JPH0219406Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は脱酸素剤包装体に関し、さらに詳しく
は通気性包装材料を用いた脱酸素剤包装体に関す
る。

近来、樹脂を加工した微多孔膜の開発が盛んに
進められている。この膜は紙のように大きな通気
性を有するため、脱酸素剤包装体の包装袋として
の利用が期待される。

ところが、この微多孔膜は、膜の外側から加熱
圧着する通常の包装機械を用いた場合にはヒート
バーあるいはヒートロールに膜が融着するためヒ
ートシールすることが不可能であり、インパルス
シーラーのような特殊なシーラーを必要とした。
しかもこのような特殊なシーラーを用いた場合は
従来のような高速充填包装は不可能であり大幅な
能率の低下を覚悟しなければならなかつた。

また微多孔膜の殆どは包材強度が弱く、脱酸素
剤を包装するのに充分な高通気性を有しながら、
包材強度が不足するため実用に供することができ
ないものが大部分であつた。

出願人は先に微多孔膜のこれらの欠点を克服
し、従来から用いられている機械をそのまま用い
ることによつて脱酸素剤の高速充填を可能にする
と共に、脱酸素剤の包材に強度を持たせたものを
考案した。

しかしながら、先の考案は脱酸素剤の包材のシ
ール性の欠点は改良されたが、脱酸素剤としては
さらに包材の強度が望まれる場合があつた。

本考案は強度が優れた脱酸素剤包装体に関する
考案である。

すなわち、本考案は、 (a) 孔径0.01〜50μの微多孔を有し、異物を含有
するポリエチレンもしくはポリプロピレンから
なるフイルムの延伸により得られ、ガーレー式
透気度が0.01〜10000sec／100mlであつて、常
圧で水を通さない微多孔膜Ａと、 (b) 孔をあけたポリエチレン、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体もしくはアイオノマー樹脂から選ば
れる一種または二種以上からなる合成樹脂のフ
イルムであつて、上記微多孔膜よりも軟化点の
低い有孔シートＢと、 (c) 幅が10mm以下のポリエチレンからなる帯状物
を格子状に編み、縦帯と横帯とを熱融着してな
る補強剤Ｃとを、 ＡとＢとの間にＣを配し熱融着により積層して
なる包装材料を脱酸素剤の包装材料の全部または
一部として用いて微多孔膜Ａを外側にして脱酸素
剤を包装し、シールしてなる脱酸素剤包装体を提
供するものである。

本考案に用いられる微多孔膜Ａは一般にマイク
ロポーラスフイルムと呼ばれるものであり、微多
孔を有しガーレー式透気度0.01〜10000sec／100
ml、好ましくは１〜1000sec／100mlであつて常圧
で水を通さないものである。微多孔の孔径は0.01
〜50μであつて、最大細孔径2μ以下が好ましい。
本考案に用いられる微多孔膜Ａは、異物を含有す
るポリエチレンもしくはポリプロピレンからなる
フイルムの延伸により得られたものである。たと
えば、ジユラガード（米、セラニーズ社製）、
NOP（日本石油化学工業(株)製）またはセルポア
NW01（積水化学工業(株)製）なとが本考案で用い
られる微多孔膜の具体例として挙げられる。

本考案において用いられる有孔シートＢは、孔
をあけたポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重
合体もしくはアイオノマー樹脂から選ばれる一種
または二種以上からなる合成樹脂のフイルムであ
つて、前記微多孔膜Ａよりも軟化点の低いもので
ある。たとえば、微多孔膜Ａがポリエチレンを素
材としたものである場合には、これよりも軟化点
の低いアイオノマー樹脂、エチレンと酢酸ビニル
との共重合樹脂（EVA）等のフイルムに孔をあ
けたものを用いることができる。また、微多孔膜
がポリプロピレン製である場合には、これよりも
軟化点の低いポリエチレン等のフイルムに孔をあ
けたものを用いることが可能である。

本考案における補強材Ｃとしては、ポリエチレ
ンからなる合成繊維の帯状物を編んでなるものが
用いられる。このポリエチレンの帯状物を編んだ
ものとは、通常は幅が10mm以下の帯を格子状に編
み、縦帯と横帯とを熱融着したものが用いられ
る。具体的には、たとえば日石ワリフ（日本石油
化学工業(株)製）等が好適に用いられる。

本考案において、微多孔膜Ａ、有孔シートＢお
よび補強材Ｃを積層するには、熱融着による方法
が採用される。

また、Ａ，ＢおよびＣを積層する場合の組合せ
はＡとＢとの間にＣを配する形態が採られる。

本考案の脱酸素剤包装体は微多孔膜Ａ／補強材
Ｃ／有孔シートＢのごとく積層してなる包装材料
を用いて、微多孔膜Ａ面を外側にして脱酸素剤を
内部に充填包装してシールしてなるものである。
ここで用いる包装材料は脱酸素剤包装体を形成す
る包装材料の一部に用いてもよいが、全部に用い
ることが好ましい。

本考案の脱酸素剤包装体において、微多孔膜
Ａ／補強材Ｃ／有孔シートＢからなる包装材料を
本脱酸素剤包装体の全部として用いる場合、三方
シール方式を用いても四方シール方式を用いても
よく、その他ステイツク包装、ピロー包装等も好
適に用いることができる。

本考案の脱酸素剤包装体において、微多孔膜
Ａ／補強材Ｃ／有孔シートＢからなる包装材料を
その一部として用いる場合、他の包装材料として
は、通気性包装材料であつても非通気性包装材料
であつてもよい。この場合の通気性包装材料とし
ては、紙と本考案の包装材料の一部構成材料であ
るＢおよび／またはＣを貼り合わせたもの、また
は不織布とＢおよび／またはＣを貼り合わせたも
の等が用いられる。また、非通気性材料として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢
酸ビニル共重合体、アイオノマー、ナイロン、ポ
リエステル等のプラスチツクフイルムおよびこれ
らの積層フイルムが好適に用いられる。かかる態
様の脱酸素剤包装体は四方シール方式にて製袋す
ることが好ましい。

本考案の脱酸素剤包装体は微多孔膜の長所であ
る通気性を生かしかつ通常のヒートシーラーを用
いての高速充填を可能にしたものであり、また包
材の強度が大であるため包装体の破れる危険性が
ないものである。

本考案において脱酸素剤とは酸素を吸収する作
用を有する組成物であり、該組成物としては亜硫
酸塩、亜硫酸水素塩、亜二チオン酸塩、カテコー
ル、ピロガロール、アスコルビン酸および／また
はその塩、イソアスコルビン酸および／またはそ
の塩、グルコース、リグニン、ジブチルヒドロキ
シトルエンまたはブチルヒドロキシアニソール等
を含有する組成物、第一鉄化合物を含有する組成
物、あるいは、鉄粉等の金属粉を含有する組成物
等が挙げられる。

本考案において、包装材料に脱酸素剤を入れ熱
圧着によつてシールし脱酸素剤包装体を形成する
際のシールは、Ａの外側よりＢの軟化点以上の温
度をかけることによつて達成することができる。

本考案の脱酸素剤包装体は微多孔膜の長所を生
かしかつ通常のヒートシールを用いての高速充填
を可能としたものであり、しかも得られた脱酸素
剤包装体はシール部分等にも優れた強度を有する
ものである。

以下、図面により本考案を説明する。

図面において、第１図は前記本考案の脱酸素剤
包装体に用いる包装材料であつて、微多孔膜Ａと
Ａよりも軟化点が低い有孔シートＢとの間にポリ
エチレンの帯状物を格子状に編んだ補強材Ｃを挟
んで積層してなる包装材料の断面図を示す。

第２図および第３図はそれぞれ本考案の脱酸素
剤包装体の態様例を示す断面図である。第２図は
第１図に示した微多孔膜Ａ／補強材Ｃ／有孔シー
トＢからなる包装材料を脱酸素剤包装体の包装材
料の全部に用いた例であり、第３図は第１図に示
した微多孔膜Ａ／補強材Ｃ／有孔シートＢからな
る包装材料を脱酸素剤包装体の包装材料の一部に
用いた例である。

第２図および第３図において、１は脱酸素剤、
２は微多孔膜Ａ／補強材Ｃ／有孔シートＢからな
る包装材料、３は２以外の包装材料を示す。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の脱酸素剤包装体に用いられる
包装材料の断面図である。第２図および第３図は
それぞれ本考案に係る脱酸素剤包装体の一態様の
断面図である。 図において、Ａ……微多孔膜、Ｂ……Ａより軟
化点が低い有孔シート、Ｃ……ポリエチレンの帯
状物を格子状に編んだ補強材、１……脱酸素剤、
２……Ａ／Ｃ／Ｂの積層体からなる包装材料、３
……上記２以外の包装材料を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (a) 孔径0.01〜50μの微細孔を有し、異物を含有
   するポリエチレンもしくはポリプロピレンから
   なるフイルムの延伸により得られ、ガーレー式
   透気度が0.01〜10000sec／100mlであつて、常
   圧で水を通さない微多孔膜Ａと、 (b) 孔をあけたポリエチレン、エチレン酢酸ビニ
   ル共重合体もしくはアイオノマー樹脂から選ば
   れる一種または二種以上からなる合成樹脂のフ
   イルムであつて、上記微多孔膜よりも軟化点の
   低い有孔シートＢと、 (c) 幅が10mm以下のポリエチレンからなる帯状物
   を格子状に編み、縦帯と横帯とを熱融着してな
   る補強材Ｃとを、 ＡとＢとの間にＣを配し熱融着により積層して
   なる包装材料を脱酸素剤の包装材料の全部または
   一部として用いて微多孔膜Ａを外側にして脱酸素
   剤を包装し、シールしてなる脱酸素剤包装体。