JP2629395B2 - ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム

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JP2629395B2 JP2024766A JP2476690A JP2629395B2 JP 2629395 B2 JP2629395 B2 JP 2629395B2 JP 2024766 A JP2024766 A JP 2024766A JP 2476690 A JP2476690 A JP 2476690A JP 2629395 B2 JP2629395 B2 JP 2629395B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリエステル組成物に関し、さらに詳しく
は熱分解温度が380℃以上で平均粒径が0.01〜5μm
で、官能基としてカルボキシル基のアルカリ金属塩を有
する架橋ポリスチレン粒子を含有してなるポリエステル
組成物に関する。
[従来の技術] ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは、
その優れた物理的、化学的特性を有するため、繊維、フ
ィルム、その他成形品として広く使用されている。しか
しその優れた特性とは逆に、上記成形品を得る成形工程
における工程通過性、あるいは製品自体ので取り扱いに
おける滑り性不良による作業性の悪化、製品価値の低下
といった好ましくないトラブルが発生することも知られ
ている。
これらの問題に対して、ポリエステル中に微粒子を含
有せしめて成形品の表面に適度の凹凸を付与し、成形品
の表面の滑り性を向上させる方法が数多く提案され、そ
の一部は実用化されている。例えば酸化ケイ素、二酸化
チタン、炭酸カルシウム、タルク、カオリナイト等の不
活性無機粒子、あるいはベンゾグアナミン・ホルムアル
デヒド樹脂、ポリテトラフルオルエチレン−ヘキサフル
オルプロピレン共重合体、ポリフェニルエステル樹脂な
どの有機高分子微粒子をポリエステル合成反応系に添加
する方法がある(例えば特開昭55−133431号公報、特開
昭57−125247号公報など)。
しかし、かかる粒子を添加する場合、添加量が増加す
るにつれてポリエステルの重要な特性である透明度が減
少する。フィルムに成形した場合、特に粒子とポリエス
テルの屈折率の影響および延伸による粒子の表面付近の
ボイド発生等により透明性が著しく損なわれることが知
られている。粒子の屈折率に関してはポリエステル、特
にポリエチレンテレフタレートの屈折率に近い粒子は少
なく、屈折率の近い粒子があっても易滑性に劣るなどの
問題がある。
また、特に有機高分子微粒子においては屈折率がポリ
エステルに近いものがあるが一般に耐熱性が劣る。従っ
て、ポリエステル重合時あるいは溶融成形時に軟化しや
すくこれに起因して凝集によるポリマー中の有機粒子が
分散性不良などの問題が生じる。
例えば、特公昭37−18624号公報には微細分割した陽
イオン交換物質をポリエステルに添加することか開示さ
れているが、架橋剤の量が少なく、耐熱性が不充分であ
る。さらに陽イオン交換物質の例として金属塩の形でス
ルホネート、ホスホネートおよびカルボキシレートのよ
うな反応性の置換基を含有する陽イオン交換物質が明示
されているが、塩基性染料に対する親和性を向上させる
ものであり、陽イオン交換物質の耐熱性が不充分である
ためポリエステル中で凝集して粗大粒子となりポリエス
テルの親和性向上効果はみられない。
一方、特公昭59−5216号公報にはポリエステルと共有
結合を形成し得る基、例えばエステル基、カルボキシル
基、水酸基などの官能基を有する架橋高分子微粉体をポ
リエステルに配合することが開示されている。しかし、
ポリエステルと共有結合するためには例えばカルボキシ
ル基の場合は酸の形(−COOH)であり、ポリエステルに
該粒子を添加した場合、得てして該粒子の表面活性があ
るため粒子同志が凝集してしまい、粗大粒子の混入より
透明性が悪化してしまう。また、特公昭59−5216号公報
では一定粒度の架橋高分子微粉体を得るために粉砕、分
級を行なうため、作業が煩雑になるばかりでなく粗大粒
子の混入は避けきれない。
また、特開昭59−217755号公報、特開昭61−174254号
公報においては、粒度分布がシャープな架橋ポリマー粒
子を用いた方法、特開昭55−152719号公報ではポリエス
テルと共有結合する架橋高分子粒子からなる粒子が提案
されているが、かかる粒子あるいは方法を用いてもポリ
エステル中での凝集粒子やボイドの発生は避け切れず、
高度な易滑性や透明性が必要とされる用途においては不
十分であった。さらに特開昭48−10177号公報において
は透明性と易滑性を両立させるために、低ヘイズフィル
ムの少なくとも片面に炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、
テレフタル酸金属塩等の微細な不活性無機化合物粒子を
含有する層を積層したフィルムが提案せれているが、本
発明が目的とする高度な透明性と易滑性の両立を達成す
るには不十分であった。
近年、特に、易滑性と透明性に優れたフィルムが要求
される製版印刷用、エックス線写真用、マイクロフィル
ム用、電子写真用、ジアゾ写真用等の複写用途におい
て、易滑性および透明性という二律排反の現象をより高
度に満足させることが要求されるようになった。しかし
未だ解決に至っていないのが現状である。
そこで、本発明者らは、上記従来使用されている粒子
添加方式の欠点を改良し、特に易滑性と透明性のバラン
スに優れたポリエステルフィルムを得るために鋭意検討
した結果、熱分解温度が380℃以上で、官能基としてカ
ルボキシル基のアルカリ金属塩を有する架橋ポリスチレ
ン粒子を用いることによって本発明の目的を達成できる
ことが判明した。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、特定の熱分解温度、官能基を有する
架橋ポリスチレン粒子を含有し、従来技術では達成し得
なかった易滑性および透明性に優れたポリエステル組成
物を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 前記した本発明の目的は芳香族ジカルボン酸を主とす
る二官能性酸成分と少なくとも一種のグリコール成分よ
りなるポリエステルが、体積形状係数が0.35〜π/6、熱
分解温度が380℃以上、平均粒径0.01〜5μmで、官能
基としてカルボキシル基のアルカリ金属塩を有する架橋
ポリスチレン粒子を含有してなるポリエステル組成物に
よって達成される。
本発明のポリエステルの二官能性酸成分は、芳香族ジ
カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体を主とす
るものであり、具体的にはテレフタル酸、2,6−ナフタ
リンジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキ
シ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、そのエステル形成
性誘導体としてテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタリ
ンジカルボン酸ジメチル、1,2−ビス(2−クロロフェ
ノキシ)エタン−4,4−ジカルボン酸ジメチルなどが挙
げられ、なかでもテレフタル酸もしくはテレフタル酸ジ
メチルが好ましい。また、グリコール成分としてはエチ
レングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げら
れ、なかでもエチレングリコールが好ましい。これらジ
カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体およびグ
リコール成分以外に他の成分を共重合してもよく、その
成分は例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリ
コール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、5−ナトリウムスルホレゾルシンな
どのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成
分、トリメリット酸、ピロメリット酸等多官能ジカルボ
ン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシジ
カルボン酸成分などが挙げられる。
ジカルボン酸成分がジカルボン酸の場合はグリコール
とエステル化反応後、またジカルボン酸エステルの場合
はグリコールとエステル交換反応後、高温、減圧下にて
重縮合せしめポリエステルを得る。
また、プレポリマー自身を出発物質として重縮合させ
ることもできる。このようなモノマから得られるポリエ
ステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレートが好ましく、特に高剛性が要
求される用途においてはポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートが好ましい。
本発明の架橋ポリスチレン粒子は粒子を構成する主要
組成がスチレンまたはその誘導体である粒子であり、粒
子を構成するモノマとしては、分子中に唯1個の脂肪族
不飽和結合を有するモノビニル化合物(A)と、架橋成
分として分子中に2個以上の脂肪族不飽和結合を有する
ジビニル化合物(B)が一般的に用いられる。ここで化
合物(A)の主要部分にスチレンまたはその誘導体を用
いることによって本発明の架橋ポリスチレン粒子を得る
ことができる。かかる粒子は高度に架橋したポリスチレ
ン粒子であって、熱天秤による熱分解温度(10%減量温
度)が380℃以上の耐熱性を有する粒子をいう。すなわ
ち架橋ポリスチレン粒子が易滑性として作用を発揮する
ためには、ポリエステル重合時あるいは溶融成形温度で
溶融しない耐熱性が必要である。好ましくは熱分解温度
が400℃以上、さらに好ましくは410℃以上である。熱分
解温度が380℃未満はポリエステル重合時あるいは溶融
成形時に粒子凝集を起こすため易滑性が不良である。
このような耐熱性を有するためにはジビニルベンゼン
等の架橋成分により高度に架橋する必要があり、モノマ
ーに対して純粋なジビニルベンゼン等の架橋成分として
12重量%以上必要で、好ましくは30重量%以上、さらに
好ましくは55重量%以上である。
本発明に用いる架橋ポリスチレン粒子は透明性、易滑
性の点から粒子形状が球形状で均一な粒度分布のものが
好ましい。
すなわち、体績形状係数が0.35〜π/6である必要があ
り、さらには0.45以上のものが好ましい。[ただし、体
積形状係数fは次式で表わされる。f=V/D3、ここで、
Vは粒子体積(μm3)、Dは粒子の投影面における最大
径(μm)]例えば特開昭55−158937号公報などに開示
されている粉砕して微粒子化する方法では粒子形状が不
定形で均一な粒度分布のものが得られにくく粗大粒子が
存在して、特にフィルムに成形する場合製膜時にフィル
ターの目塞り、製品としては透明性、易滑性、美観が損
なわれるので好ましくない。
本発明の架橋ポリスチレン粒子は公知の製造方法によ
って得られるものを用いることができる。公知の製造方
法としては、以下のような例えば乳化重合による方法が
ある。
(1) ソープフリー重合法、すなわち乳化剤を使用し
ないか、あるいは極めて少量の乳化剤を用いて重合する
方法。
(2) 乳化重合に先だって重合系内へ重合体粒子を添
加しておいて乳化重合させるシード重合法。
(3) 単量体成分の一部を乳化重合させ、その重合系
内で残りの単量体を重合させるコアーシェル重合方法。
(4) 特開昭54−97582号公報、および特開昭54−126
288号公報に示されているユーゲルスタット等による重
合方法。
(5) (4)の方法において膨潤助剤を用いない重合
方法。
上記のうち、特に(3)および(4)の方法が均一な
粒度分布を持つ球形状架橋ポリスチレン粒子を得ること
ができるので好ましい。
本発明では、ポリエステルとの親和性を向上させるた
め、官能基としてカルボキシル基のアルカル金属塩を有
する架橋ポリスチレン粒子を用いる必要がある。カルボ
キシル基のアルカリ金属塩としてはNa塩、K塩、Li塩等
が挙げられるが、中でもカルボキシル基のNa塩がより親
和性が向上するので好ましい。カルボキシル基のアルカ
ル金属塩を導入する方法に特に限定はないが、粒子の耐
熱性の点から一度高架橋の母体となる粒子を製造し、そ
の母体粒子の表面にカルボキシル基のアルカリ金属塩を
導入することが好ましい。例えば母体粒子としてスチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体において、ジビニルベン
ゼンにより高度に架橋した粒子を製造し、その後メタク
リル酸により粒子表面にカルボキシル基を導入する。そ
して粒子製造系内をアルカリ側にすることで粒子表面に
−COONaの官能基が導入される。このカルボキシル基の
アルカリ金属塩を導入するためのモノマー量は母体粒子
に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%が
さらに好ましい。
本発明に用いる架橋ポリスチレン粒子の平均粒径は0.
01〜5μmとする必要があり、より好ましくは0.05〜2
μmである。平均粒径が0.01μm未満ではフィルムにし
た場合、滑り性が低下してくる。また平均粒径が5μm
を越えるとボイドの発生、粗大突起に起因するフィルム
表面の散乱の増加等によるフィルムの透明性が減少す
る。
また、架橋ポリスチレン粒子のポリエステルに対する
添加量は好ましくは0.001〜10重量%であり、より好ま
しくは0.002〜2重量%である。本発明の架橋ポリスチ
レン粒子を用いると、架橋ポリスチレン粒子はポリエス
テルの屈折率に近く、粒度均一性に優れ、しかも特定の
官能基を有するため親和性も良好なので、延伸フィルム
にした場合、透明性に優れたフィルムが得られ、易滑性
および透明性という二律排反の現象をより高度に満足さ
せることができる。
また平均粒径0.01〜5μmの架橋ポリスチレン粒子を
用いる際に、第1成分として平均粒径0.01μm以上0.1
μm未満、好ましくは0.01μm以上0.08μm未満、さら
に好ましくは0.02μm以上0.06μm未満のものと、第2
成分として平均粒径が0.1〜5μm、好ましくは0.1〜2
μmのものとの2成分系からなる架橋ポリスチレン粒子
を用いると易滑性が向上するので好ましい。さらに、2
成分からなる架橋ポリスチレン粒子がポリエステル中に
分散含有させた場合、重量平均径DWと数平均径DNとの比
DW/DNの値は1.3以上10以下が好ましく、さらに好ましく
は1.3以上5以下である。
2成分からなる架橋ポリスチレン粒子をポリエステル
中に分散含有させる場合、2種類の架橋ポリスチレン粒
子を別々に製造して得られた粒子を混合してポリエステ
ル中に分散含有させても良いが、作業性、コスト、表面
平担性の点から、架橋ポリスチレン粒子の製造段階で2
種類の粒子を同時に製造しポリエステル中に分散含有さ
せる方が好ましい。ここで第1成分の平均粒径0.01〜0.
1μm未満の粒子はポリジビニルベンゼン粒子であって
も良い。
本発明において、第2成分としての架橋ポリスチレン
粒子の添加量はポリエステルに対して0.0001〜10重量%
であり、より好ましくは0.001〜15重量%で、さらに好
ましくは0.01〜2重量%である。また、第1成分として
の架橋ポリスチレン粒子の添加量は第2成分の架橋ポリ
スチレン粒子に対して0.01〜5重量%、より好ましくは
0.01〜3重量%で、さらに好ましくは0.05〜2重量%で
ある。
さらに、特に第2成分の架橋ポリスチレン粒子が官能
基としてカルボキシル基のアルカリ金属塩を有すること
が好ましい。
また、架橋ポリスチレン粒子の耐熱性向上あるいは屈
折率のコントロールのために、架橋ポリスチレン粒子の
まわりにSiO2、TiO2などの無機物を被覆してもよい。
本発明の架橋ポリスチレン粒子はポリエステルに公知
の種々の方法によって添加、混合できる。ポリエステル
の製造段階に添加しても良いし、一軸、二軸などのエク
ストルーダー或いはベント機構を有するエクストルーダ
ーなどを用いて溶融状態にあるポリマーに添加混合して
も良い。ポリエステルの製造段階に添加する場合はポリ
エステル重合開始前から重合反応中の段階で添加するの
が粒子分散性の点で特に好ましい。ポリエステル組成物
製造前の前駆段階または重縮合段階における粒子の添加
は、エチレングリコールのスラリーとして添加するのが
好ましい。そのスラリー濃度としては0.5〜20重量%程
度が適当である。
エチレングリコール等の分散媒への分散法は例えば高
速分散機、サンドミル、ロールシール等を用いてもよ
い。
また分散時にはリン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウム
などのリン原子含有化合物、テトラエチルアンモニウム
ハイドロオキサイド、ヒドロキシルアミンなどの窒素原
子含有化合物、アルカリ化合物、陽イオン、陰イオン、
両性もしくは非イオン性などの界面活性剤あるいは水溶
性高分子等の分散剤を使用するとスラリーおよびポリマ
ー中の架橋ポリスチレン粒子の分散性がさらに向上し、
特に好ましい。
さらにポリエステルの製造時に通常用いられるリチウ
ム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガ
ン、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン等の化合
物の金属化合物触媒、着色防止剤としてのリン化合物、
架橋ポリスチレン粒子以外の粒子として、従来公知の例
えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸
バリウム、タルク、リン酸カルシウム、カオリン、シリ
カアルミナ、炭酸カルシウムなどの無機粒子、アルカリ
金属あるいはアルカリ土類金属とリンとを構成成分の一
部としポリエステル重合反応系内で析出してくるいわゆ
る内部粒子、またはホルムアルデヒド樹脂、フェノール
樹脂、シリコーン樹脂などからなる有機高分子微粒子も
必要に応じて適宜添加できる。本発明のポリエステル組
成物は、単層、複層のいずれのフィルムにも適用するこ
とができるが、フィルムの易滑性、表面の均一性の点か
ら、本発明のポリエステル組成物からなるフィルムを少
くとも1層、特に最外層に有する積層フィルムとするこ
とができる。このようなフィルムは従来公知の方法によ
って製造することができる。
[実施例] 以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
なお、得られたポリエステルの各特性値の測定は次の
方法に従って行なった。
(A) 粒子の粒径 平均粒径は粒子の電子顕微鏡写真によって測定した50
体積%の点にあたる粒子等価球直径により求めた。等価
球直径とは粒子と同じ体積を有する球の直径である。
また、重量平均径(DW)と数平均径(DN)はイメージ
アナライザー(例えばQTM−900:ケンブリッジインスト
ラメント製)を用いて数値処理によって個々に求め、比
をとった。
(B) 粒子の熱分解温度 理学電気TAS−100にて窒素雰囲気下、昇温速度20℃/m
inでの熱天秤減量曲線を測定した。10%の減量温度を熱
分解温度とした。
(C) ポリマーの極限粘度 o−クロロフェノールを溶媒として25℃にて測定し
た。
(D) ポリマー中の粒子分散状態 ポリマーを超薄膜作成装置によって0.3μ前後の超薄
切片にしたのち、透過型電子顕微鏡により、ポリマー中
の粒子分散状態を観察した。
分散状態の判定は次のとおりに行なった。
○:二次凝集粒子はほとんど観察されず、目的を達成す
る。
△:わずかに二次凝集粒子が存在し、目的を達成しな
い。
×:ほとんどを粒子が二次凝集粒子であるので目的を達
成しない。
(F) フィルム特性 (1) 表面粗さRa(μm) 触針式表面粗さによる測定で示した(カットオフ値0.
08mm、測定長0.5mm。ただし、JIS−B−8601に従っ
た。) (2) 滑り性 ASTM−D−1894B−63に従い、スリップテスターを用
いて、静摩擦係数(μs)ならびに動摩擦係数(μd)
を測定した。
(3) フィルムヘイズ ASTM−D−1003−52に従って測定した。
実施例1 テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコー
ル70重量部から酢酸カルシウム0.09重量部を触媒として
常法により、エステル交換反応を行ない、生成物に三酸
化アンチモン0.03重量部、リン酸トリメチル0.3重量部
および5重量%濃度のエチレングリコールスラリーとし
て分散させた熱分解濃度が420℃、平均粒径0.6μmで官
能基としてカルボキシル基のナトリウム塩を有する架橋
ポリスチレン粒子(体積形状係数0.51)0.05重量部を添
加し、常法により重合して極限粘度0.615、軟化点260.2
℃のポリエチレンテレフタレートを得た。ポリマー中を
透過型電子顕微鏡によって観察した結果、粒子分散状態
は二次凝集が少なく、ほぼ単分散状態で存在した。
該ポリマーを290℃で溶融押し出しし、85℃で縦方向
に3.3倍、95℃で横方向に3.6倍延伸した。その後205℃
で熱固定し、厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得た。該
フィルム特性を評価した結果、滑り性および透過性とも
良好であった(第1表)。
実施例2〜4および比較実施例1〜4 含有する架橋ポリスチレン粒子(いずれも体積形状係
数が0.51)の熱分解温度、平均粒径および官能基の種類
を変えて実施例1と同様にポリエチレンテレフタレート
の二軸配向フィルムとした。含有する架橋ポリスチレン
粒子の熱分解温度、平均粒径および官能基の種類が本発
明の範囲内であるものはフィルムにした場合、滑り性、
透明性ともに優れていた。
しかし、含有する架橋ポリスチレン粒子の熱分解温度
が本発明外であるときはポリマー中で溶解凝集が生じ、
フィルムにした場合著しく透明性が損なわれた。同様に
平均粒径が本発明外である場合、官能基がない場合およ
ひ官能基としてCOOHの場合は滑り性と透明性を共に満足
させることはできなかった。(比較実施例1〜4)。
実施例5、6 含有する架橋ポリスチレン粒子(いずれも体積形状係
数が0.51)を2成分系にして実施例1と同様にポリエチ
レンテレフタレートの二軸配向フィルムとした。ここで
実施例5の系のDW/DN比が3.6、実施例6の系が4.0であ
る。含有する架橋ポリスチレン粒子を2成分系にすると
フィルムにした場合滑り性が向上し、透明性にも優れて
いた。
比較実施例5、6 含有する粒子として、他の高分子粒子であるスチレン
−アクリル共重合体粒子、無機粒子としてコロイダルシ
リカを用い、実施例1と同様にしてポリエチレンテレフ
タレートの二軸配向フィルムとした。いずれも滑り性、
透明性を共に満足させることができなかった。
[発明の効果] 本発明のポリエステルは、特定の熱分解温度で特定の
官能基を有する架橋ポリスチレン粒子を含有するので次
のような優れた効果が発揮される。
(1) 本発明の架橋ポリスチレン粒子は高度に架橋し
ているため、粒子の耐熱性が向上し、ポリマー中に均一
に分散させることができる。
従って通常の成形法で容易に成形でき、得られる繊
維、フィルムあるいは成形品は相互間の易滑性に優れ、
成形機の目詰りや糸切れ、フィルム破れ等のトラブルが
生じない。
(2) 本発明の粒子は本発明のポリエステルの屈折率
に近く、粒度均一性に優れている。また、特定の官能基
を有しているためポリエステルとの親和性が向上しフィ
ルムにした場合、透明性および易滑性に良好なフィルム
が得られる。かかるフィルムは写真、製版用途等には好
適である。
(3) 本発明の粒子はポリエステルとの親和性に優れ
ているので、フィルムにした場合ボイドが少なく、耐摩
耗性、電気特性に優れている。
かかるフィルムは磁気テープ用途、コンデンサー用途
に好適である。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジカルボン酸を主とする二官能性酸
    成分と少なくとも一種のグリコール成分よりなるポリエ
    ステルが、体積形状係数が0.35〜π/6、熱分解温度が38
    0℃以上、平均粒径0.01〜5μmで、官能基としてカル
    ボキシル基のアルカリ金属塩を有する架橋ポリスチレン
    粒子を含有してなるポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】架橋ポリスチレン粒子に対するカルボキシ
    ル基のアルカリ金属塩の量が0.01〜20重量%であること
    を特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 【請求項3】カルボキシル基のアルカリ金属塩がナトリ
    ウム塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    ポリエステル組成物。
  4. 【請求項4】架橋ポリスチレン粒子がSiO2またはTiO2
    被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載のポリエステル組成物。
  5. 【請求項5】架橋ポリスチレン粒子として、平均粒径が
    それぞれ0.01μm以上0.1μm未満の架橋ポリスチレン
    粒子(a)、および0.1〜5μmの架橋ポリスチレン粒
    子(b)2成分を含有することを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  6. 【請求項6】ポリエステル中に含有される2成分からな
    る架橋ポリスチレンの重量平均粒径Dwと数平均粒径Dnと
    の比Dw/Dnが2成分全体として1.3〜10であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステ
    ル組成物。
  7. 【請求項7】架橋ポリスチレン粒子(b)のポリエステ
    ルに対する含有量が0.0001〜10重量%であり、かつ架橋
    ポリスチレン粒子(a)の、架橋ポリスチレン粒子
    (b)に対する割合が0.01〜5重量%であることを特徴
    とする請求項5または6に記載のポリエステル組成物。
  8. 【請求項8】架橋ポリスチレン粒子(a)がポリジビニ
    ルベンゼン粒子であることを特徴とする請求項5〜7の
    いずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  9. 【請求項9】2,6−ナフタリンジカルボン酸単位を主た
    る酸成分とするポリエステルである請求項1〜8のいず
    れか1項に記載のポリエステル組成物。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれか1項に記載のポ
    リエステル組成物からなるフィルム。
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