JP3812596B2 - シート状脱酸素剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシート状脱酸素剤及びその製造法に関し、詳しくは、脱酸素樹脂シートにプラスチックフィルム又はシート主体の包材を積層し超音波溶断により所望の形状に切断してなるシート状脱酸素剤及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
脱酸素剤は、酸化による劣化、カビの発生、好気性菌発生の防止等の効果があるところから、特に加工食品の保存等に有効に利用されている。
現在市販されている脱酸素剤は、通常、粒状脱酸素剤が通気性の小袋に収納された小袋入り脱酸素剤である。しかし、この小袋入り脱酸素剤は、食品に混在すると食品と間違え易く、食品と一緒に調理されたり誤食されたりする恐れがあり、また小袋入り脱酸素剤が異物感を与える等の問題がある。さらに、食品と共にガスバリヤー袋に包装する際、小袋の厚みが一定ではないために、包装袋に凹凸が生じる等、商品包装上、美観の点で問題となる場合もある。
【0003】
上記小袋入り脱酸素剤に対して、これとは形態が異なり脱酸素組成物を熱可塑性樹脂に分散させてシート化したシート状脱酸素剤が、種々提案されている。
例えば、特開昭55−44344号公報には脱酸素組成物を熱可塑性樹脂にブレンドしたものをシート状に成形したもの、特開昭56−26524号公報には脱酸素剤組成物を発泡性樹脂にブレンドしシート化した後発泡させたもの等が提案されている。しかし、上記公報によればシート状に形成された脱酸素剤は、その表面は通気性包材等により被覆されているが、周辺の端面は特に処理はされておらず、これら従来技術のものには、端面が露出していることによるシート状脱酸素剤の染み出しや食品との接触による汚染の恐れの問題がある。
【0004】
また特開平2−72851号公報および特開平2−86758号公報に、それぞれ、フィルム状脱酸素剤およびシート状脱酸素剤が本出願人らより出願されている。上記公報には、熱可塑性樹脂に脱酸素剤組成物を含有する脱酸素シートの両面にこの脱酸素シートより大きい被覆材料を積層し、周縁部では互いに重なり合う被覆材料同志を接着シールして周縁の端面に脱酸素剤組成物含有樹脂が露出しないようにし、完全に被覆包装したものが記載されている。しかしながら、上記のように脱酸素シートを完全に被覆包装しようとすると、製造に際し、酸素シートおよび包材を、それぞれ別々に、サイズを変えて所望の形状に切断し、これらを積層して接着なければならず、自由に形状を選ぶことができず形状面の制約も多く、生産性に問題があり、また包材の所要面積も大きくなりコスト的にも問題があった。
また上記特開平2−86758号公報には、脱酸素シートと被覆材との積層シートの溶断により被覆することができることが記されている。しかし、通常の熱溶断では、単なる切断で断面が完全に露出している物に較べれば、染みだしは少なくなるものの断面の完全な被覆は難しく、依然として染みだしの問題が残る。さらに通常の熱溶断では、熱がフィルムの外側からかかるために溶断面にばりが残るという問題もあり、熱溶断は必ずしも満足すべき方法ではなかった。
上記のように従来技術のシート状脱酸素剤には、必ずしも満足すべきものはないというのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決して、シート化した脱酸素剤の表面被覆、特に断面の被覆処理を完全なものとし、食品への汚染や染み出しがなく安全であり、かつ、生産性が良くしかもいろいろな形状のものが自由に生産できるシート状脱酸素剤及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本出願人らは、従来技術の課題に鑑み研究を重ねた結果、脱酸素樹脂シートに包材同志が互いに熱融着することができる熱融着性樹脂層を備えた包材を積層して超音波溶断することにより、問題が解決できることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明のシート状脱酸素剤は、脱酸素剤組成物を熱可塑性樹脂(a)中に分散してなる脱酸素樹脂シート(A)の片面に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(b)を有する単層又は多層の通気性包材(B)を該熱融着性樹脂層(b)が面するように配し、かつ、脱酸素樹脂シート(A)の他面に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(c)を有する単層又は多層の通気性又は非通気性包材(C)を該熱融着性樹脂層(c)が面するように配してなる積層体を超音波溶断により所望の形状に切断してなるシート状脱酸素剤である。
さらに、本発明のシート状脱酸素剤は、上記のシート状脱酸素剤において、超音波溶断による切断部において脱酸素樹脂シート(A)が実質的に露出していないことを特徴とするシート状脱酸素剤である。
また、本発明のシート状脱酸素剤の製造方法は、脱酸素剤組成物を熱可塑性樹脂(a)中に分散してなる脱酸素樹脂シート(A)の片面に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(b)を有する単層又は多層の通気性包材(B)を該熱融着性樹脂層(b)が面するように配し、かつ、脱酸素樹脂シート(A)の他面に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(c)を有する単層又は多層の通気性又は非通気性包材(C)を該熱融着性樹脂層(c)が面するように配してなる積層体を、超音波溶断により所望の形状に切断することを特徴とする製造方法である。
【0007】
本発明は、脱酸素樹脂シート(A)の両面に、それぞれ、通気性の包材(B)の熱融着性樹脂層(b)面および通気性又は非通気性の包材(C)の熱融着性樹脂層(c)面を合わせてなるところの、包材(B)/脱酸素樹脂シート(A)/包材(C)からなる積層体を、超音波溶断により所望の形状に切断したものであり、切断した断面部においては、包材の熱融着性樹脂層同志が熱融着して脱酸素樹脂シート(A)の端面が実質的に露出していないことを特徴とするシート状脱酸素剤及びその製造方法を提供するものである。
ここで、脱酸素樹脂シート(A)の端面が実質的に露出していないということは、超音波溶断に際し、必ずしも脱酸素樹脂シート(A)の端面が完全に被覆されず、かりに断面に脱酸素樹脂シートの残滓が微量残ったとしても、実用に際して溶断部から脱酸素剤組成物の染み出しや脱酸素樹脂シートとの接触による汚染等がなく、実用上全く問題がなく、脱酸素樹脂シート(A)の端面が被覆されて脱酸素樹脂シート(A)の端面の露出が全くない場合と同等の効果を奏することを意味する。
【0008】
上記3層の積層体を、通常の熱溶断法、例えば、加熱ナイフエッジで溶断したのでは、その切断面に脱酸素樹脂シート(A)の断面が残ってその端面が被覆されないのに対して、上記のように超音波溶断することにより、容易にその切断面に脱酸素樹脂シート(A)の端面の露出が実質的にないものとなる理由は、次の如く説明される。
上記積層体の溶断は、少なくとも一方が刃型をなす超音波ホーン及び受け治具からなる切断具を備えた超音波溶断装置が用いられるが、超音波ホーンから超音波が発振されると、まず積層体内部の脱酸素樹脂シート(A)が加熱されて熱可塑性樹脂(a)が軟化し、同時に刃型が押しつけられ外側から圧迫されることによって軟化した樹脂(a)が排除され、ナイフエッジの先端平面で圧迫されて直接包材(B)の樹脂層(b)と包材(C)の樹脂層(c)とが熱融着し、最後にナイフエッジで圧断されると考えられる。このようにして溶断部では、包材(B)と包材(C)同志が熱融着し合うことにより、脱酸素樹脂シート(A)の切断面の露出が実質的にないものとなると考えられる。
【0009】
超音波溶断に際し、シート状脱酸素剤の切断部において、脱酸素樹脂シート(A)の端面が実質的に露出していないものとするためには、前記本発明のシート状脱酸素剤の構成において、熱融着性樹脂層(b)及び熱融着性樹脂層(c)の軟化点が熱可塑性樹脂(a)の軟化点に等しいか又はそれより高いことが好ましい。
また、包材(B)と包材(C)の厚さの和が脱酸素樹脂シート(A)の厚さの1/10以上、好ましくは1/8以上であることが望ましい。
また、超音波振動ホーンまたは受け治具のどちらか少なくとも一方の先端部は刃型をなすものである。該刃型の刃角は5度〜175度であり、かつ刃型の先端部の幅は0.01〜3mmであり、刃型の先端部は実質的に平面をなしている必要がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明のシート状脱酸素剤を構成する脱酸素樹脂シート(A)は、熱可塑性樹脂(a)中に脱酸素剤組成物を分散しシート化してなるシート状樹脂であり、このもの自体酸素吸収性能を有する。
脱酸素樹脂シート(A)に配される脱酸素剤組成物としては、熱可塑性樹脂中に分散して酸素吸収能を発揮することができ、本発明の目的を達成できるものであれば特に限定されない。例えば、公知の脱酸素剤組成物を用いることができ、中でも、鉄粉、第1塩鉄、アスコルビン酸およびその塩類、カテコール等を主剤とするものが好ましく、鉄粉を主剤とするものが特に好適に用いられる。
【0011】
熱可塑性樹脂(a)としては、上記脱酸素性組成物を配合して酸素吸収能を発揮することができる熱可塑性樹脂であれば、限定ことなく使用することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、酸素透過性有する熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0012】
脱酸素樹脂シート(A)として、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂に鉄系脱酸素剤を混練してシート化したもの、さらにこのシートを延伸することにより酸素吸収性能を向上させたもの(特開平2−72851号公報に開示)等が、本発明においては好適に使用される。
【0013】
脱酸素樹脂シート(A)の厚さは、通常、0.01〜5mmであり、上記の脱酸素性組成物の性状や加工性に応じて上記の範囲で適宜選ぶことができる。
【0014】
包材(B)は、単層でも多層でもよく、少なくとも脱酸素樹脂シート(A)と接する側の面が熱融着性樹脂層(b)からなる通気性包材である。該熱融着性樹脂層(b)は、包材(C)の熱融着性樹脂層(c)と互いに熱融着することができる必要があり、その軟化点が熱可塑性樹脂(a)の軟化点にに等しいか又はそれより高いものが好ましい。また熱融着性樹脂層(b)は脱酸素樹脂シート(A)とも熱融着可能な樹脂が好ましい。
熱融着性樹脂(b)として、公知の熱融着性樹脂、例えば、各種ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が適宜選ばれる。
【0015】
包材(B)として、具体的には例えば、ポリエチレン系樹脂からなる不織布や微多孔膜および不織布や微多孔膜に有孔フィルムを積層した通気性包材が用いられ、これらは水を通し難い耐水性の通気性包材として好適に用いられる。包材(B)に用いられる不織布としては、「タイベック」(デュポン製)、「ルクサー」(旭化成製)等、また、微多孔膜としては、「ジュラガード」(セラニーズ製)、「NFシート」(徳山曹達製)、「ニトフロン」(日東電工製)等が例示される。また包材(B)として、紙、シリコンゴムフィルム等を基材としかつ熱融着可能な樹脂層(b)を備える通気性の多層材料や通気孔を持たなくても樹脂自体が酸素透過性の高い樹脂からなるプラスチックフィルム、例えばトリメチルペンテンフィルムを構成要素とする通気性の複合フィルム等が使用できる。
【0016】
包材(C)は、少なくとも脱酸素樹脂シート(A)と接する側の面が熱融着性樹脂層(c)からなる通気性又は非通気性の包材であり、包材(C)は単層であっても多層であってもよい。熱融着性樹脂層(c)は、熱融着性樹脂層(b)と互いに熱融着が可能である必要があり、その軟化点が熱可塑性樹脂(a)の軟化点にに等しいか又はそれより高いものが好ましい。なお、包材(C)が通気性包材である場合、包材(C)は上記の通気性包材(B)に挙げたものが使用でき、包材(C)と包材(B)とは同じものであってもよい。また、熱融着性樹脂層(c)としては、前記熱可塑性樹脂(b)に例示した公知の熱可塑性樹脂が適宜選ばれる。
【0017】
包材(C)は、非通気性の場合、通常、熱融着可能な樹脂からなるガスバリア性のプラスチックフィルムが使用され、単体でも複合フィルムでもよい。また、包材(C)は、脱酸素樹脂シート(A)に熱融着性樹脂(c)のコーティングにより形成されたガスバリア性フィルムであっても、またホットメルト接着剤層により接着されたガスバリア性フィルムであってもよい。
上記の包材(C)また包材(B)は、脱酸素樹脂シート(A)に面する側が熱融着性樹脂からなり、本発明の目的を達成することができるものであれば、更めて熱融着性樹脂層を設ける必要は必ずしもない。
【0018】
包材(B)および包材(C)の厚さは、それぞれ、通常、0.01〜5mmの範囲に適宜選ぶことができるが、包材(B)と包材(C)の厚さの和は、脱酸素樹脂シート(A)の厚さの1/10以上、好ましくは1/8以上である必要がある。包材(B)および(C)の厚さは、それぞれ、上記の厚さより薄くなると、超音波溶断に際し、溶断された端面が包材で被覆され難くなり、脱酸素樹脂シートが露出して脱酸素剤の染み出しや脱酸素樹脂シートの接触による汚染の原因となる。
【0019】
本発明においては、超音波溶断に際し、包材(B)/脱酸素樹脂シート(A)/包材(C)からなる積層体は、脱酸素樹脂シート(A)の両面に、それぞれ、包材(B)および(C)を熱融着性樹脂層が面するように単に重ね合わせただけの積層体であっても、または、脱酸素樹脂シート(A)と包材(B)および(C)のいずれか1層又は2層とが予め熱ラミネート等により接着処理した積層体であってもよい。脱酸素樹脂シート(A)が重ね合わせで包材と固定されていない方が、超音波溶断に際して、脱酸素樹脂シート(A)の溶断部が包材に被覆され易く、より容易に脱酸素樹脂シート(A)の端面の露出のないものとすることができる。
さらに超音波溶断されるべき上記積層体は、各部材が熱溶断可能なプラスチックスを主体にするものであるが、脱酸素樹脂シート(A)、包材(B)および包材(C)の各部材は、本発明の方法により切断できることができるかぎり、プラスチックス以外の紙等の材料を含むことができる。
【0020】
本発明における超音波溶断は、超音波を発振する超音波ホーンおよび受け治具からなる切断機を備えた超音波溶断装置を用いて行われる。この切断機の超音波ホーンと受け治具との間に前記積層体を挟み、超音波を発振して積層体を発熱させながら、応力をかけて溶断する。超音波ホーンおよび受け治具は、少なくともどちらか一方の先端部は刃型をなしている。この刃型の形状は、例えば、円型、四角型、星型等、切断しようとする所望の形状の刃型を選ぶことにより、シート状脱酸素剤を所望の形状に切断することができる。
【0021】
超音波ホーン又は受け治具の刃型の刃角は、5〜175度、好ましくは15〜165度の範囲にある必要がある。刃型の刃角が鋭角でありすぎると、脱酸素樹脂シートの溶断された端面に包材が十分被覆されず、脱酸素樹脂シート(A)が露出して染みだし等の問題が起こる。また刃型の刃角が鈍角にすぎると、溶断しようとする部位以外にも超音波による振動が伝わって融着が起こり、脱酸素剤シートの機能が低下したり、また形状が歪んだものとなる。
【0022】
さらに刃型は、ナイフエッジの先端部が0.01〜3mm、好ましくは0.5〜2mmの幅で、先端部は実質的に平面をなしている必要がある。刃型の先端部の幅が上記より狭いと、超音波溶断に際し、ナイフエッジの先端部で包材(B)、(C)同志が直接接触して圧される段階がなくなり、熱融着性樹脂(b)と(c)との融着が起こることなく切断されてしまい、端面に脱酸素樹脂シート(A)の切断面が残って汚染や染みだしの問題が発生する。また刃型の先端部の平面部の幅が上記の幅をこえて広くなりすぎると、溶断面にばり等ができて外観が悪くなるだけでなく、溶断に大きな出力を必要とし、また、溶断に時間がかかり生産性が低下することになるので、好ましくない。
【0023】
超音波溶断に際し、超音波の出力および周波数は、溶断する積層体の材質や厚さ、切断速度に応じて、切断端面の被覆状況を勘案して適宜選ぶことができ、周波数は10〜70KHzの範囲に選ばれる。
【0024】
次に、図面ににそって超音波溶断の実施例を説明する。
図1に示すように、超音波ホーン8は台形であり、台上部の面上に置かれた包材(B)/脱酸素樹脂シート(A)/包材(C)からなる積層体に向けて超音波が下方から上方に発振される。受け治具9は円環状で先端が刃型をなし、超音波ホーン8の台上部の面上を上下に可動して切断の役割を果たす。溶断に際し、積層体は、包材(B)、(C)いずれの側が刃型に面してもよい。
超音波溶断の様子は、図4の模式図に示すことができる。先ず図4−1の第1段階で、超音波ホーン8の面上に置かれた上記積層体は、超音波の発振を受けて内部から発熱し、熱可塑性樹脂(a)、熱融着性樹脂層(b)及び(c)が軟化、熱融着する。この時、積層体の内部の樹脂は、脱酸素樹脂シート(A)の熱可塑性樹脂(a)から軟化するために、図4−2の段階で、受け治具9が下降して刃型に押されると、溶断部では脱酸素樹脂層(A)が左右に排除され、包材(B)の熱融着性樹脂層(b)と包材(C)の熱融着性樹脂層(c)とが圧着され熱融着し、最後に図4−3のごとく、ナイフエッジの先端平面部で圧断される。
超音波溶断は、複数個1度に溶断することも、また、積層体または超音波溶断機を平行移動し、所望の形状に順次溶断していくことも可能である。また、これらの方法を組み合わせて行うことも可能である。
【0025】
【実施例】
実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
脱酸素樹脂シートの製造:
鉄粉(平均粒径70μm)に塩化ナトリウムを被覆してなる鉄粉系脱酸素剤100重量部とポリエチレン100重量部とを混合後190℃に加熱溶融し、押出機によりシート状に製膜した。次いで、このシートを50℃で縦方向に4倍延伸して、厚さ0.5mmの高性能の脱酸素樹脂シートを得た。
【0026】
シート状脱酸素剤の製造:
上記脱酸素樹脂シートの通気性包材および非通気性包材として、それぞれ、延伸ナイロン(15μm)/ポリエチレン(15μm)のフィルムに孔を開けた有孔フィルム(孔径0.8mm、開孔率7%)と耐水性不織布「ルクサー」(旭化成製)(約200μm)とを熱ラミネートした通気性シート、および、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/ポリエチレン(15μm)/エチレン−酢酸ビニル共重合体(15μm)からなる非通気性フィルムを準備した。
上記通気性包材のルクサー面および非通気性包材のエチレンビニルアセテート面が、それぞれ、上記脱酸素樹脂シート面に合わさるようにして、通気性包材/脱酸素樹脂シート/非通気性包材の順に重ね合わせ、この重ね合わせた積層材を次のごとく超音波溶断機を用いて所望の形状に次々に溶断し、シート状脱酸素剤を製造した。
【0027】
超音波溶断機(日本ヒューチャアー(株)製造、出力;1.2KW)に取り付けた超音波振動ホーン(外径45mm)の上にリング状受け治具(刃角120度、刃型の外径40mm、先端部分0.1mm幅、)を設け、超音波振動ホーンと受け治具との間に上記の重ね合わせた積層材を挟み込み、受け治具に150kgの力を加えると同時に、超音波(20KHz)を発振し、0.2秒で積層材を円形に溶断して、シート状脱酸素剤(40mmφ)を製造した。
【0028】
蒸しケーキの保存テスト:
上記のシート状脱酸素剤(40mmφ)の上に蒸しケーキ(約50mmφ)をのせ空気150mlと共にトリプルナイロン(オザキ軽化学製)の袋に入れ、袋を密封した。このようにシート状脱酸素剤と共に蒸しケーキを密封した袋を25℃下に保存し、保存容器内の臭気及び蒸しケーキの脱酸素剤接触面の変化を観察した。蒸しケーキの保存テストの結果は表1に示した。
【0029】
比較例1
実施例1に準備したのと同じ脱酸素剤樹脂シート、通気性包材および非通気性包材を同様に通気性包材/脱酸素樹脂シート/非通気性包材の順に重ね、120℃の熱ロールにより熱ラミネートした。この積層シートをトムソン刃(40mmφ)を取り付けた打抜き機で円形に打ち抜いて、シート状脱酸素剤(40mmφ)を製造した。
上記シート状脱酸素剤を用い実施例1と同様な方法で蒸しケーキの保存テストを行った。比較例1の結果を表1に示した。
【0030】
比較例2
比較例1に作成した同じ熱ラミネートした積層シートを、次の方法ににより熱溶断した。実施例1に使用した超音波溶断の受け治具と同様の形状のリング2個を200℃に熱し、加熱したこのリングを前記積層シートの上下から押しつけて熱溶断してシート状脱酸素剤(40mmφ)を製造した。
上記シート状脱酸素剤を用い実施例1と同様な方法で蒸しケーキの保存テストを行った。比較例2の結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、脱酸素樹脂シートを通気性プラスチックフィルムで被覆包装し超音波溶断することにより、脱酸素樹脂シート断面の被覆処理を実質的に完全なものとすることができる。このため、本発明シート状脱酸素剤は、脱酸素剤の食品への汚染や染みだしがなく安全衛生性に優れ、かつ、その優れた酸素吸収性能を発揮することができる。しかも、製造に際し、その形状はいろいろなものが自由に生産でき、シート状脱酸素剤の生産性が高く、その製造方法は商用生産性に優れた方法となる。
【0033】
また、本発明のシート状脱酸素剤は、従来の小袋状の脱酸素剤で問題のあった、破袋による内容物のこぼれ出しがなく、また、シート状であるために誤食の心配もない。しかも、端面の染みだしの心配もなく食品に接触しても安心して使用でき、そのシート状の形態を利用して、食品の台紙、しおり等に用いることができる。その上、本発明によれば自由な形状に溶断できるため、好みの形状にして食品の飾り付けの一部としても使用できる。このため、単に従来の小袋状脱酸素剤が与える異物感は排除できるだけでなく、商品価値を高める包装材料の一つとしても利用できるものである。
本発明は酸化劣化防止、黴発生防止、好気性菌発生防止等の効果がある脱酸素剤をシート状にして、包材と共に超音波により溶断することにより、容易に、生産性良く、自由な形状で脱酸素剤包装を可能とするものである。特に、生産性、経済性に優れた方法でシート状脱酸素剤の端面の隠ぺい性を高め、安全衛生性を優れたものにしたことにより、シート状の脱酸素剤の形状的な特性を充分に生かした脱酸素剤を得ることを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 超音波溶断機により溶断されるシート状脱酸素剤の断面図
【図2】 溶断されたシート状脱酸素剤の断面図
【図3】 刃型部分の断面図
【図4】 刃型部分が、図4−1→図4−2→図4−3と下降することにより、シート状脱酸素剤が溶断される状態を模式的に示す。
【符号の説明】
1 脱酸素樹脂シート(A)
2 通気性包材(B)
3 通気性または非通気性包材(C)
4 通気性フィルム
5 脱酸素樹脂シートと熱融着可能な樹脂層(c)
6 脱酸素樹脂シートと熱融着可能な樹脂層(b)
7 通気性または非通気性フィルム
8 超音波振動ホーン
9 受け治具
10 刃角
11 刃型先端部の平面幅
Claims (4)
- 脱酸素剤組成物を熱可塑性樹脂(a)中に分散してなる脱酸素樹脂シート(A)の片面に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(b)を有する単層又は多層の通気性包材(B)を該熱融着性樹脂層(b)が面するように配し、かつ、
脱酸素樹脂シート(A)の他面に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(c)を有する単層又は多層の通気性又は非通気性包材(C)を該熱融着性樹脂層(c)が面するように配してなる積層体を
超音波溶断により所望の形状に切断してなるシート状脱酸素剤。 - 超音波溶断による溶断部から脱酸素剤組成物の染み出しや脱酸素樹脂シートとの接触による汚染がなく、切断部において脱酸素樹脂シート(A)が露出していないことを特徴とする請求項1記載のシート状脱酸素剤。
- 熱融着性樹脂層(b)及び熱融着性樹脂層(c)の軟化点が熱可塑性樹脂(a)の軟化点に等しいか又はそれより高いことを特徴とする請求項1記載のシート状脱酸素剤。
- 脱酸素剤組成物を熱可塑性樹脂(a)中に分散してなる脱酸素樹脂シート(A)の片面に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(b)を有する単層又は多層の通気性包材(B)を該熱融着性樹脂層(b)が面するように配し、かつ、
脱酸素樹脂シート(A)の他面に、少なくとも一面に熱融着性樹脂層(c)を有する単層又は多層の通気性又は非通気性包材(C)を該熱融着性樹脂層(c)が面するように配してなる積層体を、
超音波溶断により所望の形状に切断することを特徴とするシート状脱酸素剤の製造方法。
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JP18241294 | 1994-08-03 | ||
JP6-182412 | 1994-08-03 | ||
JP19865095A JP3812596B2 (ja) | 1994-08-03 | 1995-08-03 | シート状脱酸素剤及びその製造方法 |
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