JPH0726006B2 - ポリエステル組成物の製造方法 - Google Patents

ポリエステル組成物の製造方法

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JPH0726006B2
JPH0726006B2 JP2267744A JP26774490A JPH0726006B2 JP H0726006 B2 JPH0726006 B2 JP H0726006B2 JP 2267744 A JP2267744 A JP 2267744A JP 26774490 A JP26774490 A JP 26774490A JP H0726006 B2 JPH0726006 B2 JP H0726006B2
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征二 坂本
一弘 椚原
一夫 遠藤
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ダイアホイルヘキスト株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、架橋高分子粒子がポリエステル中に均一に分
散したポリエステル組成物の製造方法に関する。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
ポリエステルは物理的、化学的性質に優れ、産業用資材
として広く用いられている。特に二軸延伸したポリエス
テルフィルムは、他のフィルムに比べ、平面性、機械的
強度および寸法安定性に優れるので、磁気記録媒体の基
材やコンデンサーの誘電体をはじめとする多くの用途で
不可欠なものとなっている。
これらのフィルムには、優れた走行性や耐摩耗性を有す
ることが要求されるが、このためには、ある特定の無機
あるいは有機の粒子をフィルム中に添加すれば良いこと
が知られている。これらの粒子の中でも特に架橋高分子
粒子がポリエステルとの親和性に優れ、一般に単分散性
を有していることが知られている。
しかしながら、有機粒子をポリエステル中に均一に分散
させることは容易ではなく、特にその配合濃度が高くな
った場合は、しばしば著しい凝集が生じるようになる。
また、添加する粒子は、エチレングリコールスラリーと
してポリエステル重合工程で添加するのが常法である
が、架橋高分子粒子の場合、しばしば重合工程で発泡が
生じ、ポリエステル添加用としては使用し難い粒子種で
あった。
〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ある
特定成分を含有する架橋高分子粒子をポリエステルに混
練することにより、該粒子の分散性を改良できることを
知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、界面活性剤を0.001〜1重量
%含有する架橋高分子粒子とポリエステルとを混練する
ことを特徴とするポリエステル組成物の製造方法に存す
る。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとは、酸成分としてテレフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジ
カルボン酸またはそのエステルを主成分とし、グルコー
ル成分としてエチレングリコールまたは1,4−シクロヘ
キサンジメタノールを主成分とするポリエステルを指す
が、他の共重合成分を含有していても構わない。いずれ
にしても本発明のポリエステルとは、繰り返し構造単位
の80%以上がエチレンテレフタレート単位、エチレン−
2,6−ナフタレート単位または1,4−シクロヘキサンジメ
チレンテレフタレート単位であるポリエステルを指す。
本発明においてはかかるポリエステルに架橋高分子粒子
を混練により配合する。その手段としては、通常、溶融
成形機を用いる。ここでいう溶融成形機とは、ポリエス
テルチップを溶融し強制的に強い剪断力を与える成形機
を指すが、それは連続式、バッチ式のいずれであっても
よく、また、ベント孔の有無を問わない。具体的には、
例えば、押出成形機、射出成形機、バンバリーミキサー
等を指すが、中でもスクリュー型二軸押出機(もしくは
混練機)を用いると好結果を得ることができる。この場
合、スクリューは同方向回転型でも逆方向回転型でもよ
い。なお、混練時の温度は、通常、270〜310℃の範囲と
し、滞留時間は、通常、1〜20分間、好ましくは2〜10
分間である。
本発明においては、上記したような溶融成形機等を用い
てポリエステルと架橋高分子粒子との混練を行うが、本
発明でいう架橋高分子粒子は、例えば乳化重合法によっ
て合成される耐熱性の有機粒子である。かかる粒子は、
通常、分子中に唯一個の脂肪族の不飽和結合を有するモ
ノビニル化合物(A)の一種以上と、架橋剤として分子
中に二個以上の脂肪族の不飽和結合を有する化合物
(B)の一種以上を出発物質として製造される。化合物
(A)としては、アクリル酸、メタクリル酸およびこれ
らのアルキルまたはグリシジルエステル、無水マレイン
酸およびそのアルキル誘導体、ビニルグリシジルエーテ
ル、酢酸ビニル、スチレン、アルキル置換スチレン等を
挙げることができる。また、化合物(B)としては、ジ
ビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エチレングリコー
ルジメタクリレート等を挙げることができる。化合物
(A)および(B)は各一種類以上用いるが窒素原子を
有する化合物やエチレンを共重合させてもよい。
本発明で用いる粒子の製造方法の一つである乳化重合に
は、限界ミセル濃度を形成するのに十分な量の乳化剤を
用いる典型的な乳化重合の外、極めて少量の乳化剤を用
いて重合するソープフリー重合、乳化重合に先立って反
応系内に核となる粒子を添加しておいて乳化重合させる
シード重合、モノマー組成を変え多段の乳化重合を行う
コアーシェル重合等が含まれるがいずれにしても、ミセ
ルおよび生成した粒子の分散安定性を保持するために乳
化剤を用いるものが好ましい。
かかる乳化剤と呼ばれている化合物はいわゆる界面活性
剤の一種であるが、具体的には脂肪酸塩、アルケニルコ
ハク酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベ
ンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルジフェニルエーテル
ジスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合
物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェー
ト、反応性界面活性剤等のアニオン系界面活性剤、ポリ
エチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンソル
ビタンエステル等のノニオン系界面活性剤を挙げること
ができる。
本発明においては、混練に供する架橋高分子粒子の中の
界面活性剤の量は0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜
0.8重量%、さらに好ましくは0.02〜0.5重量%である。
この量が0.001重量%未満では、混練後のポリエステル
組成物中の粒子の分散が十分には改良されないし、また
この量が1重量%を超えるとポリエステルの熱安定性が
悪化し、例えばフィルムに加工する際、気泡が発生した
り着色が生じたりするようになる。
なお、界面活性剤の量をこの範囲とすることは、例え
ば、乳化重合に際しての乳化剤の量と乳化重合後の水洗
の有無、回数を調節することにより達成することができ
る。もちろん必要に応じ、例えば乳化重合終了後、水ス
ラリーを乾燥する前に界面活性剤を加えることも可能で
あるが、乳化重合に用いた乳化剤の大部分を残したまま
乾燥粒子を得る方法が簡便である。なお、かかる界面活
性剤は架橋高分子粒子の表面に存在していることが好ま
しい。
本発明においてポリエステルと混練する架橋高分子粒子
の平均粒径は、通常、0.05〜1.5μmの範囲であり、好
ましくは0.1〜1.2μmの範囲である。この値が0.05μm
未満では例えばフィルムに加工した場合、フィルムの走
行性や耐摩耗性が改良されないし、またこの値が1.2μ
mを超えると、フィルム加工後の表面粗度が大きくなり
過ぎ好ましくない。また、混練するに際し、架橋高分子
粒子のポリエステルに対する濃度が0.1〜30重量%のと
き、なかんずく0.3〜20重量%のとき、本発明の効果が
好ましく発揮される。この値が0.1重量%未満では、得
られるポリエステル組成物をいわゆるマスターバッチと
して活用することがほとんど期待できず、フィルム加工
後の特性の改良効果も乏しい。また、この値が30重量%
を超えると、界面活性剤の存在にもかかわらずポリエス
テル中の分散性が不十分となる。
なお、本発明において用いる架橋高分子粒子は単分散性
を有することが好ましい。具体的には重量平均粒径
(Dw)と数平均粒径(Dn)との比(Dw/Dn)が1.10以下
であることが好ましく、さらに好ましくは、1.05以下、
特に好ましくは1.03以下である。この値が1.10を超える
とフィルム加工後の表面が不均一となり、しばしばフィ
ルム表面粗大突起が認められるようになる。
本発明の方法により得られるポリエステル組成物は、通
常、カオリン、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム等の添加粒子あるいはいわゆる析
出粒子を適宜含有するポリエステルないしは実質的に粒
子を含有しないポリエステルで適宜希釈し、例えばフィ
ルム等に加工され、その加工品は均一な表面を有し、内
在する粒子とポリエステルとが優れた親和性を有すると
いう特徴を有することから、各種の用途に適用すること
ができる。例えば磁気テープやフロッピィディスク等の
磁気記録媒体のベースフィルムとして、またコンデンサ
ー用、写真製版用、感熱転写用、感熱孔版用、包装用、
転写マーク用、金銀糸用等のさまざまな分野におけるベ
ースフィルムとして有効に使用し得る。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に説明する
が、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例に
よって限定されるものではない。なお、実施例における
種々の物性および特性の測定方法、定義は下記の通りで
ある。実施例および比較例中「部」とあるは「重量部」
を示す。
(1)粒子の平均粒径及び粒度分布 電子顕微鏡にて粒径を測定した。平均粒径は等価球換算
値の重量分率50%の点の粒径(直径)として算出した。
なお、この値は重量平均粒径(Dw)であるが、同時に数
平均粒径(Dn)も求め、両者の比(Dw/Dn)を粒度分布
のシャープさの指標とした。
(2)フィルム表面の均一性 日本工業規格JIS B0601に記載されている方法に従い、
十点平均粗さRzと中心線平均粗さRaとを測定し両者の比
を求めた。この値は小さいほど好ましい。
(3)フィルム表面の粗大突起数 フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、二光束干渉顕微
鏡を用いて測定した。測定波長は0.54μmで3次以上の
干渉縞を示す個数を10cm2当たりに換算して示した。
実施例1 〔架橋高分子粒子の製造〕 脱塩水1000部に水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム5.0
部および乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.04部を
添加し均一に溶解させた後、スチレン80部、ジビニルベ
ンゼン20部の混合溶液を加えた。次いで窒素ガス雰囲気
下で撹拌しながら、70℃で8時間重合反応を行った。反
応率は98%で、得られた粒子の平均粒径は0.60μm、Dw
/Dnは1.02であった。また、得られた水スラリーの濃度
は9重量%であった。
次いで得られた水スラリーを水洗することなく熱風で乾
燥処理し、含水率0.1重量%の架橋高分子粒子を得た。
得られた粒子中の界面活性剤の量は化学分析の結果から
0.038重量%であることが確認された。
〔ポリエステル組成物の製造〕
極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレートチップ97部
と上記乾燥粒子3部とを同方向回転型二軸混練押出機
(池貝鉄工所(株)PCM−30)で混練した。
混練温度は293℃、滞留時間は3分間とし、ストランド
状に吐出した後、水冷しチップ化した。
得られたチップ中の粒子の分散状態を顕微鏡で観察した
ところ極めて良好であった。
〔ポリエステルフィルムの製造〕
架橋高分子3重量%を含む上記ポリエステルチップ10部
と粒子を含まない極限粘度0.66のポリエチレンテレフタ
レートチップ90部とをブレンドした後、T型ダイを用
い、290℃で溶融押出し、無定形シートとした後、縦方
向に105℃で3.5倍、横方向に120℃で3.5倍延伸し、210
℃で熱処理を施し、厚さ15μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を他の例と共に表1に示す
が、架橋高分子粒子は極めて均一に分散しており、フィ
ルムの表面性も満足すべきものであった。
実施例2 実施例1において乳化剤をアルキルジフェニルエーテル
ジスルホン酸ナトリウム0.05部とする外は実施例1の架
橋高分子粒子の製造と同様にして粒子を合成した。得ら
れた粒子中の界面活性剤の量は0.045重量%であった。
次いで実施例1と同様にしてポリエステル組成物を得、
フィルム化を行った。
比較例1 実施例1の架橋高分子粒子の製造において乳化重合後、
得られた水スラリー中の架橋高分子粒子の水洗を3回行
い、該粒子中の界面活性剤の量を3ppmとした。
得られた粒子を用いて実施例1と同様にして練込操作を
行い、次いでフィルム化した。
比較例2 実施例1の架橋高分子粒子の製造で得られた界面活性剤
を0.038重量%含む粒子をエチレングリコールに分散さ
せ(粒子濃度3重量%)、超音波分散処理を施した後、
得られたスラリーをポリエステル中の架橋高分子粒子の
濃度が0.3重量%となるようエステル交換反応終了物に
添加し、常法により重縮合反応を行った。
〔発明の効果〕 本発明の方法によれば、架橋高分子粒子が均一に分散し
たポリエステル組成物を容易に得ることができ、その工
業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 67:00 B29L 7:00 C08L 67:02 (56)参考文献 特開 平1−299832(JP,A) 特開 平3−115354(JP,A) 特開 平3−24150(JP,A) 特開 平3−45647(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】界面活性剤を0.001〜1重量%含有する架
    橋高分子粒子とポリエステルとを混練することを特徴と
    するポリエステル組成物の製造方法。
JP2267744A 1990-10-05 1990-10-05 ポリエステル組成物の製造方法 Expired - Fee Related JPH0726006B2 (ja)

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