JPH0623263B2 - 塩化ビニル系樹脂成形品 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂成形品

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JPH0623263B2
JPH0623263B2 JP16278686A JP16278686A JPH0623263B2 JP H0623263 B2 JPH0623263 B2 JP H0623263B2 JP 16278686 A JP16278686 A JP 16278686A JP 16278686 A JP16278686 A JP 16278686A JP H0623263 B2 JPH0623263 B2 JP H0623263B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、塩化ビニル系樹脂成形品に関する。さらに詳
しくは、可塑剤などの表面移行を防止し、成形品表面の
汚染を防止し、かつ、耐水性に優れた塩化ビニル系樹脂
成形品に係わるものである。
「従来技術」 塩化ビニル系樹脂は、比較的安価で、化学的変化をおこ
しにくく、可塑剤をその量を変えて配合することによ
り、硬質から軟質まで広範囲に性質を変えることができ
る。そして例えば硬質のパイプ、床材、シート、フィル
ム、軟質のビニルクロス、繊維、壁材、シート、フィル
ム、日用品雑貨等、硬軟ともに多くの用途がある。
しかし、可塑剤を配合した塩化ビニル系樹脂成形品は、
長期間経過すると、可塑剤が成形品表面にブリード・ア
ウトし、他の物質に移行したり、水や溶剤などに抽出さ
れるなどして、好ましくない現象を呈するという欠点が
ある。
例えば、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレン又は一般用
ポリスチレン等のスチレン系樹脂よりなるテレビジョ
ン、ビデオデッキ、パーソナルコンピューター等の電気
製品のハウジングに軟質塩化ビニル系樹脂成形品が接触
すると、ハウジングに可塑剤が移行する。この移行によ
り、ハウジングには汚染斑が生じたり、亀裂が生じたり
して美観を損ね、商品価値を著しく低下させ、場合によ
っては機能を低下させることもある。
また、塩化ビニル系樹脂よりなる成形品が、床材、壁材
などの内装材料、テントなどの屋外で使用されるもので
ある場合は、成形品表面にブリード・アウトした可塑剤
に、塵埃が付着して汚染されるという欠点がある。成形
品が包装用に使用されるフィルムである場合には、ブリ
ード・アウトした可塑剤がフィルムへの印刷性を低下さ
せたり、ヒートシール法によって接着した部分の強度を
低下させる。
更に、成形品が防水帆布テント、簡易水槽、止水板、遮
水シートなどの耐水性が要求される用途に使用された場
合には、雨水の影響によって可塑剤が流亡され、成形品
が白化したり、もろくなって破損するなどの問題が生起
する。
これらの問題を解決する方法として塩化ビニル系樹脂成
形品の表面を、特定の樹脂や塗料で被覆する手法が提案
されている。例えば特公昭46−29639号公報、特
公昭50−28117号公報等には、塩化ビニル系樹脂
成形品の表面に、アクリル系樹脂を塗布する方法が提案
されている。更に、特公昭52−6214号公報には、
官能基を有するビニルモノマー共重合体の溶剤溶液に、
イソシアネートまたはメラミン樹脂を架橋剤として加
え、ポリ塩化ビニルフィルムに塗布し、フィルム上で部
分架橋させる方法が提案されている。
しかしながら、上記改良法に従って成形品表面に形成さ
れる被膜は、いずれも熱可塑性樹脂を主体としたもので
あるため、使用時または使用前の保管の際の雰囲気温度
が高い場合には、可塑剤等の成形品表面へのブリード・
アウトを防止するのに充分でなく、所望の性能を発揮し
得ないという欠点があった。
これらの欠点を改良するために、例えば特開昭55−1
61826号公報には、塩化ビニル系樹脂成形品の表面
に、エネルギー線照射により重合するエポキシ樹脂組成
物に由来する被膜を形成する方法が提案されている。ま
た、特開昭56−53070号公報には、ポリ塩化ビニ
ルフィルムの片面または両面に、光または電子線で硬化
しうるα、β−不飽和基を有するカルボン酸誘導体を塗
布して、この塗布液に由来する被膜を形成する方法が記
載されている。
しかしながら、これらの改良法によっても、成形品表面
への可塑剤ブリード・アウトを防止し、成形品表面の汚
染を防止するには、充分ではないというのが実状であ
る。
一方、フッ素樹脂は他の熱可塑性樹脂と比較して耐汚染
性や非粘着性、耐候性等が非常に優れていることから、
塩化ビニル系樹脂成形品の表面にフッ素樹脂を積層する
試みがなされてきた。
しかしながら、フッ素樹脂は本来非粘着性のために、他
基材との接着が困難である。このため、フッ素樹脂と他
の基材との接着性を改良するために、従来から種々の手
法が検討されている。
例えば、フッ素樹脂と他基材とを接着性樹脂で接着する
方法が提案されている。特定のエチレン−エチルアクリ
レート共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体または
それらの変性物(特開昭56−86748号公報、特開
昭57−12645号公報参照)、エポキシ基含有ポリ
オレフィン(特開昭57−8155号公報、特開昭57
−212055号公報参照)、フッ化ビニリデンをグラ
フトした共重合体とメチルメタクリレート系重合体との
樹脂組成物(特開昭57−12646号公報参照)、部
分的に改質したエチレン重合体及びアルキルアクリレー
ト重合体からなる重合体(特開昭59−214645号
公報参照)、熱可塑性アクリル樹脂を特定の樹脂で変性
又は混合した樹脂組成物を用いることにより、フッ素樹
脂と他基材との接着性を改善する方法が開示されてい
る。しかしながら、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムにお
いては、一般に可塑剤等の配合剤による成形品表面への
移行、噴き出しの影響で、これら接着性樹脂を介してフ
ッ素樹脂との固着一体化は実用的に充分なものではなか
った。
他方、フッ素樹脂と接着性樹脂とを混合して、他基材に
塗布する方法が提案されている。例えば、特開昭57−
182352号公報には、ポリアミドイミド樹脂とフッ
素樹脂とからなる組成物を用いる方法が開示されてい
る。
「発明が解決しようとする問題点」 本発明者らは、かかる状況にあって、塩化ビニル系樹脂
成形品に配合される諸添加剤、特に可塑剤の表面移行を
防止し、成形品表面の汚染を防止し、かつ、耐水性に優
れた塩化ビニル系樹脂成形品を提供することを目的とし
て、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったもの
である。
「問題点を解決するための手段」 上記の問題点は本発明に係わる塩化ビニル系樹脂成形品
を使用することにより解決される。すなわち、本発明の
要旨とするところは、塩化ビニル系樹脂100重量部に
対して、1重量部以上の可塑剤を含有する樹脂組成物か
ら成形された塩化ビニル系樹脂成形品表面に、含フッ素
不飽和エステルとフッ素を含有しない共重合可能な単量
体との共重合体を、ガラス転移温度が40〜80℃の範
囲にあるアクリル系樹脂に混合した被覆組成物に由来す
る被膜が形成されてなることを特徴とする塩化ビニル系
樹脂成形品に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニル
のほか、塩化ビニルが主成分を占める共重合体を含む。
塩化ビニルと共重合しうる単量体化合物としては、塩化
ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリ
ル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル
酸、酢酸ビニル等があげられる。これら塩化ビニル系樹
脂、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法
等の従来公知の製造法のうち、いずれの方法によって製
造されたものであってもよい。
上記基体となる塩化ビニル系樹脂には、柔軟性を付与す
るために、この樹脂100重量部に対して、1重量部以
上、好ましくは20〜60重量部の可塑剤が配合され
る。可塑剤の配合量を上記範囲とすることにより、目的
の軟質塩化ビニル成形品に、すぐれた柔軟性と機械的性
質を付与させることができる。
可塑剤としては、例えば、ジ−n−オクチルフタレー
ト、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフ
タレート、ジイソデシルフタレート、ジドデシルフタレ
ート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジ
オクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−n−
ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン
酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導
体;トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体;
モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチル
オレエート等のオレイン酸誘導体;グリセリンモノリシ
ノレート等のリシノール酸誘導体;その他、トリクレジ
ルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等のリン
酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ樹脂
系可塑剤等があげられる。
上記塩化ビニル系樹脂には、前記可塑剤のほかに、必要
に応じて、成形用の合成樹脂に通常配合される公知の樹
脂添加物、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、界面
活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料等を配合
することができる。しかして、可塑剤を含め、その他公
知の樹脂添加剤を配合し、成形用の塩化ビニル系樹脂配
合組成物とするには、通常の配合、混合技術、例えばリ
ボンブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサ
ーその他の配合機、混合機を使用する方法を採用するこ
とができる。
塩化ビニル系樹脂配合組成物を成形して、本発明の軟質
塩化ビニル系樹脂成形品にする場合の形状については特
に制限はない。しかし、被膜を形成する工程の容易さか
らシート状、フィルム状、板状、あるいは管状の形態の
ものが適している。これらの成形法としては、通常、行
われる、例えばカレンダー成形法、押出成形法、インフ
レーション成形法、射出成形法等のなかから適宜採用さ
れる。
本発明に係わる塩化ビニル系樹脂成形品は、基材表面
に、含フッ素不飽和エステルと他のフッ素を含有しない
共重合可能な単量体との共重合体を、ガラス転移温度が
40〜80℃の範囲にあるアクリル系樹脂に混合した被
覆組成物に由来する被膜が形成されてなる。
含フッ素不飽和エステルとは、(パー)フルオロアルキ
ル基又は(パー)フルオロアルキレン基を有する不飽和
エステルであり、例えば、 CF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2 CF3(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2 などがある。又、前記不飽和エステルと共重合可能なフ
ッ素を含有しない単量体とは、例えばアクリル酸とその
アルキルエステル、メタクリル酸とそのアルキルエステ
ル、脂肪酸ビニルエステル、芳香族ビニル型単量体など
がある。これら1種又は2種以上を共重合の構成単位と
して用いることができる。
これら含フッ素共重合体は、通常公知の方法、例えば乳
化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などによって得られ
る。共重合体の形態としてはランダム共重合体、ブロッ
ク共重合体、グラフト共重合体等どのような形態でもよ
いが、特にブロック共重合体、グラフト共重合体が好ま
しい。
含フッ素共重合体を製造する方法としては、例えば、ポ
リメリックペルオキシドあるいはポリアゾ化合物を重合
開始剤として、含フッ素重合体部分を形成する含フッ素
不飽和エステル、又は高分子材料に混和性のある重合体
部分を形成する、前記含フッ素不飽和エステルと共重合
可能なフッ素を含有ないビニル型単量体のいずれかを重
合させてペルオキシ結合あるいはアゾ結合含有重合体を
得る第一工程、次いで第一工程で得たペルオキシ結合あ
るいはアゾ結合重合体を重合開始剤として、第一工程で
用いなかったフッ素を含有しないビニル型単量体又は含
フッ素不飽和エステルを共重合させる第二工程から得る
方法(特開昭60−221410号公報参照)、 又 とHSCHYとのテロメリ化及び該テロマーと との付加重合又は該テロマーと との縮合反応の組合せにより、一般式 なる含フッ素ブロック共重合体[Rfは(パー)フルオ
ロアルキル基、Qは二官能性の有機基、Rは水素原子
又はメチル基、R、Rは水素原子又はアルキル基、
m、nは1以上の整数、Yは−COH、−CH
H、又は−CHNH、Wは−CO−、−CH
−又は−CHNH−である。]を製造する方法(特開
昭55−99924号公報、特開昭56−49348号
公報参照)がある。
又、分フッ素グラフト共重合体を製造する方法として
は、例えば、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エス
テルの単独重合又は共重合によるマクロモノマーと、パ
ーフルオロカーボン基をもつモノマーとから得る方法
(特公昭60−15659号公報参照)があり、これら
の中から適宜採用することができる。これら共重合体
は、それぞれ単独で用いてもよく、又2種以上の併用で
あってもよい。
本発明においてアクリル系樹脂とは、アクリル酸あるい
はメタクリル酸のアルキルエステル類からなる単量体混
合物を共重合して得られる重合体をいう。
アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル類
としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、
n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレ
ート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレー
ト等のようなアクリル酸のC〜C22のアルキルエス
テル類:メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタ
クリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチル
メタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−
エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレー
ト、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレー
ト、ステアリルメタクリレート等のようなメタクリル酸
のC〜C22のアルキルエステル類:その他ヒドロキ
シメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアク
リレート、2−ヒトロキシプロピルメタクリレート、3
−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒド
ロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、2
−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシ
ヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタク
リレート等があげられる。
単量体混合物には、これら単量体と共重合可能な変換の
単量体を配合することができる。
例えば、分子内に1個もしくは2個以上のカルボキシル
基を含むα、β−不飽和カルボン酸化合物があり、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アコ
ニット酸、クロトン酸等があげられる。
又、例えばスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、n−ブトキシアクリルアミ
ド、n−ブトキシメタクリルアミド等を配合することが
できる。
これら単量体の2種以上を所定量組み合せて有機溶媒と
ともに重合缶に仕込み、重合開始剤、必要に応じて分子
量調節剤を加えて、攪拌しつつ加熱し、重合する。この
際、使用しする重合開始剤としては、α,α−アゾビス
イソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメ
ンハイドロパーオキサイド等のラジカル生成触媒があげ
られ、分子量調節剤としてはブチルメルカプタン、n−
ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、
β−メルカプトエタノール等があげられる。
重合に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミ
ルアルコール、イソアミルアルコール、tert−アミルア
ルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキサノー
ル等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸
エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−
n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチ
ルケトン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジ−n−
プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジ−n−アミ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒド
ロフラン等があり、これらは1種もしくは2種以上混合
して使用することができる。
本発明におけるアクリル系樹脂は、そのガラス転移温度
(Tg)が40〜80℃の範囲内のものでなければならな
い。このようなTgのものは、使用する単量体の種類及
び使用量(配合量)の選択によって得られる。しかして
使用するアクリル系樹脂のTgが80℃を超えると、こ
のような樹脂を含む被覆組成物から形成される被膜は可
撓性が不充分で好ましくない。またTgが40℃に満た
ないときは、このような樹脂を含む被覆組成物から形成
される被膜は塩化ビニル系樹脂成形品中可塑剤等の配合
剤の表面移行を防止するのに充分でなく好ましくない。
上記含フッ素不飽和エステルとフッ素を含有しない共重
合可能な単量体との共重合体とアクリル系樹脂との配合
割合は、固形分重量比で前者0.5〜60対後者99.
5〜40(両者の合計量を100とする。)の割合がよ
く、特に好ましいのは、3〜50対97〜50である。
前者の配合割合がこれより多い場合には、成形品中可塑
剤等の配合剤の表面への滲み出しを防止するのに充分で
なく、又コスト高となりコスト上昇に比べて得られる効
果は大きくないので好ましくない。又逆に前者の配合割
合がこれより少ない場合には、形成される被膜の耐汚染
性、耐水性への効果が充分でなく好ましくない。
上記被覆組成物には、これら成分の他に、補助的な成
分、例えば酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、帯電防止剤、顔料、染料、滑剤等配合することがで
きる。
上記被覆組成物は有機溶媒に分散及び/又は溶解して用
いることができる。
有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアル
コール、イソアミルアルコール、tert−アミルアルコー
ル、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキサノール等の
アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケ
トン等のケトン類、その他酢酸エチル、酢酸ブチル、テ
トラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジアセトン
アルコール、ヘキサン、トルエン、キシレン等があり、
これらは1種もしくは2種以上混合して使用することが
できる。
上記被覆組成物を塗布し塩化ビニル系樹脂成形品表面に
被膜を形成するには、成形品の形状に応じて公知の各種
方法が適用される。例えば、溶液状態で被膜を形成する
場合は、ドクターブレードコート法、グラビアロールコ
ート法、エヤナイフコート法、リバースロールコート
法、デイプコート法、カーテンロールコート法、スプレ
イコート法、ロッドコート法等の塗布方法が用いられ
る。また、溶液状態とせず上記被覆組成物を単独の被膜
として形成する場合は、共押出し法、押出しコーテイン
グ法、押出しラミネート法、ラミネート法が用いられ
る。
被膜形成法として、塗布方式を用いた場合の溶剤の乾燥
方法としては、例えば自然乾燥法、熱風乾燥法、赤外線
乾燥法、遠赤外線乾燥法等があるが、乾燥速度、安全性
を勘案すれば熱風乾燥法が有利である。この場合の温度
条件は50〜150℃の範囲とし、時間は10秒〜15
分の間選ぶのがよい。
上記被覆組成物を塩化ビニル系樹脂成形品の表面に塗布
して被膜とする場合の塗布量は、塗布方式で、乾燥固化
後の量として、0.1g/m2〜10g/m2の範囲とする
のが好ましい。0.1g/m2より少ないと、塩化ビニル
系樹脂成形品中の可塑剤の表面移行を防止する効果が不
充分である。また、10g/m2以上であると、被覆量が
多過ぎて、経済的に不利となり、特に被覆される塩化ビ
ニル系樹脂成形品がフィルム状の構造物である場合は、
その機械的強度が低下することがある。したがって、通
常は、0.5g/m2〜5g/m2の範囲が最も好ましい。
なお、上記被覆組成物を被覆する前に、塩化ビニル系樹
脂成形品の表面を予め、アルコールまたは水で洗浄した
り、プラズマ放電処理、あるいはコロナ放電処理した
り、他の塗料あるいはプライマーを下塗りする等の前処
理を施しておいてもよい。
「作用」 本発明に係る塩化ビニル系樹脂成形品は、その表面に特
定の被膜が形成されており、この被膜が成形品に配合さ
れた可塑剤等の各種樹脂添加物の滲み出しを防止するの
で耐汚染性に優れるものである。更に、この被膜は耐水
性にも優れているため水と接触する条件下に長時間おか
れても、良好な外観を維持することができるのである。
「実施例」 以下、本発明を実施例にもとづいて詳細に説明するが、
本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定され
るものではない。
実施例1〜6、比較例1〜5 よりなる樹脂組成物を準備し、これをスーパーミキサー
で10分間混合したのち、180℃に加温したミルロー
ル上で混練し、厚さ0.3mmの軟質塩化ビニル系樹脂フ
ィルムを調製した。
アクリル系樹脂の調製 A.温度計、攪拌機、還流冷却器および仕込用ノズルを
備えた反応器に、メチルメタクリレート45重量部、イ
ソプロピルアクレート35重量部、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート15重量部、アクリル酸5重量部、ベ
ンゾイルパーオキサイド1重量部、メチルエチルケトン
200重量部を仕込み、窒素ガス気流中で攪拌しつつ、
80℃で7時間反応させ、アクリル系樹脂溶液を液体。
この樹脂のガラス転移温度は50℃であった。これをア
クリル系樹脂(A)とする。
B.A項に記載した例で使用したのと同じ反応器に、メ
チルメタクリレート60重量部、n−ブチルメタクリレ
ート28重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
10重量部、メタクリル酸2重量部、ベンゾイルパーオ
キサイド1重量部、メチルエチルケトン200重量部を
仕込み、A項に記載したのと同様の手順で反応させ、ア
クリル系樹脂溶液を得た。この樹脂のガラス転移温度は
72℃であった。これをアクリル系樹脂(B)とする。
C.A項に記載した例で使用したのと同じ反応器に、メ
チルメタクリレート70重量部、エチルアクリレート2
0重量部、シクロヘキシルアクリレート10重量部、ベ
ンゾイルパーオキサイド1重量部、メチルエチルケトン
200重量部を仕込み、A項に記載したのと同様の手順
で反応させ、アクリル系樹脂溶液を得た。この樹脂のガ
ラス転移温度は60℃であった。これをアクリル系樹脂
(C)とする。
D.A項に記載した例で使用したのと同じ反応器に、メ
チルメタクリレート70重量部、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート25重量部、アクリル酸5重量部、ベン
ゾイルパーオキサイド1重量部、メチルエチルケトン2
00重量部を仕込み、A項に記載したのと同様の手順で
反応させ、アクリル系樹脂溶液を得た。この樹脂のガラ
ス転移温度は84℃であった。これをアクリル系樹脂
(D)とする。
E.A項に記載した例で使用したのと同じ反応器にメチ
ルメタクリレート45重量部、エチルアクリレート35
重量部、シクロヘキシルアクリレート20重量部、ベン
ゾイルパーオキサイド1重量部、メチルエチルケトン2
00重量部を仕込み、A項に記載したのと同様の手順で
反応させ、アクリル系樹脂溶液を得た。この樹脂のガラ
ス転移温度は31℃であった。これをアクリル系樹脂
(E)とする。
被膜の形成 第1表に示した種類の市販されている含フッ素共重合体
とアクリル系樹脂とを第1表に示した配合比で配合し、
これに固形分が20重量%となるようにメチルエチルケ
トンを加え、被覆組成物を得た。ただし、比較例2にあ
っては含フッ素共重合体を配合しなかった。又、比較例
3にあってはアクリル系樹脂を配合しなかった。
前記の方法で調製した基体フィルムの片面に、上記被覆
組成物を、#5バーコーターを用いて、各々塗布した。
塗布したフィルムを130℃のオーブン中にて1分間保
持して、溶剤を揮散させた。得られた各フィルムの被膜
の量は約3g/m2であった。ただし、比較例1にあって
は被膜を形成しなかった。
フィルムの評価 以下の方法においてフィルムの性能を評価し、その結果
を第1表に示す。
被膜の柔軟性 各フィルムを、幅5cm、長さ15cmに切断し、長さ方向
に対して直角の方向に、2cmの間隔で交互に折り返し
た。この状態で、上から2kgの荷重をかけ、150℃に
保持した恒温槽内に24時間放置した。ついで、荷重を
とり、フィルムの折り目をのばして、被膜の外観を肉眼
で観察した。結果を、第1表に示す。この試験での評価
基準は、次のとおりである。
◎・・・折り目部分の被膜に変化が全く認められないも
の。
△・・・折り目部分の被膜に、クラックが認められるも
の。
×・・・折り目部分の被膜に、クラックが著しく認めら
れるもの。
耐汚染性 フィルムの被膜面に、第1表に示した各汚染物質を付着
させ、24時間室温に放置したのち、汚染物質を脱脂綿
でふき取って、痕跡を観察した。この評価基準は、次の
とおりである。
◎・・・痕跡が全く認められないもの。
○・・・被膜の一部に、痕跡が認められるもの。
△・・・被膜の2/3以上に、痕跡が認められるもの。
×・・・被膜全面に、痕跡が認められるもの。
可塑剤移行試験 9種類のフィルムを、各々10cm×10cm角に切断し、
被膜が形成されている面(参考例4のフィルムは一方の
面)に、厚さ0.5mmのポリスチレンシートを密着させ
た。この状態で、2kgの荷重をかけ、60℃に保持した
恒温水槽内に、48時間放置した。
ついで恒温水槽から取り出し、荷重をとり、ポリスチレ
ンシートを剥離したのち、9種類のフィルム各々の減量
を測定した。
この減量は、数値が小さいほど、フィルム表面からの可
塑剤の移行が少ないことを示す。
耐水性試験 9種類のフィルムから、4cm×5cmの大きさの試験片を
多数枚準備し、50℃に保持した恒温水槽中に浸漬し、
12時間後および24時間後にそれぞれの種類のフィル
ムにつき、数枚のフィルムを取り出し、乾燥したのち、
被膜の外観を肉眼で観察した。
この試験での評価基準は、次のとおりである。
◎・・・被膜に外観変化が全く認められないもの。
○・・・被膜の一部に白化が認められるもの。
△・・・被膜の全面に白化が認められるもの。
×・・・被膜の全面に白化が認められ、部分的に被膜剥
離が認められるもの、もしくは、被膜が完全に剥離して
いるもの。
「発明の効果」 以上、実施例からも明らかなように、本発明に係わる塩
化ビニル系樹脂成形品は、基体樹脂中に配合されている
可塑剤、液状安定剤等の添加剤の成形品表面への移行滲
出を抑制することができる。したがって基体として塩化
ビニル系樹脂を使った例えば、床材、壁材、デスクマッ
ト、電線用被覆材等の成形品の表面の汚染、粉塵、塵芥
の付着を防止することができ、美麗な外観を長期間維持
することができる。又、耐水性にも優れており、成形品
は白化したり、もろくなって破損するなどの問題が発生
しない。
又、本発明に係る塩化ビニル系樹脂成形品は、基材とそ
の表面に形成された特定の被膜との密着性に富むので、
被膜は剥離しにくく、長期間性能を高水準に維持するこ
とができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に含フッ素不飽和エステルとフッ素を
    含有しない共重合可能な単量体との共重合体を、ガラス
    転移温度が40〜80℃の範囲にあるアクリル系樹脂に
    混合した被覆組成物に由来する被膜が形成されてなるこ
    とを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形品。
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