JPH0830919A - 磁気ヘッド及びその製法 - Google Patents

磁気ヘッド及びその製法

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JPH0830919A
JPH0830919A JP15699194A JP15699194A JPH0830919A JP H0830919 A JPH0830919 A JP H0830919A JP 15699194 A JP15699194 A JP 15699194A JP 15699194 A JP15699194 A JP 15699194A JP H0830919 A JPH0830919 A JP H0830919A
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glass
film
magnetic head
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JP15699194A
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Takashi Naito
内藤  孝
Takashi Namekawa
滑川  孝
Hirotaka Yamamoto
浩貴 山本
Ken Takahashi
高橋  研
Hideki Gunji
秀樹 郡司
Shiyuuzou Sasajima
崇三 笹嶋
Takayuki Kumasaka
登行 熊坂
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アモルファス磁性膜を磁気コアに用いた磁気ヘ
ッドにおいて、磁気コア接合時に良好な流動性をもつ接
着用ガラス膜を安定に供給することによって、磁気コア
の接着強度を向上又は改善し、量産性と信頼性の良好な
磁気ヘッドを提供する。 【構成】接着用ガラス膜6によるガラス接着層3が少な
くともPb−Te−Bの酸化物から構成される。更に、
ガラス接着層3にSiが含まれること、及び少なくとも
ギャップ近傍には接合用充填ガラス7,7′によって補
強される。 【効果】本発明によれば、磁気コアにアモルファス磁性
膜を用いた磁気ヘッドの高強度化が図られ、その量産性
と信頼性を向上又は改善できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高性能な磁気記録再生
装置に搭載される磁気ヘッドに係り、特にアモルファス
磁性膜を施した磁気コアをガラスで接合した磁気ヘッド
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、VTR等の磁気記録再生装置の高
密度記録化を図るために、情報記録媒体の高保持力化と
ともに、磁気ヘッドには従来のフェライトより飽和磁束
密度が2倍程度高いアモルファス磁性膜が磁気コアとし
て使用されるようになった。この磁性膜は結晶化を起こ
すと、磁気特性が著しく劣化し、もはや磁気ヘッドには
使用できなくなる。この磁性膜の結晶化温度は500〜
550℃と低いため、磁気コアのガラス接合はこの結晶
化温度を十分に配慮し、量産では450〜480℃の範
囲で行うことが一般的である。単なるフェライトヘッド
では磁気コアの接合が700〜800℃の範囲で行われ
ることが一般的であり、この温度範囲で良好な流動性を
もつガラスが用いられている。アモルファス磁性膜を磁
気コアに用いた磁気ヘッドでは、フェライトヘッドに採
用されているようなガラスは使用できず、特開昭59−14
6431号,特開昭63−298807号及び特開平3−265539 号記
載の磁気ヘッドのように450〜480℃の範囲で良好
な流動性をもつ、酸化鉛を非常に多く含むホウ酸塩系ガ
ラスが採用されている。更に、このガラスのその他成分
としてガラスの化学的安定性を向上するために、SiO
2,Al23及びZnOのうち少なくとも一種以上を若干
含有している。このようなガラスは磁気コアに施したア
モルファス磁性膜を結晶化させることなく、磁気コアの
低温ガラス接合が可能である。また、このガラスは特開
昭59−146431号記載のように接着用ガラス膜として、特
開昭63−298807号及び特開平3−265539号 記載のように
バルクの接合用充填ガラスとして使用されている。接着
用ガラス膜として使用される場合には、膜厚を厳密に制
御できることから、スパッタリング法が主に適用されて
いる。更に、このガラスは機械的特性が優れているとは
言えず、磁気ヘッドの高強度化を図るために、上記接着
用ガラス膜と接合用充填ガラスの両方を併用し、磁気コ
アの突合せ部分を有効に利用する場合が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、アモ
ルファス磁性膜を磁気コアに用いた磁気ヘッドにおい
て、酸化鉛を非常に多く含むホウ酸塩系ガラスを接着用
ガラス膜として使用する場合に、その膜組成の安定性に
ついては十分な配慮が施されていなかった。このため、
スパッタ時の膜組成の変動により、加熱時の結晶化や特
性温度の上昇等によって良好な流動性が得られないこと
があった。これによって、磁気コアの接着強度が十分に
得られない場合があり、磁気ヘッドチップの加工や洗浄
等のヘッド作製時に破損することがあった。また、この
ような破損が発生しなくとも磁気ヘッドの信頼性を低下
させる原因の一つとなっていた。すなわち、量産性及び
信頼性が十分に良好な磁気ヘッドが得られていなかっ
た。
【0004】本発明の目的は、アモルファス磁性膜を磁
気コアに用いた磁気ヘッドにおいて、磁気コア接合時に
良好な流動性をもつ接着用ガラス膜を安定に供給するこ
とによって、磁気コアの接着強度を向上又は改善し、量
産性及び信頼性に優れる高性能な磁気ヘッドを提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、アモルファス磁性膜,非磁性ギャップ形
成膜及び接着用ガラス膜のそれぞれを一対の磁気コアの
少なくとも一方の突合せ面に施し、これらを突合せ、施
した接着用ガラス膜によって接合された磁気ヘッドにお
いて、そのガラス接着層を少なくともPb−Te−Bの
酸化物から構成されるようにすることを特徴とする。こ
こで、このガラス接着層は更にSiを含有することが好
ましい。また、前記磁気ヘッドでは、接着用ガラス膜の
他に、バルクの接合用充填ガラスを少なくともギャップ
部近傍に施すことによって接合されていることが好まし
い。更に、接着用ガラス膜は、磁気コアの突合せ面のう
ちギャップ部には施されないことが望ましい。
【0006】また、本発明は、アモルファス磁性膜,非
磁性ギャップ形成膜及び接着用ガラス膜のそれぞれを一
対の磁気コアの少なくとも一方の突合せ面に施し、その
一対の磁気コアを突合せ、接着用ガラス膜によって接合
された磁気ヘッドの製法において、接着用ガラス膜が少
なくともPb−Te−Bからなる酸化物系ガラスのスパ
ッタ用ターゲットを用いてスパッタリング法によって形
成される工程と、その一対の磁気コアを突合せ、アモル
ファス磁性膜の結晶化温度未満で接着用ガラス膜を軟化
流動させることによって接合する工程とを含む磁気ヘッ
ドの製法である。ここで、この接着用ガラス膜のスパッ
タ用ターゲットは更にSiを含有することが好ましい。
また、前記磁気ヘッド製法では、磁気コアの接合時に接
着用ガラス膜の他に、少なくともギャップ部近傍にアモ
ルファス磁性膜の結晶化温度未満で軟化流動するバルク
の接合用充填ガラスを用いて接合することが好ましい。
更に、接着用ガラス膜の形成にあたり、磁気コアの突合
せ面のうちギャップ部にマスクを設け、該ギャップ部に
は施されないようにすることが望ましい。
【0007】
【作用】本発明は、アモルファス磁性膜,非磁性ギャッ
プ形成膜及び接着用ガラス膜のそれぞれを一対の磁気コ
アの少なくとも一方の突合せ面に施し、その一対の磁気
コアを突合せ、施した接着用ガラス膜によって接合され
た磁気ヘッドにおいて、そのガラス接着層が少なくとも
Pb−Te−Bの酸化物から構成されることによって、
接着強度の増加を図ることができ、磁気ヘッドの量産性
と信頼性を向上又は改善できる。更に、このガラス接着
層はSiを含有することによって、より接着強度や化学
的安定性を高めることができる。また、前記磁気ヘッド
では、接着用ガラス膜の他に、バルクの接合用充填ガラ
スを併用し、その接合用充填ガラスを少なくともギャッ
プ部近傍に施し、接合することによって、更に磁気ヘッ
ドの量産性と信頼性を向上又は改善できる。前記磁気ヘ
ッドがギャップ長の非常に小さい磁気ヘッドの場合に
は、前記接着用ガラス膜を磁気コアの突合せ面のうちギ
ャップ突合せ面に施さないことによって、ギャップ長の
バラツキを抑制し、安定な性能を持った磁気ヘッドが得
られる。この際、ギャップ突合せ面の面積が突合せ面全
体に比べ非常に小さいため、接着強度の劣化に及ぼす影
響はあまりない。また、本発明は、アモルファス磁性
膜,非磁性ギャップ形成膜及び接着用ガラス膜のそれぞ
れを一対の磁気コアの少なくとも一方の突合せ面に施
し、その一対の磁気コアを突合せ、接着用ガラス膜によ
って接合された磁気ヘッドの製法において、接着用ガラ
ス膜が少なくともPb−Te−Bからなる酸化物系ガラ
スのスパッタ用ターゲットを用いてスパッタリング法に
よって形成される工程と、その一対の磁気コアを突合
せ、アモルファス磁性膜の結晶化温度未満で接着用ガラ
ス膜を軟化流動させることによって接合する工程とを含
むことによって、本発明の磁気ヘッドを作製することで
きる。この製法は、上記スパッタ用ターゲットを用いた
スパッタリング法によって、ガラス接合時に良好な流動
性をもった接着用ガラス膜を安定に供給でき、しかもそ
の膜厚を厳密に制御できることから、しっかりとした磁
気コアのガラス接合が可能となり、ヘッドチップの加
工,洗浄,貼付等の工程における破損を低減できる。ま
た、信頼性が良好な磁気ヘッドが得られる。更に、この
スパッタ用ターゲットにSiを含有することによって、
より接着強度や化学的安定の高い接着用ガラス膜を形成
することができる。また、前記磁気ヘッドの製法では、
磁気コアの接合時に接着用ガラス膜の他に、少なくとも
ギャップ部近傍にアモルファス磁性膜の結晶化温度未満
で軟化流動するバルクの接合用充填ガラスも併用して接
合することによって、磁気ヘッドで最も重要な箇所であ
るギャップ部を補強できる。更に、接着用ガラス膜の形
成にあたり、磁気コアの突合せ面のうちギャップ部にマ
スクを設け、そのギャップ部には施さないようにする
と、ギャップ長をより厳密に制御できるようになる。
【0008】
【実施例】本発明を実施例により説明する。
【0009】
【表1】
【0010】表1に磁気ヘッド用として検討に使用した
接着用ガラス膜及び接合用充填ガラスの組成を示す。ガ
ラスNo.A〜Dの接着用ガラス膜はスパッタリング法に
より形成し、表1にはそのスパッタ用ターゲット作製の
ための配合組成を示した。そのターゲットは各ガラス原
料を配合,混合し、大気中800〜1000℃で溶融さ
せ、所定の治具に流し込み、徐冷,加工を施すことによ
って円盤状のものを作製した。ガラスNo.Eの接合用充
填ガラスは表1の配合組成によって上記ターゲット作製
法と同様にしてガラスブロックを作製し、それに加工を
施すことによって棒状又は板状形状のものを得た。ガラ
スNo.A〜Eのバルク材及び粉末は450℃前後で良好な
流動性を示し、アモルファス磁性膜を結晶化させること
のない温度で、磁気コアを接合できる可能性があること
を確認した。実施例では接着用ガラス膜としてガラスN
o.A又はNo.Bのスパッタ膜,接合用充填ガラスとして
棒状又は板状のガラスNo.Eとの組合せで、比較例では
接着用ガラス膜としてガラスNo.C又はNo.Dのスパッ
タ膜,接合用充填ガラスとして棒状又は板状のガラスN
o.Eとの組合せで、アモルファス磁性膜を磁気コア材と
して使用した代表的な2種類の磁気ヘッドを作製した。
そして、作製した磁気ヘッドは下記,,,の項
目を順番に測定することによって評価した。また、接着
用ガラス膜のスパッタ経過時間による磁気ヘッドへの影
響についても同様に下記〜を測定することによって
調べた。
【0011】チップ加工不良率 磁気ヘッドチップ300個の切断チップ加工によって磁
気コアが剥離破壊したチップ数の割合。
【0012】チップ超音波洗浄不良率 上記チップ加工によって採取できた磁気ヘッドチップ全
数の超音波洗浄(洗浄液中5分間)によって磁気コアが
剥離破壊したチップ数の割合。
【0013】平均チップ強度 上記超音波洗浄において破壊しなかった磁気ヘッドチッ
プ20個の荷重破壊試験の平均荷重値。
【0014】チップ自動貼付不良率 上記荷重破壊試験を行わなかった残りの磁気ヘッドチッ
プ全数の自動機によるヘッドベースへの貼付固定によっ
て磁気コアが剥離破壊したチップ数の割合。
【0015】(実施例1)本実施例で作製した磁気ヘッ
ドの概略斜視図及び磁気コアの突合せ部の拡大構成図を
図1に示す。ここで、1は飽和磁束密度が9000ガウ
スのCo−Nb−Zrアモルファス磁性膜、2及び2′
はMn−Zn単結晶フェライト支持体、3は磁気ギャッ
プ及びガラス接着層、4はアモルファス磁性膜1のCr
保護膜、5及び5′はSiO2 ギャップ材、6は接着用
ガラス膜、7及び7′は接合用充填ガラス、8はコイル
巻線窓である。磁気ギャップ及びガラス接着層である3
は、SiO2 ギャップ材5及び5′にはさまれた接着用
ガラス膜6がガラス充填時に軟化流動し、一体化されて
いる。接着用ガラス膜6には表1のガラスNo.A及びN
o.C、接合用充填ガラス7及び7′には表1のガラスN
o.Eを用いた。
【0016】図1の磁気ヘッドの製法は、先ず図2及び
図3に示すように、Mn−Zn単結晶フェライト支持体
2及び2′にコイル巻線窓8,ガラス充填溝9及び9′
を設け、コア突合せ面を形成し、Cコアブロック(図
2)とIコアブロック(図3)を作製した。これらのコ
アブロックを十分に洗浄後、Cコアブロックには図4に
示すように、コア突合せ面にAr−10vol%O2の雰囲
気でSiO2 ギャップ材5を2μmとその上に接着用ガ
ラス膜6を3000Åスパッタした。一方、Iコアブロ
ックには図5に示すように、コア突合せ面にAr雰囲気
でCo−Nb−Zrアモルファス磁性膜1を2μmとそ
の上にCr保護膜4を1000Å、及びAr−10vol
%O2の雰囲気でSiO2 ギャップ材5′を1μmスパ
ッタした。SiO2 ギャップ材5及び5′、接着用ガラ
ス膜6のスパッタ雰囲気をAr−10vol%O2とした理
由は、酸素を含有させることによってスパッタ時にこれ
らの材料が還元されることを防止するためである。次
に、スパッタ膜を施した図4及び図5のCコアブロック
とIコアブロックを図6に示すように突合せ、ギャップ
上部に棒状の接合用充填ガラス7を設置し、N2 中46
0℃で接合用充填ガラス7をガラス充填溝9及び9′に
充填するとともに、突合せ面に施した接着用ガラス膜6
を流動させ、CコアブロックとIコアブロックを接合し
た。上記ギャップ上部を研磨することによって、図7に
示すようなコア接合ブロック体を作製し、一点鎖線a及
びa′の幅140μmの間隔で順次切断し、図1で示し
た磁気ヘッドのチップを多数作製した。
【0017】
【表2】
【0018】作製した磁気ヘッドの評価結果を表2に示
す。スパッタ経過時間が1時間後のガラスNo.Cのスパ
ッタ膜を用いた場合の比較例では、チップ加工において
300個中42個が破損し、その不良率が14%と高かっ
た。また、得られた磁気ヘッドチップのチップ超音波洗
浄においても258個中63個が破損し、その不良率が
24.4% と高かった。チップ超音波洗浄で破壊しなか
った磁気ヘッドチップの平均チップ強度は26.3gf
と低くかった。更に、チップ自動貼付けでは残りの17
5個中28個が破損し、その不良率が16.0% と高か
った。このため、最終的には半分近い不良が発生した。
このように、各不良率が高い原因は平均チップ強度から
示唆されるように、ガラスNo.Cのスパッタ膜による磁
気コアの接着強度が低いためである。これについて詳細
に検討した結果、コア接合ブロック体の違いによるロッ
ト間のチップ強度のバラツキが大きく、低強度チップで
は磁気コア接合温度である460℃で良好な流動性を持
たなかったスパッタ膜が数多く認められた。この原因を
更に究明した結果、スパッタ時の若干の組成バラツキが
スパッタ膜の流動性に大きく影響し、接着強度を低下さ
せていることが分かった。スパッタ経過時間が9時間後
のガラスNo.Cのスパッタ膜を用いた場合の比較例で
は、チップ加工不良率,チップ超音波洗浄不良率,平均
チップ強度及びチップ自動貼付不良率のすべてが更に悪
化した。このため、最終的には過半数の大不良が発生し
た。このスパッタ経過時間の違いを究明した結果、9時
間後のスパッタ膜では所望のガラス組成からずれ、しか
も上記ロット間の組成バラツキが大きくなっていること
が分かった。このために、長時間使用後のNo.Cターゲ
ットを用いた場合のスパッタ膜では、磁気コア接合温度
で良好な流動性が得られず、磁気コアの接着強度が更に
低下し、不良数が増加した。
【0019】これに対し、ガラスNo.Aのスパッタ膜を
用いた場合の実施例では、スパッタ経過時間が1時間後
及び9時間後においても共にチップ加工不良率,チップ
超音波洗浄不良率,平均チップ強度及びチップ自動貼付
不良率が改善され、更にスパッタ経過時間による悪化も
あまり認められなかった。このため、最終的な不良率は
10%未満に押さえることができた。これはガラスNo.
Aのスパッタ膜では、比較例に比べロット間の組成バラ
ツキがほとんどなく、しかもスパッタ経過時間によるス
パッタ膜組成の変化が少なく、またわずかな組成ずれを
起こしても流動性への影響が小さいことから、安定した
接着層が得られ、磁気コアの接着強度の低下をもたらす
コア接合ブロック体の低減又は撲滅を図れたためであ
る。なお、ガラスNo.Aのスパッタ膜により形成された
磁気ヘッドのガラス接着層は、スパッタ用ターゲットと
同様にPb−Te−Bの酸化物から主に構成されてい
た。すなわち、ガラスNo.Aのような組成では長時間に
渡って、接着層として安定したスパッタ膜を供給できる
ことから、量産性はもちろんのこと、信頼性にも優れた
磁気ヘッドが得られる。ただし、磁気コアの突合せ面の
ギャップ部にも接着用ガラス膜が施されていたので、ギ
ャップ長の多少のずれから、ヘッド性能に若干のバラツ
キが発生した。本実施例のようにギャップ長が大きい磁
気ヘッドではそれほど問題とならないが、ギャップ長が
小さい磁気ヘッドではそのギャップ長の制御が難しくな
ることが予想された。そこで、実施例2及び3では磁気
コアの突合せ面のギャップ部には接着用ガラス膜を施さ
ないで、磁気ヘッドを作製し、本実施例と同様に評価し
た。
【0020】(実施例2)接着用ガラス膜として表1の
ガラスNo.B及びNo.D、接合用充填ガラスとして表1
のガラスNo.Eを用いて、実施例1と同様に図1の磁気
ヘッドを作製した。ただし、アモルファス磁性膜1には
実施例1で採用したものより飽和磁束密度が11000
ガウスと高いが、耐熱温度が低いCo−Nb−Zr−T
aアモルファス磁性膜を用いたため、磁気コア接合温度
は450℃とした。更に、実施例1よりギャップ長の規
制を厳密なものするために、図8に示すように接着用ガ
ラス膜6をスパッタする際にマスク10を設け、ギャッ
プ突合せ面に接着用ガラス膜6が施されていない状態と
した。このため、本実施例の磁気ヘッドでは、ギャップ
部が接合用充填ガラス7のみで接合された構成となって
いる。
【0021】
【表3】
【0022】作製した磁気ヘッドの評価結果を表3に示
す。スパッタ経過時間が1時間後のガラスNo.Dのスパ
ッタ膜を用いた場合の比較例では、実施例1で述べたス
パッタ経過時間が1時間後のガラスNo.Cのスパッタ膜
を用いた場合の比較例とほぼ同様な結果が得られた。す
なわち、チップ加工不良率,チップ超音波洗浄不良率,
平均チップ強度及びチップ自動貼付不良率が共に悪く、
最終的な不良が半数近いものであった。また、これはガ
ラスNo.Cのスパッタ膜と同様に、スパッタ時の若干の
組成バラツキによる磁気コア接合時のスパッタ膜の流動
性悪化が大きな原因となっており、磁気コアの接着強度
を低下させていた。更に、スパッタ経過時間が9時間後
のガラスNo.Dのスパッタ膜を用いた場合の比較例で
も、実施例1で述べたスパッタ経過時間が9時間後のガ
ラスNo.Cのスパッタ膜を用いた場合の比較例とほぼ同
様な結果が得られた。すなわち、スパッタ経過時間の増
加によってチップ加工不良率,チップ超音波洗浄不良
率,平均チップ強度及びチップ自動貼付不良率のすべて
が顕著に悪化し、最終的な不良が半数を超えていた。こ
れに関してもガラスNo.Cのスパッタ膜と同様に、スパ
ッタ経過時間の増加によるガラス組成のずれとコア接合
ブロック体の違いによるロット間の組成バラツキが原因
となっていた。
【0023】これに対し、ガラスNo.Bのスパッタ膜を
用いた場合の実施例では、実施例1で述べたガラスNo.
Aのスパッタ膜を用いた場合の実施例と同様に、スパッ
タ経過時間が1時間後及び9時間後においても共にチッ
プ加工不良率,チップ超音波洗浄不良率,平均チップ強
度及びチップ自動貼付不良率が改善され、更にスパッタ
経過時間による悪化もほとんど認められなかった。この
ため、最終的な不良率は7%未満に押さえることができ
た。これはガラスNo.Aのスパッタ膜と同様に、比較例
に比べロット間の組成バラツキがほとんどなく、しかも
スパッタ経過時間によるスパッタ膜組成の変化が少な
く、またわずかな組成ずれを起こしても流動性への影響
が小さいことから、安定した接着層が得られ、磁気コア
の接着強度の低下をもたらすコア接合ブロック体の低減
又は撲滅を図れたためである。なお、ガラスNo.Bのス
パッタ膜により形成された磁気ヘッドのガラス接着層
は、スパッタ用ターゲットと同様にPb−Te−B−S
iの酸化物から主に構成されていた。また、本実施例で
は実施例1とは異なり、磁気コアの突合せ面のギャップ
部には接着用ガラス膜が施されていないが、強度の低下
は見られず、逆にガラスNo.AよりガラスNo.Bのスパ
ッタ膜を用いた場合の方が平均チップ強度や最終的な不
良率は良好であった。すなわち、ガラスNo.Bのような
組成では長時間に渡って、接着層として安定したスパッ
タ膜を供給できることから、量産性はもちろんのこと、
信頼性にも優れた磁気ヘッドが得られる。更に、本実施
例ではギャップ長のバラツキが少なく、ヘッド性能も良
好であった。
【0024】(実施例3)本実施例で作製した磁気ヘッ
ドの概略斜視図及び磁気コアの突合せ部の拡大構成図を
図9に示す。なお、突合せ部の拡大構成図は突合せ面が
ヘッド側面に露出していないため、図1で示した磁気ヘ
ッドのようには観察できない。ここで、1及び1′は飽
和磁束密度が11000ガウスのCo−Nb−Zr−T
aアモルファス磁性膜、2及び2′はMn−Zn単結晶
フェライト支持体、3は磁気ギャップ、4及び4′はア
モルファス磁性膜1のCr保護膜、5及び5′はSiO
2 ギャップ材、6は接着用ガラス膜、7及び7′は接合
用充填ガラス、8はコイル巻線窓である。接着用ガラス
膜6には表1のガラスNo.B及びNo.D、接合用充填ガ
ラス7及び7′には表1のガラスNo.Eを用いた。
【0025】図9の磁気ヘッドの製法は、先ず図10に
示すように、Mn−Zn単結晶フェライト支持体2にコ
イル巻線窓8,ガラス充填溝9を設け、コア突合せ面を
形成した。これを十分に洗浄後、図11に示すように、
コア突合せ面にAr雰囲気でCo−Nb−Zrアモルフ
ァス磁性膜1を25μmとその上にCr保護膜4を10
00Åスパッタし、板状の接合用充填ガラス7を用い
て、N2 中450℃でその接合用充填ガラス7をガラス
充填溝9に充填した。次に、図12に示すように、不要
な接合用充填ガラス7とアモルファス磁性膜1を研磨,
除去することによって、コイル巻線窓8と所要のトラッ
ク幅t(t=30μm)をコア突合せ面に形成し、一点
鎖線bで示す位置で切断し、一対の磁気コアブロック
(Cコアブロック,Iコアブロック)を作製した。これ
らのコアブロックを十分に洗浄後、コア突合せ面にAr
−10vol%O2の雰囲気でSiO2 ギャップ材5をそれ
ぞれ1200Åずつスパッタし、更にCコアブロックの
突合せ面には図8のようにして、ギャップ部以外にAr
−10vol%O2の雰囲気で接着用ガラス膜6を600Å
スパッタした。その際、接着用ガラス膜6の形成には5
時間使用したスパッタ用ターゲットを用いた。SiO2
ギャップ材5及び5′、接着用ガラス膜6のスパッタ雰
囲気をAr−10vol%O2とした理由は、酸素を含有さ
せることによってスパッタ時にこれらの材料が還元され
ることを防止するためである。そして、スパッタ膜を施
したCコアブロックとIコアブロックを図13に示すよ
うに突合せ、N2 中450℃で接合した。次に、一点鎖
線c及びc′の幅120μmの間隔で順次切断し、図9
で示した磁気ヘッドのチップを多数作製した。
【0026】
【表4】
【0027】作製した磁気ヘッドの評価結果を表4に示
す。ガラスNo.Dのスパッタ膜を用いた場合の比較例で
は、実施例1及び2で検討した比較例に比べ、チップ加
工不良率,チップ超音波洗浄不良率及びチップ自動貼付
不良率が共に著しく減少し、しかも平均チップ強度が顕
著に増加した。これは検討に用いた磁気ヘッドの構造の
違いに原因がある。実施例1及び2では、図1の磁気ヘ
ッドに示すように磁気コアの突合せ面のほとんどが接着
用ガラス膜によって接合されているのに対し、本実施例
で用いた図9の磁気ヘッドでは、接着用ガラス膜よりは
接合用充填ガラスが主流となって磁気コアを接合してい
る。すなわち、図9の磁気ヘッドでは、接着用ガラス膜
は補佐的な役目を果たしている。接合用充填ガラスは棒
状や板状のバルクとして使用されることから、スパッタ
リング法によって得られるような接着用ガラス膜とは異
なり、組成の変化による流動性の悪化がほとんどなく、
磁気コアを安定に接合できる。このため、磁気ヘッドの
幅を小さくしたにもかかわらず(140μm→120μ
m)、良好な接合強度が得られ、最終的な不良率が約1
1%となった。しかし、本実施例では、ガラスNo.Bの
スパッタ膜を用いて同じ磁気ヘッドを作製した結果、上
記比較例と接合用充填ガラスが同じものを使用している
にもかかわらず、チップ加工不良率,チップ超音波洗浄
不良率,平均チップ強度及びチップ自動貼付不良率のす
べてに対し優れており、最終的な不良率を比較例の約1
/3にまで低減できた。これは実施例2でも述べたよう
に、ガラスNo.Bのような組成では、磁気コア接合温度
450℃において軟化流動性の良好なスパッタ膜を安定
して供給できることから、磁気コア突合せ面の接着強度
の劣化がない磁気ヘッドを高歩留まりで作製できるため
である。なお、本実施例の磁気ヘッドにおいても、実施
例2と同様にそのガラス接着層はPb−Te−B−Si
の酸化物から主に構成されていた。すなわち、アモルフ
ァス磁性膜を用いた磁気ヘッドの量産性と信頼性を向上
できる。また、本実施例では、実施例2と同様に、磁気
コアの突合せ面の磁気ギャップ部には接着用ガラス膜を
設けなかったために、狭ギャップであるにもかかわら
ず、ギャップ長のバラツキが少なく、ヘッド性能も良好
であった。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、磁気コアにアモルファ
ス磁性膜を用いた磁気ヘッドの量産性と信頼性を向上又
は改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気コアにアモルファス磁性膜を用いた代表的
な磁気ヘッド及び磁気コアの突合せ部の模式図。
【図2】図1の磁気ヘッドの製法における各工程の説明
図。
【図3】図1の磁気ヘッドの製法における各工程の説明
図。
【図4】図1の磁気ヘッドの製法における各工程の説明
図。
【図5】図1の磁気ヘッドの製法における各工程の説明
図。
【図6】図1の磁気ヘッドの製法における各工程の説明
図。
【図7】図1の磁気ヘッドの製法における各工程の説明
図。
【図8】図1の磁気ヘッドの製法における各工程の説明
図。
【図9】磁気コアにアモルファス磁性膜を用いた代表的
な磁気ヘッド及び磁気コアの突合せ部の模式図。
【図10】図9の磁気ヘッドの製法における各工程の説
明図。
【図11】図9の磁気ヘッドの製法における各工程の説
明図。
【図12】図9の磁気ヘッドの製法における各工程の説
明図。
【図13】図9の磁気ヘッドの製法における各工程の説
明図。
【符号の説明】
1及び1′…アモルファス磁性膜、2及び2′…支持
体、3…磁気ギャップ及びガラス接着層、4及び4′…
保護膜、5及び5′…ギャップ材、6…接着用ガラス
膜、7及び7′…接合用充填ガラス、8…コイル巻線
窓、9及び9′…ガラス充填溝、10…マスク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 研 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 郡司 秀樹 茨城県勝田市大字稲田1410番地 株式会社 日立製作所AV機器事業部内 (72)発明者 笹嶋 崇三 茨城県勝田市大字稲田1410番地 株式会社 日立製作所AV機器事業部内 (72)発明者 熊坂 登行 茨城県勝田市大字稲田1410番地 株式会社 日立製作所AV機器事業部内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アモルファス磁性膜,非磁性ギャップ形成
    膜及び接着用ガラス膜のそれぞれを一対の磁気コアの少
    なくとも一方の突合せ面に施し、該一対の磁気コアを突
    合せ、該接着用ガラス膜によって接合された磁気ヘッド
    において、該突合せ面のガラス接着層が少なくともPb
    −Te−Bの酸化物から構成されることを特徴とする磁
    気ヘッド。
  2. 【請求項2】請求項1記載の磁気ヘッドにおいて、前記
    ガラス接着層が更にSiを含有することを特徴とする磁
    気ヘッド。
  3. 【請求項3】請求項1あるいは2記載の磁気ヘッドにお
    いて、前記接着用ガラス膜の他に、バルクの接合用充填
    ガラスを少なくともギャップ部近傍に施すことによって
    接合してなることを特徴とする磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】請求項3記載の磁気ヘッドにおいて、前記
    接着用ガラス膜が前記磁気コアの突合せ面のうちギャッ
    プ部には施されていないことを特徴とする磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】アモルファス磁性膜,非磁性ギャップ形成
    膜及び接着用ガラス膜のそれぞれを一対の磁気コアの少
    なくとも一方の突合せ面に施し、該一対の磁気コアを突
    合せ、該接着用ガラス膜によって接合された磁気ヘッド
    の製法において、該接着用ガラス膜が少なくともPb−
    Te−Bからなる酸化物系ガラスのスパッタ用ターゲッ
    トを用いてスパッタリング法によって形成される工程
    と、該一対の磁気コアを突合せ、該アモルファス磁性膜
    の結晶化温度未満で該接着用ガラス膜を軟化流動させる
    ことによって接合する工程とを含むことを特徴とする磁
    気ヘッドの製法。
  6. 【請求項6】請求項5記載の磁気ヘッドの製法におい
    て、前記接着用ガラス膜のスパッタ用ターゲットが更に
    Siを含有することを特徴とする磁気ヘッドの製法。
  7. 【請求項7】請求項5あるいは6記載の磁気ヘッドの製
    法において、前記磁気コアの接合時に前記接着用ガラス
    膜の他に、少なくともギャップ部近傍に前記アモルファ
    ス磁性膜の結晶化温度未満で軟化流動するバルクの接合
    用充填ガラスを用いて接合することを特徴とする磁気ヘ
    ッドの製法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の磁気ヘッドにおいて、前記
    接着用ガラス膜の形成にあたり、前記磁気コアの突合せ
    面のうちギャップ部にマスクを設け、該ギャップ部には
    施されないようにすることを特徴とする磁気ヘッドの製
    法。
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