JP2674442B2 - 鉄骨鉄筋コンクリート構造物の柱・梁接合部の構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、鉄筋コンクリート構
造（以下「ＲＣ構造」という）の柱に鉄骨構造（以下
「Ｓ構造」という）のトラス梁を接合してなる鉄骨鉄筋
コンクリート構造物の柱・梁接合部の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、鉄骨鉄筋コンクリート構造（以
下「ＳＲＣ構造」という）は大スパン化、コンクリート
型枠の省力化およびこれに伴う施工の省力化などの点で
優れ、多くの建物に適用されている。

【０００３】ところで、ＳＲＣ構造といっても、躯体の
全てがＳＲＣ構造によって構築されているわけではな
く、多くの場合、梁をＨ形鋼などからなるＳ構造とし、
柱をＲＣ構造とするのが一般的である。また、柱の梁接
合部のコンクリート中に、柱に梁を接合するための梁接
合金具が埋設され、この梁接合金具に梁の端部が溶接又
は高力ボルトによって接合されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のＳＲＣ
構造物の柱・梁接合部の構造においては、梁を柱に接合
する梁接合金具が複雑な形状をしているものが多く、梁
接合金具の製作および設置が面倒なだけでなく、梁接合
金具の回りにコンクリートを打設しにくい等の課題があ
った。また、梁接合金具と梁との位置合わせも面倒な場
合が多く、梁の建て方精度を確保することが難しい等の
課題もあった。さらに、梁にはＨ形鋼が使用されること
が多いため、大スパン化に伴い、梁のウェブ部を座屈防
止のために補鋼材によって補強する必要があった。

【０００５】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、ＲＣ構造の柱とＳ構造のトラス梁との
接合を容易にするとともに、梁の建て方精度を高め、か
つ柱と梁との一体化接合を可能にしたＳＲＣ構造物の柱
・梁接合部の構造を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、ＲＣ構造の
柱の梁接合部の両側部に、Ｓ構造のトラス梁をそれぞれ
接合してなるＳＲＣ構造物の柱・梁接合部の構造に関
し、前記柱の梁接合部に前記トラス梁どうしおよび前記
トラス梁と前記柱とをそれぞれ接合する連結ロッドを複
数本水平に埋設し、前記トラス梁の上弦材と下弦材を鋼
管からそれぞれ形成し、この上弦材と下弦材の端部に定
着金具をそれぞれ取り付け、この定着金具のねじ孔に前
記連結ロッドの端部をそれぞれ螺合することにより構成
されている。

【０００７】

【実施例】実施例１． 図１〜図７は、この発明の一実施例を示し、図におい
て、符号１は矩形断面形に構成されたＲＣ構造の柱、２
は柱１の梁接合部の両側部に接合されたＳ構造のトラス
梁、３はこのトラス梁２と２およびトラス梁２と柱１と
を接合する連結ロッド、そして、符号４は連結ロッド３
をトラス梁２の上弦材2aの端部と下弦材2bの端部にそれ
ぞれ連結するとともに、上弦材2aおよび下弦材2bの圧縮
力をそれぞれ柱１に伝達する定着金具である。

【０００８】トラス梁２の上弦材2aと下弦材2bは、水平
方向に所定間隔離して２本ずつ平行にそれぞれ設置さ
れ、かつ上弦材2aと下弦材2bは上下方向に所定間隔離し
て平行に延在されている。また、上弦材2aどうしおよび
下弦材2bどうしは帯鋼などからなる複数本の水平材2cに
よってそれぞれ一体的に連結され、かつ上弦材2aと下弦
材2bとは水平材2cと同様の帯鋼などからなる複数本の斜
材2dと垂直材2eとによって一体的に連結されている。な
お、上弦材2aと下弦材2bはともに円形鋼管から形成され
ている。

【０００９】定着金具４は上弦材2aの端部と下弦材2bの
両端部にそれぞれ溶接することにより一体的に取り付け
られている。また、定着金具４の周囲には柱１の側面部
に当接する鍔部4aが形成され、かつ略中央部には上弦材
2aと下弦材2bの材軸方向に連続するねじ孔4bが形成され
ている。

【００１０】連結ロッド３は高張力鋼のねじ鉄筋から形
成されている。また、連結ロッド３は柱１の梁接合部の
コンクリート中に上下に２本ずつ水平に埋設され、その
両端は定着金具４のねじ孔4bにそれぞれ螺合されてい
る。

【００１１】このようにして、柱１の梁接合部の両側に
設置されたトラス梁２どうしおよびこのトラス梁２と柱
１とは複数本の連結ロッド３を介して一体的に接合され
ている。そして、トラス梁2,2 間の応力は連結ロッド３
を介して伝達される。また、トラス梁２と柱１とが連結
ロッド３に対する柱１のコンクリートの付着力によって
一体的に接合され、かつ定着金具４の鍔部4aが柱１の側
面部に当接していることにより、トラス梁２と柱１間の
応力は連結ロッド３に対する柱１のコンクリートの付着
力と定着金具４とを介して伝達される。

【００１２】特に、定着金具４に柱１の側面に当接する
鍔部4aが形成され、この鍔部4aを介して上弦材2aおよび
下弦材2bの軸圧縮力が柱１に伝達されるため、柱１のコ
ンクリート強度が少々小さいために付着抵抗が小さい場
合でも、トラス梁２と柱１間の応力伝達は確実になされ
る。

【００１３】実施例２． 図８および図９は、この発明の他の実施例を示し、図に
おいて、実施例１と同一部分および相当する部分には同
一符号を付す。符号５はＲＣ構造の大梁、６はデッキプ
レート又はハーフＰＣ板７を型枠として構成されたＲＣ
構造の床スラブである。

【００１４】図８は、トラス梁２が大梁5,5 間に連続梁
として架設された状態を図示したもので、トラス梁２は
隣接する大梁5,5 間に架設され、連結ロッド３は大梁５
のコンクリート中に埋設され、その両端が左右トラス梁
２の上弦材2aの端部と下弦材2bの端部にそれぞれ取り付
けられた定着金具４のねじ孔4aにそれぞれ螺合されてい
る。

【００１５】また、図９は、トラス梁２が大梁5,5 間に
単純梁として架設された状態を示したもので、トラス梁
２は隣接する大梁5,5 間に架設され、連結ロッド３は大
梁５のコンクリート中に埋設され、その一端はトラス梁
２の上弦材2aの端部と下弦材2bの端部にそれぞれ取り付
けられた定着金具４のねじ孔4aにそれぞれ螺合され、か
つ連結ロッド３の他端に定着金具４が取り付けられてい
る。

【００１６】実施例３． 図10および図11は、同じくこの発明の他の実施例を示
し、実施例２のトラス梁２の上弦材2aおよび下弦材2bの
中にモルタル等のグラウト材８を充填することによりト
ラス梁２の剛性を高めたものであり、この場合のグラウ
ト材８は、定着金具４のグラウト充填孔4cから充填され
る。

【００１７】実施例４． 図12および図13は、同じくこの発明の他の実施例を示
し、図において、符号９はＳＲＣ構造の梁である。この
梁９はトラス梁２を鉄骨材として構成されている。

【００１８】

【発明の効果】この発明は、以上説明した構成からな
り、以下に記載する効果を有する。

【００１９】 トラス梁どうしおよびトラス梁と柱と
は、複数本の接合ロッドを介して接合されているので、
特に複雑な形状の梁接合金具を必要とせず、また梁接合
金具を製作する手間暇を省略でき、さらに柱の梁接合部
にコンクリートを充填し易く、柱と梁とを一体的に接合
することができる等の効果がある。

【００２０】 また、トラス梁の建て込みがし易く、
またトラス梁の建て込みを正確に行うことができる等の
効果がある。さらに、梁にトラス梁が使用され、かつト
ラス梁の上弦材および下弦材は鋼管から形成されている
ので、梁の大幅軽量化が図れるとともに、座屈防止用の
補鋼材を省略できる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るＳＲＣ構造物の柱・梁接合部の
横断面図である。

【図２】図１に示す柱・梁接合部の縦断面図である。

【図３】トラス梁の側面図である。

【図４】トラス梁の平面図である。

【図５】トラス梁の上弦材および下弦材の端部平面図で
ある。

【図６】トラス梁の上弦材および下弦材の端部断面図で
ある。

【図７】トラス梁の上弦材および下弦材の端面図であ
る。

【図８】この発明の他の実施例の柱・梁接合部の横断面
図である。

【図９】この発明の他の実施例の柱・梁接合部の横断面
図である。

【図１０】この発明の他の実施例の柱・梁接合部の横断
面図である。

【図１１】この発明の他の実施例の柱・梁接合部の横断
面図である。

【図１２】この発明の他の実施例の柱・梁接合部の横断
面図である。

【図１３】この発明の他の実施例の柱・梁接合部の横断
面図である。

【符号の説明】

１…ＲＣ構造（鉄筋コンクリート構造）の柱、２…Ｓ構
造（鉄骨構造）のトラス梁、３…連結ロッド、４…定着
金具。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄筋コンクリート構造からなる柱の梁接
   合部の両側部に、鉄骨構造のトラス梁をそれぞれ接合し
   てなる鉄骨鉄筋コンクリート構造物の柱・梁接合部の構
   造において、前記柱の梁接合部に前記トラス梁どうしお
   よび前記トラス梁と前記柱とをそれぞれ接合する連結ロ
   ッドを複数本水平に埋設し、前記トラス梁の上弦材と下
   弦材を鋼管からそれぞれ形成し、この上弦材と下弦材の
   端部に定着金具をそれぞれ取り付け、この定着金具のね
   じ孔に前記連結ロッドの端部をそれぞれ螺合してなるこ
   とを特徴とする鉄骨鉄筋コンクリート構造物の柱・梁接
   合部の構造。