JPH0861414A - クッション体とその製造方法 - Google Patents

クッション体とその製造方法

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JPH0861414A
JPH0861414A JP6198397A JP19839794A JPH0861414A JP H0861414 A JPH0861414 A JP H0861414A JP 6198397 A JP6198397 A JP 6198397A JP 19839794 A JP19839794 A JP 19839794A JP H0861414 A JPH0861414 A JP H0861414A
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隆 海老原
Kazuhiko Motoi
和彦 許斐
Hideo Isoda
英夫 磯田
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60NSEATS SPECIALLY ADAPTED FOR VEHICLES; VEHICLE PASSENGER ACCOMMODATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60N2/00Seats specially adapted for vehicles; Arrangement or mounting of seats in vehicles
    • B60N2/70Upholstery springs ; Upholstery
    • B60N2/7017Upholstery springs ; Upholstery characterised by the manufacturing process; manufacturing upholstery or upholstery springs not otherwise provided for

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  • Mattresses And Other Support Structures For Chairs And Beds (AREA)
  • Vibration Dampers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】所定形状と硬さに調整され、耐熱性と耐久性に
優れ、蒸れにくく、かつリサイクル使用が容易なクッシ
ョン体を得ることが主たる目的である。 【構成】主として熱可塑性弾性樹脂からなる300デニ
ール以上の連続線状体をランダムなループ状に曲がりく
ねらせかつ各々のループの互いの接触部を融着させた見
掛け密度が0.005〜0.20g/cm3 の立体的な
網状構造体11からなり、この網状構造体11を圧縮し
かつ熱変形温度まで加熱したのち、冷却し脱型すること
により、所定の立体形状に成形したクッション体であ
る。このクッション体は、体圧分布等に応じて網状構造
体11の密度や厚みを部分的に変化させたり、あるいは
互いに繊度が異なる2種類以上の連続線状体からなる複
数種類の網状構造体を層状に組合わせてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種乗り物用座席のパ
ッド等を始めとして、ソファやベッド等の家具類などに
好適なクッション体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、家具、ベッド、車両の座席等
に使われているクッション体は、発泡ウレタンの一体成
形品や、ポリエステル等の非弾性捲縮繊維の詰綿、ある
いは非弾性捲縮繊維をバインダによって接着した硬綿な
どが知られている。特に、発泡−架橋型ウレタンは、ク
ッション体としての耐久性が良好であり、加工性も良い
ため、乗り物用シートなどに多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記発泡ウレタンは、
透湿・透水性に劣り、蓄熱性があるため人体と触れる部
位が蒸れ易いという問題がある。また、発泡ウレタンは
熱可塑性樹脂ではないために、再溶融によるリサイクル
使用が困難であり、廃棄された発泡ウレタンを焼却処分
にする場合がある。
【0004】しかしながら発泡ウレタンを焼却すると、
高温を発するなどの理由から焼却炉の損傷が大きく、か
つ、発生する有毒ガスの除去に経費がかかる。このため
埋立て処分が行われることもあるが、その場合、地盤の
安定化が困難なため埋立て地が限定され、埋立てに要す
る経費も高くつく。
【0005】一方、熱可塑性のポリエステル繊維をバイ
ンダによって接着した合成繊維綿では、ポリエステル繊
維の開綿工程やバインダ繊維との混綿工程、あるいはバ
インダの添加工程が必要であり、製造工数が多いという
問題がある。また、上記以外の通常の硬綿は短繊維を使
用しているため、繊維のほつれによる形状の崩れを生じ
やすく、しかも成形品にバリが生じやすい。また、型に
よって成形する場合に1回の成形では最終製品形状に成
形することが困難であり、製造工程に煩雑さがあった。
【0006】従って本発明の目的は、体圧分布等に応じ
て所定の形状と硬さが付与されかつ耐熱性および耐久性
に優れ、蒸れにくく、しかもリサイクル使用が可能なク
ッション体とその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を果たすため
に開発された本発明のクッション体は、主として熱可塑
性弾性樹脂からなる300デニール以上の連続線状体を
ランダムなループ状に曲がりくねらせかつ各々のループ
の互いの接触部を融着させた見掛け密度が0.005〜
0.20g/cm3 の立体的な網状構造体からなり、上
記網状構造体を圧縮および加熱により変形させて所定の
立体形状に成形したことを特徴とするものである。
【0008】上記網状構造体は、体圧分布等に応じて、
見掛け密度の高い部位と見掛け密度の低い部位を含んで
いてもよいし、必要に応じて、厚みが大きい部位と厚み
が小さい部位とを含んでいてもよい。また、互いに繊度
が異なる2種類以上の連続線状体からなる2種類以上の
網状構造体を層状に組合わせてもよい。
【0009】網状構造体に使われる熱可塑性弾性樹脂
は、例えばポリエステル系エラストマー、ポリアミド系
エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等を適用で
きる。ポリエステル系エラストマーは、例えば熱可塑性
ポリエステルをハードセグメントとし、ポリアルキレン
ジオールをソフトセグメントとするポリエステルエーテ
ルブロック共重合体、または脂肪族ポリエステルをソフ
トセグメントとするポリエステルエーテルブロック共重
合体である。ポリアミド系エラストマーは、例えばナイ
ロンをハードセグメントとし、ポリエチエングリコール
あるいはポリプロピレングリコール等をソフトセグメン
トとするものなどが例示できる。
【0010】本発明における網状構造体は、上記の熱可
塑性弾性樹脂に、熱可塑性の非弾性樹脂を組合わせても
よい。熱可塑性非弾性樹脂は、例えばポリエステル、ポ
リアミド、ポリウレタンなどである。これら非弾性樹脂
と熱可塑性弾性樹脂との組合わせは、リサイクル使用の
観点から互いに同系の樹脂が望ましく、例えば、ポリエ
ステル系エラストマーとポリエステル系樹脂との組合わ
せや、ポリアミド系エラストマーとポリアミド系樹脂と
の組合わせ、あるいはポリウレタン系エラストマーとポ
リウレタン系樹脂との組合わせなどが推奨される。
【0011】本発明の製造方法は、主として熱可塑性弾
性樹脂からなる300デニール以上の連続線状体をラン
ダムなループ状に曲がりくねらせかつ各々のループの互
いの接触部を融着させることにより、見掛け密度が0.
005〜0.20g/cm3の立体的な網状構造体を得
たのち、上記網状構造体を型に収容し所定の厚みに圧縮
するとともに熱変形温度まで加熱し、そののち冷却する
ことにより所定の立体形状に成形することを特徴とする
クッション体の製造方法である。
【0012】上記網状構造体を所定の熱変形温度に加熱
するために、電熱ヒータを始めとして、オーブン、高温
蒸気、高周波誘導加熱などの加熱手段を適用できる。加
熱温度は、熱可塑性弾性樹脂の融点よりも10℃以上低
い温度が望ましい。成形用の型は、パンチングメタルの
ように多数の孔のあいた簡易型を使用できる。
【0013】
【作用】本発明のクッション体に使われる網状構造体
は、主として熱可塑性弾性樹脂からなる300デニール
以上の連続線状体を曲がりくねらせて多数のランダムル
ープを形成し、各々のループを互いに溶融状態で接触さ
せ、接触部の大部分を互いに融着させて三次元的なラン
ダムループからなる立体網目構造を形成している。この
ため、クッション体の使用時に大きい応力で大変形を与
えても、立体網目構造全体が互いに三次元的に変形しつ
つ応力を吸収し、応力が解除されると、熱可塑性弾性樹
脂のゴム弾性によって立体網目構造が元の形状に復元す
ることができる。
【0014】このようなクッション体は、連続線状体の
繊度が300デニール未満では強度が低下し、反発力が
低下するので好ましくない。連続線状体の好ましい繊度
は、クッション体として好ましい反発力が得られる30
0デニール以上、望ましくは400デニール以上、10
0000デニール以下である。繊度が100000デニ
ールを越えると、クッション体の単位体積当たりの連続
線状体の構成本数が少くなり、圧縮特性が悪くなるので
好ましくない。連続線状体の繊度は、より好ましくは、
500〜50000デニールである。
【0015】本発明における網状構造体は、見掛け密度
が0.005g/cm3 未満では反発力が失われるので
クッション体として不適当である。また0.20g/c
3を越えると弾発性が強くなり過ぎて、座り心地が悪
くなるので、やはりクッション体として不適当である。
これらの理由から、網状構造体の好ましい見掛け密度
は、0.005g/cm3 以上、0.20g/cm3
下であり、より好ましくは、0.01g/cm3 以上、
0.05g/cm3 以下である。この網状構造体を座席
等のクッション体に使用する場合、着座時の嵩保持性と
弾発性および通気性を保持して快適な座り心地を得るた
めの圧縮時の見掛け密度としては、100g/cm2
荷重下で0.03g/cm3 〜0.20g/cm3 の嵩
高性を有するものが好ましく、0.05g/cm3
0.20g/cm3 の嵩高性を有するものが特に好まし
い。
【0016】
【実施例】
(実施例1)図2に概念的に示した網状体製造装置10
によって、網状構造体11を製造する。この網状構造体
11は、主として熱可塑性弾性樹脂からなる300デニ
ール以上の連続線状体12をランダムなループ状に曲が
りくねらせかつ各々のループの互いの接触部を融着させ
て立体的な形状としたものであり、前述した理由によ
り、見掛け密度を0.005〜0.20g/cm3 の範
囲としている。
【0017】網状体製造装置10の一例は、押出機15
とノズル部16を備えている。押出機15は、材料供給
口20から投入された熱可塑性弾性樹脂原料をその融点
より10℃ないし80℃高い温度(例えば40℃高い温
度)に加熱しつつ、ノズル部16に向って押出すもので
ある。上記温度に加熱された熱可塑性弾性樹脂は、ノズ
ル部16のオリフィスから下方に吐出され、線状に連続
して途切れることなく自由落下するようになっている。
なお、熱可塑性弾性樹脂の吐出時の溶融温度をこの樹脂
の融点より30℃〜50℃高い温度とすれば、ランダム
な三次元ループを形成しやすく、しかもループ同志の接
触部が互いに融着しやすい状態に保つことができるので
好ましい。
【0018】ノズル部16には、下面側から見て、例え
ば幅60cm、長さ5cmのノズル有効面25があり、
このノズル有効面25に、孔径0.5mmのオリフィス
が、孔間ピッチ5mm間隔で多数設けられている。そして
オリフィス単孔当りの吐出量が0.5g〜1.5g/分
となるように上記熱可塑性弾性樹脂をオリフィスから吐
出するようにしている。ノズル部16の下方にはノズル
有効面25から50cmほど離れて、水等の冷却媒体3
0が配されている。この冷却媒体30は70℃前後に加
熱されている。
【0019】ノズル部16の下方にコンベア40が設け
られている。このコンベア40は、例えば幅70cmの
一対のステンレス鋼製エンドレスネット41,42を互
いに平行にかつ相互間に10cmの間隔をあけて配置し
たものであり、エンドレスネット41,42の一部を冷
却媒体30の上に露出させている。各エンドレスネット
41,42は、回転体45,46によって図中の矢印方
向に連続的に無端走行させられる。
【0020】ノズル部16のオリフィスから溶融状態の
前記熱可塑性弾性樹脂を吐出させ、エンドレスネット4
1,42の間に自然落下させる。溶融した熱可塑性弾性
樹脂がエンドレスネット41,42の間に落ちることに
より、ノズル部16のオリフィス数に応じた本数の連続
線状体12が形成されつつ、エンドレスネット41,4
2の間に挟まれかつ停留することで曲がりくねりながら
ランダムなループが発生する。すなわちこれらの連続線
状体12は、それぞれ途切れることなく曲がりくねりな
がらも図2中の矢印A方向に連続しつつ、A方向と交差
する方向(例えば矢印B方向)にループを形成する。
【0021】この場合、ノズル部16の各オリフィスの
孔間隔ピッチをループが互いに接触できる寸法にしてお
くことで、エンドレスネット41,42の間でループを
互いに接触させ、ループ同志の接触部を融着させること
で立体的な網状構造体11が得られる。
【0022】ループが融着した網状構造体11は、エン
ドレスネット41,42によって両側面が拘束されなが
ら冷却媒体30に毎分約1mの速度で引き込まれ、冷却
媒体30の中で固化するとともに、各ループの融着部が
固定される。なお、冷却媒体30の温度をこの網状構造
体11のアニーリング温度(擬似結晶化促進温度)に保
持しておくことで、網状構造体11の擬似結晶化処理を
同時に進行させることができる。
【0023】上記の一連の工程を経て得られた網状構造
体11を、必要に応じて上記熱可塑性弾性樹脂の融点よ
りも10℃以上低い温度で擬似結晶化処理後、所定の大
きさに切断することにより、図3に示すようなフラット
な立体形状の網状構造体11を得た。この網状構造体1
1は、前記ノズル部16のオリフィス数に応じた本数の
連続線状体12が互いにランダムループを描きながら矢
印A方向に連なっている。図中の矢印Bは、この網状構
造体11の厚み方向を示している。
【0024】上記網状構造体11は、図1に示すクッシ
ョン体成形装置50によって、所定の立体形状に成形さ
れる。この成形装置50は、成形用金型51と、ヒータ
52と送風機53などを備えている。成形用金型51
は、例えばアルミニウム合金などからなるいわゆる簡易
アルミ型であり、パンチングメタルのように下型55と
上型56にそれぞれ多数の通気孔60,61が形成され
ている。通気孔60,61の孔径は2〜3mm、孔間ピッ
チは10〜20mmである。そしてヒータ52と送風機5
3によって発生させた130℃〜160℃の熱風を、通
気孔60,61を通じて金型51の内部に吹込むことが
できるようになっている。
【0025】上記金型51に網状構造体11を収容し、
下型55と上型56を閉じることによって、網状構造体
11を厚み方向(面方向)に1/2程度に圧縮する。こ
こで言う厚み方向とは、網状構造体11の連続線状体1
2が連なる方向(図3中の矢印A方向)と直交する方向
(矢印B方向)である。
【0026】130℃〜160℃の熱風を通気孔60,
61を通じて金型51の内部に導入し、網状構造体11
に熱風を吹き付けることにより、加熱しながら金型51
による圧縮を行う。そして所定時間経過後、金型51を
冷却し、脱型して所望の立体形状のクッション体70を
得た。上述の加熱から冷却に至る過程で、網状構造体1
1を構成している熱可塑性弾性樹脂のハードセグメント
が再配列されるなどして擬似結晶化様の架橋点が形成さ
れることにより、耐熱性と耐へたり性の向上が期待でき
る。
【0027】上記クッション体70を車両等の座席に用
いる場合、中央の平坦な部分が主として着座荷重の加わ
る座部として使われ、両サイドの盛り上がった部分がい
わゆるサイドサポート部として機能する。
【0028】上述のような網状構造体11からなるクッ
ション体70は、連続線状体12をノズル部16から押
出す際にランダムループ状に曲がりくねらせて線状体1
2を連続成形するため、従来の合成樹脂綿を用いたクッ
ション体の場合に必要であった開綿工程が不要となり、
しかも網状構造体11がその長手方向に連続なる連続線
状体12からなるため、ほつれたり形状の崩れを生じる
ことがない。そして連続線状体12同志が溶融状態で互
いに融着するから、バインダが不要であり、しかも単一
の熱可塑性樹脂からなるため、再溶融によるリサイクル
使用が可能である。
【0029】そして本実施例のクッション体70に使わ
れる網状構造体11は、従来の合成樹脂綿を用いたクッ
ション体に比較して金型にセットしやすく、加工熱量が
少なくてすみ、バリ取り工程が不要であるなど製造工程
が簡略化し、コスト低減を図ることができる。
【0030】これに対し従来の硬綿を用いた繊維系クッ
ション体は、例えばポリエチレンテレフタレート(PE
T)からなる1〜50デニールの捲縮のある繊維(長さ
51mm)を開綿し、バインダを混合し、カード積層後、
綿裁断、型セット、キュア、脱型工程を経て製造される
ものである。この従来例は、本実施例のクッション体7
0に比べると製造工数が多く、バインダを必要とするた
めリサイクル使用が困難であり、加工熱量も多い。しか
もバリ取り工程が必要である。
【0031】なお上記成形装置50において、加熱時に
空気の代りに105℃〜160℃に加熱された高温蒸気
を網状構造体11に吹き付けても、上記実施例と同様に
クッション体の成形を行うことができた。 (実施例2)前述の網状体製造装置10によって実施例
1と同様の網状構造体11を製造したのち、図4,5に
示す成形装置80によって網状構造体11を所定の立体
形状に成形する。この成形装置80の金型81は、アル
ミニウム合金などからなる下型82と、上型83と、サ
イド型84などを備えている。サイド型84は、下型8
2と上型83の間に挿入される。また、ヒータ52と送
風機53が設けられている。下型82と上型83には、
それぞれ、孔径2〜3mmの多数の通気孔60,61が孔
間隔ピッチ10〜20mmで設けられており、これらの通
気孔60,61を通じて、130℃〜160℃の熱風を
金型81の内部に吹込むことができるようになってい
る。
【0032】図4に示すように、まず、第1の圧縮工程
において、下型82と上型83によって、網状構造体1
1の主に中央部(メイン部)11aを厚み方向(図3中
の矢印B方向)に1/2程度に圧縮する。そののち図5
に示すように第2の圧縮工程において、サイド型84に
よって左右のサイド部11bを横方向(図3中の矢印A
方向)に1/2程度まで圧縮する。そして金型81の内
部に130℃〜160℃の熱風を吹き込んで網状構造体
11を加熱し、金型81を冷却したのち脱型して所望形
状のクッション体70aを得た。通常の繊維の硬綿で
は、サイド部を横方向から圧縮すると、繊維のねじれを
生じるため、横方向からの圧縮では成形不可能である。
これに対し本実施例の網状構造体11は、横方向から圧
縮してもねじれることがなく、加熱・圧縮による成形を
問題なく行うことができた。 (実施例3)図6に示すように、厚みの小さい中央部1
1aと厚みの大きいサイド部11bとからなる網状構造
体11を製造するために、実施例1で述べた網状体製造
装置10におけるコンベア40を図7に示すように構成
した。このコンベア40のエンドレスネット41,42
は、中央部41a,42aの間隔W1 を5cm,両サイ
ド部41b,42bの間隔W2 が10cmとなるように
平行に配置した。それ以外は実施例1と同様である。
【0033】そしてノズル部16のオリフィスから、軟
化点よりも40℃程度高い温度に加熱され溶融状態とな
った熱可塑性弾性樹脂を吐出させ、上述のエンドレスネ
ット41,42の間に途切れることなく落下させる。こ
うして吐出された熱可塑性弾性樹脂はエンドレスネット
41,42の間に落ちることにより、曲がりくねりなが
らランダムなループが発生するとともに、各々のループ
が互いに接触し、ループ同志の接触部が融着したのち、
冷却媒体30の中で固化する。
【0034】この実施例の場合、エンドレスネット4
1,42の間隔の狭い中央部41a,42aにおいて網
状構造体11の厚みが小となり、間隔の広いサイド部4
1b,42bにおいては厚みが大になることにより、図
6に示すような厚みの異なる立体形状の網状構造体11
が得られた。この網状構造体11も、ノズル部16のオ
リフィス数に応じた本数の連続線状体12が網状構造体
11の長さ方向(矢印A方向)に連なっている。この場
合も、実施例1で述べた成形装置50あるいは実施例2
の成形装置80によって、厚み方向(矢印B方向)など
に圧縮しかつ熱変形温度まで加熱して所定の立体形状に
成形することにより、クッション体70aを得た。 (実施例4)図8に示す網状構造体11は、密度が比較
的小さい中央部11aと、密度の大きいサイド部11b
とからなる。この網状構造体11を製造するために、前
記網状体製造装置10におけるノズル部16を、図9に
示すように、中央部のノズル有効面16a(幅30c
m、長さ5cm)に孔径0.5mmのオリフィス90を孔
間ピッチ5mmで配置し、両サイド部のノズル有効面16
bに(幅15cm、長さ5cm)に孔径0.8mmのオリ
フィス91を孔間ピッチ5mmで設けた。それ以外は実施
例1と同様である。
【0035】そして上記ノズル部16のオリフィス9
0,91から、軟化点よりも10℃〜80℃高い温度
(例えば40℃高い温度)に加熱されて溶融状態となっ
た熱可塑性弾性樹脂をオリフィス単孔当りの吐出量0.
5〜1.5g/分で吐出させるとともに冷却媒体30に
向って自然落下させる。この場合も実施例1と同様にエ
ンドレスネット41,42の間で連続線状体11が曲が
りくねりながらランダムなループが発生し、冷却媒体3
0の中で固化する。
【0036】こうして製造された網状構造体11は両サ
イド部11bの繊度が中央部11aの繊度よりも大であ
るため、図8に示すように中央部11aとサイド部11
bとで密度の異なるものにすることができる。この網状
構造体11も、ノズル部16のオリフィス数に応じた本
数の連続線状体12が網状構造体11の長さ方向(矢印
A方向)に連なっている。そしてこの網状構造体11
を、実施例1の成形装置50あるいは実施例2の成形装
置80によって、厚み方向(矢印B方向)などに圧縮す
るとともに熱変形温度まで加熱して所定の立体形状に成
形した。
【0037】なお図10に示すように、ノズル部16の
両サイド部のノズル有効面16bにおけるオリフィス9
0の孔間ピッチを4mm、中央部のノズル有効面16aに
おけるオリフィス90の孔間ピッチを8mmとして同一孔
径(0.5mm)のオリフィス90を配列することによ
り、図8に示すような中央部11aと両サイド部11b
とで密度が異なるものにすることができる。 (実施例5)図11に示された網状構造体11は、図示
上側に位置する比較的密度の大きい層11cと、下側に
位置する比較的密度の小さい層11dを厚み方向に層状
に配置している。この網状構造体11は、図2に示す網
状体製造装置10において、ノズル部16のオリフィス
を変更することによって作ることができる。そして図1
2に示すように、実施例1と同様の成形装置50にセッ
トされ、主に網状構造体11の厚み方向に圧縮しかつ熱
変形温度まで加熱することにより、クッション体70c
を得た。このクッション体70cが座席などに使われる
場合、密度の小さい層11dが人体に接する側(座部の
上面)となる。
【0038】また図13に示された網状構造体11は、
比較的密度の小さい層11eの裏面側に高密度な層11
fを設け、実施例1と同様に金型51を用いて圧縮およ
び加熱によりクッション体70dを成形した。この異硬
度クッション体70dの高密度な層11fは、このクッ
ション体70dを座席などに使う場合にばねが配置され
る側(座部の下面側)となる。
【0039】図14に示されたクッション体70eは、
中程度の密度の中間層11gの上面側、すなわち座席等
において人体と接する側に低密度の網状構造体11hを
配置するとともに、ばねと接する裏面側に高密度の網状
構造体11iを配した網状体11を用い、前記各実施例
と同様に圧縮と加熱によって所定の立体形状に成形した
ものである。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、クッション体として使
用する際の体圧分布やばねの配置等に応じて適度な形状
と硬さ分布を有し、しかも耐熱性と耐久性に優れ、通気
性も充分な網状構造体を用いているために蒸れにくいな
ど、座り心地が著しく改善される。また、バインダを使
用しない単一の熱可塑性樹脂を主体とするものであるか
らリサイクル使用が容易なクッション体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すクッション体成形装置
の概略断面図。
【図2】網状構造体を製造する装置の概略側面図。
【図3】網状構造体の一部の斜視図。
【図4】本発明の他の実施例を示すクッション体成形装
置の一部の断面図。
【図5】図4に示すクッション体成形装置にサイド型を
セットした状態の断面図。
【図6】網状構造体の変形例を示す斜視図。
【図7】図2に示された装置におけるエンドレスネット
の変形例を示す概略図。
【図8】部分的に密度を変化させた網状構造体の斜視
図。
【図9】図2に示された装置におけるノズル部の変形例
を示す底面図。
【図10】図2に示された装置におけるノズル部の他の
変形例を示す底面図。
【図11】層状に密度を変化させた網状構造体の斜視
図。
【図12】低密度の部位を有する網状構造体と成形装置
の断面図。
【図13】高密度の部位を有する網状構造体と成形装置
の断面図。
【図14】低密度と高密度と中間密度の部位を有する異
硬度クッション体の断面図。
【符号の説明】
10…網状体製造装置 11…網状構造体 12…連続線状体 50…クッション体成形装置 51…成形用金型 52…ヒータ(加熱手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 31:00 (72)発明者 磯田 英夫 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として熱可塑性弾性樹脂からなる300
    デニール以上の連続線状体をランダムなループ状に曲が
    りくねらせかつ各々のループの互いの接触部を融着させ
    た見掛け密度が0.005〜0.20g/cm3 の立体
    的な網状構造体からなり、上記網状構造体を圧縮と加熱
    により変形させて所定の立体形状に成形したことを特徴
    とするクッション体。
  2. 【請求項2】上記網状構造体は、見掛け密度の高い部位
    と見掛け密度の低い部位とを含んでいることを特徴とす
    る請求項1記載のクッション体。
  3. 【請求項3】上記網状構造体は、厚みが大きい部位と厚
    みが小さい部位とを含んでいることを特徴とする請求項
    1記載のクッション体。
  4. 【請求項4】互いに繊度が異なる2種類以上の連続線状
    体からなる2種類以上の上記網状構造体を厚み方向に層
    状に組合わせたことを特徴とする請求項1記載のクッシ
    ョン体。
  5. 【請求項5】互いに繊度が異なる2種類以上の上記網状
    構造体を組合わせたものにおいて、人体と接触する側の
    網状構造体の見掛け密度を他の部位の網状構造体の見掛
    け密度より小さくしたことを特徴とする請求項4記載の
    クッション体。
  6. 【請求項6】主として熱可塑性弾性樹脂からなる300
    デニール以上の連続線状体をランダムなループ状に曲が
    りくねらせかつ各々のループの互いの接触部を融着させ
    ることにより見掛け密度が0.005〜0.20g/c
    3 の立体的な網状構造体を得たのち、上記網状構造体
    を型に収容して所定の厚みに圧縮するとともに熱変形温
    度まで加熱し、そののち冷却することにより所定の立体
    形状に成形することを特徴とするクッション体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】上記網状構造体の加熱を蒸気によって行う
    ことを特徴とする請求項6記載のクッション体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】上記網状構造体の一部を第1の型によって
    網状構造体の厚み方向に圧縮して所定形状に成形したの
    ち、上記網状構造体の他の部位を第2の型によって更に
    横方向に圧縮して所定形状に成形することを特徴とする
    請求項6記載のクッション体の製造方法。
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