JPH0333846Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、比較的低層、特に２層、３層の建
築物における鉄骨架構を構成する上下柱の柱と柱
接合装置に関する。特に鉄骨ラーメンに好適な梁
接合部における柱と柱剛接合装置に関する。

〔従来技術〕

従来、鉄骨柱と鉄骨梁とからなる鉄骨架構にお
いて、鉄骨柱と鉄骨梁間の接合は、鉄骨柱の側面
部にブラケツトを突設し、このブラケツトに鉄骨
梁を接合ボルトと添えプレートによつて接合する
か、若しくは鉄骨柱の側面に直接溶接することに
よつておこなわれ、上下鉄骨柱間の接合は溶接に
よつておこなわれている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、このような接合方法だと、溶接作業や
部品数がきわめて多いため、一般に現場では施工
精度の高い作業ができにくいというだけでなく現
場における作業量が多いという欠点がある。

一方、ブラケツトの取付けは、主に工場で行な
われるため、鉄骨材を工場より現場まで運搬する
際に、ブラケツトが邪魔になるため、荷が嵩張り
運搬効率が大幅にダウンすることが避けられない
という欠点があつた。しかも、運搬中ブラケツト
を破損する恐れもあつた。

この考案は前記従来の問題点を解消するために
提案されたもので、現場における溶接作業を極力
なくし、かつ部品数も最少にとどめ現場における
作業量を大幅に減らし、現場においてきわめて簡
単に剛接合とすることができ、しかも部材の生産
性並びに運搬性の向上が著しく図れる柱と柱接合
装置、特に梁接合部における柱と柱接合装置を提
供することを目的とする。

〔考案の構成及び実施例〕

この考案の構成は実用新案登録請求の範囲記載
の通りであり、以下、この考案を図示する一実施
例によつて説明すると、接合される角形断面の
上・下鉄骨柱１，２、Ｈ形断面の鉄骨梁３のう
ち、下側鉄骨柱１の上端部に接合金物４が工場溶
接等によつて取付けられている。

接合金物４は、下側鉄骨柱１の断面形とほぼ同
一寸法大の角形断面形に鋳造によつて形成され、
かつ、全体的に厚く形成され、さらに上端部のコ
ーナ部はさらに厚く形成されている。

接合金物４の各コーナ部の上端面部にねじ孔５
が一定深さに形成され、かつ四側面部には複数個
のねじ孔６，６が形成されている。

上側鉄骨柱２の下端部には接合金物７が工場溶
接等によつて取付けられている。

接合金物７は、接合金物４の断面形とほぼ同一
寸法大で、板厚は後述の高力ボルトの呼び径と略
等しい厚さを有する接合プレート８と、肉厚が上
柱の肉厚の５〜15倍の厚さの十字形断面９と上側
鉄骨柱２に溶接される角形断面部１０とを有し、
これらは鋳造によつて一体に形成されている。ま
た、柱部材は低層建物では２〜10mmの肉厚の部材
である。

また、接合プレート８の各コーナ部にはボルト
孔１１が形成されている。

鉄骨梁３の端部には、エンドプレート１２が溶
接によつて取付けられ、このエンドプレート１２
には複数個のボルト孔１３が形成されている。

係る構成において、接合金物４の上端面部に接
合金物７の接合プレート８が突き合わされ、接合
プレート８の各コーナ部のボルト孔１１より接合
金物４の上端面部のねじ孔５に高力ボルト１４を
螺入することにより、上下鉄骨柱１，２が剛に接
合されている。高力ボルトは低層建物では通常16
〜24mmφである。接合金物を前述の肉厚とするこ
とにより、高力ボルトに張力を導入する際に必要
な肉厚と柱、柱接合部での十分な構造性能を効果
的に実現できる。接合金物７は側面の各コーナ部
が閉塞されていないため、高力ボルト１４の締め
つけが可能となる。なお、接合金物４と接合金物
７の接合プレート８とのボルト接合は本例以外に
も種々考えられよう。

また、接合金物４の側面部に鉄骨梁３のエンド
プレート１２が突き合わされ、エンドプレート１
２のボルト孔１３より接合金物４のねじ孔６に高
力ボルト１５を螺入することにより上下鉄骨柱
１，２と鉄骨梁３が剛に接合されている。又、こ
の場合、接合金物の肉厚は接合高力ボルト径に略
等しいことが効果的に剛に接合を期待できる。

〔考案の効果〕

この考案は以上の構成からなり、次の効果を有
する。

上下鉄骨柱間の接合に際し、接合金物を鉄骨
柱にあらかじめ溶接等により取付けておけば、
現場において、溶接作業や連結プレートを必要
としないで、ボルトのみで、きわめて簡単に剛
接合とすることができる。

角形断面の接合金物の側面部にねじ孔を設け
ることにより、柱と柱の接合ばかりでなく、鉄
骨梁の接合も容易に行え、鉄骨柱および鉄骨梁
の運搬に際しては、荷が嵩張る必配がなくな
り、各部材の運搬性がきわめて高く、運搬中、
各部材の破損まねく心配も全くなくなる。

鉄骨柱の上に容易に新な鉄骨柱を建付けるこ
とができるので、階数を増やすことによる増築
も容易となる。

特に十字形断面部と接合プレートを有する接
合金物を用い、側面のコーナ部が閉塞されてい
ない構成により、端面でのボルト接合が可能と
なる。

角形断面の接合金物に所用厚の十字形断面部
と接合プレートを有する接合金物を接合してあ
り、接合プレートは角形断面の接合金物の端面
に一体化されているため、接合プレートの変形
や接合ボルトの引き抜きによるボルトの伸びも
抑えられ、接合部分の剛性を十分確保すること
ができる。従つて、上柱の応力を下柱に確実に
伝達させることができ、剛接合とすることがで
きる。

接合金物は厚肉であるため、接合部の剛性が
十分に確保され、スチフナー等の補強が不要で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は上下鉄骨柱間の接合状態を示す断面
図、第２図および第３図は第１図における−
線および−線断面図、第４図および第５図は
接合金物の斜視図である。 １，２……上下鉄骨柱、３……鉄骨梁、４，７
……接合金物、５，６……ネジ孔、８……接合プ
レート、９……十字形断面部、１０……角形断面
図、１１，１３……ボルト孔、１２……エンドプ
レート、１４，１５……高力ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 接合される角形断面の上・下鉄骨柱の一方の鉄
   骨柱の端部に厚肉の角形断面の接合金物、他方に
   肉厚が接合鉄骨柱の肉厚の５〜15倍の十字形断面
   部と肉厚がボルト径に略等しい接合プレートを有
   する接合金物をそれぞれ取付け、この角形断面の
   接合金物と接合プレートをその端面でボルト接合
   して上下鉄骨柱を接合してなることを特徴とする
   柱と柱接合装置