JP3480134B2 - 紡機のリングレールの反転時におけるモータの駆動制御方法及び装置 - Google Patents

紡機のリングレールの反転時におけるモータの駆動制御方法及び装置

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JP3480134B2 JP18615095A JP18615095A JP3480134B2 JP 3480134 B2 JP3480134 B2 JP 3480134B2 JP 18615095 A JP18615095 A JP 18615095A JP 18615095 A JP18615095 A JP 18615095A JP 3480134 B2 JP3480134 B2 JP 3480134B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリングレールの昇降を他
の駆動系の駆動用モータと別のモータにより積極的に行
うリフティング装置を備えたリング精紡機、リング撚糸
機等の紡機のリングレールの反転時におけるモータの駆
動制御方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リング精紡機、リング撚糸機等の紡機に
おいては管糸形成のために、機台運転中にリングレール
の昇降運動を繰り返しながら次第にリングレールを上昇
させ、これに伴ってラペットアングル等も昇降させるリ
フティング装置が採用されている。リフティング装置に
はカムによるレバーの揺動を基礎とし、リングレール等
の上昇はカムの変位によって積極的に行い、下降はリン
グレールの自重によって消極的に行う方式のものがあ
る。この方式のリフティング装置では、リングレールの
昇降速度が増加した場合、上昇から下降に転じる時点で
リングレールの動きがカムの変位曲線に追随できず、短
時間ではあるが一時的に停止するいわゆる息つき現象を
生じ、管糸の形成に乱れを生じることが多い。特に運転
中に風綿等がリングレールのポーカピラー等に堆積する
と、その摩擦抵抗のためにますますこの現象が助長され
る傾向があった。また、この装置では1回毎のリングレ
ール等の上昇量、下降量あるいは巻き上げ量を変更する
場合には、チェンジギヤ、セーパホイールの交換作業を
必要とし、リフティング条件の変更に手間がかかるとい
う不都合もある。
【0003】前記欠点を解消するリフティング装置とし
て、ラインシャフトを正逆回転させることにより、リン
グレール等を積極的に昇降駆動し、ラインシャフト駆動
系をスピンドル駆動系と別モータで駆動制御するリフテ
ィング装置が提案されている(例えば、実公平3−48
223号公報、特開平3−27130号公報)。これら
のリフティング装置ではリングレールを上昇から下降あ
るいは下降から上昇へと反転させる場合に、モータの回
転方向を変更させる必要がある。
【0004】そして、従来はリングレールの反転時に
は、図5に示すように、モータの回転速度を2段階で零
に減速した後、回転方向を反対にして2段階で所定速度
に加速していた。減速時の変速勾配は各段階とも同じに
設定され、加速時の変速勾配も各段階とも同じに設定さ
れていた。リングレールの反転時におけるリングレール
の停滞時間が長いと、管糸の同じ位置に糸が巻き取ら
れ、ワインダ工程での巻き返し時に輪抜けが起こるとい
う不都合がある。従って、リングレールの反転時におけ
るリングレールの停滞及び低速移動時間をできるだけ短
くする必要がある。そのため、従来は前記反転時の各段
階の時間tは50ミリ秒(ms)程度であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の変速方法で
は短時間で大きな変速をするため、リフティング装置を
構成する歯車機構のバックラッシに起因する衝撃が発生
する。その結果、リフティング装置の耐久性が悪くなる
という問題がある。また、衝撃の発生によってリングレ
ールに生じた振動が糸切れ発生の原因となる可能性があ
る。衝撃の発生を抑制するため、変速時の変速勾配を小
さくすることが考えられる。しかし、変速勾配を小さく
した場合は変速完了までに要する時間が長くなるととも
に、ワインダ工程での巻き返し時に輪抜けが起こる巻取
り状態となるリングレールの停滞及び低速部分の時間が
長くなるという問題がある。これらの問題は紡機の運転
速度の高速化に伴い、より顕著となる。
【0006】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その第1の目的はリングレールの昇降を他
の駆動系の駆動用モータと別のモータにより積極的に行
うリフティング装置を備えた紡機において、リングレー
ルの反転時における衝撃を小さくすることができ、しか
もリングレールの停滞として問題になる低速部分の時間
を短くできる紡機のリングレールの反転時におけるモー
タの駆動制御方法を提供することにあり、第2の目的は
その装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため、請求項1に記載の発明では、リングレールの昇
降を他の駆動系の駆動用モータと別のモータにより積極
的に行うリフティング装置を備えた紡機において、リン
グレールの反転動作を行う場合、反転動作開始後、モー
タの駆動速度を零又は零近傍の所定速度まで複数段階で
減速した後、モータの駆動方向を逆転させて所定速度ま
で複数段階で加速し、減速時の変速勾配は次第に大きく
なるように、加速時の変速勾配は次第に小さくなるよう
にリフティング装置駆動用のモータを駆動制御するよう
にした。
【0008】請求項2に記載の発明では、前記反転動作
時の速度変化が近似二次曲線となるように変速を行うよ
うにした。請求項3に記載の発明では、請求項1又は請
求項2に記載の発明において、前記加速時及び減速時の
各段階における前記モータの速度を、反転動作開始前の
該モータの速度を基に演算して決定するようにした。
【0009】請求項4に記載の発明では、請求項1〜請
求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記加速
時の変速勾配を減速時の変速勾配より大きくなるように
した。
【0010】第2の目的を達成するため、請求項5に記
載の発明では、リングレールの昇降を他の駆動系の駆動
用モータと別のモータにより積極的に行うリフティング
装置を備えた紡機において、前記リフティング装置駆動
用の駆動モータと、前記駆動モータの速度を検出する速
度検出手段と、リングレールが反転動作開始位置に達し
たことを検知する検知手段と、リングレールの反転動作
開始前に前記速度検出手段の検出信号に基づいて駆動モ
ータの速度を演算するとともに、駆動モータの速度を零
又は零近傍の所定速度まで複数段階で減速させかつその
変速勾配が次第に大きくなるようにするための各段階に
おける速度と、減速完了後に駆動モータの駆動方向を逆
転させて所定速度まで複数段階で加速させかつその変速
勾配が次第に小さくなるようにするための各段階におけ
る速度とを演算する演算手段と、リングレールの反転動
作時に、前記演算手段により演算された速度となるよう
に前記駆動モータを制御する制御手段とを備えた。
【0011】請求項6に記載の発明では、請求項5に記
載の発明において、前記演算手段はリングレールの反転
動作開始前の前記駆動モータの駆動速度に対して所定の
係数を掛けて前記各段階の駆動モータの速度を演算し、
前記所定の係数は紡出条件に対応したデータベースとし
て記憶手段に記憶されている。
【0012】また、請求項7に記載の発明では、請求項
6に記載の発明において、前記所定の係数は加速時の変
速勾配が減速時の変速勾配より大きくなるように設定さ
れている。
【0013】
【作用】請求項1〜請求項4に記載の発明では、リング
レールは他の駆動系の駆動用モータと別のモータにより
駆動されるリフティング装置により積極的に昇降され
る。リングレールの反転動作時にはリフティング装置駆
動用のモータが変速制御される。一定速度で駆動されて
いたモータは、変速動作開始後、その駆動速度が零又は
零近傍の所定速度となるまで複数段階で減速され、次に
モータの駆動方向が逆転されて所定速度まで複数段階で
加速される。減速時の変速勾配は次第に大きくなるよう
に、加速時の変速勾配は次第に小さくなるように変速制
御される。即ち、速度の絶対値が小さな状態での変速勾
配が大きく、速度の絶対値が大きな状態での変速勾配が
小さくなる。その結果、反転時の衝撃及びそれにともな
う振動が小さくなる。また、反転動作が完了するまでの
変速時間を従来と同じにした場合でも、リングレールの
移動速度がワインダ工程での巻き返し時に支障を来す虞
のある巻取り状態となるような低速となる部分の時間が
短くなる。
【0014】請求項2に記載の発明では、前記反転動作
時の速度変化が近似二次曲線となるように変速が行われ
る。従って、リングレールの反転動作が円滑に行われ、
振動がより小さくなる。
【0015】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載の発明において、加速時及び減速時の各
段階における前記モータの速度は、反転動作開始前の該
モータの速度を基に演算されて決定される。
【0016】請求項4に記載の発明では、請求項1〜請
求項3のいずれか1項に記載の発明において、加速時の
変速勾配が減速時の変速勾配より大きくなるように制御
されるため、反転動作完了までの時間が短縮される。
【0017】請求項5〜請求項7に記載の発明では、リ
ングレールは他の駆動系の駆動用モータと別の駆動モー
タにより駆動されるリフティング装置により積極的に昇
降される。演算装置はリングレールの反転動作開始前に
速度検出手段の検出信号に基づいて駆動モータの速度を
演算するとともに、反転動作時の減速段階及び加速段階
の各段階における駆動モータの速度を演算する。リング
レールが反転動作開始位置に達したことを検知手段が検
知すると、制御手段は前記演算手段により演算された速
度となるように前記駆動モータを変速制御する。そし
て、駆動モータはその速度が零又は零近傍の所定速度ま
で複数段階でかつその変速勾配が次第に大きくなるよう
に減速され、減速完了後に駆動モータの駆動方向が逆転
されて所定速度まで複数段階でかつその変速勾配が次第
に小さくなるように加速される。
【0018】請求項6に記載の発明では、演算手段はリ
ングレールの反転動作開始前の前記駆動モータの駆動速
度に対して、紡出条件に対応したデータベースとして記
憶手段に記憶されている所定の係数を掛けて前記各段階
の駆動モータの速度を演算する。
【0019】また、請求項7に記載の発明では、前記所
定の係数を掛けて前記各段階の駆動モータの速度を演算
することにより、自動的に加速時の変速勾配が減速時の
変速勾配より大きくなる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明を具体化した第1実施例を図
1〜図4に従って説明する。図2に示すように、ドラフ
トパートを構成するフロントローラ1の回転軸1aの端
部に歯車2が嵌着されている。回転軸1aは歯車2と、
主モータMにより回転駆動されるドライビングシャフト
3との間に配設された歯車列(図示せず)を介して回転
駆動されるようになっている。スピンドル4はドライビ
ングシャフト3に固定されたチンプーリ5との間に巻き
掛けられたスピンドルテープ(図示せず)を介して回転
駆動されるようになっている。フロントローラ1及びス
ピンドル4は、フロントローラ1からのフリースの送り
出し量(紡出量)と、スピンドル4の糸巻取り量とが常
に同量となるように回転される。両者の回転数比は紡出
条件(撚数)に対応して設定されている。回転軸1a、
歯車2、歯車列、ドライビングシャフト3及び主モータ
Mによりドラフトパート駆動系が構成され、ドライビン
グシャフト3、チンプーリ5、スピンドルテープ及び主
モータMによりスピンドル駆動系が構成されている。す
なわち、スピンドル駆動系とドラフトパート駆動系とが
共通の主モータMにより駆動される。主モータMにはイ
ンバータ6を介して駆動される可変速モータが使用され
ている。
【0021】歯車2の近傍にはフロントローラ1の回転
に対応してパルス信号を出力するセンサSが配設されて
いる。センサSはフロントローラ1の回転速度を検出す
る回転速度検出手段としての役割と、紡出量を検出する
紡出量検出手段の役割とを果たす。ドライビングシャフ
ト3の端部には歯車3aが一体回転可能に嵌着され、歯
車3aの近傍にはドライビングシャフト3の回転に対応
してパルス信号を出力するセンサSSが配設されてい
る。センサSSはスピンドル4の回転速度を検出する回
転速度検出手段としての役割を果たす。
【0022】リフティング装置はラインシャフト7を介
してリングレール8及びラペットアングル9を昇降動さ
せるようになっている。ラペットアングル9にはスネル
ワイヤ9aが取付けられており、フロントローラ1から
送り出された糸Yがリング8a上を摺動するトラベラ1
0までスネルワイヤ9aを経て導かれるようになってい
る。ラインシャフト7は精紡機機台の長手方向に沿って
配設され、所定間隔でねじ歯車11(図2では1個のみ
図示)が一体回転可能に嵌着されている。リングレール
8は複数のポーカピラー12(図2では1本のみ図示)
により支持されている。ポーカピラー12は上下方向に
移動可能に機台フレーム(図示せず)に支承されるとと
もに、その下部側にスクリュー部12aが形成されてい
る。スクリュー部12aは機台フレームの所定高さ位置
に回転可能に支持されたナット体13に螺合している。
ナット体13の外周にはねじ歯車11と噛合するねじ歯
車(図示せず)が一体に形成されている。ラペットアン
グル9も同様な昇降機構でリングレールと同期して昇降
可能となっている。
【0023】ラインシャフト7は駆動モータとしてのサ
ーボモータ14の駆動軸に歯車列(図示せず)を介して
連結されている。サーボモータ14は制御手段としての
制御装置15によりサーボドライバ16を介して駆動制
御される。サーボモータ14にはロータリエンコーダ1
4aが内蔵されている。ロータリエンコーダ14aはサ
ーボモータ14の回転速度を検出する速度検出手段の役
割と、リングレール8が反転動作位置に達したことを検
知する検知手段の役割とを果たす。ラインシャフト7は
サーボモータ14により駆動され、回転速度及び回転方
向が自由に変更可能となっている。ラインシャフト7、
ポーカピラー12、ナット体13、サーボモータ14に
よりリフティング装置が構成されている。この構成は実
公平3−48223号公報に開示された装置と、基本的
に同じである。
【0024】図3に示すように、制御装置15は、演算
手段及び制御手段としての中央処理装置(以下、CPU
という)17を備えている。制御装置15は記憶手段と
してのプログラムメモリ18、作業用メモリ19、入力
装置20、入出力インタフェース21、主モータ駆動回
路22及びサーボモータ駆動回路23を備えている。C
PU17は入出力インタフェース21及び主モータ駆動
回路22を介してインバータ6に接続され、入出力イン
タフェース21及びサーボモータ駆動回路23を介して
サーボドライバ16に接続されている。
【0025】CPU17はプログラムメモリ18に記憶
された所定のプログラムデータに基づいて動作する。C
PU17はリングレール8の反転動作時にサーボモータ
14を複数段階で変速制御を行うための各変速段階にお
けるサーボモータ14の回転速度を反転動作開始前に演
算する。そして、リングレール8が反転位置に達する
と、反転動作のためサーボモータ14を所定の複数段階
で変速制御するようになっている。この実施例では各段
階の変速時間tは10ms程度に設定されている。減速
は4段階で、加速は3段階でそれぞれ行われ、減速時の
最低速度は零ではなく、零より若干大きな値に設定され
ている。
【0026】プログラムメモリ18は読出し専用メモリ
(ROM)よりなり、前記プログラムデータと、その実
行に必要な各種データとが記憶されている。各種データ
としては種々の繊維種、紡出糸番手等の紡出条件と、ス
ピンドル回転速度の所定値との対応データがある。スピ
ンドル回転速度は紡出条件によって異なるが、ほぼ50
00〜25000rpmである。また、プログラムメモ
リ18にはCPU17が反転動作時の各変速段階におけ
るサーボモータ14の回転速度を演算するのに必要な係
数が、紡出条件に対応したデータベースとして記憶され
ている。各係数は減速時の変速勾配が次第に大きくなる
ように、加速時の変速勾配が次第に小さくなるように、
しかも、反転動作時の速度変化が近似二次曲線となるよ
うに設定されている。また、加速時の変速勾配が減速時
の変速勾配より大きくなるように設定されている。
【0027】作業用メモリ19は読出し及び書替え可能
なメモリ(RAM)よりなり、入力装置20により入力
されたデータやCPU17における演算処理結果等を一
時記憶する。作業用メモリ19はバックアップ電源を備
えている。入力装置20は繊維種、紡出糸番手、紡出運
転時のスピンドル回転数、紡出長、リフト長、チェイス
長等の紡出条件データを入力する。繊維種は綿、化繊、
混紡の違いの他、同じ綿であってもカード処理綿、コー
マ処理綿等の違いも意味する。
【0028】CPU17は入出力インタフェース21を
介してセンサS及びセンサSSと接続され、センサSか
らの出力信号に基づいて紡出量を、センサSSからの出
力信号に基づいてスピンドル4の回転速度を演算する。
CPU17は入出力インタフェース21を介してロータ
リエンコーダ14aと接続され、ロータリエンコーダ1
4aの出力信号に基づいてサーボモータ14の回転速度
を演算するとともに、リングレール8の移動量及び位置
を演算する。
【0029】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。機台の運転に先立ってまず、繊維種、紡出糸
番手、撚数、通常紡出運転時のスピンドル回転数、紡出
長、リフト長、チェイス長等の紡出条件データが入力装
置20により入力される。リフティング装置とドラフト
パート及びスピンドル駆動系とは完全に独立した状態
で、しかも同期した状態で駆動される。
【0030】制御装置15は入力装置20により入力さ
れて作業用メモリ19に記憶された紡出条件に従って、
サーボモータ14を主モータMと同期して駆動制御す
る。サーボモータ14が駆動されると歯車列を介してラ
インシャフト7が回転され、ねじ歯車11を介してナッ
ト体13が回転される。そして、ナット体13に螺合さ
れたポーカピラー12がリングレール8等とともに上昇
あるいは下降移動される。サーボモータ14の正転時に
リングレール8等が上昇移動され、逆転時に下降移動さ
れる。また、フロントローラ1から送出された糸Yはス
ネルワイヤ9a及びトラベラ10を経てボビンBに巻き
取られる。
【0031】CPU17はロータリエンコーダ14aの
出力信号に基づいてリングレール8の移動量及び位置を
演算し、予め入力された1チェイスの上昇量あるいは下
降量と対応する距離だけリングレール8が移動した時点
でサーボモータ14の回転方向を変更するようにサーボ
モータ14を駆動制御する。CPU17はリングレール
8の反転動作のための作業を図1のフローチャートに従
って行う。この作業はリングレール8が1チェイスの上
昇あるいは下降移動の際に所定距離だけ移動した時点で
開始される。
【0032】CPU17は先ずステップS1でロータリ
エンコーダ14aの出力信号によりサーボモータ14の
回転速度を演算する(駆動モータ速度確認工程)。次に
CPU17はステップS2で前記回転速度と、プログラ
ムメモリ18に記憶された各変速段階のサーボモータ1
4の回転速度を演算するための係数とを掛け合わせて、
各変速段階のサーボモータ14の回転速度を演算してそ
の値を作業用メモリ19に記憶させる(変速速度演算工
程)。次にCPU17はステップS3でロータリエンコ
ーダ14aの出力信号に基づいてリングレール8の位置
を演算し、ステップS4でリングレール8が反転動作開
始位置に到達したか否かを判断する(リングレール位置
判断工程)。そして、リングレール8が反転動作開始位
置に到達するまでステップS3及びステップS4の動作
を繰り返し、リングレール8が反転動作開始位置に到達
するとステップS5に進む。
【0033】CPU17はステップS5で、所定の減速
度で変速を行うためサーボモータ14へ順次各減速段階
の速度指令信号を出力する(駆動モータ減速工程)。複
数段階の減速操作により速度変化が近似二次曲線となる
ように変速が行われ、サーボモータ14が所定速度に減
速される。その後、CPU17はステップS6に進んで
サーボモータ14の回転方向を反転するとともに、所定
の加速度で変速を行うためサーボモータ14へ順次各加
速段階の速度指令信号を出力する(駆動モータ加速工
程)。複数段階の加速操作により速度変化が近似二次曲
線となるように変速が行われ、サーボモータ14が所定
速度に加速された時点で反転動作が完了する。以下、リ
ングレール8が1チェイスの上昇あるいは下降移動の際
に所定距離移動する毎に同様の動作が実行される。即
ち、下降から上昇に反転する際も、減速は4段階で、加
速は3段階で行われる。
【0034】図4は上昇から下降への反転動作時におけ
るサーボモータ14への速度指令値の時間変化を示すタ
イムチャートであり、縦軸はサーボモータ14の回転速
度指令値を表し、プラスは正転状態をマイナスは逆転状
態をそれぞれ表す。減速時にCPU17からサーボドラ
イバ16に所定の速度指令値に対応する信号が出力され
ると、サーボドライバ1はその速度指令値となるように
サーボモータ14を変速する。減速時は変速勾配が次第
に大きくなるように設定されているため、減速の際にリ
フティング装置の歯車機構のバックラッシに起因して起
こる衝撃は、同じ時間で変速勾配を一定にして減速する
場合に比較して小さくなる。
【0035】なぜならば、質量m、速度Vで運動する物
体の運動エネルギーEは次の式で表される。 E=(1/2)mV2 即ち、運動している物体の運動エネルギーはその速度V
の二乗に比例する。従って、変速勾配が同じ場合は、変
速開始時の速度が大きい方が、減速により単位時間に失
う運動エネルギーの量が大きく、バックラッシにより歯
車に加わる衝撃が大きくなる。また、変速開始時の速度
が同じ場合は、変速勾配が大きな方が、減速により失う
運動エネルギーの量が大きく、バックラッシにより歯車
に加わる衝撃が大きくなる。
【0036】従って、変速勾配一定で変速する場合は、
変速の初期段階においてバックラッシにより歯車に加わ
る衝撃が大きくなる。一方、本発明のように減速時の変
速勾配が次第に大きくなるようにした場合は、変速勾配
が大きくなる終期段階では当該変速段階における変速開
始時の速度が小さくなっているため、減速により失う運
動エネルギーの量が小さく、バックラッシにより歯車に
加わる衝撃も小さくなる。また、加速時には変速勾配が
次第に小さくなるように変速されるため、変速勾配の大
きなときには速度が小さく、速度が大きな状態では変速
勾配が小さくなるので、バックラッシに起因して歯車に
加わる衝撃が小さくなる。
【0037】従って、リングレールの反転動作時に、リ
フティング装置を構成する歯車機構のバックラッシに起
因する衝撃が小さくなり、リングレール8の振動が小さ
くなる。その結果、リフティング装置の耐久性が向上す
るとともに、リングレール8の振動に起因する糸切れを
防止することができる。反転時の衝撃は従来の場合に比
較して1/2〜1/3となった。
【0038】また、減速時にはその終期に変速勾配が大
きく、加速時にはその初期に変速勾配が大きいため、リ
ングレール8の停滞として問題になる停滞及び低速部分
の時間が短くなる。その結果、ワインダ工程での巻き返
し時に支障を来す虞のある巻取り状態となる時間が短縮
され、ワインダ工程での巻き返し時に輪抜けの発生が防
止される。
【0039】この実施例では反転動作時の速度変化が近
似二次曲線となるように変速が行われるため、リングレ
ール8に加わる振動がより少なくなる。また、この実施
例では加速時の変速勾配を減速時の変速勾配より大きく
なるようにしたので、トータルの加速時間をトータルの
減速時間より短くでき、リングレール8の停滞あるいは
低速部分の時間がより短くなる。さらに、反転動作時に
おける各段階のサーボモータ14の回転速度が、反転動
作開始前のサーボモータ14の回転速度を基に演算して
決定されるため、予め記憶装置に記憶しておく場合に比
較して記憶装置の容量を小さくできる。また、紡出条件
に対応して適正な変速勾配となるように、反転動作時に
おける各段階のサーボモータ14の回転速度が設定され
るため、より円滑にリングレール8の反転動作が行われ
る。
【0040】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 (1) 減速時のトータル時間と加速時のトータル時間
を同じに設定してもよい。この場合、各変速段階のサー
ボモータ(駆動モータ)14の回転速度を演算するため
の係数を減速時と加速時とで共用でき、作業用メモリ1
9に記憶する係数の数を減らすことができる。
【0041】(2) 反転動作時の変速勾配を紡出条件
に拘らず一定としてもよい。 (3) 前記係数をプログラムメモリ18に記憶してお
く代わりに、機台の運転条件を入力装置20で入力する
際に係数を入力する構成とする。この構成の場合は、紡
出条件に対応する係数の補正が容易となる。
【0042】(4) 各変速段階の時間及び変速段数は
適宜変更してもよい。 (5) リフティング装置の駆動モータとして、サーボ
モータ14に代えてインバータを介して変速制御される
可変速モータを使用するとともに、その出力軸とライン
シャフト7との間に一対の電磁クラッチの励消磁により
ラインシャフト7の回転方向を変更する機構を設けても
よい。また、主モータMとして定速度電動機を使用して
もよい。
【0043】(6) リングレール8が反転動作開始位
置に達したことを検知する検知手段として、ロータリエ
ンコーダ以外のものを使用してもよい。例えば、リング
レールの昇降範囲の近傍に、多数の永久磁石がそのN極
とS極とが交互に配列されたいわゆるマグネットスケー
ルを配設するとともに、その検出部をリングレールに一
体移動可能に固定した構成の装置を採用してもよい。
又、リニアポテンショメータを検知手段として使用して
もよい。
【0044】(7) リフティング装置としてラインシ
ャフト7の正逆回転に伴ってポーカピラー12を昇降さ
せる構成に変えて、実開平1−58667号公報に開始
された装置のように、ポーカピラー12と螺合するナッ
ト体13をラックを介して回動させる構成としてもよ
い。この場合、ラックが形成された作動部材を機台の長
手方向に沿って延設し、駆動モータとしてリニアモータ
を使用することができる。リニアモータの一方向への作
動時にポーカピラー12が正転され、反対方向への作動
時にポーカピラー12が逆転される。
【0045】(8) ドラフトパートをスピンドル駆動
系と独立して駆動する構成の紡機に適用してもよい。 (9) ドラフトパート及びスピンドル駆動系が共通の
主モータMにより駆動される構成では、センサS及びセ
ンサSSのいずれか一方を省略し、1個のセンサからの
出力信号に基づいてフロントローラ1の回転速度、紡出
量及びスピンドル4の回転速度を演算して求めてもよ
い。
【0046】(10) スピンドル4をチンプーリ5に
巻き掛けられるスピンドルテープで駆動する構成に代え
て、タンゼンシャルベルトにより駆動する構成としても
よい。また、リング撚糸機に適用してもよい。
【0047】前記実施例及び変更例から把握できる請求
項記載以外の発明について、以下にその効果とともに記
載する。 (1) 請求項1〜請求項3及び請求項5に記載の発明
において、減速時のトータル時間と加速時のトータル時
間を同じに設定し、各変速段階の駆動モータの設定速度
の演算に使用する係数を減速時と加速時とで共用する。
この場合、駆動モータの回転速度を演算するために使用
する係数の種類が少なくなり、作業用メモリ19に記憶
する係数の数を減らすことができる。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項7
に記載の発明によれば、リングレールの反転時における
衝撃を小さくすることができるので、リフティング装置
の耐久性を向上することができるとともに、リングレー
ルの反転時の振動に起因する糸切れを防止できる。ま
た、リングレールの停滞として問題になる低速部分の時
間を短くできる。
【0049】請求項2に記載の発明では、反転時のリン
グレールの振動がより小さくなる。請求項4及び請求項
7に記載の発明では、反転動作完了までの時間が短縮さ
れ、リングレールの停滞として問題になる低速部分の時
間をより短くできる。
【0050】請求項6に記載の発明では、紡出条件に対
応して適正な変速勾配となるように各変速段階の速度が
設定されるので、より円滑にリングレールの反転動作が
行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施例の反転動作の作用を説明するフロー
チャート。
【図2】 駆動系の概略構成図である。
【図3】 制御装置の電気的構成を示すブロック図であ
る。
【図4】 変速制御時の駆動モータの回転速度指令値の
タイムチャート。
【図5】 従来の変速制御時の駆動モータの回転速度の
タイムチャート。
【符号の説明】
8…リングレール、11…リフティング装置を構成する
ラインシャフト、12…同じくポーカピラー、13…同
じくナット体、14…同じく駆動モータとしてのサーボ
モータ、14a…速度検出手段及び検知手段としてのロ
ータリエンコーダ、15…制御手段としての制御装置、
17…演算手段及び制御手段としてのCPU、18…記
憶手段としてのプログラムメモリ、M…他の駆動系の駆
動用モータとしての主モータ。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リングレールの昇降を他の駆動系の駆動
    用モータと別のモータにより積極的に行うリフティング
    装置を備えた紡機において、 リングレールの反転動作を行う場合、反転動作開始後、
    モータの駆動速度を零又は零近傍の所定速度まで複数段
    階で減速した後、モータの駆動方向を逆転させて所定速
    度まで複数段階で加速し、減速時の変速勾配は次第に大
    きくなるように、加速時の変速勾配は次第に小さくなる
    ようにリフティング装置駆動用のモータを駆動制御する
    ようにした紡機のリングレールの反転時におけるモータ
    の駆動制御方法。
  2. 【請求項2】 前記反転動作時の速度変化が近似二次曲
    線となるように変速を行う請求項1に記載の紡機のリン
    グレールの反転時におけるモータの駆動制御方法。
  3. 【請求項3】 前記加速時及び減速時の各段階における
    前記モータの速度を、反転動作開始前の該モータの速度
    を基に演算して決定する請求項1又は請求項2に記載の
    紡機のリングレールの反転時におけるモータの駆動制御
    方法。
  4. 【請求項4】 前記加速時の変速勾配を減速時の変速勾
    配より大きくなるようにした請求項1〜請求項3のいず
    れか1項に記載の紡機のリングレールの反転時における
    モータの駆動制御方法。
  5. 【請求項5】 リングレールの昇降を他の駆動系の駆動
    用モータと別のモータにより積極的に行うリフティング
    装置を備えた紡機において、 前記リフティング装置駆動用の駆動モータと、 前記駆動モータの速度を検出する速度検出手段と、 リングレールが反転動作開始位置に達したことを検知す
    る検知手段と、 リングレールの反転動作開始前に前記速度検出手段の検
    出信号に基づいて駆動モータの速度を演算するととも
    に、駆動モータの速度を零又は零近傍の所定速度まで複
    数段階で減速させかつその変速勾配が次第に大きくなる
    ようにするための各段階における速度と、減速完了後に
    駆動モータの駆動方向を逆転させて所定速度まで複数段
    階で加速させかつその変速勾配が次第に小さくなるよう
    にするための各段階における速度とを演算する演算手段
    と、 リングレールの反転動作時に、前記演算手段により演算
    された速度となるように前記駆動モータを制御する制御
    手段とを備えた紡機のリングレールの反転時におけるモ
    ータの駆動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記演算手段はリングレールの反転動作
    開始前の前記駆動モータの駆動速度に対して所定の係数
    を掛けて前記各段階の駆動モータの速度を演算し、前記
    所定の係数は紡出条件に対応したデータベースとして記
    憶手段に記憶されている請求項5に記載の紡機のリング
    レールの反転時におけるモータの駆動制御装置。
  7. 【請求項7】 前記所定の係数は加速時の変速勾配が減
    速時の変速勾配より大きくなるように設定されている請
    求項6に記載の紡機のリングレールの反転時におけるモ
    ータの駆動制御装置。
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