JPH09195129A - 粗紡機における成形粗糸巻の肩崩れ防止方法及び装置 - Google Patents

粗紡機における成形粗糸巻の肩崩れ防止方法及び装置

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JPH09195129A
JPH09195129A JP1023896A JP1023896A JPH09195129A JP H09195129 A JPH09195129 A JP H09195129A JP 1023896 A JP1023896 A JP 1023896A JP 1023896 A JP1023896 A JP 1023896A JP H09195129 A JPH09195129 A JP H09195129A
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JP
Japan
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bobbin rail
inversion
time
reversal
bobbin
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Application number
JP1023896A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Nakano
勉 中野
Hiroshi Tsuboi
浩志 坪井
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレッサの停止位置に拘らず再起動後の肩崩
れを防止し、停止指令が出力されると直ちに停止動作を
開始することを可能とする。 【解決手段】 ボビンレール昇降駆動系の上昇、下降駆
動の切替時期が制御手段からの指令により任意に変更可
能に構成されている。ボビンレールの位置が位置検出手
段により検出される。前回の反転時におけるオーバーラ
ン量Li-1 と今回の反転時におけるオーバーラン量Li
との差が判定基準値αより大きい場合に、次回以降の同
じ側の反転指令出力位置を補正する。この補正により次
回以降のボビンレールの反転位置が予定されていた位置
より所定量だけボビンレールの移動方向の手前となる。
補正量はオーバーラン量の差(Li-1 −Li )が使用さ
れる。判定基準値αは前回の反転指令出力位置ULi-1
今回の反転指令出力位置ULiとの差に係数kを掛けた値
k・(ULi-1 −ULi )が使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粗紡機における成形
粗糸巻の肩崩れ防止方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に粗紡機においては、フロントロー
ラより一定速度で送り出される粗糸を、一定速度で回転
しているフライヤとそれより高速で回転するボビンとの
回転速度差により粗糸に撚りを掛けつつボビンに巻取
る。ボビンはボビンレールに支承されてボビンレールと
ともに昇降動され、ボビンレールの昇降運動の方向が変
わる毎にボビンレールの移動距離が短縮され、粗糸巻の
両端部が円錘形状となるように粗糸の巻取りが行われ
る。
【0003】一般に粗紡機では巻取り運転中に粗糸切れ
が発生した場合、粗糸切れ検出装置の検出信号に基づい
て機台が一時停止される。また、粗糸がドラフト装置の
フロントローラに巻きついた場合や勤務終了時あるいは
非常時にも機台を一時停止させる。粗糸切れによる機台
の一時停止の際には、粗糸端が他の錘の紡出粗糸に絡み
ついて新たな粗糸切れを起こすのを防止するため、速や
かに機台を停止させる必要がある。機台運転中に一時停
止を行う場合、停止指令と同時に直ちに粗糸の巻取りが
停止されるのではなく、減速運転が行われて減速中も粗
糸を巻取りながら停止される。
【0004】そして、停止、再起動が粗糸巻の肩部付近
で行われると、再起動後の巻取りにより所謂肩崩れが発
生し易い。肩崩れが発生すると、その後の巻取りや後工
程での粗糸繰り出しに支障を来す。この肩崩れを防止す
るため、プレッサが粗糸巻の肩部における所定幅の範囲
と対応する位置に停止するのを禁止するようにした装置
が提案されている(例えば、特開昭49−31929号
公報、特開平4−281020号公報)。これらの装置
ではプレッサが肩部に近い停止動作開始禁止領域にある
ときは、停止指令が出力された後、プレッサが前記領域
を通過後に停止動作が開始されるようになっている。
【0005】また、特開平7−150424号公報に
は、停止指令が出力されると直ちに停止動作を開始して
機台停止を行い、停止時におけるプレッサの位置によ
り、再起動後のボビンレールの反転位置を変更して肩崩
れを防止する方法が提案されている。この肩崩れ防止方
法では、粗紡機運転中の一時停止時に、プレッサの停止
位置が粗糸巻の肩部付近の予め設定された所定範囲にあ
る場合、運転再開後の前記プレッサの停止位置と対応す
る肩部側のボビンレールの反転位置を、前記所定範囲通
過後の次の反転位置から通常の反転位置よりも所定量だ
けボビンレールの移動方向の手前となるように補正して
運転が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】機台運転中における一
時停止が粗糸切れや緊急性のない原因に起因する場合
は、プレッサの停止位置が肩部付近とならないように停
止指令から停止動作開始までの時間を延長しても支障は
ない。しかし、非常停止等、緊急性を要する停止の場合
は、停止指令出力後、できる限り速く停止させる必要が
ある。そのため、特開昭49−31929号公報、特開
平4−281020号公報に開示された装置を備えた粗
紡機でも、非常停止時や作業者が操作する停止スイッチ
による停止時には、前記肩崩れ防止装置の作動が無効化
されるようになっている。従って、緊急停止の場合はプ
レッサの停止位置が肩部付近となる場合が生じ、再起動
後に肩崩れが発生する場合がある。
【0007】また、粗糸巻径の増大した巻取り後半では
停止動作開始禁止領域をプレッサが通過するのに要する
時間が長くなり、粗糸切れ発生から機台停止までの時間
が長くなる。そして、停止原因となった粗糸切れした錘
においては、巻き取られれずに送り出される粗糸がフラ
イヤトップ部に溜まるいわゆる「花咲き」が生じ易くな
り、その処理に時間がかかって糸継ぎ処理に余分な時間
を要する。その結果、機台の停止が長引き、機台の稼働
率が低下する。また、当該錘の粗糸巻は粗糸層が正常な
数存在しない区間のある所謂遅れ玉となる。遅れ玉が発
生すると紡出条件によっては、その錘は紡出不能となる
場合がある。
【0008】そして、紡出速度が速くなるほど前記停止
動作開始禁止領域は広く設定する必要があり、近年の高
速化により前記の問題がますます顕著になる傾向があ
る。一方、特開平7−150424号公報に開示された
肩崩れ防止方法では、停止指令が出力されると直ちに停
止動作が開始されるため、粗糸切れ発生から機台停止ま
でに要する時間が短時間となり、前記の問題は解消され
る。しかし、特開平7−150424号公報に開示され
た方法では、機台の一時停止時におけるプレッサの位置
が、機台再起動後に肩崩れが起こり易いか否かの判断基
準となる所定範囲に関するデータを予め実験的に求めて
おく必要がある。そして、紡出条件としては紡出粗糸重
量、繊維種(カード処理綿、コーマ処理綿、化繊等の違
い)、フライヤ回転速度等があり、このデータベースの
蓄積に手間がかかるという問題がある。
【0009】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的はプレッサの停止位置に拘らず再
起動後の肩崩れを防止でき、停止指令が出力されると直
ちに停止動作を開始することができる粗紡機における成
形粗糸巻の肩崩れ防止方法及び装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、ボビンレール昇降駆動
系の上昇、下降駆動の切替時期を制御手段からの指令に
より任意に変更可能に構成され、かつボビンレールの位
置を検出する位置検出手段を備えた粗紡機において、少
なくとも機台停止信号が出力された後の最初の反転時に
おける反転指令出力時から反転時までのボビンレールの
移動量を、前回の同じ側の反転時における反転指令出力
時から反転時までのボビンレールの移動量から差し引い
た値が判定基準値より大きい場合に、次回以降の同じ側
の反転指令出力時期を所定量だけ早くして次回以降のボ
ビンレールの反転位置を予定されていた位置より所定量
だけボビンレールの移動方向の手前となるようにして運
転を行うようにした。
【0011】請求項2に記載の発明では、ボビンレール
昇降駆動系の上昇、下降駆動の切替時期を制御手段から
の指令により任意に変更可能に構成され、かつボビンレ
ールの位置を検出する位置検出手段を備えた粗紡機にお
いて、ボビンレールの反転時における反転位置データを
それぞれ求め、前回の反転位置データから今回の反転位
置データを差し引いた値が所定の基準値より大きい場合
に、次回以降の同じ側の反転指令出力時期を所定量だけ
早くして次回以降の同じ側のボビンレールの反転位置を
予定されていた位置より所定量だけボビンレールの移動
方向の手前となるようにして運転を行うようにした。
【0012】請求項3に記載の発明では、ボビンレール
昇降駆動系の上昇、下降駆動の切替時期を制御手段から
の指令により任意に変更可能な粗紡機において、ボビン
レールの位置を検出する位置検出手段と、ボビンレール
の昇降切替毎にボビンレールの反転位置データを記憶す
る第1の記憶手段と、反転指令出力時毎のボビンレール
の位置データを記憶する第2の記憶手段と、前記両記憶
手段に記憶された位置データに基づいてボビンレールの
反転時における反転指令出力時から反転時までのボビン
レールの移動量を演算する演算手段と、少なくとも機台
停止信号が出力された後の最初の反転時における前記移
動量を、その前回の同じ側の反転時における移動量から
差し引いた値が、判定基準値より大きいか否かを判断す
る第1の判断手段と、前記第1の判断手段の判断結果が
判定基準値より大きい場合に、次回以降の同じ側の反転
指令出力時期が所定量だけ早くなるようにボビンレール
の昇降駆動系の昇降切替えを制御する制御手段とを備え
た。
【0013】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、演算手段を省略するとともに、第1
の判断手段に代えて、少なくとも機台停止信号が出力さ
れた後の最初の反転時におけるボビンレールの反転位置
データを、前回の同じ側における反転時の反転位置デー
タから差し引いた値が、所定の基準値より大きいか否か
を判断する第2の判断手段を設け、第2の判断手段の判
断結果が所定の基準値より大きい場合に、次回以降の同
じ側の反転指令出力時期が所定量だけ早くなるようにボ
ビンレールの昇降駆動系の昇降切替えを制御する制御手
段とを備えた。
【0014】請求項1に記載の発明では、ボビンレール
の位置が位置検出手段により検出される。少なくとも機
台停止信号が出力された後の最初の反転時における反転
指令出力時から反転時までのボビンレールの移動量を、
前回の同じ側の反転時における反転指令出力時から反転
時までのボビンレールの移動量から差し引いた値が判定
基準値と比較される。そして、その差が判定基準値より
大きいとき、次回以降の同じ側の反転指令出力時期を所
定量だけ早くして、次回以降のボビンレールの反転位置
が予定されていた位置より所定量だけボビンレールの移
動方向の手前となるように、ボビンレール昇降駆動系の
上昇、下降駆動の切替時期が変更される。
【0015】また、請求項2に記載の発明では、ボビン
レールの反転時における反転位置データがそれぞれ求め
られる。そして、前回の反転位置データから今回の反転
位置データを差し引いた値が所定の基準値より大きい場
合に、次回以降の同じ側の反転指令出力時期が所定量だ
け早く変更される。その結果、次回以降の同じ側のボビ
ンレールの反転位置が予定されていた位置より所定量だ
けボビンレールの移動方向の手前となるようにして運転
が行われる。
【0016】請求項3に記載の発明では、位置検出手段
によりボビンレールの位置が検出され、ボビンレールの
昇降切替毎にボビンレールの反転位置データが第1の記
憶手段に記憶される。第2の記憶手段に反転指令出力時
毎のボビンレールの位置データが記憶される。両記憶手
段に記憶された位置データに基づいて演算手段によりボ
ビンレールの反転時における反転指令出力時から反転時
までのボビンレールの移動量が演算される。そして、第
1の判断手段により少なくとも機台停止信号が出力され
た後の最初の反転時における前記移動量を、その前回の
同じ側の反転時における移動量から差し引いた値が、判
定基準値より大きいか否かが判断される。第1の判断手
段の判断結果が判定基準値より大きい場合に、制御手段
により次回以降の同じ側の反転指令出力時期が所定量だ
け早くなるようにボビンレールの昇降駆動系の昇降切替
えが制御される。
【0017】請求項4に記載の発明では、第2の判断手
段により少なくとも機台停止信号が出力された後の最初
の反転時におけるボビンレールの反転位置データを、前
回の同じ側における反転時の反転位置データから差し引
いた値が、所定の基準値より大きいか否かが判断され
る。第2の判断手段の判断結果が所定の基準値より大き
い場合に、制御手段により次回以降の同じ側の反転指令
出力時期が所定量だけ早くなるようにボビンレールの昇
降駆動系の昇降切替えが制御される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
の形態を図1〜図6に従って説明する。粗紡機の駆動系
は基本的には本願出願人が先に提案したもの(特開平5
ー214619号公報)と同じである。図2に示すよう
に、フロントローラ1はその回転軸1aの一端と、主モ
ータMにより回転駆動されるドライビングシャフトとの
間に配設された歯車列(いずれも図示せず)を介して回
転駆動されるようになっている。フライヤ2の上部には
被動歯車3が一体回転可能に嵌着固定され、被動歯車3
は前記ドライビングシャフトの回転がベルト伝動機構を
介して伝達される回転軸4に嵌着された駆動歯車5と噛
合している。一方、ボビンレール6上に装備されたボビ
ンホイール7には被動歯車7aが固着されている。被動
歯車7aと噛合する駆動歯車8が嵌着固定された回転軸
9には、ドライビングシャフトの回転力と、インバータ
10bを介して変速駆動される巻取用モータ11による
回転力とが差動歯車機構12により合成されて伝達され
るようになっている。巻取用モータ11、差動歯車機構
12等により粗糸巻層の増加に対応してボビン回転速度
を減少させる巻取速度変速装置が構成されている。
【0019】ボビンレール6にはリフターラック13が
固定されている。リフターラック13と噛合する歯車1
4が嵌着された回転軸15には、インバータ10cを介
して変速駆動される昇降用モータ16により駆動される
駆動軸17の回転が切替機構18及び歯車列を介して伝
達される。切替機構18は中間軸19と、中間軸19と
駆動軸17との間に設けられた一対の歯車列20,21
と、歯車列20,21の回転を中間軸19に伝達する電
磁クラッチ22,23とから構成されている。そして、
電磁クラッチ22,23の励消磁により回転軸15の回
転方向すなわちボビンレール6の昇降動の方向が変更さ
れるようになっている。回転軸15の一端にはボビンレ
ール6の上下方向における位置を検出する位置検出手段
としてのロータリエンコーダ24が接続されている。ロ
ータリエンコーダ24はボビンレール6の昇降速度を検
出するセンサとしての役割をも果たす。リフターラック
13、歯車14、回転軸15、昇降用モータ16、駆動
軸17及び切替機構18によりボビンレール昇降駆動系
が構成されている。
【0020】フライヤレール(図示せず)の上方近傍に
は公知の粗糸切れ検知センサPHが装備されている。ま
た、粗紡機には非常停止スイッチES及び停止スイッチ
S(図3に図示)が装備されている。停止スイッチSは
粗糸のフロントローラへの巻付き時や勤務終了時等に作
業者が操作する。
【0021】次に前記駆動系を駆動制御するための電気
的構成を図3に従って説明する。制御装置25を構成す
るマイクロコンピュータ26は、演算手段、第1の判断
手段及び制御手段としてのCPU(中央処理装置)27
と、制御プログラム等を記憶した読出し専用メモリ(R
OM)よりなる記憶手段としてのプログラムメモリ28
とを備えている。マイクロコンピュータ26は入力手段
としての入力装置29により入力された入力データ及び
CPU27における演算処理結果等を一時記憶する読出
し及び書替可能なメモリ(RAM)よりなる第1及び第
2の記憶手段としての作業用メモリ30を備えている。
入力装置29は制御装置25にキーボードとして一体に
組み込まれており、紡出粗糸重量、繊維種、フライヤ回
転数、撚数、ボビン径、粗糸巻の肩角度、巻取り開始時
におけるボビン径等の紡出条件が入力装置29により作
業用メモリ30に入力される。
【0022】ロータリエンコーダ24、粗糸切れ検知セ
ンサPH及び両停止スイッチES,Sの出力信号は入力
インタフェース31を介してCPU27に入力されるよ
うになっている。ロータリエンコーダ24は回転軸15
の正転、逆転に対応してそれぞれ別のパルス信号を出力
するようになっており、ボビンレール6の上昇、下降の
区別がパルス信号からも確認できるようになっている。
CPU27はプログラムメモリ28に記憶されたプログ
ラムデータに基づいて動作する。CPU27はロータリ
エンコーダ24からの出力信号に基づいてボビンレール
6の昇降速度及び位置を演算するようになっている。C
PU27はボビンレール6の位置を示す位置データを、
反転指令出力時及び反転時毎に作業用メモリ30に記憶
させ、作業用メモリ30に記憶された位置データに基づ
いてボビンレール6の反転時におけるオーバーラン量を
演算する。オーバーラン量とは反転指令出力時から実際
に反転する時までのボビンレール6の移動量を意味す
る。
【0023】CPU27は出力インタフェース32、モ
ータ駆動回路33a,33b,33c及びインバータ1
0a,10b,10cを介して主モータM、巻取用モー
タ11及び昇降用モータ16を駆動制御するようになっ
ている。また、電磁クラッチ22,23はCPU27か
らの信号に基づき、電磁クラッチ励消磁回路34を介し
てその励消磁が制御され、電磁クラッチ22,23の励
消磁切替えによりボビンレール6の昇降切替(反転)が
行われるようになっている。ボビンレール6は第1の電
磁クラッチ22が励磁されたときに上昇移動され、第2
の電磁クラッチ23が励磁されたときに下降移動される
ようになっている。両電磁クラッチ22,23が同時に
励磁されることはない。
【0024】CPU27はボビンレール6が所定の位置
に到達する毎に反転指令信号を出力する。CPU27は
各反転時のオーバーラン量を前回の反転時のオーバーラ
ン量から差し引いた値が判定基準値以上の場合に、次回
以降の同じ側の反転指令出力時期を所定量だけ早くする
ようになっている。
【0025】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。機台の運転に先立ってまず紡出粗糸重量、繊
維種、フライヤ回転数、撚数、粗糸巻の肩角度等の紡出
条件が入力装置29により入力される。
【0026】その後、機台の運転が開始され、主モータ
Mによりフロントローラ1及びフライヤ2がそれぞれ回
転駆動される。機台の駆動とともにロータリエンコーダ
24からの出力信号がCPU27に入力される。機台の
起動と同時に巻取用モータ11及び昇降用モータ16も
駆動され、差動歯車機構12に入力された主モータMの
回転力と、巻取用モータ11の回転力とが差動歯車機構
12で合成され、合成された回転力により回転軸9が駆
動されてボビンホイール7が回転駆動される。その結
果、フロントローラ1から紡出された粗糸Rがフライヤ
2により加撚され、フライヤ2より高速で回転するボビ
ンBに層状に巻取られる。また、昇降用モータ16の駆
動により、切替機構18、回転軸15等を介してリフタ
ーラック13とともにボビンレール6が昇降動される。
【0027】巻取り速度及びボビンレール6の昇降速度
は巻取用モータ11及び昇降用モータ16の回転速度を
変更することにより、粗糸層の増加に伴い漸減される。
CPU27はロータリエンコーダ24からの出力信号に
基づいて常にボビンレール6の位置を演算する。ボビン
レール6の位置は、図4に示すように、ボビンBの粗糸
巻付け可能位置の下端を原点(0)として、ボビンレー
ル6の上昇方向に向かって大きくなるように設定された
位置座標の値として表される。
【0028】最初の下側反転指令出力位置DL1 及び最初
の上側反転指令出力位置UL1 は、入力装置29により入
力されたリフト長LL及びマージンLmによって決まる。
また、第i回目の下側反転指令出力位置DLi 及び上側反
転指令出力位置ULi は、途中停止等の異常がなければ次
の各式に従って設定される。
【0029】 DLi =DL1 +(i−1)Δφ cotθ…(1) ULi =UL1 −(i−1)Δφ cotθ…(2) 但し、Δφは紡出条件により定まる定数、θは粗糸巻の
肩角度である。
【0030】また、第i回目の反転時におけるボビンレ
ール6の実際の反転位置をxi とすると、オーバーラン
量Li はLi =xi −ULi 又はLi =DLi −xi で表さ
れる。CPU27はオーバーラン量に所定量以上の変動
が生じると、反転指令出力位置を変更して実際の反転位
置が常に前回の同じ側の反転位置よりボビンレール6の
移動方向の手前となるようにボビンレール昇降駆動系を
制御する。
【0031】CPU27による反転指令位置の設定手順
を上側反転指令位置を例にして、図1に示すフローチャ
ートに従って説明する。CPU27はステップS1で
(2)式においてi=1として1回目の上側反転指令出
力位置UL1 を設定し、ステップS2に進んでボビンレー
ル6が昇降切替位置か否か、即ち上側反転指令出力位置
UL1 に達したか否かをロータリエンコーダ24の出力信
号に基づいて判断する。ボビンレール6が上側反転指令
出力位置UL1 に達するとCPU27はステップS3に進
んで昇降切替指令即ち反転指令信号を出力する。反転指
令信号は電磁クラッチ22,23の励消磁切替指令信号
である。また、CPU27は反転指令信号を出力した時
の位置データULi ( =UL1)を作業用メモリ30に記憶さ
せる。
【0032】次にCPU27はステップS4でオーバー
ラン量の演算を行う。即ち、CPU27はロータリエン
コーダ24の出力信号に基づき、ボビンレール6の実際
の反転位置を反転位置データxi ( =x1)として作業用
メモリ30に記憶させる。そして、その値と前記位置デ
ータとから当該反転時のオーバーラン量Li (=L1)を
i =xi −ULi により演算する。次にCPU27はス
テップS5に進み、前回の同じ側の反転時におけるオー
バーラン量Li-1 と今回のオーバーラン量Liとの差Δ
i =(Li-1 −Li )を演算する。ステップS4及び
ステップS5では、CPU27は演算手段として機能す
る。なお、0回目のオーバーラン量L0は零である。
【0033】次にCPU27はステップS6に進み、オ
ーバーラン量の差ΔLi が所定の判定基準値αより大き
いか否かの判断を行う。ステップS6ではCPU27は
第1の判断手段として機能する。判定基準値αはα=k
・ΔULi で表され、kは0以上1未満の数で、ΔULi
(ULi-1 −ULi )で定義される。そして、オーバーラン
量の差ΔLi が判定基準値αより大きければステップS
7に進んで、次回の上側反転指令出力位置ULi+1 を次式
(3)により算出する。
【0034】 ULi+1 =ULi −ΔULi+1 −ΔLi =ULi −(ULi −ULi+1 )−(Li-1 −Li ) =ULi+1 −(Li-1 −Li )…(3) 即ち、次回の上側反転指令出力位置ULi+1 は予め設定さ
れていた上側反転指令出力位置ULi+1 より所定量(この
実施の形態では前回と今回のオーバーラン量の差(L
i-1 −Li ))だけボビンレール6の移動方向の手前と
なるように設定される。そして、ステップS8に進んで
(2)式においてi=i+1とした後、ステップS2に
戻り、同様にして第2回目以降の各反転時の上側反転指
令位置が設定される。
【0035】ステップS6でオーバーラン量の差ΔLi
が判定基準値α以下の場合は、CPU27はステップS
9に進み、次回の上側反転指令出力位置ULi+1 を次式
(4)に従って算出する。
【0036】 ULi+1 =ULi −ΔULi+1 =ULi −(ULi −ULi+1 ) =ULi+1 …(4) 即ち、次回の上側反転指令出力位置ULi+1 は予め設定さ
れていた上側反転指令出力位置ULi+1 と同じに設定され
る。ステップS7及びステップS9ではCPU27は設
定手段として機能する。
【0037】下側反転指令出力位置DLi ,DLi+1 も前記
と同様にして設定される。ただし、CPU27はステッ
プS1及びステップS8で(2)式に代えて(1)式を
使用してDLi を演算する。また、ステップS7及びステ
ップS9でDLi+1 を演算する場合は、(3)式に代えて
次の(5)式を、(4)式に代えて次の(6)式をそれ
ぞれ使用してDLi+1 を演算する。
【0038】 DLi+1 =DLi+1 +(Li-1 −Li )…(5) DLi+1 =DLi+1 …(6) 機台運転中に制御装置25に粗糸切れ検知センサPH、
停止スイッチS又は非常停止スイッチESからオン信号
(機台停止信号)が入力されると、CPU27はその信
号に基づいて機台停止動作を開始し、機台が停止され
る。機台停止動作はボビンレール6の位置に関係なく、
前記粗糸切れ検知センサPH等からのオン信号をCPU
27が入力すると直ちに開始される。従って、ボビンレ
ール6はプレッサ2aが粗糸巻Pの肩部付近となる位置
で停止する場合もある。
【0039】次に前記のようにして反転指令出力位置が
順次設定される条件でボビンレール6が昇降される場合
に、プレッサ2aが粗糸巻Pの肩部あるいは肩部付近で
停止しても、肩崩れが生じない理由を上側での反転を例
にして説明する。
【0040】定速運転中の反転時におけるオーバーラン
量Li の値は、当該反転時とその前後の反転時とで等し
い(Li-1 =Li =Li+1 )として差し支えない。ま
た、第(i−1)回目の上側反転指令出力位置ULi-1
第i回目の上側反転指令出力位置ULi との差ΔULi
(ULi-1 −ULi )は基本的にはiによらず一定と考えて
差し支えない。
【0041】第n回目の反転が起こる前に機台の途中停
止が行われ、肩部あるいはその付近での停止が発生した
とする。この場合、再起動後の最初の反転、即ち通算第
n回目の反転は加速途中(もしくは減速途中)の低速で
の反転のため、オーバーラン量Ln は定速運転時の反転
である前回のオーバーラン量Ln-1 や次回のオーバーラ
ン量Ln+1 に比較して小さい値となる。
【0042】この場合、再起動後の反転指令出力位置を
第(n+1)回目以降も停止前と同様に単純に式(2)
に従って設定して運転を継続すると、図5(a)に示す
ように、第(n+1)回目の反転位置が第n回目の反転
位置を過ぎた位置となったり、図6(a)に示すよう
に、第(n+1)回目の反転位置が第n回目の反転位置
に非常に近くなり、後々肩崩れに至る危険を有する状態
となる。
【0043】しかし、この実施の形態では前記のよう
に、第n回目の反転が完了した後、第(n−1)回目の
オーバーラン量Ln-1 と第n回目のオーバーラン量Ln
との差ΔLn が判定基準値αと比較され、次回の反転指
令出力位置ULn+1 はその比較結果に基づいて設定され
る。そして、その差ΔLn が判定基準値αより大きけれ
ば、図5(b)及び図6(b)に示すように、(n+
1)回目以降の反転指令出力位置は予定されていた反転
指令出力位置ULn+1 より所定量X(=Ln-1 −Ln )だ
け、ボビンレール6の移動方向の手前となるように設定
される。従って、第n回目以降の反転指令出力位置は、
第(n−1)回目以前の反転位置と同じ傾きで一直線上
に並ぶようになり、ボビンレール6の実際の反転位置x
i も同じ傾きで一直線上に並ぶ。従って、肩崩れが発生
しない。
【0044】判定基準値αは前記のようにα=k・ΔUL
i で表され、kは0以上1未満の数として設定される係
数である。ΔULi (=ULi-1 −ULi )は基本的にはiに
よらず一定と考えてよい。k=0の場合は今回のオーバ
ーラン量Ln が前回のオーバーラン量Ln-1 より小さけ
れば必ず次回の反転指令出力位置ULn+1 が予定の位置よ
り手前となるように補正がかかる。補正量となる所定量
Xはオーバーラン量の差ΔLn であるため、オーバーラ
ン量の差ΔLn が小さければ補正量も小さくなる。従っ
て、今回のオーバーラン量Ln が前回のオーバーラン量
n-1 より僅かだけ小さいときに補正がかかってもその
量は僅かとなり支障はない。
【0045】k=1の場合はオーバーラン量の差ΔLi
=Li-1 −Li が前回の上側反転指令出力位置ULi-1
今回の上側反転指令出力位置ULi との差ΔULi 以下のと
きには補正を行わないということである。第(n−1)
回目のオーバーラン量と第n回目のオーバーラン量との
差ΔLn がΔULn に等しいということは、第(n+1)
回目の上側反転指令出力位置ULn+1 を補正しないと、第
n回目の実際の反転位置xn が第(n+1)回目の実際
の反転位置xn+1 と同じになることを意味する。
【0046】なぜならば、xn =Ln +ULn で表され、
ΔLn =ΔULn =ULn-1 −ULn であるため、xn ={L
n-1 −(ULn-1 −ULn )}+ULn =Ln-1 −ULn-1 +2
ULnとなる。一方、xn+1 =Ln+1 +ULn+1 で表され、U
Ln+1 =ULn −ΔULn であり、Ln+1 =Ln-1 であるた
め、xn+1 =Ln-1 +{ULn −(ULn-1 −ULn )}とな
り、xn+1 =Ln-1 −ULn-1 +2ULn となる。故にxn
=xn+1 となる。
【0047】従って、肩崩れを防止するには、前記オー
バーラン量との差ΔLn がΔULn より大きいときに第
(n+1)回目の上側反転指令出力位置ULn+1 を補正す
る必要がある。この実施の形態では、オーバーラン量と
の差ΔLi がΔULi より大きいときに所定量X(=ΔL
i )の補正を行うため、肩崩れが防止される。
【0048】判定基準値α=k・ΔULi の係数kの値は
前記のように0以上1未満の数であればよいが、0.2
≦k≦0.5が好ましい。係数kが0あるいは0に近い
と今回のオーバーラン量が少しでも前回のオーバーラン
量より小さいと補正がかかるため、制御動作が頻繁に行
われるが、0.2≦kとすることにより不要な補正が無
くなる。また、係数kを1に近い値にすると、次回のボ
ビンレール6の実際の反転位置がこの回の反転位置に近
くなる場合が生じるため、k≦0.5が好ましい。
【0049】なお、図5(b)及び図6(b)では都合
上、補正量等を誇張して示しており、オーバーラン量L
i 及び上側反転指令出力位置の差ΔULi 等は実際には共
に1mm程度の値であり、補正により発生する肩部の段
差も1mm以下の僅かな量にすぎない。
【0050】この実施の形態は以下の効果を有する。 (イ) 機台停止信号が出力された後の最初の反転時の
オーバーラン量を前回の同じ側の反転時におけるオーバ
ーラン量から差し引いた値が判定基準値αより大きい場
合に、次回以降の同じ側の反転指令出力時期を所定量だ
け早くして次回以降のボビンレール6の反転位置を予定
されていた位置より所定量だけボビンレール6の移動方
向の手前となるようにした。その結果、肩部あるいは肩
部近傍でプレッサ2aが停止しても、再起動後の巻取り
時の肩崩れの発生が防止できる。
【0051】その結果、機台停止信号が出力されたとき
のボビンレール6の位置に関係なく最短時間で停止させ
ることができる。従って、停止動作開始禁止領域を設け
た場合と異なり、遅れ玉の発生が大幅に低下する。ま
た、粗糸切れ停止時に停止原因となった粗糸切れ錘でボ
ビンBに巻取られない粗糸Rがフライヤトップ部に溜ま
る所謂「花咲き」が防止される。その結果、糸継ぎ処理
が短時間で完了し、粗紡機の稼動効率が向上する。
【0052】(ロ) 停止スイッチSを押して機台停止
を行う場合に、作業者はプレッサ2aの位置を気にせず
に所望の位置で停止スイッチSを押すことができる。従
って、粗糸がローラパートに巻き付くローラパート巻き
上がりが発生した場合に直ちに機台停止を行うことがで
き、部品の破損が起きにくい。
【0053】(ハ) 反転指令出力時期を補正するか否
かの判定に使用する判定基準値αを設定するのに、予め
種々の紡出条件に対応して試験的に紡出を行う必要がな
い。 (ニ) 判定基準値αをk・ΔULi (kは0以上1未満
の係数、ΔULi は前回と今回のオーバーラン量の差)と
設定したため、紡出条件に対応して係数kの値を変更す
ることにより、肩崩れ防止のための反転指令出力位置の
補正をより適正に行うことができる。
【0054】(ホ) 反転指令出力位置を補正するとき
の補正量となる所定量Xが前回と今回のオーバーラン量
の差ΔLi であるため、オーバーラン量に対応して補正
量が設定されるため、補正量を必要以上に大きくせずに
適正な値に設定することができる。
【0055】(ヘ) 各反転時毎に反転指令出力時期を
補正するか否かの判定を行うため、機台停止以外のなん
らかの原因で運転中にオーバーラン量が大幅に減少した
場合も、次回以降の反転時期が補正され、肩崩れの防止
効果が高まる。
【0056】なお、本発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、例えば次のように具体化してもよい。 (1) 前記実施の形態では各反転時における反転指令
出力位置の位置データと、実際の反転位置の位置データ
(反転位置データ)を演算し、その値を用いて補正の必
要性の有無の判定のための値であるオーバーラン量の差
ΔLi と、補正の為の所定量X(=ΔLi )を演算し
た。その代わりに、実際の反転位置の位置データの差Δ
i を補正の必要性の有無の判定のための値とし、補正
のための所定量XをΔxi と反転指令出力位置の差ΔUL
i とから求めてもよい。
【0057】第i回目の実際の反転位置はxi =Li
ULi として表されるため、第(i−1)回目及び第i回
目の実際の反転位置xi-1 ,xi の差は次のように変形
される。
【0058】xi-1 −xi =(Li-1 +ULi-1 )−(L
i +ULi )=(Li-1 −Li )+(ULi-1 −ULi )=Δ
i +ΔULi ∴ΔLi =(xi-1 −xi )−ΔULi 従って、前記実施の形態のステップS6でΔLi とα
(=k・ΔULi )の比較に代えて、(xi-1 −xi )−
ΔULi とk・ΔULi との比較、即ち次式が成立するか否
かの判断を行ってもよい。この場合、CPU27は第2
の判断手段として機能し、(k+1)ΔULi が所定の基
準値となる。
【0059】(xi-1 −xi )>(k+1)ΔULi そして、補正のための所定量XとしてX=(xi-1 −x
i )−ΔULi を使用する。この場合は、各反転時のオー
バーラン量Li を演算せずに、実際の反転位置データと
反転指令出力位置との差ΔULi とから、補正の必要性の
有無を判定でき、補正のための所定量Xも設定できる。
その結果、オーバーラン量を演算する前記実施の形態に
比較してCPU27の演算量が少なくて済む。 (2) 補正のための所定量Xを前回及び今回の反転時
のオーバーラン量の差ΔLi とする代わりに、オーバー
ラン量の差ΔLi に関係なく一定値としてもよい。一定
値とする場合は例えば、第1回目のオーバーラン量L1
に設定する。この場合、補正量が一定となるため制御が
簡単となる。また、オーバーラン量の差ΔLi を2、3
段階程度に分けて各段階に応じて所定の量、例えば各段
階のオーバーラン量の最大値に設定してもよい。
【0060】(3) ボビンレール6の反転時毎に次回
の同じ側の反転指令出力位置の補正が必要か否かの判断
を行う代わりに、機台の停止指令が出力された後の最初
の反転時にのみ、次回の反転指令出力位置の補正が必要
か否かの判断を行うようにしてもよい。例えば、機台停
止信号が出力されて停止した後の再起動後の最初の反転
時におけるオーバーラン量を前回の同じ側の反転時にお
けるオーバーラン量から差し引いた値と判定基準値とを
比較し、オーバーラン量の差が判定基準値より大きい場
合に次回以降の同じ側の反転指令出力位置の補正を行
う。補正量は実施の形態と同様に設定しても、(2)の
ように設定してもよい。また、(1)のように実際の反
転位置データに基づいて補正の必要性の有無判断を行っ
てもよい。この場合は、肩崩れが発生しない定常運転時
には補正の必要性の有無判断及びそれに必要な演算が不
要となり、制御が容易となる。
【0061】(4) 前記実施の形態で反転指令出力時
の位置データ及び反転位置データの記憶領域を満管まで
の粗糸層に対応して作業用メモリ30に設けて、各層毎
の位置データを全て記憶する代わりに、2層分の位置デ
ータの記憶領域を設ける。そして、順次位置データを更
新するようにしてもよい。前記両位置データは次回の反
転指令出力位置の補正が必要か否かの判断と、反転指令
出力位置の設定を行う場合に必要となるものであるか
ら、反転指令出力位置の設定後はそのとき使用した前回
の位置データは不要となり、データを更新しても差し支
えない。この場合は作業用メモリ30の容量が小さくて
済む。
【0062】(5) 反転指令出力位置データを各反転
指令が出力される毎に作業用メモリ30に記憶する代わ
りに、紡出条件(粗糸巻の肩角度θ、リフト長LL)に対
応した値として層毎にプログラムメモリ28に記憶して
おく(層数の関数として表した式の形態でもよい)。そ
して、補正がかかる前はその値を使用し、補正がかかっ
た後は、その値と補正量とから反転指令出力位置を演算
する構成としてもよい。この場合はプログラムメモリ2
8が第2の記憶手段として機能する。
【0063】(6) ボビンレール6の昇降方向を任意
の時期に切替え可能な手段として、切替機構18を設け
る代わりに、昇降用モータ16として正逆回転可能な可
変速モータを使用して回転軸15を正逆回転駆動する構
成としてもよい。また、特開平7−150424号公報
に開始された装置のように、公知の成形装置を使用する
とともに、成形装置を構成するレバーシングブラケット
と一対のピジョンキャッチとの係合状態を任意の時期に
切替え可能な手段を設けた装置を使用してもよい。ピジ
ョンキャッチの上方には、制御装置(CPU)からの指
令信号により作動される電磁制御弁(図示せず)を介し
て駆動されるエアシリンダが配設されている。エアシリ
ンダのピストンロッドは、突出状態ではピジョンキャッ
チをレバーシングブラケットと係合不能な位置に回動さ
せる作用位置に、没入状態ではピジョンキャッチと係合
不能な待機位置に配置されるようになっている。
【0064】(7) 特開平2−242925号公報に
開示された装置のように、コーンドラムを使用してボビ
ンホイール7の回転速度やボビンレール6の昇降速度を
変速する構成を採用してもよい。
【0065】(8) ボビンレール6の位置検出手段と
して、ボビンレール6の昇降範囲の近傍に、多数の永久
磁石がそのN極とS極とが交互に配列された所謂マグネ
ットスケールを配設するとともに、その検出部をボビン
レール6に一体移動可能に固定し、検出部の検出信号を
制御装置25に入力してボビンレール6の位置を検出す
るようにしてもよい。この場合にはリフターラック13
と噛合する歯車14を介して位置検出を行う場合に生じ
るバックラッシの影響による誤差が無くなる。
【0066】前記実施の形態及び変更例から把握できる
請求項記載以外の発明について、以下にその効果ととも
に記載する。 (1) ボビンレールの昇降切替毎にボビンレールの反
転位置を検出し、同じ側における前回のオーバーラン量
と当該反転時におけるオーバーラン量との差を演算し、
その差を判定基準値と比較し、前記差が判定基準値以下
の場合は、次回以降の同じ側の昇降切替時期を所定量だ
け早くして次回以降のボビンレールの反転位置を予定さ
れていた位置より所定量だけボビンレールの移動方向の
手前となるようにして運転を行う粗紡機における成形粗
糸巻の肩崩れ防止方法。この場合、機台運転中になんら
かの原因でオーバーラン量が大幅に減少した場合も、次
回以降の反転時期が補正され、肩崩れの防止効果が高ま
る。
【0067】(2) 請求項1に記載の発明において、
機台停止信号が出力された後の最初の反転時にのみ、反
転指令出力時期の補正が必要か否かの判断を行うように
する。この場合は、肩崩れが発生しない定常運転時には
補正の必要性の有無判断及びそれに必要な演算が不要と
なり、制御が容易となる。
【0068】(3) 請求項1、請求項3及び(1)に
記載の発明において、判定基準値を前回の反転指令出力
時及び今回の反転指令出力時におけるボビンレールの位
置の差に所定の係数(0以上1未満の数)を掛けた値と
する。この場合、紡出条件に対応して係数kの値を変更
することにより、肩崩れ防止のための反転指令出力位置
の補正をより適正に行うことができる。
【0069】(4) 請求項1、請求項3、(1)及び
(2)の発明において、反転指令出力時期の補正を行う
際の所定量として同じ側の前回の反転時と当該反転時の
オーバーラン量の差を使用する。この場合、補正量を必
要以上に大きくせずに、オーバーラン量に対応して適正
な値に設定することができる。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項4
に記載の発明によれば、プレッサの停止位置に拘らず再
起動後の肩崩れを防止でき、停止指令が出力されると直
ちに停止動作を開始することができる。その結果、糸継
ぎ処理時間が短縮されるとともに遅れ玉の発生が低減
し、機台の稼働率が向上する。また、反転指令出力時期
(位置)の補正が必要か否かの判断基準のデータベース
の蓄積を行う必要がない。
【0071】請求項2及び請求項4に記載の発明では、
反転指令出力時期(位置)の補正が必要か否かの判断を
行うための演算処理量が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 反転指令出力位置の設定手順を示すフローチ
ャート。
【図2】 粗紡機の駆動系の概略図。
【図3】 制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図4】 ボビンレールの反転位置を説明する模式図。
【図5】 (a)は肩崩れが発生する場合の反転状態を
示す模式図、(b)は補正を行った場合の反転状態を示
す模式図。
【図6】 (a)は肩崩れに至る危険がある場合の反転
状態を示す模式図、(b)は補正を行った場合の反転状
態を示す模式図。
【符号の説明】
6…ボビンレール、13…ボビンレール昇降手段を構成
するリフターラック、16…同じく昇降用モータ、18
…同じく切替機構、24…位置検出手段としてのロータ
リエンコーダ、25…制御手段としての制御装置、27
…演算手段、第1の判断手段、第2の判断手段及び制御
手段としてのCPU、30…第1及び第2の記憶手段と
しての作業用メモリ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボビンレール昇降駆動系の上昇、下降駆
    動の切替時期を制御手段からの指令により任意に変更可
    能に構成され、かつボビンレールの位置を検出する位置
    検出手段を備えた粗紡機において、 少なくとも機台停止信号が出力された後の最初の反転時
    における反転指令出力時から反転時までのボビンレール
    の移動量を、前回の同じ側の反転時における反転指令出
    力時から反転時までのボビンレールの移動量から差し引
    いた値が判定基準値より大きい場合に、次回以降の同じ
    側の反転指令出力時期を所定量だけ早くして次回以降の
    ボビンレールの反転位置を予定されていた位置より所定
    量だけボビンレールの移動方向の手前となるようにして
    運転を行う粗紡機における成形粗糸巻の肩崩れ防止方
    法。
  2. 【請求項2】 ボビンレール昇降駆動系の上昇、下降駆
    動の切替時期を制御手段からの指令により任意に変更可
    能に構成され、かつボビンレールの位置を検出する位置
    検出手段を備えた粗紡機において、 ボビンレールの反転時における反転位置データをそれぞ
    れ求め、前回の反転位置データから今回の反転位置デー
    タを差し引いた値が所定の基準値より大きい場合に、次
    回以降の同じ側の反転指令出力時期を所定量だけ早くし
    て次回以降の同じ側のボビンレールの反転位置を予定さ
    れていた位置より所定量だけボビンレールの移動方向の
    手前となるようにして運転を行う粗紡機における成形粗
    糸巻の肩崩れ防止方法。
  3. 【請求項3】 ボビンレール昇降駆動系の上昇、下降駆
    動の切替時期を制御手段からの指令により任意に変更可
    能な粗紡機において、 ボビンレールの位置を検出する位置検出手段と、 ボビンレールの昇降切替毎にボビンレールの反転位置デ
    ータを記憶する第1の記憶手段と、 反転指令出力時毎のボビンレールの位置データを記憶す
    る第2の記憶手段と、 前記両記憶手段に記憶された位置データに基づいてボビ
    ンレールの反転時における反転指令出力時から反転時ま
    でのボビンレールの移動量を演算する演算手段と、 少なくとも機台停止信号が出力された後の最初の反転時
    における前記移動量を、その前回の同じ側の反転時にお
    ける移動量から差し引いた値が、判定基準値より大きい
    か否かを判断する第1の判断手段と、 前記第1の判断手段の判断結果が判定基準値より大きい
    場合に、次回以降の同じ側の反転指令出力時期が所定量
    だけ早くなるようにボビンレールの昇降駆動系の昇降切
    替えを制御する制御手段とを備えた粗紡機における成形
    粗糸巻の肩崩れ防止装置。
  4. 【請求項4】 ボビンレール昇降駆動系の上昇、下降駆
    動の切替時期を制御手段からの指令により任意に変更可
    能な粗紡機において、 ボビンレールの位置を検出する位置検出手段と、 ボビンレールの昇降切替毎にボビンレールの反転位置デ
    ータを記憶する第1の記憶手段と、 反転指令出力時毎のボビンレールの位置データを記憶す
    る第2の記憶手段と、 少なくとも機台停止信号が出力された後の最初の反転時
    におけるボビンレールの反転位置データを、前回の同じ
    側における反転時の反転位置データから差し引いた値
    が、所定の基準値より大きいか否かを判断する第2の判
    断手段と、 前記第2の判断手段の判断結果が所定の基準値より大き
    い場合に、次回以降の同じ側の反転指令出力時期が所定
    量だけ早くなるようにボビンレールの昇降駆動系の昇降
    切替えを制御する制御手段とを備えた粗紡機における成
    形粗糸巻の肩崩れ防止装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113588191A (zh) * 2021-05-07 2021-11-02 济宁职业技术学院 一种用于纺纱机锭子上纱管振程检测的增速装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113588191A (zh) * 2021-05-07 2021-11-02 济宁职业技术学院 一种用于纺纱机锭子上纱管振程检测的增速装置
CN113588191B (zh) * 2021-05-07 2024-01-30 济宁职业技术学院 一种用于纺纱机锭子上纱管振程检测的增速装置

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