JPH0721071B2 - ポリエステルフイルム - Google Patents

ポリエステルフイルム

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JPH0721071B2
JPH0721071B2 JP4762187A JP4762187A JPH0721071B2 JP H0721071 B2 JPH0721071 B2 JP H0721071B2 JP 4762187 A JP4762187 A JP 4762187A JP 4762187 A JP4762187 A JP 4762187A JP H0721071 B2 JPH0721071 B2 JP H0721071B2
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polyester
film
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喜代彦 伊藤
彰二 中島
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、易滑性、平坦性に優れたポリエステルフィル
ムに関するもので、さらに詳しくは、コンデンサー用、
包装用、写真用、磁気テープ用、磁気ディスク用などの
ベースフィルムに関するものである。
〔従来の技術〕
易滑性、平坦性に優れたポリエステルフィルムとして
は、内部粒子または不活性粒子と高級脂肪酸または高級
脂肪酸アミドを含有せしめたポリエステルフィルムが知
られている(例えば、特開昭59−221354号公報)。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、上記従来のポリエステルフィルムは、高温雰囲
気下で長時間保存すると金属蒸着膜あるいは磁性バイン
ダー等との接着性が著しく低下するだけでなく、フィル
ム表面の光沢も悪化するという欠点があり、また、バッ
クコート処理を行なわないタイプの磁気テープ、特には
ビデオテープ、オーディオテープにおいては、高温高湿
の雰囲気下で繰返してVTRあるいはカセットレコーダー
中で使用すると走行性が悪化し、テープのエッジ部がワ
カメ状に変形したり、テープ鳴き等の欠点があった。
本発明は、かかる問題点を改善し、包装用材料として光
沢に優れているだけでなく、金属蒸着膜あるいは、種々
のバインダーとの接着性に優れ、また磁気記録媒体、特
に磁気テープとした時に電磁変換特性を損うことなく走
行性に優れたポリエステルフィルムを提供することを目
的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、炭素数6以上の長鎖アルキル基を側鎖に有す
る繰り返し単位を共重合してなるポリエステル共重合物
を含有し、かつ少なくとも片面の表面粗さRaが0.005〜
0.09μmであることを特徴とするポリエステルフィルム
に関するものである。
本発明におけるポリエステルとは、ジカルボン酸とジオ
ールから縮重合により得られるエステル結合を有したポ
リマーであり、ジカルボン酸の具体例としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカ
ルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニ
ルサルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン
酸、アンスラセンジカルボン酸、α,β−ビス(2−ク
ロロフェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸などが
挙げられる。
ジオールの具体例としては、エチレングリコール、トリ
メチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペン
タメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘ
キシレングリコールなどが挙げられる。
本発明のポリエステル共重合組成物とは、上記で示した
ポリエステル中に下記(I)式又は(II)式に示したよ
うな炭素数6以上の長鎖アルキル基を有するくり返し単
位が共重合されたものをいう。
[ここでA,A′,B,B′は、−O−,−COO−,−NR−(R
は、水素またはアルキル基),−CO−で表わされる官能
基であり、A,A′,B,B′は同一であっても異なっていて
もよく、また、Cは炭素原子を示し、Fは炭素原子また
で示されるような脂環族多価炭化水素基によって代表さ
れる多価不活性基を示す。Dは、炭素数6以上のアルキ
ル基または水素であり、Pは1以上の整数を示す。ただ
しPが1の場合、Dは前記アルキル基である。またPが
1を越える場合、Dのアルキル基は同一であっても異な
っていてもよいが少なくとも1個以上がアルキル基であ
ることが必要である。R1,R1′,R2,R2′,R3,R3′,R4,
R4′は、水素またはアルキル基で同一であっても異なっ
ていてもよい。またl,m,n,oはそれぞれ0また1以上の
整数である。] [ここで、Y,Y′は−WO−,−WCOO−,−WNH−,−WCOO
CH2 Q,−WNH−CH2 (Wは、アルキレン基また
はオキシアルキレン基)で同一であっても異なっていて
もよい。またQ、Rは0あるいは1以上の整数で、Zは
炭素数6以上のアルキル基である。] 上記(I)式で示した繰返し単位において、 ACR1R1′lBCR2R2′mあるいは A′CR3R3′nB′CR4R4′oで示される官能基
を、1つの繰返し単位中に2個含有するものが、フィル
ムの機械強度が優れ、かつフィルム表面に粗大突起が少
ないので好ましい。また、(I)式のDおよび(II)式
のZで示されるアルキル基の炭素数が5以下の場合に
は、フィルムの易滑性が不十分であるため好ましくな
い。特に、前記アルキル基の炭素数が6〜50の場合、フ
イルム表面の粗大突起の発生が少なく、かつ滑り性が良
好なので特に望ましい。
前記(I)式および(II)式中のDあるいはZで示され
る長鎖アルキル基中の水素がフッ素原子によって少なく
とも1個以上置換されているとフィルムの易滑性、特
に、磁気テープとして用いた時のVTR中での金属ガイド
ピンとの滑りが向上するので一層好ましい。
本発明において、長鎖アルキル基を有する繰返し単位を
共重合してなるポリエステル共重合組成物を含有すると
は、ポリエステルフィルム中に共重合組成物を少なくと
も1重量%以上有していることをいう。また、前記繰返
し単位中にある長鎖アルキル基の含有量は、ポリエステ
ルフィルム100重量部中に、0.01〜10重量部、好ましく
は0.05〜8重量部、更に好ましくは、0.15〜5重量部が
望ましい。含有量が上記範囲未満であるとフィルムの易
滑性、接着性が不十分であり、また含有量が上記範囲を
越えるとフィルムの平坦性が悪化するのみならず機械強
度も低下する。また本発明において長鎖アルキル基は前
記繰返し単位の側鎖にあることが必要である。主鎖側に
長鎖アルキル基がある場合は、接着性と易滑性を伴に満
たすという本発明の効果が発現しないのみならず機械強
度も低下する。
本発明における表面粗さ(Ra)とは、後述する方法によ
って測定されるものであるが、その範囲は本発明におい
ては0.005〜0.09μmである必要があり、好ましくは0.0
06〜0.06μmである。該表面粗さ(Ra)が前記範囲未満
であると平坦すぎてスリキズが発生し易くなる。一方、
Raが前記範囲を越えると平坦性が悪く光沢等が悪化す
る。
特に本発明のポリエステルフィルムを磁気記録媒体用ベ
ースフィルムとして用いる場合、フィルムの少なくとも
片面のRaが0.005〜0.038μm、好ましくは0.006〜0.03
μmでかつ表面突起の面積平均径A(単位:μm)なら
びに面積平均径Aと数平均径B(単位:μm)の比A/B
が下式(1)、(2)を満足する場合に走行性、特に常
温常湿ならびに高温高湿下におけるVTR中の金属ガイド
ピンとの滑りが良好でかつ磁気バインダーとの接着性な
らびに磁気記録媒体とした時の電磁変換特性が良好とな
るので特に望ましい。
0.2≦A≦3.0 ……(1) 1.04≦A/B≦1.50 ……(2) ここで上記の表面突起の面積平均径Aおよび数平均径B
は、それぞれ下式(3)、(4)で表わされる。
[nは、小数点以下2桁で求められた突起径(μmφ)
の最大値を切り上げた整数を0.1で割った整数値であ
り、Xiは0.1・iで求められる突起径の級中値であり、f
iはフィルム表面1mm2中の上記突起の級中値の度数とし
て求められる。ここでの突起径は0.05μmφ以上のもの
を数える。] 本発明のRaを得るためには、通常ポリエステル中に内部
粒子、不活性粒子、あるいはポリエステルに不溶の有機
系粒子を添加する方法が用いられる。
ここで、前記内部粒子とは、ポリエステルの合成時に添
加したカルシウム化合物、マグネシウム化合物およびリ
チウム化合物の少なくとも一種の化合物とポリエステル
を構成する成分とが結合して生成する粒子である。
なお、本発明の内部粒子中には、本発明の効果を妨げな
い範囲でリン元素および微量の他の金属成分、たとえ
ば、亜鉛、コバルト、あるいはアンチモン、ゲルマニウ
ム、チタンなどが含まれていてもよい。
この内部粒子の含有量測定法の一例について説明する。
ポリエチレンテレフタレートをメタノールで十分洗浄し
表面付着物を取り除き水洗して乾燥した300gのサンプル
にo−クロルフェノール2.7kgを加えて撹拌しつつ100℃
まで昇温させ、昇温後さらに1時間そのまま放置してポ
リエチレンテレフタレート部分を溶解させる。ただし、
高度に結晶化している場合などでポリエチレンテレフタ
レート部分が溶解しない場合には、一度溶融させて急冷
した後に前記の溶解操作を行なう。
次いでポリエチレンテレフタレート中に含有されている
ゴミなどの粗大不溶物をG−1ガラスフィルターで別
し、除去し、この上物の重量は試料重量から差し引
く。
日立製作所製分離用超遠心機40p型にローターRP30を装
備し、セル1個当りに前記ガラスフィルター別後の溶
液30ccを注入後、ローターを4500rpmにて回転させ、回
転異常のないことを確認後、ローター中を真空にし、3
0,000rpmに回転数を上げ、この回転数にて粒子の遠心分
離を行なう。
分離の完了はほぼ40分後であるが、この確認は必要あれ
ば分離後の液の375mμにおける光線透過率が分離前のそ
れに比し、高い値の一定値になることで行なう。分離
後、上澄液を傾斜法で除去し分離粒子を得る。
分離粒子には分離が不十分なことに起因するポリエステ
ル分の混入があり得るので、採取した該粒子に常温のo
−クロルフェノールを加えほぼ均一懸濁後、再び超遠心
分離機処理を行なう。
この操作は後述の粒子を乾燥後該粒子を走査型差動熱量
分析を行なって、ポリマに相当する融解ピークが検出で
きなくなるまで繰返す必要がある。最後に、このように
して得た分離粒子を120℃、16時間真空乾燥して秤量す
る。
なお、前記操作で得られた分離粒子は内部粒子と外部粒
子の両者を含んでいる。このため内部粒子量と外部粒子
量を個別に求める必要があり、まず前記分離粒子につい
て金属分の定量分析を行ない、Ca、Liの含有量およびC
a、Li以外の金属含有量を求めておく。次いで該分離粒
子を3倍モルのエチレングリコール中で6時間以上還流
加熱したのち、200℃以上になるようにエチレングリコ
ールを留去して解重合すると内部粒子だけが溶解する。
残った粒子を遠心分離して得られた分離粒子を乾燥秤量
し外部粒子量とし、最初の合計分離粒子量との差を内部
粒子とする。
また前記不活性粒子とは、種類としては元素周期律表第
II、III、IV族の元素の酸化物もしくは無機塩から選ば
れる化学的に不活性なもので、たとえば合成または天然
品として得られる炭酸カルシウム、カーボンブラック、
TiN、TiO、CaF2、LiF、MgF2、湿式シリカ(二酸化ケイ
素)、乾式シリカ(二酸化ケイ素)、ケイ酸アルミニウ
ム(カオリナイト)、硫酸バリウム、リン酸カルシウ
ム、タルク、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化
アルミニウム、テレフタル酸カルシウム、ケイ酸カルシ
ウムなどが挙げられる。
また前記ポリエステルに不溶性の有機系粒子とは、種類
は特に限定されるものではなく、たとえば架橋ポリマの
微粉末などである。
本発明のRaを得るための前記不活性粒子ならびに有機系
粒子の平均粒子径は、0.08〜5μm、好ましくは0.15〜
3μmであることが望ましい。平均粒子径が上記範囲未
満であるとフィルムの易滑性が不十分であり、また上記
範囲を越えるとフィルムの平坦性が悪化し表面光沢が悪
くなる。
また、前記、内部粒子、または不活性粒子、またはポリ
エステルに不溶性の有機系粒子のポリエステルフィルム
に対する含有量は、0.06〜4重量%、好ましくは0.1〜
2重量%であることが望ましい。該含有量が上記範囲未
満であるとフィルムの易滑性が不十分であり、また上記
範囲を越えると粒子の凝集に起因すると見られる粗大粒
子が多くなり、製膜時にフィルム破れが発生し易くなっ
たり、スリット特性が悪化するため望ましくない。
また、前記内部粒子、不活性粒子およびポリエステルに
不溶性の有機系粒子は、単独で用いても組合せて用いて
もよい。
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造法の大要を
述べる。ただし、これに限定されるものではない。
先ず、前記不活性粒子をポリエステルに添加し粒子種の
マスターポリマーを得る。添加する方法は、ポリエステ
ルの重合の反応前、反応中、反応後、または溶融押出し
時の何れでもよいが、重合開始前エステル化又はエステ
ル交換反応で比較的低分子量の中間体を製造する段階、
あるいはこれらを更に減圧または不活性気流中で反応さ
せてフィルム形成能を有する高重合体を得る段階等のポ
リエステル重合開始前から重合反応中の段階で添加する
のが操作上有利である。この時種々の分散媒、一般には
エチレングリコールに均一に分散させたスラリー状態で
添加するのが好ましい。
エチレングリコール等の分散媒への分散には、種々の分
散法は、例えば高速分散機(H,S,D)、超音波分散機、
コロイドミル、ウルトラ・フーレックス、ホモジナイザ
ー、サンドミル、アトライタ、ロールミル等を用いて分
散するのが好ましい。特に超音波分散機やサンドミル、
ロールミル等の分散が凝集粒子を微分散させるために有
効であり好ましい。最も好ましくは0.5mm以下のメディ
アを用いて分散する方法である。また分散時には、リン
酸、アルカリ化合物等の分散剤を使用するとスラリーお
よびポリエステル中での不活性粒子の再凝集を防止でき
特に好ましい。
また、ポリエステル中に内部粒子を含有せしめる方法と
して、エステル交換反応後、所定量の三酸化アンチモン
のエチレングリコールゾルを添加しポリエステルの重合
を完結させることによって得られる。
次に、炭素数6以上の長鎖アルキル基を有する多官能性
有機化合物をポリエステルの重縮合反応中に添加反応さ
せポリエステル共重合組成物を得る。
前記、長鎖アルキル基含有多官能性有機化合物として
は、例えば、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオ
ール、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオ
ール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカン
ジオール、1,2−エイコサンジオールなどの1,2−アルカ
ンジオール類、2−ヘキシル−1,3−プロピレングリコ
ール、2−オクタデシル−1,3−プロピレングリコール
などの2−アルキル−1,3−プロピレングリコール類、
2−ヘキシル−1,4−ブチレングリコール、2−オクタ
デシル−1,4−ブチレングリコールなどの2−アルキル
−1,4−ブチレングリコール類、2−ヘキシルコハク
酸、2−ドデシルコハク酸、2−オクタデシル無水コハ
ク酸、2−ドデシル−3−メチルコハク酸などの脂肪族
ジカルボン酸類およびこれら脂肪族ジカルボン酸の低級
アルコールエステル、1,2−オクタンジアミン、1,2−ヘ
キサデカンジアミンなどのジアミン類、2−ヒドロキシ
ドデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、1,2−ヒ
ドロキシステアリン酸などのヒドロキシカルボン酸類を
挙げることができるが、これに限定するものではない。
(III)式で示される化合物としては、例えば4−ヘキ
シルレゾルシン、4−ペンタデシルレゾルシン、4−オ
クタデシルレゾルシン、5−オクタデシルレゾルシンな
どのアルキル置換レゾルシン類、3−ペンタデシルカテ
コールなどのアルキル置換カテコール類、2−ペンタデ
シルヒドロキノンなどのアルキル置換ヒドロキノン類、
アルキル置換テレフタル酸やアルキル酸置換イソフタル
酸などのアルキル置換芳香族ジカルボン酸類およびこれ
らの芳香族ジカルボン酸の低級アルコールエステル類、
アルキル置換ジアミノベンゼン類、2−ペンタデシル−
4−ヒドロキシ安息香酸などのアルキル置換ヒドロキシ
安息香酸等を挙げることができる。
前記ポリエステル共重合組成物の製造において前記長鎖
アルキル基含有多官能性有機化合物を単独で用いてもよ
いが前述の不活性粒子またはポリエステルに不溶性の有
機系粒子または内部粒子を共存させて重合するとフィル
ムのスリット性の向上や耐摩耗性(白粉発生の減少)が
向上するのでより好ましい。
こうして得られた不活性粒子のマスターポリマー、内部
粒子含有ポリマー、長鎖アルキル基含有ポリエステル共
重合組成物および無粒子のポリエステルを特定量混合し
押出機で溶融押出し、シート状にキャストし、周知の方
法で延伸して配向せしめる。
延伸方法は特に限定されるものではないが、一軸配向型
式を得るための一軸延伸方法としては、ロールによるタ
テ一方向延伸、クリップ把持によるヨコ一方向延伸があ
り、一方、より望ましい配向型式である二軸配向型式を
得るための二軸延伸方法としては、例えば、同時二軸、
タテ→ヨコ、タテ→ヨコ→タテ、ヨコ→タテ、2段タテ
→ヨコ、2段タテ→ヨコ→タテ、2段タテ→ヨコ→同時
2軸などが挙げられる。
次いで必要に応じ、適当な弛緩を与えつつ、熱処理をす
る。
2軸配向の条件をポリエステル、特にはポリエチレンテ
レフタレート、またはこれを主成分とするポリエステル
フィルムを例として説明すると、未延伸フィルムを縦横
両方向共、延伸温度70〜130℃、延伸倍率2〜5倍で延
伸し、130〜250℃で熱処理するのが通例である。
ここで、1軸延伸後、あるいは2軸延伸後のポリエステ
ルフィルムに、印加する電気エネルギーの総和が被処理
フィルム1m2あたり5〜70ワット・分、好ましくは10〜3
0ワット・分となるようにしてコロナ放電処理をするこ
とが本発明のポリエステルフィルムの特徴である易滑性
を向上させる上で有効である。この場合、空気中、窒素
中、二酸化炭素中の何れの雰囲気中で処理を行なっても
よいが、本発明のポリエステルフィルムを磁気記録媒体
用ベースフィルムとして用いた時、窒素中での処理が磁
気テープ化後の走行性をより一層良好にするため特に好
ましい。
以上のようにして、本発明のポリエステルフィルムを得
ることができるが、本発明のポリエステルフィルムに接
着性、耐湿性、ヒートシール性などを付与する目的で他
種ポリマーを積層した形や、他の有機または無機組成物
で被覆した形で用いてもよく、また、未延伸あるいは1
軸延伸後のポリエステルフィルムに低温プラズマ処理を
施す方法も接着性などを付与する上で有効である。
[特性の測定方法、評価基準] (1) 表面粗さ[中心線平均粗さ:Ra(μm)] 触針式表面粗さ計による測定値を示す(カットオフ値0.
08mm、測定長4mm。ただしJIS−B−0601による)。
(2) 平均粒径:(単位:μm) 堀場製作所製遠心沈降式粒度分布測定器CAPA500によっ
て得た等価球径分布における積算50%点の値を用いる。
(3) 静摩擦係数,μs: ASTM−D−1894B−63に従い、スリップテスターを用い
てポリエステルフィルム同志のμsを求めた。
通常、フィルムとして易滑性に優れているとされる範囲
を、μsで1.2以下とした。
(4) 表面光沢 JIS−Z−8741に従い、日本電色工業(株)製の可変角
度光沢計VG−107型を用いて、入射角及び反射角が60度
の時の値を測定した。
GS(60゜)=40%未満 ……× GS(60゜)=40以上150%未満 ……○ GS(60゜)=150%以上 ……◎ 上記で○以上であれば光沢に優れている。
(5) 電磁変換特性 γ−Fe2O3100重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
15重量部、ポリウレタンエラストマー15重量部、カーボ
ンブラック8重量部、メチルエチルケトン120重量部、
メチルイソブチルケトン130重量部、ミリスチル酸2重
量部の混合物をサンドミルで十分に混合分散させて磁性
塗料を作り、この磁性塗料にポリイソシアネート(コロ
ネートL)を15重量部添加し、これをサンプルのポリエ
ステルフィルムに厚さ4.0μm(乾燥厚さ)塗布し、カ
レンダー処理(温度90℃、線圧200kg/cm)後、1/2イン
チ幅にスリットしてテープとした。このテープをVHS方
式のビデオカセット(120分)に組込み、ビデオカセッ
トテープを作った。
このテープにVTRを用い、TV試験信号発生機((株)シ
バソク製TG−7/1型からの信号を録画させたのち、25
℃、50%RHで100パス(120分×100パス)走行させた。
このテープをドロップアウトカウンターを用いて、ドロ
ップアウトの幅が5μ秒以上で、再生された信号の減衰
がマイナス16dB以上のものをピックアップしてドロップ
アウトした。測定はビデオカセット10巻について行な
い、1分間当りに換算したドロップアウト個数が10個未
満で、かつ4MHZの信号を記録し再生した時の出力信号を
一画面分で見た場合、出力信号が強く、かつ信号波形が
フラットであるものを◎、ドロップアウト個数が10〜40
個で、かつ信号波形がフラットであるものを○、ドロッ
プアウト個数が40〜60個であるものを△、ドロップアウ
ト個数が60個を越え、かつ出力信号が弱いか、信号波形
が変形しているものを×とした。△以上であれば、電磁
変換特性が良好であると判定した。
(6) 走行性,μk テープに走行性試験機TBT−300型((株)横浜システム
研究所製)を使用し、20℃、60%RHおよび40℃、85%RH
雰囲気で100回繰返し走行させ、初期のμkを下記の式
により求めた。
μk=0.733logT1/T0 ここで、初期μkの値が0.33以下であれば走行性に優れ
ている。
(7) 接着性 50℃、60%の雰囲気下で50時間エージング処理したポリ
エステルにベンジア型高真空蒸着装置(日本真空技術
(株)製EBH−6型)を用いて約1×10-5mmHgの真空度
でアルミニウムをポリエステルフィルム表面に厚さ1000
〜2000Åで蒸着し、25℃、50%RHの雰囲気下に1日放置
後アルミニウム蒸着面にニチバン(株)製市販セロファ
ン粘着テープを貼合せて、90゜剥離した後のアルミニウ
ム蒸着膜残存付着面積が80%以上を「○」、50%以上80
%未満を「△」、50%未満を「×」で表示する。該残存
付着面積が大きいほど接着性は優れており、「○」以上
であれば実用接着性に優れていると判定する。
(8) 表面突起径 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200,エリオニ
クス(株)製]と断面測定装置[PMS−1,エリオニクス
(株)製]において、フィルム表面の平滑面の高さを0
として走査した時の高さ測定値を256階調のグレー値と
して画像処理装置[IBAS2000,カールツァイス(株)
製]に送り、このグレー値を基にIBAS2000上にフィルム
表面突起画像を再構築する。次に、この表面突起画像で
256階調の内で10階調以上のものを2値化して得られた
個々の突起の面積から円相当径を求めこれを表面突起径
とした。前記、256階調のグレー値において、0階調目
が黒で表わされフィルム表面の平滑面を示し、255階調
目が白で表わされる。また1階調の高さは、任意設定値
Hを256で割った値である。任意設定値Hは、通常、測
定するフィルム表面のRa(単位:μm)に30を乗じた値
を用いる。また走査型電子顕微鏡の倍率は、2000〜8000
倍の間の値を選択し、フィルム表面のRaに応じて変更す
る。測定は、走査型電子顕微鏡視野で水平方向に100〜5
00点測定し、これを垂直方向に512列測定し1視野当り
の測定値とした。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明の一実施態様を説明す
る。
実施例1 テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール6
2重量部および2−オクタデシル無水コハク酸4重量部
に酢酸カルシウム0.06重量部、三酸化アンチモン0.04重
量部、酢酸リチウム0.07重量部および酢酸カルシウム0.
04重量部を添加し、常法によりエステル交換反応を行な
い得られた生成物にリン酸トリメチルエステル0.10重量
部、亜リン酸0.02重量部を添加したあと徐々に昇温、減
圧にし、最終的に290℃1mmHg以下の減圧下で重合を行な
った。減圧開始より3時間15分で内部粒子0.34重量部
(対ポリエステル100重量部)を含有する極限粘度0.618
のポリエステル組成物Aを得た。得られたポリエステル
組成物AをC13の固体NMRで確認した結果、オクタデシル
無水コハク酸が97%以上共重合していることがわかっ
た。
このポリエステル組成物Aのペレットを180℃で3時間
減圧乾燥(3Torr)した後、このペレットを押出機に供
給して285℃で溶融押出し、60℃の冷却ドラム上にキャ
ストして無延伸シート状とした後、常法の逐次二軸延伸
法によって、まず、周速差をもたせた一対のロール間で
90℃でタテ(長手)方向に3.3倍延伸した。屈折率はタ
テ方向、ヨコ方向それぞれ1.64、1.54であり、面内複屈
折△nは0.10であった。次いで、テンターに送り込み、
両端をクリップで把持しつつ、95℃でヨコ(幅)方向に
3.5倍延伸し、同じくテンター内で幅方向に5%弛緩さ
せつつ、218℃で5秒間熱処理した。
次いで、巻き取り、厚みが15μmのポリエステルフィル
ムを得た。
このポリエステルフィルムの特性を測定、評価した結果
を第1表に示した。これより実施例1のポリエステルフ
ィルムは、光沢、接着性、易滑性のいずれも優れている
ことがわかる。
比較例1〜2 2−オクタデシル無水コハク酸を添加しない以外は実施
例1と同様の方法にて内粒を0.33%含有するポリエステ
ルBを得た。
このポリエステルB100重量部とオクタデシル無水コハク
酸4重量部を2軸押出機で290℃の温度にて溶融混練し
ポリエステル組成物Cを得た。
同様にオクタデシル無水コハク酸の代りにモンタン酸4
重量部を用いてポリエステル組成物Dを得た。C13の固
体NMRで評価した結果、組成物C,Dはともに共重合されて
いなかった。
これらの組成物C,Dを実施例1と同様の方法にて製膜し
厚さ15μmのポリエステルフィルムを得た。このポリエ
ステルフィルムの特性評価した結果を第1表に示した。
この結果、オクタデシル無水コハク酸(比較例1)、モ
ンタン酸(比較例2)をポリエステルに練り込んだもの
は、易滑性は良好であるが接着性が不十分であることが
わかる。
比較例3 2−オクタデシル無水コハク酸を添加しない以外は、実
施例1と同様の方法にて、厚みが15μmのポリエステル
フィルムを得た。
このポリエステルフィルムの特性評価した結果は、第1
表に示した通りであり接着性が不十分で、かつ走行性に
劣っていることがわかる。
比較例4 平均粒径6.0μm、均等数4.2の重質炭酸カルシウム2.5
重量部をエチレングリコール100重量部に添加しホモゲ
ナイザーにて高速撹拌後、五十嵐機械製サンドグライン
ダーにて処理することによりEGスラリーAを調製した。
次に、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを
酢酸マンガンを触媒として用いエステル交換反応後、前
記EGスラリーAを添加し、重合触媒として三酸化アンチ
モン、安定剤としてリン酸トリメチルを用い常法にて重
縮合反応を行ない重質炭酸カルシウム2.1重量部(対ポ
リエステル100重量部)含有するポリエステルEを得
た。
このポリエステルEを実施例1と同様の方法にて製膜
し、厚みが15μmのポリエステルフィルムを得た。
このポリエステルフィルムの特性を評価した結果は第1
表に示した通りであり、光沢に劣っていることがわか
る。
実施例2〜6,比較例5 平均粒径0.4μmの合成炭酸カルシウム10部とエチレン
グリコール100部およびリン酸アンモニウム塩0.05部を
添加し、0.1mmφのガラスビーズを100部添加し、撹拌槽
中で3000rpmにて3時間撹拌した。撹拌終了後400メッシ
ュ金網でガラスビーズを分離した合成炭酸カルシウムの
EGスラリーBを調製した。
このスラリーの遠心沈降法(堀場製作所:CAPA500使用)
から得られた粒子直径の累積分布曲線からロジンラムタ
ー分布式で表わした時の均等数N(「粉体工学ハンドブ
ック」44頁、朝倉書店、1972年出版参照)を求めると6.
4であった。ここで上記で示したようなリン酸アンモニ
ウム塩を添加せず、かつガラスビーズ処理していないEG
スラリーの均等数Nはし4.4であった。
同様にして平均粒径0.95μmの合成炭酸カルシウムを用
いてEGスラリーCを調製した。このスラリーの均等数N
を上記と同様の方法にて求めた所、6.2であった。次
に、エチレングリコールユニット/テレフタル酸ユニッ
トモル比1.2、反応率98%のビス−β−ヒドロキシエチ
ルテレフタレートを反応器に240℃で貯留し常圧でテレ
フタル酸、エチレングリコール(エチレングリコール/
テレフタル酸モル比1.20)のスラリーを一定速度で連続
的に供給した。スラリー供給終了後、反応温度245℃で
1時間反応後、リン酸40ppm(リン原子の量として生成
するポリマーに基づいた添加量)を添加した後、上記EG
スラリーAあるいはBを添加し288℃の温度、かつ0.03m
mHg以下の高真空下で、重合触媒として三酸化アンチモ
ンを用い重縮合反応を行なった。
このようにしてスラリーBから平均粒径0.5μmの合成
炭酸カルシウムを3重量%含有するポリエステルG、ス
ラリーCから平均粒径0.95μmの合成炭酸カルシウムを
3重量%含有するポリエステルHを得た。
また、合成炭酸カルシウム等の不活性微粒子を添加しな
い以外は、ポリエステルG、Hと同様の方法にて重合を
行ない粒子を含有しないポリエステルIを得た。また、
テレフタル酸100重量部とエレングリコール43重量部を
混練しスラリーを調製した。反応器に245℃で貯留した
テレフタル酸50重量部とエチレングリコール21.5重量部
の反応物中に該スラリーを一定速度で連続的に添加し常
圧下245℃でエステル化反応を行ない生成する水を精留
塔から連続的に系外に留出させた。該スラリーの供給時
間は3時間30分で終了しエステル化反応は4時間で終了
した。得られた反応物からテレフタル酸100重量部に相
当するエステル化反応物を重合装置に移しリン酸0.045
重量部、三酸化アンチモン0.023重量部、およびオクタ
デシル無水コハク酸5.6重量部を添加し、常法に従って
重縮合反応し、極限粘度0.612のポリエステル組成物J
を得た。得られたポリエステル組成物HをC13の固体NMR
で確認した結果オクタデシル無水コハク酸が98%以上供
給されていることがわかった。
また、ポリエステル組成物Iは、本発明で規定する内部
粒子は存在しなかった。
これらのポリエステルG、H、Iおよびポリエステル組
成物Jのペレットを第2表の含有量になるように混合
し、180℃で3時間減圧乾燥(3Torr)した後、このペレ
ットを押出機に供給し、285℃で溶融押出し、60℃の冷
却ドラム上にキャストして無延伸シート状とした後、常
法の逐次二軸延伸法によって、まず、周速差をもたせた
一対のロール間で90℃でタテ(長手)方向に3.3倍延伸
した。屈折率はタテ方向、ヨコ方向それぞれ1.64、1.54
であり、面内複屈折△nは0.10であった。次いで、テン
ターに送り込み、両端をクリップで把持しつつ、95℃で
ヨコ(幅)方向に3.5倍延伸し、同じくテンター内で幅
方向に5%弛緩させつつ、218℃で5秒間熱処理した。
次いで、巻き取り、厚みが15μmのポリエステルフィル
ムを得た。
得られたポリエステルフィルムの特性を測定、評価した
結果を第2表に示した。これより実施例2〜6のポリエ
ステルフィルムは、接着性、走行性、電磁変換特性のい
ずれも優れていることがわかる(実施例2〜6)。
しかし、含有量が本発明の範囲外にあるポリエステルフ
ィルムの特性は、第2表の通りであり走行性、電磁変換
特性を両立するものは得られなかった(比較例5)。
実施例7 平均粒径0.4μmの合成炭酸カルシウムの代りに均等数
7.4で平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを用いる以外
は、実施例2と同様の方法にて厚み15μmのポリエステ
ルフィルムを得た。
このポリエステルフィルムの特性を評価した結果は、第
3表に示した通りであり走行性、電磁変換特性、接着
性、表面光沢のいずれも優れていることがわかる。
実施例8 平均粒径0.4μmの合成炭酸カルシウムの代りに均等数
7.4で平均粒径0.18μmのコロイダルシリカを用いる以
外は、実施例2と同様の方法にて厚み15μmのポリエス
テルフィルムを得た。
このポリエステルフィルムの特性を評価した結果は、第
3表に示した通りであり走行性、電磁変換特性、接着
性、表面光沢のいずれも優れていることがわかる。
比較例6 2−オクタデシル無水コハク酸を1,18−エイコサンジカ
ルボン酸に代える以外は、実施例2と同様の方法にて厚
みが15μmのポリエステルフィルムを得た。
このポリエステルフィルムの特性を評価した結果は、第
3表に示した通りであり接着性が不十分でかつ、走行性
に劣っていることがわかる。
比較例7 平均粒径0.4μmの合成炭酸カルシウムの代りに、均等
数7.9で平均粒径0.05μmのコロイダルシリカを用いる
以外は、実施例2と同様の方法にて厚みが15μmのポリ
エステルフィルムを得た。
このポリエステルフィルムの特性を評価した結果は第3
表に示した通りであり走行性、電磁変換特性を両立する
ものは得られなかった。
〔発明の効果〕 本発明のポリエステルフィルムは、金銀糸等用の装飾用
フィルムあるいは、包装用フィルムとして用いた時アル
ミ蒸着膜ならびに印刷用塗料バインダーの接着性に優れ
ているのみならず易滑性に優れているのでスリッター工
程等における取扱いが容易でありかつ表面光沢に優れて
いる。さらに、このポリエステルフィルムを磁気記録媒
体用ベースフィルムとして用いた時、磁気テープ化後の
走行性に優れかつ電磁変換特性、磁性塗料接着性に優れ
たものとなるのである。
本発明のポリエステルフィルムは、光沢と接着性の要求
される包装用ベースフィルムあるいは、走行性、特に高
温高湿下の走行性、耐摩耗性の要求される磁気記録用ベ
ースフィルムとして最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素数6以上の長鎖アルミル基を側鎖に有
    する繰り返し単位を共重合してなるポリエステル共重合
    組成物を含有し、かつ少なくとも片面の表面粗さRaが0.
    005〜0.09μmであることを特徴とするポリエステルフ
    ィルム。
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