JPH05269264A - シート用成型体およびその製造方法 - Google Patents

シート用成型体およびその製造方法

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JPH05269264A
JPH05269264A JP4097416A JP9741692A JPH05269264A JP H05269264 A JPH05269264 A JP H05269264A JP 4097416 A JP4097416 A JP 4097416A JP 9741692 A JP9741692 A JP 9741692A JP H05269264 A JPH05269264 A JP H05269264A
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JP
Japan
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cotton ball
fiber
shaped fiber
sheet
heat
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JP4097416A
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English (en)
Inventor
Kenji Hiramatsu
憲二 平松
Taizo Mukai
泰造 向井
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TAIKOO SANGYO KK
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
TAIKOO SANGYO KK
Kuraray Co Ltd
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Publication date
Application filed by TAIKOO SANGYO KK, Kuraray Co Ltd filed Critical TAIKOO SANGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 多数の綿玉状繊維塊が接合した平均見掛け密
度0.025〜0.050g/cm3のシート用成型体であり、該成型
体中で隣り合う綿玉状繊維塊同士が熱接着性繊維の融解
により少なくとも一部が接着されているシート用成型体
及びその製法であり、熱接着性繊維を含む綿玉状繊維塊
を気流で通気性の型枠に吹き込んだ後、加熱して熱接着
性繊維を溶融または軟化させて隣り合う綿玉状繊維塊同
士を少なくとも一部熱接着させて該成型体を製造する。 【効果】 綿玉状繊維塊の一つ一つが有する反発性に基
づく良好な反発性能、および成型体全体に亙るほぼ等し
い見掛け密度によりすわり心地が極めて良好なシート用
成型体を、高速気流による型枠への充填およびその後の
加熱処理という極めて簡単な操作で簡単に且つ短時間で
製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシート用成型体およびそ
の製造方法に関する。詳細には、乗り物シートやソファ
などの凹凸局面形状を有するいわゆる座席シートに適す
る成型体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、電車、航空機等の乗り物
の高性能化が進んでおり、それに伴ってそれらの内装に
関しても安全性、快適性等の点でより高品質のものが要
求されるようになっている。特に、座席シートに対して
は、運転者は勿論のこと、同乗者や乗客が長時間の運転
や旅行でも疲れを感じない高品質のものが強く求められ
ており、そのための素材の選択が重要な要素になってい
る。そのような点から、自動車等の座席シートに対して
は、素材面および製造面から種々の提案がなされている
が、未だ充分満足のいくシート素材が得られていないの
が現状である。
【0003】例えば、自動車のシートとして、ウレタン
フォームを詰めたものが知られているが、座り心地が必
ずしも良好ではなく、しかも廃棄、焼却処分時にシアン
系の有毒ガスを発生し環境を著しく破壊するという大き
な問題を有している。
【0004】また、フラットな直方体状や板状の成型体
を発泡体等から作成した後、これを圧縮成形して曲面状
の複雑な凹凸形状を有する自動車シート等を製造するこ
とも従来行われている。しかしながら、この方法による
場合は、外見上はきれいな凹凸形状の製品が得られるも
のの、その圧縮の程度が凹部と凸部とで異なっており、
一般に強く圧縮される凹部の密度が高く弱く圧縮される
凸部の密度が低くなって製品に大きな密度差があり、す
わり心地が不良なものとなり易い。
【0005】更に、繊維から球状の塊(繊維球体)を製
造し、これを多数充填し成型してクッション材を製造す
る方法が提案されており(特公昭50−30745号公
報)、この方法では繊維球体を結合して成型するに当た
って、繊維球体の表面に樹脂や合成ゴム等の固定剤を付
着させて成型体を製造するとしている。
【0006】しかしながら、繊維球体は比較的柔らかく
てつぶれ易く、しかもその表面が平滑ではないため、こ
の方法による場合は、多数の繊維球体の表面に樹脂や合
成ゴム等の固定剤を均一に付着させることができず、繊
維球体同士の接合が均一に行われにくいという欠点があ
る。しかも、この方法では、合成樹脂や合成ゴム等の表
面固定剤は通常液状で繊維球体の表面に塗布されるた
め、それを施された繊維球体の重量が重くなり、型枠等
に空気で吹込む際に、空気流にうまく乗らず、型の隅々
まで充填することができない。
【0007】その上、この方法による場合は、固定剤を
塗布された繊維球体の表面は接着性が大きくなっている
ため、型枠に充填する前または型枠への充填時に繊維球
体同士が互いに接着凝集して大きな塊になってしまっ
て、型の隅々まで完全に且つ均一に充填されない。特
に、繊維球体が型枠の隅々まで均一に且つ完全に充填さ
れないというこの方法の欠点は、凹凸曲面の多い複雑な
形状の型を使用する乗り物等の座席シートを製造する際
には致命的な欠陥となる。更に、この方法による場合
は、成型体に見掛け密度の極めて大きな部分と小さな部
分とが存在してしまい高品質の製品が得られず、また成
型体間の品質に大きなばらつきを生ずる。
【0008】更に、熱接着繊維を含む球状または筒状の
繊維塊からなる詰め物素材が提案されている(特公昭5
2−11896号公報および特開昭51−34060号
公報)。しかし、この詰め物素材は、従来の布団綿や羽
毛の代わりに寝具や防寒衣等に単に詰めて使用すること
を目的として開発されたものである。そのため、そこで
は、その詰め物素材を布団等の外皮中に単に詰めること
だけが行われており、充填後に繊維塊同士を接着して接
合しておらず、まして型枠を使用して所定の固定した形
状を有する座席シート等を成型することは一切意図され
ていない。そして、布団綿や羽毛に代わる詰め物素材を
意図しているこの従来技術における繊維塊では、繊維塊
中に含まれる熱接着性繊維により、個々の球状または筒
状繊維塊中でその繊維同士を接合させて壊れにくい個々
の球状体や筒状体を形成させている。すなわち、そこで
は熱接着性繊維による個々の繊維塊中での繊維同士の接
合を、繊維塊を布団等の外皮中に充填する前に行ってお
り、布団等の外皮に充填した後に隣接する繊維塊同士を
接合するために熱接着性繊維を使用していない。
【0009】一方、本発明者らは、熱接着性繊維によっ
て個々の繊維塊中で既に繊維同時が接合されているこの
従来の単なる詰め物用の球状繊維塊を使用して車の座席
シートの製造を試みた。しかしながら、個々の繊維塊中
で繊維同士が既に接合されているこの球状繊維塊では、
個々の球状繊維塊自体がかなり硬くなっていて圧縮性が
低下しているために、型枠の隅々まで密に充填されにく
く、また型枠内に充填した後に更に加熱して球状繊維塊
同士を接合した場合に、その密度が高くなりすぎて、座
席シート等において必要とされている快適な座り心地を
与える適性な見掛け密度(通常約0.025〜0.05
g/cm3)を有する成型体を得ることが極めて困難で
あった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来技術におけるような欠点のない、乗り物シートや
ソファなどのいわゆる座席シートに適する快適なすわり
心地を有する高品質のシート用成型体を提供することで
ある。また、本発明は、ウレタンフォームにおけるよう
な環境破壊の問題がほとんどない安全性の高いシート用
成型体の提供を目的としている。更に、本発明の目的
は、そのような高品質のシート用成型体を、上記した従
来の方法におけるような問題を生ずることなく、簡単な
操作で円滑に製造する方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
本発明者らが種々検討を行い研究を進めた結果、熱接着
性繊維を含む綿玉状繊維塊を空気等の気体流によって通
気性の型枠に吹き込み、それを型枠内で加熱して熱接着
性繊維を溶融または軟化させて隣り合う綿玉状繊維塊同
士を少なくとも一部熱接着・接合させて、平均見掛け密
度0.025〜0.050g/cm3の範囲の成型体にす
ると、上記の目的を達成できることを見出して本発明を
完成した。
【0012】すなわち、本発明は、多数の綿玉状繊維塊
の接合体からなるシート用成型体であって、見掛け密度
が0.025〜0.050g/cm3の範囲にあり、且
つ該成型体中で隣り合う綿玉状繊維塊同士が熱接着性繊
維の融解により少なくとも一部が接着されて接合体を形
成していることを特徴とするシート用成型体である。更
に、本発明は、熱接着性繊維を含む綿玉状繊維塊を気体
流によって通気性の型枠に吹き込み、次いで加熱処理を
施して熱接着性繊維を溶融または軟化させて隣り合う綿
玉状繊維塊同士を少なくとも一部熱接着させて接合体を
形成することを特徴とするシート用成型体の製造方法で
ある。
【0013】本発明において、「シート用成型体」と
は、自動車、電車、航空機等の乗り物の座席シート、乗
り物以外に用いられる椅子、ソファー、ソファーベッド
等のシート類を包含し、そのシートとは座席部だけでな
く、背凭れ部、ヘッドレスト、アームレスト等をも含む
ものである。そして、本発明では、シート用成型体が多
数の綿玉状繊維塊により形成され、且つ綿玉状繊維塊同
士が熱接着性繊維の融解によって少なくとも一部が接着
されて所定の形状を有する1個の成型体としての接合体
を形成していることが必要である。
【0014】本発明では、綿玉状繊維塊を使用すること
によって、綿玉状繊維塊の一つ一つが有する反発性がシ
ート用成型体の好適な反発性能に寄与し、シート用成型
体に快適なすわり心地を与える。また本発明では、綿玉
状繊維塊がほぐれにくいまとまった綿玉状の個々の塊で
あることにより、通気性の型枠に空気等の気体流で充填
する際に、型枠の通気部からの繊維の素抜けが生じず、
高速・高圧の気体流で型内に一挙に充填できる。これに
対して、綿玉状になっていない通常の繊維または繊維塊
を使用した場合には、通気性の型枠内に充填すると、型
枠の通気部より繊維がどんどん素抜けして成型体の形状
を整えることができない。
【0015】さらに、本発明では、綿玉状繊維塊の表面
に液状の樹脂や合成ゴム等の接着剤が施されておらず、
型枠に充填した後に、熱接着性繊維を溶融または軟化さ
せて隣接する綿玉状繊維塊同士を接合するものであるか
ら、綿玉状繊維塊が軽量で気体流に乗って型枠の隅々ま
で充填され、しかも型枠への充填時や充填前に綿玉状繊
維塊同士が付着凝集してかたまることがない。そして、
そのように均一に且つ完全に充填された綿玉状繊維塊を
型枠内で溶融または軟化させて隣接する綿玉状繊維塊同
士の接合を行わせることによって、成型体全体にわたっ
て見掛け密度がほぼ等しくなった、すわり心地の極めて
良好なシート用成型体を得ることができる。
【0016】そして、本発明では、すわり心地などのシ
ート性能を一層良好なものにするために、熱接着性繊維
で接着された後のシート用成型体の平均見掛け密度を
0.025〜0.050g/cm3の範囲にしておく。シ
ート用成型体の平均見掛け密度がこの範囲内にあると、
シート使用時に人体の臀部の沈みが1〜3cm程度とな
り、硬すぎず柔らかすぎず、座り心地が極めて良好にな
る。特に長時間すわった場合に疲れを生じないようにす
るためには、シート用成型体を固めに製造するのが望ま
しく、平均見掛け密度を0.03〜0.04g/cm3
としておくのが好適である。また、シート用成型体は、
その全体にわたって見掛け密度がほぼ同じであるのが望
ましく、通常、シート用成型体の各部分の見掛け密度
が、上記した平均見掛け密度0.025〜0.050g
/cm3の±0.005g/cm3以内の値であるのが好
ましい。
【0017】本発明で使用する綿玉状繊維塊は、従来公
知の方法で製造することができ、必ずしも球状になって
いなくてもよいが、製法の容易性および得られるシート
用成型体の圧縮特性を考慮すると、球状またはそれに近
い綿玉状繊維塊が好ましい。また、綿玉状繊維塊を接合
する熱接着性繊維は、別の繊維として綿玉状繊維塊と共
に型枠に充填してもよいが、型枠からの素抜けがなく、
熱接着性繊維を多数の綿玉状繊維塊に均一に分布させる
ことができるという点から、綿玉状繊維塊の製造段階で
熱接着性繊維を混合させておき、熱接着性繊維を含む綿
玉状繊維塊を製造し、それを使用するのが望ましい。
【0018】熱接着性繊維を含む綿玉状繊維塊の製法と
しては、例えば、熱接着性繊維の短繊維と通常の短繊
維を混綿し開繊したものを、上記した特公昭50−30
745号公報に記載されているような、横に円筒状の固
定ドラムの内部に、外周に多数の針状突起を螺旋状に設
けた回転ドラムを設けた装置に供給して丸めを行って綿
玉状繊維塊を製造する方法;熱接着性繊維の短繊維と
通常の短繊維を混綿し開繊したものを、上記した特公昭
52−11896号公報および特開昭51−34046
号公報に記載されているような縦型の筒状容器中に気体
と共に供給して丸めを行って綿玉状繊維塊を製造する方
法等を挙げることができる。
【0019】しかしながら、上記およびの方法に限
定されるものではなく、熱接着性繊維と通常の繊維とか
ら良好な綿玉状繊維塊が得られる方法であればいずれも
採用できる。いずれの方法で行うにしても、特に注意す
べきことは、綿玉状繊維塊の製造時に熱接着性繊維の溶
融および軟化、それに伴う繊維間の接合が生じないよう
に充分注意して丸め作業を行うことが必要である。
【0020】綿玉状繊維塊自体のサイズは、使用する型
枠の通気孔からの素抜けが生じない程度の大きさであれ
ば特に限定されず、数mmから数cmのものが使用でき
るが、気体流による型枠内への充填の容易性、得られる
シート用成型体の見掛け密度の均一性や反発性能等の点
から、特に3mm〜1cmの大きさとしておくのが好ま
しい。また、綿玉状繊維塊自体の見掛け密度も特に限定
されないが、型枠内への充填前や充填時に綿玉状繊維塊
の崩壊が生じないようにするために、更には型枠への充
填の容易性、得られるシート用成型体の見掛け密度の均
一性や反発性能等の点から、特に0.005〜0.01
5g/cm3の綿玉状繊維塊を使用するのが好ましい。
【0021】綿玉状繊維塊の主体となる繊維素材は、特
に限定されず、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリア
ミド、ポリアクリロニトリル等の合成繊維、再生繊維、
天然繊維等を単独でまたは混合して用いることができ、
そのうちでも得られるシート用成型体に良好な反発性能
を付与できるという点から特にポリエステル繊維が好ま
しい。また。これらの繊維の単繊維繊度は3〜20デニ
ール程度のものがよく、特にシート用成型体の主体とな
る繊維は良好な反発特性を得る点から8デニール以上の
ものを使用するのが好ましい。
【0022】また、熱接着性繊維は、主体となる繊維に
対して良好な接着性を有し、しかもそれよりも低い温度
で溶融して、シート用成型体中で隣り合う綿玉状繊維塊
同士を少なくとも一部で接着して接合し得るものを使用
する。綿玉状繊維塊および得られるシート用成型体の反
発特性を良好に保つ上から、熱接着性繊維としては、そ
れの溶融または軟化によって隣り合う綿玉状繊維塊同士
を接着した後もシート用成型体中で繊維形態を保ち得る
ものがよく、このような点から、芯部分が高融点の繊維
形成性重合体からなり、それを包囲する鞘部分が芯部分
よりも融点の低い熱可塑性重合体からなる芯鞘型複合繊
維を使用するのが好ましい。限定されるものではない
が、例えば主体繊維がポリエチレンテレフタレート繊維
である場合に、好ましい熱接着性繊維用の芯鞘型複合繊
維としては、ポリエチレンテレフタレートの芯部分とテ
レフタル酸/イソフタル酸/1,4−ブタンジオールと
の共重合ポリエステルの鞘部分からなる芯鞘型複合繊
維、ポリエチレンテレフタレートの芯部分とテレフタル
酸/アジピン酸/1,4−ブタンジオールとの共重合ポ
リエステルの鞘部分からなる芯鞘型複合繊維等を挙げる
ことができる。
【0023】綿玉状繊維塊中に含まれる熱接着性繊維の
好ましい割合は、主体繊維および熱接着性繊維の種類、
綿玉状繊維塊のサイズや見掛け密度、製造を意図してい
るシート用成型体の種類や用途等に依存するが、得られ
るシート用成型体の形態安定性の点から、通常、綿玉状
繊維塊の重量に基づいて、約10〜70重量%、特に2
0〜60重量%とするのが望ましい。
【0024】そして、上記した綿玉状繊維塊を、製造を
目的とするシート等の型窩形状を有する通気性の型枠内
に、空気等の気体流を使用して吹き込んで充填した後、
型枠内で隣り合う綿玉状繊維塊同士を熱接着性繊維の接
着作用により一か所以上で接合することによって本発明
のシート用成型体を製造する。
【0025】型枠としては、吹き込み用の気体流をスム
ーズに型枠外に逃がすことができ且つ吹き込まれた綿玉
状繊維塊が型枠外に抜けで出てしまわないような通気部
分を有し、しかも成型時の圧力や熱等によって変形等を
生ずることなく所定の形状を保ち得るものであればいず
れも使用することができる。そのうちでも、金属製の網
等から作製された型枠が、空気等の気体の型枠外への抜
けが極めて容易であり、充填後の加熱に耐えることがで
き、しかも型枠を簡単に且つ安価に製造することができ
る等の点から好ましい。
【0026】型枠内に綿玉状繊維塊を充填する際の気体
流の圧力および綿玉状繊維塊の充填量は、綿玉状繊維塊
を構成する繊維素材の種類、見掛け密度、大きさ、製造
を目的とするシート用成型体のサイズ、平均見掛け密
度、型枠の強度等により種々変化調節することができる
が、気体の吹き込み圧力を通常10〜1000mmAq
/cm2程度に、また型枠内への綿玉状繊維塊の充填量
を、型窩内容積の約1.5〜5倍程度にしておくのが好
ましい。
【0027】型枠内への綿玉状繊維塊の充填が終了した
後、熱接着性繊維の融点または軟化点以上で且つ主体繊
維が融解しない温度に加熱して、熱接着性繊維の接着作
用によって隣り合う綿玉状繊維塊同士を少なくとも一部
接着させて、全体として一つに接合されたシート用成型
体を得る。この場合、必要に応じて若干の加圧状態で熱
処理してもよい。その際の加熱手段としては、乾燥した
熱風の吹き込み、赤外線等の輻射熱による加熱、水蒸気
を含有する熱風の吹き込み等を採用することができ、特
に乾燥した熱風の吹き込みが加工作業性等の点から好ま
しい。
【0028】次いで、製造されたシート用成型体を、熱
いうちにまたは冷却後に型枠から取り出す。その際の冷
却は放冷でも外部からの積極的な冷却によってもよい。
得られたシート用成型体を、別途準備しておいてシート
用表地で覆ってシート製品とする。以下に本発明を実施
例等により具体的に説明するが、本発明はそれにより限
定されない。
【0029】
【実施例】
《実施例 1》ポリエチレンテレフタレート短繊維(融
点260℃、単繊維繊度12デニール、平均繊維長64
mm)と、熱接着性繊維としての平均繊維長51mmの
共重合ポリエステル芯鞘型複合繊維(融点260℃のポ
リエチレンテレフタレートの芯部分と融点160℃のテ
レフタル酸/イソフタル酸/1,4−ブタンジオール共
重合ポリエステルの鞘部分とが1:1の重量割合になっ
ている芯鞘型複合繊維;単繊維繊度4デニール)とを、
1:1の重量割合で混合し開繊したものを、上記した特
公昭50−30745号公報に類似した装置に供給して
丸めを行って、平均直径約5mm、平均見掛け密度0.
01g/cm3の球状繊維塊を製造した。
【0030】また、図1および図2に示す形状および寸
法を有する1mm2の目のあいた金網製のシート用成型
体製造用の型枠1を準備した。図1は、該型枠1の全体
図を示したものであり、図2はその切断線A−Aにおけ
る縦断面図である。図1および図2において、型枠1を
構成する上側枠2と下側枠3とは、蝶番4により互いに
開閉可能になっており、成型終了後に上側枠2を上方に
開くことによって型枠1からのシート用成型体を取り出
すことができる。
【0031】上記で製造した球状繊維塊1000gを、
図1および図2で示される型枠1内にその充填口5から
圧力500mmAq/cm2の空気流で充填した。その
後、温度180℃の熱風を型枠1の外部全体から、10
分間当てて加熱して、型枠1内に充填された球状繊維塊
中に含まれる熱接着性繊維を溶融させることによって球
状繊維塊同士を接着させて、一体に接合された接合体と
した。
【0032】放冷後に、図3で示されるシート用成型体
6を型枠1から取り出した。このシート用成型体6全体
の平均見掛け密度を測定したところ、0.035g/c
3であった。このシート用成型体6は、反発特性が優
れており、体重が60kgの人が座った時の臀部の沈み
が2cmであり、長時間座っていても疲れを生じず、極
めて快適であった。更に、上記で得られたシート用成型
体6の各部分(図3のB、C、D)から3cm×3cm
×3cmの立方体を切り出して、各々の見掛け密度を測
定したところ、下記の表1に示すとおりであり、シート
用成型体全体にわたってその見掛け密度がほぼ等しく、
見掛け密度に差が生じていなかった。
【0033】
【表1】 見掛け密度(g/cm3 全体の平均 B部分 C部分 D部分 実施例 1 0.035 0.035 0.035 0.04
【0034】《比較例 1》実施例1で使用したのと同
じポリエチレンテレフタレート短繊維と、熱接着性繊維
を使用して、実施例1と同様に丸め処理を行って、実施
例1と同じ平均直径約5mm、平均見掛け密度0.01
g/cm3の球状繊維塊を製造した。この球状繊維塊を
80℃に加熱して、球状繊維塊中に含まれる熱接着性繊
維により繊維同士を接着させて、球状繊維塊中で繊維が
既に接合された球状体を製造した。この球状体を用い
て、実施例1と同様にして、型枠1への充填、充填後の
加熱を行ってシート用成型体を製造したところ、得られ
たシート用成型体全体の平均見掛け密度は0.06g/
cm3であり、自動車等の座席シートとしての望ましい
上記した平均見掛け密度0.025〜0.050g/c
3から大きく外れ、硬すぎるものであった。
【0035】《比較例 2》ポリエチレンテレフタレー
ト短繊維(融点260℃、単繊維繊度12デニール、平
均繊維長64mm)のみを使用して、実施例1と同様に
して、平均直径約5mm、平均見掛け密度0.01g/
cm3の球状繊維塊を製造した。この球状繊維塊の表面に
液状接着剤(熱可塑性ポリウレタン)を10%owf
(繊維重量当たり)の割合で施して、実施例1と同様に
して型枠1に充填しようとしたところ、充填時に球状繊
維塊同士がくっついて充填が阻害され、シート用成型体
の製造が不可能であった。
【0036】
【発明の効果】本発明のシート用成型体は、接合体を構
成する綿玉状繊維塊の一つ一つが有する反発性に基づく
良好な反発性能によって、極めて快適なすわり心地を与
える。更に、本発明のシート用成型体は、全体にわたっ
てその見掛け密度がほぼ等しいので、この点からもすわ
り心地が極めて良好である。そして、本発明の製造方法
による場合は、繊維が綿玉状の個々の塊になっており、
しかも綿玉状繊維塊の表面に液状の接着剤や固定剤が施
されていないので、型枠への充填前または充填時に綿玉
状繊維塊同士の凝集が生じず、綿玉状繊維塊を気体流に
乗せて繊維の型枠からの素抜けを生ずることなく、型枠
の隅々まで均一に且つ高速で一挙に充填することができ
る。そして、型枠の隅々まで均一に充填された綿玉状繊
維塊を加熱して、そこに含まれる熱接着性繊維を溶融ま
たは軟化させて隣接する綿玉状繊維同士を接合させるこ
とによって、見掛け密度の均一な極めて良好なシート用
成型体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する型枠の一例を示す図である。
【図2】図1の型枠をその切断線A−Aに沿って切断し
たときの縦断面図である。
【図3】図1および図2で示した型枠を使用して得られ
たシート用成型体の形状を示す図である。
【符号の説明】
1 型枠 2 上側枠 3 下側枠 4 蝶番 5 充填口 6 シート用成型体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 1/58 Z 7199−3B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の綿玉状繊維塊の接合体からなるシ
    ート用成型体であって、平均見掛け密度が0.025〜
    0.050g/cm3の範囲にあり、且つ該成型体中で
    隣り合う綿玉状繊維塊同士が熱接着性繊維の融解により
    少なくとも一部が接着されて接合体を形成していること
    を特徴とするシート用成型体。
  2. 【請求項2】 綿玉状繊維塊中に熱接着性繊維が混合さ
    れている請求項1のシート用成型体。
  3. 【請求項3】 熱接着性繊維を含む綿玉状繊維塊を気体
    流によって通気性の型枠に吹き込み、次いで加熱処理を
    施して熱接着性繊維を溶融または軟化させて隣り合う綿
    玉状繊維塊同士を少なくとも一部熱接着させて接合体を
    形成することを特徴とするシート用成型体の製造方法。
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