JP2692272B2 - ポリエステル組成物,その製造方法およびそれからなるフィルム - Google Patents

ポリエステル組成物,その製造方法およびそれからなるフィルム

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、モノマーに対する架橋成分が55重量%以上
で、熱分解温度が380℃以上で、平均粒径が0.01〜5μ
mの均一単分散架橋ポリスチレン粒子を含有してなるポ
リエステル組成物およびその製造方法に関する。
[従来の技術] ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは、
その優れた物理的、化学的特性を有するため、繊維、フ
ィルム、その他成形品として広く使用されている。しか
しその優れた特性とは逆に、上記成形品を得る成形工程
における工程通過性、あるいは製品自体での取り扱いに
おける滑り性不良による作業性の悪化、製品価値の低下
といった好ましくないトラブルが発生することも知られ
ている。
これらの問題に対して、ポリエステル中の微粒子を含
有せしめて成形品の表面に適度の凹凸を付与し、成形品
の表面の滑り性を向上させる方法が数多く提案され、そ
の一部は実用化されている。例えば酸化ケイ素、二酸化
チタン、炭酸カルシウム、タルク、カオリナイトなどの
不活性無機粒子、あるいはベンゾグアナミン・ホルムア
ルデヒド樹脂、ポリテトラフルオルエチレン−ヘキサフ
ルオルプロピレン共重合体、ポリフェニルエステル樹脂
などの有機高分子微粒子をポリエステル合成反応系に添
加する方法がある(例えば特開昭55-133431号公報、特
開昭57-125247号公報など)。
しかし、不活性無機粒子を添加する方法は、一般にポ
リエステルとの親和性が悪く、例えばフィルムにした場
合粒子周辺にボイドが生成する。また、往々にして粗大
粒子が混入し、これを除去するために粉砕、分級操作を
行なったとしてもなお粗大粒子の混入は避けきれない。
このようにボイドが生成したり、粗大粒子が存在する
と、例えば製版印刷用、マイクロフィルム用等の透明性
が要求されるフィルムにおいては透明性が著しく低下
し、コンデンサー用フィルムにおいては電気特性に悪影
響を及ぼす。さらには磁気テープ用フィルムにおいては
電磁変換特性を低下させたり、ドロップアウトを引き起
こす原因となりフィルム品質を損ねてしまう。
また、特開昭59-217755号公報、特開昭61-174254号公
報においては、粒度分布がシャープな架橋ポリマー粒子
を用いた方法が提案されているが、かかる粒子を用いて
もポリエステル中での凝集粒子やボイドの発生は避け切
れず、高度な表面の均一性、透明性、耐摩耗性が必要と
される用途においては不十分であった。特開昭1-129038
号公報では球状架橋ポリスチレン粒子を含有するフィル
ムが提案されているが、この場合にも単に架橋ポリスチ
レン組成であるだけではポリマ中での粒子分散性は不十
分であった。さらに特開昭48-10177号公報においては透
明性と滑り性を両立させるために、低ヘイズフィルムの
少なくとも片面に炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、テレ
フタル酸金属塩等の微細な不活性無機化合物粒子を含有
する層を積層したフィルムが提案されているが、本発明
が目的とする高度な透明性と滑り性の両立を達成するに
は不十分であった。
一方、有機高分子微粒子を添加する方法は、一般にポ
リエステルとの親和性が良好であるが、耐熱性が劣る。
従ってポリエステル重合時に粒子を添加した場合、軟化
しやすくこれに起因して凝集によるポリマー中の有機高
分子粒子の分散性不良などの問題が生じる。さらに均一
微細を有機高分子粒子を得るために乳化重合のような方
法で直接得る方法あるいは懸濁重合で一度数+μ〜数百
μの大きな粒子をつくり、これを粉砕、分級することに
よって得る方法があるが、前者は粒子製造工程に用いる
水分或いは界面活性剤によって著しくポリエステル合成
反応が疎外され、合成時のハンドリング性が著しく悪
い。後者は粗大粒子の混入などの問題が生じる。
これに対して特公昭45-30213号公報などに開示されて
いる比較的熱履歴の少ない方法で、溶融状態にあるポリ
マーに粉末状の有機高分子粒子を混合する方法がある
が、粗大粒子が存在し、分散性は著しく悪い。
近年、透明性の要求されるフィルム、コンデンサー用
フィルム、磁気テープ用フィルムなどでより高度な品質
が要求され、易滑性とともにフィルム表面が均一で、ポ
リエステルとの親和性に優れた粒子を含有するフィルム
が望まれている。
そこで、本発明者らは、上記従来使用されている粒子
添加方式の欠点を改良し、特に易滑性とフィルム表面の
均一性、透明性、耐摩耗性等に優れたポリエステルフィ
ルムを得るために鋭意検討した結果、ポリエステル中に
特定の熱分解温度を有する架橋ポリスチレン粒子が均一
単分散しているポリエステルを用いることによって本発
明の目的を達成できることが判明した。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、特定の熱分解温度を有する架橋ポリ
スチレン粒子をポリエステルに容易に添加することがで
き、しかも架橋ポリスチレン粒子が均一単分散している
ため従来技術では達し得なかった易滑性、表面均一性、
透明性および耐摩耗性に優れたポリエステル組成物を提
供することにある。
[課題を解決するための手段] 前記した本発明の目的は芳香族ジカルボン酸を主とす
る二官能性酸成分と少なくとも一種のグリコール成分よ
りなるポリエステルが、モノマーに対する架橋成分が55
重量%以上で、熱分解温度が380℃以上である平均粒径
0.01〜5μmの均一単分散架橋ポリスチレン粒子を含有
してなるポリエステル組成物によって達成される。
本発明のポリエステルの二官能性酸成分は、芳香族ジ
カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体を主とす
るものであり、具体的にはテレフタル酸、2,6−ナフタ
リンジカルボン酸1,2−ビス(クロロフェノキシ)エタ
ン−4,4−ジカルボン酸、そのエステル形成性誘導体し
てテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタリンジカルボン
酸ジメチル、1,2−ビス(クロロフェノキシ)エタン−
4,4−ジカルボン酸ジメチルなどが挙げられ、なかでも
テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルが好まし
い。また、グリコール成分としてはエチレングリコー
ル、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、なかでもエ
チレングリコールが好ましい。これらジカルボン酸もし
くはそのエステル形成性誘導体およびグリコール成分以
外に他の成分を共重合してもよく、その成分は例えば、
ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、p−キ
シリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、5−ナトリウムスルホレゾルシンなどのジオール成
分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸イソフタル酸、
2,6−ナフタリンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット
酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p
−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分
などが挙げられる。
このようなモノマから得られるポリエステルとしては
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタリンジカルボキシレートが好ましく、特に高剛性が
要求される用途においてはポリエチレン−2,6−ナフタ
レートが好ましい。
ジカルボン酸成分がジカルボン酸の場合はグリコール
とエステル化反応後、またジカルボン酸エステルの場合
はグリコールとエステル交換反応後、高温、減圧下にて
重縮合せしめてポリエステルを得る。
また、プレポリマー自身を出発物質として重縮合させ
ることもできる。
本発明に用いる架橋ポリスチレン粒子は高度に架橋し
たポリスチレン粒子であって、熱天秤による熱分解温度
(10%減量温度)が380℃以上の耐熱性を有する粒子を
いう。すなわち架橋ポリスチレン粒子が易滑剤として作
用を発揮するためには、ポリエステル組成物製造時ある
いは溶融成形温度で溶融しない耐熱性が必要である。好
ましくは熱分解温度が400℃以上、さらに好ましくは410
℃以上である。熱分解温度が380℃未満ではポリエステ
ル組成物製造時あるいは溶融成形時に粒子凝集を起こす
ため易滑性が不良である。
このような耐熱性を有するためにはジビニルベンゼン
により高度に架橋する必要があり、モノマーに対して純
粋なジビニルベンゼンなど架橋成分として55重量%以上
である必要がある。
本発明に用いる架橋ポリスチレン粒子は易滑性、表面
均一性、透明性などの点から粒子形状が球形状で均一な
粒度分布のものが好ましい。
すなわち、体積形状係数が0.35〜π/6のものが好まし
く、さらには0.45以上のものが好ましい。[ただし、体
積形状係数fは次式で表わされる。f=V/D3、ここで、
Vは粒子体積(μm3)、Dは粒子の投影面における最大
径(μm)] 本発明の架橋ポリスチレン粒子は粒子を構成する主要
組成がスチレンまたはその誘導体である粒子であり、粒
子を構成するモノマーとしては、分子中に唯1個の脂肪
族不飽和結合を有するモノビニル化合物(A)と、架橋
成分として分子中に2個以上の脂肪族不飽和結合を有す
るジビニル化合物(B)が一般的に用いられる。ここで
化合物(A)の主要部分にスチレンまたはその誘導体を
用いることによって本発明の架橋ポリスチレン粒子を得
ることができる。かかる粒子は公知の製造方法によって
得られるものを用いることができる。公知の製造方法と
しては、以下のような例えば乳化重合による方法があ
る。
(1)ソープフリー重合法は、すなわち乳化剤を使用し
ないか、あるいは極めて少量の乳化剤を用いて重合する
方法。
(2)乳化重合に先だって重合系内へ重合体粒子を添加
しておいて乳化重合させるシード重合法。
(3)単量体成分の一部を乳化重合させ、その重合系内
で残りの単量体を重合させるコアーシェル重合方法。
(4)特開昭54-97582号公報、および特開昭54-126288
号公報に示されているユーゲルスタット等による重合方
法。
(5)(4)の方法において膨潤助剤を用いない重合方
法。
上記のうち、特に(3)および(4)の方法が均一な
粒度分布を持つ球形状架橋ポリスチレン粒子を得ること
ができるので好ましい。
本発明においてポリエステル中に分散含有させる架橋
ポリスチレン粒子の平均粒径は0.01〜5μmとする必要
があり、より好ましくは0.05〜2μmである。平均粒径
が0.01μm未満ではフィルムした場合滑り性が低下す
る。また平均粒径5μmを越える粗大突起に起因するフ
ィルム表面散乱の増加等による透明性の悪化、或いは耐
摩耗性が不良になる。
また、架橋ポリスチレン粒子のポリエステルに対する
添加量は好ましくは0.0001〜20重量%であり、より好ま
しくは0.001〜10重量%で、さらに好ましくは0.01〜5
重量%である。
本発明では架橋ポリスチレン粒子をポリエステル中に
単分散させる必要がある。本発明でいう単分散とは二次
凝集粒子がほとんどなく、一次粒子としてポリマー中に
分散されている状態をいう。すなわち、ポリマーを透過
型電子顕微鏡により観察し、0.05mm2の視野当り二次凝
集粒子の数が30個以下が好ましい。より好ましくは20個
以下で、さらに好ましくは15個以下である。
このようなポリマー中に均一単分散された架橋ポリス
チレン粒子を得るには、ベント式成形機においてポリエ
ステルに架橋ポリスチレン粒子の水および/又は沸点20
0℃以下の有機化合物スラリーを添加し、加熱減圧下で
水および/又は沸点200℃以下の有機化合物を除去し、
溶融混練することにより得られる。ベント式成形機は少
なくとも1つのベント孔を設けた溶融成形機で、例えば
押出成形機であっても射出成形機であってもよい。水お
よび/又は沸点200℃以下の有機化合物を除去するため
のベント孔の少なくとも1つは減圧下に保持する必要が
ある。また、ベント孔の減圧度は100Torr以下に保持す
ることが好ましく、50Torr以下がより好ましく、30Torr
以下がさらに好ましい。
一方、架橋ポリスチレン粒子は水および/又は沸点20
0℃以下の有機化合物スラリーとしてポリエステルに添
加することが必要である。沸点200℃以下の有機化合物
の例としてはメタノール、エタノール、エチレングリコ
ールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエンなどの炭
化水素化合物、その他としてエステル類、ケトン類、ア
ミン類などが挙げられるが、特に制限されない。中でも
ハンドリング性、除去性などの観点から水が好ましい。
もちろん水および/又は有機化合物は二種以上の混合溶
媒でもよく、その場合水リッチ系の混合溶媒が好まし
い。
また、架橋ポリスチレン粒子のスラリー中には、粒子
製法上必要なドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチ
レングリコールモノステアレートなどのノニオン系界面
活性剤、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセ
ルロース等の保護剤を含むほうが粒子分散性の点から好
ましい。
さらに、架橋ポリスチレン粒子の水および/又は沸点
200℃以下の有機化合物スラリー濃度は特に制限されな
いが、ポリマーに対する水および/又は沸点200℃以下
の有機化合物の添加量は1重量%以上30重量%以下なら
ば分散性および極限粘度の点で好ましい。
本発明の方法を用いればポリエステルに架橋ポリスチ
レン粒子を高濃度に含有させることができる。従って架
橋ポリスチレン粒子を高濃度に含有したポリエステルを
製造し、実質的に粒子を含まないポリエステルで希釈し
て使用することもできる。
本発明では、架橋ポリスチレン粒子を水および/又は
沸点200℃以下の有機化合物スラリーの状態でポリエス
テルに添加、混合することが可能である。従ってポリエ
ステル合成反応時添加の場合の問題である水分或いは界
面活性剤の悪影響を回避でき、作業性が良好となる。得
られたポリマー中の架橋ポリスチレン粒子は均一単分散
しており、従って延伸フィルムにした場合には均一な凹
凸表面が得られ、架橋ポリスチレン粒子はポリエステル
との親和性が良いので、易滑性、透明性および耐摩耗性
を兼備したフィルムが得られる。
また、本発明の架橋ポリスチレン粒子は耐熱性に優れ
ているため、成形品の屑の回収再利用も可能である。
さらに、本発明のポリエステルにはポリエステルの製
造時に通常用いられるリチウム、ナトリウム、カルシウ
ム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、アンチモン、ゲル
マニウム、チタン等の化合物の金属化合物触媒、着色防
止剤としてのリン化合物、架橋ポリスチレン粒子以外の
不活性粒子等を含んでいてもよい。
このような不活性粒子としては、従来公知の例えば酸
化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシ
ウムなどの無機粒子、アルカリ金属あるいはアルカリ土
類金属とリンとを構成成分の一部としポリエステル重合
反応系内で析出してくるいわゆる内部粒子、または本発
明の架橋ポリスチレン粒子以外の粒子としてホルムアル
デヒド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などから
なる粒子を挙げることができる。
本発明のポリエステル組成物は、単層、複層のいずれ
のフィルムにも適用することができるが、フィルムの易
滑性、表面の均一性の点から、本発明のポリエステル組
成物からなるフィルムを少くとも1層、特に最外層に有
する積層フィルムとすることができる。このようなフィ
ルムは従来公知の方法によって製造することができる。
[実施例] 以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。な
お、得られたポリエステルの各特性値測定は次の方法に
従って行なった。
(A)粒子の粒径 平均粒径は粒子の電子顕微鏡写真によって測定した50
体積%の点にあたる粒子等価球直径により求めた。等価
球直径とは粒子と同じ体積を有する球の直径である。
(B)粒子の熱分解温度 理学電気TAS-100にて窒素雰囲気下、昇温速度20℃/mi
nでの熱天秤減量曲線を測定した。10%減量温度を熱分
解温度とした。
(C)ポリマーの極限粘度 o−クロロフェノールを溶媒として25℃にて測定し
た。
(D)ポリマー中の粒子分散状態 ポリマーを超薄膜作成装置によって0.3μ前後の超薄
切片にしたのち、透過型電子顕微鏡によるポリマー中の
粒子の分散状態を観察し、0.05mm2の視野当りの二次凝
集粒子の数をカウントした。
(E)フィルム特性 (1)表面粗さRa(μm) JIS-B-0601に隼じて、触針式表面粗さ計を用いて測定
した(カットオフ値0.08mm、測定長4mm)。
(2)滑り性(μkおよびμs、μd) (a)μk フィルムを1/2インチにスリットし、テープ走行性試
験機TBT-300型((株)横浜システム研究所製)を使用
し、20℃、60%RH雰囲気で走行させ、初期のμkを下記
の式より求めた。
μk=0.733log(T1/T2) ここでT2は入側張力、T1は出側張力である。ガイド径
は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2S)、
巻き付け角は180°、走行速度は3.3cm/秒である。
上記μkが0.35以下であるものが滑り性良好である。
ここで、μkが0.35はフィルム加工時または、製品とし
たときの滑り性が極端に悪くなるかどうかの臨界の値で
ある。
(b)μs、μd ASTM-D-1894B-63に従い、スリップテスターを用いて
静摩擦係数(μs)ならびに動摩擦係数(μd)を測定
した。
(3)フィルムヘイズ ASTM-D1003-52に従って測定した。
尚、滑り性(μs):0.7以下でかつフィルムヘイズ:
0.6%以下が本発明の目的を達成する値である。
(4)耐摩耗性 テープ走行性試験機TBT-300 ((株)横浜システム研究所製)を使用し、25℃、50
RHの雰囲気で1500回繰り返し走行させた後、ガイド部に
付着した白色の削れ粉(白粉)を目視にて判定する。
ここで、ガイド径は8mmφであり、ガイド材質はSUS27
(表面粗度0.2S)、巻き付け角は180°、テープ走行速
度は3.3cm/秒である。評価基準は次のとおりである。
◎:白粉発生量が非常に少なく、目的を達成する。
○:白粉発生量が少なく、目的を達成する。
△:白粉発生量がやや多く、目的を達成しない。
×:白粉発生量が非常に多く、目的を達成しない。
実施例1 水分0.4重量%を含有する極限粘度0.615の未乾燥ポリ
エチレンフタレートチップをベントタイプ2軸押出機を
使用して該ポリマーチップを溶融状態とし、最終的なポ
リマー中の含有量を0.5重量%となるように熱分解温度4
20℃、平均粒径0.3μmの架橋ポリスチレン粒子(体積
形状係数0.51)の水スラリー(対ポリマー分率2重量
%)を添加した。ベント口を10Torrの真空度に保持し樹
脂温度280℃で溶融押出して架橋ポリスチレン粒子含有
ポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリマー
の極限粘度は0.605で極限粘度の低下が著しく少ないポ
リマーが得られた。ポリマーを透過型電子顕微鏡によっ
て観察した結果、0.05mm2の視野当り二次凝集の数が7
個でほぼ単分散状態で存在した。
該ポリマーを290℃で溶融押し出しし、静電印加キャ
スト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに
巻き付けて冷却固化し、厚さ約150μmの未延伸フィル
ムを得た。この未延伸フィルムを90℃で縦方向に3.4
倍、100℃で横方向に3.6倍延伸した。その後、210℃で
熱固定し、厚さ15μmの二軸延伸フィルムを得た。該フ
ィルム特性を評価した結果、平担性、滑り性、耐削れ性
ともに良好であった(表1)。
実施例2〜4、比較実施例1、2 含有する架橋ポリスチレン粒子(いずれも体積形状係
数が0.51で水スラリー)の熱分解温度、平均粒径を変え
て実施例1と同様にベント式押出機を用いてポリエチレ
ンテレフタレートを得た。ポリマー中の粒子分散状態は
二次凝集が少なく、ほぼ単分散状態で存在した。該ポリ
マーを実施例1と同様に二軸配向フィルムとした。含有
する架橋ポリスチレン粒子の熱分解温度、平均粒径が本
願発明の範囲内であるものはフィルムにした場合、平担
性、滑り性、耐削れ性ともに優れていた(実施例2〜
4)。
しかし架橋ポリスチレン粒子の熱分解温度または平均
粒径が本願発明外である場合はフィルムにした場合、平
担性、滑り性、耐削れ性ともに満足させることができな
かった(比較実施例1、2)。
比較実施例3、4 含有する粒子としてスチレン−アクリル共重合体の水
スラリーおよび湿式シリカを用いて実施例1と同様にベ
ント式押出機を用いてポリエチレンテレフタレートを得
た。該ポリマを実施例1と同様に二軸延伸フィルムとし
た。含有する粒子種が本願発明の外であるのでフィルム
にした場合、平担性、滑り性、耐削れ性をともに満足さ
せることはできなかった。
実施例5 ベント押出機を用い、実施例1と同じ方法で平均粒径
0.6μmの架橋ポリスチレン粒子を2重量%含有するポ
リエチレンテレフタレートを得た。ポリマーを透過型電
子顕微鏡によって観察した結果、0.05mm2の視野当り二
次凝集の数が15個でほぼ単分散状態で存在した。得られ
たポリマーを架橋ポリスチレン粒子が0.05重量%含有す
るように粒子を含有していないポリマーを用いて調整
し、該ポリマーから実施例1と同様にして二軸配向フィ
ルムを得た。該フィルム特性を評価した結果、透明性、
滑り性ともに優れていた。
実施例6、7 比較実施例5 含有する架橋ポリスチレン粒子(いずれも体積形状係
数が0.51で水スラリー)の熱分解温度、平均粒径を変え
て実施例5と同様に2重量%含有するポリエチレンテレ
フタレートを得た。ポリマー中の粒子分散状態は二次凝
集が少なく、ほぼ単分散状態で存在した。該ポリマーか
ら実施例5と同様にして二軸配向フィルムを得た。含有
する架橋ポリスチレン粒子の熱分解温度、平均粒径が本
発明の範囲内であるものはフィルムにした場合、透明
性、滑り性ともに優れていた(実施例6、7)。
しかし架橋ポリスチレン粒子の熱分解温度が本発明外
である場合はフィルムにした場合、透明性、滑り性をと
もに満足させることはできなかった(比較実施例5)。
比較実施例6 テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコー
ル70重量部から酢酸カルボン酸0.90重量部を触媒として
常法により、エステル交換反応を行なった。生成物に三
酸化アンチモン0.03重量部、リン酸トリメチル0.3重量
部、乳化重合により製造した平均粒径0.3μmの架橋ポ
リスチレン粒子の水−エチレングリコールスラリー(5
重量%濃度)を添加した。しかしながら、添加時の発泡
のため粒子として0.1重量部添加することはできなかっ
た。
比較実施例7 比較実施例6と同様に、エステル交換反応を行ない、
生成物に三酸化アンチモン0.03重量部、リン酸トリメチ
ル0.3重量部および熱分解温度380℃平均粒径0.3μmの
架橋ポリスチレン粒子粉末2重量部を加えて常法により
重合して極限粘度0.613、軟化点260.1℃のポリエチレン
テレフタレートを得た。ポリマー中の粒子分散状態は非
常に悪く、ほとんどの粒子が凝集していた。得られたポ
リマーを実施例5と同じ方法で二軸延伸フィルムとし
た。得られたフィルムの表面は粗大突起が多く、透明
性、滑り性ともに満足することはできなかった。
比較実施例8 極限粘度0.620のポリエチレンテレフタレートを減圧
下180℃の温度で乾燥した。該チップと平均粒径0.3μm
の架橋スチレン−粒子粉末とエクストルーダを用いて2
重量%配合し、架橋スチレン粒子含有ポリエチレンテレ
フタレートを得た。ポリマー中の粒子分散状態は非常に
悪く、ほとんどの粒子が凝集していた。得られたポリマ
ーを実施例5と同じ方法で二軸配向フィルムとした。得
られたフィルムの表面は粗大粒子が多く、透明性、滑り
性をともに満足させることはできなかった。
実施例8、9 含有する架橋ポリスチレン粒子(いずれも体積形状係
数0.51)のスラリー組成を水/メタノール混合溶媒(8
7.5重量%/12.5重量%)(実施例8)またはメタノール
(実施例9)として実施例5と同様に2重量%含有する
ポリエチレンテレフタレートを得た。ポリマー中の粒子
分散状態は二次凝集が少なく、ほぼ単分散状態で存在し
た。該ポリマーから実施例5と同様にして二軸配向フィ
ルムを得た。含有する架橋ポリスチレン粒子のスラリー
組成が本発明の範囲内である場合、フィルムにすると透
明性、滑り性とも優れていた(表3)。
[発明の効果] 本発明のポリエステル組成物はポリマー中で均一単分
散の特定の架橋ポリスチレン粒子を含有しているので次
のような優れた効果が発揮される。
(1)本発明では架橋ポリスチレン粒子を水および/又
は沸点200℃以下の有機化合物スラリーの状態でポリエ
ステルに添加混合することが可能で、均一単分散の架橋
ポリスチレン含有ポリエステルが容易に得られる。従っ
て、ポリエステル合成反応時に添加した際の水分或いは
界面活性剤等の悪影響を回避でき、作業性が著しく良好
となる。さらにフィルムとする場合、溶融成形過程でフ
ィルターの目詰りがなく、かつ粗大粒子によるフィルタ
ーの膜破れがない。また本発明の架橋ポリスチレン粒子
は耐熱性に優れているため、成形品の屑の回収し、再利
用することも可能である。
(2)本発明では架橋ポリスチレン粒子がポリエステル
中で均一単分散しているため、延伸フィルムにした場
合、均一な凹凸表面が得られ、また架橋ポリスチレン粒
子はポリエステルとの親和性が良いので、易滑性、透明
性、耐摩耗性に優れている。かかるフィルムは磁気テー
プ用途、写真、製版用途、コンデンサー用途等に好適で
ある。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジカルボン酸を主とする二官能性酸
    成分と少なくとも一種のグリコール成分よりなるポリエ
    ステルが、モノマーに対する架橋成分が55重量%以上
    で、熱分解温度が380℃以上である平均粒径0.01〜5μ
    mの均一単分散架橋ポリスチレン粒子を含有してなるポ
    リエステル組成物。
  2. 【請求項2】二次凝集粒子の数が0.05mm2あたり30個以
    下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル
    組成物。
  3. 【請求項3】2,6−ナフタリンジカルボン酸単位を主た
    る酸成分とするポリエステルである請求項1または2に
    記載のポリエステル組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリ
    エステル組成物からなり、フィルムヘイズが0.6%以下
    であることを特徴とするフィルム。
  5. 【請求項5】ベント式成形機において、ポリエステルに
    架橋ポリスチレン粒子の水および/又は沸点200℃以下
    の有機化合物スラリーを添加することを特徴とするポリ
    エステル組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】ポリマーに対する水および/又は沸点200
    ℃以下の有機化合物の添加量が1重量%〜30重量%であ
    ることを特徴とする請求項5に記載のポリエステル組成
    物の製造方法。
  7. 【請求項7】ベント式成形機の少なくとも1つのベント
    孔が減圧に保持され、該ベント孔の減圧度が100Torr以
    下であることを特徴とする請求項5または6に記載のポ
    リエステル組成物の製造方法。
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