JPH11254606A - 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents

農業用塩化ビニル系樹脂フィルム

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JPH11254606A
JPH11254606A JP10060793A JP6079398A JPH11254606A JP H11254606 A JPH11254606 A JP H11254606A JP 10060793 A JP10060793 A JP 10060793A JP 6079398 A JP6079398 A JP 6079398A JP H11254606 A JPH11254606 A JP H11254606A
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JP
Japan
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vinyl chloride
film
alkyl
resin film
acrylate
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Application number
JP10060793A
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English (en)
Inventor
Katsuhiro Fujiwara
克宏 藤原
Takashi Takazawa
孝 高澤
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Mitsubishi Chemical MKV Co
Original Assignee
Mitsubishi Chemical MKV Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 屋外での使用により発生する塩化ビニル系樹
脂フィルムの劣化現象に対する耐久性の改良された農業
用塩化ビニル系樹脂フィルムの提供。 【解決手段】 有機リン酸エステルまたは有機リン酸金
属塩を含有する塩化ビニル系樹脂フィルムの一方の面
に、シリカゾル及び/またはアルミナゾルと、バインダ
ーとを含有する防曇剤組成物に由来する被膜が形成さ
れ、他方の面に厚さ1〜10μmのアクリル系樹脂被膜
が形成されてなる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムであ
って、(イ)アクリル系樹脂が、架橋アルキル(メタ)
アクリレート系弾性体粒子の存在下に、アルキル(メ
タ)アクリレートモノマーまたはアルキル(メタ)アク
リレートモノマーを主成分とし、これと共重合可能なビ
ニル系モノマーとの混合物を重合して得られる、架橋ア
ルキル(メタ)アクリレート系弾性体を幹とするグラフ
ト共重合体を含有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用塩化ビニル
系樹脂フィルムに関するものである。更に詳しくは、屋
外での展張の結果引き起こされる変色、脆化、防塵性の
低下、被膜と塩化ビニル系樹脂フィルムとの密着性の低
下などの好ましくない劣化現象に対して、耐久性が改良
され、更に防曇性及びその持続性にも優れた農業用塩化
ビニル系樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、有用植物を栽培している農家で
は、収益性向上を目的として有用植物をハウス(温室)
またはトンネル内で促進栽培や抑制栽培する方法が広く
採用される様になった。このハウスまたはトンネルの被
覆資材としては、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢
酸ビニル共重合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポ
リカーボネートフィルム、硬質及び軟質塩化ビニル系樹
脂フィルム、ガラス等が使用されている。なかでも軟質
塩化ビニル系樹脂フィルムは、他の合成樹脂フィルムと
比べて、光線透過率、保温性、機械的強度、耐久性、作
業性を総合して最も優れているので、広く使用されてい
る。
【0003】しかしながら、ハウスまたはトンネルの被
覆資材として使用される合成樹脂フィルムは、塩化ビニ
ル系樹脂フィルムも含めて、被覆資材としての使用を開
始して一年も経過すると、太陽光線、特に紫外線などに
影響を受けて外観の劣化や、フィルムの柔軟性の低下な
どの経時変化をおこす。更に、最近の改良された農業技
術、特に経済性、省力化を指向した農業技術は、被覆資
材に、従来にも増した過酷な条件に耐える性質を要求す
るようになってきている。そこで例えば、耐候性を向上
させる目的で基材の塩化ビニル系樹脂に、有機リン酸エ
ステルまたは有機リン酸金属塩を添加配合し、フィルム
化する技術が広く採用されている。
【0004】また、塩化ビニル系樹脂フィルムをハウス
の被覆資材として使用すると、ハウス内の温度、湿度等
の条件によってはフィルムのハウス内側の表面に曇りを
生じる。この曇りを解消するためには、フィルムの表面
に防曇性を付与すればよいことが知られており、フィル
ムの表面に、例えば、シリカゾルまたはアルミナゾルを
含有する防曇性被膜を形成する方法が提案されている
(特開平4-271729)。一方、農業用に使用される塩化ビ
ニル系樹脂フィルムは、展張使用される地域、場所等に
よっては、使用を開始してから2年も経過すると、ハウ
スまたはトンネル外側の表面の防塵性が著しく低下し、
使用に耐えなくなる。このような欠点を解決する方法と
して、下記の(I)、(II)ように農業用の塩化ビニル
系樹脂フィルムの表面に、特定の樹脂や塗料で防塵性被
膜を形成する方法が提案されている。
【0005】(I)特定のアクリル系樹脂を塗布する方
法(特公昭46-29639号公報、特公昭50-28117号公報等) (II)超高分子量アクリル系樹脂を塗工する方法(特公
昭63-9987号公報) しかしながら、(I)に記載の特定のアクリル系樹脂組
成物からなる被膜は、基材中の可塑剤等の配合剤が塩化
ビニル系樹脂フィルム表面へ滲み出す(ブリードアウ
ト)ことを防止するのに十分でなく防塵性が劣り、(I
I)の方法では、被膜の塗工性に劣るという欠点があっ
た。
【0006】また、上記塩化ビニル系樹脂フィルムをハ
ウスやトンネルに展張する際には、展張の方法、ハウス
やトンネルの構造、これらが設置されている場所、方
向、展張時の気象条件によって、フィルムが折り曲げら
れたり、風であおられる場合がある。このような場合、
塩化ビニル系樹脂フィルム表面に形成された防塵性被膜
の伸縮性、耐衝撃性が劣るものであると、防塵性被膜の
内部まで割れ目を生じたり(クラック)、表面に多数の
細かいひび割れを生じたり(クレージング)し易く、そ
の結果、防塵性被膜が剥離したり、フィルムの見かけ上
の白化の原因になったりして、実用上問題が生じる。
【0007】アクリル系樹脂よりなる防塵性被膜の耐衝
撃性を向上させるには、アクリル酸エステル等のアクリ
ル系樹脂の柔軟性を向上させる成分の割合を多くし、ア
クリル系樹脂のガラス転移温度(以下、「Tg」と記
す)を低くすればよいことが実験的に判ってはいる。し
かし、Tgを低くしすぎると、フィルムを重ねておいた
とき被膜同士が付着して簡単に剥離できなくなる現象
(ブロッキング)が起こり易くなるという問題が起こ
り、耐衝撃性と耐ブロッキング性とを均衡させることは
困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
状況にあって、展張の際の過酷な条件下でも被膜の白化
や剥離が起こらず、また、ハウス展張前の外観が良好
で、屋外での展張によって引き起こされる被膜と塩化ビ
ニル系樹脂フィルムとの密着性の低下がなく、耐衝撃
性、耐ブロッキング性、耐久性、更には防塵性、防曇性
及びそれらの持続性等の諸性能に優れる農業用塩化ビニ
ル系樹脂フィルムを提供することを目的として、鋭意検
討した結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明の要旨
とするところは、有機リン酸エステルまたは有機リン酸
金属塩を含有する塩化ビニル系樹脂フィルムの一方の面
に、シリカゾル及び/またはアルミナゾルと、バインダ
ーとを含有する防曇剤組成物に由来する被膜が形成さ
れ、他方の面に厚さ1〜10μmのアクリル系樹脂被膜
が形成されてなる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムであ
って、アクリル系樹脂が、(イ)架橋アルキルアクリレ
ート系弾性体粒子または架橋アルキルメタアクリレート
系弾性体粒子(以下、合わせて「架橋アルキル(メタ)
アクリレート系弾性体粒子」と記す)の存在下に、下記
の構造式(1)で示されるアルキルアクリレートモノマ
ー、アルキルメタアクリレートモノマーもしくはこれら
の混合物(以下、合わせて「アルキル(メタ)アクリレ
ートモノマー」と記す)またはアルキル(メタ)アクリ
レートモノマーを主成分とし、これと共重合可能なビニ
ル系モノマーとの混合物を重合して得られる、架橋アル
キル(メタ)アクリレート系弾性体を幹とするグラフト
共重合体を含有しており、(ロ)アクリル系樹脂中の架
橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体の割合が5〜
80重量%であることを特徴とする農業用塩化ビニル系
樹脂フィルムに存し、更に塩化ビニル系樹脂フィルムが
紫外線吸収剤を含有してなる上記の農業用塩化ビニル系
樹脂フィルム及び塩化ビニル系樹脂フィルムが光安定剤
を含有してなる上記の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
に存する。
【0010】
【化2】
【0011】(構造式中のR1 は水素またはメチル基
を、nは1〜12の整数を各々意味する)
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 1.塩化ビニル系樹脂フィルム 本発明において塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルの単
独重合体の他、塩化ビニルが主成分を占める塩化ビニル
と他のモノマーとの共重合体、及びこれらの混合物のこ
とをいう。塩化ビニルと共重合しうるモノマーとして
は、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロ
ニトリル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタ
クリル酸、酢酸ビニル等が挙げられる。塩化ビニル系樹
脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合
法等の従来公知の製造法のうち、いずれの方法によって
製造されたものであってもよい。
【0013】更に本発明おいては、塩化ビニル系樹脂フ
ィルムに有機リン酸エステルまたは有機リン酸金属塩が
配合されている。有機リン酸エステルとしては、トリイ
ソプロピルフェニルホスフェート、イソデシルジフェニ
ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホス
フェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフ
ェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチ
ルホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチル
ジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート
等が挙げられるが中でもトリクレジルホスフェート及び
トリキシレニルホスフェートが特に好ましい。上記の有
機リン酸エステルは、単独さらに複合物にしても使用で
き、例えば、有機リン酸エステルと有機亜リン酸エステ
ルの複合物が挙げられる。有機リン酸金属塩としては、
下記の構造式(2)または(3)で示されるものが挙げ
られる。
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】(構造式中、Mは、亜鉛、カルシウム、バ
リウム、マグネシウム、コバルトまたはストロンチウム
を意味する。また、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6
各々アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリー
ルまたはエーテル結合を有するアルキル基を意味す
る。) R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 におけるアルキル基の
例としては、メチル、エチル、ノルマル(以下、「n
−」と記す)プロピル、イソ(以下、「i−」と記す)
プロピル、n−ブチル、i−ブチル、第2ブチル、第3
ブチル、アミン、ネオペンチル、i−アミル、n−ヘキ
シル、i−ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、i−オ
クチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、i−デシ
ル、ラウリル、トリデシル、炭素原子数が12〜13の
アルキルの混合アルキル、ステアリル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシ
ル、4−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0017】アリール基の例としては、フェニル、ナフ
チル基等を挙げることができる。アラルキル基の例とし
ては、ベンジル、β−フェニルエチル、α−フェニルプ
ロピル、β−フェニルプロピル基等を挙げることができ
る。アルキルアリール基の例としては、トリル、キシリ
ル、エチルフェニル、ブチルフェニル、第3ブチルフェ
ニル、n−オクチルフェニル、i−オクチルフェニル、
第3オクチルフェニル、ノニルフェニル、2,4−ジ−
第3ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0018】エーテル結合を有するアルキル基として
は、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、5−メチル
フルフリル及びα−メチルフルフリル基またはメチルセ
ロソルブ基、エチルセロソルブ、i−プロピルセロソル
ブ、n−ブチルセロソルブ、i−ブチルセロソルブ、ヘ
キシルセロソルブ、シクロヘキシルセロソルブ、フェニ
ルセロソルブ残基;メチルカルビトール、エチルカルビ
トール、i−プロピルカルビトール、ブチルカルビトー
ル、i−ブチルカルビトール残基;トリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
エチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル残基;グリセリンモノメチルエーテル、グリセリ
ンモノエチルエーテル、グリセリンモノブチルエーテル
残基;グリセリン1,2−ジメチルエーテル、グリセリ
ン1,3−ジエチルエーテル、グリセリン1−エチル−
2−プロピルエーテル残基;ノニルフェノキシポリエト
キシエチル、ラウロキシポリエトキシエチル残基等が挙
げられる。
【0019】また、構造式中Mで表される金属として
は、亜鉛、カルシウム及びバリウムが特に好ましい。有
機リン酸エステルまたは有機リン酸金属塩は、これらの
1種または2種以上を配合することができ、特に、有機
リン酸エステルと有機リン酸金属塩とを併用することが
塩化ビニル系樹脂フィルムの物性の低下防止を含めた耐
候性が向上するので好ましい。有機リン酸エステルまた
は有機リン酸金属塩の配合量は、塩化ビニル系樹脂10
0重量部に対して0.1〜15重量部が好ましく、更に
好ましくは0.2〜10重量部、特に好ましくは0.2
〜8重量部である。配合量が0.1重量部未満では塩化
ビニル系樹脂フィルムの耐候性が劣る恐れがある。ま
た、配合量が15重量部より多いとフィルムの透明性が
劣る傾向がある。
【0020】また、塩化ビニル系樹脂フィルムには、柔
軟性を付与するために、塩化ビニル系樹脂100重量部
に対して、例えば20〜60重量部の可塑剤を配合する
ことができる。上記範囲の可塑剤を配合することによ
り、塩化ビニル系樹脂フィルムに優れた柔軟性と機械的
性質を付与させることができる。可塑剤としては、例え
ば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、ジベンジルフタレート、ジ−i−デシ
ルフタレート等のフタル酸誘導体;ジオクチルフタレー
ト等のイソフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペー
ト、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−
n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導体;トリ−n−
ブチルシトレート等のクエン酸誘導体;モノブチルイタ
コネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート等の
オレイン酸誘導体;グリセリンモノリシノレート等のリ
シノール酸誘導体;その他、エポキシ化大豆油、エポキ
シ樹脂系可塑剤等が挙げられる。
【0021】塩化ビニル系樹脂フィルムに柔軟性を付与
するために配合されるものとしては上述の可塑剤に限ら
れるものではなく、例えば熱可塑性ポリウレタン樹脂、
ポリ酢酸ビニル等を使用することもできる。この他、塩
化ビニル系樹脂フィルムには、紫外線吸収剤または光安
定剤を配合することが好ましい。特に、紫外線吸収剤と
光安定剤を併用することにより塩化ビニル系樹脂フィル
ムの耐候性を向上することができ、好ましい。
【0022】紫外線吸収剤としては、農業用塩化ビニル
系樹脂フィルムに通常配合されるものであればよく、ベ
ンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エ
ステル系、ハイドロキノン系、シアノアクリレート系等
各種の紫外線吸収剤が挙げられる。特にベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、具
体的には以下のようなものが挙げられる。
【0023】ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オク
トキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒド
ロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノ
ン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェ
ノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフ
ェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベ
ンゾイルフェニル)メタン。
【0024】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル
フェニル)−5−ブチルエステルベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−
5,6−ジクロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−エチルスルホ
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリア
ゾール、2−(2’−メチル−4’−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ステアリルオキ
シ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メチルベン
ゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−フェニ
ル)ベンゾトリアゾールエチルエステル、2−(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−
5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ
シ−3’−メチル−5’−t−ブチルフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’
−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’
−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)
−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−シクロヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジメチル
フェニル)−5−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−4’,5’−ジクロロフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメ
チルフェニル)−5−エチルスルホベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−4’オクトキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)−5−エステルベンゾトリアゾール、2−(2’−
アセトキシ−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール。
【0025】上記紫外線吸収剤の配合量は、塩化ビニル
系樹脂100重量部に対し、0.02〜8重量部である
ことが好ましい。配合量が0.02重量部より少ない場
合には、農業用塩化ビニル系樹脂フィルムの耐候性が十
分に優れたものとならない恐れがあり好ましくない。他
方、配合量が8重量部より多い時は、フィルム使用時に
他の添加剤とともにフィルム表面に噴き出したりすると
いう問題がおこる恐れがある。上記配合量のうち、0.
1〜3重量部が特に好ましい。光安定剤としては、下記
の構造式(4)で示される構造単位を一分子中に1個以
上含有するヒンダードアミン系化合物が好ましい。
【0026】
【化5】
【0027】((4)式においてR7 、R8 、R9 及び
10は炭素原子数1〜4のアルキル基、R11は水素また
は炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。) このようなヒンダードアミン系化合物として代表的なも
のの例を下記の構造式(5)に示す。
【0028】
【化6】
【0029】(構造式中、Rはリンまたは、1〜4価の
カルボン酸から誘導されるモノアシル、ジアシル、トリ
アシルまたはテトラアシル基、R7 、R8 、R9 及びR
10は炭素原子数1〜4のアルキル基、nは1〜4の整数
をそれぞれ示す。) 上記構造式(5)に含まれるものとしては具体的には例
えば、4−シクロヘキサノイルオキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(o−
クロロベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン等が挙げられる。
【0030】光安定剤の配合量は、塩化ビニル系樹脂1
00重量部に対して0.2〜1.0重量部であることが
好ましい。配合量が0.2重量部より少ないと農業用塩
化ビニル系樹脂フィルムの耐候性が十分に優れたものと
ならない恐れがあるので好ましくなく、1.0重量部を
超えて配合しても添加量に見合うほどフィルムの耐候性
は向上せず、またフィルム表面に噴き出す恐れがある。
この他、塩化ビニル系樹脂フィルムには、必要に応じて
塩化ビニル系樹脂フィルムに通常配合される公知の樹脂
用添加剤、例えば、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、安定
化助剤、帯電防止剤、防曇剤、防カビ剤、防藻剤、無機
フィラー、着色剤等を配合することができる。
【0031】滑剤としては、ポリエチレンワックス、ビ
スアマイド系化合物、流動パラフィン等が挙げられ、熱
安定剤としてはβ−ジケトン化合物、酸価防止剤として
は、有機ホスファイト化合物等が挙げられる。これらの
各種樹脂用添加剤は、それぞれ1種または2種以上を組
み合わせて使用することができる。各種樹脂用添加剤の
添加量は、本発明の目的・効果を損なわない範囲、通常
は塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、10重量部
以下の範囲で選ぶことができる。塩化ビニル系樹脂に、
有機リン酸エステルまたは有機リン酸金属塩、可塑剤、
紫外線吸収剤、光安定剤、更に他の樹脂用添加剤を配合
するには、各々の必要量を、リボンブレンダー、バンバ
リーミキサー、スーパーミキサーその他の配合機、混合
機を用いて混合・混練すればよい。このようにして得ら
れた塩化ビニル系樹脂組成物をフィルム化するには、例
えば溶融押出成形法(T−ダイ法、インフレーション法
を含む)、カレンダー成形法、溶液流延法等の塩化ビニ
ルの製膜に通常用いることのできる方法を用いればよ
い。
【0032】本発明において用いられる塩化ビニル系樹
脂フィルムの厚さは通常10〜300μmである。 2.アクリル系樹脂被膜(防塵性被膜) 2−1.アクリル系樹脂 塩化ビニル系樹脂フィルムの一方の面には、アクリル系
樹脂被膜が形成されている。本発明において用いられる
アクリル系樹脂は、(イ)架橋アルキル(メタ)アクリ
レート系弾性体粒子の存在下に、下記の構造式(1)で
示されるアルキル(メタ)アクリレートモノマーまたは
アルキル(メタ)アクリレートモノマーを主成分とし、
これと共重合可能なビニル系モノマーとの混合物を重合
して得られる、架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾
性体を幹とするグラフト共重合体を含有しており、
(ロ)アクリル系樹脂中の架橋アルキル(メタ)アクリ
レート系弾性体の割合が5〜80重量%である樹脂であ
る。
【0033】
【化7】
【0034】(構造式中のR1 は水素またはメチル基
を、nは1〜12の整数を各々意味する)
【0035】2−1−1.架橋アルキル(メタ)アクリ
レート系弾性体 架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体は、乳化重
合法によって製造するのがよい。乳化重合法によって架
橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体を製造する方
法としては、以下の方法が挙げられる。
【0036】(1)アルキル(メタ)アクリレートモノ
マー、またはアルキル(メタ)アクリレートモノマーと
これと共重合可能なビニル系モノマーとの混合物に、少
量の架橋性モノマーを加えて、乳化重合法によって製造
する方法。 (2)(1)の方法で得た重合体エマルジョンに、更に
アルキル(メタ)アクリレートモノマー、またはアルキ
ル(メタ)アクリレートモノマーとこれと共重合可能な
ビニル系モノマーとの混合物を加え、乳化重合法によっ
て製造する方法。
【0037】(3)(2)の方法において、アルキル
(メタ)アクリレートモノマーまたはアルキル(メタ)
アクリレートモノマーとこれと共重合可能なビニル系モ
ノマーとの混合物に、少量の架橋性モノマーを加え、乳
化重合法によって製造する方法。 (4)まず、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、
またはアルキル(メタ)アクリレートモノマーとこれと
共重合可能なビニル系モノマーとの混合物から乳化重合
法によって、未架橋重合体を製造する。次いで、この重
合体に更に、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、
またはアルキル(メタ)アクリレートモノマーとこれと
共重合可能なビニル系モノマーとの混合物、及び少量の
架橋性モノマーを加えて、乳化重合法によって製造する
方法。
【0038】(5)(1)〜(4)の方法で得た重合体
エマルジョンの一種に、更に、アルキル(メタ)アクリ
レートモノマー、またはアルキル(メタ)アクリレート
モノマーこれと共重合可能なビニル系モノマーを加え、
架橋性モノマーを加えずまたは少量加えて、乳化重合法
によって製造する方法。
【0039】アルキル(メタ)アクリレートモノマーと
しては、アルキル基の炭素原子数が1〜12のものが好
ましく、直鎖でも分岐鎖状のいずれでもよい。このよう
なものとしては例えば、メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシ
ル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレ
ートが挙げられる。これらは各々単独で用いても、2種
以上を併用してもよい。
【0040】これらアルキル(メタ)アクリレートモノ
マーと共重合可能なビニル系モノマーとしては、アクリ
ル酸、メタクリル酸及び、アクリル酸のアルキルエステ
ル(アルキル基の炭素原子数が1〜12)、メタクリル
酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素原子数が1〜
12)、イタコン酸のジアルキルエステル(アルキル基
の炭素原子数が1〜10)、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレ
ン、各アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン等が
挙げられる。これらのコモノマーは、40重量%以下、
好ましくは25重量%以下とするのがよい。
【0041】この乳化重合において使用される重合開始
剤は、通常の遊離基発生開始剤である。具体例を挙げる
と、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸
化物;クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハ
イドロパーオキサイド、ジターシャリーブチルハイドロ
パーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド;ベン
ゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ク
メンパーオキサイド等の有機過酸化物や、アゾビスイソ
ブチロニトリルのようなアゾ系の開始剤を挙げることが
できる。
【0042】更にこれらと、亜硫酸ナトリウム、チオ硫
酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシ
レート、グルコース、ポリアミン、アスコルビン酸ヒド
ロキシアセトン等の還元剤を組み合せた、通常のレドッ
クス系開始剤も使用することができる。乳化剤として
は、通常の乳化重合用の界面活性剤を挙げることができ
る。例えば、炭素原子数が8〜20のアルキル硫酸のナ
トリウム、カリウム、アンモニウム塩及びラウリン酸、
ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪族カルボン酸のナ
トリウム、カリウム塩等の陰イオン界面活性剤や、アル
キルフェノール類、脂肪族アルコール類及びポリプロピ
レンオキサイド類とエチレンオキサイドとの反応生成物
等の非イオン界面活性剤が挙げられる。また場合によっ
ては、これら界面活性剤を2種以上併用することもでき
る。更に、ナフタレンホルムアルデヒド縮合スルホン酸
塩等の界面活性剤を添加することもできる。更に必要に
応じ、アルキルアミン塩酸塩等の陽イオン界面活性剤を
使用することもできる。
【0043】乳化重合の際使用される架橋性モノマーと
しては、通常多官能性化合物として使用されているもの
であればよく、具体例としては、エチレングリコールジ
メタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタク
リレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレー
ト、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロール
メタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコール
ジメタクリレート、アリルメタクリレート等のアルキル
メタクリレート;エチレングリコールジアクリレート、
1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−
ブチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコ
ールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアク
リレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレー
ト、ジプロピレングリコールジアクリレート、アリルア
クリレート等のアルキルアクリレート;ジビニルベンゼ
ン、ジビニルアジペート等のビニル系化合物;ジアリル
フタレート、ジアリルマレート、トリアリルシアヌレー
ト等のアリル系化合物等が挙げられ、これらは2種以上
を併用してもよい。
【0044】架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性
体は、重合における界面活性剤の使用量や、使用する水
性媒体の量を加減することによって、架橋アルキル(メ
タ)アクリレート系弾性体エマルジョン粒子の平均粒子
径を調整し、0.05〜0.30μmとすることが好ま
しい。平均粒子径が0.05μm未満では、アクリル系
樹脂被膜の機械的強度が低下する傾向があり、0.30
μmを超えると、白化し易くなる傾向があり好ましくな
い。 更に架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体
は、次の方法で測定したゲル含量が80%以上で、膨潤
度が15以下のものが好ましい。
【0045】ゲル含量及び膨潤度の測定方法;架橋アル
キル(メタ)アクリレート系弾性体を所定量(W0 )採
取し、室温でメチルエチルケトンに48時間浸漬した後
の膨潤した重量(W1 )、及びこの膨潤した試料を減圧
乾燥機で乾燥した後の重量(W2 )を測定し、次式によ
り算出する。
【0046】
【数1】ゲル含量=(W2 /W0 )×100(%) 膨潤度=(W1 −W2 )/W0
【0047】ゲル含量、膨潤度は、架橋性モノマーの種
類及び量の調整以外に、架橋アルキル(メタ)アクリレ
ート系弾性体を重合する時の温度、開始剤の種類とその
使用量、架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体を
構成するモノマーの添加方法、分子量調節剤の有無等の
重合諸条件によって影響されるので、適宜調節すればよ
い。ゲル含量が80%に満たないときは、被膜とした際
に機械的強度、特に耐衝撃性を改善する効果が低くなる
傾向となるので好ましくない。また、膨潤度が15を超
えると被膜が白化し易くなり、好ましくない。
【0048】2−1−2.グラフト共重合体 上記2−1−1において得られた架橋アルキル(メタ)
アクリレート系弾性体粒子の存在下に上記一般式(1)
で示されるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、ま
たはアルキル(メタ)アクリレートモノマーとこれと共
重合可能なビニル系モノマーとの混合物を重合すること
により架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体を幹
とするグラフト共重合体が得られる。アルキル(メタ)
アクリレートモノマー及びこれと共重合可能なビニル系
モノマーとしては、例えば上記2−1−1の架橋アルキ
ル(メタ)アクリレート系弾性体の製造において使用さ
れるものが挙げられる。
【0049】この場合、グラフトさせるモノマー成分か
ら得られる(共)重合体自体のガラス転移温度(Tg)
が50℃以上となるようにモノマーの種類、組合せを選
ぶことが好ましい。Tgが50℃に満たないときは、ア
クリル系樹脂被膜を形成した農業用塩化ビニル系樹脂フ
ィルムの耐ブロッキング性が悪くなる(ブロッキングし
やすい)傾向となるので好ましくない。グラフト重合
は、溶液重合によってもよいが、乳化重合法によって行
うことが好ましい。乳化重合法によるときは例えば、架
橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体のエマルジョ
ンに、グラフトさせるモノマーを加え、必要に応じて乳
化剤、重合開始剤、分子量調節剤、水等を加え、通常の
乳化重合の条件で行えばよい。架橋アルキル(メタ)ア
クリレート系弾性体と、グラフトさせるモノマーとの割
合は、架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体(重
量部)/グラフトさせるモノマー(重量部)=10/9
0〜90/10とするのがよい。得られたグラフト共重
合体はTgが50℃以上であることが好ましい。
【0050】2−1−3.アクリル系樹脂 被膜用のアクリル系樹脂中には、2−1−2.に記載の
グラフト共重合体以外に他のアクリル樹脂を含んでいて
も良い。他のアクリル樹脂としては例えば、アクリル酸
エステル、メタクリル酸エステル(以下、「(メタ)ア
クリル酸エステル」と記す)または(メタ)アクリル酸
エステルとこれと共重合可能なビニル系モノマーの混合
物を重合して得られるアクリル樹脂、メタクリル樹脂、
またはグラフト共重合体製造の際に生成するフリーなア
クリル樹脂、メタクリル樹脂が挙げられる。アクリル系
樹脂に含まれる架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾
性体の割合は5〜80重量%、好ましくは10〜50重
量%の範囲である。架橋アルキル(メタ)アクリレート
系弾性体の割合が5重量%に満たないときは、アクリル
系樹脂被膜の機械的強度が劣り、80重量%を超えると
きは、耐ブロッキング性が悪い。
【0051】また、上記アクリル系樹脂には、該アクリ
ル系樹脂と相溶性があり、Tgが50℃以上で透明な熱
可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、カー
ボネート樹脂及び飽和ポリエステル樹脂等をアクリル系
樹脂に対して0.1〜20重量%程度混合してもよい。
更にこれら成分の他に、補助的な成分、例えば酸化防止
剤、中和剤、紫外線防止剤、光安定剤、帯電防止剤、顔
料、染料、発泡剤、滑剤等をアクリル系樹脂に対し0.
01〜10重量%程度配合することができる。
【0052】3.防曇性被膜 塩化ビニル系樹脂フィルムの他方の面には、シリカゾル
及び/またはアルミナゾルと、バインダーとを含有する
防曇剤組成物に由来する被膜(防曇性被膜)が形成され
ている。シリカゾルカ及び/またはアルミナゾルとして
はゾル中の粒子の平均粒子径が5〜100μmであるも
のが好ましい。平均粒子径が100μmを超えると被膜
が白く失透し易く、また、5μmに満たない場合は防曇
剤組成物の安定性に欠けるので好ましくない。
【0053】シリカゾルとアルミナゾルは、それぞれ単
独で使用してもよいし、両者を組み合わせて使用しても
よい。両者を組合わせて使用する際に、平均粒子径が異
なる2種以上を組み合わせてもよく、また、重量比は、
シリカゾル/アルミナゾル=95〜5/5〜95の割合
にするのが好ましい。アルミナゾルは、通常市販されて
いる製品そのもの、または通常市販されているアルミナ
粉末を水に分散させて水性ゾルとしたもの、いずれであ
ってもよい。アルミナゾルは、高濃度で水に分散させよ
うとすると、分散液の粘度が急激に高まるといういわゆ
るチキソトロピー性を示し、均一な分散液が得にくい
が、コロイドミルの様な媒質せん断内部攪拌機を用いる
と、均一な分散液を得ることができる。また、分散液に
シリカゾルを混合すると、分散液の粘度を降下させるこ
とができる。
【0054】シリカゾルは、多くの場合粒子表面は陰電
荷に帯電しているが、陰電荷に帯電しているシリカゾル
とアルミナゾルとを混合すると、混合分散液は急激に凝
集し、ゲル化し、分散不良を生起するので、アルミナゾ
ルと組み合わせて用いるときは陰電荷に帯電しているも
のを用いるのは好ましく、粒子表面が陽電荷に帯電した
ものを用いるのが好ましい。防曇剤組成物に配合される
バインダー成分としては、シリカゾルあるいはアルミナ
ゾルの分散媒である水、アルコールのような親水性媒体
との親和性がよいものを選ぶ必要がある。具体的には、
親水性を有する界面活性剤あるいは、熱可塑性樹脂など
が挙げられる。
【0055】界面活性剤としては、陰イオン系界面活性
剤、陽イオン系界面活性剤及び非イオン系界面活性剤が
挙げられるが、シリカゾルまたはアルミナゾルによっ
て、その使用種類を変える必要がある。例えば、一般
に、陰電荷に帯電するシリカゾルと陽イオン系界面活性
剤、陽電荷に帯電するシリカゾル及びアルミナゾルと陰
イオン系界面活性剤との組み合わせは避けるべきであ
る。これらの組み合わせは、ゾルのゲル化や防曇剤組成
物の凝集・分離を起こしやすく、塗布を困難にする。
【0056】熱可塑性樹脂としては、親水性媒体との親
和性のよいアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系
樹脂、ポリエチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビ
ニリデン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂、スチロール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、不飽
和ポリエステル系樹脂等が挙げら得るが、特にアクリル
系樹脂が好適である。シリカゾル及び/またはアルミナ
ゾルは、その配合量が固形分重量比でバインダー成分の
0.5〜40倍の範囲にあるのが好ましい。0.5倍に
満たないときは、充分な防曇効果を発揮し難い傾向があ
る。一方、40倍を越えるときは、防曇効果が配合量に
比例して向上しないばかりでなく、塗布後に形成される
被膜が白濁化し光線透過率を低下させる恐れがあり、ま
た被膜が粗雑で脆弱になり易くなる傾向がある。
【0057】更に、防曇剤組成物には、バインダー成分
同士を架橋させる架橋性化合物を配合してもよい。架橋
することにより防曇性被膜の耐水性を向上させることが
できる。架橋性化合物としては、前述の架橋アルキル
(メタ)アクリレート系弾性体の製造(2−1−1)に
おいて使用される架橋性モノマーを用いることができ
る。架橋性化合物の使用量は、バインダー成分の固形分
に対し、1〜30重量%の範囲、特に0.5〜10重量
%の範囲が好ましい。また、防曇剤組成物には、必要に
応じ消泡剤、滑剤、帯電防止剤、その他各種の添加剤を
混合することができる。
【0058】しかして、防曇剤組成物は、通常液状で使
用される。液状分散媒としては、水を含む親和性ないし
水混合性溶媒が含まれ、水;メチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコー
ル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グ
リセリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール類
の環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン
類等が挙げられる。これらは単独で用いても併用しても
よいが、本発明で用いられる防曇剤組成物の分散安定
性、フィルム表面に塗布した後の濡れ性、液状分散媒の
除去の難易、経済性を勘案して決めるのが好ましい。
【0059】また、塩化ビニル系樹脂フィルムの表面に
形成される防曇性被膜は、固形分の付着量として、一般
に0.01〜10g/m2 、特に0.1〜5g/m2
範囲であるのが好ましい。付着量が0.01g/m2
り少ないと、防曇性が劣る恐れがあり、付着量が10g
/m2 より多いと、塩化ビニル系樹脂フィルムと防曇性
被膜とでは屈曲性に差があるため、被膜が塩化ビニル系
樹脂フィルムから剥離する等の現象がおこりやすく、ま
た防曇性被膜に亀裂が生じて塩化ビニル系樹脂フィルム
の強度を低下させるという現象が生起し易いので好まし
くない。
【0060】4.農業用塩化ビニル系樹脂フィルム 本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、塩化ビニ
ル系樹脂フィルムの一方の面にアクリル系樹脂被膜が、
他方の面に防曇性被膜が形成されているが、アクリル系
樹脂被膜の形成方法としては、例えばアクリル系樹脂を
水系溶剤または有機溶剤に分散または溶解し、これを塩
化ビニル系樹脂フィルムの一方の面に塗布した後乾燥さ
せれば良い。有機溶剤としては、例えばヘプタン、シク
ロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、ポリオキシエチレングリ
コール等のアルコール類;クロロホルム、四塩化炭素、
クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;メチルアセテ
ート、アリルアセテート、エチルステアレート等のエス
テル類;トリメチルアミン、ジフェニルアミン、ヘキサ
メチレンジアミン等のアミン類;その他ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジエチル
エーテル、ジエチレンジチオグリコール、ジアセトンア
ルコール、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキサイド等
が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を併用して
使うことができる。
【0061】塗布方法としては、例えばドクターブレー
ドコート法、グラビアロールコート法、エアナイフコー
ト法、リバースロールコート法、ディップコート法、カ
ーテンフローコート法、スプレイコート法及びロッドコ
ート法等が挙げられる。乾燥方法としては、例えば自然
乾燥法、熱風乾燥法、赤外線乾燥法及び遠赤外線乾燥法
等があるが、乾燥速度、安全性を勘案すれば熱風乾燥法
が有利である。この場合の温度条件は50℃〜200℃
の範囲とし、時間は10秒〜15分とするのがよい。
【0062】また、溶液状態とせずアクリル系樹脂を単
独の被膜として形成する場合は、共押出し法、押出しコ
ーティング法、押出しラミネート法及びラミネート法等
が用いられる。アクリル系樹脂被膜の厚さは、1〜10
μmである。被膜の厚さが1μmより薄いと防塵性が劣
り、また、10μmより厚いと、塩化ビニル系樹脂フィ
ルムと被膜との屈曲性の差により、被膜が塩化ビニル系
樹脂フィルムから剥離したり、被膜に亀裂が生じてフィ
ルム全体の強度を低下させたりする。
【0063】なお、アクリル系樹脂被膜を形成する前
に、塩化ビニル系樹脂フィルムの表面を予めアルコール
または水で洗浄したり、プラズマ放電処理、あるいはコ
ロナ放電処理したり、他の塗料あるいはプライマーを下
塗りする等の前処理を施してもよい。塩化ビニル系樹脂
フィルムの他方の面に防曇性被膜を形成するには、防曇
性組成物の溶液または分散液をドクターブレードコート
法、グラビアロールコート法、エアナイフコート法、リ
バースロールコート法、デイプコート法、カーテンロー
ルコート法、スプレイコート法、ロッドコート法等の塗
布方法等の公知の塗布方法により塗布した後乾燥すれば
よい。塗布後の乾燥方法は、例えば自然乾燥法、熱風乾
燥法、赤外線乾燥法及び遠赤外線乾燥法等があるが、乾
燥速度、安全性を勘案すれば熱風乾燥法が有利である。
この場合の温度条件は通常50〜250℃、好ましくは
70〜200℃の範囲とし、時間は10秒〜15分とす
るのがよい。
【0064】塩化ビニル系樹脂フィルムと防曇性被膜と
の接着性が十分でない場合には、アクリル系樹脂被膜を
形成する場合と同様の前処理を施しておいてもよい。ア
クリル系樹脂被膜及び防曇性被膜の塩化ビニル系樹脂フ
ィルムへの形成順序は、加熱条件等を考慮して定められ
る。本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを実際に
使用するにあたっては、アクリル系樹脂被膜が設けられ
た側をハウスまたはトンネルの外側となるようにして展
張する。
【0065】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
例によって限定されるものではない。
【0066】<フィルムの評価>アクリル系樹脂被膜
(防塵性被膜)及び防曇性被膜が形成された塩化ビニル
系樹脂フィルム(以下、「フィルム」と記す)につい
て、下記〜の各項目について性能を評価した。
【0067】初期外観 フィルムの外観を肉眼で観察した。この評価基準は、次
の通りである。 ◎・・・無色で透明性に優れるもの。 ○・・・やや白色を呈するが、透明性を有するもの。 △・・・白色を呈し、半透明であるもの。 ×・・・白濁し、失透しているもの。
【0068】アクリル系樹脂被膜の柔軟性 各フィルムを、幅5cm、長さ15cmに切断し、長さ
方向に対して直角の方向に、2cmの間隔で交互に折り
返した。この状態で、上から2kgの荷重をかけ、15
℃に保持した恒温槽内に24時間放置した。ついで荷重
をとり、フィルの折り目をのばして、アクリル系樹脂被
膜(以下、「被膜」と記す)の(特に折り目部分の)外
観を肉眼で観察した。評価基準は、次の通りである。 ◎・・・折り目部分の被膜に、変化が全く見られないも
の。 △・・・折り目部分の被膜に、クラックが認められるも
の。 ×・・・折り目部分の被膜に、クラックが著しく認めら
れるもの。
【0069】密着性(促進試験) 500ccビーカーに300ccの水(50℃)を入
れ、アクリル系樹脂被膜の形成された面がビーカー側に
なるようにフィルムにてビーカーを被覆した後、恒温水
槽(50℃)にビーカーを水平面から10度傾斜させた
状態で底部から2/3の部分まで水浸させ、25℃恒温
室に5時間放置した。次にこのフィルムを用い、アクリ
ル系樹脂被膜を形成した面にセロハンテープを接着し、
次いでこのセロハンテープを剥がした時に、アクリル系
樹脂被膜の剥離状況を肉眼で観察した。評価基準は、次
の通りである。 ◎・・・被膜が全く剥離せず、完全に残ったもの。 ○・・・被膜の一部(1/3未満)が剥離したもの。 △・・・被膜の1/3以上2/3未満が剥離したもの。 ×・・・被膜の2/3以上が剥離したもの。
【0070】<屋外展張後のフィルムの評価>各フィル
ムを、三重県一志郡の試験圃場に設置した屋根型ハウス
(間口3m、奥行き5m、棟高1.5m、屋根勾配30
度)に、アクリル系樹脂被膜を設けた面をハウスの外側
にして被覆し、平成7年3月〜平成9年2月までの2年
間展張試験を行った。展張後のフィルムについて、下記
〜の各項目について性能を評価した。
【0071】展張後のフィルムの外観 フィルムの外観を肉眼で観察した。評価基準は、次の通
りである。 ◎・・・変色等の外観変化が認められないもの。 ○・・・わずかな変色等の外観変化が一部認められるも
の。 △・・・変色等の外観変化がかなり認められるもの。 ×・・・全面に変色が認められるもの。
【0072】フィルムの伸度保持率 次式により算出した。 (展張後のフィルムの伸度/展張前のフィルムの伸度)
×100 (%) なお、伸度はJIS K 6732に記載の「9.5耐
寒試験の伸び率」に従って測定した値である。
【0073】密着性試験(促進試験) 展張後のフィルムについてで実施した内容と同様の方
法で試験及び評価を実施した。 防塵性 次式より算出した値(透過率保持率)を評価した。
【0074】
【数2】
【0075】評価基準は、次の通りである。 ◎・・・透過率保持率が90%以上のもの。 ○・・・透過率保持率が70〜89%の範囲のもの。 △・・・透過率保持率が50〜69%の範囲のもの。 ×・・・透過率保持率が50%未満のもの。
【0076】なお、光線透過率は波長555μmにおけ
る直光線透過率(日立製作所(株)製、EPS−2U型
で測定)である。 防曇性 で展張したフィルムにつき、日中にフィルムサイド部
を巻き上げ、夕方フィルムを密閉した後、展張中の天井
部と巻き上げ部各々の内側表面に、付着する水滴の状況
を経時的に肉眼で観察した。評価基準は次の通りであ
る。 ◎・・・フィルム表面(ハウス内側に面した方、以下同
じ)に付着した水滴同士が合体して薄膜状に広がり、こ
の薄膜状部分の面積がフィルム表面の1/2以上のも
の。 ○・・・フィルム表面に付着した水滴同士が合体し、薄
膜状に広がり、この薄膜状部分の面積がフィルム表面の
1/2未満のもの。 △・・・フィルム表面に付着した水滴同士の合体は認め
られるが、薄膜状部分の形状が認められないもの。 ×・・・フィルム表面に付着した水滴同士の合体が認め
られないもの。
【0077】 <実施例1〜5、比較例1〜4> I.基体フィルム ポリ塩化ビニル(平均重合度=1400) 100重量部 ジオクチルフタレート 50重量部 エポキシ樹脂 3重量部 バリウム−亜鉛系複合液状安定剤 1.5重量部 ステアリン酸バリウム 0.2重量部 ステアリン酸亜鉛 0.4重量部 ソルビタンラウレート 1.5重量部 有機リン酸エステル 表−2に記載 紫外線吸収剤 表−2に記載 光安定剤 表−2に記載 上記の組成からなる樹脂組成物をスーパーミキサーで1
0分間攪拌混合したのち、180℃に加温したミルロー
ル上で混練し、厚さ0.15mmの塩化ビニル系樹脂フ
ィルム(基体フィルム)を作成した。
【0078】II.アクリル系樹脂溶液II−1.アクリル系樹脂A溶液 架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体の製造 重合缶中に、脱イオン水300重量部(以下、「部」と
記す)、過硫酸カリウム0.3部、リン酸2ナトリウム
12水塩0.5部、リン酸水素ナトリウム2水塩0.3
部を仕込み、充分窒素置換を行った後に、内温を70℃
に昇温した。内温をこの温度に保持し、攪拌しながら、
スチレン19.8部、アクリル酸ブチル69.3部、メ
タクリル酸アリル0.9部、ジオクチルスルホコハク酸
ナトリウム(乳化剤)2.5部からなる混合物を、2時
間かけて連続的に添加した。添加終了後直ちに、t−ブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.0部、
スチレン2.2部、アクリル酸ブチル7.7部、アクリ
ル酸アリル0.1部からなる混合物を加えた。添加終了
後、30分かけて内温を90℃に昇温し、この温度で3
時間反応を続け、架橋アルキル(メタ)アクリレート系
弾性体(以下、「架橋弾性体」と記す)のエマルジョン
を得た。この架橋弾性体の平均粒子径は0.20μmで
あり、ゲル含量は97.1%、膨潤度は7.2であっ
た。
【0079】グラフト共重合体の製造 重合缶に、上記で得た架橋弾性体エマルジョン400
部を仕込み、攪拌しながら、窒素置換した後、内温を8
0℃に昇温した。内温をこの温度に保持し、攪拌しなが
ら脱イオン水3.0部にナトリウムホルムアルデヒドス
ルホキシレート0.15部を溶解した水溶液を添加して
からメタクリル酸メチル30.0部、n−オクチルメル
カプタン0.03部、パラメンタンハイドロパーオキサ
イド(50%溶液)0.15部の混合物を、30分間か
けて連続的に添加した。添加終了後、更に30分間重合
反応を継続し、グラフト共重合体エマルジョンを得た。
なおグラフトさせたモノマー成分から得られた共重合体
自体のガラス転移温度(Tg)は108℃であった。次
に重合缶内温を20℃まで下げ、得られたグラフト共重
合体エマルジョンに塩化ナトリウム10部を30分間か
けて、撹拌しながら連続的に添加して塩析を行った後、
グラフト共重合体を濾別、水洗、乾燥して、粉体状のグ
ラフト共重合体を得た。
【0080】アクリル系樹脂A溶液の調製 上記で得たグラフト共重合体6.5部に、メタクリル
樹脂(メタクリル酸メチル/メタクリル酸エチルが96
/4の割合の共重合体)のビーズ13.5部を混合し、
この混合物をメチルエチルケトン64部とトルエン16
部とよりなる混合溶媒中に入れて、攪拌しつつ溶解し、
樹脂固形分濃度が20重量%のアクリル系樹脂A溶液を
調製した。
【0081】II−2.アクリル系樹脂B溶液 架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体の製造 重合缶中に、脱イオン水250部、ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム2.0部、ナトリウムホルムアルデヒ
ドスルホキシレート0.05部を仕込み、窒素置換を行
った。この重合缶の内容物を攪拌しつつ、メタクリル酸
メチル1.6部、アクリル酸ブチル8部、1,3−ブチ
レンジメタクリレート0.4部、メタクリル酸アリル
0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.04部か
らなる混合物を仕込んだ。重合缶内温を70℃に昇温
し、この温度で60分間反応を継続した。続いて、この
重合缶にメタクリル酸メチル1.5部、アクリル酸ブチ
ル22.5部、1,3−ブチレンジメタクリレート1
部、メタクリル酸アリル0.25部及びクメンハイドロ
パーオキサイド0.13部を仕込んだ。重合缶内温を7
0℃に昇温し、この温度で60分間反応を継続した。続
いて、この重合缶にメタクリル酸メチル1.5部、アク
リル酸ブチル22.5部、1,3−ブチレンジメタクリ
レート1.0部、メタクリル酸アリル0.25部及びク
メンハイドロパーオキサイド0.13部の混合物を60
分間かけて添加した。重合缶内温を70℃に昇温し、こ
の温度で30分間反応を続け、架橋弾性体のエマルジョ
ンを得た。この架橋弾性体の平均粒子径は0.12μm
であり、ゲル含量は90%、膨潤度は10であった。
【0082】グラフト共重合体の製造 上記の架橋弾性体エマルジョンを含む重合缶に、脱イ
オン水3部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレ
ート0.01部を溶解した水溶液を添加してから、メタ
クリル酸メチル5部、アクリル酸ブチル5部、アクリル
酸アリル0.1部及びクメンハイドロパーオキサイド
0.03部の混合物を30分かけて、連続的に添加し
た。添加終了後、更に30分間重合反応を継続した。こ
の重合缶に、脱イオン水3部にナトリウムホルムアルデ
ヒドスルホキシレート0.05部を溶解した水溶液を添
加してから80℃に昇温し、メタクリル酸メチル52.
25部、アクリル酸ブチル2.75部、パラメンタンハ
イドロパーオキサイド(50%溶液)0.13部よりな
る混合物を30分かけて添加した。添加終了後、80℃
で30分間重合反応を継続し、グラフト共重合体エマル
ジョンを得た。なお、最外層にグラフトさせたモノマー
成分から得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)は
103℃であった。次に重合缶内温を20℃まで下げ、
得られたグラフト共重合体エマルジョンに塩化ナトリウ
ム10部を30分間かけて、撹拌しながら連続的に添加
して塩析を行った後、グラフト共重合体を濾別し、水洗
し、乾燥して、粉体状のグラフト共重合体を得た。
【0083】アクリル系樹脂B溶液の調製 上記で得たグラフト共重合体20部を、メチルエチル
ケトン64部とトルエン16部とよりなる混合溶媒中に
入れて攪拌しつつ溶解し、樹脂固形分濃度が20重量%
のアクリル系樹脂B溶液を調製した。
【0084】II−3.アクリル系樹脂C溶液 架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体の製造 II−2.で製造した架橋弾性体を用いた。 グラフト共重合体の製造 II−2.で製造した、グラフト共重合体粉末を用い
た。
【0085】更に、重合缶中にこのグラフト共重合体7
0部と、脱イオン水150部とを仕込み、これにメタク
リル酸メチル30部とベンゾイルパーオキサイド1部と
の混合物を加え、窒素置換し、攪拌下、70℃に昇温
し、この温度で3時間重合反応を行いグラフト共重合体
エマルジョンを得た。なお、最外層にグラフトさせたモ
ノマー成分から得られる共重合体のTgは73℃であっ
た。次に重合缶の内温を20℃まで下げ、得られたグラ
フト共重合体エマルジョンに塩化ナトリウム10部を3
0分間かけて、撹拌しながら連続的に添加して塩析を行
った後、グラフト共重合体を濾別、水洗、乾燥して、粉
体状のグラフト共重合体を得た。
【0086】 アクリル系樹脂C溶液の調製 において最終的に得られたグラフト共重合体に、メチ
ルエチルケトン170部とトルエン80部とを加え、樹
脂固形分濃度が20重量%のアクリル系樹脂溶液Cを調
製した。
【0087】II−4.アクリル系樹脂D溶液 アクリル系重合体の製造 温度計、攪拌機、還流冷却器及び原材料添加用ノズルを
備えた反応器に、メチルエチルケトン70部、トルエン
30部、ベンゾイルパーオキサイド1部及びメタクリル
酸メチル60部、メタクリル酸ブチル35部、メタクリ
ル酸5部を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しつつ、70
℃で3時間更にベンゾイルパーオキサイドを0.5重量
部添加して反応を3時間、同温度で継続してアクリル系
重合体を得た。 樹脂溶液Dの調製 で得たアクリル系重合体の溶液に、メチルエチルケト
ン170部とトルエン80部とを加え、樹脂固形分濃度
が20重量%のアクリル系樹脂D溶液を調製した。
【0088】III .アクリル系樹脂被膜の形成 基体フィルムの片面に上記各種アクリル系樹脂(A〜
D)溶液を、目的とする被膜の厚さに応じて#1(0.
7μm),#3(1.5μm),#5(3.0μm)の
3種類のうちのいずれか1種類のバーコーターを用い
て、各々塗布した後、フィルムを130℃のオーブン中
にて1分間保持して、溶剤を揮散させ、アクリル系樹脂
被膜を形成した。得られた各フィルムのアクリル系樹脂
被膜の厚さは、表−2に示す通りであった。
【0089】IV.防曇性被膜の形成 表−1に示したシリカゾル及び/又はアルミナゾルとバ
インダー成分と架橋剤及び液状分散媒とを混合して防曇
剤組成物を得た。アクリル系樹脂被膜を形成した基体フ
ィルムのもう一方の面に、上記防曇剤組成物をロールコ
ート法により連続的に塗布し、乾燥炉中で80℃で1分
間保持して液状分散媒を揮散させた。得られた各フィル
ムの防曇剤組成物の固形分の付着量は、1g/m2 であっ
た。各フィルムについて〜の各項目の評価を行っ
た。結果を表−3に示す。
【0090】<結果の説明>本発明の農業用塩化ビニル
系樹脂フィルムは、耐候性、防塵性、防曇性及びそれら
の持続性に優れ、また被膜の柔軟性、密着性に優れる
(実施例1〜5)。これに対し、基体フィルムに有機リ
ン酸エステルを配合しない場合には、耐候性が劣り(比
較例1及び2)る。また、本発明の特定のアクリル樹脂
系樹脂以外のアクリル系樹脂を用いての被膜を形成した
フィルムは、フィルムの耐候性及び被膜の柔軟性、防塵
性の持続性が劣り(比較例3)、本発明と同様の被膜を
形成した場合でも、被膜の厚さが本発明の被膜より薄い
場合は、被膜の耐候性、防塵性及びその持続性が劣る
(比較例4)。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【発明の効果】以上、実施例からも明らかなように本発
明は、次のような効果を奏し、その農業上の利用価値
は、極めて大である。 (1)本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、屋
外に長期間、展張されても、変色や、物性の低下、防塵
性の低下の度合いが少なく、長期間の使用に耐える。 (2)本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、基
体フィルムとその表面に形成された被膜との密着性に富
むことから、被膜が剥離し難く、長期間の使用に耐え
る。 (3)本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、基
体フィルムの表面に形成されているアクリル系樹脂被膜
の機械的強度、耐衝撃性に優れているので、フィルム加
工時、展張時及び展張後に衝撃等を受けてもクラックが
発生しにくく、フィルムの白化、被膜の剥離もおこりに
くい。 (4)本発明に係わる農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
は、基体フィルムの表面に防曇性被膜が形成されている
ので、防曇性及びその持続性に優れる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機リン酸エステルまたは有機リン酸金
    属塩を含有する塩化ビニル系樹脂フィルムの一方の面
    に、シリカゾル及び/またはアルミナゾルと、バインダ
    ーとを含有する防曇剤組成物に由来する被膜が形成さ
    れ、他方の面に厚さ1〜10μmのアクリル系樹脂被膜
    が形成されてなる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムであ
    って、アクリル系樹脂が、 (イ)架橋アルキルアクリレート系弾性体粒子または架
    橋アルキルメタアクリレート系弾性体粒子(以下、合わ
    せて「架橋アルキル(メタ)アクリレート系弾性体粒
    子」と記す)の存在下に、下記の構造式(1)で示され
    るアルキルアクリレートモノマー、アルキルメタアクリ
    レートモノマーもしくはこれらの混合物(以下、合わせ
    て「アルキル(メタ)アクリレートモノマー」と記す)
    またはアルキル(メタ)アクリレートモノマーを主成分
    とし、これと共重合可能なビニル系モノマーとの混合物
    を重合して得られる、架橋アルキル(メタ)アクリレー
    ト系弾性体を幹とするグラフト共重合体を含有してお
    り、 (ロ)アクリル系樹脂中の架橋アルキル(メタ)アクリ
    レート系弾性体の割合が5〜80重量%であることを特
    徴とする農業用塩化ビニル系樹脂フィルム。 【化1】 (構造式中のR1 は水素またはメチル基を、nは1〜1
    2の整数を各々意味する)
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂フィルムが紫外線吸収
    剤を含有してなる請求項1に記載の農業用塩化ビニル系
    樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 塩化ビニル系樹脂フィルムが光安定剤を
    含有してなる請求項1または2に記載の農業用塩化ビニ
    ル系樹脂フィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014214259A (ja) * 2013-04-26 2014-11-17 ユーエムジー・エービーエス株式会社 架橋メタクリル樹脂及び耐傷付き性樹脂組成物
CN105713575A (zh) * 2016-04-05 2016-06-29 四川理工学院 一种长效时汽车玻璃防雾剂及其制备方法
CN115058207A (zh) * 2022-07-01 2022-09-16 杭州志和新材料有限公司 一种用于热贴合无缝墙布的宽幅胶膜及其制备方法

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CN115058207B (zh) * 2022-07-01 2023-07-11 杭州志和新材料有限公司 一种用于热贴合无缝墙布的宽幅胶膜及其制备方法

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