JPH083823A - 紡機のリフティング制御装置 - Google Patents

紡機のリフティング制御装置

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JPH083823A
JPH083823A JP12932894A JP12932894A JPH083823A JP H083823 A JPH083823 A JP H083823A JP 12932894 A JP12932894 A JP 12932894A JP 12932894 A JP12932894 A JP 12932894A JP H083823 A JPH083823 A JP H083823A
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power failure
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将嘉 坪井
Kazuo Seiki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】モータを駆動するのに必要な電力より小さな電
力で停電時にリフティング駆動系とスピンドル駆動系と
を同期して停止状態まで作動させ、ワインダ工程におけ
る糸の巻き返しに支障を来さない管糸を形成する。 【構成】ドラフトパート及びスピンドル駆動系は主モー
タMにより駆動され、リフティング駆動系はサーボモー
タ17により駆動される。スピンドル駆動系とリフティン
グ駆動系との間にベルト伝動機構25が設けられ、スピン
ドル駆動系の回転がリングレール9を上昇させる方向の
回転として電磁クラッチ27を介してリフティング駆動系
に伝達される。制御装置30は停電時にバッテリ36により
作動され、ロータリエンコーダ34の信号によりリングレ
ール9の位置を演算し、リングレール9がトップバンチ
巻き位置に達するまで電磁クラッチ27を接続状態に保持
するように励消磁制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリング精紡機、リング撚
糸機等の紡機のリフティング制御装置に係り、詳しくは
リフティング駆動系がローラパート及びスピンドル駆動
系と別のモータで駆動される紡機のリフティング制御装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の紡機においては管糸形成のため
に、機台運転中にリングレールの昇降運動を繰り返しな
がら次第にリングレールを上昇させ、これに伴ってラペ
ットアングル等も昇降させるリフティング装置が採用さ
れている。そして、フィリングビルディングを行う場
合、リングレールが1回毎に上下する量及び1回の巻き
上げ量の変更を容易にするために、リフティング駆動系
をローラパート及びスピンドル駆動系と別のモータで駆
動制御する構成の装置が提案されている。しかし、ロー
ラパート及びスピンドル駆動系とリフティング駆動系と
は慣性モーメントが大きく異なる。その結果、停電時に
スピンドル駆動系とリフティング駆動系のモータへの通
電がそれぞれ同時に停止された場合、リフティング駆動
系が停止した後もスピンドル駆動系はしばらく作動を継
続する。そして、管糸の同じ位置に糸が巻き取られ、再
起動時に糸切れが多発したり、ワインダ工程での巻き返
し時に輪抜けが起こるという不都合がある。
【0003】この問題点を解消するため、実公平3−4
8223号公報には、リフティング駆動系と、ドラフト
パート及びスピンドル駆動系とを独立して駆動モータに
より駆動し、両駆動系をクラッチを介して連結し、停電
時のみクラッチを接続状態にする制御機構を設けた装置
が開示されている。リフティング駆動系は機台長手方向
に配設されるとともに歯車が一体回転可能に設けられた
ラインシャフトを備えている。そして、リングレール等
を支持するポーカピラー(支柱)に前記歯車と係合して
ラインシャフトの正逆回転に対応して該支柱を昇降させ
る昇降手段が設けられ、ラインシャフトを駆動モータで
駆動することによりリングレール等を昇降させる構成と
なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】実公平3−48223
号公報に開示された装置では、通常運転時にはリフティ
ング駆動系がドラフトパート及びスピンドル駆動系の駆
動モータとは別の駆動モータにより駆動される。機台運
転中、停電によりリフティング駆動系及びスピンドル駆
動系の駆動モータへの通電が停止されると、両駆動系が
クラッチにより接続される。そして、両駆動系は駆動モ
ータが惰性回転となった後も、同期した状態で停止時ま
で駆動される。すなわち、リングレールは両駆動系の惰
性回転が停止するまで、停電発生時から一定方向へ移動
を続ける。
【0005】停電時に惰性運転が継続される時間は紡出
条件によって異なり、その間にリングレールが移動する
距離も紡出条件によって異なる。そして、リングレール
の移動距離は多い場合には1チェイス分、すなわち1回
の昇降量とほぼ同じ距離になる。従って、紡出条件及び
停電発生時におけるリングレールの位置によっては、リ
ングレールがボビン(管糸)の糸巻付け範囲を超えた位
置まで移動する場合が起こる。その結果、停電解消後の
再起動時に支障を来したり、ワインダ工程における巻き
返し時に糸切れが発生し易くなる。
【0006】例えば、スピンドル駆動系の回転がクラッ
チを介してリングレールの上昇方向への回転として伝達
される場合、8分玉以上の管糸でリングレールの上昇終
了付近で停電が発生すると、リングレールが玉揚げ停止
時のトップバンチ巻き位置より上方まで移動する場合が
起こる。又、スピンドル駆動系の回転がクラッチを介し
てリングレールの下降方向への回転として伝達される場
合、糸の巻取り量が少ない段階で停電が発生すると、不
都合が生じる。すなわち、糸の巻取り量が極めて少ない
段階でかつ、リングレールの下降終了付近で停電が発生
すると、リングレールがボビンの下部より下方まで移動
する場合が発生する。又、図10に示すように、フィリ
ングビルディングで形成される管糸61は、所定の径の
部分が連続する胴部62の下側に下方ほど縮径となる縮
径部63を有する。そのため、糸の巻取り量がある程度
確保された後であっても、管糸61の所謂胴部62の長
さが短い段階で停電が発生すると、リングレールが胴部
62より下方の縮径部63と対応する位置まで移動し、
縮径部63に糸が巻付けられる場合が発生する。胴部6
2が形成された後に、縮径部63に糸が巻き付けられる
と、ワインダ工程において巻き返すときに巻き返し不能
となり易い。
【0007】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的はリフティング駆動系がローラパ
ート及びスピンドル駆動系と別のモータで駆動される紡
機において、モータを駆動するのに必要な電力より小さ
な電力で停電時にリフティング駆動系とローラパート及
びスピンドル駆動系とを同期して停止状態まで作動させ
るとともに、停電解消後における機台の再起動時におけ
る糸切れを防止し、ワインダ工程における糸の巻き返し
に支障を来さない管糸を形成することができる紡機のリ
フティング制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め請求項1に記載の発明では、リフティング駆動系がロ
ーラパート及びスピンドル駆動系と別のモータで駆動さ
れる紡機において、ローラパート及びスピンドル駆動系
とリフティング駆動系との間に設けられ、ローラパート
及びスピンドル駆動系の回転をリフティング駆動系にリ
ングレールを上昇させる方向の回転として電磁クラッチ
を介して伝達する回転伝動機構と、メイン電源の遮断を
検出する電源遮断検出手段と、リングレールが移動規制
位置に達したことを検知する検知手段と、停電時にリン
グレールが移動規制位置に達するまで前記電磁クラッチ
を接続状態に保持するように電磁クラッチの励消磁制御
を行う制御手段と、停電発生後、前記電磁クラッチ、検
知手段及び制御手段を所定時間作動させるための非常用
電源とを備えた。
【0009】又、請求項2に記載の発明では、請求項1
に記載の発明において、ローラパート及びスピンドル駆
動系の回転をリフティング駆動系にリングレールを上昇
させる方向の回転として電磁クラッチを介して伝達する
回転伝動機構に代えて、ローラパート及びスピンドル駆
動系の回転をリフティング駆動系にリングレールを下降
させる方向の回転として電磁クラッチを介して伝達する
回転伝動機構を設けた。
【0010】又、請求項3に記載の発明では、リフティ
ング駆動系がローラパート及びスピンドル駆動系と別の
モータで駆動される紡機において、ローラパート及びス
ピンドル駆動系とリフティング駆動系との間に設けら
れ、ローラパート及びスピンドル駆動系の回転をリフテ
ィング駆動系に電磁クラッチを介して伝達するととも
に、その回転方向をリングレールの上昇方向及び下降方
向に切り替えるための上昇用電磁クラッチ及び下降用電
磁クラッチを備えた回転伝動機構と、メイン電源の遮断
を検出する電源遮断検出手段と、リングレールが所定位
置より上に有るか否かを検知する検知手段と、停電発生
時におけるリングレールの位置が予め設定された所定位
置以下の場合は、停電時にリングレールが停止するまで
上昇用電磁クラッチを接続状態に保持するように、停電
時におけるリングレールの位置が前記所定位置より高い
場合は、停電時にリングレールが停止するまで下降用電
磁クラッチを接続状態に保持するように、両電磁クラッ
チの励消磁制御を行う制御手段と、停電発生後、前記電
磁クラッチ、検知手段及び制御手段を所定時間作動させ
るための非常用電源とを備えた。
【0011】又、請求項4に記載の発明では、請求項3
に記載の発明において、前記所定位置は機台の惰性運転
中にリングレールが下降を継続するとリングレールの到
達位置が管糸の胴部の下端となる位置より上で、惰性運
転中にリングレールが上昇を継続するとリングレールの
到達位置がトップバンチ巻き位置となる位置より下の範
囲の任意の位置である。
【0012】又、請求項5に記載の発明では、請求項3
に記載の発明において、リングレールが所定位置より上
に有るか否かを検知する検知手段に代えてリングレール
の位置を検出する位置検出手段を設け、停電発生時にお
けるリングレールの位置が予め設定された所定位置以下
の場合は、停電時にリングレールが停止するまで上昇用
電磁クラッチを接続状態に保持するように、停電時にお
けるリングレールの位置が前記所定位置より高い場合
は、停電時にリングレールが停止するまで下降用電磁ク
ラッチを接続状態に保持するように、両電磁クラッチの
励消磁制御を行う制御手段に代えて、停電時にリングレ
ールが非停電時の所定の昇降運動を継続するように両電
磁クラッチの励消磁制御を行う制御手段を設けた。
【0013】
【作用】請求項1に記載の発明では、機台の通常運転時
には、リフティング駆動系と、ローラパート及びスピン
ドル駆動系とがそれぞれ別のモータで駆動される。機台
の運転中に停電が発生すると、検知手段、電磁クラッチ
及び制御手段には非常用電源から電力が供給される。停
電が発生すると、電磁クラッチが接続状態に保持され、
ローラパート及びスピンドル駆動系の回転がリフティン
グ駆動系にリングレールを上昇させる方向の回転として
電磁クラッチを介して伝達される。制御手段は検知手段
の信号に基づいて惰性回転の継続中にリングレールが移
動規制位置に達したことを確認すると、電磁クラッチの
接続状態を解除する。その結果、リングレールは惰性回
転が停止するまで当該位置に保持される。従って、糸が
前記移動規制位置と対応する管糸の所定位置より上方に
巻き取られることが防止される。
【0014】請求項2に記載の発明では、ローラパート
及びスピンドル駆動系の回転が回転伝動機構により、リ
ングレールを下降させる方向の回転としてリフティング
駆動系へ伝達される点が異なっている。すなわち、糸が
管糸の所定位置より下方に巻き取られることが防止され
る。
【0015】請求項3及び請求項4に記載の発明では、
停電が発生すると、制御手段は検知手段の信号によりリ
ングレールの位置が所定位置より高いか否かを判断す
る。リングレールの位置が所定位置より高いときは、回
転伝動機構に装備された下降用電磁クラッチが接続状態
にされる。そして、リングレールは惰性回転が停止する
まで下降する。停電発生時にリングレールの位置が前記
所定位置以下の場合は、上昇用電磁クラッチが接続状態
にされ、リングレールは惰性回転が停止するまで上昇す
る。
【0016】請求項5に記載の発明では、機台の運転中
に停電が発生すると、位置検出手段、電磁クラッチ及び
制御手段には非常用電源から電力が供給される。制御手
段は位置検出手段の出力信号に基づいてリングレールの
位置を演算する。そして、制御手段はリングレールが停
止するまで、リングレールが非停電時の所定の昇降運動
を継続するように両電磁クラッチの励消磁制御を行う。
【0017】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明をラインシャフトを正逆回転
させることによりリングレール及びラペットアングルを
昇降動する構成のリフティング装置を備えたリング精紡
機に具体化した第1実施例を図1〜図5に従って説明す
る。
【0018】図1に示すように、ローラパートとしての
ドラフトパートを構成するフロントローラ1の回転軸1
aは歯車列2を介してドライビングシャフト3に連結さ
れている。ドライビングシャフト3はベルト伝動機構4
を介して主モータMにより回転駆動される。スピンドル
5はドライビングシャフト3に固定されたチンプーリ6
との間に巻き掛けられたスピンドルテープ7を介して回
転駆動されるようになっている。回転軸1a、歯車列
2、ドライビングシャフト3、ベルト伝動機構4及び主
モータMによりドラフトパート駆動系が構成され、ドラ
イビングシャフト3、ベルト伝動機構4、チンプーリ
6、スピンドルテープ7及び主モータMによりスピンド
ル駆動系が構成されている。すなわち、ドラフトパート
及びスピンドル駆動系は共通の主モータMにより駆動さ
れる。なお、ドラフトパート及びスピンドル5は精紡機
機台の左右両側に配設されているが、図1では片側のみ
示している。
【0019】スピンドルレール(図示せず)の長手方向
に沿って、すなわちドライビングシャフト3と並行にラ
インシャフト8(片側のみ図示)が回転自在に配設され
ている。ラインシャフト8にはそれぞれリングレール9
及びラペットアングル10を昇降作動する昇降ユニット
11が所定間隔で配設されている(1個のみ図示)。昇
降ユニット11はラインシャフト8に一体回転可能に嵌
着固定されたねじ歯車12と、リングレール9あるいは
ラペットアングル10を支持するポーカピラー13の下
部に形成されたスクリュー部13aが螺合するナット体
14とを備えている。ポーカピラー13は上下方向に移
動可能に機台フレーム(図示せず)に支承されている。
ナット体14は機台フレームの所定高さ位置にブラケッ
ト(図示せず)を介して回転可能に支持され、その外周
に互いに噛合するねじ歯車14aが一体に形成されてい
る。リングレール9を支持するポーカピラー13と対応
するナット体14のねじ歯車14aは、ねじ歯車12に
も噛合されている。なお、これらの構成は例えば特開平
2−277826号公報に開示された装置と基本的に同
様である。
【0020】ラインシャフト駆動系を構成する回転軸1
5は、両ラインシャフト8と平行に回転自在に配設さ
れ、回転軸15の中間部には歯車16が嵌着固定されて
いる。歯車16はサーボモータ17の出力軸17aに嵌
着固定された歯車18と噛合している。両ラインシャフ
ト8の端部と対応する位置には、ラインシャフト8と直
交する状態で回転軸19が配設されている。回転軸19
の両端にはラインシャフト8の端部に嵌着固定されたウ
ォームホイール20と噛合するウォーム21が嵌着固定
されている。回転軸15の第1端部にはかさ歯車22が
嵌着固定され、かさ歯車22は回転軸19の中間部に嵌
着固定されたかさ歯車23と噛合している。そして、サ
ーボモータ17の正逆回転に伴って回転軸15が正逆回
転駆動されるとともに回転軸19が正逆回転駆動され、
回転軸19の正逆回転に伴ってラインシャフト8が正逆
回転駆動される。ラインシャフト8、昇降ユニット11
及び前記ラインシャフト駆動系によりリングレール9及
びラペットアングル10を昇降させるリフティング駆動
系が構成されている。
【0021】ドライビングシャフト3の回転が歯車列を
介して伝達される回転軸24の端部と、前記回転軸15
との間にはベルト伝動機構25が配設されている。ベル
ト伝動機構25は回転軸24に嵌着された歯付きプーリ
26と、回転軸15に回転自在に支承されるとともに電
磁クラッチ27を介して回転軸15と一体回転可能な歯
付きプーリ28と、両歯付きプーリ26,28間に巻き
掛けられた歯付きベルト29とから構成されている。ベ
ルト伝動機構25はローラパート及びスピンドル駆動系
の回転を、リフティング駆動系にリングレールを上昇さ
せる方向の回転として伝達する回転伝動機構を構成す
る。電磁クラッチ27として励磁状態で歯付きプーリ2
8と回転軸15とを連結する型のものが使用されてい
る。
【0022】サーボモータ17は制御装置30によりサ
ーボドライバ31を介して駆動制御され、主モータMは
制御装置30によりインバータ32を介して駆動制御さ
れる。制御装置30には入力装置33が接続されてい
る。サーボモータ17にはロータリエンコーダ34が装
備されている。ロータリエンコーダ34はリングレール
9が移動規制位置に達したことを検知する検知手段の役
割を果たす。又、ラインシャフト8の端部には歯車を介
してアブソリュートタイプのロータリエンコーダ35が
連結されている。ロータリエンコーダ35は起動時にリ
ングレール9の位置を確認するために使用され、運転中
は使用されない。
【0023】電磁クラッチ27、制御装置30及びロー
タリエンコーダ34は非常用電源としてのバッテリ36
に接続され、メイン電源(通常電源)及びバッテリ36
の両者を電源として使用可能に構成されている。そし
て、停電発生時に電源がメイン電源からバッテリ36に
切り換えられるようになっている。バッテリ36は停電
発生後に電磁クラッチ27、制御装置30及びロータリ
エンコーダ34を所定時間作動させる役割を果たす。バ
ッテリ36としては例えば、起電力24Vのバッテリが
使用される。この電圧のバッテリはサーボモータ17を
駆動することはできないが、電磁クラッチ27、制御装
置30及びロータリエンコーダ34を作動させることは
できる。
【0024】サーボモータ17、主モータM及び電磁ク
ラッチ27を駆動制御する制御手段としての制御装置3
0は、図2に示すように、制御手段及び演算手段として
の中央処理装置(以下、CPUという)37を備えてい
る。制御装置30はプログラムメモリ38、記憶手段と
しての作業用メモリ39、入出力インタフェース40、
主モータ駆動回路41、サーボモータ駆動回路42及び
電磁クラッチ励消磁回路43を備えている。CPU37
は入出力インタフェース40を介してロータリエンコー
ダ34,35と接続されている。CPU37は入出力イ
ンタフェース40及び主モータ駆動回路41を介してイ
ンバータ32に接続され、入出力インタフェース40及
びサーボモータ駆動回路42を介してサーボドライバ3
1に接続されている。又、CPU37は入出力インタフ
ェース40及び電磁クラッチ励消磁回路43を介して電
磁クラッチ27に、入出力インタフェース40を介して
電源遮断検出手段44に接続されている。電源遮断検出
手段44はメイン電源の遮断を検出する。
【0025】CPU37はプログラムメモリ38に記憶
された所定のプログラムデータに基づいて動作する。プ
ログラムメモリ38は読出し専用メモリ(ROM)より
なり、前記プログラムデータと、その実行に必要な各種
データとが記憶されている。作業用メモリ39は読出し
及び書替え可能なメモリ(RAM)よりなり、入力装置
33により入力されたデータやCPU37における演算
処理結果等を一時記憶する。入力装置33はキースイッ
チを備え、紡出運転時のスピンドル回転数、紡出長、リ
フト長、チェイス長等の紡出条件データを入力する。
又、入力装置33により停電時におけるリングレール9
の移動規制位置が入力される。この実施例では移動規制
位置が玉揚げ停止時におけるトップバンチ巻き位置に設
定されている。
【0026】CPU37はロータリエンコーダ35から
の出力信号に基づいてリングレール9の位置を演算し、
ロータリエンコーダ34からの出力信号に基づいてリン
グレール9の移動量及び位置を演算する。そして、CP
U37は入力装置33で入力されたリフティング条件と
なるリングレール9の反転時期をリングレール9の移動
量及び位置に基づいて演算し、サーボドライバ31を介
してサーボモータ17を駆動制御するようになってい
る。又、CPU37はインバータ32を介して主モータ
Mを駆動制御し、電磁クラッチ励消磁回路43を介して
電磁クラッチ27を励消磁制御する。
【0027】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。機台の運転に先立ってまず、紡出運転時のス
ピンドル回転数、紡出長、リフト長、チェイス長等の紡
出条件データが入力装置33により入力される。又、停
電時におけるリングレール9の移動規制位置すなわちト
ップバンチ巻き位置が入力装置33により入力される。
そして、機台の起動に伴い制御装置30からの指令によ
り、主モータM及びサーボモータ17が駆動制御され
る。電磁クラッチ27は消磁状態に保持され、ドライビ
ングシャフト3の回転は回転軸15には伝達されない。
【0028】サーボモータ17が駆動されると回転軸1
5、回転軸19、ウォーム21及びウォームホイール2
0等を介してラインシャフト8が回転され、ねじ歯車1
2を介してナット体14が回転される。そして、ナット
体14に螺合されたポーカピラー13が上昇あるいは下
降移動され、リングレール9等が昇降動される。サーボ
モータ17の正転時にリングレール9等が上昇移動さ
れ、逆転時に下降移動される。フロントローラ1から送
出された糸はスネルワイヤ及びリング上を摺動するトラ
ベラを経てボビンに巻き取られる。
【0029】CPU37はロータリエンコーダ35から
の出力信号に基づいて起動時のリングレール9の位置を
演算し、その値に基づいてロータリエンコーダ34の基
準値を補正する。そして、運転中はサーボモータ17に
装備されたロータリエンコーダ34からの出力信号に基
づいてリングレール9の移動量及び位置を演算する。C
PU37は予め入力された1チェイスの上昇量あるいは
下降量と対応する距離だけリングレール9が移動した時
点でサーボモータ17の回転方向を変更するようにサー
ボモータ17を駆動制御する。
【0030】運転中に停電等の異常事態によりメイン電
源が遮断されると、主モータM及びサーボモータ17等
へのメイン電源からの通電が停止され、主モータM及び
サーボモータ17は惰性回転となり、機台は惰性運転と
なる。又、電磁クラッチ27、制御装置30及びロータ
リエンコーダ34の電源が通常電源からバッテリ36に
切り換えられる。そして、CPU37は電源遮断検出手
段44からメイン電源遮断の信号を入力すると、停電時
の制御プログラムである図3のフローチャートに従って
電磁クラッチ27の励消磁制御を行う。
【0031】CPU37はステップS1で電磁クラッチ
27に励磁信号を出力する(電磁クラッチ励磁工程)と
ともに、その時点におけるリングレール9の位置を作業
用メモリ39に記憶させる(ステップS2)。電磁クラ
ッチ27の励磁により歯付きプーリ28の回転が回転軸
15に伝達され、かさ歯車22,23、回転軸19、ウ
ォーム21及びウォームホイール20を介してラインシ
ャフト8がリングレール9を上昇させる方向に回転され
る。回転軸15の回転が歯車16及び歯車18を介して
出力軸17aに伝達され、ロータリエンコーダ34から
回転軸15の回転量に対応したパルス信号が出力され
る。CPU37はステップS3でロータリエンコーダ3
4からの出力信号に基づいてリングレール9の位置を演
算する(リングレール位置演算工程)。CPU37はス
テップS4でリングレール9が移動中か否か、すなわち
ドラフトパート及びスピンドル駆動系の惰性運転が継続
されているか否かを判断する。そして、リングレール9
が移動中であればCPU37はステップS5に進み、リ
ングレール9が移動規制位置に達したか否か、すなわち
リングレール9の位置が移動規制位置より低いか否かを
判断する(リングレール位置判断工程)。
【0032】ステップS5でリングレール9の位置が移
動規制位置より低ければステップS3に戻る。リングレ
ール9の位置が移動規制位置以上であればステップS6
に進み、CPU37はリングレール9が移動規制位置に
達したことを作業用メモリ39の所定記憶領域に記憶さ
せる。次にステップS7に進み、CPU37は電磁クラ
ッチ27に消磁信号を出力する(電磁クラッチ消磁工
程)。電磁クラッチ27の消磁に伴い、回転軸15に対
する歯付きプーリ28の回転伝達が阻止され、リングレ
ール9は当該位置で停止する。そして、この状態で惰性
運転が終了するまで糸の巻取りが継続されて、図4に示
すようにボビン(管糸)Bのトップバンチ巻き位置に糸
Yが巻かれる。又、ステップS4でリングレール9が移
動中でなければステップS7に進み、CPU37は電磁
クラッチ27に消磁信号を出力する。
【0033】停電時に惰性運転が継続される時間は紡出
条件によって異なり、その間にリングレール9が移動す
る距離も紡出条件によって異なる。しかし、一般にリン
グレール9は機台の惰性運転中に通常運転時の1チェイ
スの移動量の1/2より多く移動する。従って、図5
(a)に示すように、停電発生位置Sがリングレール9
の上昇への反転直後の位置でも、リングレール9は図5
(a)に鎖線で示す非停電時の反転位置Rより上方まで
移動した位置で停止する。そのため、停電発生時におい
て管糸がほぼ8分玉より大きな状態に糸が巻かれている
と、リングレール9は移動中にトップバンチ巻き位置に
達する場合がある。そして、トップバンチ巻きが形成さ
れる。
【0034】一方、管糸がほぼ8分玉以下の場合は、リ
ングレール9はスピンドルが停止するまで上昇を続け
る。従って、停電時に糸が管糸の同じ位置に巻き取られ
ることが防止される。又、管糸がほぼ7分玉より小さな
場合には、リングレール9は停止するまで管糸の正規の
糸巻取り範囲から逸脱することがない。
【0035】停電が解消すると、CPU37は停電に伴
う制御時にリングレール9が移動規制位置に達したか否
かを、作業用メモリ39の記憶領域のデータから確認す
る。そして、移動規制位置に達していない場合は、CP
U37は機台を再起動させるとともに、停電発生位置の
次のリングレール9の上昇への反転位置Pまでリングレ
ール9を移動させた後、停電発生に伴って中断した昇降
運動を継続するようにサーボモータ17を駆動制御す
る。リングレール9を前記反転位置Pに移動させる場
合、図5(c)に示すように一気に反転位置Pまで下降
させる方法と、図5(b)に示すように途中まで下降さ
せるとともに一度上昇させ、その後、反転位置Pまで下
降させる方法とがある。いずれの方法であっても、管糸
形状にはほとんど差がないが、図5(c)に示す方法の
方が、制御が容易となる。
【0036】なお、紡出条件によってはリングレール9
が停電発生時のチェイス内で停止する場合もある。その
場合は、CPU37は機台の再起動後、停電発生に伴っ
て中断した昇降運動を継続するようにサーボモータ17
を駆動制御する。
【0037】一方、リングレール9が移動規制位置に達
している場合は、CPU37は機台を再起動させるとと
もに、玉揚げのための停止動作におけるトップバンチ巻
き形成後の動作を行う。すなわち、リングレール9を高
速で下降させた後、リングレール9をボトムバンチ巻き
位置に所定時間保持し、次いで一次上昇位置まで上昇さ
せるようにサーボモータ17を駆動制御する。その後、
玉揚げ作業が行われる。停電発生後の惰性運転時にリン
グレール9がトップバンチ巻き位置まで到達するのは、
前記のように管糸がほぼ8分玉より大きな状態の場合で
あるため、その状態で玉揚げを行ってもワインダ工程で
支障を生じることはない。
【0038】(実施例2)次に第2実施例を図6及び図
7に従って説明する。この実施例ではドラフトパート及
びスピンドル駆動系の回転をリフティング駆動系に伝達
する回転伝動機構の構成が前記実施例と異なっており、
その他の構成は同じである。実施例1と同一部分は同一
符号を付して詳しい説明を省略する。図6に示すように
回転軸15と回転軸24との間には回転伝動機構として
の歯車列45が配設されている。歯車列45は回転軸2
4に嵌着された歯車45aと、回転軸15に回転自在に
支承されるとともに電磁クラッチ46を介して回転軸1
5と一体回転可能な歯車45bと、両歯車45a,45
b間に配設された2個の歯車45c,45dとからな
る。歯車列45は回転軸24の回転をその回転方向と逆
方向に回転軸15を回転させるように電磁クラッチ46
を介して回転軸15に伝達する構成となっている。すな
わち、この実施例では電磁クラッチ46が接続状態にな
ると、ローラパート及びスピンドル駆動系の回転がリン
グレール9を下降させる方向の回転として回転軸15に
伝達される。
【0039】又、運転に先立って入力される移動規制位
置がトップバンチ巻き位置ではなく、管糸の胴部の下端
と対応する位置に設定される。この実施例でもCPU3
7は前記実施例と同様に動作し、停電が発生すると電磁
クラッチ46が励磁されて歯車45bが回転軸15と一
体的に回転する状態に保持される。そして、ドラフトパ
ート及びスピンドル駆動系の回転がリングレール9を下
降させる方向への回転としてリフティング駆動系に伝達
される。そして、図7(a),(b)に示すように、リ
ングレール9は停電発生位置から停止するまで下降を継
続する。CPU37はリングレール9が移動規制位置に
達したか否か、すなわちリングレール9の位置が移動規
制位置より高いか否かを判断する。惰性運転の継続中に
リングレール9が移動規制位置に達すると、電磁クラッ
チ46が消磁されてリングレール9が当該位置で停止す
る。そして、スピンドル5が停止するまで管糸の胴部の
下端と対応する位置に糸が巻き取られる。その結果、糸
が管糸の胴部より下側の縮径部に巻き取られることが回
避される。
【0040】停電が解消すると、CPU37は機台を再
起動させるとともに、図7(c)に示すように、停電発
生位置Sの次のリングレール9の下降への反転位置Qま
でリングレール9を移動させた後、停電発生に伴って中
断した昇降運動を継続するようにサーボモータ17を駆
動制御する。なお、紡出条件によっては図7(a)に示
すように、リングレール9が停電発生時のチェイス内で
停止する場合もある。その場合は、CPU37は機台の
再起動後、停電発生に伴って中断した昇降運動を継続す
るようにサーボモータ17を駆動制御する。
【0041】この実施例の装置では停電発生後の惰性運
転中に、糸が管糸の同じ位置に巻き取られる場合があ
る。この場合、ワインダ工程での糸の巻き返し作業時に
所謂輪抜けが発生する場合がある。輪抜けが発生するこ
とは好ましくないが、輪抜けを回避するため、前記惰性
運転時に糸が管糸の縮径部に巻き取られるのを許容する
と、ワインダ工程での巻き返しが不能となる状態が発生
し易い。すなわち、トラブルの状態としては輪抜け発生
の方が軽微である。
【0042】又、この実施例では電磁クラッチ46は回
転軸15にリングレール9を下降させる方向への回転を
伝達する構成のため、電磁クラッチ46の接続時に必要
とするトルクは、リングレール9を上昇させる方向への
回転を伝達する構成の場合と比較して小さくなる。従っ
て、第1実施例で使用する電磁クラッチ27に比較して
小型の電磁クラッチを使用でき、設置スペースの確保が
容易となるとともに、コストも安くなる。
【0043】(実施例3)次に第3実施例を図8及び図
9に従って説明する。この実施例ではローラパート及び
スピンドル駆動系の回転をリフティング駆動系に伝達す
る回転伝動機構の構成が前記両実施例と異なっており、
その他の構成は同じである。実施例1と同一部分は同一
符号を付して詳しい説明を省略する。
【0044】図8に示すように回転軸15と回転軸24
との間に配設された回転伝動機構47は、両回転軸1
5,24の間に中間軸48が配設されている。中間軸4
8はベルト伝動機構49を介して回転軸24と連結され
ている。中間軸48と回転軸15との間には歯車列5
0,51が設けられている。回転軸15には歯車列50
の回転を回転軸15に伝達する上昇用電磁クラッチ52
が装備されるとともに、歯車列51の回転を回転軸15
に伝達する下降用電磁クラッチ53が装備されている。
従って、上昇用電磁クラッチ52が励磁されると中間軸
48の回転が、リングレール9を上昇させる方向の回転
として歯車列50及び上昇用電磁クラッチ52を介して
回転軸15に伝達される。一方、下降用電磁クラッチ5
3が励磁されると中間軸48の回転が、リングレール9
を下降させる方向の回転として歯車列51及び下降用電
磁クラッチ53を介して回転軸15に伝達される。な
お、制御装置30には上昇用電磁クラッチ用及び下降用
電磁クラッチ用にそれぞれ励消磁回路が設けられてい
る。又、ロータリエンコーダ34はリングレール9が所
定位置より上に有るか否かを検知する検知手段の役割を
果たす。
【0045】CPU37は停電が発生すると図9に示す
フローチャートに従って両電磁クラッチ52,53を励
消磁制御する。CPU37はステップS11で停電発生
時におけるリングレール9の位置を作業用メモリ39に
記憶させた後、ステップS12でその位置が所定位置よ
り高いか否かの判断を行う(リングレール位置判断工
程)。この所定位置は機台の惰性運転中にリングレール
9が下降を継続するとリングレール9の到達位置が管糸
の胴部の下端となる位置より上で、惰性運転中にリング
レール9が上昇を継続するとリングレール9の到達位置
がトップバンチ巻き位置となる位置より下の範囲の任意
の位置である。そして、予め入力装置33により入力さ
れる。所定位置として、例えば管糸が5分玉となったと
きに対応するリングレール9の位置が入力される。
【0046】ステップS12でリングレール9の位置が
所定位置より高ければ、CPU37はステップS13に
進んで下降用電磁クラッチ53に励磁信号を出力する
(下降用電磁クラッチ励磁工程)。次にCPU37はス
テップS14に進んでリングレール9の位置を演算した
後、その値に基づいてステップS15でリングレール9
の位置変化の有無すなわち惰性運転が継続中か否かを判
断する。ステップS15で位置変化がなければステップ
S16に進んで下降用電磁クラッチ53を消磁させ(下
降用電磁クラッチ消磁工程)た後、動作を終了する。ス
テップS15で位置変化があればステップS14に戻
る。
【0047】ステップS12でリングレール9の位置が
所定位置以下であれば、CPU37はステップS17に
進んで上昇用電磁クラッチ52に励磁信号を出力する
(上昇用電磁クラッチ励磁工程)。そして、CPU37
はステップS18に進んでリングレール9の位置を演算
した後、その値に基づいてステップS19でリングレー
ル9の位置変化の有無すなわち惰性運転が継続中か否か
を判断する。ステップS19で位置変化がなければステ
ップS20に進んで上昇用電磁クラッチ52を消磁させ
(上昇用電磁クラッチ消磁工程)た後、動作を終了す
る。ステップS19で位置変化があればステップS18
に戻る。
【0048】すなわち、停電発生時にリングレール9の
位置が所定位置より高ければ、惰性運転終了まで下降用
電磁クラッチが接続状態に保持され、リングレール9は
スピンドル5が停止するまで下降を継続する。又、停電
発生時にリングレール9の位置が所定位置以下であれ
ば、惰性運転終了まで上昇用電磁クラッチが接続状態に
保持され、リングレール9はスピンドル5が停止するま
で上昇を継続する。従って、惰性運転中に管糸の同じ位
置に糸が巻き取られることはない。そして、リングレー
ル9が下降を継続しても、リングレール9が管糸の胴部
の下端より下方に移動することはない。又、リングレー
ル9が上昇を継続しても、リングレール9は停止するま
でトップバンチ巻き位置に達することがない。
【0049】停電が解消されると、CPU37は作業用
メモリ39に記憶された停電発生時におけるリングレー
ル9の位置から、惰性運転中にリングレール9が上昇、
下降のいずれの移動を行ったかを判断する。そして、上
昇を行った場合であれば、CPU37は機台の再起動後
に第1実施例における巻取り継続時と同じように、サー
ボモータ17を駆動制御する。又、下降を行った場合
は、CPU37は機台の再起動後に第2実施例における
巻取り継続時と同じように、サーボモータ17を駆動制
御する。
【0050】この実施例の装置では、運転中に停電が発
生した場合、管糸に巻き取られている糸量の多少に拘ら
ず、惰性運転終了まで糸が管糸の同じ位置に巻き取られ
ることなく、しかも再起動時に支障を来さない位置に巻
き取られる。従って、第1実施例と異なり満管前に途中
玉揚げを行う必要がない。又、ワインダ工程での糸の巻
き返し時に輪抜けが発生することもない。又、電磁クラ
ッチが2個装備されているが、両電磁クラッチ52,5
3が同時に励磁されることがないので、消費電力が増大
することはない。
【0051】(実施例4)次に第4実施例を説明する。
この実施例の装置は機械的構成は第3実施例と同じであ
り、停電時におけるCPU37の動作プログラムが第3
実施例と異なっている。なお、ロータリエンコーダ34
はリングレール9の位置を検出する位置検出手段の役割
を果たす。電源遮断検出手段44からメイン電源遮断信
号が出力されると、CPU37はリングレール9が非停
電時の所定の昇降運動を継続するように両電磁クラッチ
52,53の励消磁制御を行う。すなわち、CPU37
は先ずロータリエンコーダ34からの出力信号に基づい
てリングレール9の位置を演算し、リングレール9が1
チェイスのどの状態にあるかを判断する。そして、上昇
中であれば上昇用電磁クラッチ52を励磁させ、下降中
であれば下降用電磁クラッチ53を励磁させる。その
後、リングレール9の位置を逐次演算し、上昇から下降
への反転位置に達すると、上昇用電磁クラッチ52を消
磁して、下降用電磁クラッチ53を励磁させる。又、下
降から上昇への反転位置に達すると、下降用電磁クラッ
チ53を消磁して、上昇用電磁クラッチ52を励磁させ
る。そして、惰性運転が終了した時点で両電磁クラッチ
52,53を消磁する。
【0052】停電が解消されると、CPU37は停電発
生に伴って中断した昇降運動を継続するように、機台の
再起動後にサーボモータ17を駆動制御する。この実施
例の場合も第3実施例と同様な効果を発揮する。又、停
電解消後の機台の再起動時の初期にリングレール9を通
常運転時とは別のパターンで移動させるためのプログラ
ムが不要となる。
【0053】なお、本発明は前記各実施例に限定される
ものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 (1)第1及び第2実施例において、検知手段としてリ
ングレール9が移動規制位置と対応する位置に達したと
き、リングレール9を検知するセンサを設け、制御手段
としてセンサのオン信号により励磁されるリレーを設け
てもよい。そして、リレーの常閉接点を電磁クラッチ2
7及び電磁クラッチ46にそれぞれ直列に接続する。こ
の構成により、停電発生と同時に電磁クラッチ27及び
電磁クラッチ46が励磁され、リングレール9が移動規
制位置に達すると、リレーがオンとなって電磁クラッチ
27及び電磁クラッチ46が消磁される。センサとして
はリミットスイッチ、近接スイッチ、光電スイッチなど
が使用される。
【0054】(2)第1及び第2実施例において電磁ク
ラッチ27,46として、停電時に回転軸15と歯付き
プーリ28及び歯車45bとを接続し、通電時には回転
軸15と歯付きプーリ28及び歯車45bとを切り離す
作用をなす所謂スプリングクローズ型の電磁クラッチを
使用してもよい。又、(1)に記載した変更例において
もスプリングクローズ型の電磁クラッチを使用してもよ
い。
【0055】この場合は停電と同時に自動的に電磁クラ
ッチ27,46が接続状態となる。惰性運転中にリング
レール9が移動規制位置に達すると、電磁クラッチ2
7,46が励磁されてリングレール9が停止する。従っ
て、バッテリ36による電磁クラッチの励磁時間が短く
なり、バッテリ36の消費量が少なくなる。
【0056】(3)第3実施例においてリングレール9
が所定位置より上に有るか否かを検知する検知手段を、
リングレール9に取り付けた被検知部材と、所定位置に
設けたセンサとから構成してもよい。センサとしてはリ
ミットスイッチ、近接スイッチ、光電スイッチなどが使
用される。そして、被検知部材はリングレール9が所定
位置より上に存在する間それらのセンサと係合あるいは
対向する状態となるように上下方向に延設されるか、リ
ングレール9が所定位置及びそれより下に存在する間に
前記センサと係合あるいは対向する状態となるように上
下方向に延設される。
【0057】(4)リングレールの位置検出手段として
ロータリエンコーダ以外のものを使用してもよい。例え
ば、リングレールの昇降範囲の近傍に多数の永久磁石が
そのN極とS極とが交互に配列されたいわゆるマグネッ
トスケールを配設するとともに、その検出部をリングレ
ールに一体移動可能に固定した構成の装置を採用しても
よい。又、リニアポテンショメータを位置検出手段とし
て使用してもよい。又、ロータリエンコーダの取付け位
置は、ラインシャフトの回転と同期して回転される部品
であれば、適宜の位置に取付けてよい。
【0058】(5)リングレール9を昇降する駆動手段
として、実公平3−29334号公報に開示された装置
のように、リングレール9を支持するポーカピラー13
の下部にラックを形成し、ラインシャフト8にねじ歯車
12に代えてピニオンを取付けてもよい。
【0059】(6)サーボモータ17に代えてインバー
タを介して変速制御される可変速モータを使用するとと
もに、その出力軸とラインシャフト8との間に一対の電
磁クラッチの励消磁によりラインシャフトの回転方向を
変更する機構を設けてもよい。又、主モータMとして定
速度電動機を使用してもよい。
【0060】(7)スピンドル5をチンプーリ6に巻き
掛けられるスピンドルテープ7で駆動する構成に代え
て、タンゼンシャルベルトにより駆動する構成としても
よい。又、リング撚糸機に適用してもよい。
【0061】前記実施例及び変更例から把握できる請求
項記載以外の発明について、以下にその効果とともに記
載する。 (1)請求項1に記載のリフティング制御装置を使用し
た場合、停電時の惰性運転途中にリングレールが移動規
制位置に達したとき、機台再起動後ただちに玉揚げ停止
動作を行う。この場合、トップバンチ巻き位置に糸が巻
き取られた後、再び巻取りが継続されるのが回避され、
ワインダ工程での巻き返し時に支障を来さない。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項5
に記載の発明によれば、リフティング駆動系がローラパ
ート及びスピンドル駆動系と別のモータで駆動される紡
機において、モータを駆動するのに必要な電力より小さ
な電力で停電時にリフティング駆動系とローラパート及
びスピンドル駆動系とを同期して停止状態まで作動させ
ることができ、停電解消後における機台の再起動時にお
ける糸切れを防止し、ワインダ工程において糸の巻き返
し不能となるのを回避できる管糸を形成することができ
る。
【0063】又、請求項1及び請求項3〜5に記載の発
明では、管糸の正規の糸巻取り範囲の同じ位置に連続し
て糸が巻き取られることがなく、ワインダ工程での巻き
返し時に輪抜けが発生することがない。又、請求項3〜
5に記載の発明では、停電解消後に巻取りを継続して確
実に満管糸となるまで巻取りを行うことができる。又、
請求項5に記載の発明では、さらに停電解消後の機台の
再起動時の初期にリングレールを通常運転時とは別のパ
ターンで移動させるためのプログラムが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例の駆動系の概略
斜視図である。
【図2】制御装置の電気的構成を示すブロック図であ
る。
【図3】作用を示すフローチャートである。
【図4】満管前にトップバンチ巻きが形成される状態を
示す概略図である。
【図5】(a)は停電後のリングレールの位置変化を示
す線図、(b)及び(c)は再起動後のリングレールの
位置変化を示す線図である。
【図6】第2実施例の回転伝動機構の概略斜視図であ
る。
【図7】同じく(a),(b)は停電後のリングレール
の位置変化を示す線図、(c)は再起動後のリングレー
ルの位置変化を示す線図である。
【図8】第3実施例の回転伝動機構の概略斜視図であ
る。
【図9】第3実施例の作用を示すフローチャートであ
る。
【図10】巻取り途中の管糸の形状を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1…ローラパートとしてのドラフトパートを構成するフ
ロントローラ、3…ドラフトパート及びスピンドル駆動
系を構成するドライビングシャフト、8…リフティング
駆動系を構成するラインシャフト、9…リングレール、
17…サーボモータ、25…回転伝動機構としてのベル
ト伝動機構、27,46…電磁クラッチ、30…制御手
段としての制御装置、34…検知手段及び位置検出手段
としてのロータリエンコーダ、37…演算手段及び制御
手段としてのCPU、36…非常用電源としてのバッテ
リ、44…電源遮断検出手段、45…回転伝動機構とし
ての歯車列、47…回転伝動機構、52…上昇用電磁ク
ラッチ、53…下降用電磁クラッチ、M…主モータ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リフティング駆動系がローラパート及び
    スピンドル駆動系と別のモータで駆動される紡機におい
    て、 ローラパート及びスピンドル駆動系とリフティング駆動
    系との間に設けられ、ローラパート及びスピンドル駆動
    系の回転をリフティング駆動系にリングレールを上昇さ
    せる方向の回転として電磁クラッチを介して伝達する回
    転伝動機構と、 メイン電源の遮断を検出する電源遮断検出手段と、 リングレールが移動規制位置に達したことを検知する検
    知手段と、 停電時にリングレールが移動規制位置に達するまで前記
    電磁クラッチを接続状態に保持するように電磁クラッチ
    の励消磁制御を行う制御手段と、 停電発生後、前記電磁クラッチ、検知手段及び制御手段
    を所定時間作動させるための非常用電源とを備えた紡機
    のリフティング制御装置。
  2. 【請求項2】 ローラパート及びスピンドル駆動系の回
    転をリフティング駆動系にリングレールを上昇させる方
    向の回転として電磁クラッチを介して伝達する回転伝動
    機構に代えて、ローラパート及びスピンドル駆動系の回
    転をリフティング駆動系にリングレールを下降させる方
    向の回転として電磁クラッチを介して伝達する回転伝動
    機構を設けた請求項1に記載の紡機のリフティング制御
    装置。
  3. 【請求項3】 リフティング駆動系がローラパート及び
    スピンドル駆動系と別のモータで駆動される紡機におい
    て、 ローラパート及びスピンドル駆動系とリフティング駆動
    系との間に設けられ、ローラパート及びスピンドル駆動
    系の回転をリフティング駆動系に電磁クラッチを介して
    伝達するとともに、その回転方向をリングレールの上昇
    方向及び下降方向に切り替えるための上昇用電磁クラッ
    チ及び下降用電磁クラッチを備えた回転伝動機構と、 メイン電源の遮断を検出する電源遮断検出手段と、 リングレールが所定位置より上に有るか否かを検知する
    検知手段と、 停電発生時におけるリングレールの位置が予め設定され
    た所定位置以下の場合は、停電時にリングレールが停止
    するまで上昇用電磁クラッチを接続状態に保持するよう
    に、停電時におけるリングレールの位置が前記所定位置
    より高い場合は、停電時にリングレールが停止するまで
    下降用電磁クラッチを接続状態に保持するように、両電
    磁クラッチの励消磁制御を行う制御手段と、 停電発生後、前記電磁クラッチ、検知手段及び制御手段
    を所定時間作動させるための非常用電源とを備えた紡機
    のリフティング制御装置。
  4. 【請求項4】 前記所定位置は機台の惰性運転中にリン
    グレールが下降を継続するとリングレールの到達位置が
    管糸の胴部の下端となる位置より上で、惰性運転中にリ
    ングレールが上昇を継続するとリングレールの到達位置
    がトップバンチ巻き位置となる位置より下の範囲の任意
    の位置である請求項3に記載の紡機のリフティング制御
    装置。
  5. 【請求項5】 リングレールが所定位置より上に有るか
    否かを検知する検知手段に代えてリングレールの位置を
    検出する位置検出手段を設け、停電発生時におけるリン
    グレールの位置が予め設定された所定位置以下の場合
    は、停電時にリングレールが停止するまで上昇用電磁ク
    ラッチを接続状態に保持するように、停電時におけるリ
    ングレールの位置が前記所定位置より高い場合は、停電
    時にリングレールが停止するまで下降用電磁クラッチを
    接続状態に保持するように、両電磁クラッチの励消磁制
    御を行う制御手段に代えて、停電時にリングレールが非
    停電時の所定の昇降運動を継続するように両電磁クラッ
    チの励消磁制御を行う制御手段を設けた請求項3に記載
    の紡機のリフティング制御装置。
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