JPH06228418A - 熱可塑性ポリエステル組成物およびそれからなるポリエステルフィルム - Google Patents

熱可塑性ポリエステル組成物およびそれからなるポリエステルフィルム

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JPH06228418A
JPH06228418A JP1564993A JP1564993A JPH06228418A JP H06228418 A JPH06228418 A JP H06228418A JP 1564993 A JP1564993 A JP 1564993A JP 1564993 A JP1564993 A JP 1564993A JP H06228418 A JPH06228418 A JP H06228418A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 弗素化合物粒子と不活性粒子を併用した熱可
塑性ポリエステル組成物および二軸配向フィルム。弗素
化合物粒子の平均径が0.002μm以上0.2μm未
満、不活性粒子の平均径が0.2μm以上1.0μm以
下、および芳香族ポリエステルのそれぞれ特定量よりな
る。 【効果】 耐スクラッチ性(傷つきにくさ)、耐摩耗性
に優れたフィルムを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性ポリエステル
組成物および二軸配向ポリエステルフィルムに関するも
のであり、さらに詳しくは、特定の粒子径の弗素化合物
粒子および不活性粒子を含有し、耐スクラッチ性、耐摩
耗性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性ポリエステル、例えばポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートは優れた力学特性を有しており、フィルムな
どの成形品として広く用いられている。また、このよう
なポリエステルよりなる二軸配向ポリエステルフィルム
は、優れた物理的、化学的特性を有しており、広く用い
られている。通常、該ポリエステルフィルムは、易滑性
を付与する目的でポリエステル中に不活性粒子を含有せ
しめ、成形品の表面に凹凸を付与する方法が行なわれて
いる。
【0003】しかし、二軸配向ポリエステルフィルム
は、フィルムの加工工程、例えば包装用途における印刷
工程、磁気媒体用途における磁性層塗布・カレンダー工
程あるいは感熱転写用途における感熱転写層塗布などの
工程速度の増大に伴ない、接触するロールによってフィ
ルム表面に傷がつくという欠点が最近、問題となってい
る。また、ビデオテープは、最近ソフト用(制作された
映像作品をパッケージ媒体に記録固定、複製・増製した
もの)に用いられるケースが多く、この場合、映像作品
を録画する工程でマスターテープから高速でダビング
(記録複写)するとき、ガイドピンなどでフィルム表面
に傷がはいったり、削れ粉が発生し、S/N(シグナル
/ノイズ比、画質のパラメータ)の低下が大きく、画質
が悪くなるという問題点も出てきている。
【0004】これらの問題はポリエステル中に配合せし
める粒子の問題であるとされており、従来からこの問題
を解決するために検討がなされてきた。例えば、特開昭
63−221158号公報や特開昭63−280763
号公報(コロイダルシリカ粒子表面をグリコール基で改
質する)、特開昭63−312345号公報(コロイダ
ルシリカ粒子表面をカップリング剤で改質する)、特開
昭62−235353号公報(炭酸カルシウム粒子をリ
ン化合物で表面処理する)ことなどが提案されている。
【0005】しかしながら、このような公知の方法をも
ってしても、磁気テープのような繰り返し摩擦使用され
るような場合は、粒子の脱落を生じる。このため、特殊
な粒子を使用することが最近提案されてきており、例え
ば、特開昭62−172031号公報(シリコン粒
子)、特開平2−129230号公報(デルタ型酸化ア
ルミニウム粒子)、特開平4−282226号公報(炭
酸カルシウム+他の粒子)などが提案されているが、い
まだ不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする問題】本発明の目的は、前記
した従来技術の欠点を解消することにあり、特にフィル
ム中に特定の粒子径の弗素化合物粒子および不活性粒子
を含有することによって表面が傷つきにくく、耐スクラ
ッチ性および耐摩耗性に優れたフィルムを提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、一次粒子の平均径が0.002μm以上0.2μm
未満である弗素化合物粒子(A)0.01〜2.0重量
部、一次粒子の平均径が0.2μm以上1.0μm以下
である不活性粒子(B)0.01〜5.0重量部、およ
び芳香族ポリエステル(C)99.98〜93.0重量
部よりなる熱可塑性ポリエステル組成物およびフィルム
によって達成される。
【0008】本発明における弗素化合物(A)とは、構
造中に少なくとも一個の弗素原子を有し、かつ該芳香族
ポリエステル(C)に実質的に不溶な粒子を意味し、無
機物であっても有機物であっても構わない。
【0009】具体的には、弗化リチウム、弗化ナトリウ
ム、弗化カリウム、弗化マグネシウム、弗化カルシウ
ム、弗化ストロンチウム、弗化カーボン、弗化アルミニ
ウム、弗化ジルコニウムなどの無機弗素化合物、ポリテ
トラフルオロエタンなどの有機弗素化合物などが挙げら
れるが、これらに限定されるわけではない。中でも弗化
マグネシウム、弗化カルシウム、弗化アルミニウム、弗
化ジルコニウム、ポリテトラフルオロエタンが好まし
く、さらには弗化カルシウム、弗化アルミニウム、弗化
ジルコニウムが好ましい。また、これらの化合物は少な
くとも一種を用いることが必須であるが、二種以上を併
用しても構わない。
【0010】弗素化合物粒子(A)の一次粒子の平均径
は0.002μm以上0.2μm未満であることが必須
であり、好ましくは0.005μm以上0.1μm以下
である。ここでいう一次粒子の平均径とは、透過型電子
顕微鏡(TEM)で50000倍〜1000000倍の
倍率で粒子を100〜1000個観察し、同一体積にな
るような相当球直径を計算し、体積基準で50%に相当
する径を意味する。
【0011】一次粒子が0.002μmに満たないと粒
子の凝集力が強くなり、3μm以上の二次凝集粒子とな
ってフィルムにした際、脱落しやすくなるため好ましく
ない。また、逆に0.2μm以上になると、粒子の表面
積が小さくなってポリマとの接触面積が少なくなり、目
的とする効果を発揮することができない。
【0012】また、このような弗素化合物粒子(A)
は、単一粒子が凝集して複数個集合した凝集体を形成す
る方が、フィルムにした際、面方向に配向しにくくな
り、粒子の脱落が少なくなってさらに好ましい。
【0013】なお、ここでいう単一粒子とは一次粒子を
意味する。この際、その形態はフィルム中において、フ
ィルム長さ方向に平行な方向の長さDhμmとフィルム
面に対して垂直な方向に平行な長さDvμmの比、Dv
/Dhが0.05〜0.6の値をとることが好ましく、
0.1〜0.5の範囲がより好ましい。
【0014】Dv/Dhが1より小さいということは、
フィルム延伸時の応力によって凝集粒子(A)がフィル
ム面方向に変形することでボイドなどの発生もなく、フ
ィルム延伸が比較的均一に行なわれること意味してい
る。また、Dv/Dhの値が0.05より小さいとフィ
ルム表面に突起を作りにくく、0.6より大きいと延伸
時の変形が小さくて前記の均一な延伸性に若干劣ること
になる。従って、Dv/Dhの値が0.05以上0.6
以下になることによって、均一な延伸性と表面突起の形
成の両立が可能となり、また面方向に配向した凝集粒子
は外力に対して強い構造をもつため、より優れた耐スク
ラッチ性、耐摩耗性を発現する。
【0015】このような凝集体は、長さDhが耐スクラ
ッチ性および耐摩耗性の点で0.01〜3.0μmであ
ると好ましく、より好ましくは0.05〜1.0μmの
範囲である。長さDvは、耐スクラッチ性および耐摩耗
性の点で0.005〜1.5μmであると好ましく、
0.01〜0.2μmであることがより好ましい。粒子
のDh、Dvは、弗素化合物粒子の分散状態のコントロ
ールや製膜時の延伸速度、温度、延伸倍率によってコン
トロールできる。
【0016】また、本発明の熱可塑性ポリエステル10
0重量部中の弗素化合物(A)の含有量は0.01〜
2.0重量部である。より好ましくは0.05〜1.0
重量部である。0.01重量部より少ない場合は、目的
とする耐スクラッチ性の効果が発現することができず、
逆に0.2重量部を越えると粒子の脱落により耐摩耗性
が低下する。
【0017】本発明における不活性粒子(B)とは、無
機粒子、有機粒子の両者を意味しており、それぞれを単
独で用いたり、あるいは併用することもできる。不活性
無機粒子の具体例としては、酸化タチン、酸化ケイ素、
酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの無機酸化
物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの無機炭酸塩、
リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなどの無機リン酸
塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機硫酸塩、
カオリン、タルクなどの無機複合酸化物、蛍石に代表さ
れるフッ化物、およびその他チタン酸カリウム、水酸化
アルミニウムなどの一般的な無機粒子が挙げられる。こ
の中でも、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、
リン酸カルシウムが特に好ましい。また、これらの二種
以上を併用しても構わない。
【0018】次に、不活性有機粒子の例としては、ポリ
エステル合成時の触媒残渣による内部粒子、テレフタル
酸カルシウム、テレフタル酸バリウム、安息香酸ナトリ
ウムなどの有機低分子化合物、カーボンブラック、およ
びポリテトラフロロエタン樹脂、ポリスチレン樹脂、シ
リコーン樹脂、架橋高分子樹脂などの有機高分子化合物
が挙げられる。この中でも架橋高分子樹脂粒子が好まし
く、具体的には、一般に分子中にただ一個の脂肪族の不
飽和結合を有するモノビニル化合物(X)と、架橋剤と
して分子中に二個以上の脂肪族の不飽和結合を有する化
合物(Y)との共重合体、もしくは後者の架橋剤(Y)
のみからなるものが挙げられるが、これらに限定される
ものではない。
【0019】化合物(X)の例としては、スチレン■、
α−メチルスチレン、フルオロスチレン、ビニルピリジ
ンなどの芳香族モノビニル化合物、アクリロニトリル、
メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、ブチ
ルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メ
チルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、グリシジルアクリレート、N,N′−ジメチルアミ
ノエチルアクリレートなどのアクリル酸エステルモノマ
ー、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタク
リレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N,
N′−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのメタ
クリル酸エステルモノマー、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノマーまたはジカ
ルボン酸およびジカルボン酸の無水物、アクリルアミ
ド、メタクリルアミドなどのアミド系モノマーを用いる
ことができる。中でもスチレン、α−メチルスチレンお
よびp−メチルスチレンが好ましい。
【0020】化合物(Y)の例としては、ジビニルベン
ゼン化合物、あるいはトリメチロールプロパントリアク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレング
リコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコール
ジメタクリレートなどの多価アクリレートおよびメタク
リレートが挙げられる。以上のうち、特にジビニルベン
ゼン、ブチルアクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレートまたはトリメチロールプロパントリメタクリ
レートを用いることが好ましい。なお、これらの化合物
(X)、(Y)はそれぞれ二種以上を混合して用いるこ
ともできる。
【0021】さらに、架橋高分子粒子の組成として好ま
しいものを例示すると、ジビニルベンゼン単独を用いた
架橋高分子粒子、スチレン−ジビニルベンゼン共重合
体、スチレン−アクリロニトリル−ジビニルベンゼン共
重合体、スチレン−メチルメタクリレート−ジビニルベ
ンゼン共重合体、ブチルアクリレート−ジビニルベンゼ
ン共重合体を用いた架橋高分子などが挙げられる。中で
もジビニルベンゼン単独重合体、スチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体、ブチルアクリレート−ジビニルベンゼ
ン共重合体を用いた架橋高分子粒子が耐熱性の点で特に
好ましい。
【0022】架橋高分子粒子の耐熱性に関し、熱天秤に
よる熱分解温度(10%減量温度)が380℃以上の耐
熱性を有する粒子が好ましく、さらに好ましくは400
℃以上、特に好ましくは410℃以上である。この場
合、ポリエステル組成物製造時、溶融成形時あるいは成
形品の回収再利用時に粒子が凝集して成形品の表面均一
性、耐摩耗性などを疎外しないので好ましい。このよう
な耐熱性を有するためには、架橋剤としての化合物
(Y)により高度に架橋する必要がある。架橋剤の種類
に特に限定はないが、中でもジビニルベンゼンが好まし
く、有機粒子を構成する全モノマーに対して純粋なジビ
ニルベンゼンとして12重量%以上必要で、好ましくは
35重量%以上、さらに好ましくは55重量%以上であ
る。
【0023】架橋高分子粒子は、易滑性、表面均一性、
透明性などの点から粒子形状が球形状で均一な粒度分布
のものが好ましい。すなわち、体積形状係数が0.35
〜0.52のものが好ましく、さらには0.45以上の
ものが好ましい[ただし、体積形状係数fは次式で表わ
される。f=V/D3 、ここで、Vは粒子体積(μ
3 )、Dは粒子の投影面における最大径(μm)を表
わす。]。
【0024】架橋高分子粒子は公知の製造方法によって
得られるものを用いることができる。公知の製造方法と
しては、(a)ソープフリー重合法、すなわち乳化剤を
使用しないか、あるいは極めて少量の乳化剤を使用して
重合する方法、(b)乳化重合に先だって重合系内へ重
合体粒子を添加しておいて乳化重合させるシード重合
法、(c)単量体成分の一部を乳化重合させ、その重合
系内で残りの単量体を重合させるコアーシェル重合法、
(d)特開昭54−97582号公報および特開昭54
−126288号公報に示されているユーゲルスタット
などによる重合法を例示することができ、中でも
(c)、(d)の方法が好ましく、これらの方法によっ
てジビニルベンゼンにより高度に架橋した粒子を製造
し、その後、メタクリル酸により粒子表面にカルボキシ
ル基を導入する。そして、粒子製造系内をアルカリ側に
することで粒子表面に−COONaの官能基が導入され
る。
【0025】また、不活性粒子(B)の一次粒子の平均
径は0.2μm以上1.0μm以下であることが必要で
ある。0.2μmより小さい場合はフィルムの走行性に
欠け、また逆に1.0μmを越えると粒子の脱落が生じ
て耐摩耗性が悪化し好ましくない。
【0026】ここでいう不活性粒子(B)の一次粒子の
平均径とは、フィルムあるいはポリエステル組成物から
ポリマをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出
させ(処理条件はポリマは灰化されるが、粒子はダメー
ジを受けない条件を選択する。)、その粒子を走査型電
子顕微鏡(SEM)により2000〜10000倍で粒
子を50〜500個観察し、同一体積になるような相当
球直径を計算し、体積基準で50%に相当する径を意味
している。
【0027】なお、不活性粒子(B)が有機粒子など
で、プラズマ低温灰化処理でダメージ受ける場合には、
透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、3000〜100
000倍で粒子を50〜500個観察し、同様の方法で
測定することができる。
【0028】これらの不活性粒子(B)は普通粒度分布
をもっているが、これらの粒子は粒度分布として5μm
以上の粗大な粒子を混入しないことが、粗大突起を生じ
ないためさらに好ましい。このような粒度分布の粒子を
得るためには、サンドミルなどの分散操作で凝集粒子を
なくすことや、分級操作で凝集粒子や粗大粒子を除去す
ることが効果的であるが、粒子の合成段階であらかじめ
粒度を揃えておくとさらに好ましい。
【0029】不活性粒子(B)が有機粒子の場合の合成
方法は前記したとおりであり、無機粒子、特に炭酸カル
シウムの場合は、具体的には、水酸化カルシウム水溶液
中に炭酸ガスを吹き込むことで粒子径のある程度揃った
カルサイト型炭酸カルシウム粒子を得、分散、分級によ
って若干残っている粗大粒子を除去するといったもの
や、水酸化カルシウムのアルコール溶液中に炭酸ガスを
吹き込むことでバテライト型炭酸カルシウム粒子を得、
ろ過によって極微量残っている粗大粒子を除去するとい
ったものが挙げられる。
【0030】なお、本発明においては、特定の粒子径の
弗素化合物粒子(A)と特定の粒子径の不活性粒子
(B)を併用し、各々特定量配合することにより、フィ
ルムの耐摩耗性や耐クラッチ性を著しく向上させること
ができるのである。
【0031】本発明における芳香族ポリエステル(C)
とは、芳香族ジカルボン酸あるいはそのジアルキルエス
テルなどの二官能性成分とグリコール成分とを原料とし
て重縮合反応によって製造されるものである。
【0032】本発明における芳香族ジカルボン酸および
そのジアルキルエステルなどの二官能性成分としては、
例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸など、およびそ
のジアルキルエステルを挙げることができる。グリコー
ル成分としては、例えばエチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどのア
ルキレングリコール、あるいはシクロヘキサンジメタノ
ールなどの脂環族ジオールなどを挙げることができる。
特に、このうちポリエチレンテレフタレートおよびポリ
エチレン−2,6−ナフタレートを主体とするものが好
ましい。
【0033】該ポリエステルは、ホモポリエステルであ
ってもコポリエステルであってもよく、共重合成分の例
としては、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフ
タル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、ト
リメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸成
分、およびテトラメチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシアルキレン
グリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、5−ナトリウムスルホレゾル
シンなどのジオール成分が挙げられる。
【0034】また、二軸配向フィルムの強度を出すため
に、芳香族ポリエステルの固有粘度としては0.45以
上が好ましく、0.50以上がより好ましい。また、成
形性の点からは固有粘度が1.5以下が好ましく、さら
には1.0以下、特には0.8以下が好ましい。
【0035】このような芳香族ポリエステル(C)は、
弗素化合物粒子(B)および不活性粒子(C)が好まし
い分散状態をもち、かつ親和性を得るためにそのカルボ
キシル末端基濃度を106 g当り20〜100当量とす
ることが好ましく、30〜70当量とすることがより好
ましい。カルボキシ末端基の濃度はポリエステル合成時
に添加するアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物やMn化合物の種類や量またはポリエステル合成時の
重合温度や時間などによってコントロールされる。
【0036】なお、本願発明のポリエステル組成物およ
びフィルムは、弗素化合物粒子(A)と不活性粒子
(B)および芳香族ポリエステル(C)からなる組成物
を主成分とするが、本発明の目的を阻害しない範囲内で
多種ポリマをブレンドされていてもよいし、また酸化防
止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの有機添加剤
が通常添加される程度添加されていてもよい。
【0037】上記した弗素化合物粒子(A)および不活
性粒子(B)を芳香族ポリエステル(C)と混合させる
ための添加方法、添加時期については、従来公知の方
法、例えば粉体やグリコールなどを用いたスラリーの形
態でポリエステルの反応系に添加する方法や、粉体や水
または低級アルコールなどの低沸点溶媒を用いたスラリ
ーの形態でポリエステルに練り込む方法をとることが可
能である。
【0038】中でも弗素化合物粒子(A)や不活性無機
粒子の場合は、ポリエステルの反応系に用いるグリコー
ルスラリーの形態でポリエステルの反応系に添加する方
法が好ましく、不活性有機粒子の場合は、粉あるいは水
などの低沸点溶媒を用いたスラリーの形態でポリエステ
ルに練り込む方法が好ましい。なお、この際には脱気の
ためにベント式成形機を用いるとさらに好ましい。
【0039】ベント式成形機は少なくとも1つのベント
孔を設けた溶融成形機で、例えば押出成形機であっても
射出成形機であってもよい。水および/または沸点20
0℃以下の有機化合物を除去するためのベント孔の少な
くとも1つは、減圧下に保持することが好ましい。ま
た、ベント孔の減圧度は100Torr以下に保持する
ことが好ましく、50Torr以下がより好ましく、3
0Torr以下がさらに好ましい。
【0040】また、不活性有機粒子が例えば架橋高分子
粒子の場合にあっては、ベント式成形機において、ポリ
エステルに架橋高分子粒子の水および/または沸点20
0℃以下の有機化合物スラリーを添加し、加熱減圧下で
水および/または沸点200℃以下の有機化合物を除去
し、溶融混練することにより得られる方法の方がより均
一単分散するので好ましい。
【0041】沸点200℃以下の有機化合物の例として
は、メタノール、エタノール、エチレングリコールなど
のアルコール類、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素化
合物、その他としてエステル類、ケトン類、アミン類な
どが挙げられるが、特に制限されない。中でもハンドリ
ング性、除去性などの観点から水が好ましい。もちろ
ん、水および/または有機化合物は二種以上の混合溶媒
でもよく、その場合、水リッチ系の混合溶媒が好まし
い。
【0042】また、架橋高分子粒子のスラリー中には、
粒子製法上必要なドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性
剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリ
エチレングリコールモノステアレートなどのノニオン系
界面活性剤、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチ
ルセルロースなどの保護剤を含む方が粒子分散性の点か
ら好ましい。
【0043】さらに、架橋高分子粒子の水および/また
は沸点200℃以下の有機化合物スラリー濃度は特に制
限されないが、ポリマに対する水および/または沸点2
00℃以下の有機化合物の添加量として2重量%以上3
0重量%以下とするのが好ましい。より好ましくは2重
量%以上20重量%以下である。この場合、ポリマ中の
分散性が良好で、またポリマの極限粘度が低下しないの
で好ましい。
【0044】前記した弗素化合物粒子(A)と不活性粒
子(B)の両者を含有した組成物およびフィルムを製造
する方法としては、ポリエステルの反応系にこれらの両
者を添加する方法をとっても構わないし、別々にポリマ
に配合したマスタチップを再度ブレンドし、溶融混練す
る方法をとっても構わない。フィルム中の弗素化合物粒
子(A)と不活性粒子(B)の配合量を微調整できると
いう長所からは後者の方の方法がより好ましい。
【0045】次に、本発明のフィルムの製造方法の一例
について説明する。粒子を含有するペレットを十分乾燥
した後、公知の溶融押出機に供給し、270〜330℃
でスリット状のダイからシート状に押し出し、キャステ
ィングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作
る。次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向
せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同
時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最初に長
手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸法を用
い、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、総縦延伸倍
率を3.5〜6.5倍で行なう方法は特に好ましい。長
手方向延伸温度はポリエステルの種類によつて異なり一
概にはいえないが、通常、その1段目を50〜130℃
とし、2段目以降はそれより高くすることが有効であ
る。長手方向延伸速度は5000〜50000%/分の
範囲が好適である。幅方向の延伸方法としてはステンタ
を用いる方法が一般的である。延伸倍率は、3.0〜
5.0倍の範囲が適当である。幅方向の延伸速度は、1
000〜20000%/分、温度は80〜160℃の範
囲が好適である。次に、この延伸フィルムを熱処理す
る。この場合の熱処理温度は170〜220℃、特に1
80〜200℃、時間は0.2〜20秒の範囲が好適で
ある。
【0046】また、2層以上の積層ポリエステルフィル
ムの場合は、上述した溶融押出機を2または3台以上設
置し、2層以上のマニホールドまたは合流ブロック(例
えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、各最
外層を構成するフィルム層、中間層を構成するフィルム
層を積層し、口金から2層以上のシートを押し出し、キ
ャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを作る
方法をとり、以下同様の方法で二軸延伸する。
【0047】なお、未延伸フィルムを作る際にポリマ流
路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法
は有効である。また、最表層積層部側のポリマを押し出
す押出機の溶融温度を基層部側より5〜10℃低くする
ことが有効である。
【0048】また、本発明の構造からなる二軸配向積層
フィルムにおいて、その少なくとも片面側の最外層に弗
素化合物粒子(A)と不活性粒子(B)を含有している
ことが好ましく、不活性粒子(B)の平均粒径をd(n
m)とすると、該最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d であることが好ましい。このことによって単層フィルム
に比べて電磁変換特性が良好になり、特に磁気テープ用
途とした場合に好ましい。なお、不活性粒子が二種類以
上の場合は、全体の平均値(50%相当径)をdとし
た。
【0049】本発明の積層フィルムは、これを構成する
各層の少なくとも一層が二軸に配向している必要があ
る。二層以上の積層構造のうち、全部の層が二軸に配向
していると特に好ましい。全ての層が無配向や一軸配向
では本発明の特性を満足することきはできない。
【0050】
【実施例】次に本発明を実施例および比較例により具体
的に説明する。 (1)ポリマの固有粘度 o−クロロフェノールを溶媒としてポリマを0.1g/
cc濃度で溶解し、25℃で測定した。
【0051】(2)ポリマのカルボキシル末端基濃度 Maurice の方法に準じた。ポリマ2gをo−クレゾール
/クロロホルム(重量比7/3)の混合溶媒50ccに
溶解し、N/20−NaOHメタノール溶液によって滴
定、カルボキシル末端基濃度を測定し、当量/ポリエス
テル106 gの値で示した。
【0052】(3)弗素化合物粒子の一次粒子の平均径 粒子自体か、もしくは粒子を含有するポリマおよびフィ
ルムを0.2μmの厚みで超薄切片を切り出したものを
透過型電子顕微鏡で50000倍〜1000000倍の
倍率で100〜1000個観察し、同一体積になるよう
な相当球直径を計算し、体積基準の累積粒度分布をと
り、50%のところの粒子直径を平均径(μm)とし
た。
【0053】(4)フィルム中の弗素化合物粒子径D
h、Dvの評価 フィルムから、フィルム長さ方向とフィルム表面に対し
て垂直な方向によって作られる面をもつ0.2μm厚み
の超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡で観察し、弗
素化合物粒子凝集体のフィルム長さ方向の長さDh(μ
m)とフィルム面に対して垂直な方向の長さDv(μ
m)とを50〜500個測定し、平均を求めた。
【0054】(5)不活性粒子の一次粒子の平均径 粒子を含有するポリマあるいはフィルムからポリマをプ
ラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処
理条件は、ポリマは灰化されるが粒子はダメージを受け
ない条件を選択する。次に、その粒子を走査型電子顕微
鏡(SEM)を用いて2000〜10000倍で粒子を
50〜500個観察し、同一体積になるような相当球直
径を計算し、体積基準の累積粒度分布をとり、50%の
ところの粒子直径を平均径(μm)とした。なお、粒子
が有機粒子などでプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメ
ージを受ける場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用
い、3000〜100000倍で粒子を50〜500個
観察し、上記と同様の方法で平均径を測定した。
【0055】(6)フィルム表面の中心線平均粗さの評
価 JIS B−0601に準じ、サーフコム表面粗さ計を
用い、針径;2μm、荷重;70mg、測定基準長;
0.25mm、カットオフ;0.08mmの条件下で中
心線平均粗さ(Ra)を測定した。
【0056】(7)フィルムの耐摩耗性の評価 磁性層を塗布したテープを小型テストカレンダー装置
(スチールロール、ナイロンロール、5段式、ナイロン
ロールがベースフィルム面に接する)で、温度;70
℃、線圧;200kg/cmでカレンダー処理する。上
記処理を延べ10000mにわたって続けた後、この処
理によって発生したナイロンロールに付着した白粉を観
察し、次のランクづけを行なう。そして、1級および2
級を合格とした。 1級:白粉がほとんど付着していない。 2級:わずかに白粉が付着するが、加工工程上、製品性
能上のトラブルに至らない。 3級:白粉の付着が多く、加工工程上、製品性能上のト
ラブルになり使用不可となった。
【0057】(8)フィルム耐スクラッチ性 フィルムを、幅1/2インチのテープ状にスリットした
ものをテープ走行性試験機を使用して、ガイドピン(表
面粗度;Raで100nm)上を走行させる(走行速
度;500m/分、走行回数;10パス、巻き付け角;
60°、走行張力;60g)。このとき、フィルムに入
った傷を顕微鏡で観察し、次のようにランクを付け、2
級以上を合格とした。 1級:幅3μm以上の傷がテープ幅当り0〜3本 2級:幅3μm以上の傷がテープ幅当り4〜6本 3級:幅3μm以上の傷がテープ幅当り7〜9本 4級:幅3μm以上の傷がテープ幅当り10本以上
【0058】(9)フィルムの滑り性 μ フィルムを1/2インチにスリットし、テープ走行性試
験機TBT−300型[(株)横浜システム研究所製]
を使用し、20℃、60%RH雰囲気で走行させ、初期
のμを下記の式より求めた。なお、ガイド径は6mm
φであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2
S)、巻き付け角は180°、走行速度は3.3cm/
秒である。 μ=0.773log(T1 /T2 ) T1 ;出側張力 T2 ;入側張力 上記μが0.35以下であるものは滑り性良好であ
る。ここで、μが0.35より大きくなるとフィルム
加工時または製品としたときの滑り性が極端に悪くな
る。
【0059】(10)テープの電磁変換特性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビアロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テス
トカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロール、
5段)を用いて、温度;70℃、線圧;200kg/c
mでカレンダー処理した後、70℃、48時間キュアリ
ングする。上記テープ原反を1/2インチにスリット
し、パンケーキを作成した。このパンケーキから長さ2
50mの長さをVTRカセットに組み込み、VTRカセ
ットテープとした。 (磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄 ;100重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体; 10重量部 ・ポリウレタンエラストマ ; 10重量部 ・ポリイソシアネート ; 5重量部 ・レシチン ; 1重量部 ・メチルエチルケトン ; 75重量部 ・メチルイソブチルケトン ; 75重量部 ・トルエン ; 75重量部 ・カーボンブラック ; 2重量部 ・ラウリン酸 ;1.5重量部 このテープに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形発生
器により100%クロマ信号を記録し、その再生信号か
らカラービデオノイズ測定器でクロマS/Nを測定し
た。
【0060】実施例1 一次粒子の平均径0.025μm(25nm)の弗化カ
ルシウム粒子10重量部、エチレングリコール90重量
部を混合し、常温下1時間ディゾルバンで撹拌処理した
後、サンドグラインダで分散処理し、弗化カルシウム/
エチレングリコールスラリー(a)を得た。
【0061】他方、ジメチルテレフタレート100重量
部、エレチングリコール64重量部に、触媒として酢酸
マグネシウム0.06重量部を加えてエステル交換反応
を行なった後、230℃で反応生成物に先に調整したス
ラリー(a)20重量部を添加し、10分後に触媒の酸
化アンチモン0.03重量部、および耐熱安定剤として
トリメチルホスフェート0.03重量部を加え、重縮合
反応を行ない、固有粘度0.615、カルボキシル末端
基濃度38当量/106 gのポリエチレンテレフタレー
ト組成物(I)を得た。
【0062】一次粒子の平均径0.53μmのカルサイ
ト型炭酸カルシウム10重量部、ポリ(アクリル酸/ア
クリル酸エチル)共重合体(組成重量比8:2)2重量
部、エチレングリコール88重量部を混合し、常温下1
時間ディゾルバーで撹拌処理した後、サンドグラインダ
で分散処理し、表面処理したカルサイト型炭酸カルシウ
ム/エチレングリコールスラリー(b)を得た。
【0063】他方、ジメチルテレフタレート100重量
部、エチレングリコール64重量部に、触媒として酢酸
マグネシウム0.06重量部を加えてエステル交換反応
を行なった後、230℃で反応生成物に先に調整したス
ラリー(b)20重量部を添加し、10分間後に触媒の
酸化アンチモン0.03重量部、および耐熱安定剤とし
てトリメチルホスフェート0.03重量部を加え、重縮
合反応を行ない、固有粘度0.621、カルボキシル末
端基濃度42当量/106 gのポリエチレンテレフタレ
ート組成物(II)を得た。
【0064】次に、粒子を含有しないポリエチレンテレ
フタレート(III)(固有粘度0.618、カルボキ
シル末端基濃度40当量/106 g)を用意し、上述し
た(I)、(II)および(III)が重量比で20/
15/65となるようにブレンドした。
【0065】このポリマを180℃で3時間減圧乾燥
(3Torr)した。その後、このポリマを押出機に供
給し、290℃で溶融して表面温度30℃のキャスティ
ング・ドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルム
を作った。
【0066】この未延伸フィルムを温度80℃にて長手
方向に4.5倍延伸した。この延伸は、2組ずつのロー
ルの周速差で4段階で行なった。この一軸延伸フィルム
を、ステンタを用いて延伸速度2000%/分で100
℃で幅方向に4.0倍延伸し、定長下で200℃にて5
秒間熱処理し、厚み15μm、Ra=0.022μmの
二軸配向ポリエステルフィルムを得た。フィルムの固有
粘度は0.597、カルボキシル末端基濃度は45当量
/106 gであった。このフィルム中の弗化カルシウム
粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、Dhは0.
2μm、Dvは0.04μm、Dv/Dhは0.2であ
った。また、このフィルムを評価したところ、走行性μ
=0.21、耐摩耗性1級、耐スクラッチ性1級であ
り、非常に優れたものであった。
【0067】実施例2〜6 弗素化合物粒子の種類、一次径、フィルム中でのDh、
Dvおよび不活性粒子の種類、一次径を変更し、実施例
1と同様の方法で二軸配向ポリステルフィルムを得た。
これらのフィルムの評価結果を表1に示したが、耐摩耗
性、耐スクラッチ性に優れたフィルムであった。
【0068】なお、不活性有機粒子を含有するポリマは
次の方法に準じて調製した。水分0.4重量%を含有す
る固有粘度0.621、カルボキシル末端基濃度42当
量/106 gの粒子を含有しない未乾燥ポリエチレンテ
レフタレートチップをベントタイプ二軸押出機を使用し
て該ポリマチップを溶融状態とし、最終的なポリマ中の
含有量を2.0重量%となるよう、平均粒径が0.43
μmで官能基としてカルボキシル基のナトリウム塩を有
するポリジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン/エチル
ビニルベンゼン=80/20:重量比)共重合体粒子の
水スラリーを添加した。ベントロを10Torrの真空
度に保持し、樹脂温度280℃で溶融押し出ししてポリ
ジビニルベンゼン粒子含有ポリエチレンテレフタレート
組成物(IV)を得た。
【0069】得られたポリエチレンテレフタレート組成
物(IV)は、固有粘度0.616、カルボキシル末端
基濃度48当量/106 gであった。
【0070】実施例7 前記したポリエチレンテレフタレート組成物(I)、
(II)、(III)を重量比で15/30/55とな
るように混ぜ合せ、180℃で3時間減圧乾燥(3To
rr)し、ベント式二軸混練押出機1に供給し、280
℃で溶融した(ポリマX)。
【0071】さらに、ポリエチレンテレフタレート組成
物(III)のみを180℃で3時間減圧乾燥(3To
rr)し、もう1台の二軸混練押出機2にて供給して2
90℃で溶融した(ポリマY)。
【0072】この2つのポリマをそれぞれ高精度ろ過し
た後、矩形積層部を備えた3層合流ブロックにて基層部
にポリマYを、両面表層積層部にポリマXがくるように
積層し、フィッシュテール型の口金よりシート状にして
押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度3
0℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、
厚さ約160μmの未延伸フィルムを作った。このとき
のドラフト比(口金のスリット幅とフィルム厚みの比)
は6.5であった。
【0073】この未延伸フィルムを長手方向に3段階に
分け、123℃で1.2倍、126℃で1.45倍、1
14℃で2.3倍それぞれ延伸した。この一軸フィルム
をステンタを用いて幅方向に2段階に分け、111℃で
3.7倍、113℃で1.2倍延伸し、定長下で200
℃にて5秒間熱処理し、厚さ14μm、Ra=0.02
1μmのフィルムを得た。フィルムの固有粘度は0.6
01、カルボキシル末端基濃度は48当量/106 gで
あった。
【0074】得られたフィルムの最表層部積層厚さt=
1.0μmでカルサイト型炭酸カルシウム粒子の平均径
d=0.53μmとの関係は、t=1.89dであっ
た。また、積層部分中の弗化カルシウム粒子を透過型電
子顕微鏡で観察したところ、Dhは0.2μm、Dvは
0.03μm、Dv/Dhは0.15であった。
【0075】フィルム特性を表2に示したが、実施例1
と同様に耐摩耗性、耐スクラッチ性ともに良好であっ
た。また、合せて電磁変換特性も測定したところ、実施
例1を基準として+1.8dBと、磁気テープ用途とし
て非常に良好なフィルムであった。
【0076】実施例8〜10 弗素化合物粒子の種類、一次径、フィルム中でのDh、
Dvおよび不活性粒子の種類、一次径、積層厚みを変更
する以外は、実施例7と同様の方法で二軸配向積層ポリ
エステルフィルムを得た。これらのフィルムの評価結果
を表2に示したが、耐摩耗性、耐スクラッチ性に優れた
ものであった。また、磁気テープ用途としての電磁変換
特性も良好であった。
【0077】実施例11 撹拌装置、精留塔、凝縮器を備えたエステル交換反応器
にナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル100重
量部とエチレングリコール52重量部および酢酸マグネ
シウム4水塩0.06部を供給した後、180〜240
℃まで徐々に昇温し、同時に生成したメタノールは連続
的に反応系外へ留出させながらエステル交換反応を行な
った。こうして得られた反応物に、先に調製したスラリ
ー(a)20重量部を添加し、10分後に触媒の酸化ア
ンチモン0.03重量部および耐熱安定剤としてトリメ
チルホスフェート0.03重量部を加え、引き続いてエ
チレングリコールを連続的に留出させながら290℃ま
で昇温し、同時に0.2mmHgまで減圧を進めて重縮
合反応を行ない、固有粘度0.64、カルボキシル末端
基濃度42当量/106 gのポリエチレン−2,6−ナ
フタレート組成物(V)を得た。
【0078】次に、スラリー(a)の代りにスラリー
(b)を用いる以外は、上述した方法を全と同様にして
ポリエチレン−2,6−ナフタレート組成物(VI)を
得た。固有粘度は0.64、カルボキシル末端基濃度は
45当量/106 gであった。次に、粒子を含有しない
ポリエチレン−2,6−ナフタレート(VII)(固有
粘度0.63、カルボキシル末端基濃度42当量/10
6 g)を用意し、上述した(V)、(VI)、(VI
I)が重量比で20/15/65となるようにブレンド
した。
【0079】このポリマを130℃で3時間減圧予備乾
燥(3Torr)した後、180℃で3時間減圧乾燥
(3Torr)した。その後、このポリマをT型ダイを
備え、300℃に加熱した押出機から溶融ポリマを押し
出し、35℃のキャスティングドラム状で冷却固化さ
せ、無定形シートを得た。無定形シートを130℃に加
熱し、縦方向へ5倍、続いて横方向へ4倍延伸した後、
210℃で熱処理を行ない、厚さ13μm、Ra=0.
020μmの二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートフィルムを得た。このフィルムの固有粘度は0.6
1、カルボキシル末端基濃度は46当量/106 gであ
った。
【0080】また、フィルム中の弗化カルシウム粒子を
透過型電子顕微鏡で観察したところ、Dhは0.15μ
m、Dvは0.03μm、Dv/Dhは0.2であっ
た。また、このフィルムを評価したところ、走行性μ
=0.20、耐摩耗性1級、耐スクラッチ性1級であ
り、非常に良好であった。また、電磁変換特性も測定し
たところ、実施例1を基準として+0.5dBと磁気テ
ープ用途として非常に良好なフィルムであった。
【0081】実施例12 ポリエチレンテレフタレート組成物(I)、(II)、
(III)に代えてポリエチレン−2,6−ナフタレー
ト組成物(V)、(VI)、(VII)を用い、130
℃で3時間減圧予備乾燥(3Torr)し、180℃で
3時間減圧乾燥(3Torr)して二軸混練押出機1に
供給し、300℃で溶融する以外は実施例7と同様の方
法を用いて厚さ260μmの積層未延伸フィルムを得
た。
【0082】次に、この未延伸フィルムを130℃で縦
方向へ5倍、続いて横方向へ4倍延伸した後、210℃
で熱処理を行ない、厚さ13μm、Ra=0.019μ
mの二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィ
ルムを得た。このフィルムの最表層部積層厚さt=1.
0μmでカルサイト型炭酸カルシウム粒子の平均径d=
0.53μmとの関係は、t=1.89dであった。ま
た、積層部分中の弗化カルシウム粒子を透過型電子顕微
鏡で観察したところ、Dhは0.18μm、Dvは0.
03μm、Dv/Dh=0.17であった。
【0083】また、このフィルム特性を評価したとこ
ろ、走行性μ=0.19、耐摩耗性1級、耐スクラッ
チ性1級であり、非常に良好であった。また、電磁変換
特性も測定したところ、実施例1を基準として+2.0
dBと磁気テープ用途として非常に良好なフィルムであ
った。
【0084】比較例1〜6 弗素化合物粒子の種類、一次径、添加量、フィルム中で
のDh、Dvおよび不活性粒子の種類、一次径、添加量
を変更し、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステ
ルフィルムを得た。これらのフィルムの評価結果を表3
に示したが、フィルム性能として不十分なものであっ
た。特に比較例5、6のように、いずれか一方の粒子の
みを添加した場合は、耐摩耗性3級、耐スクラッチ性4
級と悪いものであった。
【0085】比較例7〜10 弗素化合物粒子の種類、一次径、添加量、フィルム中で
のDh、Dvおよび不活性粒子の種類、一次径、添加量
を変更し、実施例7と同様の方法で二軸延伸積層ポリエ
スルテルフィルムを得た。これらのフィルムの評価結果
を表4に示したが、フィルム性能として不十分なもので
あった。特に比較例9、10のように、いずれか一方の
粒子のみを添加した場合は、耐摩耗性3級、耐スクラッ
チ性4級と悪いものであった。
【0086】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0087】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物および二軸
配向ポリエステルフィルムは、特定の粒子径、量の弗素
化合物粒子および特定の粒子径、量の不活性粒子を含有
し、耐スクラッチ性、耐摩耗性に優れるものであり、各
用途でのフィルム加工速度の増大に対応できるものであ
る。本発明フィルムの用途は特に限定されないが、加工
工程でのフィルム表面の傷が、加工工程上、製品性能
上、特に問題となる磁気記録媒体用ベースフィルムとし
て特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 7/16 KKF 7242−4J

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次粒子の平均径が0.002μm以上
    0.2μm未満である弗素化合物粒子(A)0.01〜
    2.0重量部、一次粒子の平均径が0.2μm以上1.
    0μm以下である不活性粒子(B)0.01〜5.0重
    量部、および芳香族ポリエステル(C)99.98〜9
    3.0重量部よりなる熱可塑性ポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリエステル組成物から
    なるポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリエステル組成物を少
    なくとも一層含有することを特徴とする積層ポリエステ
    ルフィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100466355B1 (ko) * 1996-07-31 2005-06-16 미쯔비시 레이온 가부시끼가이샤 폴리테트라플루오로에틸렌함유혼합분체,이를함유하는열가소성수지조성물및그성형체
KR20170118796A (ko) * 2015-03-31 2017-10-25 후지필름 가부시키가이샤 백색 폴리에스터 필름 및 그 제조 방법, 태양 전지용 백 시트와 태양 전지 모듈

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