JPH08329384A - 車両走行支援装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 所定進路を走行する車両が進路上の信号機を
青で通過できるための速度範囲を正確に算出し、発進停
止の回数を減少する。 【構成】 ＧＰＳ１、２および方位センサ３により検出
された車両の現在位置データと、予め記憶されている信
号機の位置データと、車速センサ４で検出された実速度
データと、基準時間獲得手段９により獲得される基準時
間を示す時間信号に基づいて、制御装置５は、進路上の
信号機を青で通過できるための速度範囲を算出し、さら
に該進路の制限速度データを参照して、算出された速度
範囲が現実に走行可能な速度であるか否かを判断する。
各信号機は、基準時間獲得手段により獲得される時間信
号と同一の時間信号で制御されるため、算出される速度
範囲は誤差のない正確なものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両走行支援装置に関
し、特に、発進停止を少なくして円滑に走行すべく支援
する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】特願平５−１２８３９９号公報には、車
両に搭載される受信装置であって、路側ビーコンから送
信される、車両の進行方向に設置されている信号機の位
置および信号機の色変化のパラメータの情報を含む信号
を受信し、この受信信号を処理して信号機の青色点灯時
間帯を知ることで、各信号機を通過することができる速
度範囲を算出するように構成されたものが示されてい
る。

【０００３】この従来技術によれば、運転者は、算出さ
れた速度範囲を保つようにすれば、信号による発信停止
の回数が減るため、低燃費で走行することができ、排気
ガス量も低減することができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在の
信号機は、信号機個々に内蔵された時計により、その色
変化が制御されているため、信号機個々の時計の動作時
刻が必ずしも正確ではない。

【０００５】したがって、上記従来技術において算出さ
れる青色点灯時間帯と、実際の各信号機の青色点灯時間
帯との間に誤差を生ずることがあり、正確な速度範囲を
運転者に知らせることができないという問題があった。
すなわち、上記従来技術では、各信号機を青色点灯時間
帯において通過することができるとして算出された速度
範囲を守って運転していても、実際に各信号機を通過し
ようとするときには黄色または赤色を示している場合が
生ずる可能性があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで本発明は上記した
従来技術の問題点を解消し、信号機を青で通過するため
の速度範囲をより正確に算出して運転者に知らせること
を目的とする。

【０００７】この目的を達成するため、本発明により提
供される車両走行支援装置は、車両の現在位置を検出す
る現在位置検出手段と、ある基地局から発せられる原子
時計等の基準時間を示すデータを獲得する基準時間獲得
手段と、車両の実速度を検出する車速検出手段と、道路
に設置される信号機の位置および作動時間に関する信号
機データを記憶する信号機データ記憶手段と、道路の制
限速度に関するデータを記憶する制限速度データ記憶手
段と、車両の所定進路上の信号を青で通過できるか否か
を現在位置検出手段で検出される車両の現在位置デー
タ、車速検出手段で検出される車速データ、信号機デー
タおよび制限速度データに基づいて判断する信号機通過
可否判断手段と、信号機通過可否判断手段による判断結
果を運転者に知らせる告知手段と、を有してなることを
特徴とする。

【０００８】本発明の一実施態様において、各信号機は
基準時間獲得手段により獲得される基準時間と同一の基
準時間により統一的に作動制御され、信号機通過可否判
断手段は、信号機の基準時間信号に基づいて、現在の車
速を維持した場合に信号機に到着する時刻に該信号機が
青であるか否かを判断する。

【０００９】本発明の他の実施態様において、現在位置
検出手段はＧＰＳ受信装置を有してなり、ＧＰＳ衛星か
らの時間信号を基準時間獲得手段が獲得し、またＧＰＳ
衛星からの時間信号により各信号機が統一的に作動制御
される。

【００１０】さらに本発明は、車両の現在位置を検出す
る現在位置検出手段と、道路データを記憶する道路デー
タ記憶手段と、目的地を入力する入力手段と、ある基地
局から発せられる原子時計等の基準時間を示すデータを
獲得する基準時間獲得手段と、現在位置検出手段で検出
される車両の現在位置から入力手段で入力される目的地
までの進路を道路データに記憶される道路データを参照
して判断する進路判断手段と、車両の実速度を検出する
車速検出手段と、基準時間獲得手段により獲得される時
間信号と同一の時間信号により制御される信号機の位置
および作動時間に関する信号機データを記憶する信号機
データ記憶手段と、道路の制限速度に関するデータを記
憶する制限速度データ記憶手段と、進路判断手段で判断
される進路上の信号機を青で通過できるか否かを現在位
置検出手段で検出される車両の現在位置データ、車速検
出手段で検出される車速データ、信号機データおよび制
限速度データに基づいて判断する信号機通過可否判断手
段と、信号機通過可否判断手段による判断結果を運転者
に知らせる告知手段と、を有してなることを特徴とする
車両走行支援装置である。

【００１１】信号機データおよび／または制限速度デー
タを道路データの一部として道路データ記憶手段に記憶
させてもよい。

【００１２】さらに、信号機通過可否判断手段による判
断結果に応じて車両を自動的に減速させる減速手段を設
けることができる。

【００１３】

【作用】信号機の作動と、信号機通過可否判断手段の判
断とが、同一の時間信号を基準として行われるため、信
号機を青で通過するための速度範囲が正確に算出され
る。

【００１４】

【実施例】本発明による車両走行支援装置は、図１のブ
ロック図に示されるような構成を有する。

【００１５】車両にはＧＰＳの衛星からの信号を受信す
るためのアンテナ１が設置され、ＧＰＳ受信機２で検波
増幅される、このようなＧＰＳ受信装置は、車両の進路
誘導を行うナビゲーション装置において車両の現在位置
を高精度に知ることができるものとして汎用されてい
る。

【００１６】方位センサ３は、たとえば、地磁気を検出
して車両の方位を求める地磁気センサ、車両の回転角速
度を検出しその角速度を積分して車両の方位を求めるガ
スレートジャイロや光ファイバジャイロ等のジャイロ、
左右の車輪センサを配置しその出力パルス差（移動距離
の差）により車両の旋回を検出することで方位の変異量
を算出するようにした車輪センサ等が使用され、ＧＰＳ
受信機２との組み合わせにより車両の現在位置を知るこ
とができる。

【００１７】車速センサ４は、車輪の回転に伴って発生
するパルス信号を処理することにより車両の走行速度を
検出する。

【００１８】マイクロコンピュータ等よりなる制御装置
５は、ＧＰＳ受信機２の受信信号および方位センサ３に
よる検出信号に基づいて車両の現在地（座標）を計測し
て現在位置データを作成するとともに、車速センサ４の
検出信号から車両の現在走行速度を計測して車速データ
を作成する。なお、車速センサによる検出精度は、タイ
ヤの摩耗度や空気圧変化等によって影響されるため、こ
れら補正データを加味して車速データを作成することが
好ましい。

【００１９】さらに、制御装置５には、信号機データお
よび制限速度データが入力される。信号機データは、信
号機の位置および色変化のタイミングに関するデータで
あり、ナビゲーション装置において記憶されている道路
データないし地図データの一部として予め作成しておく
ことができる。あるいは、各信号機がこれら信号機デー
タを記憶して、信号機自体から発信される信号を受信す
ることにより、信号機データを取り込むようにしてもよ
い。

【００２０】制限速度データは、各道路の法定制限速度
等のデータであり、ナビゲーション装置の道路データの
一部を構成するものとして予め作成しておくことができ
る。なお、制限速度データとして作成される制限速度は
必ずしも法定制限速度に限定されず、各道路において推
奨される走行速度範囲を制限速度データとすることがで
きる。

【００２１】地図データは、国内の地図情報等のデータ
であり、デジタルデータのフォーマットに変換され記憶
されている。

【００２２】基準時間獲得手段８は、ある基地局から発
せられる原子時計等の基準時間を示すデータを獲得する
ものであり、たとえばＧＰＳ受信信号からの各衛星の時
刻と受信機の時刻とを同期させるための時刻データを獲
得することができる。制御装置５は、基準時間獲得手段
８により獲得された時刻データを確保し、後述する処理
を行う。また、各信号機は、基準時間獲得手段８で獲得
された時間信号と同一の時間信号により色変化のタイミ
ングが制御される。

【００２３】制御装置５は、これら現在位置データ、時
刻データ、車速データ、信号機データおよび制限速度デ
ータに基づいて、進路上にある信号機を通過するための
条件を算出し、その結果を画面表示および／または音声
案内による告知手段６から出力して、運転者に知らせ
る。

【００２４】さらに、減速により信号機を通過すること
ができると判断された場合には、減速手段７により、自
動的に減速制御する。

【００２５】通信装置８は、自動車電話やＦＭ受信装置
等の各種通信装置で構成されており、各種データの入力
が可能に構成される。この通信装置８は制御装置５に接
続されており、たとえば電話回線を通じて渋滞や交通情
報を提供するＡＴＩＳや、ＦＭ多重放送による交通情報
をを提供するＶＩＣＳ（道路交通情報通信システム）か
らの各種交通情報を受信できるようになっている。ま
た、各信号機が信号機データを発信する場合、この信号
機データを受信することができる。

【００２６】図２は、制御装置５による制御フローの一
例を示す。本装置はナビゲーション装置との連動を前提
としており、ナビゲーション装置の作動において、ＧＰ
Ｓ信号により知られる現在位置データと、運転者（使用
者）により設定された目的地データと、予め記憶されて
いる道路データおよび地図データとから、現在位置から
目的地に向けて走行すべき進路がすでに決定されてい
る。

【００２７】また、車両が走行すべき進路から外れた場
合、目的地データと、予め記憶されている進路データお
よび地図データとから、現在位置から目的地に向けて新
たに走行すべき進路が決定される。

【００２８】ステップＳ１で、ＧＰＳ信号による現在位
置データと、車速センサ３による車速データと、信号機
データ（決定された進路上に最初に現れる第１の信号機
の位置に関するデータ）とから、第１の信号機に到着す
る時刻を算出する。

【００２９】ステップＳ２で、ステップＳ１で算出した
到着時刻における第１の信号機の信号状態（色）を予測
する。この予測には、信号機データ中の、第１の信号機
の色変化タイミングに関するデータが参照される。

【００３０】ステップＳ１で算出した到着時刻における
第１の信号機の状態が「青」であると予測されたとき
（ステップＳ３−Ｙｅｓ）は、現在の車速を維持して走
行すれば次の第１の信号機を青で通過できることを意味
するから、進路上にその次に現れる第２の信号機を青で
通過できるか否かを判断するためのステップＳ４〜Ｓ６
に移る。これらのステップＳ４〜Ｓ６は、第１の信号機
に関するステップＳ１〜Ｓ３と同様であるので、説明を
省略する。

【００３１】以下、同様にして、進路上の進行方向所定
距離内にある信号機のすべてについて通過可能であるか
否かの判断を行う。

【００３２】ステップＳ１で算出した到着時刻における
第１の信号機の状態が「黄」または「赤」であると予測
されたとき（ステップＳ３−Ｎｏ）は、現在の車速を維
持して走行すると次の第１の信号機を青では通過できな
いことを意味するから、ステップＳ７で、第１の信号機
を青で通過できる速度範囲を算出し、この速度範囲が実
際に走行可能な速度であるか否かを、次のステップＳ８
で判定する。この判定には、制限速度データが参照され
る。

【００３３】たとえば、走行進路が法定制限速度６０ｋ
ｍの道路である場合において、現在の車速が６０ｋｍで
あってこのままでは第１の信号機を青で通過することが
できない（ステップＳ３−Ｎｏ）が、４５〜５５ｋｍの
速度範囲に減速すれば第１の信号機を青で通過できると
ステップＳ７で算出されたとき、この速度範囲は法定制
限速度以下の走行可能な速度であるから、ステップＳ８
での判定結果はＹｅｓとなり、その旨の表示、たとえば
「第１の信号機通過速度は４５〜５５ｋｍです」のよう
な表示をナビゲーション装置のディスプレイ等に表示
し、あるいは音声で案内する（図１の告知手段７によ
る）。

【００３４】運転者は、このような表示または音声案内
を受けて、第１の信号機を青で通過するために、所要の
操作により加減速（上記の例では減速）することができ
る（ステップＳ９）。

【００３５】ステップＳ８での判定結果がＹｅｓであっ
て、かつ、上記例のように減速すべき場合には、エンジ
ンスロットルの開度制御やＡＴのシフトプログラム制御
等により、ステップＳ７で算出された速度範囲に自動的
に減速する（図１の減速手段８による）。

【００３６】ステップＳ９の後リターンして、第１の信
号機通過可否に関するステップＳ１〜Ｓ３を再度行う。
ステップＳ９での加減速（あるいは自動減速）により、
該加減速後の車速を維持すれば第１の信号機を青で通過
できるようになった場合には、ステップＳ３での判定結
果がＹｅｓとなり、その次の第２の信号機通過可否に関
するステップＳ４〜Ｓ６が行われる。

【００３７】なお、第１の信号機を青で通過できる走行
可能な速度範囲が表示または音声案内された場合にも、
これに応じて加減速するか否かは運転者の判断および操
作に委ねられる。ステップＳ９で加減速せずに現在の車
速を維持した場合や、第１の信号機を青で通過できる走
行可能な速度範囲を下回るあるいは上回る速度に加減速
した場合には、リターン後のステップＳ３の判定結果も
Ｎｏとなり、Ｓ１〜Ｓ３およびＳ７〜Ｓ９のステップを
繰り返して、最後には、ステップＳ８での判定結果がＮ
ｏとなる。

【００３８】ステップＳ７で算出された速度範囲が実際
には走行不能な速度であるとき、ステップＳ８での判定
結果はＮｏとなる。たとえば、前記した例のように走行
進路が法定制限速度６０ｋｍの道路である場合におい
て、６５〜８０ｋｍの速度範囲に加速すれば第１の信号
機を青で通過できるとステップＳ７で算出されたときに
は、この速度範囲は法定制限速度を越える速度であるか
ら、ステップＳ８はＮｏと判定する。この場合には、ス
テップＳ１０で、たとえば「第１の信号機で停止しま
す」のようにディスプレイ表示あるいは音声案内し、運
転者に対して停止予告をして、第１の信号機通過可否に
関する処理を終了する。

【００３９】なお、第２あるいはそれ以降の信号機を青
では通過できないと判定された場合にも、ステップＳ７
〜Ｓ１０について既述したと同様の処理が行われる。

【００４０】

【発明の効果】本発明によれば、信号機を青で通過する
ための速度範囲が正確に算出されるため、信号機での発
進停止の回数が減少し、円滑走行および安全運転に寄与
する。さらに、燃費を改善し、排気ガス量も減らすこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による車両走行支援装置の概略構成を示
すブロック図である。

【図２】図１の制御装置による制御フローを示すフロー
チャートである。

【符号の説明】

１ ＧＰＳアンテナ ２ ＧＰＳ受信機 ３ 方位センサ ４ 車速センサ ５ 制御装置 ６ 通信装置 ７ 告知手段 ８ 減速手段 ９ 基準時間獲得手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀 孝二 東京都千代田区外神田２丁目19番12号 株 式会社エクォス・リサーチ内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の現在位置を検出する現在位置検
   出手段と、車両の実速度を検出する車速検出手段と、あ
   る基地局から発せられる原子時計等の基準時間を示すデ
   ータを獲得する基準時間獲得手段と、道路に設置される
   信号機の位置および作動時間に関する信号機データを記
   憶する信号機データ記憶手段と、道路の制限速度に関す
   るデータを記憶する制限速度データ記憶手段と、車両の
   所定進路上の信号を青で通過できるか否かを前記現在位
   置検出手段で検出される車両の現在位置データ、前記車
   速検出手段で検出される車速データ、前記信号機データ
   および前記制限速度データに基づいて判断する信号機通
   過可否判断手段と、前記信号機通過可否判断手段による
   判断結果を運転者に知らせる告知手段と、を有してなる
   ことを特徴とする車両走行支援装置。
2. 【請求項２】 各信号機が前記基準時間獲得手段によ
   り獲得される基準時間と同一の基準時間により統一的に
   作動制御され、前記信号機通過可否判断手段は、前記信
   号機の基準時間信号に基づいて、現在の車速を維持した
   場合に信号機に到着する時刻に該信号機が青であるか否
   かを判断することを特徴とする請求項１の車両走行支援
   装置。
3. 【請求項３】 前記現在位置検出手段がＧＰＳ受信装
   置を有してなり、ＧＰＳ衛星からの時間信号を前記基準
   時間獲得手段が獲得し、また前記ＧＰＳ衛星からの時間
   信号により各信号機が統一的に作動制御されることを特
   徴とする請求項２の車両走行支援装置。
4. 【請求項４】 車両の現在位置を検出する現在位置検
   出手段と、道路データを記憶する道路データ記憶手段
   と、目的地を入力する入力手段と、ある基地局から発せ
   られる原子時計等の基準時間を示すデータを獲得する基
   準時間獲得手段と、前記現在位置検出手段で検出される
   車両の現在位置から前記入力手段で入力される目的地ま
   での進路を前記道路データに記憶される道路データを参
   照して判断する進路判断手段と、車両の実速度を検出す
   る車速検出手段と、前記基準時間獲得手段によって獲得
   される時間信号と同一の時間信号により制御される信号
   機の位置および作動時間に関する信号機データを記憶す
   る信号機データ記憶手段と、道路の制限速度に関するデ
   ータを記憶する制限速度データ記憶手段と、前記進路判
   断手段で判断される進路上の信号機を青で通過できるか
   否かを前記現在位置検出手段で検出される車両の現在位
   置データ、前記車速検出手段で検出される車速データ、
   前記信号機データおよび前記制限速度データに基づいて
   判断する信号機通過可否判断手段と、前記信号機通過可
   否判断手段による判断結果を運転者に知らせる告知手段
   と、を有してなることを特徴とする車両走行支援装置。
5. 【請求項５】 前記信号機データおよび／または前記
   制限速度データが前記道路データに含まれて前記道路デ
   ータ記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項４の
   車両走行支援装置。
6. 【請求項６】 前記信号機通過可否判断手段による判
   断結果に応じて車両を自動的に減速させる減速手段をさ
   らに有することを特徴とする請求項１ないし５のいずれ
   かの車両走行支援装置。