JPH089669B2 - 配向ポリエステルフイルム - Google Patents

配向ポリエステルフイルム

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JPH089669B2
JPH089669B2 JP61275014A JP27501486A JPH089669B2 JP H089669 B2 JPH089669 B2 JP H089669B2 JP 61275014 A JP61275014 A JP 61275014A JP 27501486 A JP27501486 A JP 27501486A JP H089669 B2 JPH089669 B2 JP H089669B2
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明人 濱野
泰弘 西野
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は配向ポリエステルフイルムに関する。更に詳
しくは炭酸塩、硫酸塩およびリン酸塩よりなる不活性無
機粒子のポリエステルとの親和性を改良し、透明性およ
び耐摩耗性に優れた配向ポリエステルフイルムを提供す
ることにある。
(従来の技術) 一般にポリエチレンテレフタレートに代表されるごと
きポリエステルは、その優れた物理的および化学的諸特
性の故に、繊維用、成型品用の他、磁気テープ用、写真
用コンデンサー用、包装用などのフイルム用としても多
種の用途で広く用いられている。これらフイルム用とし
て用いられる場合、その滑り性および耐摩耗特性はフイ
ルムの製造工程および各用途における加工工程の作業性
の良否、さらにはその製品品質の良否を左右する大きな
要因となつている。特にポリエステルフイルム表面に磁
性層を塗布し磁気テープとして用いる場合には、磁性層
塗布時におけるコーテイングロールとフイルム表面との
摩擦および摩耗が極めて激しく、フイルム表面へのしわ
および擦り傷が発生しやすい。また磁性層塗布後のフイ
ルムをスリツトしてオーデイオ、ビデオまたはコンピユ
ーター用テープ等に加工した後でも、リールやカセツト
等からの引き出し巻き上げその他の操作の際に、多くの
ガイド部、再生ヘツド等との間に摩擦および摩耗が著し
く生じ、擦り傷、歪の発生さらにはポリエステルフイル
ム表面の削れ等による白粉状物質を析出させる結果、磁
気記録信号の欠落、即ちドロツプアウトの大きな原因と
なることが多い。一般にフイルムの滑り性および耐摩耗
性の改良には、フイルム表面に凹凸を付与することによ
りガイドロール等との間の接触面積を減少せしめる方法
が採用されており、フイルム原料に用いる高分子の触媒
残渣から不溶性の粒子を析出せしめる方法や、不活性の
無機粒子を添加せしめる方法等が用いられている。
確かにこれらの方法により滑り性や耐摩耗性を向上さ
せることができる。しかしながら不活性無機粒子を添加
せしめる方法の場合、有機成分であるポリエステルとの
親和性が充分でないため、延伸等により粒子とポリエス
テルとの界面で剥離が起り粒子の囲りにボイドが発生す
る。そのため透明性や耐摩耗性が低下し解決すべき問題
となつている。特に無機粒子として炭酸塩、硫酸塩およ
びリン酸塩よりなる不活性無機粒子を用いた時は良好な
滑り性が付与できるにもかかわらず、ポリエステルとの
親和性が著しく悪く、その結果、得られたフイルムの透
明性や耐摩耗性が劣るという問題があり、この点の改良
が強く要望されていた。特開昭60−71632号公報にはカ
ルボン酸化合物(例えばポリアクリル酸ナトリウム)の
存在下で破砕処理した炭酸カルシウムをポリエステルに
添加することが記載されているが、破砕処理したのでは
外接円に対する面積率の大きい不活性粒子にはなりえな
い技術であり、本願発明の目的である透明性、滑り性、
耐摩耗性のバランスはとれなかった。
(発明が解決しようとする問題点) 前記従来技術の実情にかんがみ、炭酸塩、硫酸塩およ
びリン酸塩よりなる無機粒子とポリエステルとの親和性
を改良し透明性、滑り性および耐摩耗性に優れた配向ポ
リエステルフイルムを提供せんとするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は下記一般式を満足する量のポリアクリル酸系
ポリマーを粒子表面に付着させた平均粒径が0.05μm以
上5.0μm以下の炭酸塩、硫酸塩およびリン酸塩よりな
る不活性無機粒子を0.005重量%以上1.0重量%以下を含
有する配向ポリエステルフイルムである。
ポリアクリル酸系ポリマーの重量/不活性無機粒子の
量=0.005〜0.5 本発明で用いられるポリエステルとはポリエチレンテ
レフタレート、ポリアルキレンナフタレート等との結晶
性ポリエステルであり特に限定はされないがとりわけポ
リエチレンテレフタレートが適しており、なかんずくそ
の繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレー
トからなるものであり、他の共重合成分としてはイソフ
タル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、4,4′−ジカルボキシルジフエニ
ール、4,4′−ジカルボキシルベンゾフエノン、ビス
(4−カルボキシルフエニール)エタン、アジピン酸、
セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シク
ロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等のジカルボン酸成分
プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジ
メタノール、ビスフエノールAのエチレンオキサイド付
加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコール成
分、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分等
を任意に選択使用することができる。この他共重合成分
として少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結
合、カーボネート結合等を含有する化合物を含んでいて
もよい。
該ポリエステルの製造法としては、芳香族ジカルボン
酸とグリコールとを直接反応させるいわゆる直接重合
法、芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルとグリコー
ルとをエステル交換反応させるいわゆるエステル交換法
など任意の製造法を適用することが出来る。なおフイル
ムとしては一軸配向フイルム、二軸配向フイルムいずれ
でもよいが二軸配向フイルムが特に好適である。
本発明に用いられる不活性無機粒子としては炭酸塩、
硫酸塩およびリン酸塩よりなるポリエステルに対して不
溶性でポリエステル中で粒子として存在するものであれ
ばいかなる構造のものであつてもかまわない。該無機粒
子は一部がポリエステルに溶解したとしても大部分がポ
リエステル中で粒子として存在すれば使用可能である。
第1属〜第4層の金属塩がその対象となり具体的には
炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸
カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウム、硫酸アルミニウム、リン酸ナトリウム、リン酸
カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リ
ン酸バリウム、リン酸アルミニウム、リン酸チタン、リ
ン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中で炭酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カル
シウムおよびリン酸ジルコニウム等が特に好ましい。こ
れらの不活性無機粒子は天然品であつても、合成品であ
つてもよい。
粒子の形状も特に限定はないが、出来るだけ真球状の
ものが滑り性や耐摩耗性の点より好ましい。走査型電子
顕微鏡で観察して得られる下記一般式で定義される外接
円に対する面積率が60%以上であるものを用いることが
必要である。
これらの不活性無機粒子は単独で用いてもよいし、2
種以上を併用してもよい。また複合塩の形で用いてもよ
い。
本発明において用いられるポリアクリル酸系ポリマー
としては、アクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの
エステルを主成分としたものであり、ホモポリマーであ
つても共重合体であつてもかまわない。また20モル%以
下であれば、例えばスチレン、アクリロニトリル等の他
のビニールモノマーを共重合してもかまわない。更にジ
ビニールベンゼン等の架橋性のモノマーを共重合した架
橋タイプであつてもかまわない。本発明の目的が不活性
無機粒子とポリエステルの親和性を向上させることにあ
ることによりポリエステルと反応性を有するカルボキシ
ル基、ヒドロキシル基、アミノ基およびエポキシ基等を
含んだ共重合体が特に好ましい。カルボキシル基は金属
塩の形であつてもよい。該ポリマーは250℃以下で融解
や分解しないものが好ましい。融解や分解する温度が29
0℃以上のものが特に好ましい。分子量等も特に限定は
ない。
不活性無機粒子の表面に該ポリアクリル酸系ポリマー
を付着させる方法としては乾式法で行なつてもよいし、
湿式法で行なつてもよい。乾式法で行なう方法としては
たとえばメカノケミストリーを利用した方法が挙げられ
る。すなわち不活性無機粒子とポリアクリル酸系ポリマ
ー粒子とを所定量混合し、ボールミル、揺動ミル、ジエ
ツトミル、サンドグラインダー等によりエネルギーを与
え不活性無機粒子の表面にポリアクリル酸系ポリマー粒
子を付着させるものである。この場合、ポリアクリル酸
系ポリマー粒子としては一次粒子の粒子径が不活性無機
粒子の平均粒子径より小さなものを用いる必要がある。
一般には不活性無機粒子の粒子径の1/5以下が好まし
い。1/10以下がより好ましい。
このようなポリアクリル酸系ポリマー粒子としては球
状のものが表面処理時および表面処理後の粒子の分散性
や流動性が優れていることより好ましい。このような球
状の粒子を得る方法としては乳化重合法が好適である。
これらの粒子は表面がポリアクリル酸系ポリマーであれ
ば良く、内部は他のポリマーあるいは無機粒子よりなる
ものであつてもかまわない。
湿式法で行なう方法としては2つの方法に大別され
る。その一つは乾式法と同様にアクリル酸系のポリマー
粒子を不活性無機粒子の表面に付着させる方法であり、
もう一つの方法は不活性無機粒子の表面でポリアクリル
酸系ポリマーを生成させる方法である。
アクリル酸系のポリマー粒子を付着させる方法として
は、(1)アクリル酸系のポリマー粒子と不活性無機粒
子とを媒体中で分散混合し、次いで媒体を蒸発乾固する
方法、(2)不活性無機粒子を乾式状態で流動分散させ
ておき、この流動体にポリアクリル酸系のポリマー粒子
を媒体に分散させた分散液あるいはポリアクリル酸系の
ポリマーを媒体に溶解した溶液を滴下または噴霧し、更
に両混合物を十分に流動分散した後媒体を蒸発させ乾固
する方法等が挙げられる。
不活性無機粒子の表面でポリアクリル酸系のポリマー
を生成させる方法としては溶液重合法や乳化重合法等任
意の方法で行なうことができる。
以上不活性無機粒子の表面にポリアクリル酸系ポリマ
ーを付着させる方法の代表的な方法を述べたが、これら
の方法に限定されるものでなく本発明の目的を達するも
のであれば任意に選択することができる。
不活性無機粒子表面に付着させるポリアクリル酸系の
ポリマー量は不活性無機粒子に対して重量比で0.005〜
0.5の範囲が好ましい。0.01〜0.3の範囲が特に好まし
い。0.005未満では不活性無機粒子とポリエステルとの
親和性向上効果が発現されなくなるので好ましくない。
逆に0.5を超えると不活性無機粒子とポリエステルとの
親和性向上効果が頭うちになり、かつ不活性粒子の凝集
が起りフイルムにした時に粗大粒子を生成し、たとえば
磁気テープ用のごとき精密用途にはその粒子が大きいこ
と自体がドロツプアウト等の欠点発生の原因となり、さ
らに電磁変換特性も著しく悪化するため好ましくない。
ポリアクリル酸系ポリマーを表面に付着した不活性無
機粒子の平均粒径は0.05μm以上で5.0μm以下が好ま
しいが0.1μmから2.5μmの範囲が特に好ましい。平均
粒子径が0.05μm未満では滑り性および耐摩耗性の向上
効果が不充分となるので好ましくない。逆に5.0μmを
こえるとフイルム表面に粗大突起を生じる可能性がある
ため好ましくない。
また、該粒子の含有量はポリエステルに対して0.005
重量%以上で1.0重量%以下であることが好ましい。含
有量が0.005重量%未満であればポリマー中の粒子量が
少なすぎるためフイルム表面の突起密度が低くなり滑り
性および耐摩耗性が不充分となる。逆に添加量が1.0重
量%を越えた場合は、粒子のポリマー中での凝集の原因
となり粗大突起数の面より不適である。
本発明における不活性粒子のポリエステル中への添加
方法は、該ポリエステル製造過程における任意の段階で
添加することができるが、初期縮合が終了するまでに添
加するのが特に好ましい。またポリエステル製造過程へ
の不活性粒子の添加方法はスラリー状および粉末状のい
ずれの状態で添加してもよいが、粒子の飛散防止、供給
精度や均一性の向上の点からスラリー状に分散させて添
加するのが好ましく、特にエチレングリコール(EG)の
スラリーとして添加するのが好ましい。スラリー状に分
散させる場合には、それぞれの粒子本来の一次粒子を出
来る限り再現するような均一な分散を行なう必要があ
る。また所定の平均粒径の粒子を得るために、市販微粒
子の分級および濾過等の手段を用いてもよい。
また、本発明においてはポリアクリル酸系のポリマー
を表面に付着した不活性無機粒子以外の不活性粒子であ
る、たとえばシリカ、酸化チタン、カオリナイト等の酸
化物系無機粒子やスチレン−ジビニルベンゼン系ポリマ
ービーズ、アクリル酸系ポリマービーズ等の有機の粒子
等を併用してもよい。更にポリエステル製造工程で粒子
を析出させるいわゆる内部粒子法を併用してもよい。
(実施例) 次に本発明の実施例および比較例を示す。実施例中の
部は特にことわらないかぎりすべて重量部を意味する。
また、用いた測定法を以下に示す。
(1) 不活性無機粒子の粒子径 粉体をエチレングリコールスラリー中に高速撹拌によ
り十分に分散して得られたスラリー中における粒度分布
を島津製作所製光透過型遠式沈降式粒度分布測定機SA−
CP3型を用いて測定した分布における積算50%の値を用
いる。
(2) 外接円に対する面積率 不活性無機粒子を走査型電子顕微鏡(日立S−510
型)で観察、写真撮影したものを拡大コピーし、さらに
トレースを行なつてランダムに20個の粒子を黒く塗りつ
ぶした。この像を画像解析装置(ニレコ株式会社製ルー
ゼツクス500型)を用いてそれぞれの粒子について投影
断面積を測定した。またそれらの粒子に外接する円の面
積を算出することにより下式を用いて面積率を求めた。
(3) フイルムヘーズ 直続ヘーズメーター(東洋精機社製)で測定した。
(4) フイルム中のボイド観察 フイルムをアルカリでエツチング処理することにより
表層ポリマーを除去し粒子を露出させた後、走査型電子
顕微鏡で観察しボイドの有無を判定した。
実施例 1. 1) 不活性無機粒子の表面処理法 平均粒径が0.8μm、外接円に対する面積率が72%の
炭酸カルシウム80部と平均粒径が0.15μmでほぼ球状で
単分散に近いポリメチルメタアクリル酸のビーズでか
つ、該ビーズの表面をポリアクリル酸でコーテイングし
たポリマー粒子20部とを気相流動法で分散混合し、炭酸
カルシウム粒子の表面にポリマービーズを付着させ、次
いでピン・ミルで粒子に機械的衝撃を与えポリマービー
ズの固定化を行なつた。得られた粒子表面を1万倍の倍
率で走査型電子顕微鏡で観察した所、炭酸カルシウムの
表面にほぼ均一にネツト状にポリマー粒子が付着してい
ることが確認された。
2) スラリーの調整法 1)で得られたポリマー粒子を表面に付着させた炭酸
カルシウム50重量部をエチレングリコール100重量部中
にトリポリリン酸ナトリウムの100g/−水溶液0.64重
量部とともに混合し、高圧式均質分散機(三和機械製H
−20型)に供給して分散処理を行なつた。得られたスラ
リー中の粒子の平均粒径は0.90μmであつた。
3) ポリエステルの製造法 撹拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し
口を設けた2段の完全混合槽よりなる連続エステル化反
応装置を用い、その第1エステル化反応缶のエステル化
反応生成物が存在する系へTPAに対するEGのモル比1.7に
調整し、かつ三酸化アンチモンをアンチモン原子として
TPA単位当り289ppmを含むTPAのEGスラリーを連続的に供
給した。
同時にTPAのEGスラリー供給口とは別の供給口より酢
酸マグネシウム四水塩のEG溶液を反応缶内を通過する反
応生成物中のポリエステル単位ユニツト当りMg原子とし
て100ppmとなるように連続的に供給し、常圧にて平均滞
留時間4.5時間、温度255℃で反応させた。
この反応生成物を連続的に系外に取り出して、第2エ
ステル化反応缶に供給した。第2エステル化反応缶内を
通過する反応生成物中のポリエステル単位ユニツトに対
して0.5重量部のEG、トリメチルホスフエートのEG溶液
をP原子として64ppmおよび2)で調製した表面処理炭
酸カルシウムのEGスラリーを炭酸カルシウムとして2500
ppmとなるようににそれぞれ別個の供給口より連続的に
供給し、常圧にて平均滞留時間5.0時間、温度260℃で反
応させた。第1エステル化反応缶の反応生成物のエステ
ル化率は70%であり、第2エステル化反応缶の反応生成
物のエステル化率は98%であつた。
該エステル化反応生成物を撹拌装置、分縮器、原料仕
込口および生成物取り出し口を設けた2段の連続重縮合
反応装置に連続的に供給して重縮合を行ない、固有粘度
0.620のポリエステルを得た。
4) フイルム製造法 3)で得られたポリエステルを290℃で溶融押出し
し、90℃で縦方向に3.5倍、130℃で横方向に3.5倍延伸
した後220℃で熱処理して厚み12μのフイルムを得た。
得られたフイルムのヘーズは6.5%であり、かつ粒子の
周辺にわずかにボイドが観察されるのみであり、ポリエ
ステルと滑剤との親和性は良好であつた。該フイルムに
磁性塗料を塗布しビデオ用テープを製造し評価した所ド
ロツプアウトの少ない高品質のものが得られた。
比較例 1. 実施例1の方法でポリマー粒子を表面に付着させない
炭酸カルシウムを用いる以外実施例1と同じ方法でフイ
ルムを得た。得られたフイルムのヘーズは13.3%と極め
て悪く、かつ炭酸カルシウム粒子の囲りに炭酸カルシウ
ム粒子径の2〜3倍の大きさのボイドが多数存在し、ポ
リエステルと滑剤の親和性が極めて悪かつた。該フイル
ムに磁性塗料を塗布し、ビデオ用テープを製造し評価し
た所、フイルムのけずれくずによるドロツプアウトが多
く低品質であつた。
実施例 2. 実施例1において炭酸カルシウムに替えて平均粒径が
0.6μmで外接円に対する面積率が62%の硫酸バリウム
を用い、かつ表面処理した硫酸バリウムのポリエステル
への添加量を3500ppmとする以外実施例1と同じ方法で
フイルムを製造した。得られたフイルムのヘーズは5.1
%であり、かつ粒子の周辺にわずかにボイドが観察され
るのみであり、ポリエステルと滑剤との親和性は良好で
あつた。
比較例 2. 実施例2の方法で表面処理しない硫酸バリウムを用い
る以外実施例1と同じ方法でフイルムを製造した。得ら
れたフイルムのヘーズは12.6%で、かつ硫酸バリウム粒
子の囲りに粒子径の2〜3倍の大きさのボイドが多数存
在し、ポリエステルと滑剤との親和性が極めて悪かつ
た。
実施例 3. 実施例1において、炭酸カルシウムに替えて平均粒径
が1.0μmで外接円に対する面積率が90%のヒドロキシ
アパタイトを用い、かつ表面処理したヒドロキシアパタ
イトのポリエステルへの添加量を2000ppmとする以外実
施例1と同じ方法でフイルムを製造した。得られたフイ
ルムのヘーズは5.0%であり、かつ粒子の周辺はわずか
にボイドが観察されるのみであり、ポリエステルと滑剤
との親和性は良好であつた。
比較例 3. 実施例3の方法で表面処理しないヒドロキシアパタイ
トを用いる以外実施例1と同じ方法でフイルムを製造し
た。得られたフイルムのヘーズは、10.5%でかつ粒子の
周りにボイドが多数存在し、ポリエステルと滑剤との親
和性が悪かつた。
比較例 4 エチレングリコール(以下EGと略する)85部に炭酸カ
ルシウム(平均粒径2.5μ)15部、ポリアクリル酸ナト
リウム2部を添加し、混合撹拌した後サンドグラインダ
ー(五十嵐機械製造(株)、メディアとしてガラスビー
ズ使用)を用いて、破砕処理を行ない平均粒径0.6μの
炭酸カルシウム処理品を得た。
更にジメチルテレフタレート100部とEG70部を酢酸マ
ンガン・4水和物0.0.35部を触媒として常法通りエステ
ル交換せしめた後上記で得られた炭酸カルシウムのEGス
ラリーを3.4部(炭酸カルシウム濃度:0.5重量%対ポリ
マー)を撹拌下添加した。その後高温真空下にて常法通
り重縮合反応を行ない極限粘度0.620のポリエチレンテ
レフタレートを得た。
さらに得られたポリエステルを180℃で乾燥後、押出
し機によりシート化し続いて90℃で縦延伸倍率3.5倍、
横延伸倍率4.0倍に2軸延伸し、さらに200℃で熱固定し
厚さ15μのフイルムとした。
しかしながら滑り性及び透明性は不良であり実用上不
満足であった。本願発明の実施例1〜3のフイルムの滑
り性は極めて良好であつた。尚、滑り性はASTM D−18
94の方法に準じて動摩擦係数を測定し0.40以下を良好、
0.40超を不良とした。
比較例 5 実施例1において外接円に対する面積率が51%の炭酸
カルシウムを用いる以外実施例1と同様にしてフイルム
を得た。
得られたフィルムのヘイズと耐摩耗性は良好であった
が滑り性は不良であり、事実上不満足なものであった。
(発明の効果) 以上のように本発明の方法によつて得られた配向ポリ
エステルフイルムはポリエステルと滑剤との親和性が良
好であり、延伸処理した時等に滑剤の囲りに生成するボ
イドの発生量が少なく、透明性や耐摩耗性に優れてい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00 B29L 7:00 (72)発明者 牧村 修 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社総合研究所敦賀分室内 審査官 綿谷 晶廣 (56)参考文献 特開 昭60−71632(JP,A) 特開 昭63−113016(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式を満足する量のポリアクリル酸
    系ポリマーを粒子表面に付着させた平均粒径が0.05μm
    以上5.0μm以下、かつ外接円に対する面積率が60%以
    上の炭酸塩、硫酸塩およびリン酸塩よりなる不活性無機
    粒子を0.005重量%以上1.0重量%以下を含有する事を特
    徴とする配向ポリエステルフイルム。 ポリアクリル酸系ポリマーの重量/不活性無機粒子の量
    =0.005〜0.5
JP61275014A 1986-11-18 1986-11-18 配向ポリエステルフイルム Expired - Lifetime JPH089669B2 (ja)

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