JP3661715B2 - シート状脱酸素剤包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状脱酸素剤包装体に関するものであり、更に詳しくは、少なくとも片面が通気性フィルムと通気性シートを貼り合わせることなく重ねた二重包装材料からなり、シート状脱酸素剤が収納され周縁部がヒートシールされた電子レンジ耐性を有することを特徴とするシート状脱酸素剤包装体に関するものである。本発明のシート状脱酸素剤包装体は、電子レンジ調理に供される食品等の品質保持に広く用いられる。
【0002】
【従来の技術】
脱酸素剤包装体は、酸素吸収可能な素材を通気性のある小袋に収納し、これを食品などと共に包装密封し、その食品などの保存、品質保持を図るものであり、近年、食品保存技術の一つとして確立され、多種多様な食品へ使用されている。また、脱酸素剤包装体は医薬品分野、金属製品の防錆分野などの他、空気中の酸素が悪影響を及ぼす分野で使用され、使用分野が拡大している。従来の脱酸素剤包装体は、安全性、酸素吸収率、コスト等の観点から鉄粉類を主成分とした素材のものが多く、包装材料としては、例えば、紙と有孔ポリエチレンフィルムを積層したものや、穿孔プラスチックフィルムと紙と有孔ポリエチレンフィルムを積層したものが用いられている。
【0003】
一方、食品等の殺菌および加熱方法としてマイクロ波殺菌や電子レンジによる加熱が一般的に行われている。これに伴い最近、食品とともに脱酸素剤包装体を封入し、脱酸素剤包装体を入れたままマイクロ波殺菌をしたり、電子レンジで加熱調理する必要性が多くなってきた。特に調理済み食品を包装したまま家庭での電子レンジによる加熱処理するものについては、その包装食品内に脱酸素剤包装体を封入しておくことが望ましく、上記必要性は極めて大きい。
【0004】
しかし、上記従来の脱酸素剤包装体ではマイクロ波を照射するとマイクロ波が包装材料を透過し、袋内の脱酸素剤にマイクロ波が吸収され発熱が起こり、その結果、脱酸素剤を収納する包装材料が焼損したり、あるいは、食品等から包装体内に移行した水分が急速に加熱されることにより気化、膨張し、その圧力で包装袋のシール部が剥離し、収納されていた脱酸素剤が吐出し、食品、医薬品等を汚染するという欠点があった。
【0005】
特開昭63−82967号公報には、導電性の層を有するとともに通気性を備えている包装材料を用いて、脱酸素剤包装体を加熱しない等の工夫もなされているが、この方法ではマイクロ波を照射すると導電性の層がマイクロ波を反射し、スパークするという欠点があった。
【0006】
また、特開平2−413号公報には、主成分である鉄粉に大量の微粒子フィラーを混合することにより、鉄粉を分散させ、マイクロ波照射時の鉄粉凝集部の高温化を防止するという方法が提案されているが、この方法では充填包装時の微粒子フィラーによる粉塵発生、粉カミ等の問題があるとともに、さらに連続包装体として自動切断投入機等を使用する場合に、切断ミスが発生すると袋内の粉末が飛散し、食品等を汚染する等の欠点があった。特に、無菌食品等を生産するクリーンルーム内では、飛散粉末のクリーニング作業等により生産性を著しく阻害する等が問題となった。
【0007】
一方、特開平2−72851号公報には、高性能シート状脱酸素剤が開示されているが、電子レンジ調理用食品等への適用性については言及されておらず、電子レンジ調理食品等へ本願を適用した場合には、マイクロ波照射時の包装体の破袋発生、臭気上の問題、高湿度食品保存時の酸素吸収持続性等多くの問題があり、実質上適用困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的としては、電子レンジ等のマイクロ波照射によるスパークおよび包装体の破裂を防止し、電子レンジ耐性に優れること、脱酸素剤包装体の充填包装時の粉塵、粉カミ等の問題を無くすとともに、適用時の安全衛生性の向上を図ること、さらに、食品適用に於ける風味等の品質保持に優れたシート状脱酸素剤包装体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、例えば片面が通気性フィルムと通気性シートを貼り合わせることなく重ねた二重包装材料と他面に非通気性フィルムを配置し、シート状脱酸素剤を収納して周縁部をヒートシールした片面二重包装形態をとり、電子レンジ耐性を有するシート状脱酸素剤包装体とすることにより、上記技術課題の解決を図ったものである。
【0010】
高水分食品と共に本発明のシート状脱酸素剤包装体を同封しガスバリアー袋に密封保存された後、開封し電子レンジ調理した場合、シート状脱酸素剤包装体にマイクロ波が照射されると、包装体内の水分が加熱されて急激に気化するが、本願構成のシート状脱酸素剤包装体によれば、通気性包装材料のガス透過性をガーレー式透気度200秒/空気10cc以下、好ましくは100秒/空気100cc以下とすることにより、包装体内の水蒸気を包装体外に除去することができるため、その圧力による破袋は生じない。また、鉄粉が樹脂に分散されていることから、スパーク等の問題も無いことを発見し、本願発明に至った。
【0011】
本発明における包装体の形態としては、有孔ポリエステルフィルム等の有孔プラスチックフィルム(以下、通気性フィルムともいう)を外側にし、紙と有孔ポリエチレン等とを積層接着したもの(以下、通気性シートともいう)を内側にして、この両者を貼り合わせることなく重ねた二重包装材料を片面とし、他面を非通気性フィルムとして、その周縁部をヒートシールしたものが好ましい。両面を二重包装材料とした場合、包装適性上、熱伝導が悪く、シール性に劣ると共に、コストが高い等の問題がある。更に、本願発明のシート状脱酸素剤包装体は、片面をホットメルト、両面テープ等により包装袋内面に固定化して使用されることが多く、非通気性フィルムとホットメルト、両面テープ等との接着性が良好であることから、固定化適性に優れる。
【0012】
更には、本願発明のシート状脱酸素剤包装体を連続包装体として自動切断投入機等で切断投入する場合に、光電管マークを付与することが必須となるが、有孔フィルム光電管マークを付けた場合、光電管マークセンサーでの検知が有孔部の障害により不安定となることから、片面を非通気性フィルムとし、該非通気性フィルム側へ光電管マークを付与することが好ましい。以上の点から、シート状脱酸素剤包装体の場合、生産加工安定性、連続包装体の自動切断適性等から、片面二重包装形態が最適であり、また、片面に通気性フィルムと通気性シートを貼り合わせず、両者の間に空間を設けることで水蒸気圧によるシール部の剥離や相関剥離防止に有効である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に付いて詳しく説明する。
通気性フィルムおよび非通気性フィルムを構成するプラスチックフィルムとしては包装体の製造上および使用上から強度が大きいものが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート等のフィルムとシール層としてポリエチレン(LLDPEを含む)、アイオノマー、ポリブタジエン、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマーまたはエチレン酢酸ビニル共重合体等のフィルムとを積層接着した積層フィルム、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート等のフィルムに、シール層としてホットメルト等の接着剤を塗布したフィルム材料などが使用できる。さらに、上記包装材料に耐破損性を向上させるためにワリフ、不織布等の補強材を追加して用いることも可能である。
【0014】
上記プラスチックフィルムの中で、強度、製造上の取り扱い性等を考慮すると、ポリエチレンテレフタレートのフィルムにシール層としてポリエチレン等のヒートシール性フィルムを積層した積層フィルムが最も好ましい。厚さとしては、20〜150μが好ましく、30〜100μが特に好ましい。薄すぎるとヒートシール性に劣り、厚すぎるとホットタック性に劣り包装適性が問題となる。本発明で用いる通気性フィルムは前記プラスチックフィルムに通気性を付与したものである。通気性を付与する方法としては、一般に実践されている打ち抜き、冷針、熱針による開孔等の他、種々の方法が採用可能である。通気性は穿孔する孔の径、数、材質等により自由に調節することができるが、孔の大きさはその長径が0.02〜3mmの範囲で、0.1〜1mmが好ましい。また、開孔率(孔の合計面積/袋の全面積)は0.1〜30%の範囲で、1〜30%%の範囲で選択するのが望ましい。また、開孔率は、二重包装として重ねる通気性シートの通気性との関連で、二重に重ねた際のガーレ式透気度が200秒/空気100cc以下、好ましくは30秒/空気100cc以下に調整する範囲で設定される。
【0015】
通気性フィルム、非通気性フィルムに商標等の印刷を施してもかまわない。さらに非通気性フィルムに定間隔の光電管マークを印刷することで、連続包装体として自動切断投入機等を使用する場合に、容易に切断、投入を行うことが可能となる。
【0016】
また、通気性シートを構成する包装材料としては、内容物が粉漏れすることなく、通気性がガーレー式透気度で、200秒/空気100cc以下、以下特に30秒/空気100cc以下が好ましく、少なくとも片面が熱シール性を有するものが使用可能である。例えば、紙または不織布等と、シール層として穿孔加工を施したポリエチレン(LLDPEを含む)、アイオノマー、ポリブタジエンまたはエチレン酢酸ビニル共重合体等のフィルムとを積層した通気性シートが使用可能である。積層シートの通気性は穿孔加工により自由に調節できる。孔の大きさは0.02〜3mmの範囲で、0.5〜2mmが好ましい。また、開孔率(孔の合計面積/袋の全面積)はガーレー式透気度を考慮して0.1〜30%の範囲で選択するのが望ましい。積層シートの厚さは強度、製造上の取り扱い性等を考慮して、30〜300μが好ましく、50〜200μが特に好ましい。また、この積層シートに耐水性、耐油性を持たせるために紙、不織布等に耐水剤、耐油剤を塗布したものを使用することも可能である。さらに、耐破損性を向上させるためにワリフ、不織布等の補強材を用いることも可能である。
【0017】
なお上記の例示以外にも種々の構成の包装材料を使用の目的に応じ適宜選択可能である。本発明で用いられるシート状脱酸素剤は、鉄系脱酸素剤を熱可塑性樹脂と混合し、シート化後延伸してなる脱酸素層と、脱臭作用のある素材を含有する脱臭層を片面に積層させたものである。脱酸素層に用いられる鉄粉系脱酸素剤は鉄粉を主剤とし、ハロゲン化金属塩を含み、必要に応じて水難溶性フィラー等の成分を添加することができる。この鉄系脱酸素剤は上記成分の単なる混合物でも良いが、鉄粉の表面をハロゲン化金属塩で被覆あるいはハロゲン化金属塩を分散付着させたものが好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、電解鉄粉、噴霧鉄粉等が用いられる。ハロゲン化金属としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が用いられる。
【0018】
ハロゲン化金属塩は、食品に含まれる水分が鉄粉に移行することを促進するとともに、鉄粉の酸化に触媒として作用し、酸素吸収速度を促進するものである。本発明に用いるシート状脱酸素剤の主剤となる鉄系脱酸素剤は鉄粉100重量部に対し、ハロゲン化金属塩0.4〜2重量部の割合で被覆したものが好ましい。ハロゲン化金属塩が0.4重量部未満では、充分な酸素吸収速度が得られない。また2重量部を超えると、高水分食品と共に保存した際、過剰に水分が移行するため、シート状脱酸素剤が水分で覆われ、酸素との接触を断たれて酸素吸収能力が低下するおそれがある。この場合、保存食品容器内へ透過してくる酸素量に対し、酸素吸収能力が充分発揮されないため、保存食品容器内の酸素濃度を低濃度に維持することが困難となる。
【0019】
熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂が用いられる。シート状脱酸素剤は、鉄粉系脱酸素剤30〜85重量部に対し、上記の熱可塑性樹脂を15〜75重量部の割合で混練、溶融してシート化し、延伸される。延伸倍率は1.5〜10倍が好ましい。
【0020】
シート状脱酸素剤の厚さは製造の際の加工性から、通常0.05〜4mmであり、使用目的により選択可能である。本発明で用いるシート状脱酸素剤の厚さは1〜3mmが好ましい。厚さ1mm未満では、充分な酸素吸収能力を得るには大面積のシート状脱酸素剤が必要となり、保存する食品よってはシート状脱酸素剤包装体を投入できないという場合もある。また、厚さ3mmを超えると取り扱い性、袋内への収納時の切断が困難となり実用的でない。
【0021】
さらに、シート状脱酸素剤に酸素吸収を補助する含水シート層を積層したものでもよく、酸素以外のガス吸着、ガス発生等の付加機能を持たせるための組成物を鉄粉系脱酸素剤に混合したり、あるいはこれらの組成物を含む層を積層したものでもよい。
【0022】
また、該方式によるシート状脱酸素剤は、鉄粉系脱酸素剤と熱可塑性樹脂を高温で溶融押し出しすることにより、鉄により樹脂分解が起き異臭を発生する場合が認められる。特に、本願シート状脱酸素剤包装体が目的とする高水分電子レンジ調理に供される食品へ適用する際には、香り・風味保持上の工夫が必須であり、且つ電子レンジによるマイクロ波照射に対して支障のないことが必要となる。本願発明で使用するシート状脱酸素剤としては、脱臭剤、例えば粉末活性炭、モレキュラシーブ、ゼオライト、他を直接添加したシート状脱酸素剤、または上記脱臭剤等を紙または不織布等へ分散固定化した脱臭シートを片面に積層したシート状脱酸素剤が好適に用いられる。より好ましい形態として脱臭シートを積層したシート状脱酸素剤が挙げられる。たとえ脱臭剤が電子レンジ耐性上劣っていても、樹脂または紙、不織布等に分散することにより実用上の電子レンジ耐性を得ることが可能となる。
【0023】
シート状脱酸素剤は、保存食品から蒸散する水分を利用する水分依存型もしくは保存食品から蒸散する水分をそれほど必要としない自力反応型の何れであってもよいが、製造上及び取り扱い上、水分依存型が好ましい。したがって、保存する食品としては、水分含有率8%以上の食品が好ましく、特に好ましくは食品保存容器内の相対湿度が85%以上となるような高湿食品へ適用される。
【0024】
また、適用される具体的な食品としては、米、麦、豆、玄そば等で例示される雑穀類、やきとり、ハンバーグ、コロッケ、アメリカンドッグ、一口カツ等で例示される各種フライものや、ハム、ソーセージ等で例示される食肉加工類、魚の焼き物、魚のフライ、蒸しもの、蒲鉾、竹輪、等で例示される水産加工品ないしは水産練り製品、餃子、シュウマイ、等の蒸しもの類、饅頭、ドラ焼き、大福、等で例示される和菓子類、ケーキ、バームクーヘン、等で例示される洋菓子類、赤飯、炒飯、混ぜご飯、炊飯米、等で例示される米麦加工品類、ゆでうどん、生そば、ヤキソバ、スパゲティー、等で例示される各種麺類、他が挙げられる。特に、バリアートレーに装填された無菌炊飯米等には好適に適用される。
【0025】
【実施例】
実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
【0026】
〔実施例1〕
鉄粉100重量部に対し、0.7重量部の割合で塩化ナトリウムを被覆した鉄系脱酸素剤(平均粒径70μm)60重量部とポリエチレン40重量部とを190℃で混練押し出してシート状とした後、縦方向に4.9倍延伸して得られた脱酸素層に粉末活性炭を不織布へ分散させた脱臭層を積層して厚さ1.6mmのシート状脱酸素剤を得た。このシート状脱酸素剤を切断し、寸法20mm×25mmとした。
【0027】
ポリエチレンテレフタレートフィルムに、シール層としてポリエチレンフィルムを積層した積層フィルムに穿孔加工を施した通気性フィルムのシール層側と、耐水紙にシール層として有孔ポリエチレンを積層した通気性シートの耐水紙側を張り合わせることなく重ねて二重包装材料を得た。この二重包装材料のガーレー透気度は20秒/空気100ccであった。非通気性フィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムに、シール層としてポリエチレンフィルムを積層した2層フィルムを使用した。上記二重包装材料の通気性シートのシール層側と非通気性フィルムのシール層が接するように重ね3方をヒートシールし、片面二重包装袋(30mm×45mm)を得た。
【0028】
上記シート状脱酸素剤の脱酸素層が上記二重包装材料の通気性シートと接するように、片面二重包装袋にシート状脱酸素剤を通気性シートと非通気性シートの間に収納し、残り1方をヒートシールし、シート状脱酸素剤包装体を得た。
【0029】
KON/PEで構成されるガスバリアー性フィルムからなる3方シール袋(100mm×130mm)の内面に、上記シート状脱酸素剤包装体、水分供与体(脱脂綿に蒸留水を含ませたもの)を固定化し、袋口をヒートシールして密封した。このときの袋内の空気量は100ccであった。同様にして3袋作成し、25℃下に保存した。15時間後、24時間後に袋内の酸素濃度を分析し、その後、袋内のシート状脱酸素剤を取り出し、電子レンジ(出力500W)によるマイクロ波照射を5分間行い、シート状脱酸素剤の外観形状の変化を観察した。結果を表1に示す。
【0030】
〔比較例1〕
二重包装材料の代わりに、ポリエチレンテレフタレートフィルム/耐水耐油紙/ポリエチレンフィルムで構成された積層シートに穿孔加工を施した通気性シート(ガーレー透気度1500秒/空気100)を用いた以外、全て実施例1と同様にして、シート状脱酸素剤包装体を得、実施例1と同様の試験及び観察を実施した。結果を表1に示す。
【表1】
【0031】
【0032】
表1の結果に示すように実施例1ではマイクロ波を5分間照射しても、シート状脱酸素剤の外観に異常は見られなかった。一方、比較例1ではすべての検体で30秒以内に破袋が起きた。
【0033】
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、シート状脱酸素剤包装体を得た。クラス100のクリーンルーム内にて、あらかじめ殺菌処理したガスバリヤー性の高いトレーに無菌炊飯米200gを封入し、殺菌処理した上記シート状脱酸素剤包装体をホットメルト剤で固定化した後、ガスバリヤー性のあるフィルムで密封した。この炊飯米包装体を3日目に炊飯米包装体内の酸素濃度を分析した後、25℃下で60日及び90日間保存し、保存後の炊飯米包装体内の酸素濃度を分析後、シート状脱酸素剤を封入したまま、電子レンジ(出力500W)によるマイクロ波照射を10分間行い異常の有無を調べた。また、上記条件で保存した炊飯米包装体を電子レンジ(出力500 W)で2分間マイクロ波加熱を行い、官能試験を実施した。結果を表2に示す。
【0034】
〔実施例3〕
ハロゲン化金属を塩化カルシウムとし被覆量を、鉄粉100重量部に対し2重量部の割合で被覆したこと以外、全て実施例1と同様にして、シート状脱酸素剤包装体を得た。このシート状脱酸素剤包装体を用いて、実施例2と同様にして、炊飯米包装体の保存試験及び官能試験を実施した。結果を表2に示す。
【0035】
〔比較例2〕
ハロゲン化金属として塩化ナトリウムを用い被覆量を、鉄粉100重量部に対し5重量部の割合で被覆したこと以外、全て実施例1と同様にして、シート状脱酸素剤包装体を得た。このシート状脱酸素剤包装体を用いて、実施例2と同様にして、炊飯米包装体の保存試験及び官能試験を実施した。結果を表2に示す。
【0036】
〔比較例3〕
ハロゲン化金属を塩化カルシウムとし被覆量を、鉄粉100重量部に対しに対し0.3重量部の割合で被覆したこと以外、全て実施例1と同様にして、シート状脱酸素剤包装体を得た。このシート状脱酸素剤包装体を用いて、実施例2と同様にして、炊飯米包装体の保存試験及び官能試験を実施した。結果を表2に示す。
【0037】
〔比較例4〕
脱臭シートを積層しないこと以外、全て実施例1と同様にして、シート状脱酸素剤包装体を得た。このシート状脱酸素剤包装体を用いて、実施例2と同様にして、炊飯米包装体の保存試験及び官能試験を実施した。結果を表2に示す。
【0038】
〔比較例5 〕
シート状脱酸素剤の代わりに、市販の鉄粉系脱酸素剤(三菱ガス化学( 株) 製、エージレスFX―20)を用いる以外は、実施例2と同様にして炊飯米包装体を作成し、保存試験及び官能試験を実施した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
表2
【0040】
表2の結果より、実施例2及び実施例3ではマイクロ波照射時の異常の有無、酸素吸収状況、炊飯米の風味は良好で、長期間常温保存による食品の品質保持が確認された。一方、比較例2では、酸素濃度の上昇が見られ、比較例3では、初期酸素吸収速度が小さいとの結果であり、比較例4では保存後の異臭が認められた。比較例5の市販脱酸素剤においては、マイクロ波照射によりスパークが発生し、包装体が破損した。
【0041】
【発明の効果】
本発明のシート状脱酸素剤包装体は、保存食品に封入された状態で、電子レンジ等によるマイクロ波照射がなされたとしても、スパークや包装体の膨れ、破袋等の問題がなく電子レンジ耐性に優れ、且つ、シート状脱酸素剤を用いたことで、充填包装時の粉塵発生、粉カミ等の問題も解決でき、また、保存食品への脱酸素剤投入時に切断ミスが仮に発生したとしても、従来の小袋状の脱酸素剤のように包装体内の内容物が飛散することがないため、安全衛生上にも優れる。更には、香り保持・風味保持性に優れ長期間食品の品質を変化させることなく、各種高湿食品を保存することを可能とする優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一態様を示すシート状脱酸素剤包装体の断面図
【図2】 本発明のシート状脱酸素剤包装体をトレーパック炊飯米包装体のトップシール内面に固定化して適用した食品包装体の断面図を示す。
【符号の説明】
10 シート状脱酸素剤包装体
20 通気性フィルム
21 有孔PET(ポリエステルフィルム)
22 有孔PE(ポリエチレンフィルム)
25 通気性シート
26 耐水紙
27 有孔PE(ポリエチレンフィルム)
30 非通気性フィルム
31 無孔PET(ポリエステルフィルム)
32 無孔PE(ポリエチレンフィルム)
35 孔
40 シート状脱酸素剤
41 脱酸素層
42 脱臭層
51 トップフィルム
52 ガスバリヤー性トレー
53 ホットメルト剤
60 炊飯米
Claims (4)
- 片面に通気性フィルムと通気性シートを貼り合わせることなく重ねた二重包装材料、他面に非通気性フィルムを配置し、シート状脱酸素剤を収納して周縁部をヒートシールした片面二重包装形態をとるシート状脱酸素剤包装体であって、
前記非通気性フィルムに光電管マークを付与してなるシート状脱酸素剤包装体。 - 通気性フィルムが、開孔されたプラスチックフィルムである請求項1記載のシート状脱酸素剤包装体。
- 請求項1記載のシート状脱酸素剤包装体からなる連続包装体。
- 請求項1記載のシート状脱酸素剤包装体を連続包装体として自動切断投入機で切断投入する、シート状脱酸素剤包装体の投入方法。
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1996
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