伸方向に配向するので、突き刺し強度、耐熱性を向上させることができる。
ナイロン製フィルムの厚みは、5〜30μmであることが好ましく、10〜25μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満であると、突き刺し強度が弱くなる場合がある。この厚みが30μmを越えると、透湿性が低下する場合がある。
【0021】
本発明の包装シートでは、前記包装シートの透湿度が10cc/m2・24hour以上であることが好ましく、より好ましくは100〜500cc/m2・24hour以上である。
【0022】
ここで、透湿度の測定方法としては、JIS Z0208に準拠した方法が採用できる。この包装シートの透湿度が、10cc/m2・24hour未満であると、吸湿性材料用包装袋の用途に用いる場合には、水蒸気を通すことができなくなるので好ましくない。従って、前記ナイロン製フィルムの透湿度も10cc/m2・24hour以上であることが好ましい。
【0023】
本発明の包装シートでは、前記包装シートのエタノール透過度が、50cc/m2・24hour以上であることが好ましい。エタノール透過度が、50cc/m2・24hour未満であると、エタノール系のアルコール蒸気の透過発散量が少なくなり食品等の鮮度保持材の用途に用いる場合には、実用面に問題がある。より好ましくは、200〜1000cc/m2・24hour以上である。
【0024】
ここで、エタノール透過度の測定方法としては、例えば、包装シートを袋状に加工した後に、エタノールを吸着させた吸収剤(二酸化ケイ素等)を袋中に入れ、相対湿度50%、40℃の恒温器に放置させた場合の、エタノールの蒸発によるエタノールの減少量を包装体の1m2あたり、24時間に換算する方法が採用できる。
【0025】
本発明の包装シートでは、前記不織布は、融点差のある少なくとも2つ以上の材質からなる複合不織布であることが好ましい。
ここで、融点差のある少なくとも2つ以上の材質からなる複合不織布とは、異なる材料を不織布加工をしたものをいう。具体的には、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)/PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)/PEの芯鞘構造を持っているスパンボンド不織布、PET/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の積層されているスパンボンド不織布、LDPE(低密度ポリエチレン)/HDPE(高密度ポリエチレン)の割繊維不織布等がある。
【0026】
融点差のある少なくとも2つ以上の材質からなる複合不織布を用いることにより、二次加工時にヒートシール等を低い温度で行うことができるので、ナイロン製フィルムとの積層面にエッジ切れ等の不具合が発生することがない。
【0027】
本発明の包装シートでは、前記不織布の原料が、少なくともポリエチレン系樹脂を含むことが好ましい。
ここで、ポリエチレン系樹脂は、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)等が採用できる。
ポリエチレン系樹脂は、成形性、ヒートシール性に優れているので、製袋性に優れた包装シートとすることができる。
【0028】
本発明の包装シートでは、前記不織布面同士をヒートシールした際の強度が、500g/15mm巾以上であることが好ましい。
この包装シートの不織布面同士をヒートシールした際の強度が、500g/15mm巾未満であると、包装袋としたとき、ヒートシールした部分から壊れやすくなるという問題が生ずる。
【0029】
本発明のアルコール蒸散剤用包装袋は、前述の包装シートを用いてなり、袋内部にアルコール蒸散剤が封入されることを特徴とする
【0030】
このような本発明によれば、前述の包装シートを用いてなり、袋内部にアルコール蒸散剤が封入されることにより、前述と同様の作用・効果を得ることができる。
【0031】
本発明の食品用包装袋は、前述のアルコール蒸散剤用包装袋を備えることを特徴とする。
このような本発明によれば、前述のアルコール蒸散剤用包装袋を備えることにより、食品の腐敗を防止することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る矩形状の包装シート1が示されている。包装シート1は、ナイロン製フィルム10と、不織布20と、を積層して構成される。ナイロン製フィルム10は2軸延伸加工を施されており、その厚みが5〜30μmである。また、ナイロン製フィルム10の透湿度は、10cc/m2・24hour以上である。
【0033】
不織布20は、ナイロン製フィルム10よりも融点の低い熱可塑性樹脂を含む層からなり、融点差のある2つの層、高融点不織布20Aと、低融点不織布20Bと、から構成されている。高融点不織布20A側が、ナイロン製フィルム10と接している。
【0034】
熱可塑性樹脂としては、例えば、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等が採用でき、PE(ポリエチレン)としては、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)等が採用できる。
【0035】
また、高融点不織布20A/低融点不織布20Bの組合わせとしては、例えば、本実施形態では、PET(ポリエチレンテレフタレート)/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)を採用している。他の組合せとしては、積層ではなく、PP(ポリプロピレン)/PEの芯鞘構造を持っているスパンボンド不織布、LDPE(低密度ポリエチレン)/HDPE(高密度ポリエチレン)の割繊維不織布等を採用することができる。
なお、不織布の製造方法としては、スパンボンド法に限らず、メルトブロー法、カード法等、他の公知の方法も採用できる。
【0036】
ナイロン製フィルム10と不織布20の積層方法としては、パターンドライラミネートを採用している。また、できあがった包装シート1の透湿度が、10cc/m2・24hour以上であることが好ましい。さらに、包装シート1のエタノール透過度が、50cc/m2・24hour以上であることが好ましい。そして、低融点不織布20B同士をヒートシールした際の強度が、500g/15mm巾以上であることが好ましい。
【0037】
本実施形態のアルコール蒸散剤用包装袋2は、図2に示すように、開口部21と、ヒートシール部22と、折り目23を備え、袋内部にはアルコール蒸散剤25が包装されている。
アルコール蒸散剤25は、本実施形態では、安全性、アルコール保持と蒸散性の観点から、粒状固体のアモルファスシリカ(二酸化ケイ素)にエタノールを吸着させたものを採用している。他の組合せとしては、活性炭、珪藻土、ケイ酸アルミニウム等の吸着性粒状固体の表面に、アルコール若しくはアルコールを含む溶液を吸着させたもので公知のものを採用できる。
【0038】
開口部21は、アルコール蒸散剤25をアルコール蒸散剤用包装袋2内に入れる際に用い、アルコール蒸散剤25を入れた後は、一般にヒートシール等の方法で封止される。
ヒートシール部22は、開口部21に直交する2辺をヒートシールすることによりなる部分である。折り目23は、包装シート1を半折りする際に形成され、包装シート1の長辺方向の略中央部を折ることにより形成される。
【0039】
アルコール蒸散剤用包装袋2の製造手順としては、図3に示すように、包装シート1の長辺方向の略中央部に折り目23が形成され、矢印方向に半折りし、袋形状にすることにより製造される。折り目23に直交する2辺をヒートシールすることにより、ヒートシール部22が形成される。次に、折り目23に対向する辺が開口部21となり、この開口部21側より、アルコール蒸散剤25が入れられる。その後、開口部21はヒートシールされて封止され、小袋2が完成する。
【0040】
また、アルコール蒸散剤25の自動充填装置を用いる場合は、図4に示すように、包装シート1の連続した原反を用い、折り目23を形成後、ヒートシール部22を形成しながら、開口部21よりアルコール蒸散剤25を入れ、封止後、ヒートシール部22の中心でカットする。
【0041】
さらに、アルコール蒸散剤用包装袋2を食品用包装袋3に使用した例としては、図5に示されるように、一般に用いられる公知の包装シート5を半折りして、半折りした辺である折り目33に直交するヒートシール部32となる2辺をヒートシールして食品用包装袋3を形成する。次に、折り目33に対向する辺が開口部31となり、前述した小袋2および食品であるハム4が入れられる。その後、開口部31はヒートシールされて封止され、食品用包装袋3が完成する。
【0042】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)ナイロン製フィルム10と、ナイロンより融点の低い熱可塑性樹脂からなる不織布20とを積層してなることにより、ナイロン製フィルム10は透湿性を有し、不織布20は通気性が良いので、ナイロン製フィルム10の透湿性を阻害することなく、高い透湿性、エタノール透過性を有する包装シート1とすることができる。
また、ナイロン製フィルム10は、紙など比較して、突き刺し強度が強いので、実用に耐える突き刺し強度を備えた包装シート1とすることができる。
さらに、不織布20が熱可塑性樹脂からなることにより、熱可塑性樹脂は、加熱による熱溶着を容易に行うことができるので、ヒートシール特性が良好である包装シート1とすることができる。
(2)不織布20は、融点差のある2つの層、高融点不織布20Aと、低融点不織布20Bと、から構成されていることにより、二次加工時にヒートシール等を低い温度ですることができるので、ヒートシール部のエッジ切れ等の不具合が発生することがない。
(3)アルコール蒸散剤25を包装するアルコール蒸散剤用包装袋2は、包装シート1を用いてなることにより、高い透湿性、エタノール透過性を有し、かつ、突き刺し強度が高く、ヒートシール特性が良好である
(4)アルコール蒸散剤25を包装するアルコール蒸散剤用包装袋2が、鮮度保持袋3内にハム4と一緒に包装されているから、食品用包装袋3内の微生物やカビ等をアルコール蒸散剤25のエタノールが殺菌するので、ハム4の腐敗を防止することができる。
(5)ナイロン製フィルム10が包装シート1の外側になるから、ナイロン製フィルム10は、耐油性、耐水性に優れ、裏印刷も容易に行うことができるので、包装シート1の耐油性、耐水性が向上し、印刷の移行を防止することができる。
【0043】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、アルコール蒸散剤用包装袋2の製造手順としては、前記実施形態では、1枚の包装シート1を半折りしたものを採用していたが、これに限られず、2枚の包装シート1を3辺をヒートシール等で封止することにより、袋状に形成するものも採用できる。
【0044】
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0045】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
前記実施形態において、具体的条件を下記の通りとして包装シート1を製造した。
【0046】
[実施例1]
ナイロン製フィルム10としては、出光ユニテック(株)製、ユニロンG100、厚さ15μm、2軸延伸加工したものを用いた。不織布20としては、高融点不織布20Aと低融点不織布20Bの積層体 (PET/LLDPEスパンボンド不織布 出光ユニテック(株)製 ストラマイティME1035 目付 35g/m2)を用いた。高融点不織布20AはPETであり、低融点不織布20BはLLDPEであった。
【0047】
[実施例2]
ナイロン製フィルム10は、実施例1と同じものを用いた。不織布20としては、PET/PE芯鞘型スパンボンド不織布 ユニチカ(株)製 エルベスS403 目付 40g/m2)を用いた。高融点成分は、PETであり、低融点成分は、PEであった。
【0048】
[実施例3]
ナイロン製フィルム10としては、東洋紡(株)製、ハーデンN1100、厚さ12μm、2軸延伸加工したものを用いた。不織布20は、実施例1と同じものを用いた。
【0049】
[比較例1]
ナイロン製フィルム10は、実施例1と同じものを用いた。不織布20の代わりに、LLDPEシーラントフィルム(出光ユニテック(株)製,ユニラックスLS740C 厚さ40μm)を用いた。
【0050】
[比較例2]
耐油紙(目付 45g/m2)とエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂フィルム(厚さ40μm)の積層体のフッ素コート品を用いた。
【0051】
[評価方法]
前記の実施例1〜3、比較例1、2でできた積層体を以下の評価方法で評価した。評価結果を表1に示す。
1)透湿度:JIS Z0208に準拠した方法で、相対湿度90%、40℃の条件で透湿度を測定した。
2)突き刺し強度:カップの上に各積層体を固定し、上皿天秤において、1mmΦのピアノ線で突き刺し、孔が開いた時の荷重を測定した。各積層体について、5個のサンプルを測定した値を平均した。
【0052】
3)シール強度:ナイロン製フィルム10側(比較例は、ナイロン製フィルム10の代わりに用いた素材側)を外側として、半折りし、150℃、4kg/cm2、1秒間の条件でヒートシールした際の180度剥離する際の強度を測定した。
【0053】
4)エタノール透過度:120mm×120mmの包装シート1をナイロン製フィルム10側(比較例は、ナイロン製フィルム10の代わりに用いた素材側)を外側として、半折りし、ヒートシールにより2辺を10mm巾でシールして袋状に形成した。
【0054】
さらに、以上のようにして、製造した各包装シートを袋状に加工した後に、エタノール3.25gを吸着させた吸収剤1.75g(二酸化ケイ素等)を袋中に入れ、残りの一辺を10mm巾でヒートシールしたものをサンプルとした。エタノールが蒸気透過可能な面積は、片面100mm×50mmの両面で、10000mm2である。これらのサンプルを相対湿度50%、40℃の恒温器に3時間放置させた場合の、エタノールの蒸発によるエタノールの減少量を包装体の1m2あたり、24時間に換算してエタノール透過度を求めた。
【0055】
【表1】
Figure 0003913554
【0056】
実施例1〜3は、比較例1と比較して、透湿性(透湿度)、エタノール透過性(エタノール透過度)の面で優れていることがわかった。また、実施例1〜3は、比較例2と比較して、突き刺し強度、ヒートシール特性(シール強度)の面で実施例1〜3のほうが優れていることがわかった。すなわち、概ね、実施例1〜3は、比較例1、2と比較して、透湿性、エタノール透過性、突き刺し強度、ヒートシール特性が良好であることがわかる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、ナイロン製フィルムと、ナイロンより融点の低い熱可塑性樹脂からなる不織布と、を積層してなることにより、不織布は通気性が良いので、ナイロン製フィルムの透湿性を阻害することなく、高い透湿性、エタノール透過性を有する包装シートとすることができる。
また、ナイロン製フィルムは、紙などと比較して突き刺し強度が強いので、実用に耐える突き刺し強度を備えた包装シートとすることができる。
さらに、不織布が熱可塑性樹脂からなることにより、熱可塑性樹脂は加熱による熱溶着を容易に行うことができるので、ヒートシール特性が良好である包装シートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の包装シートを示す斜視図である。
【図2】図1の実施形態におけるアルコール蒸散剤用包装袋の斜視図である。
【図3】図1の実施形態におけるアルコール蒸散剤用包装袋の展開図である。
【図4】アルコール蒸散剤の自動充填を示す構成図である。
【図5】図1の実施形態における食品用包装袋の概略図である。
【符号の説明】
1 包装シート
2 アルコール蒸散剤用包装袋
3 食品用包装袋
4 ハム
10 ナイロン製フィルム
20 不織布
20A 高融点不織布
20B 低融点不織布
21、31 開口部
22、32 ヒートシール部
23、33 折り目
25 アルコール蒸散剤

Claims (7)

  1. 実質的にナイロン樹脂のみからなるナイロン製フィルムと、ナイロンより融点の低い熱可塑性樹脂からなる不織布と、を積層した、アルコール蒸散剤用の包装シートであって、
    前記包装シートのエタノール透過度が、50cc/m2・24hour以上であり、かつ、前記不織布面同士をヒートシールした際の強度が、500g/15mm巾以上であることを特徴とする包装シート。
  2. 請求項1に記載の包装シートにおいて、
    前記ナイロン製フィルムが、2軸延伸加工を施されており、その厚みが5〜30μmであることを特徴とする包装シート。
  3. 請求項1または請求項2に記載の包装シートにおいて、
    前記包装シートの透湿度が、10cc/m2・24hour以上であることを特徴とする包装シート。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の包装シートにおいて、
    前記不織布は、融点差のある少なくとも2つ以上の材質からなる複合不織布であることを特徴とする包装シート。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の包装シートにおいて、
    前記不織布の原料が、少なくともポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする包装シート。
  6. 請求項1から請求項のいずれかに記載の包装シートを用いてなり、袋内部にアルコール蒸散剤が封入されることを特徴とするアルコール蒸散剤用包装袋。
  7. 請求項記載のアルコール蒸散剤用包装袋を備えることを特徴とする食品用包装袋。
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