JP3021765B2 - リング精紡機におけるすれ玉防止方法 - Google Patents

リング精紡機におけるすれ玉防止方法

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JP3021765B2
JP3021765B2 JP3116327A JP11632791A JP3021765B2 JP 3021765 B2 JP3021765 B2 JP 3021765B2 JP 3116327 A JP3116327 A JP 3116327A JP 11632791 A JP11632791 A JP 11632791A JP 3021765 B2 JP3021765 B2 JP 3021765B2
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究 新美
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紡機特にリング精紡機
における管糸形成過程で、紡出条件の変化によって巻径
が増大し、リングの内壁と接触して生じるすれ玉を未然
に防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リング精紡機においては、図3に示すよ
うに、リングレールの1チェース分の昇降運動の繰り返
しによって次第に管糸の巻き径を増加させながら、各昇
降運動毎に1ステップ長ずつ上昇して図3の右端に示す
ような形状の所定の直径を有する満管糸を形成してい
る。
【0003】この管糸の直径は、生産効率を向上させる
ために、リングの内壁との接触が生じない範囲でできる
だけ大きくすることが望ましい。このために、紡出の開
始に先立って、繊維の種類,糸の番手,紡出張力,環境
温湿度等の紡出条件を勘案して、予め最適なチェース長
とステップ長とが精紡機の制御装置に設定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、紡出中の環境
温湿度の変化や、作業員による機械設定のミス等のため
に、管糸の巻き径が当初の目標値よりも大きくなる場合
がある。こうした場合には、管糸表面がリングの内壁と
接触するために紡出の継続が不可能となると共に、既に
巻かれた糸も損傷するので、多大の損害を受ける。
【0005】本発明は、こうしたすれ玉事故を未然に防
止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的は、ドラフト装
置とスピンドルとリングとからなる多数の紡出ユニット
を具え、ドラフト装置から紡出されるフリースをリング
上を走行するトラベラを介して加撚しつつ、該リングを
担持したリングレールの1チェース分の昇降運動の繰り
返しによって次第に管糸の巻き径を増加させながら各昇
降運動毎に1ステップ長ずつ上昇してスピンドルに嵌挿
されたボビン上に糸として巻き取って所定の直径を有す
管糸を形成するリング精紡機において、適宜に選ばれ
た複数の紡出ユニットに巻き径検出手段を設け、該検出
手段によって形成中の管糸の巻き径を測定し、その値が
リング内壁と管糸表面との接触を防止するために予め記
憶された管糸の安全直径を越えて増大した場合には警告
信号を発することを特徴とするリング精紡機におけるす
れ玉防止方法によって解決される。
【0007】
【作用】巻き径検出手段は、形成中の管糸の直径を測定
し、その値が予め設定されている管糸の安全直径を越え
る大きな値を示した場合には、直ちに警告信号を発する
ように構成されている。この警告信号に基づいて、自動
的に精紡機を停止させたり、又は運転を継続しながらリ
ングレールの昇降のステップ長を適当に増加させて巻き
径を細くしたりする等の処置を講じ、玉ずれによる糸の
損傷を未然に防止する。
【0008】この巻き径検出手段は、リング精紡機の長
手方向に適宜のピッチで選定された複数の紡出ユニット
に設けられ、その中の一つでも前記警告信号を発した場
合には、前述の処置をとるようにすれば、実質的に完全
にすれ玉事故を解消することができる。以下、図面に示
す好適実施例に基づいて、本発明を更に詳細に説明す
る。
【0009】
【実施例】本発明はドラフト機構,スピンドル,リング
からなる多数の紡出ユニットを機台の長手方向に沿って
所定のピッチで配設し、前記リングを担持したリングレ
ールの昇降運動によって、ドラフト機構から紡出される
糸を前記スピンドル上のボビンに巻き取って管糸を形成
するリング精紡機に対して適用される。
【0010】図2は、このようなリング精紡機の管糸形
成のための機構の一例を示す。 精紡機の左右両側には
長手方向に沿ってラインシャフト1が回転自在に配設さ
れ、これにねじ歯車2及び傘歯車3が一体回転可能に所
定のピッチで嵌着されている。一方、スピンドル(図示
しない)には、リングレール4を支持するポーカピラー
5がスライドガイド(図示しない)を介して上下方向に
摺動可能に支承され、スライドガイドの下方には昇降手
段を構成するナット体6がスピンドルレールに対して回
転可能に支持されている。ナット体6には、前記ポーカ
ピラー5の下部に形成されたスクリュー部5aが螺入さ
れ、その下端には前記ねじ歯車2と噛み合うねじ歯車7
が嵌着・固定されている。
【0011】ラペットアングル8を支持するポーカピラ
ー9がスライドガイド(図示しない)に対して上下方向
に摺動可能に支承されている。このポーカピラー9はフ
レームに対して回転可能に支持されると共に、前記傘歯
車3と噛み合う傘歯車10を具えたナット体11に対し
て下端スクリュー部9aが螺入されている。ラインシャ
フト1にはドラフト機構のフロントローラ12の回転が
歯車列13,14,15等を介して伝達され、歯車列1
4に設けられた一対の電磁クラッチ16,17の励磁/
消磁に対応して正逆回転駆動されるようになっている。
【0012】電磁クラッチ16,17による正逆回転の
切り換えが行われる中間軸18の端部には、該軸18の
回転数を検出するロータリエンコーダ19が取付けられ
ている。この電磁クラッチ16,17の励磁/消磁は制
御装置20からの駆動信号に基づいて行われる。また、
制御装置20には、前記ロータリエンコーダ19の検出
信号が入力される。制御装置20には管糸形成のための
リングレールの昇降運動の条件である通常巻取り運転時
におけるリングレールの1回の上昇量即ちチェース長
と、1回の巻き上げ量即ちステップ長とが入力装置21
を通じて入力されている。制御装置20はその値とロー
タリエンコーダ19からの信号に基づいて、リングレー
ル4の昇降切り換え時、即ち電磁クラッチ16,17の
励磁/消磁の時期を演算し、これを制御する。
【0013】このように構成された装置による管糸形成
動作を説明する。フロントローラ12の回転は歯車列1
3,14,15を介してラインシャフト1に伝達され
る。該ラインシャフトの正逆転に対応して、ねじ歯車
2,7を介してナット体6が、また傘歯車3,10を介
してナット体11がそれぞれ正逆方向に回転駆動され
る。これによって、ナット体6,11に螺入されたスク
リュー部5a,9aを介してリングレール4及びラペッ
トアングル8が同期して昇降運動される。
【0014】ラインシャフト1の正逆回転は電磁クラッ
チ16,17の励磁/消磁によって切り換えられ、電磁
クラッチ16が励磁されて電磁クラッチ17が消磁され
た場合にはラインシャフト1は正転駆動され、反対に電
磁クラッチ16が消磁されて電磁クラッチ17が励磁さ
れた場合には逆転駆動される。制御装置20は、入力装
置21により入力された通常巻取り運転時におけるリン
グレールの設定チェース長と設定ステップ長に基づい
て、リングレールが図3の昇降運動を繰り返すように各
電磁クラッチ16,17に対して励磁/消磁の駆動制御
信号を出力する。これによって図3の右端の形状の満管
糸が形成される。
【0015】本発明においては、図1に示すように、管
糸巻き径を検出するための公知の光学式変位センサやレ
ーザー式変位センサ等の巻き径検出手段30を、リング
31を担持したリングレール4の下面に管糸Bの表面に
対面させて固定している。この検出手段30は、前述の
管糸形成のためのリングレールの昇降運動の際にリング
レール4と共に昇降運動し、管糸Bの最大直径Pを含む
現在形成中のチェース部分を走査可能となっている。
【0016】この検出手段30によって連続的に測定さ
れた管糸の巻き径の測定信号は、順次に制御装置20に
入力され、該制御装置20に予め記憶させてある管糸の
最大直径に相当する設定値と比較される。そして、検出
された値がこの設定値を越えて増大した場合には、制御
装置20から警告信号が出力される。この警告信号によ
って、精紡機を駆動する主モータを直ちに停止して、糸
の紡出を中断し、すれ玉の発生を未然に防ぐことができ
る。
【0017】また、別のやり方としては、主モータを停
止することなく、代わりに警告信号に基づいて制御装置
20内に記憶されていたリングレールの昇降運動のステ
ップ長の設定値を変更してステップ長を大きくし、図4
に示すように、その変更値に基づいて残りの管糸形成作
業を続行してもよい。ステップ長が長くなったことによ
り、管糸の最大直径が今までよりも細くなり、リングの
内壁との玉ずれが回避される。
【0018】この巻き径検出手段は、1台のリング精紡
機について複数の紡出ユニットに対して設置することが
必要である。なぜならば、一つの紡出ユニットについて
のみ検出手段を設けておいた場合には、なんらかの理由
でそこが紡出不能な空錘状態となった時には本発明方法
は実施できないからである。これに対して、複数の紡出
ユニットに対して検出手段を設けておけば、たとえ一錘
が使用不能となっても他のいずれかの検出手段が作動し
て本発明方法を実施することができる。
【0019】本発明の別の実施例を図5に基づいて説明
する。この実施例においては、スピンドルの下部領域に
おけるリングレール4の昇降範囲に対応し、該リングレ
ールの運動と干渉しない外側の位置に、巻き径検出手段
32が固定されている。この巻き径検出手段32は、リ
ングレール4の上昇ストロークの際に管糸Bとの間に遮
蔽物が存在しない時期に管糸Bの巻き径を測定するよう
に制御されている。そして、この測定信号が所定の設定
値を越えて増大した場合には、直ちに警告信号が出力さ
れる。
【0020】この例においては、巻き径検出手段がスピ
ンドルの下部領域に対応する静止位置に固定され、管糸
形成の初期段階の管糸直径だけを測定可能である。しか
し、それ以降の管糸直径がこの初期段階の最大直径を越
えることは確率的に稀なので、この方式でもすれ玉事故
を未然に防ぐことが可能である。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、管糸の形成中に連続的
にその巻き径を検出し、この値がリング内壁と管糸表面
との接触を防止するために予め記憶された安全直径を越
えて増大した場合に警告信号を発すると共に所定の動作
を行って、管糸直径のそれ以上の増加を防止するように
したので、すれ玉の発生による糸の損傷を未然に防ぐこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置の要部を示す
側面図である。
【図2】リング精紡機の管糸形成のための機構の一例を
示す概略斜視図である。
【図3】管糸形成のためのリングレールの一般的な昇降
運動の線図である。
【図4】本発明方法による管糸形成のためのリングレー
ルの昇降運動の例を示す線図である。
【図5】本発明方法を実施するための装置の他の例を示
す側面図である。
【符号の説明】
B…管糸 4…リングレール 30,32…巻き径検出手段 31…リング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01H 1/36 B65H 63/00 D01H 13/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドラフト装置とスピンドルとリングとか
    らなる多数の紡出ユニットを具え、ドラフト装置から紡
    出されるフリースをリング上を走行するトラベラを介し
    て加撚しつつ、該リングを担持したリングレールの1チ
    ェース分の昇降運動の繰り返しによって次第に管糸の巻
    き径を増加させながら各昇降運動毎に1ステップ長ずつ
    上昇してスピンドルに嵌挿されたボビン上に糸として巻
    き取って所定の直径を有する管糸を形成するリング精紡
    機において、適宜に選ばれた複数の紡出ユニットに巻き
    径検出手段を設け、該検出手段によって形成中の管糸の
    巻き径を測定し、その値がリング内壁と管糸表面との接
    触を防止するために予め記憶された管糸の安全直径を越
    えて増大した場合には警告信号を発することを特徴とす
    るリング精紡機におけるすれ玉防止方法。
  2. 【請求項2】 巻き径検出手段がリングレールと同期し
    て昇降する請求項1に記載のすれ玉防止方法。
  3. 【請求項3】 前記警告信号に基づいて、自動的にリン
    グ精紡機を停止される請求項1に記載のすれ玉防止方
    法。
  4. 【請求項4】 前記警告信号に基づいて、自動的にリン
    グレールの昇降運動のステップ長を増大させる請求項1
    に記載のすれ玉防止方法。
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