JP3136990B2 - 紡機の起動時のリングレール昇降方法及びリングレール昇降制御装置 - Google Patents

紡機の起動時のリングレール昇降方法及びリングレール昇降制御装置

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JP3136990B2
JP3136990B2 JP08117857A JP11785796A JP3136990B2 JP 3136990 B2 JP3136990 B2 JP 3136990B2 JP 08117857 A JP08117857 A JP 08117857A JP 11785796 A JP11785796 A JP 11785796A JP 3136990 B2 JP3136990 B2 JP 3136990B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリング精紡機、リン
グ撚糸機等の紡機の起動時のリングレール昇降方法及び
リングレール昇降制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リング精紡機、リング撚糸機等の紡機に
おいてはリングフランジ上を走行するトラベラの作用に
より、ボビンに糸が巻付けられる。そして、満管による
玉揚げ後の再起動時に、図6(b)に示すようにボビン
Bに糸Yを斜めのループ巻Lとなるように巻き付けた
後、通常の巻取りを開始するようにしている(例えば、
特開昭50−101615号公報)。この目的は、ドラ
フト装置からトラベラ61を経てスピンドル62に繋が
っている糸Yに生じたスナールの除去、トラベラ61を
走行し易い姿勢にする、巻き始めに糸Yにテンションを
かけてトラベラ61からの糸外れを防止する等である。
【0003】そして、糸Yを斜めのループ状に巻き取る
ために、例えば図6(a)のダイヤグラムに示すよう
に、スピンドルの停止状態でリングレールを巻取り開始
位置から通常のチェイス長より大きく上昇させ、上昇位
置で所定時間Ts2停止後、リングレールを通常の巻き取
り開始位置まで下降させ、その後、通常のリフティング
を開始する方法がある。スピンドル62はリングレール
63の上昇開始から所定時間Ts1後に回転が開始され
る。なお、満管停止時にはスピンドル62の尻糸巻き部
64に尻糸巻(ボトムバンチ)65を形成した後、リン
グレール63が巻取り開始位置まで上昇(一次上昇)さ
れる。そして、リングレール63は起動と同時に巻取り
開始位置から二次上昇を開始して所定位置まで上昇され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ボビンBに
形成された斜めループ巻Lの上に通常の巻取り動作によ
り糸Yが巻き付けられる前に、斜めループ巻Lに作用す
る遠心力、糸の自重、ボビンBとの摩擦力等のアンバラ
ンスにより、図7(a)に示すように斜めループ巻Lの
先端がボビンBの表面から離脱する場合がある。この場
合、ループ巻Lの先端はスピンドル62の回転に伴って
ボビンBの表面から離れた位置を回転する。通常巻取り
時のリングレール63の昇降速度は遅いため、図7
(b)に示すように、ボビンBの表面から離脱したルー
プ巻Lの先端部を巻取り糸がボビンBの表面に押さえ込
むまでに時間がかかり、スピンドル回転速度が高速にな
った状態でループ巻Lの先端部が紡出中の糸Yと接触し
て糸切れを引き起こすことがある。
【0005】また、紡出繊維種や紡出番手等の紡出条件
によっては、斜めループ巻Lを形成するためのリングレ
ール63の上昇時に生じたスナールがリングレール63
の下降によっても解消されずに残る場合がある。その結
果、図7(c)に示すように、スナール66の先端が紡
出中の糸Yと接触して糸切れを引き起こすことがある。
【0006】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は紡機の起動時に斜めループ巻を
形成した後、通常の巻取りを行う場合の糸切れの発生を
少なくすることができる紡機の起動時のリングレール昇
降方法及びリングレール昇降制御装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、紡機の起動時に、通常
巻取りに先だって斜めループ巻を形成した後、通常のチ
ェイス長での巻取りを行うときに、リングレールを通常
巻取り時の昇降速度より高速の所定速度で1回以上昇降
させた後、通常巻取り時の昇降速度でリングレールを昇
降させるようにした。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記高速の昇降時の昇降速度は紡出
条件に対応して変更される。請求項3に記載の発明で
は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記
高速の昇降時の昇降回数は紡出条件に対応して変更され
る。
【0009】請求項4に記載の発明では、リングレール
をスピンドルと独立して昇降可能なリフティング装置を
備えた紡機において、前記リフティング装置を駆動する
駆動モータと、紡機の起動時に、リングレールに通常巻
取りに先だって斜めループ巻を形成するための昇降運動
を行わせるとともに、通常のチェイス長での巻取りを行
うときに、リングレールを通常巻取り時の昇降速度より
高速の所定速度で所定回数昇降させた後、通常巻取り時
の昇降速度でリングレールを昇降させるように前記駆動
モータを制御する制御手段とを備えた。
【0010】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載の発明において、前記制御手段は前記高速の昇降時の
昇降速度及び昇降回数の少なくとも一方を設定手段によ
り変更可能である。
【0011】請求項6に記載の発明では、請求項4又は
請求項5に記載の発明において、前記制御手段は前記高
速の昇降時から通常巻取り時の昇降速度への変更時期を
設定手段により任意に設定可能である。
【0012】請求項1に記載の発明では、紡機の起動時
に、通常巻取りに先だって斜めループ巻が形成された
後、通常のチェイス長での巻取りが行われる。通常のチ
ェイス長での巻取りを行うときは、先ず通常巻取り時の
昇降速度より高速の所定速度でリングレールが1回以上
昇降された後、通常巻取り時の昇降速度に移行される。
従って、斜めループ巻の先端がボビンの表面から離脱し
たり、糸にスナールが残った状態であっても、リングレ
ールが高速で昇降することにより、それらの糸がボビン
の表面にすばやく押さえ込まれる。その結果、スピンド
ルが高速で回転するときに斜めループ巻の先端やスナー
ルが紡出中の糸と接触して糸切れを引き起こすことが防
止される。
【0013】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記高速の昇降時の昇降速度が紡出
条件に対応して変更される。その結果、ボビンから離脱
した斜めループ巻の先端やスナールが糸切れを引き起こ
す前に、より確実にボビンの表面にすばやく押さえ込ま
れる。
【0014】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載の発明において、前記高速の昇降時の昇
降回数が紡出条件に対応して変更される。その結果、ボ
ビンから離脱した斜めループ巻の先端やスナールをボビ
ンの表面に押さえ込むのに必要な回数だけ高速での昇降
が実施される。
【0015】請求項4に記載の発明では、リングレール
はリフティング装置によりスピンドルと独立して昇降可
能であり、リフティング装置は駆動モータにより駆動さ
れる。駆動モータは制御手段により制御され、リングレ
ールは駆動モータの作動に伴って所定の昇降運動を行
う。リングレールは紡機の起動時に、通常巻取りに先だ
って斜めループ巻を形成するための昇降運動を行う。そ
の後、通常のチェイス長での巻取りが行われるが、リン
グレールは先ず通常巻取り時の昇降速度より高速の所定
速度で所定回数昇降された後、通常巻取り時の昇降速度
に減速される。その後、通常巻取り時の昇降速度でのリ
ングレールの昇降運動が継続される。
【0016】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載の発明において、リングレールの高速昇降運動時の昇
降速度及び昇降回数が設定手段により設定される。駆動
モータは設定手段により設定された条件でリングレール
に昇降運動を行わせるように、制御手段により制御され
る。
【0017】請求項6に記載の発明では、請求項4又は
請求項5に記載の発明において、リングレールの高速昇
降時から通常巻取り時の昇降速度への変更時期は設定手
段により任意に設定可能なため、紡出条件に対応した適
切な時期に設定される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明をリングレールをス
ピンドルと独立して昇降可能なリフティング装置を備え
たリング精紡機に具体化した一実施の形態を図1〜図4
に従って説明する。図3に示すように、ドラフトパート
を構成するフロントローラ1の回転軸2は歯車列3を介
してドライビングシャフト4に連結されている。ドライ
ビングシャフト4はベルト伝動機構5を介して駆動手段
としての主モータ6により回転駆動される。スピンドル
7はドライビングシャフト4に固定されたチンプーリ8
との間に巻き掛けられたスピンドルテープ9を介して回
転駆動されるようになっている。即ち、ドラフトパート
もスピンドル7を駆動する主モータ6により駆動され
る。なお、ドラフトパート及びスピンドル7は精紡機機
台の左右両側に配設されているが、図3では片側のみ示
している。
【0019】リフティング装置はラインシャフト10を
介してリングレール11及びラペットアングル12を昇
降させるようになっている。スピンドルレール(図示せ
ず)の長手方向に沿って、即ち、ドライビングシャフト
4と平行にラインシャフト10(片側のみ図示)が回転
自在に配設されている。ラインシャフト10にはそれぞ
れリングレール11及びラペットアングル12を昇降す
る昇降ユニット13が所定間隔で配設されている(1個
のみ図示)。昇降ユニット13はラインシャフト10に
一体回転可能に嵌着固定されたねじ歯車14と、リング
レール11あるいはラペットアングル12を支持するポ
ーカピラー15の下部に形成されたスクリュー部16に
螺合するナット体17とを備えている。ポーカピラー1
5は上下方向に移動可能に機台フレーム(図示せず)に
支承されている。ナット体17は機台フレームの所定高
さ位置にブラケット(図示せず)を介して回転可能に支
持され、その外周に互いに噛合するねじ歯車18が一体
に形成されている。リングレール11を支持するポーカ
ピラー15と対応するナット体17のねじ歯車18は、
ねじ歯車14にも噛合されている。
【0020】ラインシャフト駆動系を構成する回転軸1
9は、両ラインシャフト10と平行に回転自在に配設さ
れ、回転軸19の中間部には歯車20が嵌着固定されて
いる。歯車20はリフティング装置を駆動する駆動モー
タとしてのサーボモータ21の出力軸22に嵌着固定さ
れた歯車23と噛合している。ラインシャフト10の端
部と対応する位置には、ラインシャフト10と直交する
状態で回転軸24が配設されている。回転軸24の両端
にはラインシャフト10の端部に嵌着固定されたウォー
ムホイール25と噛合するウォーム26が嵌着固定され
ている。回転軸19の第1端部にはかさ歯車27が嵌着
固定され、かさ歯車27は回転軸24の中間部に嵌着固
定されたかさ歯車28と噛合している。そして、サーボ
モータ21の正逆回転に伴って回転軸19が正逆回転駆
動されるとともに回転軸24が正逆回転駆動され、回転
軸24の正逆回転に伴ってラインシャフト10が正逆回
転駆動される。ラインシャフト10、昇降ユニット1
3、サーボモータ21及びラインシャフト駆動系により
リングレール11及びラペットアングル12を昇降させ
るリフティング装置が構成されている。なお、これらの
構成は例えば実公平3−48223号公報に開示された
装置と基本的に同じである。
【0021】ドライビングシャフト4の回転が歯車列を
介して伝達される回転軸29の端部と、前記回転軸19
との間にはベルト伝動機構30が配設されている。ベル
ト伝動機構30は回転軸19に回転自在に支承されると
ともに電磁クラッチ31を介して回転軸19と一体回転
可能な歯付きプーリ32を備え、ベルト伝動機構30は
ドラフトパート及びスピンドル駆動系の回転を、ライン
シャフト駆動系にリングレール11を下降させる方向の
回転として伝達する。電磁クラッチ31は励磁状態で歯
付きプーリ32と回転軸19とを連結する。そして、ベ
ルト伝動機構30は停電時の惰性回転時にスピンドル駆
動系の回転をラインシャフト駆動系に伝達可能となって
いる。即ち、リフティング装置はサーボモータ21によ
りスピンドル7と独立して駆動可能になっている。
【0022】制御手段としての役割を果たす制御装置3
3は、インバータ34を介して主モータ6に接続され、
サーボドライバ35を介してサーボモータ21に接続さ
れている。サーボドライバ35にはロータリエンコーダ
36が取付けられている。ロータリエンコーダ36はリ
ングレール11の位置検出手段及び昇降速度検出手段の
役割を果たす。ドライビングシャフト4の端部に嵌着さ
れた歯車37の近傍にはドライビングシャフト4の回転
に対応してパルス信号を出力するセンサ38が配設され
ている。センサ38はスピンドル7の回転速度を検出す
る役割を果たす。
【0023】図4に示すように、制御装置33は演算手
段としての中央処理装置(以下、CPUという)39を
備えている。制御装置33は記憶手段としてのプログラ
ムメモリ40、作業用メモリ41、入出力インタフェー
ス42、主モータ駆動回路43及びサーボモータ駆動回
路44を備えている。CPU39は入出力インタフェー
ス42を介してロータリエンコーダ36、センサ38及
び設定手段としての入力装置45に接続されている。C
PU39は入出力インタフェース42及び主モータ駆動
回路43を介してインバータ34に接続され、入出力イ
ンタフェース42及びサーボモータ駆動回路44を介し
てサーボドライバ35に接続されている。
【0024】CPU39はプログラムメモリ40に記憶
された所定のプログラムデータに基づいて動作する。プ
ログラムメモリ40は読出し専用メモリ(ROM)より
なり、前記プログラムデータと、その実行に必要な各種
データとが記憶されている。作業用メモリ41は読出し
及び書替え可能なメモリ(RAM)よりなり、入力装置
45により入力されたデータやCPU39における演算
処理結果等を一時記憶する。
【0025】プログラムメモリ40には機台の起動時か
ら満管に伴う停止時までの主モータ6及びサーボモータ
21の変速制御プログラムが記憶されている。変速制御
プログラムは速度変化が基準パターンとして表され、そ
の基準パターンのパラメータが、入力装置45で設定さ
れるようになっている。リフティング装置の運転条件は
入力装置45で入力された紡出長、リフト長、チェイス
長等の紡出条件データと、通常巻取りに先だって行われ
る斜めループ巻形成のためのリングレール11の昇降条
件と、そのときのスピンドル回転速度と、通常のチェイ
ス長での高速巻取り時におけるリングレールの昇降速度
及び昇降回数等の設定値とに基づいて確定される。
【0026】そして、入力装置45により設定された各
パラメータが作業用メモリ41に記憶され、CPU39
はプログラムメモリ40のプログラムデータ及び作業用
メモリ41に記憶された各パラメータ等に基づいて、主
モータ6及びサーボモータ21の駆動制御用の指令信号
を出力するようになっている。
【0027】CPU39はロータリエンコーダ36から
の出力信号に基づいてリングレール11の位置及び昇降
速度を演算する。そして、CPU39は入力装置45で
設定されたリフティング条件となるリングレール11の
反転時期をリングレール11の昇降速度及び位置に基づ
いて演算し、サーボドライバ35を介してサーボモータ
21を駆動制御するようになっている。
【0028】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。精紡機の運転に先立って入力装置45により
運転に必要な各パラメータが、紡出繊維種、紡出番手等
の紡出条件に対応した所定の値として設定される。例え
ば、リングレール11が移動を開始した後、スピンドル
7の回転が開始されるまでの時間Ts1は2〜3秒、リン
グレール11の所定位置での停止時間Ts2は0.5秒程
度に設定される。また、高速昇降時のリングレール11
の昇降速度及び昇降回数は、紡出繊維種や紡出番手によ
って適正値が異なる場合がある。しかし、昇降速度は通
常の巻取時の昇降速度の数倍程度に、昇降回数は1〜2
回程度にそれぞれ設定される。また、リングレール11
の高速昇降終了位置が設定される。
【0029】精紡機の運転開始時には、フロントローラ
1からトラベラ46を通ってスピンドル7に至る糸Yの
端はスピンドル7の下部に設けられた尻糸巻き部47に
巻き付けられている。また、リングレール11はボビン
Bの下部と対応する通常巻取り開始位置H0 に配置され
ている。そして、その状態から運転が開始されると、通
常巻取りに先だって斜めループ巻Lの形成が行われた
後、通常巻取り開始位置H0 から通常のチェイス長での
リングレール11の昇降運動が開始される。
【0030】図1に示すように、精紡機の運転開始とと
もにスピンドル7の回転が停止された状態でリングレー
ル11の上昇が開始される。リングレール11は斜めル
ープ巻Lを形成する所定位置Hs まで上昇され、所定位
置Hs で所定時間Ts2停止した後、通常巻取り開始位置
H0 まで下降される。リングレール11は下降途中で下
降速度が速められる。また、スピンドル7はリングレー
ル11が所定位置Hsから下降を開始する前に所定の加
速度で回転が開始される。
【0031】リングレール11は通常巻取り開始位置H
0 で反転した後、通常のチェイス長で昇降される。通常
のチェイス長での昇降運動を行う場合、その初期におい
ては通常巻取り時の昇降速度より高速でリングレール1
1が昇降され、予め設定された所定回数の昇降が終了し
た後、昇降速度が通常巻取り時の昇降速度に変更され
る。この実施の形態では1.5回高速昇降が行われ、最
後の高速下降の途中で昇降速度が通常速度に変更され
る。
【0032】所定位置Hs までのリングレール11の上
昇速度及び通常巻取り開始位置H0までのリングレール
11の下降速度は、所定のチェース運動を行う際のリン
グレール11の昇降速度より速い。そして、リングレー
ル11が通常巻取り開始位置H0 から所定位置Hs を経
て再び通常巻取り開始位置H0 まで下降する間に糸Yは
ボビンBに1回半程度巻取られて、図2に示すように斜
めループ巻Lが形成される。
【0033】通常の巻取りに先だって形成された斜めル
ープ巻Lは、斜めループ巻Lに作用する遠心力、糸Yの
自重、ボビンBとの摩擦力等のアンバランスにより、図
2(a)に示すように、斜めループ巻Lの先端がボビン
Bの表面から離脱する場合がある。この場合、ループ巻
Lの先端はスピンドル7の回転に伴ってボビンBの表面
から離れた位置を回転する。スピンドル7の回転速度が
高速となった状態で、ループ巻Lの先端が紡出中の糸Y
と接触すると糸切れを引き起こす。また、リングレール
11が所定位置Hs まで上昇する際に形成されたスナー
ルがリングレール11の下降時に解消されない場合、ス
ピンドル7の回転速度が高速となった状態で、そのスナ
ールが紡出中の糸Yと接触すると糸切れを引き起こす。
従って、スピンドル7が高速回転になる前にボビンBか
ら離脱した斜めループ巻Lの先端部やスナールを巻取り
糸YでボビンBの表面に押さえ込む必要がある。
【0034】通常紡出時の昇降速度でリングレール11
が昇降された場合は、スピンドル7の回転が高速になる
前にボビンBの表面から離脱した斜めループ巻Lの先端
やスナールをボビンBの表面に押さえ込むことができな
い場合があり、糸切れが発生する。しかし、高速でリン
グレール11を昇降させることにより、スピンドル7の
回転が高速になる前に図2(b)に示すように、ボビン
Bの表面から離脱した斜めループ巻Lの先端やスナール
がボビンBの表面に確実に押さえ込まれる。その結果、
通常巻取りに先立って斜めループ巻Lを形成しても、糸
切れが発生することが少なくなる。
【0035】この実施の形態では以下の効果を有する。 (イ) 通常のチェイス長での巻取りを行うときに、リ
ングレール11が通常巻取り時の昇降速度より高速の所
定速度で1回以上昇降された後、通常巻取り時の昇降速
度での昇降に移行される。そして、スピンドル7が高速
回転となる前に斜めループ巻Lの先端部やスナールが巻
取り糸によりボビンBの表面に押さえ込まれるため、斜
めループ巻Lの先端部のボビン表面からの離脱等に起因
する糸切れを防止できる。
【0036】(ロ) 高速の昇降時の昇降速度が紡出条
件に対応して設定されるため、斜めループ巻Lの先端部
やスナールをスピンドル7が高速回転となる前に確実に
巻取り糸によりボビンBの表面に押さえ込むことができ
る。
【0037】(ハ) 高速の昇降時の昇降回数が紡出条
件に対応して設定されるため、無駄な高速昇降を行わず
に、斜めループ巻Lの先端部やスナールをスピンドル7
が高速回転となる前に巻取り糸によりボビンBの表面に
押さえ込むことができる。
【0038】(ニ) 斜めループ巻Lの形成時における
リングレール11の下降途中で下降速度を速めるため、
糸張力が大きくなってスナールの解消やトラベラ46の
姿勢を適正な状態にするのに役立ち、糸切れが発生しに
くくなる。
【0039】(ホ) リングレール11の高速昇降時か
ら通常巻取り時の昇降速度への変更時期は設定手段(入
力装置45)により任意に設定可能なため、紡出条件に
対応した適切な位置から通常の昇降運動に移行できる。
【0040】(ヘ) リングレール11の高速の昇降時
の昇降速度及び昇降回数が設定手段により設定(変更)
可能なため、紡出条件の変更に簡単に対応できる。 (ト) 斜めループ巻Lの形成後の、通常チェイス長で
のリングレール11の高速昇降時の条件を決める各パラ
メータが、紡出繊維種、紡出番手、使用されるトラベラ
の種類等の紡出条件に対応した所定の値として設定され
る。従って、糸切れ発生がより抑制される。
【0041】(チ) スピンドル7の回転制御条件が入
力装置45により設定されるため、異なる紡出条件への
対応が容易となる。 (リ) 精紡機の起動時におけるリングレール11の位
置が通常巻取り開始位置H0 に設定されているため、所
定位置Hs までの移動距離が尻糸巻き部47と対応する
位置からの移動距離に比較して短く、糸切れが発生しに
くい。
【0042】なお、本発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、例えば、次のように具体化してもよ
い。 (1) 通常チェイス長での高速昇降から通常昇降への
変更時期、即ち通常昇降への変更位置はリングレール1
1の下降途中に限らず、下降開始位置、下降終了時位置
及び上昇途中のいずれであってもよい。
【0043】(2) 通常チェイス長でのリングレール
11の高速昇降時の昇降速度及び昇降回数を紡出繊維
種、紡出番手等の紡出条件に対応して変更せずに、予め
設定された一定条件で行ってもよい。昇降回数は多めに
設定するほうが好ましい。この場合、紡出条件を変更し
てもリングレール11の昇降条件を変更する手間が不要
となる。
【0044】(3) 斜めループ巻Lを形成する際、図
5に示すように、スピンドル7を通常紡出時より低速の
一定回転数で回転させた状態でリングレール11の上昇
を行い、リングレール11が所定位置Hs に停止してい
る間にスピンドル7の通常の加速を開始するようにして
もよい。スピンドル7の通常の加速を開始する時期は、
リングレール11が下降を開始する時点あるいは、下降
開始後であってもよい。リングレール11が所定位置H
s まで上昇する際のスピンドル7の回転速度は一定の低
速に限らず、所定速度以下であれば、加速状態あるいは
減速状態であってもよい。スピンドル7の回転速度は1
000rpm以下、好ましくは数百rpm以下の一定速
度に設定される。
【0045】リングレール11が斜めループ巻Lを行う
ために所定位置Hs まで上昇する際、スピンドル7が停
止された状態にあると、糸Yがトラベラ46から外れ易
くなり、糸外れに起因した糸切れが発生する。しかし、
スピンドル7が回転している状態でリングレール11が
所定位置Hs まで上昇する場合は、糸Yに張力が作用し
てトラベラ46を引っ張る状態に保持され、リングレー
ル11が上昇しても糸Yがトラベラ46から外れにくく
なり、糸外れに起因する糸切れが防止される。
【0046】(4) プログラムメモリ40に記憶され
た主モータ6の速度変化基準パターン及びリングレール
11の昇降基準パターンの所定のパラメータのみを入力
装置45で設定する代わりに、入力装置45により主モ
ータ6の変速パターン及びリングレール11の昇降パタ
ーンを全て設定するようにしてもよい。
【0047】(5) 紡出条件に対応した主モータ6の
変速パターン及びリングレール11の昇降パターンをプ
ログラムメモリ40にそれぞれ複数ずつ記憶させてお
き、入力装置45で適切なパターンを選択して、運転条
件を設定するようにしてもよい。この場合は運転条件の
設定時に前記変速パターン及び昇降パターンのパラメー
タの数値を入力装置45でいちいち入力する手間が省け
る。また、作業用メモリ41として電池でバックアップ
されたRAMを使用して、紡出条件に対応した前記変速
パターン及び昇降パターンをそれぞれ複数ずつRAMに
記憶させてもよい。この場合、異なる紡出条件用の変速
パターン及び昇降パターンの追加が容易となる。
【0048】(6) 精紡機の起動時におけるリングレ
ール11の位置を、通常巻取り開始位置H0 より下方の
尻糸巻き部47と対応する位置としてもよい。即ち、満
管に伴う玉揚げのための精紡機の停止時に、リングレー
ル11を尻糸巻部47と対応する位置で停止させる。
【0049】(7) スピンドル7をタンゼンシャルベ
ルトにより駆動する構成としてもよい。 (8) リング撚糸機に適用してもよい。
【0050】前記実施の形態及び変更例から把握できる
請求項記載以外の発明について、以下にその効果ととも
に記載する。 (1) 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明に
おいて、スピンドルをトラベラと係合している糸に張力
がかかり、かつ通常巻取り時より低速で回転させた状態
で、リングレールを斜めループ巻を行う所定位置まで上
昇させ、その後、スピンドルの通常の加速を開始する。
この場合、斜めループ巻を形成するためリングレールが
所定位置まで上昇する際にトラベラからの糸外れが防止
され、糸外れに起因する糸切れが防止される。
【0051】(2) 請求項4〜請求項6のいずれかに
記載の発明において、制御手段に設けられた記憶装置
(記憶手段)に複数の紡出条件に対応したスピンドル変
速パターン及びリングレール昇降パターンがそれぞれ記
憶されており、設定手段により必要なスピンドル変速パ
ターン及びリングレール昇降パターンが設定可能となっ
ている。この場合、スピンドル変速パターン及びリング
レール昇降パターンのパラメータの数値を設定手段でい
ちいち入力する手間が省ける。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項6
に記載の発明によれば、紡機の起動時に斜めループ巻を
形成した後、通常の巻取りを行う場合の糸切れの発生を
少なくすることができる。
【0053】請求項2に記載の発明では、高速の昇降時
の昇降速度が紡出条件に対応して設定されるため、斜め
ループ巻の先端部やスナールをスピンドルが高速回転と
なる前に確実に巻取り糸によりボビンの表面に押さえ込
むことができる。
【0054】請求項3に記載の発明では、高速の昇降時
の昇降回数が紡出条件に対応して設定されるため、無駄
な高速昇降を行わずに、斜めループ巻の先端部やスナー
ルをスピンドルが高速回転となる前に巻取り糸によりボ
ビンの表面に押さえ込むことができる。
【0055】請求項5に記載の発明では、リングレール
の高速の昇降時の昇降速度及び昇降回数が設定手段によ
り変更可能なため、紡出条件の変更に簡単に対応でき
る。請求項6に記載の発明によれば、リングレールの高
速昇降時から通常巻取り時の昇降速度への変更時期は設
定手段により任意に設定可能なため、紡出条件に対応し
た適切な位置から通常の昇降運動に移行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リングレール位置及びスピンドル回転数のダイ
ヤグラム。
【図2】糸の巻取り状態を示す模式図。
【図3】駆動系の概略斜視図。
【図4】制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図5】変更例のリングレール位置及びスピンドル回転
数のダイヤグラム。
【図6】(a)は従来例のリングレール位置及びスピン
ドル回転数のダイヤグラム、(b)は糸の巻取り状態を
示す模式図。
【図7】(a),(b)は斜めループ巻が離脱した状態
の糸の巻取り状態を示す模式図、(c)はスナールが生
じた場合の糸の巻取り状態を示す模式図。
【符号の説明】 7…スピンドル、10…リフティング装置を構成するラ
インシャフト、13…同じく昇降ユニット、11…リン
グレール、21…駆動モータとしてのサーボモータ、3
3…制御手段としての制御装置、45…設定手段として
の入力装置、46…トラベラ、L…斜めループ巻、Y…
糸。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紡機の起動時に、通常巻取りに先だって
    斜めループ巻を形成した後、通常のチェイス長での巻取
    りを行うときに、リングレールを通常巻取り時の昇降速
    度より高速の所定速度で1回以上昇降させた後、通常巻
    取り時の昇降速度でリングレールを昇降させる紡機の起
    動時のリングレール昇降方法。
  2. 【請求項2】 前記高速の昇降時の昇降速度は紡出条件
    に対応して変更される請求項1に記載の紡機の起動時の
    リングレール昇降方法。
  3. 【請求項3】 前記高速の昇降時の昇降回数は紡出条件
    に対応して変更される請求項1又は請求項2に記載の紡
    機の起動時のリングレール昇降方法。
  4. 【請求項4】 リングレールをスピンドルと独立して昇
    降可能なリフティング装置を備えた紡機において、 前記リフティング装置を駆動する駆動モータと、 紡機の起動時に、リングレールに通常巻取りに先だって
    斜めループ巻を形成するための昇降運動を行わせるとと
    もに、通常のチェイス長での巻取りを行うときに、リン
    グレールを通常巻取り時の昇降速度より高速の所定速度
    で所定回数昇降させた後、通常巻取り時の昇降速度でリ
    ングレールを昇降させるように前記駆動モータを制御す
    る制御手段とを備えた紡機のリングレールの昇降制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は前記高速の昇降時の昇降
    速度及び昇降回数の少なくとも一方を設定手段により変
    更可能である請求項4に記載の紡機のリングレールの昇
    降制御装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は前記高速の昇降時から通
    常巻取り時の昇降速度への変更時期を設定手段により任
    意に設定可能である請求項4又は請求項5に記載の紡機
    のリングレールの昇降制御装置。
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