JPH08302898A - 建築物の鉄骨柱及び建築物の建造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】建築物の角形鋼管柱の溶接作業を減少させ、信
頼性が高く、作業工数を減少する。 【構成】長尺の厚肉継目無鋼管を熱間圧延して長尺の角
鋼管柱１を製作し、この角鋼管柱１に各階層の梁２、
３、４、５、６、７を取付け、これを基礎上に立設し、
各階層の梁、桁を順次取付け、ついで、その上層階の柱
梁桁を同様に組み立て施工する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築物の鉄骨柱及び建
築物の建造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、中低層の鉄骨構造物の柱として従
来のＨ鋼や組立柱の代わりに角鋼管柱が用いられる傾向
にある。角鋼管柱は比較的薄肉で剛性が大きいこと、断
面のＸ軸とＹ軸方向の曲げ特性が等方的であること、部
材の取付が容易であること、外面断熱耐火被覆が容易で
あること等の利点があり、称揚されている。

【０００３】しかし従来の角鋼管柱は、柱と梁の接合部
いわゆる柱梁仕口部の強度、剛性を高めるために、ダイ
アフラムを上下に有する短尺のコラムを角鋼管柱を横断
して設けて仕口部の柱部分を強化し、このダイアフラム
に梁を取付ける構造が用いられている。このような角鋼
管柱の柱梁仕口部は、各階毎に設ける必要があり、また
梁背の異なる梁、桁を取付けるためには、梁背の上下端
位置ごとにダイアフラム等の補強を設けることが必要で
あり、柱の構造が複雑となるばかりでなく、柱の製作に
多くの溶接施工を要し、製造手間が莫大であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決した建築物の鉄骨柱を提供すること及びこの鉄骨柱
を用いた建築物の建造方法を開発し、これを提供するこ
とを目的とするものである。すなわち本発明は、建築物
等の柱構造として長尺厚肉の角鋼管柱を用いて数階に亙
る一本ものの長柱を形成し、柱の各階毎に設ける仕口部
コラムを廃止し、長尺の一本ものの柱自体に梁を取付け
て柱梁仕口部を形成し、能率的で省力的な角鋼管柱の製
造、組み立てを可能とし、この柱を用いた建築物の建造
を可能とする技術を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するためになされたもので、長尺の厚肉継目無鋼管
から熱間成形した長尺の角鋼管柱に各階層の梁を取付け
たことを特徴とする建築物の鉄骨柱を提供する。さら
に、本発明方法は、このような各階層の梁の接続ブラケ
ットを取付けた長尺の厚肉継目無し角鋼管柱を製作し、
この角鋼管柱を基礎上に立設し、各階層の梁、桁を順次
取付け、ついで、その上層階の柱梁桁構造物を同様に組
み立て施工することを特徴とする建築物の建造方法であ
る。

【０００６】

【作用】本発明の建築物の鉄骨柱は、継目無し鋼管を熱
間圧延して製造した長尺厚肉の角鋼管柱である。このよ
うな角鋼管柱は、圧延によって任意の断面寸法の、長尺
厚肉の角鋼管柱を容易に製造することができる。例え
ば、長さ１２ｍ、断面寸法１００×１００ｍｍ〜４００
ｍｍ×４００ｍｍ、肉厚１０ｍｍ〜５０ｍｍのものを容
易に製造することができる。この角鋼管柱は、柱梁仕口
部を補強する必要がなく、仕口部コラム等を設ける必要
がない。従って長尺の一本の柱は、長手方向を繋ぐ溶接
が不要である。このため、溶接欠陥等の恐れが全くな
く、任意の厚肉のものを容易に製造することができる。
つまり、建築物の仕様に応じた柱梁仕口部の強度、靭性
を充足する断面特性のものを容易に製造することがで
き、設計裕度が著しく拡大する。また、従来の鉄骨角鋼
管柱で必要であった、ダイアフラムを備えたコラムを製
造しこれを各階の梁位置に相当する仕口部位置に溶接接
合する手間が全く必要がなく、強度的にも、工数的に
も、経済的にも最適な設計が容易となる。また、梁背の
異なる梁をそれぞれ取付ける場合でも、従来はそれぞれ
の梁背に対応する補強を必要としたが、本発明では全く
不要となる。

【０００７】本発明の鉄骨柱を用いる建築物の構築方法
は、継目無し鋼管を熱間圧延して製造した一本ものの長
尺の角鋼管柱に、工場において、必要な梁ブラケットそ
の他の附属品等を溶接施工し、これを現地に運搬し、立
設する。従って運搬可能な最大長さの一本ものの柱を製
作することができる。またこの鉄骨柱を用いる建築物の
構築方法は、基礎上に立設し、順次、梁、桁を連結して
立体的に組み立て施工する。

【０００８】従来の溶接加工してコラムを介装して連結
した鉄骨柱と比較して、柱製作工程における溶接加工手
間を莫大に節約することができる。本発明は、鉄骨構造
のみならず、鉄骨コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリ
ート構造の建築物、建造物、構築物にも適用されるもの
である。

【０００９】

【実施例】図１は本発明の実施例の建築物の鉄骨柱を示
す側面図、図２はそのＡ−Ａ矢視図である。この柱１
は、例えば、継目無し鋼管を熱間圧延して製造した一本
ものの長さ１２ｍで外形寸法３００ｍｍ×３００ｍｍ肉
厚２５ｍｍの長尺厚肉の角鋼管柱である。この角鋼管柱
は、建築物の柱梁仕口部の設計に応じて柱断面寸法を決
定する。従って、所要の梁ブラケット２、３、４、５、
６、７を、直接角鋼管柱１に取付ければよい。このた
め、柱梁仕口部を補強する必要がなく、仕口部コラム等
を設ける必要がない。柱１には、必要に応じて、下底部
に基礎との接続用のベースブレート８を取付けたり、上
端に柱接続用の開先の加工やダイアフラム９等の取付け
を行うことができる。また、必要に応じて、笠木、斜
材、壁材等の取付け、断熱層の形成、コンクリート打設
等のためのガゼットプレート、ブラケット、ジベル等を
設けたり、作業用の治具を取付けたりすることも任意で
ある。

【００１０】

【発明の効果】本発明の建築物の鉄骨柱及び建築物の建
造方法は、以上のように構成されているので、溶接作業
を著しく減少させることができ、信頼性が高く、作業工
数を減少するという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の鉄骨柱の側面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視図である。

【符号の説明】

１ 柱 ２、３、４、５、６、７ 梁 ８ ベースプレート ９ ダイアフラム

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺の厚肉継目無鋼管を熱間圧延により
   成形した長尺の角形鋼管柱に各階層の梁を取付けたこと
   を特徴とする建築物の鉄骨柱。
2. 【請求項２】 各階層の梁を取付けた長尺の厚肉継目無
   し角鋼管柱を製作し、該角鋼管柱を基礎上に立設し、各
   階層の梁、桁を順次取付け、ついで、その上層階の柱梁
   桁を同様に組み立て施工することを特徴とする建築物の
   建造方法。