JPH0892824A - 炭素繊維の紡績方法及びその装置 - Google Patents

炭素繊維の紡績方法及びその装置

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JPH0892824A
JPH0892824A JP24830494A JP24830494A JPH0892824A JP H0892824 A JPH0892824 A JP H0892824A JP 24830494 A JP24830494 A JP 24830494A JP 24830494 A JP24830494 A JP 24830494A JP H0892824 A JPH0892824 A JP H0892824A
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JP
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carbon fiber
pitch
roller
spinning
roving
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JP24830494A
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Ryohei Hino
量平 日野
Yoshiro Takama
芳郎 高間
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Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
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Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
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  • Spinning Or Twisting Of Yarns (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ピッチ系炭素繊維ロービングに、バック
ローラとフロントローラとの間に設置されたダメージデ
バイスでダメージを与え、バックローラとフロントロー
ラとの間でドラフトし牽切後、加撚して紡績糸とする、
ピッチ系炭素繊維の紡績方法。 基本的にバックロー
ラ、ダメージデバイス、フロントローラから構成され、
バックローラとフロントローラとの間で該ロービングが
ドラフトされて牽切され、ロービングにダメージを与え
て牽切し易くするダメージデバイスが、バックローラと
フロントローラとの軸線から離れた位置に設置され、表
面に複数の山形が形成された、ピッチ系炭素繊維の紡績
装置。 バックローラ及びフロントローラのボトムロ
ーラが溝なしローラであること。 【効果】 紡績が困難であったピッチ系炭素繊維の紡績
が容易となり、炭素炭素複合材の加工性の向上による用
途拡大が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ピッチ系炭素繊維を効
率良く紡績糸とする新規な紡績方法及びその紡績装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は、その優れた引張強度、弾性
率等の機械的特性により、複合材料やフェルト等の賦形
製品として広く使用されており、その際の賦形性、成形
性の改善が要望されている。
【0003】PAN系やレーヨン系炭素繊維では、複合
材、FRP、織物等の用途において紡績糸とした後、賦
形することが行われているが、ピッチ系炭素繊維は、P
AN系やレーヨン系炭素繊維に比して剛直で脆くかつ柔
軟性に乏しいために紡績糸とするのが非常に困難な状況
であった。さらに、メソフェーズピッチ系炭素繊維はよ
り剛直で柔軟性に乏しいため、特に連続繊維からなる炭
素繊維ロービングから直接に紡績糸とする方法は見出さ
れれていなかった。
【0004】PAN系やレーヨン系炭素繊維の紡績方法
としては、例えば特開昭53−81735号公報には、
繊維長が25mm以上のスライバー状の炭素繊維を延伸
して撚をかけて紡績することが開示されている。しか
し、その紡績方法について実施例にはリング紡績を用い
たことが記載されているだけであり、用いる炭素繊維も
800℃乃至1000℃に炭化処理したと記載されてい
るだけである。
【0005】また、特開昭59−15531号公報で
は、アクリロニトリル繊維を酸化処理により酸化繊維
(耐炎化繊維)とした後にトウ紡績し、その後賦活処理
して活性炭素繊維としている。この場合、トウ紡績とは
トウ、すなわち長繊維を紡績機にかかるように予め短繊
維に切断しながら紡績する方法である。また、特開昭5
6−85434号公報は、アクリロニトリル繊維を酸化
処理した耐炎化繊維を、牽引により切断し加撚した単繊
維とした後に紡績している。
【0006】特開昭61−239029号公報、特開昭
63−50540号公報は、無撚、無捲縮連続アクリロ
ニトリル耐炎化繊維を一工程一段牽切し、加撚して紡績
糸としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のP
AN系やレーヨン系炭素繊維では、いずれもまだ紡績性
のある耐炎化繊維(炭素含有量が40〜70%程度)を
紡績し、その後に熱処理(炭化、黒鉛化)により炭素含
有量を所定の量まで高めている。このため紡績した後の
熱処理(炭化、黒鉛化)により炭素繊維の体積減少が起
こる問題があった。
【0008】またPAN系等の耐炎化繊維は、炭素繊維
化する際、熱処理(炭化、黒鉛化)段階において、張力
を加えながら処理しないと高物性を発現しないので、耐
炎化繊維を使用し紡績糸とし、その後に熱処理(炭化、
黒鉛化)をしても紡績糸に高物性を付与することが困難
である。すなわち、紡績糸を複合材等に成形後に熱処理
(炭化、黒鉛化)をしても、紡績糸に張力の付与ができ
ないため高物性を付与することが困難であり、このため
高強度、高弾性を要求する用途への使用は困難であっ
た。
【0009】一方、ピッチ系炭素繊維は、PAN系やレ
ーヨン系炭素繊維と相違し、不融化繊維(PAN系等に
おける耐炎化繊維に相当)でも炭素含有量が比較的に多
く、また無張力状態の熱処理(炭化、黒鉛化)でも十分
に物性の向上が見られる特性を有しているので、紡績方
法の開発が要望されていた。しかしながら、ピッチ系炭
素繊維は不融化繊維の状態では極めて脆く、PAN系や
レーヨン系と同じ方法では粉化して紡績できないので、
ピッチ系炭素繊維に適する紡績方法及び装置の開発が望
まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題に
ついて種々検討した結果、ピッチ系炭素繊維ロービング
を用い、フィードする該ロービングが接するローラ間に
ダメージを与えるものとして特定の形状のダメージデバ
イスを設け、且つドラフトし牽切することにより、精紡
工程で予期せずして優れたピッチ系炭素繊維紡績糸が得
られることを見出し、さらにこの方法を用いることによ
り炭素含有量の高いピッチ系炭素繊維、その中でも特定
の温度範囲で熱処理(炭化)された、特定の性状を保持
したメソフェーズ系炭素繊維から、より優れた炭素繊維
紡績糸を製造することが可能であることを見いだし、本
発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は: ピッチ系炭素繊維ロービングに、バックローラとフ
ロントローラとの間に設置されたダメージデバイスでダ
メージを与え、バックローラとフロントローラとの間で
該ロービングをドラフトし牽切後、加撚して紡績糸とす
る、ピッチ系炭素繊維の紡績方法を提供する。また、 ピッチ系炭素繊維の伸度が0.5%以上で、かつ引
張強度が2〜150kgf/mm2の範囲である点にも
特徴を有する。また、 ピッチ系炭素繊維が400〜1000℃で炭化され
たメソフェーズピッチ系炭素繊維である点にも特徴を有
する。また、
【0012】 ピッチ系炭素繊維ロービングをフィー
ドし精紡して紡績糸とする炭素繊維の紡績装置におい
て、基本的にバックローラ、ダメージデバイス、フロン
トローラから構成され、バックローラとフロントローラ
との間で該ロービングがドラフトされて牽切されるもの
であり、かつ該ロービングにダメージを与えて牽切し易
くするダメージデバイスが、バックローラとフロントロ
ーラとの軸線から離れた位置に設置され、且つ表面に複
数の山形が形成されたものである、ピッチ系炭素繊維の
紡績装置を提供する。 バックローラ及びフロントローラそれぞれのボトム
ローラが溝なしローラである点にも特徴を有する。
【0013】以下、本発明を図面に基づいて説明する。
ここで、ピッチ系炭素繊維ロービングとは広く連続長繊
維を指し、通常連続繊維束、マルチフィラメント、スト
ランド等をも含める。本発明で用いるピッチ系炭素繊維
ロービングを構成するピッチ系炭素繊維の原料となるピ
ッチは特に制限されないが、メソフェーズピッチ、非メ
ソフェーズピッチを問わず石油系、石炭系、ナフタレン
系等の合成物及びこれらの混合物等が適宜使用可能であ
る。
【0014】また、紡糸方法、不融化方法、炭化方法も
特に限定されず、常法に従って紡糸用に調整されたピッ
チを、溶融紡糸等の通常の紡糸方法によって紡糸した
後、空気、NO2、ハロゲン等の雰囲気下、通常の不融
化方法で不融化し、必要に応じ常法に従い不活性ガス雰
囲気下で炭化し、目的とするピッチ系炭素繊維を得るこ
とができる。
【0015】本発明では、得られた炭素繊維の伸度が
0.5%以上、好ましくは1%以上で、かつ引張強度が
2〜150kgf/mm2、好ましくは5〜100kg
f/mm2、であることが、良好な紡績糸を得る上で肝
要である。すなわち、伸度が0.5%以下の炭素繊維
は、柔軟性が劣りドラフト及び牽切時に糸切れが生じや
すく紡績性が悪い。また伸度が0.5%以上でも、炭素
繊維の引張強度が2kgf/mm2以下であると紡績加
工時の糸切れ及び必要以上の単繊維切れを生じ易く、1
50kgf/mm2以上であると切れ難くなりドラフト
及び牽切が不充分となり易いため、伸度及び引張強度の
両方とも上記範囲を満足させる必要がある。このために
は、原料に合わせ適宜不融化及び炭化条件の選択を行え
ば良い。
【0016】さらに、高物性の炭素繊維紡績糸を得るに
は、加工後の熱処理(炭化、黒鉛化)時の物性向上効果
に優れるメソフェーズピッチ系炭素繊維を用いることが
好ましく、上記のように紡績の容易性、作業環境面、そ
の後の賦形・成形性及び物性の向上効果の点から400
〜1000℃、好ましくは500〜800℃で軽度に炭
化した炭素繊維を使用することが好ましい。すなわち、
メソフェーズピッチ系炭素繊維の場合、不融化繊維及び
400℃以下で軽度に炭化した炭素繊維では、伸度は
0.5%以上あり柔軟面では十分であるが、引張強度が
2.0kg/mm2以下と低くなり、紡績加工時に必要
以上の単繊維切れを起こし易く、またバックローラでの
炭素粉塵の発生も多く、装置の保守及び作業環境面から
好ましくなく、紡績糸の加工が困難になる。
【0017】また、1000℃以上で炭化したメソフェ
ーズピッチ系炭素繊維は、炭化温度の上昇に従って伸度
は低くなる傾向にあり、一方引張強度は漸次高くなるの
で、伸度0.5%以上で、かつ引張強度150kgf/
mm2以下の両方を満足させることが困難となり、結果
として前述のように紡績性が劣る。また、一般的にピッ
チ系の不融化繊維及び炭化後の繊維のいずれも炭素含有
量は80%以上であるが、上記条件を満足させるように
軽度に炭化された炭素繊維の炭素含有量は85〜97%
となり、PAN系等の繊維と相違し高炭素含有の繊維で
あっても、本発明の紡績方法及び装置により優れた紡績
糸が紡績可能となる。
【0018】図1は、本発明の新規な紡績方法及び装置
を説明する模式図である。これはリング精紡機を改良し
たものである。図1において、ボビン1に巻かれたピッ
チ系炭素繊維ロービング7を多くのガイドバー2を通し
て、バックローラ3のボトムローラ3aとトップローラ
3bとの間にフィードする。
【0019】さらに、ボトムローラ3aは金属製であ
り、溝付けのしていないものが好ましい。綿紡績等で使
用される通常のバックローラのボトムローラは、ロービ
ングの抜けを防止するために、溝付きローラを使用して
いるが、本発明に溝付きボトムローラを用いると、脆い
ピッチ系炭素繊維が該溝の凹凸により破損し粉末になる
恐れがある。バックローラ3のトップローラ3bには、
ゴム被覆をして弾力を持たせることが好ましい。このよ
うに、バックローラ3を構成することにより、ピッチ系
炭素繊維に折れが発生せず、かつピッチ系炭素繊維を把
持することができる。
【0020】次いで、ピッチ系炭素繊維ロービングをバ
ックローラ3とフロントローラ6との間に設置されたダ
メージデバイス4に接触させる。図2は、本発明の紡績
装置に用いるダメージデバイスの概略を説明する長さ方
向の断面拡大図の一例を示す。図2の山形の間にそれぞ
れ炭素繊維が分繊されながら通過する。
【0021】また、ダメージデバイス4は、炭素繊維を
バックローラ3とフロントローラ6との間で、急激に炭
素繊維の走行角度を変更させ、炭素繊維に部分的にラン
ダムにダメージを与える働きも供する。なお、「ダメー
ジを与える」とは、炭素繊維が切断され易くなるよう傷
を付けること、及び切断することを云う。
【0022】ダメージデバイス4の形状は、本目的に合
えば特に制限はないが、制作面、コスト面からバー状の
ものが好ましい。また炭素繊維と接触する面は、円弧を
持っていることが好ましい。しかし、ダメージデバイス
4の全部が円弧とならなくても構わなく、少なくとも炭
素繊維と接触する面が円弧を構成していれば良い。ま
た、楕円形であっても良い。また、円弧があまりに大き
いと、走行角度の変更が不十分となり、ダメージを与え
ることができない。
【0023】従って、ダメージデバイス4の円弧半径
は、1.5〜15mm程度が好ましく、さらに好ましく
は2.5〜5mmである。ダメージデバイス4は、図2
に示されるように、その表面に複数の山形9が設けられ
ていることが必要である。ガイドバーにより偏平に並べ
られたロービングを広幅のまま整列させながら通過させ
てダメージを与える。該山形9の間のピッチが小さいほ
ど、炭素繊維の分繊効果が上がり、炭素繊維の切断の均
一化をすることができる。例えば、山形の形成がネジ切
り状にすると狭い間隔で多くの山形を設けることができ
る。山形の形状は炭素繊維にダメージを与えることがで
きるなら特に制限されないが、山が比較的鋭角の方が効
率が良く好ましい。
【0024】ダメージデバイス4は、バックローラ3と
フロントローラ6とを結ぶ軸線5より少々離れた位置に
設けることが望ましい。軸線5の上下いずれでも良い
が、上方が好ましく、軸線5より10〜200mm、好
ましくは50〜150mm離れた位置に設置し、繊維の
切断状況によってその位置を調整する。なお、通常の紡
績機のバックローラとフロントローラ間の距離は200
〜300mmである。
【0025】炭素繊維ロービングは、バックローラとフ
ロントローラとの表面速度の差によりドラフトされてい
るので、バックローラとフロントローラとの間にある炭
素繊維には大きな張力が加わる。従って、炭素繊維は、
ダメージデバイスでブレーキを掛けられながら移動方向
を急激に変更されるので、部分的にダメージを与えられ
ることとなる。
【0026】ダメージを与えられた炭素繊維は、バック
ローラとフロントローラとの表面速度の差によりドラフ
トされているので、引張力によりランダムに切断されな
がら、フロントローラを通り加撚され、巻取ボビン8に
巻き取られる。フロントローラ6はバックローラ3と同
じように金属製の表面がフラットなボトムローラ6aと
ゴム被覆されたトップローラ6bとからなる。ドラフト
の程度は、原料繊維の状態及び作製する紡績糸の番手に
より適宜選択すれば良いが、本発明においては、5〜3
0倍のドラフト比(フロントローラの表面速度/バック
ローラの表面速度)が好ましい。
【0027】
【実施例】本発明は、下記の実施例により具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を制限しない。 (実施例1)常法に従い調製した石油系メソフェーズピ
ッチを、紡糸温度330℃に設定して紡糸した。このピ
ッチ繊維を空気中で2℃/分で300℃まで昇温加熱し
て不融化繊維を得た。
【0028】次いで、窒素中で10℃/分で500℃ま
で昇温加熱して、軽度に炭化した炭素繊維を得た。得ら
れた炭素繊維は、物性測定の結果、引張強度9kgf/
mm2 、引張弾性率0.8t/mm2 、伸度1.1%で
あった。
【0029】該炭素繊維をロービングした後、図1に示
す紡績装置に該ロービング(総デニール10800/7
000フィラメント)をフィードし、バックローラとフ
ロントローラのドラフト比7.0倍とし、Z撚209T
/mという条件下で1/6Nm(1500デニール)紡
績糸を得た。該紡績糸より2/6Nm(S撚:180T
/m)及び4/6Nm(S撚:100T/m)を作成し
た。その紡績糸平均強力は2/6Nmで2.4kg、4
/6Nmで4.4kgの毛羽の少ない均斉度の高い紡績
糸が得られた。この場合、紡績時のスラブ発生、糸切れ
も少なく優れていた。
【0030】さらに、得られた紡績糸を窒素中で160
0℃まで昇温加熱して炭化紡績糸を得たところ、2/6
Nm紡績糸の平均強力は9.4kg、4/6Nm紡績糸
の平均強力は17.1kgであり、その炭化紡績糸を解
繊した炭素繊維の引張強度246kgf/mm2、引張
弾性率22tf/mm2であり、FW成形加工性も良好
であった。
【0031】(実施例2)実施例1と同じ原料を用いて
同様に紡糸し、得られたピッチ繊維を空気中で1.5℃
/分で290℃まで昇温加熱して不融化繊維を得た。次
いで、窒素中で10℃/分で600℃まで昇温加熱し
て、軽度に炭化した炭素繊維を得た。得られた炭素繊維
は物性測定の結果、引張強度21kgf/mm2 、引張
弾性率1.3tf/mm2 、伸度1.6%であった。
【0032】図1に示す紡績装置に該炭素繊維ロービン
グ(総デニール3000/2000フィラメント)をフ
ィードし、バックローラとフロントローラのドラフト比
10倍で、Z撚470T/mという条件下で1/30N
m(300デニール)紡績糸を得た。その紡績糸を双糸
とし、2/30Nm(600デニール)紡績糸で平均強
力520gの均斉度の高い紡績糸が得られた。この場
合、紡績時のスラブ発生、糸切れも少なく優れていた。
次いで、得られた紡績糸を打ち込み54本/25mmの
条件下で製織し、目付け280g/m2の織布を得た。
この場合、製織時の糸切れも殆どなく製織性に優れてい
た。
【0033】(比較例1)実施例1で作製した軽度に炭
化した炭素繊維ロービングを、通常のリング精紡機で紡
績したところ、バックローラで炭素繊維が粉化し、紡績
できなかった。また、バックローラ圧力を炭素繊維が粉
化しない程度の押さえ圧力で紡績したところ、炭素繊維
がスライバーにならず、紡績できなかった。
【0034】(比較例2)実施例1で作製した軽度に炭
化した炭素繊維ロービングを、エッチカッターで60〜
80mmに切断し、カード機で1g/mのカードスライ
バーとしたところ、カード機での落綿が多く、繊維長1
5〜40mmと粉化した。該カードスライバーの強力が
弱いため取り扱いを慎重にし、ドラフト比3倍、Z撚2
35T/mの1/3Nm(3000デニール)紡績糸を
得た。得られた紡績糸は、番手が不均一で太いところは
撚が少なく、細いところは撚が多い、また繊維が平行化
されていないため、番手の割には太く、締まりがなく且
つ強力が弱いため、合糸数を多くし太番手の3/3Nm
(9000デニール)(S撚:170T/m)の紡績糸
とした。その紡績糸強力は1.9kgであり、1600
℃焼成後の紡績糸強力1.5kgであった。番手のバラ
ツキが多く、FW成形加工のできない紡績糸であった。
【0035】(実施例3)実施例1で作製した軽度に炭
化した炭素繊維ロービングのフィラメント数とドラフト
比を変化させ図1に示す紡績装置で2/40〜2/6N
mの紡績糸を作製した。いずれも紡績は良好であった。
得られた紡績糸の物性を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】(比較例3)実施例1と同様のピッチ繊維
を空気中で2.0℃/分で280℃まで昇温加熱して不
融化繊維を得た。次いで、窒素中で10℃/分で450
℃まで昇温加熱して軽度に炭化した炭素繊維を得た。得
られた炭素繊維は物性測定の結果、引張強度2.2kg
f/mm2 、引張弾性率0.55tf/mm2、伸度
0.4%であった。該炭素繊維を実施例1と同様に図1
に示す紡績装置で紡績したが、炭素繊維の柔軟性に乏し
く牽切時に糸切れが多数生じ、紡績加工が困難であっ
た。
【0038】(実施例4及び比較例4)実施例1、2と
同様にして得られた不融化繊維を窒素中で10℃/分で
最高炭化温度を表2及び表3に記載のように変化させ炭
化した紡績用繊維を実施例1、2と同様に、図1に示す
紡績装置で紡績した結果を表2及び表3に示した。な
お、実施例1及び2の結果も表2に並記した。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】以上の通り、本発明の紡績方法及び装置
により紡績が困難であったピッチ系炭素繊維の紡績が容
易となり、炭素炭素複合材の加工性の向上による用途拡
大が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う紡績装置の概略を示す模式図であ
る。
【図2】本発明の紡績装置に用いるダメージデバイスの
概略を説明する拡大図を示す。
【符号の説明】
1 ボビン 2 ガイドバー 3 バックローラ 3a バックボトムローラ 3b バックトップローラ 4 ダメージデバイス 5 軸線 6 フロントローラ 6a フロントボトムローラ 6b フロントトップローラ 7 ピッチ系炭素繊維ロービング 8 巻き取りボビン又は収納容器 9 山形

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピッチ系炭素繊維ロービングに、バック
    ローラとフロントローラとの間に設置されたダメージデ
    バイスでダメージを与え、バックローラとフロントロー
    ラとの間で該ロービングをドラフトし牽切後、加撚して
    紡績糸とすることを特徴とする、ピッチ系炭素繊維の紡
    績方法。
  2. 【請求項2】 ピッチ系炭素繊維の伸度が0.5%以上
    で、かつ引張強度が2〜150kgf/mm2の範囲で
    あることを特徴とする、請求項1記載のピッチ系炭素繊
    維紡績糸の製造方法。
  3. 【請求項3】 ピッチ系炭素繊維が400〜1000℃
    で炭化されたメソフェーズピッチ系炭素繊維であること
    を特徴とする、請求項2記載のピッチ系炭素繊維紡績糸
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 ピッチ系炭素繊維ロービングをフィード
    し精紡して紡績糸とする炭素繊維の紡績装置において、
    基本的にバックローラ、ダメージデバイス、フロントロ
    ーラから構成され、バックローラとフロントローラとの
    間で該ロービングがドラフトされて牽切されるものであ
    り、かつ該ロービングにダメージを与えて牽切し易くす
    るダメージデバイスが、バックローラとフロントローラ
    との軸線から離れた位置に設置され、且つ表面に複数の
    山形が形成されたものであることを特徴とする、ピッチ
    系炭素繊維の紡績装置。
  5. 【請求項5】 バックローラ及びフロントローラそれぞ
    れのボトムローラが溝なしローラであることを特徴とす
    る、請求項4記載のピッチ系炭素繊維の紡績装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010056086A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Sgl Carbon Se 炭素繊維からなる導電性の可撓性抵抗体材料を基礎とする加熱装置およびその使用

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JP2010056086A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Sgl Carbon Se 炭素繊維からなる導電性の可撓性抵抗体材料を基礎とする加熱装置およびその使用

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