JPH03304B2

JPH03304B2 -

Info

Publication number: JPH03304B2
Application number: JP62125997A
Authority: JP
Inventors: Sadao Ootsuka; Toshio Komatsu; Yukio Kondo; Hideyuki Takahashi
Original assignee: Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Current assignee: Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date: 1987-05-25
Filing date: 1987-05-25
Publication date: 1991-01-07
Also published as: JPS6336814A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、構成の一部に微多孔膜または不織布
を用いた脱酸素剤包装体に関する。

〔従来の技術〕

近年脱酸素剤が食品等の保存に用いられるよう
になり、それにつれて、脱酸素剤包装体の包材の
開発も検討されるようになつてきた。しかし、特
に多湿食品に適用する脱酸素剤包装体の包材とし
ては、未だに耐水性、通気性等の点で充分に満足
されるものは開発されていない。

多湿食品に適用する脱酸素剤包装体としての必
要条件は、１包材のガス透過性が極めて優れていること、２多湿食品と接触しても、包材表面に染みが出
ないこと、（食品の染みが包材に移行して、脱酸素剤包
装体の外観を損ねたり、脱酸素剤組成物内部に
染み込んで機能を低下させないこと）３脱酸素剤包装体の製造時における高速充填包
装が可能であること、などが挙げられる。

ところで、最近ポリオレフイン樹脂を加工した
微多孔膜や不織布の開発が盛んに進められてい
る。これらは紙のように大きな通気性を有し、し
かも良好な耐水性を有するため、脱酸素剤包装体
の包材、特に多湿食品に適用する脱酸素剤包装体
の包材としての利用が期待される。

しかしながら、これらは素材がポリエチレン、
ポリプロピレン等のポリオレフイン単体であるた
め、膜や不織布の外側から加熱圧着する通常の包
装機械を用いた場合には、ヒートバーあるいはヒ
ートロールに微多孔膜や不織布などが融着するた
め、ヒートシールすることが不可能であり、イン
パルスシーラーのような、特殊なシーラーを使用
しなければならなかつた。

しかもこのような特殊なシーラーを用いた場合
は従来のような高速充填包装は不可能であり、大
幅な能率の低下をもたらすものであつた。

不織布を用いて脱酸素剤包装体を包装した包装
体としては、不織布層および酸素透過性でかつ水
不透過性を有する層の少なくとも二層を有する複
合包材を用いたものが考えられるが、この場合、
不織布に熱可塑性合成樹脂層を積層ラミネーシヨ
ンまたはコーテイングするため、不織布本来のガ
ス透過度が低下し、これを脱酸素剤包装体として
用いた際、効果的な脱酸素速度性能を阻害する欠
点があつた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明の目的は、上記従来の脱酸素剤包装体の
欠点を克服し、微多孔膜や耐水性不織布の本来も
つ優れた通気性と耐水性をそのまま生かし、かつ
従来から用いられている機械をそのまま用いても
脱酸素剤の高速充填を可能にした脱酸素剤包装体
を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の脱酸素剤包装体は、用いられる包材の
条件と特定された積層条件とを組み合わせてなる
構成からなるものである。

すなわち、本発明は、上層(A)、内層(B)、下層(C)および脱酸素剤(D)から
なる脱酸素剤包装体であつて、上層(A)は、微細孔を有しガーレー式透気度が
0.01〜10000sec／100mlであり常圧で水を通さな
いプラスチツク製のシートからなる微多孔膜、ま
たは微細孔を有しガーレー式透気度が0.01〜
10000sec／100mlであり常圧で水を通さないプラ
スチツク製のシートからなる不織布から形成さ
れ、内層(B)は、前記上層(A)を構成するプラスチツク
の軟化点よりも低い軟化点を有するプラスチツク
から構成されたシートであつて微細孔を有しガー
レー式透気度が0.01〜10000sec／100mlであり常
圧で水を通さないプラスチツク製のシートからな
る不織布から形成され、下層(C)は、前記内層(B)を構成するプラスチツク
の軟化点よりも高い軟化点を有するプラスチツク
から構成されたシートであつて微細孔を有しガー
レー式透気度が0.01〜10000sec／100mlであり常
圧で水を通さないプラスチツク製のシートからな
る微多孔膜、または前記内層(B)を構成するプラス
チツクの軟化点よりも高い軟化点を有するプラス
チツクから構成されたシートであつて微細孔を有
しガーレー式透気度が0.01〜10000sec／100mlで
あり常圧で水を通さないプラスチツク製のシート
からなる不織布から形成され、上層(A)と下層(C)との間に内層(B)を配置し、上層
(A)と内層(B)との間または内層(B)と下層(C)との間に
脱酸素剤(D)を配置し、四辺を熱シールしてなることを特徴とする脱酸
素剤包装体、を提供するものである。

本発明の脱酸素剤包装体は、上層(A)、内層(B)、
下層(C)および脱酸素剤(D)から構成されている。

本発明において上層(A)を形成するプラスチツク
製のシートとしては、微多孔膜または不織布が用
いられる。

本発明において上層(A)を形成するプラスチツク
製のシートとして微多孔膜（通常マイクロポーラ
スフイルムと呼ばれる）を用いる場合において、
微多孔膜とは、微細孔を有し、ガーレー式透気度
が0.01〜10000sec／100ml、好ましくは１〜
1000sec／100mlであり、かつ、常圧で水を通さな
いプラスチツク製のシートからなるものである。
なお、ガーレー式透気度（単位sec／100ml）は
JIS P8117により測定されるフイルムのガス透過
度である。本発明において用いることができる微
多孔膜の微細孔は0.01〜50μ、最大細孔径2μ以下
が好ましい。

本発明において用いることができる微多孔膜を
製造するには、たとえばポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリフツ化エチレン樹脂などで例示され
る合成樹脂フイルムの冷間延伸、異物を含有する
フイルムの延伸、異物を含有するフイルムからの
異物の抽出、異物を含有するフイルムから異物を
抽出したのちにフイルムを延伸する方法、または
フイルムへの電子線の照射などの方法が採られ
る。

本発明に好適に使用される微多孔膜で市販され
ているものとしては、たとえばジユラガード（米
国、セラニーズ社製）、FP−２（旭化成工業(株)
製）、NOP（日本石油化学(株)製）、ニトフロン
NTF（日東電気工業(株)製）、NFシート（徳山曹達
(株)製）、セルポアNW01（積水化学工業(株)製）、ポ
リフロンペーパー（ダイキン工業(株)製）等が挙げ
られる。

本発明において、上層(A)のプラスチツク製のシ
ートとして不織布を用いる場合における不織布と
しては、その透気度がガーレー式透気度0.01〜
10000sec／100ml、好ましくは１〜1000sec／100
mlであつて、常圧で水を通さないものである。ま
た、本発明で用いることができる不織布は、開孔
部の最大細孔径2μ以下が好ましい。

本発明で用いることができる不織布として、よ
り具体的には、たとえばポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリフツ化エチレン、ポリエステルまた
はナイロン等で例示されるプラスチツクの繊維を
熱、圧力、接着剤等で接合させた各種のものを用
いることができるが、熱、圧力によつて長繊維ど
うしを接合させたものが好ましい。

本発明に好適に使用される不織布で市販されて
いるものとしては、たとえばタイベツク（米国、
デユポン社製）、アイエル、スパンポンド（旭化
成工業(株)製）、アクスター（東レ(株)製）等が挙げ
られる。

本発明において内層(B)としては、前記上層(A)を
構成するプラスチツクの軟化点よりも低い軟化点
を有するプラスチツクから構成された不織布（以
下、内層不織布ということがある）からなるもの
が用いられる。

本発明において内層(B)として不織布を用いる場
合、その内層不織布としては前記上層(A)に用いら
れる不織布を同様に用いることができるが、その
材質の選定に当たつては、上層(A)の材質に対応し
て選択される。すなわち、上層(A)を構成するプラ
スチツクの軟化点よりも低い軟化点を有するプラ
スチツクから構成された不織布が選ばれる。内層
不織布を構成するプラスチツクの材質としては、
その軟化点が上層(A)を構成するプラスチツクの軟
化点よりも５℃以上低いもの、好ましくは10℃以
上低いものが用いられる。

本発明において下層(C)としては、前記上層(A)を
構成するシートと同様のシート、すなわち、微多
孔膜または不織布が用いられる。したがつて、微
細孔を有しガーレー式透気度が0.01〜10000sec／
100mlであり常圧で水を通さないプラスチツク製
のシートからなる微多孔膜、または微細孔を有し
ガーレー式透気度が0.01〜1000sec／100mlであり
常圧で水を通さないプラスチツク製のシートから
なる不織布が用いられる。

本発明において下層(C)として用いられるシート
の材質は前記上層(A)に用いられたものが同様に用
いられるが、内層(B)の材質に対応して選択され
る。すなわち、下層(C)を構成するプラスチツクの
軟化点が前記内層(B)を構成するプラスチツクの軟
化点より高くなるように、下層(C)の材質が選定さ
れる。本発明の脱酸素剤包装体において、下層(C)
の材質は上層(A)の材質と同一であつても、異なる
ものでもよい。

本発明において、上記上層(A)、内層(B)および下
層(C)の各層は以下のごとくして脱酸素剤包装体を
構成する。

すなわち、上層(A)と下層(C)との間に内層(B)を配
置し、上層(A)と内層(B)との間に脱酸素剤(D)を配置
し、四辺を熱シールして脱酸素剤を包装するよう
にして、あるいは、上層(A)と下層(C)との間に内層
(B)を配置し、内層(B)と下層(C)との間に脱酸素剤(D)
を配置し、四辺を熱シールして脱酸素剤を包装す
るようにして脱酸素剤包装体の構成とすることが
できる。

本発明の脱酸素剤包装体を製造する方法として
は、たとえば、上層(A)と内層(B)とをあらかじめラ
ミネートしたのち、該ラミネートシートと下層(C)
との間に脱酸素剤を配して周辺を熱シールして脱
酸素剤包装体を形成する方法、あるいは、内層(B)
と下層(C)とをあらかじめラミネートしたのち、該
ラミネートシートと上層(A)との間に脱酸素剤を配
して周辺を熱シールして脱酸素剤包装体を形成す
る方法が採用される。また、上層(A)、内層(B)、下
層(C)の三者を用意し、上層(A)と下層(C)との間に内
層(B)を配置し、上層(A)と内層(B)との間または内層
(B)と下層(C)との間に脱酸素剤を配し、包装時に同
時に脱酸素剤を内部に充填するようにして熱シー
ルして脱酸素剤包装体とする方法を用いてもよ
い。

本発明において、上層(A)および下層(C)は、脱酸
素剤包装体を食品等と密封した時に脱酸素速度が
阻害されないようエンボス加工したものが好まし
い。

脱酸素剤は酸素を吸収しうる組成物であつてそ
れ自体公知のものが使用しうる。

〔作用〕

本発明では、微多孔膜または不織布の優れた通
気性と耐水性をそのまま発揮させるため、これら
を単体として用い、さらに相手材質としては軟化
点の異なるシートを用いることによつて好適な製
袋性と安定したシール強度を発揮し、かつ高速充
填包装特性を出すことが可能となる。

また、本発明では、包装体を構成する各包材は
軟化点が適切なものが選定されるため、製袋時に
ヒートバーやヒートロールにシートが溶着して付
着することなく高速充填が可能である。たとえ
ば、上層(A)側のヒートバーまたはヒートロールの
温度を上層(A)を構成するプラスチツクの軟化点よ
りも低く、内層(B)を構成するプラスチツクの軟化
点よりも高く設定し、かつ、下層(C)側のヒートバ
ーまたはヒートロールの温度を下層(C)を構成する
プラスチツクの軟化点よりも低く、内層(B)を構成
するプラスチツクの軟化点よりも高く設定するこ
とにより、高速充填包装が可能であり、本発明の
脱酸素剤包装体は工業的に好適に製造しうるもの
となつている。

さらに、微多孔膜または不織布自体は単層とな
つているため包装袋には微多孔膜または不織布の
通気性がそのまま生かされることになり、本発明
により得られる脱酸素剤包装体は通気性が良好で
脱酸素速度を大きくすることができる。しかも、
本発明の脱酸素剤包装体は各層が通気性のシート
で構成されているため、酸素吸収が効率的に行わ
れるという利点もある。

〔実施例〕

実施例１ (a) 坪量50ｇ／m²のEVA（エチレン酢酸ビニル共
重合体）不織布と厚み150μの微多孔膜（セル
ポア、積水化学工業(株)製）とをラミネートした
積層包材と、 (b) 厚み170μのポリエチレン製不織布（タイベ
ツク、米国、デユポン社製）とを、積層包材(a)のEVA不織布面とポリエチレン製
不織布(b)とが接するように四方シール高速充填機
に導入した。

四方シール高速充填機において、熱ロールによ
り両包材を熱シールしつつ、80shot／分の速度で
脱酸素組成物（鉄粉100部に20％NaCl水溶液２部
を混合し、乾燥して得られた組成物）３ｇを充填
し、縦50mm×横50mm、シール幅５mmの脱酸素剤包
装体を得た。

かくして得られた脱酸素剤包装体を、水10mlを
含浸させた綿とともに、KOP（ポリ塩化ビニリデ
ンコート延伸ポリプロピレン）／PE（ポリエチレ
ン）フイルム袋に入れ、空気500mlを封入して、
25℃下に放置したところ、10時間後には袋内の酸
素濃度が0.035％に達した。

実施例２ (a) 厚み170μのポリエチレン製不織布（タイベ
ツク、米国、デユポン社製）と、 (b) 厚み50μのポリプロピレン製微多孔膜（ジユ
ラガード、米国、セラニーズ社製）との間に、 (c) 坪量45ｇ／m²のEVA不織布を挟み、(a)−(c)−(b)の順に重ねながら、四方シー
ル高速充填機に導入した。

四方シール高速充填機において、熱ロールによ
り両包材を熱シールしつつ、80shot／分の速度で
脱酸素組成物（鉄粉100部に20％NaCl水溶液２部
を混合し乾燥して得られた組成物）３ｇを、PE
不織布層(a)とEVA不織布層(c)との間に包装され
るように充填し、縦50mm×横50mm、シール幅５mm
の脱酸素剤包装体を得た。

かくして得られた脱酸素剤包装体を、水10mlを
含浸させた綿とともに、KOP（ポリ塩化ビニリデ
ンコート延伸ポリプロピレン）／PE（ポリエチレ
ン）フイルム袋に入れ、空気500mlを封入して、
25℃下に放置したところ、10時間後には袋内の酸
素濃度が0.038％に達した。

〔効果〕

本発明によれば、優れた通気性と耐水性を有す
る包装材料の特性をそのまま生かし、かつ、好適
な製袋性と安定したシール強度を出しつつ高速充
填包装ができるので従来にない優れた脱酸素剤包
装体の製造が可能である。本発明では加熱バーま
たは加熱ロールに微多孔膜や不織布などが融着す
ることもなく、また、微多孔膜または不織布と積
層体内面との熱シールは積層体内面を形成する低
軟化点層が溶融して状態でなされるためシール強
度も高められている。

本発明の脱酸素剤包装体では、上層(A)および下
層(C)の両面に優れた通気性と耐水性を有する包装
材料を、単独で用いるので、従来の包材では達し
得なかつた極めて優れたガス透過性を有するとと
もに、いずれの外面を多湿食品と接触させても食
品からの染みの移行を防止することができる。

本発明により製造された脱酸素剤包装体を食品
の保存に適用した場合、たとえその食品が多湿ま
たは多水分食品であつても、脱酸素剤包装体の包
装袋が耐水性に優れているので、食品と直接接触
しても脱酸素剤包装体表面に染みが出るようなこ
とはなく、しかも、脱酸素剤包装体の包装袋の通
気性も優れているので好適に脱酸素できる。

本発明では好適な脱酸素剤包装体の製造方法を
提供するものであるが、その他、乾燥剤、芳香
剤、発熱体としても用いることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の脱酸素剤包装体
の一例を示す断面図である。図面において、１……上層（微多孔膜または不織布）、２……
内層（上層１を構成するプラスチツクの軟化点よ
りも低い軟化点を有する内層不織布）、３……下
層（内層２を構成するプラスチツクの軟化点より
も高い軟化点を有する微多孔膜、または内層２を
構成するプラスチツクの軟化点よりも高い軟化点
を有する不織布）、４……脱酸素剤。

Claims

【特許請求の範囲】１上層(A)、内層(B)、下層(C)および脱酸素剤(D)か
らなる脱酸素剤包装体であつて、上層(A)は、微細孔を有しガーレー式透気度が
0.01〜10000sec／100mlであり常圧で水を通さな
いプラスチツク製のシートからなる微多孔膜、ま
たは微細孔を有しガーレー式透気度が0.01〜
10000sec／100mlであり常圧で水を通さないプラ
スチツク製のシートからなる不織布から形成さ
れ、内層(B)は、前記上層(A)を構成するプラスチツク
の軟化点よりも低い軟化点を有するプラスチツク
から構成されたシートであつて微細孔を有しガー
レー式透気度が0.01〜10000sec／100mlであり常
圧で水を通さないプラスチツク製のシートからな
る不織布から形成され、下層(C)は、前記内層(B)を構成するプラスチツク
の軟化点よりも高い軟化点を有するプラスチツク
から構成されたシートであつて微細孔を有しガー
レー式透気度が0.01〜10000sec／100mlであり常
圧で水を通さないプラスチツク製のシートからな
る微多孔膜、または前記内層(B)を構成するプラス
チツクの軟化点よりも高い軟化点を有するプラス
チツクから構成されたシートであつて微細孔を有
しガーレー式透気度が0.01〜10000sec／100mlで
あり常圧で水を通さないプラスチツク製のシート
からなる不織布から形成され、上層(A)と下層(C)との間に内層(B)を配置し、上層
(A)と内層(B)との間または内層(B)と下層(C)との間に
脱酸素剤(D)を配置し、四辺を熱シールしてなることを特徴とする脱酸
素剤包装体。