JPH0848009A - 塩化ビニル系樹脂成形品 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂成形品

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JPH0848009A
JPH0848009A JP18358694A JP18358694A JPH0848009A JP H0848009 A JPH0848009 A JP H0848009A JP 18358694 A JP18358694 A JP 18358694A JP 18358694 A JP18358694 A JP 18358694A JP H0848009 A JPH0848009 A JP H0848009A
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JP
Japan
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vinyl chloride
weight
chloride resin
acid
molded product
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JP18358694A
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English (en)
Inventor
Miyuki Sato
みゆき 佐藤
Yoshinori Kanayama
賢教 金山
Atsushi Obayashi
厚 大林
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Mitsubishi Chemical MKV Co
Original Assignee
Mitsubishi Chemical MKV Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可塑剤などの表面移行を防止し、かつ、耐水
性に優れた塩化ビニル系樹脂成形品の提供。 【構成】 塩化ビニル系樹脂成形品の表面に、(A)ヒ
ドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー5〜4
0重量%、分子内に1個もしくは2個以上のカルボキシ
ル基を含むα,β−不飽和カルボン酸0〜20重量%及
び残部がこれら化合物と共重合可能な他のビニル系化合
物モノマーからなるモノマー混合物を共重合して得られ
たアクリル系樹脂100重量部と(B)架橋性化合物1
〜40重量部、(C)1種以上の有機系酸触媒0.1〜
20重量部の3成分を主体とする被膜組成物が加熱処理
によって形成された被膜を有することを特徴とする塩化
ビニル系樹脂成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂成形
品に関する。更に詳しくは、可塑剤などの表面移行を防
止し、かつ、耐水性に優れた塩化ビニル系樹脂成形品に
係わるものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、比較的安価で、化
学変化をおこしにくく、しかも可塑剤量を変えて配合す
ることにより、硬質から軟質まで性質を広範囲に変える
ことができる。しかし、可塑剤を配合した塩化ビニル系
樹脂成形品は、長期間経過すると、可塑剤が成形品表面
にブリード・アウトし、他の物質に移行したり、水や溶
剤などに抽出するなどして、好ましくない現象を呈する
という欠点がある。例えば、ABS樹脂、耐衝撃性ポリ
スチレン又は一般用ポリスチレン等のスチレン樹脂より
なるテレビジョン、ビデオデッキ、パーソナルコンピュ
ーター等の電化製品のハウジングに軟質塩化ビニル系樹
脂成形品が接触すると、ハウジングに可塑剤が移行す
る。この移行により、ハウジングには汚染斑が生じた
り、亀裂が生じたりして美観を損ね、商品価値を著しく
低下させ、場合によっては機能を低下させることもあ
る。
【0003】また、塩化ビニル系樹脂よりなる成形品
が、床材、壁材などの内装材、あるいはテントなどの屋
外で使用されるものである場合は、成形品表面にブリー
ド・アウトした可塑剤に塵埃が付着して汚染されるとい
う欠点がある。成形品が包装用に使用されるフィルムで
ある場合には、ブリード・アウトした可塑剤がフィルム
への印刷性を低下させたり、ヒートシール法によって接
着した場合の強度を低下させる。更に、成形品が防水帆
布テント、簡易水槽、止水板、遮水シートなどの耐水性
が要求される用途に使用された場合には、雨水の影響に
よって可塑剤が流亡され、成形品が白化したり、脆くな
ったり破損するなどの問題が生起する。
【0004】これらの問題を解決する手法として、特公
昭47−28740号公報、特公昭50−31195号
公報、特開昭56−99237号公報、特開昭56−9
9665号公報等に記載されているように、塩化ビニル
系樹脂成形品の表面を、特定のアクリル系樹脂で被膜す
る方法がある。しかし、これらの手法で用いられるアク
リル系樹脂の組成は、可塑剤等の成形品表面へのブリー
ド・アウトを防止するのに充分ではなかった。又、特開
昭61−215630号公報、特公昭63−9987号
公報等は、アクリル系樹脂の分子量や分子量分布に着目
したものであるが、亀裂を生じる等未だ充分満足し得る
ものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、可塑剤など
の表面移行を防止し、かつ、耐水性に優れた塩化ビニル
系樹脂成形品の提供を目的とするものである。
【0006】
【問題を解決するための手段】しかして、本発明の要旨
とするところは、塩化ビニル系樹脂成形品の表面に、
(A)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマ
ー5〜40重量%、分子内に1個もしくは2個以上のカ
ルボキシル基を含むα,β−不飽和カルボン酸0〜20
重量%及び残部がこれら化合物と共重合可能な他のビニ
ル系化合物モノマーからなるモノマー混合物を共重合し
て得られたアクリル系樹脂100重量部と(B)架橋性
化合物1〜40重量部、(C)1種以上の有機系酸触媒
0.1〜20重量部の3成分を主体とする被膜組成物が
加熱処理によって形成された被膜を有する塩化ビニル系
樹脂成形品に存する。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニルのほか、
塩化ビニルが主成分を占める共重合体をいう。塩化ビニ
ルと共重合しうる単量体化合物としては、塩化ビニリデ
ン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、マレイ
ン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビ
ニル等があげられる。これら塩化ビニル系樹脂は、乳化
重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の従来
公知の製造法のうち、いずれの方法によって製造された
ものであってもよい。
【0008】上記基体となる塩化ビニル系樹脂には、柔
軟性を付与するために、この樹脂100重量部に対し
て、1重量部以上、好ましくは20〜60重量部の可塑
剤が配合される。可塑剤の配合量を上記範囲とすること
により、目的の塩化ビニル成形品に、すぐれた柔軟性と
機械的性質を付与させることができる。可塑剤として
は、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エ
チルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイ
ソデシルフタレート、ジドデシルフタレート、ジウンデ
シルフタレート等のフタル酸誘導体;ジオクチルフタレ
ート等のイソフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペー
ト、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−
n−ブチルマレエート等のマレイン酸誘導体;トリ−n
−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体;モノブチルイ
タコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート等
のオレイン酸誘導体;グリセリンモノリシノレート等の
リシノール酸誘導体;その他、エポキシ化大豆油、エポ
キシ樹脂系可塑剤等があげられる。
【0009】上記塩化ビニル系樹脂には、前記可塑剤の
ほかに、必要に応じて、成形用の合成樹脂に通常配合さ
れる公知の樹脂添加物、例えば、熱安定剤、酸化防止
剤、滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔
料、染料等を配合することができる。しかして、可塑剤
を含め、その他公知の樹脂添加剤を配合し、成形用の塩
化ビニル系樹脂配合組成物とするには、通常の配合、混
合技術、例えばリボンブレンダー、バンバリーミキサ
ー、スーパーミキサーその他の配合機、混合機を使用す
る方法を採用することができる。
【0010】塩化ビニル系樹脂配合組成物を成形して、
本発明の塩化ビニル系樹脂成形品にする場合の形状につ
いては特に制限はない。しかし、被膜を形成する工程の
容易さからシート状、フィルム状、板状、あるいは管状
の形態のものが適している。これらの成形法としては、
通常行われる、例えばカレンダー成形法、押出成形法、
インフレーション成形法、射出成形法等のなかから適宜
採用される。本発明に係る塩化ビニル系樹脂成形品は、
成形品表面に(A)特定のアクリル樹脂(B)架橋性化
合物(C)有機系酸触媒の3成分を主成分とする組成物
の被膜が加熱処理によって形成されている。
【0011】本発明におけるアクリル系樹脂(A)は、
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー5〜
40重量%、分子内に1個もしくは2個以上のカルボキ
シル基を含む、α,β−不飽和カルボン酸化合物0〜2
0重量%及びこれら化合物と共重合可能な他のビニル系
化合物モノマーからなるモノマー混合物を共重合して得
られる重合体をいう。ここでいうヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレートとはヒドロキシアルキルアクリレ
ート又はヒドロキシアルキルメタクリレートを意味す
る。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類として
は、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチル
メタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタク
リレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−
ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブ
チルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレー
ト、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキ
シブチルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルアク
リレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6
−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘ
キシルメタクリレート等があげられる。
【0012】このヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ート類のアクリル系樹脂中で占める割合が5重量%より
少ない場合は、有機溶媒との溶解性、基体成形品との密
着性及び可塑剤移行抑制効果を充分に発揮し得ないので
好ましくない。他方、40重量%より多い場合にはコス
ト高となりコスト上昇に較べて得られる効果は大きくな
いので好ましくない。分子内に1個もしくは2個以上の
カルボキシル基を含むα,β−不飽和カルボン酸化合物
としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マ
レイン酸、アコニット酸、クロトン酸等があげられる。
これら化合物を、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレート類と併用すると、被覆組成物と塩化ビニル系樹
脂成形品との密着性が向上し、成形品同士が付着し被膜
をはがすという(ブロッキングする)性質を抑制する効
果を発揮する。これら化合物の使用量は、20重量%ま
でである。これ以上であると、成形品が水分で濡れてい
るときに成形品同士が付着し被膜をはがすという性質
(湿潤時のブロッキング性)が強化されるので、好まし
くない。
【0013】残部を構成する前記化合物と共重合可能な
他のビニル系化合物としては、メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プ
ロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブ
チルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ド
デシルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステア
リルアクリレート等のようなアクリル酸のC1 〜C22
アルキルエステル類:メチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロ
ピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−
ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタク
リレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタク
リレート、ステアリルメタクリレート等のようなメタク
リル酸のC1 〜C22のアルキルエステル類:スチレン、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、n−ブトキシアクリルアミド、n−ブトキシメタク
リルアミドなどをあげることができる。
【0014】アクリル系樹脂(A)は、上記単量体の2
種以上を所定量組み合わせて有機溶媒ないし水とともに
重合缶に仕込み、重合開始剤、必要に応じて分子量調節
剤を加えて、攪拌しつつ加熱重合してアクリル樹脂が得
られる。重合は通常公知の方法、例えば懸濁重合法、溶
液重合法、乳化重合法などが採用される。
【0015】重合に用いる有機溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−
ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコ
ール、tert−アミルアルコール、n−ヘキシルアル
コール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エ
チル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル
イソブチルケトン、ジエチルケトン、2−ヘキサノン、
3−ヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロ
ピルケトン、ジ−n−アミルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類;テトラヒドロフラン等があり、これらは
1種もしくは2種以上混合して使用することができる。
使用しうる重合開始剤としては、α,α−アゾビスイソ
ブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハ
イドロパーオキサイド等のラジカル生成触媒があげら
れ、分子量調節剤としてはブチルメルカプタン、n−ド
デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタ
ン、β−メルカプトエタノール等があげられる。
【0016】又、上記アクリル系樹脂には、これら成分
の外に、補助的な成分、例えば酸化防止剤、中和剤、紫
外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、防カ
ビ剤、防藻剤、発泡剤、滑剤等を配合することができ、
水又は、有機溶媒に分散及び/又は溶解して用いること
ができる。有機溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素と
してヘプタン、シクロヘキサン等;芳香族炭化水素とし
てベンゼン、トルエン、キシレン等;アルコール類とし
てメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、
ポリオキシエチレングリコール等;ハロゲン化炭化水素
としてクロロホルム、四塩化炭化水素、クロルベンゼン
等;ケトン類としてアセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン等;エステル類としてメチルアセ
テート、アリルアセテート、エチルステアレート等;ア
ミン類としてトリメチルアミン、ジフェニルアミン、ヘ
キサメチレンジアミン等;その他ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジエチルエー
テル、ジエチレンジチオグリコール、ジアセトンアルコ
ール、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキサイド等があ
り、これら単独もしくは2種以上の併用で使うことがで
きる。
【0017】本発明における架橋性化合物(B)とは、
5〜40重量%がヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ートモノマー、0〜20重量%が分子内に1個もしくは
2個以上のカルボキシル基を含むα,β−不飽和カルボ
ン酸及び残部がこれら化合物と共重合可能な他のビニル
系化合物からなるモノマー成分を共重合して得られたア
クリル系樹脂を架橋反応させうるものであればよい。具
体的には、例えば、イソシアネート系、エポキシ系、ア
ミン系、アジリジン系、メラミン樹脂等の化合物をあげ
ることができる。
【0018】本発明で使用する有機系酸触媒(C)と
は、アクリル系樹脂(A)と架橋性化合物(B)の架橋
反応を促進させるものであって、例えば、一価または二
価の遊離酸を有するリン酸誘導体、亜リン酸誘導体、ホ
スホン酸誘導体、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物
等をあげることができる。これらは、1種または数種を
組み合わせて使用することができる。その中でも特に、
一価または二価の遊離酸を有するリン酸誘導体、スルホ
ン酸化合物、カルボン酸化合物を使用するのが好まし
く、具体的には次のようなものがあげられる。 一価または二価の遊離酸を有するリン酸誘導体:ジメチ
ルリン酸、ジブチルリン酸、リン酸モノイソプロピル、
リン酸ジイソプロピル、リン酸−n−ブチル−2−エチ
ルヘキシル等。 スルホン酸化合物:メチルスルホン酸、n−プロピルス
ルホン酸、イソプロピルスルホン酸、トルエンスルホン
酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸
等。 カルボン酸化合物:プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マ
ロン酸、アジピン酸、ラウリン酸等。
【0019】アクリル系樹脂(A)と、架橋性化合物
(B)、有機系酸触媒(C)との配合の割合は(A)1
00重量部に対して(B)が1〜40重量部、(C)
0.1〜20重量部の割合が好ましい。架橋性化合物
(B)の配合の割合が多すぎると、成形品表面に形成さ
れた被膜が脆いものとなり剥離しやすくなるので好まし
くない。逆に、(B)の配合割合が少なすぎると可塑剤
などの表面移行を充分に防止できないので好ましくな
い。一方、有機系酸触媒(C)の配合割合がこれより多
い場合には、塩化ビニル系樹脂成形品と形成被膜の密着
性が悪くなるので好ましくない。また、(C)の配合割
合がこれより少ない場合には、形成被膜の耐水性を充分
改良することができない。特に、(A)100重量部に
対して、(B)3〜30重量部、(C)0.3〜15重
量部であることが好ましい。
【0020】上記被膜組成物には、これら成分の他に、
補助的な成分、例えば酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、発泡剤、滑剤
等を配合することができ、有機溶媒に分散及び/又は溶
解して用いることができる。有機溶媒としては、例えば
脂肪族炭化水素としてヘプタン、シクロヘキサン等;芳
香族炭化水素としてベンゼン、トルエン、キシレン等;
アルコール類としてメタノール、エタノール、イソプロ
ピルアルコール、ポリオキシエチレングリコール等;ハ
ロゲン化炭化水素としてクロロホルム、四塩化炭化水
素、クロルベンゼン等;ケトン類としてアセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等;エステル
類としてメチルアセテート、アリルアセテート、エチル
ステアレート等;アミン類としてトリメチルアミン、ジ
フェニルアミン、ヘキサメチレンジアミン等;その他ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジオキサ
ン、ジエチルエーテル、ジエチレンジチオグリコール、
ジアセトンアルコール、ベンゾニトリル、ジメチルスル
ホキサイド等があり、これは単独もしくは2種以上の併
用で使うことができる。
【0021】上記の被膜組成物を塗布し塩化ビニル系樹
脂成形品表面に被膜を形成するには、成形品の形状に応
じて公知の各種方法が適用される。例えば、溶液状態で
被膜を形成する場合は、ドクターブレードコート法、グ
ラビアロールコート法、エヤナイフコート法、リバース
ロールコート法、ディップコート法、カーテンロールコ
ート法、スプレイコート法、ロッドコート法等の塗布方
法が用いられる。また、溶液状態とせず上記被膜組成物
を単独の被膜として形成する場合は、共押出し法、押出
しコーテイング法、押出しラミネート法、ラミネート法
が用いられる。被膜形成法として、塗布方式を用いた場
合の溶剤の乾燥方法としては、例えば自然乾燥法、熱風
乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法等があるが、乾
燥速度、安全性を勘案すれば熱風乾燥法が有利である。
この場合の温度条件は50〜150℃の範囲とし、時間
は10秒〜15分の間で選ぶのがよい。
【0022】上記被膜組成物を塩化ビニル系樹脂成形品
の表面に塗布して被膜とする場合の塗布量は、アンダー
コートを施す場合、そのコート分を別にして、塗布方式
で、乾燥固化後の量として、0.1g/m2 〜10g/
2 の範囲とするのが好ましい。0.1g/m2 より少
ないと、塩化ビニル系樹脂成形品中の可塑剤の表面移行
を防止する効果が不充分である。また、10g/m2
上であると、被膜量が多過ぎて、経済的に不利となり、
特に被覆される塩化ビニル系樹脂成形品がフィルム状の
構造物である場合は、その機械的強度が低下することが
ある。したがって、通常は、0.5g/m2 〜5g/m
2 の範囲が最も好ましい。なお、上記被膜組成物を被覆
する前に、塩化ビニル系樹脂成形品の表面を予め、アル
コールまたは水で洗浄したり、プラズマ放電処理、ある
いはコロナ放電処理したり、他の塗料、あるいはプライ
マー後下塗りする等の前処理を施しておいてもよい。
【0023】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂成形品は、成
形品とその表面に形成された特定のアクリル系樹脂、架
橋性化合物、有機系酸触媒の3成分を主成分とする被膜
組成物に由来する被膜との密着性に富むことから、被膜
は剥離しにくく、又、長時間物性及び耐水性の低下が少
ない。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に
限定されるものではない。 I.基体成形品(フィルム)の調製 ポリ塩化ビニル(平均重合度1400)100重量部、
ジオクチルフタレート50重量部、エポキシ化大豆油3
重量部、バリウム−亜鉛系複合液状安定剤1.5重量
部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、ステアリン酸
亜鉛0.4重量部よりなる樹脂組成物を準備し、各組成
物を、スーパーミキサーで10分間攪拌したのち、18
0℃に加熱したミルロール上で混練し、厚さ0.3mmの
塩化ビニル樹脂フィルムを調製した。
【0025】II. 被膜樹脂の調製 温度計、攪拌機、還流冷却器および仕込用ノズルを備え
た反応器にアクリル系単量体を表−1に示した種類およ
び量で加え、さらに過酸化ベンゾイル0.05重量部、
ポリビニルアルコール0.03重量部、メルカプタン
0.04重量部、水137重量部を加えて、窒素ガス気
流中で攪拌しつつ、70度で約3時間反応を継続してア
クリル樹脂であるa〜eを得た。得られたアクリル樹脂
と架橋性化合物と有機系酸触媒を表−2に示した量で各
々配合しこれに固形分が20重量%となるようにイソプ
ロピルアルコールを加えて被膜組成物を得た。
【0026】III.被膜の形成 I記載の方法で調製した基体フィルムの片面に、IIで調
製した被膜組成物を、#5バーコーターを用いて、各々
塗布した。塗布したフィルムを130℃のオーブン中に
て1分間保持して、溶剤を揮散させた。得られた各フィ
ルムの被膜の量は約3g/m2 であった。
【0027】IV. フィルムの評価 以下の方法においてフィルムの性能を評価し、その結果
を表−3に示した。 (i)初期外観 フィルムの外観を肉眼で観察した。この評価基準は次の
とおりである。 ◎・・無色で、透明性に優れるもの。 ○・・やや白色を呈するが、透明性を有するもの。 △・・白色を呈し、半透明であるもの。 ×・・白濁し、失透しているもの。
【0028】(ii)被膜密着性 フィルムの被膜面にセロハンテープを接着し、このセロ
ハンテープを剥がしたときに、被膜の剥離状況を肉眼で
観察した。この評価基準は次のとおりである。 ◎・・被膜が剥離せず、完全に残ったもの。 ○・・被膜の2/3以上が剥離せず残ったもの。 △・・被膜の2/3以上が剥離したもの。 ×・・被膜が完全に剥離したもの。
【0029】(iii) 耐汚染性 フィルムの被膜面に、各汚染物質を付着させ、24時間
室温に放置したのち、汚染物質を脱脂綿で拭き取って、
痕跡を観察した。この評価基準は、次のとおりである。 ◎・・痕跡が全く認められないもの。 ○・・被膜の2/3以上に、痕跡が認められないもの。 △・・被膜の2/3以上に、痕跡が認められるもの。 ×・・被膜全面に、痕跡が認められるもの。
【0030】(iv)可塑剤移行試験 各フィルムを、各々10cm×10cm角に切断し、被膜が
形成されている面に、厚さ0.5mmのポリスチレンシー
トを密着させた。この状態で、2kgの荷重をかけ、60
℃に保持した恒温水槽内に、48時間放置した。ついで
恒温水槽から取り出し、荷重をとり、ポリスチレンシー
トを剥離したのち、フィルム各々の減量を測定した。こ
の減量は、数値が小さいほど、フィルム表面からの可塑
剤の移行が少ないことを示す。
【0031】(v)耐水性試験 各フィルムから、4cm×5cmの大きさの試験片を多数枚
準備し、50℃に保持した恒温水槽内に浸漬し、12時
間後および24時間後にそれぞれの種類のフィルムにつ
き、数枚のフィルムを取り出し、乾燥したのち、被膜の
外観を肉眼で観察した。この試験での評価基準は、次の
とおりである。 ◎・・被膜に外観変化が全く認められないもの。 ○・・被膜の一部に、白化が認められるもの。 △・・被膜の全面に、白化が認められるもの。 ×・・被膜の全面に、白化が認められ、部分的に被膜剥
離が認められるもの、もしくは被膜が完全に剥離してい
るもの。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂成形品の表面に、
    (A)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマ
    ー5〜40重量%、分子内に1個もしくは2個以上のカ
    ルボキシル基を含むα,β−不飽和カルボン酸0〜20
    重量%及び残部がこれら化合物と共重合可能な他のビニ
    ル系化合物モノマーからなるモノマー混合物を共重合し
    て得られたアクリル系樹脂100重量部と(B)架橋性
    化合物1〜40重量部、(C)1種以上の有機系酸触媒
    0.1〜20重量部の3成分を主体とする被膜組成物が
    加熱処理によって形成された被膜を有することを特徴と
    する塩化ビニル系樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 有機系酸触媒(C)が一価または二価の
    遊離酸を有するリン酸誘導体、または/およびスルホン
    酸化合物、カルボン酸化合物である請求項1記載の塩化
    ビニル系樹脂成形品。
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