JPH0581403U - 鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 接合部材の製作および運搬が簡易かつ、施工
誤差の吸収が容易。 【構成】 鉄筋コンクリート柱１０Ｂ上に角型鋼管３０
を載置し、その際、柱主筋１６を下部フランジ２０Ｂの
ボルト孔２２を通して、同フランジ２０Ｂの裏面でナッ
ト１８にて締結する。続いて、鉄骨梁の端部を四方から
寄せて、ブラケット１２のフランジ端部と接続した状態
で添え板および高張力ボルト等により接合する。接合さ
れた鉄骨梁の応力は角型フランジ２０Ａ、２０Ｂおよび
角型鋼管３０を介して、確実に鉄筋コンクリート柱１０
Ａ、１０Ｂに伝達される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁を有する複合構造物の柱・梁接合部の構 造に関するものである。

【０００２】

【従来技術およびその問題点】

事務所ビル、ショッピングセンター、倉庫等の建築物には、鉄筋コンクリート 柱と鉄骨梁とからなる構造形式が採用されている。この構造形式はスパンを長く することができ、また、施工の合理化を図ることができる点で優れているが、鉄 筋コンクリートおよび鉄骨という異種構造部材を組み立てるものであるから、こ れらの部材の接合部における応力伝達が重要な課題となっている。

【０００３】 鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁を有する複合構造として、従来、図３に示すよう な接合構造が知られている。当該複合構造はプレキャスト製の鉄筋コンクリート 柱（以下ＰＣ柱という。）１０の側面部から垂直方向に突設したブラケット１２ に鉄骨梁１４を接合して、柱に梁を架構するものであり、この接合構造によれば 、ＰＣ柱１０と鉄骨梁１４との接合部における応力伝達が確実となる。

【０００４】 しかしながら、上記接合構造では柱・梁パネルゾーンとブラケット１２とが一 体として構成されているために、柱と梁の現場接合作業時に施工誤差を吸収する ことが困難となる。また、ＰＣ柱１０を工場製作した後の運搬効率の悪さや鉄骨 加工の複雑化及び現場でのパネルゾーン部分のコンクリート工事が煩雑化すると いった問題点も残されている。

【０００５】

【考案の目的】

本考案の目的は、鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部において、所要の耐 力を確保した上で、柱と梁の接合時に施工誤差の吸収が容易で、建て方時の施工 性のよい接合構造を提供することにある。

【０００６】

【考案の構成】

この考案は、鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁とを、上下フランジを有し内部にコ ンクリートが充填された鋼管を介して接合する構造であって、前記鉄筋コンクリ ート柱の柱端部から突出し、先端部が螺刻された柱主筋を前記鋼管のフランジに 穿孔したボルト孔を貫通させてナットで締結し、かつ、前記上下フランジに前記 鉄骨梁の上下フランジとそれぞれ接続するブラケットを有してなることを特徴と している。

【０００７】

【作用】

上記鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造において、鉄骨梁の応力は前記鋼 管の上下フランジおよび同鋼管を介して、確実に鉄筋コンクリート柱に伝達され る。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の好適な実施例を図面に基づいて説明するが、図１は本考案に係 る鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の接合部の組立図であり、図２は同接合部の中央 部における縦断側面図である。 図１において、鉄筋コンクリート柱１０Ｂの柱頭部には、同柱１０Ｂの断面形 状に等しい角型フランジ２０Ａ、２０Ｂを有する角型鋼管３０を載置する。角型 フランジ２０Ａ、２０Ｂの周縁部にはボルト孔２２が穿孔され、また、上部フラ ンジ２０Ａの中央部にはコンクリート充填用の孔２４が設けられている。 なお、角型鋼管３０は複数の鋼板を溶接することにより成形してもよい。

【０００９】 角型鋼管３０はコンクリート柱１０Ｂより小径とし、内部には孔２４からコン クリートが充填されている。角型鋼管３０の長さ（高さ）は、角型フランジ２０ Ａ、２０ＢがＨ型鋼からなるブラケット１２の上下フランジにそれぞれ水平に接 続されるような長さに決定され、ブラケット１２はこれに接続される鉄筋梁と同 じ高さを有する。符号３２は、上下フランジ２０Ａ、２０Ｂの外周部において、 両者を垂直方向に連結した補強用のリブプレートである。

【００１０】 鉄筋コンクリート柱１０Ａ、１０Ｂの柱頭部と柱脚部の先端からは柱主筋１６ が、僅かに突出しており、柱主筋１６の先端部には、ねじを形成する。 また、符号１１は鉄筋コンクリート柱１０Ａ、１０Ｂの柱頭部と柱脚部に設け たコッタであり、この中にコンクリートやモルタルを充填して部材の水平方向の ずれを防止するためのものである。

【００１１】 鉄筋コンクリート柱１０Ｂに鉄骨梁１４を接合するには、先ず、所定位置に立 設された鉄筋コンクリート柱１０Ｂ上に前記角型鋼管３０を載置し、その際、柱 主筋１６を下部フランジ２０Ｂのボルト孔２２を通して、同フランジ２０Ｂの裏 面でナット１８にて締結する。 続いて、図示してない鉄骨梁の端部を四方から寄せて、ブラケット１２のフラ ンジ端部と接続した状態で添え板および高張力ボルト等により接合する。

【００１２】 次に、鋼管３０上に、鉄筋コンクリート柱１０Ａを接合するには、前記鉄筋コ ンクリート柱１０Ｂの場合と同様にして、鉄筋コンクリート柱１０Ａの柱主筋１ ６を上部フランジ２０Ａのボルト孔２２を通して、同フランジ２０Ａの裏面でナ ット１８にて締結すればよい。

【００１３】 上記鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造において、接合された鉄骨梁の応 力は角型フランジ２０Ａ、２０Ｂおよび角型鋼管３０を介して、確実に鉄筋コン クリート柱１０Ａ、１０Ｂに伝達される。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は、鉄筋コンクリート柱と柱・梁パネルゾーンとを別個に製作して、こ れらをボルト接合する構造を採用することにより、鉄骨梁の応力を確実に鉄筋コ ンクリート柱に伝達させることができ、接合部に所要の耐力を確保することがで きる。

【００１５】 また、本考案は上記接合部を構成する接合部材の製作および運搬が容易であり 、しかも、施工誤差の吸収が可能である。従って、建て方時の施工性に極めて優 れており、工事の大幅な省力化および工期の短縮が可能となるなど顕著な効果を 発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の接合部の組立図
である。

【図２】鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の接合部の中央部
における縦断側面図である。

【図３】従来例である鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁の接
合部の斜視図である。

【符号の説明】

１０Ａ、Ｂ 鉄筋コンクリート柱 １２ ブラケット １６ 柱主筋 １８ ナット ２２ ボルト孔 ２０Ａ、Ｂ 角型フランジ ３０ 角型鋼管

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁とを、上下
   フランジを有し内部にコンクリートが充填された鋼管を
   介して接合する構造であって、前記鉄筋コンクリート柱
   の柱端部から突出し、先端部が螺刻された柱主筋を前記
   鋼管のフランジに穿孔したボルト孔を貫通させてナット
   で締結し、かつ、前記上下フランジに前記鉄骨梁の上下
   フランジとそれぞれ接続するブラケットを有してなる鉄
   筋コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造。