JPH091746A - 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents

農業用塩化ビニル系樹脂フィルム

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JPH091746A
JPH091746A JP7157899A JP15789995A JPH091746A JP H091746 A JPH091746 A JP H091746A JP 7157899 A JP7157899 A JP 7157899A JP 15789995 A JP15789995 A JP 15789995A JP H091746 A JPH091746 A JP H091746A
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JP
Japan
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film
weight
vinyl chloride
coating
chloride resin
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Application number
JP7157899A
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Inventor
Miyuki Sato
みゆき 佐藤
Takashi Takazawa
孝 高澤
Hiroshi Yamagishi
宏 山岸
Atsushi Obayashi
厚 大林
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Mitsubishi Chemical MKV Co
Original Assignee
Mitsubishi Chemical MKV Co
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Publication date
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 防塵性、防曇性及び耐候性に優れた農業用塩
化ビニル系樹脂フィルムの提供。 【構成】 塩化ビニル系樹脂フィルムの片面に、成分
(A)特定アクリル系樹脂、成分(B)架橋性化合物及
び成分(C)有機系酸触媒の3成分を主成分とし、配合
割合が成分(A)100重量部に対して成分(B)1〜
40重量部及び成分(C)0.1〜20重量部である被
膜組成物が加熱処理によって形成された被膜を有し、フ
ィルムの他の片面に、シリカゾルおよび/またはアルミ
ナゾルとバインダーを主成分とする被膜組成物による被
膜を有することを特徴とする農業用塩化ビニル系樹脂フ
ィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農業用塩化ビニル系樹
脂フィルムに関する。更に詳しくは、可塑剤等の表面移
行による汚染を防止し、防塵性、防曇性及び耐久性に優
れた農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに係わるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、農家において収益性向上を目標と
して、有用植物をハウス(温室)またはトンネル内で促
成栽培または抑制栽培する方法が広く採用されるように
なった。このハウスまたはトンネルの被覆資材として
は、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重
合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネー
トフィルム、塩化ビニル系樹脂フィルム、ガラス等が使
用されている。中でも塩化ビニル系樹脂フィルムは他の
合成樹脂フィルムに比較して、光線透過性、保温性、機
械的強度、耐久性、作業性、経済性等を総合して最も優
れているので、広く採用されている。
【0003】ハウスまたはトンネルの被覆資材に要求さ
れる性質としては、 長期間にわたって外側表面が汚れず防塵性に優れ、
良好な光線透過率を維持し、栽培作物の生育を促進する
こと。 被覆資材の内側に付着した凝縮水を、栽培作物に落
下させることなく、フィルム内側に沿って流下させると
いう「防曇性」に優れ、ハウスまたはトンネンル内を適
度な湿度に維持し、病気の発生を抑制すること。 等がある。
【0004】このため、防塵性を改善する方法として、
アクリル樹脂を塩化ビニル系樹脂フィルムの表面に塗布
する方法が、行われている。しかし、アクリル系樹脂
は、他基材との接着性が良好であり、その形成塗膜の透
明性が良好であるものの特に夏期の外気温が高い時期に
基体フィルムに配合されている添加剤が被膜を通して表
面に移行し、流し去られ消失してしまうのを、完全に抑
制することは困難であり、フィルムを長期間屋外で展張
して使用するには未だ問題があった。
【0005】これを改良するために、アクリル樹脂の分
子量や分子量分布に着目した方法(特開昭61−215
630号公報、特公昭63−9987号公報参照)等も
提案されているが長期の展張を行った場合には諸性能が
低下したり、耐クラック性に劣る等、未だ十分満足し得
るものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は屋外での展張
によって引き起こされる変色、脆化、防塵性及び防曇性
の低下などの好ましくない劣化現象が大幅に改善され、
耐久性を向上させた農業用塩化ビニル系樹脂フィルムの
提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明の要旨
とするところは、塩化ビニル系樹脂フィルムの片面に、
下記の成分(A)、(B)及び(C)の3成分を主成分
とし、配合割合が成分(A)100重量部に対して成分
(B)1〜40重量部及び成分(C)0.1〜20重量
部である被膜組成物が加熱処理によって形成された被膜
を有し、フィルムの他の片面に、シリカゾルおよび/ま
たはアルミナゾルとバインダーを主成分とする被膜組成
物による被膜を有することを特徴とする農業用塩化ビニ
ル系樹脂フィルムに存する。 (A)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート5〜4
0重量%、分子内に1個もしくは2個以上のカルボキシ
ル基を含むα,β−不飽和カルボン酸0〜20重量%及
びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体を含む単量
体混合物を重合して得られるアクリル系樹脂 (B)架橋性化合物 (C)1種以上の有機系酸触媒
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。 I.基体フィルム 本発明において塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニル
のほか、塩化ビニルが主成分を占める共重合体を含み、
塩化ビニルと共重合しうる単量体化合物としては、塩化
ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリ
ル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル
酸、酢酸ビニル等があげられる。これら塩化ビニル系樹
脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合
法等の従来公知の製造法のうち、いずれの方法によって
製造されたものであってもよい。
【0009】上記基体となる塩化ビニル系樹脂には、柔
軟性を付与するために、この樹脂100重量部に対し
て、20〜60重量部の可塑剤が配合される。可塑剤の
配合量を上記範囲とすることにより、目的の塩化ビニル
系樹脂フィルムに、すぐれた柔軟性と機械的性質を付与
させることができる。可塑剤としては、例えば、ジ−n
−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレ
ート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレー
ト、ジドデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等
のフタル酸誘導体;ジオクチルフタレート等のイソフタ
ル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルア
ジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレー
ト等のマレイン酸誘導体;トリ−n−ブチルシトレート
等のクエン酸誘導体;モノブチルイタコネート等のイタ
コン酸誘導体;ブチルオレエート等のオレイン酸誘導
体;グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導
体;その他、トリクレジルホスフェート、トリキシレニ
ルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、エポキシ
化大豆油、エポキシ樹脂系可塑剤等があげられる。ま
た、上述の可塑剤に限られるものではなく、例えば熱可
塑性ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等を使用す
ることができる。
【0010】また、前記塩化ビニル系樹脂には、必要に
応じて、農業用フィルムに通常配合される公知の樹脂添
加物、例えば、防曇剤、紫外線吸収剤、防霧剤、ヒンダ
ードアミン系などの光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、
滑剤、界面活性剤、顔料、無機フィラー、染料等を配合
することができる。これら樹脂添加物は、通常の配合
量、例えば塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、10
重量部以下で使用することができる。基体となる塩化ビ
ニル系樹脂に、可塑剤、必要に応じて上記の樹脂添加物
を配合するには、通常の配合又は混合技術を採用すれば
よい。具体的には、例えばリボンブレンダー、バンバリ
ーミキサー、スーパーミキサーまたはその他の配合機も
しくは、混合機を使用する方法を採用することができ
る。
【0011】このようにして得られた塩化ビニル系樹脂
の組成物から基体フィルムを製造するには、通常行われ
ているフィルム製造法、例えばカレンダー成形法、押出
成形法、インフレーション成形法などを適宜採用するこ
とができる。基体フィルムの厚さは、余り薄いと強度が
不充分となるので好ましくなく、逆に余り厚すぎるとフ
ィルム化作業、その後の取り扱い等に不便をきたすの
で、0.03〜0.3mmの範囲、好ましくは0.05
〜0.2mmの範囲とするのがよい。
【0012】II. 防塵性被膜 本発明に係わる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、基
体フィルムの片面に、(A)特定のアクリル樹脂(B)
架橋性化合物(C)有機系酸触媒の3成分を主成分とす
る被膜組成物の加熱処理による被膜が形成されており、
この被膜は防塵性能を有している。成分(A)は、ヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレート5〜40重量%、
分子内に1個もしくは2個以上のカルボキシル基を含
む、α,β−不飽和カルボン酸0〜20重量%及びこれ
らと共重合可能な他のビニル系単量体を含む単量体混合
物を重合して得られるアクリル系樹脂である。
【0013】ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
としては、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシ
メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル
メタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒド
ロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタ
クリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−
ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシペン
チルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレ
ート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒド
ロキシヘキシルメタクリレート等があげられる。
【0014】このヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ート類のアクリル系樹脂中で占める割合が5重量%より
少ない場合は、有機溶媒との溶解性、基体成形品との密
着性及び可塑剤移行抑制効果を充分に発揮し得ないので
好ましくない。他方、40重量%より多い場合にはコス
ト高となりコスト上昇に較べて得られる効果は大きくな
いので好ましくない。
【0015】分子内に1個もしくは2個以上のカルボキ
シル基を含むα,β−不飽和カルボン酸としては、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アコ
ニット酸、クロトン酸等があげられる。これら酸を、前
記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと併用する
と、アクリル樹脂からなる被覆組成物と塩化ビニル系樹
脂基体フィルムとの密着性が向上し、フィルム同士が付
着し合う(ブロッキングする)性質を抑制する効果を発
揮する。これら酸の使用量は、20重量%までである。
これ以上であると、フィルムが水分で濡れているときに
フィルム同士が付着し合う性質(湿潤時のブロッキング
性)が強化されるので、好ましくない。
【0016】前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ート及びα,β−不飽和カルボン酸と共重合可能な他の
ビニル系単量体としては、メチルアクリレート、エチル
アクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピ
ルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチル
アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシ
ルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリル
アクリレート等のようなアクリル酸のC1 〜C 22のアル
キルエステル類:メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピル
メタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチ
ルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレー
ト、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレー
ト、ステアリルメタクリレート等のようなメタクリル酸
のC1 〜C22のアルキルエステル類:スチレン、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、n
−ブトキシアクリルアミド、n−ブトキシメタクリルア
ミドなどをあげることができる。
【0017】成分(A)のアクリル系樹脂は、上記単量
体の2種以上を所定量組み合わせて有機溶媒ないし水と
ともに重合缶に仕込み、重合開始剤、必要に応じて分子
量調節剤を加えて攪拌しつつ加熱重合して得られる。重
合は公知の方法、例えば懸濁重合法、溶液重合法、乳化
重合法などが採用される。
【0018】重合に用いる有機溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−
ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコ
ール、tert−アミルアルコール、n−ヘキシルアル
コール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エ
チル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル
イソブチルケトン、ジエチルケトン、2−ヘキサノン、
3−ヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロ
ピルケトン、ジ−n−アミルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類;テトラヒドロフラン等があり、これらは
1種もしくは2種以上混合して使用することができる。
使用しうる重合開始剤としては、α,α’−アゾビスイ
ソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド等のラジカル生成触媒があげら
れ、分子量調節剤としてはブチルメルカプタン、n−ド
デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタ
ン、β−メルカプトエタノール等があげられる。
【0019】又、上記アクリル系樹脂には、これら成分
の外に、補助的な成分、例えば酸化防止剤、中和剤、紫
外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、防カ
ビ剤、防藻剤、発泡剤、滑剤等を配合することができ、
水又は、有機溶媒に分散及び/又は溶解して用いること
ができる。
【0020】有機溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素
としてヘプタン、シクロヘキサン等;芳香族炭化水素と
してベンゼン、トルエン、キシレン等;アルコール類と
してメタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、ポリオキシエチレングリコール等;ハロゲン化炭化
水素としてクロロホルム、四塩化炭化水素、クロルベン
ゼン等;ケトン類としてアセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等;エステル類としてメチ
ルアセテート、アリルアセテート、エチルステアレート
等;アミン類としてトリメチルアミン、ジフェニルアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン等;その他ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジエチル
エーテル、ジエチレンジチオグリコール、ジアセトンア
ルコール、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキサイド等
があり、これら単独もしくは2種以上の併用で使うこと
ができる。
【0021】成分(B)の架橋性化合物は、成分(A)
のアクリル系樹脂を架橋反応させうるものであればよ
い。具体的には、例えば、イソシアネート系、エポキシ
系、アミン系、アジリジン系、メラミン樹脂等の化合物
をあげることができる。
【0022】成分(C)の有機系酸触媒とは、成分
(A)と成分(B)の架橋反応を促進させるものであっ
て、例えば、一価または二価の遊離酸を有するリン酸誘
導体、亜リン酸誘導体、ホスホン酸誘導体、スルホン酸
化合物、カルボン酸化合物等をあげることができる。こ
れらは、1種または数種を組み合わせて使用することが
できる。その中でも特に、一価または二価の遊離酸を有
するリン酸誘導体、スルホン酸化合物、カルボン酸化合
物を使用するのが好ましい。具体的には 一価または二
価の遊離酸を有するリン酸誘導体としては、ジメチルリ
ン酸、ジブチルリン酸、リン酸モノイソプロピル、リン
酸ジイソプロピル、リン酸−n−ブチル−2−エチルヘ
キシル等、スルホン酸化合物としては、メチルスルホン
酸、n−プロピルスルホン酸、イソプロピルスルホン
酸、トルエンスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン
酸、キシレンスルホン酸等、カルボン酸化合物として
は、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、アジピ
ン酸、ラウリン酸等があげられる。
【0023】被膜組成物における成分(A)、成分
(B)及び成分(C)の配合割合は、成分(A)100
重量部に対して成分(B)1〜40重量部、及び成分
(C)0.1〜20重量部とする。成分(B)の配合割
合が多すぎるとフィルムに形成された被膜が脆いものと
なり剥離しやすくなり、逆に少なすぎると充分な防塵性
効果が発揮できない。一方、成分(C)の配合割合がこ
れより多い場合には塩化ビニル系樹脂フィルムと形成被
膜の密着性が悪くなり、又これより少ない場合には、形
成被膜の防塵性、耐候性を充分改良することができな
い。特に成分(A)100重量部に対して成分(B)3
〜30重量部、成分(C)0.3〜15重量部とするの
が好ましい。
【0024】被膜組成物には、必要に応じて液状分散媒
が配合される。かかる液状分散媒としては、メチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等
の一価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;ジベ
ンジルアルコールなどの環式アルコール類;セロソルブ
アセテート類;ケトン類などがあげられる。これら液状
分散媒は、単独で用いても併用してもよいが、被膜組成
物の分散安定性、フィルム表面に塗布した後の濡れ性、
液状分散媒除去の難易、経済性を勘案して決めるのが好
ましい。また、上記組成物には更に少量の酸ないしアル
カリ消泡剤、界面活性剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造膜助剤、増粘
剤、防カビ剤、防藻剤、顔料、顔料分散剤、無機フィラ
ーなどの慣用の添加剤を混合してもよい。
【0025】基体フィルム表面に被膜を形成する方法に
は、被膜組成物を溶液状態として形成する方法と溶液状
態とせず溶融状態で形成する方法とがある。溶液状態で
被膜を形成するには、例えば、ドクターブレードコート
法、グラビアロールコート法、エヤナイフコート法、リ
バースロールコート法、ディップコート法、ハケ塗り
法、スプレイコート法、バーコート法、ナイフコート法
などそれ自体公知の方法により基体フィルム表面に被膜
組成物を塗布した後、加熱処理を行えばよい。加熱処理
方法としては、例えば、熱風加熱法、赤外線加熱法、遠
赤外線加熱法等があり、加熱処理効率、安全性を勘案す
れば熱風加熱法が有利である。
【0026】一方、溶液状態とせず溶融状態で被膜を形
成するには、被膜組成物を加熱溶融し、これと基体フィ
ルムとを例えば、共押出し法、押出しコーティング法、
押出しラミネート法、ラミネート法等の方法を採用して
積層すればよい。上記の塗布後の加熱処理および加熱溶
融時における加熱温度は、50〜200℃の範囲とし、
時間は10秒〜60分の間で選ぶのがよい。加熱によ
り、アクリル系樹脂、架橋性化合物及び有機系酸触媒
は、化学的に結合し、被膜は強固でかつ耐候劣化因子物
質、汚染物質に対してバリアー性に優れたものとなり、
耐候性及び防塵性が向上する。
【0027】このようにして形成された被膜のゲル分率
(有機溶媒に溶けない不溶解分の重量比)は、5〜10
0%であることが好ましい。また、被膜の付着量は、
0.1〜10g/m2 の範囲とするのが好ましい。0.
1g/m2 より少ないと、塩化ビニル系樹脂フィルム中
の可塑剤の表面移行を防止する効果が不充分である。ま
た、10g/m2 以上であると、被膜量が多過ぎて、経
済的に不利となり、フィルム自体の機械的強度が低下す
ることがある。したがって、通常は、0.5g/m2
7g/m2 の範囲が最も好ましい。
【0028】なお、被膜組成物を被覆する前に、塩化ビ
ニル系樹脂フィルムの表面を予め、アルコールまたは水
で洗浄したり、プラズマ放電処理、あるいはコロナ放電
処理したり、他の塗料あるいはプライマーを下塗りする
等の前処理を施しておいてもよい。
【0029】III. 防曇性被膜 本発明に係わる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、II
で成形した防塵性被膜を設けた面のフィルム反対面に、
シリカゾル及び/またはアルミナゾルとバインダーを主
成分とする被膜組成物による被膜が形成されており、こ
の被膜は防曇性能を有しているものである。
【0030】本発明に使用するシリカゾル及び/または
アルミナゾルは平均粒子径が5〜100mμの範囲のも
のが好ましい。平均粒子径が100mμを超えると塗膜
が白く失透し易くまた、5mμに満たないときは防曇剤
組成物の安定性に欠けるので好ましくない。これらは、
それぞれ単独で使用してもよいし、両者を組合せて使用
してもよい。また、両者を組合せて使用する際に、平均
粒子径の異なる2種以上のものを用いてもよい。両者を
組合せるときは、重量比でシリカゾル/アルミナゾルが
95〜5/5〜95(全体として100とする)の割合
にするのが好ましい。
【0031】アルミナゾルは、通常市販されている製品
そのもの、または通常市販されているアルミナ粉末を水
に分散させて水性ゾルとしたもの、いずれであってもよ
い。アルミナゾルは、高濃度で水に分散させようとする
と、分散液の粘度が急激に高まるといういわゆるチキソ
トロピー性を示し、均質な分散液が得にくいが、コロイ
ドミルの様な媒質剪断内部攪拌機を用いると、均質な分
散液を得ることができる。また、この分散液にシリカゾ
ルを混合すると、分散液の粘度を降下させることができ
る。他方のシリカゾルは、多くの場合粒子表面は陰電荷
に帯電しているが、アルミナゾルと組合せて用いるとき
は陰電荷に帯電しているものを用いるのは好ましくな
い。陰電荷に帯電しているシリカゾルとアルミナゾルと
を混合すると、混合分散液は急激に凝集し、ゲル化し、
分散不良を生起する。従って、コロイダルシリカは、粒
子表面に陽電荷に帯電したものとするのがよい。
【0032】防曇剤組成物に配合されるバインダー成分
としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性
剤、非イオン系界面活性剤等の界面活性剤または熱可塑
性樹脂など公知、公用のものが使用される。バインダー
成分として使用する界面活性剤は、シリカゾルまたはア
ルミナゾルによって、その使用種類を変える必要があり
一般に、陰電荷に帯電するシリカゾルと陽イオン系界面
活性剤、陽電荷に帯電するアルミナゾルと陰イオン系界
面活性剤との組合せは避けるべきである。これらの組合
せは、ゾルのゲル化や防曇剤組成物の凝集・分離を起こ
しやすく、塗布を困難にする。
【0033】バインダー成分として使用する熱可塑性樹
脂としては、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
系樹脂、ポリエチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化
ビニリデン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネ
ート系樹脂、スチロール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、不
飽和ポリエステル系樹脂等があげられるが、特にアクリ
ル系樹脂が好適である。
【0034】防曇剤組成物の主成分であるシリカゾル及
び/またはアルミナゾルは、その配合量が固形分重量比
でバインダー成分の0.5〜40倍の範囲にあるのが好
ましい。40倍を超えるときは、防曇効果が配合量に比
例して向上しないばかりでなく、塗布後に形成される塗
膜が白濁化し光線透過率を低下させ、また塗膜が粗雑で
脆弱になり易くなる傾向がある。一方、0.5倍に満た
ないときは、十分な防曇効果を発揮し難くなる。
【0035】防曇剤組成物には、バインダー成分同士を
架橋させる架橋性化合物を併用してもよい。こうするこ
とにより防曇被膜の耐水性を向上させることが出来る。
架橋性化合物の使用量は、バインダー成分の固形分に対
し0.1〜30重量%の範囲、特に0.5〜10重量%
の範囲が好ましい。また、防曇剤組成物には、必要に応
じ、消泡剤、滑剤、帯電防止剤、その他の各種添加剤を
混合することができる。
【0036】しかして、防曇剤組成物は、通常液状で使
用される。液状分散媒としては、水を含む親和性ないし
水混合性溶媒が含まれ、水:メチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコー
ル類:エチレングリコール、ジエチレングリコール、グ
リセリン等の多価アルコール類:ベンジルアルコール等
の環式アルコール類:セロソルブアセテート類:ケトン
類等があげられる。
【0037】これらは単独で用いても併用してもよい
が、本発明で用いる防曇剤組成物の分散安定性、フィル
ム表面に塗布した後の濡れ性、液状分散媒除去の難易、
経済性を勘案して決めるのが好ましい。また、媒体フィ
ルムの表面に形成される防曇剤組成物の被膜は、固形分
の付着量として、一般に0.01〜10g/m2 、特に
0.1〜5g/m2 の範囲であるのが好ましい。
【0038】基体フィルムの表面に防曇性被膜を形成す
るには、一般に各組成物の溶液または分散液を公知の塗
布方法を採用し、塗布後乾燥すればよい。塗布後の乾燥
方法は、自然乾燥及び強制乾燥のいずれの方法を採用し
てもよく、強制乾燥方法を採用する場合、通常50〜2
50℃、好ましくは70〜200℃の温度範囲で乾燥す
ればよい。加熱乾燥には、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、
遠赤外線乾燥法等適宜方法を採用すればよく、乾燥速
度、安定性を勘案すれば熱風乾燥法を採用するのが有利
である。
【0039】基体フィルムと防曇性被膜との接着性が十
分でない場合には、防塵性被膜を形成する場合と同様の
前処理を施しておいてもよい。また、二種類の被膜組成
物の基体フィルム表面への形成順序は、加熱条件等を考
慮して定められる。本発明に係る農業用塩化ビニル系樹
脂フィルムを農業用被覆材として使用するにあたって
は、防塵性被膜の設けられた側をハウスまたはトンネル
の外側となるようにして使用する。
【0040】
【発明の効果】本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィル
ムは、屋外展張により生じる変色脆化、防塵性及び防曇
性の低下などの劣化現象が大幅に改善されていることか
ら屋外に展張使用する農業用フィルムとして好適であ
る。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に
限定されるものではない。 I.基体フィルムの調製 ポリ塩化ビニル(平均重合度1400)100重量部、
ジオクチルフタレート50重量部、エポキシ化大豆油3
重量部、トリクレジルホスフェート5重量部、バリウム
−亜鉛系複合液状安定剤1.5重量部、メチレンビスス
テアロアミド0.8重量部、ステアリン酸バリウム0.
2重量部、ステアリン酸亜鉛0.4重量部、ソルビタン
ラウレート1.5重量部、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン0.5重量部よりなる樹脂組成物を配合した。
樹脂組成物を、スーパーミキサーで10分間攪拌したの
ち、180℃に加熱したミルロール上で混練し、厚さ
0.15mmの基体フィルムを調製した。
【0042】II.防塵性被膜の形成 温度計、攪拌機、還流冷却器および仕込用ノズルを備え
た反応器にアクリル系単量体を表−1に示した種類およ
び量で加え、さらに過酸化ベンゾイル0.05重量部、
ポリビニルアルコール0.03重量部、メルカプタン
0.04重量部、水137重量部を加えて、窒素ガス気
流中で攪拌しつつ、70度で約3時間反応を継続してア
クリル樹脂であるa〜dを得た。得られたアクリル樹脂
である成分(A)と架橋性化合物である成分(B)と有
機系酸触媒である成分(C)を表−2に示した量で各々
配合し、これに固形分が20重量%となるようにイソプ
ロピルアルコールを加えて防塵性被膜組成物であるイ〜
ヘを得た。
【0043】Iで調製した基材フィルムの片面に、各防
塵性被膜組成物を、#5バーコーターを用いて、各々塗
布した。塗布したフィルムを130℃のオーブン中にて
1分間保持して、溶剤を揮散させた。得られた各フィル
ムの被膜の量は約3g/m2であった。
【0044】III. 防曇性被膜の形成 表−3に示した主成分(シリカゾルおよび/またはアル
ミナゾル)とバインダー成分と架橋剤、および液状分散
媒とを配合して防曇性被膜組成物である1〜5を得た。
防塵性被膜を形成した基体フィルムの反対面に、各防曇
剤組成物を、#5バーコーターを用いて、各々塗布し
た。塗布したフィルムを80℃のオーブン中に1分間保
持して、溶剤を揮散させた。得られた各フィルムの被膜
の量は約1g/m 2 であった。
【0045】IV. フィルムの評価 以下の方法において各フィルムの各種性能を評価し、そ
の結果を表−4に示した。 (i)初期外観 フィルム外観を肉眼で観察した。この評価基準は、次の
とおりである。 ◎・・無色で、透明性に優れるもの。 ○・・やや白色を呈するが、透明性を有するもの。 △・・白色を呈し、半透明であるもの。 ×・・白濁し、失透しているもの。
【0046】(ii)屋外展張試験 各フィルムを、平成3年10月〜平成6年10月まで三
重県一志郡の試験圃場に設置した屋根型ハウス(間口3
m、奥行き5m、棟高1.5m、屋根勾配30度)に、
防塵性被膜を設けた面をハウスの外側にして被覆した。
展張したフィルムについて、以下の方法により、フィル
ムの防塵性と耐久性を評価した。
【0047】(a)防塵性 展張中のフィルムの一部を1年毎に摂取し、波長555
ミリミクロンでの光線透過率を分光光度計(日立製作所
製、EPS−2U型)により測定した。測定結果の表示
は次の通りにした。 ◎・・光線透過率が80%以上のもの。 ○・・光線透過率が60〜79%の範囲のもの。 △・・光線透過率が45〜64%の範囲のもの。 ×・・光線透過率が45%未満のもの。
【0048】(b)耐久性 展張中のフィルムの一部を1年毎に摂取し、伸度を測定
し、次式により伸度保持率を算出した。 (展張後のフィルムの伸度)÷(展張前のフィルムの伸
度)×100(%) 測定結果の表示は、次のとおりである。 ◎・・光線透過率が80%以上のもの。 ○・・光線透過率が60〜79%の範囲のもの。 △・・光線透過率が45〜59%の範囲のもの。 ×・・光線透過率が45%未満のもの。
【0049】(iii) 防曇性 防塵性評価で展張したフィルムにつき、防曇性被膜の形
成された面に、水滴の付着する状況を、経時的に肉眼で
観察した。評価基準は、次のとおりにした。 ◎・・フィルム表面(ハウス内側に面した方、以下同
じ)に付着した水滴同士が合体して薄膜状に広がり、こ
の薄膜状部分の面積がフィルム表面の1/2以上にわた
るもの。 ○・・フィルム表面に付着した水滴同士が合体して薄膜
状に広がった状態は認められるが、この薄膜状部分の面
積がフィルム表面の1/2未満のもの。 △・・フィルム表面に付着した水滴同士の合体は認めら
れるが、薄膜状部分の形成が認められないもの。 ×:フィルム表面に付着した水滴同士の合体が認められ
ないもの。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山岸 宏 愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社名古屋事業 所内 (72)発明者 大林 厚 愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社名古屋事業 所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂フィルムの片面に、下
    記の成分(A)、(B)及び(C)の3成分を主成分と
    し、配合割合が成分(A)100重量部に対して成分
    (B)1〜40重量部及び成分(C)0.1〜20重量
    部である被膜組成物が加熱処理によって形成された被膜
    を有し、フィルムの他の片面に、シリカゾルおよび/ま
    たはアルミナゾルとバインダーを主成分とする被膜組成
    物による被膜を有することを特徴とする農業用塩化ビニ
    ル系樹脂フィルム。 (A)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート5〜4
    0重量%、分子内に1個もしくは2個以上のカルボキシ
    ル基を含むα,β−不飽和カルボン酸0〜20重量%及
    びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体を含む単量
    体混合物を重合して得られるアクリル系樹脂 (B)架橋性化合物 (C)1種以上の有機系酸触媒
  2. 【請求項2】 成分(C)が一価または二価の遊離酸を
    有するリン酸誘導体、および/またはスルホン酸化合
    物、カルボン酸化合物である請求項1記載の農業用塩化
    ビニル系樹脂フィルム。
JP7157899A 1995-06-23 1995-06-23 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム Pending JPH091746A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006327187A (ja) * 2005-04-26 2006-12-07 Sumitomo Chemical Co Ltd 反射防止積層体の製造方法

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